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(1)

都 市 研 究 報 告34

都 市 の 概 念

ー そ の 総 合 的 検 討 の た め に 一

各論2(地理学)

編 集 野 間 三 郎

東 京 都 立 大 学 都 市 研 究 組 織 委 員 会

1 9 7 3 3

(2)

は し が き

との報告書は、 7 1年なよび19 7 2年の両年度に継続してかとなわ れた、「都市概念の綜合」をテーマとする研究の結果を記したものである。

それが分冊の形になったのは、研究の企画Kもとづく理由によるのでなし 単に印刷予算の計上と執行の便宜を浬由としただけのととである。

研究の第ーの目的は、「広義にみて都市研究史上にあらわれ、従来の者[5 研究に有意義な影響を与えてきた、あるいは今後に;!:;−VIてそういう作用をも っと予想される多くの都市概念を網羅的に集成し、それぞれの特徴を明示す るととJである(総論(4))。その集成の成果が、 ζの報告書の「各論Jで全 体の大部分をしめる。そのよう左作業が*わったあとで、研究の第二の目的 が試みられている。それは、「相違する数多くの都市概念を批判しそれぞれ の方法上の特性を解明いついでその特性とそれぞれの都市概念との相関関 係を分析するととができるならば、その特殊的な方法によって加工されない 以前の対象の全体像が論理的にえられるはずである」と考え、とのようない わば還元の方法によって多くの科学の学際的関心の的となっている都市につ き一つの概念を定めようとするととで〔総論(3)入「結論」で論ぜられてい るととである。

第ーの目的とその予想、される結果は、卒直κ言って、学問としてはある種 の危険性をふくんでいる。それは、結果治込よくみても百科全書的念便宜を 与えるにとどま.!J,わるくいえば他人の糟粕のょせ集めに会わって、学問に はならないという会それである。そのような批判をうけるだろうことを承知 しながらあえてとのよう左ととを試みたのは、われわれの企画は、それにも かかわらず効果があるだろうと信ずるからである。われわれは、学問を進め るのにつねに光人の業績に学ばなければならない。しかし、都市という現代 科学に課された重大テーマにつき業績、 しかも学ばなければ左らぬ先人の業 績は何かとふDかえったとき、 ζれを綜合的に示してくれるものは、案外に

(3)

とほしい。われわれ自身、諸分野から出てとの点を語りあったとき.他分野 領域で会と;5:われている都市概念につきーから学ばなければ念らなかった。

われわれはとの学習課程が有意であったと考え、その結果は また他の研究 者にも益するととろがあるだろうと予想する。すくをくとも、ととに記され た諸介野になける多〈の都市概念は、一つの都市概念を求めるための烏鰍図 とも道案内ともなるであろうと考える。しかし、それはあ〈まで烏搬図ない し道案内にとどまるので、その実際を知るには、かならず原典にたちかえっ て直接に探索せねばならないであろう。ととに記されたととがただちに都市 だとして、あるいは某暑のとる都市概念だとして、それですますよう左使わ れ方は、との報告書の本旨ではない。その意味では、 I各論Jの部分はハン ドブックの性質をもつものでそれ自体が典拠で左いととを、理解していただ きたいと訟もう。

しかし、それがハンドブァクにとどまるので念し本報告書の重要左基礎 資料であb、第二の目的に奉仕する材料であるととも、「結論Jによって理 解していただける念らば幸いである。

全体の権成は、 1つの均;Jjlで統一あるものにする希望をもってある程度は 努力したが、期待したほどにはととのわなかョた。その理由として、われわ れ自身の力不足もあったとはなもうが、研究の企画・遂行・報告という過程 が、との場合は行政事務として年度ごとの予定と予算にきびしく制限されて いるととが、研究作業を進めるプロセスとかならずしもマッチしてい左いと いう事情も数えられよう。しかしその最大のものは、各分野・各領域がそれ ぞれ固有の問題意識と慣例によって研究を進めてきていて、他分野との交流 を実行も意図もほとんどしてとなかったというととであろう。全体の歩調を ととのえられるだけの基礎体制が欠けていたのである。本報告書にみられる 不統ーは、そのような学界の実情の反映として、われわれ自身も反省してい る。ただ文献の表記と引用の方法κついては.最近社会科学で一般化しつつ ある方法を採用するととにした。文献の完全左表記と一覧表は最終分冊の末

(4)

尾に示すはずである0 ~ii-、報告書の記述中、文章内に挿入された〔・H ・H・--〕

は執筆者の註記であ夕、 1事項の末尾に別行で記された〔………〕は執筆者 名である。

ζの研究の企画・遂行と報告書の作成・編集にあたったのは、?われわれ6 名であるゑおその作業をじっさいに進めるには、各自何名かづつの同学の士 の協力をえて班を編成した。それはつぎのとまi"!Jである。

法政班 千葉正士(法学部教授)、磁部力(同助手〉

経済班 竹内幹敏(経済学部教授)、絵所秀紀(大学院学生、現法政大 学助手)

社会班 鈴木二郎(人文学部教授)、大石あさ子(国際キリスト教大学 助手)、中村宇美(大学院学生、現東京外国語大学言存続)

歴史班 太田秀通(人文学部教授入長沼宗昭(大学院学生)、

西堀悠美(同)

地理班 野間三郎(理学部教授入梶川勇作f同助手)、野沢秀樹(同 助手、現九州大学助教授)

建築班 栴敷真次郎(工球部教授) 中井勝之(同助手)

黒川直樹(大学院学生)、福岡道雄(同)、中村雅治(同)

しかしそれでも、必要とされた全部の領域をカグァーしきれないととがあ ったので、われわれが それらの諸点について講義をうけ、調査のための指 導をさずか夕、あるいは調査そのものを委託して原稿の提出を乞うた方々も あった。曽田長宗氏(国立公衆衛生院長)、西川幸治氏(京都大学教授)、

天野博正氏(電力中央研究所主査研究員)、高木鉦作氏(国学院大学教授)

左どがそうであったが、と〈に佐々木克己氏(成媛大学助教授)と前田信雄 氏(国立公衆衛生院)とには、それぞれ中世ヨーロッパ都市法と疫学に会け る都市論とκついて原稿まで提出していただいた。

そのほかに各班どとにその穫の協力をえた方々もあるが、それについては、

各論の記述。衣かでふれられている。なb内々のζとではあるが、中野尊正

(5)

委員長をはじめ、赤木須留喜・J11名古右衛門・石塚裕道その他の 東京都立 大学都市研究組織委員会委員の方々が、陰に陽に援助を与えてくれたととも、

ととに記してなきたい。

9 7 3年 5月 25

(代表)

E

真 次 郎

(6)

説 ・H H...H

・…−………....・H...HHH....H....H 9 1.  都 市 の 位 置 ( ヘ ッ ト ナ ー 〉 ...HHH...H....H・ ?  2.  ト(プランシヤール〉…...・H ...H.. 3.  都市地図(ハッシンガー) HHHH.......H...H. 14  4.  都 市 と 周 辺 ( ラ ッ ツ ェ ル ) ...H...H...H.. 5. 郊 外 ( シ ャ ポ ) ............H・−……・…...・H....H..19  6.  都 市 圏 の 構 成 ( デ ィ キ ン ソ ン ) …HH...H...H.. 7

.

  メ ガ ロ ポ リ ス ( ゴ ッ ト マY〕 … …HH...HH H 23 8.  都 市 の 景 観 地 域 ( 木 内 信 蔵 ) ....H・−……… 28 都 市 裂 の 分 類 ( ボ ペyク) ...H....H.....H... 30 0.  都市の経済機能による分類(ハリス)…...・H...H 35 1.  都市の経済基盤説 Economic bas eheory 38 12.  都市内の中心機能階層(カロル) ・HH..42  13.  中 心 地 ( ク リ ス タ ラ ー ) ...HHH.....HHH.. 4.  都市の順位・規模の法則(ジフ) H H.........HHH...49  5.  都市と周辺の人口密度(ハグy トほか)・HH...H.52  6.  中心地階層体系の変異(ペリー) ...H......HHH 55

(7)

7.  経済立地論 vc:.1;~ける都市概念(レヅシュ,アイサL ド〉 ....H. 58  18.  都市と交通(コール)……....・H...HH・−……....・H. 64  19.  都市成長段階と層序(テーラー) HH.............. 69 0.  都 市 景 観 ( ガ イ ス ラ ー ) ・HH...H...H.. 1.  世界の都市とその類型〔ジョルジユ)…………...・H.......H.

(8)

序 説

都 市 の 規 定 と 地 理 学

「都市&は何かJという問題は地理学の問題としても常κつきまとうもの であるが、 ;1: かなか簡単では ~\rlo 明らかに都市と見られるもの、例えば大 都市(完全都市とも言われるもの〉をとョもとれを分析すれば 都市的左 ものの多くの要素がとタ出されるにちがいない。しかし、熱帯や寒帯や温帯 ¥flて 叉アジアやヨ}ロァパやアメリカ念どという、ちがった地方で、

ちがった文化をもっているととろにも、いつれにも共通のものを取り出そう とすると、とれはたちまち困難に行き当る。それのみ左らず、歴史的な都市 と現代都市を含めて考えると益身困難を生じる。最大の困難に行き当るのは、

都市を都市的たらしめる最下限の条件、つまりどとからがアーバンであ夕、

そとからがルーラルであるという限界、都市のミニマム・サイズは何かとい う類の問題κ到達したときであるO世界の諸地方で 叉ちがった経済的社会 的文化的条件の中でというだけでなしに、古い時代にbけるが如〈都市と村 落が明らかに対置され得た様な時代から、今日では都市と村落の聞に多くの 過渡形があ夕、それらが互に連続して変化しているという様念事情、ますま すとのようま方向への遂行が進んでゆく現代では、との最下限を求めるとい

う形での「都市とは何かJという聞は答えるに困難念性質をもっている。

歴史、経済,社会,法律,行政、工学をはじめ、いづれの研究部門でも.

都市の属性については多くの研究題目をもョているが、地理学はその中でも 特に包括的な立場にあるようである。

都市と非都市を区別すべき条件については一つの指標では不充分であるζ

とは明らかである。地理学κ会いてもはじめ主として都市の形式的側面を取 b上げていたが、次第κ機能の側面に移行し、多〈の指標をとタ出すととに 左った。

(9)

都市というものは「大左D小なり計画的で、緊密払そしてはっきりした 核を中心Vて集った形式Orform Jをもった集落であるとするDorries, 

H.の考え(1930:Der gegenwarLge  Said der  SadEeograph1e,  Pet.  Mitt.,  Ergzgsh f.209, S.340)から、 「大集落で、経済、政 治、文化などをはじめ出来るだけ多方面的κ……ある領域の中での交通中心 と念っているものJであb、「その特徴的指標は、周辺から中心に向うにつ れて」増加してゆくとするよう左Bbeck(Bobeck, 1927., Grundfragen 

der  Stadgeograph1e, Geogr.  Anzeiger,  S.216)に移ってゆか ざるを得左い。

普通地理学で都市について、その特質と考えているととろを挙げてみると 次の如〈であろう。人口密度の高いとζろであるととOその内部にお轟いても、

又外部からの交通も頻繁であるとと。者肺には多くの機能が集っていて、それ が、近〈や叉遠くの外部を結び付け、それが自らを支え、叉外部に働きかけ るととに左る。多くの機能が集っているので、それ自身の内部に分化が生じ てくる。村落に比べると、建造物の人工的であるととが目立つし、又生活様 式も村落とちがって、都市的生活というものが認められる。都市は結局、周 辺の土地を含めての地域のインジクーターになっている。

以上の様左諸点を要約して、都市の必要条件として次の4つがあげられる (Klapper,  R.1956/57: Der  geographische  Sadbegriff, Gogr. Tasohenbuch, S.453‑61

一定の大きさをもっている ζと(人口)

2 ) 密集した住居、まとまった形 3 ) 都市的生活

) 中 心 性

ζ4つを必要条件として考えるととは大体vciiいて妥当であろうが し詳細に検討することに衣ると、いづれの場合にも問題を残している。

都市とよべるかどうかという小さなものにも様々あって、 ドイツでは小都

‑2‑

(10)

Klein‑Stad七とよばれるものもあれぽ、小人都市Zwerg‑Stad七ある いは村落都市Dorf‑Sadもとよんで互に区別されるものもある。又農村で は左いが、鉱業とか工業だけでか~bの人口をもっ所もあ夕、港町とか温泉 町とかのほか、巡礼都とか僧院都とかよばれる所も世界にはあって、とれら

の単一目的集落はいづれも都市と非都市の中間にある問題を設げかける。

又古〈は特権を君主から与えられて都市とされ、又は宗教的あるいは軍事 的に君主の居城として都市であったものが、衰微したpあるいは発展し念 いまま取b残されているものもヨ ロッノ之、アジアのみならず各地方に存在

している。

又それとは反対に農村地帯で中心機能をもち、都市的への移行を示してい る標左ものもアジアのみでなく多い。

との様た点から、完全左都市Vollenwioklte Sadも,前期あるい は早期的都市町r ‑ u. Frubs tadt,萎縮都市Kummerform en  e1ner 

Sad 左どを区別しようとするととも無意味では左〈念る。

との様に起源とかプロセスあるいは発展のステージを一応除外したとして、

先に掲げた4指標についていくらか補足してみ工う。

大きさ

ドイツでは人口2,00 0人以下を非都市的〔地方的共同体)とし、 2,00 0〜 

20,000人を小都市、 20,000100,000人までのものを中都市 100,000 以上を大都市と行政上定めている。それでも小都市という規定をうけるもの

の中には実質的には地方的共同体が多〈含まれる。ヨーロッパでは大体2,000

3,000人のととろに、 収アーバン とノレーラルの境を設ける国が多いカミ 人口稀薄なスウェーデンでは1,00 0人で既に都市的になるo

例外的左ものを挙げると、人口網密地方、例へばインドでは人口5,00 O 以下では殆ど都市の実質を備えるものはないし、人口の稀薄左地方では、例 へばアイスランドでは人口300人以下でも都市が存在するし、オーストラリ アで「タクンシップ」とよばれるものは、人口20人であっても住民は全て

‑3‑

(11)

非農業的であb、都市の原初形態というべきととろがある。どちらにしても 人口数を指標とすると甚だ不明瞭になる。

町村合併念どで一定人口を備えて、 アーバン の仲間入bをするものに は、実質的に地方的・村落的なところが多いのは日本でも同様であるoζ 様に行政的に定められた都市人口は、今日の日本では50,0 0 0人である。

とのよう念ととろからも、衝の形をとっている面積がやは払大きさの中の 一要素として考察される必要が生ずるが、とれが又取扱いにくい性質をもっ ている。

2 密集した住居、まとまった形

とれには、人口密度と建造物の密度が考えられる。人口密度について言え 1平方キロ当りの人口50 0人をもって下限とする仏、 0 0人を下限 とする米、 1, 03,00 0人(地方によタ異なるが)を下限とする独、2,500 人を下限とする英念ど欧米でも様々である。わが国では人口集中地区につい ていえば、 1平方キロ当タ 4,00 0人以上と規定している。

歴史や文化や地方その他の条件でとのように様々の数字が下限と左ってく るのである。

家屋密度で表わされる都市の密集性も同様である。英は25戸/ha,臼本 5戸/ha、米2戸/ha と甚だ差がある。それにしても周辺に対してみ るとか左b画然と凝集性を示すのではあるけれども、人口の多い村でも同様 の傾向を示すととがあるから.との指標も充分まものとは言え念い。ただ数 量的に取扱える矛jl点、はある。

3 ) 都市的生活

都市的生活というものは確にあるが、それを明確に表現出来るものは何か。

生産と消費が外部に依存する度合が高まるにつれて、殊に大都市になるほど、

都市的生活とよびうる現象は著しくなる。財貨やサービスの交換のための建 造物も多く左るし、住民の職業構成の上Kあらわれてもくる。

Raze lは(Razel,F.1891:Anhropog eographi e ,Zweir

‑ 4 ‑

(12)

Theil,  S. 296)最も早〈「都市的生活Jを都市の実質的念ものと見なし たが、しかしとれも大都市から小都市に降ってゆくと、どとから「都市的生 Jの本質的なものが消失するのか、「村落都市」とでも言われる嫌左農村 的な色彩の多い比較的大きい人口集団にはそれが認められないか、というよ

うな問題に念ると甚だ明瞭に念b難いものがある。

職業構成が都市的と村落的で異るととは確かであるし、とれは数量的κ 把握しやすい。 ζれを指標とする論拠は、農林業は自足的であるのに対して、

公務・商業・交通業は市場依存の性質をもち、都市と強〈結び付くというと とろにある。

公務・商業・交通業人口が10 %に逮すると都市的要求が満たされ初める といい、 2 5 %以上U仁左ると明瞭に都市的に念ると言われる。叉逆V亡、都市 では農林業従事者が10 %以下であると考えられる。

しかし、とれも、 f7!1的なものは多〈あるし、諸国」諸大陸にまで押ひろ げて一般に論ずるととは到底できない。

4 ) 中心性

中心性というのはクリスタラーによると、一つの町が周辺κ対して中心的 念財とサーピスを提供するととKよって持つに至る価値の剰余である(Chris‑

aller, 1933: Die zenralen  Ore in  Suddeuschland. との中心性というものカミ今日の地理学にとっては、彼が拾いて見せた中心 地(都市)のヒエラルヒーと共に、都市についての最も重要な指標売さと考え

られている。

彼が考えた中心地の性質の変化の段階は、 M(市場町) ‑ A  (役場所在地)

‑ K(郡中心地) ‑ B  (県中心地) ‑ G  (地方中心地)という移行であ払 とれは勿論大地方中心から次第に世界的左大都市にまで至る。ととろで、中 心地が都市的に念る最下限はというととを考えるに、 M(人口1,200)‑A 

(人口2,0)‑K (人口4,00 0)ーB(人口10,000)ー何人口30,000)と いう目盛タでは、彼はK(人口4,0 0 0 )のととろに求めているoとれに対

‑5‑

(13)

して多〈の研究が修正値を出しているが、国々によって異るのは当然である。

むしろ人口数陀意味があるというよh それによョて表示されている中心地 の性格とそのヒヱラルヒーの中で限界を提示しているととろにある。

以上の4指標は地理学にとって「都市とは何か」を考える上で、追求さオる るべき大き左問題であるが、そのいづれの場合Kも下限に関する普遍的左解 答はるbえ念い。いわゆる「小都市 jは叉別に一つの問題としての刺激と興 味をもっている。

I I

  研 究 問 題 と そ こ に 現 わ れ る 諸 概 念

都市地理研究が取上げてきた問題じ研究にむいて用いられる諸概念を一 瞥しむ各論の目次に代えるととにする。

1.  都市の自然的基礎:位置

都市ば地球上の位置.地形、地盤(地質〕、水、気候左どによってその成 立と発併を互に異Uてしてくるロ都市構築の形式と材料の問題もこれに係ると

}である。ぞれら<D'}f ものが結局、地形上の位置に集約される。との場 合、都市の位置はそれの占めている場所[>iteと.外部に対する位置siua

iolbて介けて考察される。

2.  都市の歴史的基礎

一定。時代、一定の地方に一定の特質をもった都市が波立する。それらは 停滞・衰微・荒廃するとともあるが、存続・発展・変化するものも多い。一 つの都市にも、地層と同じように互に異った時代の特質を帯びた部分が堆積

しているのだと考えるととも出来る。これは「時代相Jとよばれる。

3.  都市の機能と、機能より見た都市型

都市はそれぞれ外部に対して一定の意味をもって成立している(起源)。

(14)

都市の機能はいろいろの観点からとらえるととができる。中心地機能とよば れるものが基本的であるが、次に一応の基準をあげてみる。軍事機能;商業 機能;製造業機能;文化機能;リゾート機能;行政・政治機能;複合・変形 機能。都市のSiuaionはとの問題に関して大きな意味をもってくる。変 形・複合機能に関連しては Mropolisの問題も出て〈る。

4.  都市のプランと拡がり

位 置siteはプランにも大き念係タをもっo時代と地方と文化によって様 々なプランが見られる。直線状あるいは放射状の地割タゃ、囲郭をもつもの もある。地形に対するプランの適応や、プランの再編の問題もある。

都市の広さそれ自身のもつ問題もあるが.発展・拡大に伴う問題も多い。

多核的拡大、近郊、都市群とコナーペーション、メガロポリス、衛星都市左 どに関連して注目すべき事象が多くある。

5.  都市的生活

都市への集中というととが中核と在って、スペース(地価)の問題、都市 内部の僻迭の分化(垂直的変化を含めて〕を生む。都市の土地利用に関連し も工業地区・中心地域・住宅地区念どが自ら生ずるし 市民のムープメン トや輸送の問題、水と廃棄物に関連した諸問題も地理学的考察の対象であるO

都市人口に関しては性別・年令別構成や職業構成左どのもつ問題の他に、都 市生活と家族をはじめ、都市住民のビヘィピ7ーとかモピリティとよばれる 種類の問題がある。

6.  都市と地方

都市が外部に対して与えるものと受取るもの そのサービス(行政・医療・

娯楽その他)念ど.影響閣というものを生じてくる。文都市はいわゆる「中 心地Jとして、一地方に一定の距離を保って分散し、それぞれが集って一つ

(15)

のヒエラルヒーを構成する。都市の立地とよばれるとの種の問題に関連して、

エコノミック・ベース、ランク・サイズ・ルール、小売引力の理論.など 収社会物理学 と称される考え方と統計学的方法による公式化の問題が大戦 後の都市地理研究の焦点に左ってきている。都市成長、マークット・ポテン

シャJV輸送費に関連する諸研究はその一例である。

世界各地方における都市

都市という概念、は多種多様の内容を包含している。共通の尺度はまいのか と思われる程である。何よタも世界の地方と人種と文化の異ったととろにか ける都市の特質の把握がとに角必要である。アジアと北アフリヵ、アフリカ 中南音臥ヨーロタパとソ速、南北アメリカとオーストラリアなど甚だ大雑把 念集約にしても、都市の分析に再出発の拠点を与えて〈れる泉は豊かである。

〔野間三郎〕

‑ 8 ‑

(16)

各 説

1.  r都 市 の 位 置 」

ヘットナー Alfred He七回er( 1859‑1941)。ストラスプルクで地理学を 学び、 1882年以後南米各地を調査、 1894年ライブチヒ大学に赴 任、チュ{ピングンを経て 1898年ハイデルベルクに招かれた。

189 5年に彼の発刊した GeographEChe  Zohrif七 は 2次大戦の終bまで続き ドイツ及び世界の地理学界の中心的地 位を築いた。主著は

Geographie,ihre Geschiche,ihr wesen  und  ihre Mebode, 1927 

Grundzuge der  Landerkund  巴, 2Vol., 1907,  24 

Allgemeine Geographie  des  Menschen, 3Vol. ,1947,57,52  人間の緊落(都市)の発生(建設)の事情を考えるとすると その位置が 大きな意味をもっているととは明らかである。熱帯の高地、砂漠のオアシス 等生存の条件に強〈結びつくものの他.海岸や平地など活動の条件を規定す るものの他.様々の地理的要素が入閣の集団生活の場所選定に係っている。

ギリシャの古代以来ツキヂデス、ストラポ念どの歴史家をはじめ、地理学 者は様.qVt'.:都市についての記述を行ってきた。との「位置Jは常に彼等の大 き友関心であったが、それらは単念る記述に止夕、多〈は名所記であh の年表と年中行事にとどまるととが多かった。

都市に関する地理学的研究に科学的方法を与え、都市地理学に新らしい課 題を設定しようとして、ヘットナーは1895年の講演で、「都市の位置」

というテーマのもとに、都市地理学乃至は新らしい地理学を規定しようと試 みた。地理学VCi?ける都市研究の近代的発足点である。

(17)

「位置」は先づ自然であるが、都市の成立に関して、自然が規定するので もなく、人聞がすべてを定めるものでもない。歴史の進行に従って「位置J

も変化するが しかもそれは無法見JIでは左い。ラッシェルの大きな業績を 前提として、ヘットナーは地理学にbける都市研究の課題と方記長を、「位置J

を中心として展開を試みた所以である。

コール (Kohl,J.G.,1841:Der Vrkhr und die  Ansiedelungen)  が試みたものは、古来の都市の地理主主的研究の中で画期的なものであったが、

その特質は都市の一般論であれ位置について言えば地理的位置geograp‑

hische  Lageを考察したものであった。コールは都市成立の原因を考え、

政治、人事、物産左ど諸種の現象をとり上げた末、地表形を最も重視した。

地形が交通路に大き左影響をもち、それが都市の位置を左右するからである。

コーJレは交通を分析し(内部交通・外部交通・通過交通・境界交通等い とれらと都市の位置との関係を考えた上、更にとの法員JIを山と平野.高地と 低地、砂漠と湿地念どにあてはめ、そとから叉多〈の法員JIをとb出した。

とれは広〈世界について 交通を中心としてみた都市の位置に関する一般 論であb( geogrphisie Lag心、その場所と周辺のもつ事情が捨象さ れているという意味で七opographischLag f小地域的位置)の考察が 欠けているといえる。

トポグラフィカノレ1.i:位置についての考察も、 Hirschf'eld,G.(1884 ~ Zur  Typologie  griechischer  Ansiedlungn  im Alerum,H u.phil.  Aus'alze fur  E.  Ourus), Hahn,  F,G,(188S;D1e  Sad der  norddeuchen Tiefe b白日巴, Forschungen  zur  deuChn Landes  ‑und Volkskunde,  Bd.  1.  He f5 じowl,(1888~ Siedlungsaren in den Hochalpen,  Forschungen  zur  deutschen Landes  ‑ und Volkskunde,  Bd.11,  Hef6) などの考察がその口火を切って行われてきた。一般的に言って、世界的(グ オクラーフィツシュ)な考察は大都市に、 トボダラーフィツシュ(小地域的)

U

(18)

な考察は小都市vc用いられるが.後者は都市と都市の位置の関係を明らかに し、それを世界的考察に刺戟を与えるという性質をもっている。

然し、 ζれら二つの考察のみでは、都市の地理学的考察は全てとは言えぬ。

都市成立の条件を所与としてでは左心歴史的に変化し発展するものとして 捉える必要がある。

丁度植物の外部に対する適応、と伝播にみられるように、 ζれをグネティシュ

(発生論的) v亡、考察し との都市の生成・消滅・発展と外部条件の変化に も法則を求めねば左らぬ。 ζの点に関しては、文化段階(経済発展の段階)

によって異る居住人口の職業と生活事情の考察が必要に左る。しかもとれら は図式的考察に終るべきで左心歴史的に条件が変化すると共に生ずる都市 の変化の法則を 即ち外界に対する適応、を考える植物地理学(生態学)の方 法を都市地理学は方法とぜねば念らぬ。そう考えると 都市に対する地表の 影響を考えるのみで念仏都市の分布、 1:/0ち諸都市が互に作っているシステ

ムの考察が不可欠に念る。

ヘットナーは、 とのように後に出て〈るクリスタラーの研究の重要性を夙 に指摘した上で、個別都市の研究法、都市の一般的考察法に言及し、それら Glass 階級)とタイプと法具IJを求めるべきととを主張し、異った自然、

と歴史をもっ地方〔ランドシャフト)を都市の観点から考察し直すととを要 求しているoIAづれにしても、ヘットナーは都市の「位置」を論じて、都市 の発生条件の考察に終らず、都市のシステムの考察κ、その意義を与えたの であった。

〔 野 間 三 郎 〕

(19)

2.  rサイト』

プランシャーJ Raoul Blanchard (1877‑1965)。プラーシュ門下のフ ランス地理学者。 19 0 6年以来グルノープル大掌に職を奉じた。

「アルプス地理研究所」を設立し 「アルプス地理Revude G~ogr 乱phie Alpine j i誌を発干!Joフランス・アルプス (Le Alpes  Franc;aise,  1925〕、北米〔 dAm~rique du 

Nord , 1933)念ど多くの地誌を出している。本稿使用書は

, ,  

Une methode d geographie  urbaile,  L a V1  urbaine,  1922, p.301‑19,である。

都市に関して「三つの問題、従って研究が地理学者に謀せられるように思 われる。まず第ーは地理的要因の研究,自然的あるいは人文的オーダーの諸 要素の影響の下で、都市核が形成され、固定される。次いで とれらの地理 的要素から生れた組織が歴史的事件の衝撃の下で示す反応の研究。最後は地 理的 政治的要因と対峠する都市生活の現実形態の詳細左研究」(idib:302)

都市の成立、発展についての地理的要因を考えるにあたって、「とれらの 要素は一般的要素とローカル左現象と 2つの側面のもとで考察され左ければ

左らないように思われる。前者は全体の都市的枠組問dr11rbaind1&nsem‑

bleを機成してなb、都市の発生と発達の一般的理由を説明する。それは地 域のある点で都市が生きる機会と手段をもったととを説明するととろのもの である」 (ibid. :302‑303)。とれを「シチアシオン siuaionj 名づける。第2の要素は「都市が立地し、発達する上での景観の純粋にロー カノレ念特徴であタ」 (ibid303入とれを「シyト日工七巴」と呼ぶ。

都市の発達に寄与、あるいは阻害する地理的シチアシオンは多種多様であ る。地形、土地、気候、植生、水といった自然条件から、交通、交換位置、

原料資源、労働力所在や国境左ど人文的条件が関係する。とれらの諸要因は 常に一方向(プラスかマイナス〕に作用するものではなれ逆方向に作用ナ

4

(20)

るとともまれではない。

yトの要素は一般であるよb厳密念定義にかhわるもりであ夕、ある都 市が「シチアシオンが提供した要素から念ぜそのうちの一つを選択したかJ

の問題である。「その景観の中にある都市を位置ずける諸要素は特に自然念 ものphyai.qlleであDlbid. : 308)、シチアシオンでとタあげられた自 然的要素のローカル念条件がそれであるo

「シヅトやシチアシオンの性質は歴史的事件とともに価値を変えうるもの であb lbid. : 312) .第2の研究をする必要性がとLにある。

「時聞の中にかける研究の後、空間の中にbける研究がある。……どのよ う~仕方で‘どのよう左割合で地理的要因や歴史的事件の影響がそとに見出 されるか そとにζの研究で念された結果d!l'ductionsの真の証拠をみ るのでるる」( ibid.:315)

〔 野 沢 秀 樹 〕

z d  

(21)

3.  r都市地図j

ハッシンガー Hugo Hass lEr ( 1877‑1952),オーストリーの地理 学者。 A・ベンクに学び地形学に始まって、文化地理学、地誌研 究にと広い分野に活動した。都市地理学には早くから着手し、

9 1 0生存のウィーンの交通・都市地理研究以来ドイツの都市地 理研究をリードした。

今世紀前半のドイツに於る指導的な人文地理学者であった。主著は Die  geograplsche  Grundlagen der  Geschic he,

9 3 1 

都市に関ナる主要論文は、

Uber Aufgaben  der  Sdkundein  Petermann  Gogr. M工七七.'191 0 .(本稿引用)

Be lrage zur Ve rehrs ‑und Si edl ung sgeograph1 e  Wien E  in Mi七七. Geogr.  Ges.,  Wien, 1910. 

Berage :rnr  Sadgeogrphie von Wien  in  Geogr.  Zcht., 1933. 

社会変動が進み、都市自身の性質も、都市と周辺の関係も変化し、事長落一 般の変化が激しかったヨーロッパの二十世紀初頭に於て、それらの問題を明 確に図化する方法をハソシンガーは深〈追求した。

都市内部の住居についてみると、その家屋型については従来例外的のみが b上げられるにすぎ念かった。もともと都市に於ては 様々な家屋型が混 在しているのだし、様々な時代のものが併存している。従って現状を明らか にする方法と歴史をとらえる方法が必要に左る。都市の起源と発展は都市の 家屋型とその分布を明らかにするととによってもとらえられる。

ウィーンの家屋型についていえば、とれはニーダー・ザクセンの農家型か ら、その屋敷と家根型をうけついで、他をすてている。都市への 即ち狭い

(22)

空間への適合であ夕、都市内部のみで念〈、広〈地方全体の考察を必要とす

古くはドイツでも都市の家屋は木造であったが、石造に変ったのは交通が 地方を離れた遠方の資材を得るととを可能にしたものである。とのように地 方的左家屋型から解放されて 別の建築形式が入ョて〈るのは 都市に農民 が減少する段階から生じてきたのである。ドイツで都市から農民的色彩が消 えたのは大約19世紀半以来のとと そうして次第に都市の家屋がー緑化さ れ、無性格Vて左る。とれは文化のもつ平均作用と思われる。

との様に考えると、都市研究の為κは、とれまでからあった単純念市街図

(プラン)で念しに多くの工夫が可能に念る。

先づHanslik( Hanslik, E. : 1: 4560 • Biala, eine  deuChe Sadin  Glzien. W工en und Tes oh en 1908 .)が試みたように、

木造家屋と石造家屋を区別し、何階建かというととも区分けする。役所・教 会・学校友どの文化機関や工場を取出す。その他Uじ住居の経済上及び居住 上の目的による区別を試みる必要がある。つまb宮殿・別荘、郊外住宅、大 都市住宅、中心街家屋、店舗や仕事場と結合した住居、農家と都市家屋の折 衷形などである。

叉別の図には家屋成立の時期による年代区分を示す。とれにより都市の発 展とその新らしさが明に念夕、住居区と経済区の区分が可能に念って 都市

自身の生活過程が見られる。

勿論.家屋の他に道路もその発生によって分類して図化される、地形や水 普賢にしたがうもの 古い田舎道や城門や城壁通b衣どのよう念文化につら左 るもの、 ζれらを結ぶ二次道.以前のものを改訂する第三次道ともいうべき 貫通道.その他様々の第4類に入るべきもの念ど。

一都市のみで念〈、一地方の全都市についてその発生を明らかにする図も 重要である。ローマ都市、中世f曽院都市左どの如き発生の種類、温泉都市 交通結節都市、商業都市左どいう類の経済的要因を明らかにする記号を設け

(23)

更に都市の限界を明にする為瓜 Hnslikのとョた方法一ー自然生産物 と文化生産物が住居に与える相違に着目するととによって念しとげられる。

然し都市と村落の区別が次第に不明瞭になる社会変動の時代には、以上の 方法のみでは都市の限界をとらえるととは出来念い。大都市という仕事場に 日々動〈人口の終るところ、つまD交通限界が求められる必要がある。都市 では住民の経済的関心が求心的であ払村落では遠心的である。そして都市 内交通には大量輸送が求められるから 大量輸送の限界を都市の限界として 図示できる。

さらに、都市の図化を完全にする為V亡、彼は180O年 以 後 ド イ ツ に 生 じ た都市と周辺環落との関係の変化を考察しむその変化による現在の把握を 確実にする為に人口統計に多〈の改善を要求している。

一般に緊落についてはその経済型を明にするので念いと、現代に於ける都 市と村落の連続的性質はとらえにくい(H巴口ner'.1902

都市の経済的性格の研究は特に重要であるが、そのよう左研究には その基 民、として都市経済の地図イLが甚し〈重要に在る (Bobek, 1927; Grund‑

f'rgen  der  Stadtgeographie,  Geogr.  Anzeiger ,〕。今やそれ らに関する手段や方法は次第に充実しつLある。

〔 野 間 三 郎 〕

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