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粒体水分量の高周波特性に及ぼす影響(第二報)  ―tanδ, ε, および G について―

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(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

粒体水分量の高周波特性に及ぼす影響(第二報) 

―tanδ, ε, および G について―

著者 服部 耐吉

雑誌名 奈良学芸大学紀要

巻 7

号 2

ページ 105‑111

発行年 1957‑12‑15

その他のタイトル Effect of the Granule containing Water upon High Frequency Characteristics (II) ―On tan δ, ε and G―

URL http://hdl.handle.net/10105/4887

(2)

(105)

粒体水分量の高周波特性に及ぼす影響(第二報)

tang, 」蝣およびGについて

服 部 耐 吉 (工業教室) (昭和32年10月1日受理)

Taikichi I子ATTORI

Effect of the Granule containing Water upon High Frequency Characteristics CE〕

On tanS, s and G

1.緒

含水粒体は液相と同相との二相よりなり,その組成は比較的複雑であり,之が高周波電界中に あるときの誘電的性質については,固相‑相についてさえその誘電特性に対して一般的理論式が ないゆえ,含水粒体に関する十分なる解明は与えられていない。

無極性分子よりなる誘電体に就いては Clausius‑Mosottiの式があり,有桓分子よりなる誘 電体についてはDebyeの理論が有名である。またそれを拡張したKirkwoodは水の誘電率の 異常性に関して説明を与えている。さらにFrohlichは任意の液体のみならず固体にもあてはま

る一般的理論式を導いているが,含水粒体を構成する諸粒子間の相互作用,粒体吸着水と粒体面 との相互作用ならびに吸着水と間隙水との相互関係等が十分に明らかにされぬ限り,含水粒体の 場合に適用困難である。粉体吸着水に関して岩田・篠原両氏は等価二層誘電体の仮定の下にその 誘電性に関して報告されている。

本報告に於てほ,間隙水をも含んだ粒体に高周波電界を印加した場合,そのtan∂,誘電率5 ならびに実効コングクタンスGなどが周波数及び試料に加わるEE力によって如何に左右されるか, また試料と電極面との接触状態と含水量との関係について,誘電率,実効コソダクタンスなどの 測定に適当な条件を求め而して粒体中に含まれる水分もしくは粒体自身の何れが含水粒体の誘電 性により多く寄与しているかを調べ,周波数,試料の種類ならびに含水成分一定の場合に含水量

がtan∂, e, Gに与える影響を測定する。之は粒体電気水分計の基礎的研究の一環をなすもので ある。

2.測 定 方 法

試料として石英粒径l.Q‑0.5mm, 0.5‑0.25mmおよび砂粒径0.5‑0.25mmを用い,直径38mm の上下電極間に入れる。下部電極は固定し,上部電極は柄に螺旋ネデをもち之によって上下に可 動し,試料厚さを調節するO螺旋ネデの箇所に副尺を配し試料厚さt。を読む。使用周波数は0.5 MC‑50MCに亘り,前報に於けるより広い周波数帯城にわたって測定を行う。試料含水方法に

関しては,次第に水分量を増加して測定を行う場合と,飽和状態より水分量を減少させて測定を 行う場合とでは,倉水比‑G曲線はヒステL/Vス環線を画くから,本実験では含水量を漸増する

方法をとる。

(3)

(106)      服  部  耐

高周波電界中に於て電極試料間の接触面の性質は残充電現象による誘電損失,吸収現象ないし イオン伝導にもとずく誘電損失に影響を与え, tan首,誘電率,実効コソダクタタンスの値がそれ ぞれ変動する。また,電極試料直接接触の場合,低含水比に於て試料の固有抵抗値が小さくなり 誘電体としてよりも導体の性質を多分に帯びてくる。従って高含水比まで測定可能にするため, 試料と上下電極間に非透水性薄膜を挿入し,電極直接接触の場合と非透水性薄膜挿入の場合との tan合,ォ, G を比較測定する。後者の場合,当然誘電体組成は複雑になり挿入薄膜の影響が生ず るが,粒体吸着水のみの低含水比から間隙水を含む高含水比までの広範囲に亘っての変動状態を 知り得る利点がある。本測定に於てはQmeterに上下電極を接続し非透水性薄膜としてビニール 薄膜を使用する.さらに,試料中には多くの間隙があり,この間隙孔の大小によりて水分分布は 種々の状態を呈すから試料に圧力を加えることによって水分分布状態は当然異り粒体問の相互関 係も相異るから,加圧力の大さがtanS, s, Gに与ええる影響を調べ,これらの値がはゞ一定値 に近ずくまで試料を加圧し,その圧力の太さをすべての測定にわたって加える。かくすることに

よって周波数特性および水分量測定の場合に,試料の圧密不同による影響を除去しうる。試料に 加わる圧力は,定含水比,一定粒径の試料に於て,一定質量とれば試料厚さtwに逆比例するか らtcを以て示すことが出来る。

いま含水粒体を巨視的に一層の誘電体とみなせば,之に高周披電界を加える場合,誘電体損失 Wはよく知られている通り

(第 一 図)

W=a>C V2tan∂

にて示される.

(1)

ここに, Cは実効静電容量にして, Fは電極間に 加えられた交番電圧とする。

この場合には. (1)式に示す通り,誘電体損失は 周波数の増大と共にます。しかし,含水粒体は数多 くの形状の異った粒子と水よりなる小さなコソデソ チ‑を形成すると考えることが出来る。そして之等 のコンデンサーは完全なものでないから,小さな数 多くのIeaky conderser cD集合と考えれば,複合 層誘電体とみなし得るから,含水粒体を合有水の部分と粒体の部分とに分けて,その等価回路を第 1図に示す如き簡単な回路で代表させるO 同図に於て Rl t dはそれぞれ粒体の等価漏洩抵抗お よび等価静電容量とし> ^2> C2ほそれぞれ合有水の等価漏洩抵抗及び等価静電容量とする。然る 時は, Rlは他のリアクタンス分に比し極めて大であるから,之を無視すれば

nnrraー

coCf R召 2)

a)2CjC│ i?│+i?2CCi十C2)

で示される。

3.実験結果並びに考察 (i)試料圧締

石英粒径1.0‑0.5^甲の一定重畳(絶乾)をとり,それぞれ含水比     11.c にて試 料厚さtc,を変化する。 tcの同一値に対し含水比に応じて試料圧密は異るが,上記の条件下で含

(4)

粒体水分量の高周波特性に及ぼす影響(第二報        (107)

水比‑tan∂, s, Gの測定をも行う。周波数10MCにてピニ‑ル薄膜を用い, tzに応ずるG, e, taI】∂を測定した結果を第2図に示すo 含水iアo;に於ては, t*く0.96cmの範出でG, s, tan∂

共に一定値をとる。 t沼‑1.00‑0.95c?ォの間で特にtan∂は起伏を示す。即ち誘電体の不均一度 の甚だしいときは,その吸収現象は不安定で,粒体の配列状態が決定的要因をもつことがうかが われる。含水比5%及び11.c に於ては,それぞれ**<().93cmおよびt沈く0.95cmに試料の圧

tx (cm)

(第 2 図)

綿が梢々困難であった。之は前記 理由によるもので,両者とも e‑

曲線ははゞ平坦であるが圧縮大と なると梢々Sは減少傾向を示す。

而してこの傾向が含水比大なる方 が甚だしいことに関して,いま試 料を有極性誘電体とみなせば, Debyeの理論により分子分極の減 少を示す。またtan∂に関しては 含水比  11.c の場合ともに 圧縮大となるとはゞ一定債を保つ。

従って圧縮大のときは損失係数は 減少することになる。

さらに, Gに関しては,含水比 n.c 共に圧縮と共に増大 するが11.c に於ては勾配‑‑‑・定 であるのに対し,含水比5%では tTが0.95cm以上の範囲で可成り 激しく変動している。この事実は, この附近の含水比に於て粒体中の 水分分布が比較的不安定で,加圧によってその分布が急激にかわることによると考えられるO

試料に加わる圧力によってtan∂ s, Gの値は左右され,圧力大なるほどはゞ‑定借に近ずく から,圧力は大なることが望ましいが,含水量

大のときは圧縮する厚さに限定があるので以下 の実験には, t。‑0.95cmに一定に保って測定を 実施する。

(ii)周波数特性

周波数5 ‑50MCに亘って,石英粒径0.25‑

Q.^Tnm.を用い,周波数とtan∂ との関係を含水 比をパラメ‑タとして第3図に示す。この周波 数範囲内に於ては,周波数低下につれてtan∂

ほ増大する。

しかしながら,前述の如く複合層誘電体と考 A,その等価回路の式(2)が成立するとすれば 粒体に基づく等価静電容量より水に基づく等価

10   20   30   40   50

周波数CMC) (第 3 図)

(5)

(1州)      服  部  雨

静電容量は遥かに大きな債をもつから,

Cl≪Cl として, tan5を最大にする周波数は

L・・ご'V‑V*ご  ・3・、

にして,このとき

・tan 8〕‑az等妄!

c.f.".

(4)

なるtan∂の最大 が値存在する。含 水粒体の場合この 最大値はかなり大 きな値となるが, 測定結果によれば 石英粒径0.25‑0 ,5mmの場合に含 水比6%でtan∂

を最大にする周波 数は/‑0.9MCで ある。石英粒径0.

5‑1.0mmに於て ほ含水比6%では

∫‑1.0MC, ¥296 では1‑1.0‑0.5 MCの閏にtano の最大値が存在す

る。

0.1      1.0

周波数CMC) (第 4 図)

第4図は第3図と同じ試料により G, e,の周波数による変化を含水比をパラメータとして示 したもので, Gほ周波数の増大とともにますことは当然である。含水比6%では勾配ははゞ直線 的で周波数30MC以上で勾配はゆるやかになるに対し含水比12%に於て勾配の変動は図の多く甚 だしくなる。

告に関しては, G曲線と逆に周波数の増大と共にその値株減少しているO そして含水比高い方 がこの周波帯域中Eの値を大きく保っている。このことは粒体中の含水分がeに大きく寄与し ているからである。有極性誘電体に交番電界を加えたとき, Debyeの理論によれば

so     °

㌫丁す'JcoT soo+2

s= 1  , ,  1

㌫了す ja>v ‑

IBIBl十 日

(5)

こiで so, sooは(0‑0, a>‑‑のときの誘電率で, Tは緩和時間であるO

此の式によれば,誘電率eは周波数の増大にともなってeoさよりe∞‑と減少する,即ち周 波数がますと Cは減少することを示している。第4図に示した実験結果は上式の示すところと 一致している。

(6)

柾体水分量の高周波特性に及ぼす影響(罪二報

(109)

(in)含水量による影響

使用周波数一定のとき粒体含水量の多く なるに従い,等価回路に於けるR2とC2と がともに変動するからtanSの値に影響す るO また電極試料問にビニール薄膜を入れ た場合にはtan8 ‑含水比曲線は然らざる 場合に比し一層複雑なものになる。その実 験結果を第5図に示す。図中実線はビニー ル薄膜を使用した場合にして,点線は電極 試料直接接触の場合である。

実線については,周波数10MC及び15 MCにて石英粒径0.5‑0.1mmを使用した

( t

‑ O l x ) O U B l ァ

liC

含水比C%5 (第 5 図)

場合にして,両周波数に於て大体相似形の曲線を画き,含水比12%までほtan5ほ増大し,それ を超える含水比の範囲で曲線は波状且つ平坦となるo石英粒径0.25‑0.5サササの場合も同一含水比 に於けるtan∂の値ははゞ近似し,粒径の相異する場合には本実験に於てはtan∂の明確な差異 は殆んど認められなかったが,更に詳細な検討を要する.

砂については,石英に於けるよりtan∂の値ははるかに大きくなる。之に関しては(2)式を変 形すれば, Cl≪C2 として

忘‑coci+÷読 (6)

に於て,含水石英の固有抵抗値より含水砂粒の固有抵抗値の方が大きいから,砂のl/#2ほ小と

( f 1 9 ‑ ︒ I x ) D 脚

l

10

倉水比(形) (第 6 図〕

なり,同一含水比に於て両者のC2‑const とすれば(6)式よりtall∂は大となること によって説明できる。

さらに,第5図中の点線は, ∫‑10MCで 試料石英粒0.5‑1.Owォを直接電極に接せ しめて測定した結果にして,実線に比し極 めて急峻な勾配をもつ。含水比5%の箇所 で実線と交叉点をもち, 5%以下に於て損 失が少くなることを示す。

含水比とG及びCの関係についてビニー ル薄膜を用いた結果を第6図に,電極直接接 触の場合を第7図に示す。第6図は石英及 び砂0.5‑0.25'mnを用いた場合にして,両 者ともGは含水比に応じて顛著な増加を示 している。第7図は砂粒径0.25‑0.5mmを 使用した結果で第6図と第7図とに於てf

‑15MCを以て砂のGを比較してみるに, 同一含水比で,電極直接接触はビニ‑ル薄 膜使用に比し甚だ大きな値をもつ。全般的

(7)

(no) 服  部  耐 ‑̲こ王二

にf‑5, 10, 15MCに亘り砂および石英共通に上述の傾向を有している。ピニ‑ル薄膜の介 在はGの値を減少させることは当然であるが, tan∂のときと同様にG曲線の勾配は,薄膜の

ないときに比して急峻で含水量測定に際しては一層有利であるが,含水比7‑%%    粒種 によってこの含水比の限界は幾分興るが  「 にてGの測定が困難となるoよって電極直接接 触による方法は低含水比の場合のみに限定され,含水量多いときはビニ‑ル薄膜を旋周すること によって可成りの成果をあげうる。

(o s Ol x) O

含水比(形) (第 7 図)

なお第7図より判る如く,周波数高いときはGの 値が大きくなることに関しては,周波数特性曲線に 示される通りである。

第6図に示す如く,同一粒径の含水砂と含水石英とのeの値を比較すると,測定範囲の全含水 比に亘って,含水砂の方が同一含水比に於て大きな値をもつ。この現象は使用周波5MC, 10M Cおよび15MCすべてに見られ,さらにまた電極直接接触の場合にも同様にあらわれる。このよ

うに含水砂のGおよびeが含水石英より大きな値を有していることは,粒体自身の組成の相異に よるよりも含有水分の物理的ならびに化学的相異が大きく寄与しているためである。何となれば 試料絶乾状態でもGの値は周波数によって当然相異してくるが,第1衰    試料絶乾状態に てビニ‑ル薄膜使用しないときのEを示す    の如く,周波数の如何に拘わらず粒種の相異 によってCの値ほかあっていないからである。

なお,第1表に於て示される如く,粒径C.25‑0.5mmと0.5‑1.0‑‑サとで卓の値の相異が判然 とあらわれているが,この関係は絶乾および極く含水量の少い範囲内にて維持され,含水量多く なるに従い崩れてくる。このように粒径相異するときは, Gおよび前述のtan∂についてもeの 場合と同様で,このことに関してはさらにあらためて検討を要す。

また,同‑‑Aの粒種粒径で,含水量の増大に応ずるtan∂の変化に関して, (6)式により考察す ると,含水量の増大は当然1/‑R2が大となり,いま,含水量変化する場合にもC2が不変と仮定す れば, (6)式より tan∂ほ減少し実験結果と相反することになる。従って含水量変化する場合, C2の値も異り, R2の減少の割合に対応するC2の増大の割合がより大きくならなければならぬ。

水の誘電率の異常に大なることを併せ考えれば, C2の増大の顕著なことを説明出来る。

4.徳 fed

以上,含水粒体に高周波電界を印加したとき,周波数,試料圧縮,含水量および粒体種類が tand,告, Gに及ぼす影響を調べた。

(8)

粒体水分量の高周波特性に及ぼす影響(罪二報) (Ill)

周波数に関して tan5ほ比較的低い周波数にて最大値をもち,それより高周波数になるに従 いtan∂の値は低くなるが,一般にその値は大きいO 而して/‑tan∂の関係は複合層誘電体と 定性的に一致するo G及び8に関して,その周波数特性は全く相反する勾配をもつQ

式日に如蝣}?るl¥. !Jによって測'蝣」佃ま丁 刺し, ri;‑'j iくにな蝣6にi'tい実拙ま甘蝣1/Lはゞ‑‑一定帖こ.近 づくを以て,測定に際しては許される限り加圧力の大なることが望ましい。なおこの変動率は含 水量に関係し,多含水量はど大となる。非透水性薄膜を試料電極間に使用することによって高含 比まで測定可能になる。然し低含水比の場合には,電極直接接触によれば同一の含水量差に対し てJtand, As及びAGは大となる。含水量は全般的に影響を与え,特にeおよびGの値は之に 左右される。また,含水粒体は有極性誘電体の性質を有し,粒種相異するときほ粒体白身の組成 の相異によるも含有水分による影響が大きく寄与している。

最後に,有益な御助言を頂いた北海道大学工学部三浦助教授に深謝すると共に,測定・計算に あたった大矢博君に謝意を表す。

参 考 文 献

H‑ Frdhlich Theory of Dielectrics (1949) 藤蝣'tii'J│J吉・大鳥市hi    貯j‑'会淋鼠論tr L胴蝣fl!28ヽ 岩田幸二.簾原卯蓄   電学会誌 第77巻 第827号(昭和32)

服部耐富        奈良学大紀要 第5巻 第2号 (昭和30)

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