はじめに
本プロジェクトでは, 小鹿野地区, 上福岡地区の埼玉県内2地区を取り上げ, 福祉コミュニ ティ形成に関して比較検討を行うことを目的としている。 小鹿野地区は, 埼玉県の西北部に位 置し, 東は秩父市に隣接する。 地形としては, 町の85%が山林であり, 平坦地は15%であるこ と, また町が吉田町・両神村に挟まれたひょうたん型をしていることも特徴的である。 人口は 減少傾向, 高齢化が著しい町である。 一方の上福岡地区は, 埼玉県西南部に位置し, 面積6.81 ではあるが, 鉄道など交通網の整備に伴い, 首都圏への通勤・通学圏として, 人口密度の高 い市である。 人口動態としては平成4年を境に減少傾向に転じ, 高齢化も年々進んでいる。 両 地区は過疎化の進んだ山間部と首都圏通勤圏内のベッドタウンとして発展してきた都市部の対 照的な地区であるが, ともに住民主体の活動を基盤とした, 地域福祉活動が盛んに行われてい ると考えられること, また同様に高齢化が進んでいるということなどから鑑みて, 山間部と都 市部に共通する福祉コミュニティ形成にかかる基本事項を見出すことが出来るのではないだろ うか。
本稿では, 山間部である小鹿野地区の福祉コミュニティ形成に大きな役割を担っていると考 えられる 「民生委員」, 「ボランティア」, 「保健補導員」 について, その活動の実際と活動に対 する意識について, 調査の結果をもとに検討していくとともに, 福祉コミュニティの形成との 関連においてどのような役割・効果があるかについて整理していきたい。 ここで取り上げる3 つの担い手のうち, 特に保健補導員活動は小鹿野町の特徴的なものである。 小鹿野町は1983年 (昭和58) に国のヘルスパイオニアタウン事業地区に指定されて以来, 生活習慣病予防に力を 入れており, 1985年 (昭和60) には小鹿野町全地域で保健補導員制度が創設された。 この保健 補導員は健康づくりの地区リーダーとして位置づけられている1)。 また, 小鹿野町は少子高齢 化が進む中, 地域住民一人ひとりに対応した生活全般の一元的な行政サービスを進めるため, 国保町立中央病院を中核として保健・医療・福祉サービスを一体化させた 「地域包括ケアシス テム」 の確立や, 町民の声を反映させた町民参加型のまちづくりに取り組んでいる2)。
調査の方法は, ボランティア及び保健補導員については, 質問紙による郵送・自計式, 民生
3 担い手による活動と意識
*森 下 陽 美**
*Activities and Consciousness of Minsei-iin, Volunteers and Hoken-hodoin
**Harumi MORISHITA (立正大学社会福祉学部社会福祉学科)
キーワード:福祉コミュニティ, 民生委員, ボランティア, 保健補導員, 町民参加型のまちづくり
委員についてのみ, 集合調査により実施した。 調査期間は2003年7月〜8月であった3)。
1. 担い手の活動の実際
まずここでは, 民生委員, ボランティア, 保健補導員それぞれの活動がどのようであるか, 活動年数, 活動時間の二つの側面から整理していく。
活動年数
民生委員の活動年数は, 「3年未満」 が15名と調査対象者の約半数の48.4%を占め, 次いで
「3〜6年未満」 が約3分の1の29.0%, 「6〜9年未満」 が16.1%と続く。 民生委員の任期が 1期3年ということから, 現在の民生委員は1期目ないし2期目の者が多数を占めていること がわかる。 一方で9年以上民生委員を務めている者が2名となっている (表3−1)。
ボランティアの活動年数としては, 「5年〜10年未満」 が31.2%, 次いで 「10年以上」 が26.0
%となっており, 回答者の半数以上が5年以上という比較的長い期間, 活動に参加している。
また 「1年〜3年未満」 及び 「3年〜5年未満」 を合わせると37.7%と, 新たにボランティア 活動をはじめている人も少なくない (表3−2)。
保健補導員については, 「1年未満」 が46.2と約半数を占め, 次いで 「1年〜3年未満」 が3 2.7%で, 両者をあわせると78.9%と全体のおよそ8割にのぼる。 このことから, 特定の住民 が長い間担当するというのではなく, およそ1年〜3年のサイクルで多くの住民が役割を担っ ていると考えられる (表3−3)。
これら三者を比較した場合, 民生委員, 保健補導員は活動年数が比較的短い者が多くなって いるのに対し, ボランティアについては長期間活動を行っている者の割合が多い。 このことは, 民生委員や保健補導員は地域において住民相互に分担し合う役割のひとつとして位置付けられ ているのに対し, ボランティアについては自発的活動であるため, 任期もなく, 継続して活動
表3−1 民生委員の活動年数
( ) 内は%
3年未満 3〜6年未満 6〜9年未満 9〜12年未満 12年以上 合 計 実数 15(48.4) 9(29.0) 5(16.1) 1(3.2) 1(3.2) 31(100.0)
表3−2 ボランティアの活動年数
( ) 内は%
1年未満 1年〜3年未満 3年〜5年未満 5年〜10年未満 10年以上 無回答 合 計 実数 1(1.3) 15(19.5) 14(18.2) 24(31.2) 20(26.0) 3(3.9) 77(100.0)
表3−3 保健補導員の活動年数
( ) 内は%
1年未満 1年〜3年未満 3年〜5年未満 5年〜10年未満 10年以上 無回答 合 計 実数 48(46.2) 34(32.7) 10(9.6) 8(7.7) 1(1.0) 3(2.9) 104(100.0)
している者が多いと考えられる。
活動時間
まず, 民生委員の1週間の平均活動時間についてみてみると, 6割を超える者が 「5時間未 満」, 次いで 「5〜10時間未満」 が29.0%と約3割を占めている。 わずかではあるが, 1週間 に 「10時間〜20時間未満」, 「20時間以上」 と回答した者もおり, 多くの時間を民生委員活動に 当てているケースもあることがわかる (表3−4)。
ボランティアについては, 1ヶ月の活動時間について尋ねているが, 最も多かったのは 「半 日〜1日未満」 の31.2%, 次いで 「半日未満」 が22.1%, 「1日〜3日未満」 が18.2%と続く。
この結果から, 回答者の多くは, ボランティア活動に参加しているものの, 1ヶ月の中でも活 動にあてられるのは, 半日から3日程度のごくわずかな時間であるといえる (表3−5)。 一 方, 平均すると週に1日以上の時間をボランティア活動に当てていると考えられる 「5日〜10 日未満」 及び 「10日以上」 の回答者は全体の6.5%にとどまっていることから, ボランティア 活動やグループの運営を中心的に行っている少数のメンバーを中核に, 他のメンバーは生活の 中で無理のない程度で, 自分の自由となる時間をボランティア活動にあてていると考えられる。
保健補導員の1ヶ月の平均活動時間は, 「半日未満」 が50.0%, 「半日から1日未満」 が28.8
%となっている。 1ヶ月の活動時間が1日を越えると答えた者は1割にも満たない。 これらの ことから, 実態的な保健補導員の活動としては, 1ヶ月に1日ないし数日程度, 1日あたり数 時間の活動となっていることがわかる (表3−6)。
活動時間については, 3つの担い手のうち, 民生委員の活動時間は他の2者に比べて長くなっ ている。 このことは, 民生委員の活動が, 地域における要援護世帯の生活状況の把握や, 福祉 ニーズをもつ住民からの相談に応じる身近な窓口として機能しているなど, 自らが地域住民の
表3−4 民生委員・1週間の平均活動時間
( ) 内は%
5時間未満 5〜10時間未満 10〜20時間未満 20時間以上 合 計 実数 19(61.3) 9(29.0) 2(6.5) 1(3.2) 31(100.0)
表3−5 ボランティア・1ヶ月の活動時間
( ) 内は%
半日未満 半日〜
1日未満
1日〜
3日未満 3日〜
5日未満 5日〜
10日未満 10日以上 無回答 合 計 実数 17(22.1) 24(31.2) 14(18.2) 8(10.4) 4(5.2) 1(1.3) 9(11.7) 77(100.0)
表3−6 保健補導員・1ヶ月の平均活動時間
( ) 内は%
半日未満 半日〜1日未満 1日〜3日未満 5日以上 無回答 合 計 実数 52(50.0) 30(28.8) 9(8.7) 1(1.0) 12(11.5) 104(100.0)
生活に目を配ることが役割と捉えられているとも考えられ, 活動時間に反映されているといえ よう。
また, 保健補導員活動は保健センターを中核となって行われる地域の健康づくりの一環とし て位置付けられており, この活動を通して, 地域住民が保健事業推進の一端を担っている。 し かし, この活動については健康づくり, すなわち予防的取り組みであると考えられ, 民生委員 と比較するとやや緊急度が低いともいえる。 このことから, 実際の活動については, 短時間と なることが考えられるが, このような活動に地域住民が参加することにより, 住民相互の健康 づくりへの関心を高め, また町の保健事業への理解を深めることにつながっているといえるだ ろう。
一方ボランティアについては, 先の項目において活動年数が比較的長い者が多いことがわかっ たが, 継続的に活動は続けているものの, 実際の活動時間については, 決して長くはないよう である。 このことは, ひとつには長く活動が続いている要因として, ボランティア各自が無理 なく, 過剰な負担感のない程度に活動に参加していること, また活動に積極的に取り組みたい と考えていても, ボランティアをしたい者とボランティアを必要とする者がうまく結びついて いないという可能性も示唆しているのではないだろうか。
2. 担い手の活動に対する意識
ここでは, 担い手それぞれの活動についてのどのような意識のもとに取り組んでいるのかを, 活動をはじめた動機, 各自の活動への取り組みの評価, 活動をしていてよかったこと, 活動に おける悩みという側面から検討していく。
活動をはじめた動機
「民生委員になった動機」 についての結果は表3−7のとおりである。 全体の約半数の48.4
%が 「強い勧めを断りきれなかった」 と回答しており, 周囲の人に勧められて, 民生委員を引 き受けた者が多いことがわかる。 またその一方で, 「困っている人の助けになりたかった」 が 25.8%, 「社会福祉に関心があった」 が16.1%と続いている。 このことから, 民生委員につい ては, 周囲に勧められたという比較的消極的理由の者と, 「困っている人の助けになりたい」,
「社会福祉に関心があった」, 「自分の力を社会に生かしたい」 など, 積極的動機から活動に参 加している者に二分されていることがわかる。
ボランティアについては, 「身近に活動グループがあった」, 「友人・知人からの紹介」 が同 表3−7 民生委員になった動機
( ) 内は%
困っている人の助け になりたかった
社会福祉に関心 があった
自分の力を社会 に生かしたい
強い勧めを断り
きれなかった その他 合 計 実数 8(25.8) 5(16.1) 2(6.5) 15(48.4) 1(3.2) 31(100.0)
数で, ともに31.2%と最も多い。 「友人・知人からの紹介」 が多いことは, ボランティア活動 の展開において, 地域相互のつながりが, 活動の輪を広げることにつながっていると考えられ る。 また, 身近に活動グループがあるということは, ボランティア活動が生活の中で身近に感 じられ, 気軽に活動をはじめることへとつながるようである。 続いて回答が多かったものは,
「自分の力を社会に生かしたい」 18.2%であった。 このことから, ボランティア活動を通して 地域や社会に貢献したいという, 積極的動機から活動をはじめた者も少なくないといえる (表 3−8)。
保健補導員対象者については, 85.6%が 「地区で選出されたから」 と回答しており, 大半が 地区で選ばれ, 引き受けたというケースが一般的である。 また, わずかではあるが, 「健康づ くりに関心があった」, 「地区の人から誘われて」 という動機から保健補導員になった者もいる。
この結果から, 保健補導員は住民自らが進んで引き受けたいというものではなく, 地域のつな がりの中で, 地区で選出されたり, 地区の人に誘われたりなどの理由から引き受けることが多 いと言える (表3−9)。
活動をはじめた動機としては, 保健補導員については他の2つの担い手群と違い, 8割以上 の者が 「地区で選出されたから」 と回答していることが特徴的である。 このことから, 保健補 導員活動が, 自発的に自ら担う役割というよりも, 地域の中で持ち回りのような形で担当する ものである, と捉えられていると推察される。 一方民生委員については, 同じく地区で選出さ れる役割であるといえるが, その動機としては同様に周囲の勧め, という割合が多いとはいえ, 困っている人の助けになりたい, 社会福祉に関心がある, などの積極的動機によって, 委員と なっている者の割合も少なくないことが明らかになった。
また, ボランティア活動については, 友人・知人を窓口にして, あるいは身近な活動グルー プを窓口にして活動に参加するようになっている者が多く, 近所づきあいの延長線上のような 形で, 大げさなものではなく, 生活に身近なものとして活動が捉えられていると考えられるだ ろう。
表3−8 ボランティア活動を始めた動機
( ) 内は%
自分の力を 社会に生か したい
身近に活動 グループが あったから
活動内容に 魅力を感じ た
ボランティ ア講座に参 加して
友人・知人 からの紹介
余暇時間の
充実のため その他 無回答 合 計 実数 14(18.2) 24(31.2) 7(9.1) 2(2.6) 24(31.2) 2(2.6) 3(3.9) 1(1.3) 77(100.0)
表3−9 保健補導員になった動機
( ) 内は%
健康づくりに 関心があった
地域社会の役に 立ちたかった
地区の活動が 楽しいから
地区で選出さ れたから
地区の人から
誘われて その他 無回答 合 計 実数 5(4.8) 1(1.0) 1(1.0) 89(85.6) 4(3.8) 1(1.0) 3(2.9) 104(100.0)
活動への取り組み
活動の取り組みについては, 積極的に取り組んでいるか, もしくは参加・協力をしているか について尋ねた。
民生委員の場合, 「あなたは民生委員の活動に積極的に取り組まれていますか」 という問い に対し, 「やや積極的である」 と 「やや消極的である」 と答えた者がともに38.7%であった。
「積極的である」 と 「やや積極的である」 をあわせると58.1%, 「やや消極的である」 と 「消極 的である」 をあわせた41.9%を上回っており, 活動に積極的に取り組んでいるものが多いこと がわかる (表3−10)。
ボランティア活動については, 「ふつうである」 と答えた者が最も多く37.7%を占めるが, それに次ぐ回答は 「積極的である」 および 「やや積極的である」 がともに20.8%となっており, 全体の約4割が積極的にボランティア活動に取り組んでいると答えている。 ボランティア活動 が, 自主的な活動であることから考えると, 積極的に活動に取り組む人が多いことは当然であ るといえる。 しかし一方で, 「やや消極的」 が6.5%, 「消極的である」 が11.7%の回答となっ ていることは, 着目すべき点であるといえよう (表3−11)。
また, 保健補導員では, 回答者の4割が 「ある程度している」 と答えており, 「よくしてい る」 を合わせると57.7%となった。 半数以上が活動への参加・協力をしていると考えていると いえる。 しかし, 「よくしている」 が17.3%, 「あまりしていない」 が20.2%, 「ほとんどして いない」 が19.2%と大きな差がないことから, 保健補導員活動への参加・協力についての認識 にはばらつきがあると考えられる (表3−12)。
活動への参加・協力については, 3つの担い手群において, やはり異なる傾向が見られた。
民生委員については, 積極的と捉えている者と消極的と捉えている者に二分されている。 周囲 からの勧めで活動を開始した者の割合が多かったことから考えると, この役割を引き受けるに
表3−10 民生委員活動に積極的に取り組んでいるか
( ) 内は%
積極的である やや積極的である やや消極的である 消極的である 合 計 実数 6(19.4) 12(38.7) 12(38.7) 1(3.2) 31(100.0)
表3−11 ボランティア活動に積極的に取り組んでいるか
( ) 内は%
積極的である やや積極的である ふつうである やや消極的である 消極的である 無回答 合 計 実数 16(20.8) 16(20.8) 29(37.7) 5(6.5) 9(11.7) 2(2.6) 77(100.0)
表3−12 保健補導員の活動への参加・協力について
( ) 内は%
よくしている ある程度している あまりしていない ほとんどしていない 無回答 合 計 実数 18(17.3) 42(40.4) 21(20.2) 20(19.2) 3(2.9) 104(100.0)
あたり, 受動的ではあったとしても, 責任感をもち活動に参加している者が多いといえるだろ う。
同じく保健補導員についても, 8割の者が地区の選出で引き受けた役割とはいえ, 4割の者 がある程度活動に参加・協力していると答えており, この点については, 民生委員と類似した 傾向であると言える。 しかし一方で, あまりしていない, ほとんどしていない, という評価を している者を併せると全体の約4割となっている。 このことは, 実際活動にあてる時間が短い こと, また地区の持ち回り的な役割として捉えられているとすれば, 現在果たしている役割や 仕事に対する認識のばらつきが背景にあると考えられる。
ボランティアについては, 自発的な活動であるにもかかわらず, 取り組みに関する評価とし ては, ふつうであるというものが最も多くなっている。 これは, ボランティア活動が特別なも のではなく, 生活の中の自然なものとして位置付けられているということであるといえるだろ う。 一方, 活動にやや消極的, 消極的であると評価している者の割合も2割近くとなっており, グループには所属したものの, 意欲的な活動に結びつかないメンバーもいることが明らかになっ た。
活動から得た手ごたえ
3群の担い手に対し, 活動から得た手ごたえとして, それぞれに 「活動をしてよかったこと」
について尋ねた。 それぞれの結果は表のとおりである (表3−13, 表3−14, 表3−15)。
まず民生委員については, 「福祉についての知識が身についた」, 「困っている人の力になれ 表3−13 民生委員の活動をしてよかったこと
( ) 内は%
社会の見方が広 がった
福祉についての知識 が身についた
人間関係が豊か になった
困っている人々 の力になれた
住民の福祉への関心
が高まった 合 計
実数 5(16.1) 9(29.0) 3(9.7) 9(29.0) 5(16.1) 31(100.0)
表3−14 ボランティア活動をしてよかったこと
( ) 内は%
社会の見方 が広がった
人間関係が豊 かになった
困っている人 の力になれた
社会・地域のた めに役立つこと ができた
福祉についての 知識が身につい た
その他 無回答 合 計
実数 8(10.4) 41(53.2) 4(5.2) 13(16.9) 9(11.7) 1(1.3) 1(1.3) 77(100.0)
表3−15 保健補導員の活動をしてよかったこと
( ) 内は%
健康づくりに役立つ 新しい知識を得るこ とができた
人間関係が豊かになっ た
地域の人の役にたつ ことができた
楽しい集いの場がで きた
実数 23(22.1) 21(20.2) 9(8.7) 19(18.3) 4(3.8)
地域の関心が増した 社会の見方が広がった その他 とくにない 無回答 合計 実数 8(7.7) 2(1.9) 1(1.0) 14(13.5) 3(2.9) 104(100.0)
た」 がともに29.0%と最も多く, 次いで 「社会の見方が広がった」, 「住民の福祉への関心が高 まった」 がやはり同数で16.1%となった。 「人間関係が豊かになった」 と答えた者は, 9.7%と 最も低かった。
ボランティアでは, 「人間関係が豊かになった」 が最も多く, 回答者の半数を超える53.2%,
「社会・地域のために役立つことができた」 が16.9%, 「社会福祉についての知識が身についた」
が11.7%, 「社会の見方が広がった」 が10.4%と続いている。 「困っている人の力になれた」 は 5.2%にとどまった。
「保健補導員保健補導員の活動をしていてよかったこと」 については, 「健康づくりに役立 つ」 が22.1%, 「新しい知識を得ることができた」 20.2%, 「地域の人の役に立つことができた」
18.3%と, 3つの回答がそれぞれ20%前後とほぼ同じような割合を占めている。 一方で, 「特 にない」 が13.5%と先の3つの回答に続き多くなっており, 活動を通じて手ごたえを得られて いないと感じている者が少なくないことが指摘できる。
3つの担い手群について共通するものとしては, 「困っている人の力になれた」, あるいは
「地域の人や社会の役に立つことができた」 という回答である。 民生委員については約3割, ボランティア, 保健補導員については約2割がそのように答えている。 また民生委員, 保健補 導員に関しては, 「福祉に関する知識が身についた」, あるいは 「新しい知識を得ることができ た」, がそれぞれ約3割と約2割となっており, これらの役割を担うことで, 福祉や保健につ いての知識が身に付くと捉えられているようである。
特徴的なものとしては, ボランティアの 「人間関係が豊かになった」 である。 他の2つの担 い手群は10%未満の回答にとどまったが, ボランティアについては全体の約半数が回答してい る。 このことは, ボランティアを始めた動機も住民のネットワークが基盤となっており, とも に活動を行うというグループを通じての新たな人間関係の広がりや, ボランティアを必要とす る人と出会いなどから, このような回答につながっていると考えられる。
活動における悩み
3つの担い手群が, その活動を通じて様々な手ごたえを得ていることがわかったが, 一方で どのような悩みを抱えながら活動を行っているのかについて尋ねた。
その結果, 民生委員では 「仕事や責任が増えて負担を感じる」 が35.5%と最も多かった。 し かし, 次に多かったのが 「とくにない」 の25.8%ということも着目できる点である。 民生委員 という役割を担うことで, 負担感を感じる者が多い反面, 全体の4分の1は特に大きな悩みや 困りごとを抱えることなく, 委員の仕事に取り組んでいるのが実情のようである (表3−16)。
ボランティア活動における悩みとしては, 「活動時間の確保が難しい」 が28.6%と最も多く,
「活動への参加者が少ない」 が20.8%, 「活動に必要な知識や技術の不足」 が16.9%となってい る (表3−17)。 このことから, 現在ボランティア活動を行っているものの, それにあてる時 間や, 活動に参加できる人の確保が大きな課題であることが考えられる。 また 「地域の協力や 理解が得られない」, 「家族や職場の理解が得られない」 と回答した者が少ないことから, 活動 に参加している者の周囲の理解は良好であると推察できる。 さらに, ボランティア活動が自主 的な活動であるという視点に立つならば, 他の担い手と異なり, 仕事という義務感が少なく, 自由意志により活動をコントロールできるとも考えられ, 「特にない」 という回答が16.9%に のぼることも納得できる。
「保健補導員の活動をしていて困ったこと・悩み事」 としては, 「地域の参加者が少ない」
が25.0%, 「活動の時間が取れない」 19.2%, 「どう活動してよいかわからない」 15.4%であっ た (表3−18)。 このことから, 保健補導員として, 地域住民の健康づくりをすすめるための 役割を担っているにもかかわらず, 住民の参加が得られないというジレンマや, 委員自身の時 間が取れないという制約, また委員を引き受けてはいても, どのように活動すればいいのか迷 いを感じながら活動を行っているなどの現状が明らかになった。 しかし一方では, およそ4分 の1の者が 「特にない」 と答えている。 このことは, 「保健補導員の活動年数」 が 「1年未満」
で, かつ1ヶ月の活動時間も半日, ないし1日程度の者の者が多く, またその大半が 「地域で 選出された」 という理由で保健補導員になったという背景からすれば, 保健補導員として決め られた役割を淡々と果たしている, またその仕事を自分の役割として主体的に行おうという意 識が育っているか否か, さらには活動期間が浅いことにより, 大きな悩みにぶつかることが少 ないなどが背景として考えられるのではないだろうか。
表3−16 民生委員の活動をしていて、 困ったこと悩み事
( ) 内は%
行政や社協 との連携が 弱い
住民の被援護 世帯に対する 偏見の強さ
地域の協力 や理解が得 られない
仕事や責任 がふえて負 担を感じる
自分の手に負 えない難しい 問題が多い
その他 とくに
ない 無回答 合 計 実数 1(3.2) 2(6.5) 4(12.9) 11(35.5) 3(9.7) 1(3.2) 8(25.8) 1(3.2) 30(100.0)
表3−17 ボランティア活動をしていて困ったこと・悩み事
( ) 内は%
地域の協力や理解が 得られない
家族や職場の理解が 得られない
活動時間の確保が難 しい
活動に必要な知識や 技術の不足
人間関係が煩わしく なった
実数 2(2.6) 1(1.3) 22(28.6) 13(16.9) 2(2.6)
活動への参加者が少ない 社会福祉協議会との連携が弱い その他 特にない 無回答 合 計 実数 16(20.8) 1(1.3) 1(1.3) 13(16.9) 6(7.8) 77(100.0)
ボランティア, 保健補導員について, 「活動時間の確保が難しい」, 「活動時間がとれない」
というのが, それぞれ28.6%, 19.2%となっており, 共通した悩みとなっているようである。
このことから, 実際の活動時間よりも, 活動により多くの時間を充てたい, と考えている者が 多いといえるだろう。 また民生委員の 「仕事や責任が増えて負担を感じる」 は35.5%であるの に対し, 保健補導員の 「やることや責任が増えて負担を感じる」 では1.9%と相反する結果と なった。 民生委員についてはより負担感の多い役割であると捉えられているようである。 この ことは, 実際の活動時間の比較からも言えることであろう。 一方の保健補導員は, 負担感とい うよりも, 「地域の参加者が少ない」 や 「どう活動してよいかわからない」 が大きな悩みであ り, 自分の役割をどのように果たしていけばいいのか悩みながら活動をしている様子がうかが える。
3. 担い手の活動の意義
「2. 担い手の活動に対する意識」 において, 民生委員, ボランティア, 保健補導員それぞ れの担い手が, 個々にどのような意識の下に活動を行っているかを把握することができた。 こ こでは, それぞれの担い手が, 小鹿野町の民生委員, ボランティア, 保健補導員の行う活動に ついてどのような意義があると捉えているのかについて整理を行いたい。
活動の評価
民生委員, ボランティア, 保健補導員のそれぞれの活動が活発かどうかについて尋ねたとこ ろ, 表3−19のような結果となった。
民生委員, ボランティアについては類似した傾向が示された。 ともに 「そう思う」 と回答し た者が61.3%と59.7%と最も多くなっており, 活発であるという評価をしている者の方が多い。
特に民生委員については, この傾向が顕著であり, 「大変そう思う」, 「そう思う」 を併せると 87.1%で, 「そう思わない」 と答えた者はいなかった。 しかし, 保健補導員については, 他の
表3−18 保健補導員の活動をしていて困ったこと・悩み事
( ) 内は%
活動の時間がとれない 活動がマンネリ化しがち 地域の参加者が少ない やることや責任が増え負担を感じる
実数 20(19.2) 5(4.8) 26(25.0) 2(1.9)
人間関係が煩わしくなった どう活動してよいかわからない その他 特にない 無回答 合 計 実数 3(2.9) 16(15.4) 2(1.9) 27(26.0) 3(2.9) 104(100.0)
表3−19 民生委員・ボランティア活動・保健補導員の活動は活発か
( ) 内は%
大変そう思う そう思う あまりそう思わない そう思わない 無回答 合 計 民 生 委 員 8(25.8) 19(61.3) 3(9.7) 1(3.2) 31(100.0) ボランティア 13(16.9) 46(59.7) 13(16.9) 2(2.6) 3(3.9) 77(100.0) 保 健 補 導 員 4(3.8) 24(23.1) 51(49.0) 22(21.2) 3(2.9) 104(100.0)
2つの活動とは異なる結果となった。 全体の約半数の者が 「あまりそう思わない」 と答えてお り, 「そう思わない」 の21.2%を合わせると, 約7割が活発であるとは捉えていないことが明 らかになった。
この項目についても, 保健補導員については, 他の2つの担い手群に比べ異なる傾向を示し た。 保健補導員自身の活動への参加・協力についても, 全体のおよそ4割があまりしていない, ほとんどしていないと答えていたり, 活動上の悩みにおいても, 地域の参加者が得られないと いうことを全体の4割があげていたりと, 保健補導員活動については低調だと捉えられている ようである。 このことは, 保健補導員各自が, その活動を地域の中で割り当てられた役割とし て捉え, 手探りで活動を進めているということのみならず, 同じ保健補導員を行っている住民 同士の間で, お互いが同じように感じていると考えてよいのではないだろうか。
活動の福祉向上への貢献度
ここでは, 3つの担い手の活動が, 地域の福祉を高める力になっているか, すなわち担い手 活動が, 地域の福祉を向上させることに貢献しているかどうかについて, またそうなっている とすれば, その具体的な事例はどのようなものだと考えるかについて尋ねた。
まず, 「活動が地域の福祉を高める力になっているか」 の質問に対し, 民生委員活動では,
「大変そう思う」 の22.6%, 「そう思う」 の71.0%という回答からもわかるように, 9割以上の 者がそう感じていると答えた。 ボランティア活動についても同様の傾向が見られ, 「たいへん そう思う」 が15.6%, 「そう思う」 が71.4%と, 多くの割合を占めている。 しかし, 保健補導 員については, 他の2つの活動とは異なる傾向を示しており, 「あまり思わない」 が41.3%,
「そう思う」 36.5%を上回る結果となった (表3−20)。
保健補導員活動については, 活動を始めた動機からもわかるように, その大半が 「地区で選 出されたから」 という受動的なものが大半を占めていること, また活動をしていてよかったこ ととして, 他の2つの活動にはみられなかった 「特にない」 というものが約1割いたというこ と, さらには約7割の者が活動が活発ではない捉えていることなどから, やはり地域で割り当 てられた役割として淡々と仕事をこなしているという状況が垣間見える。
次に, 民生委員, ボランティア, 保健補導員の各活動について, 具体的にどのような事柄が 地域の福祉を高める力になっているかについて, 検討していく (表3−21)。
表3−20 活動は地域の福祉を高める力になっていると思うか
( ) 内は%
大変そう思う そう思う あまり思わない そう思わない 無回答 合 計 民 生 委 員 7(22.6) 22(71.0) 3(9.7) 1(3.2) 31(100.0) ボランティア 12(15.6) 55(71.4) 7(9.1) 1(1.3) 2(2.6) 77(100.0) 保 健 補 導 員 6(5.8) 38(36.5) 43(41.3) 14(13.5) 3(2.9) 104(100.0)
民生委員活動が地域の福祉を高める力になっているかについて, 「大変そう思う」, 「そう思 う」 と答えた29名より, 複数回答により表のような回答が得られた。 大きな偏りはないものの,
「住民の身近な相談相手」 が93.1%と最も多くなっており, ついで 「住民への福祉情報の提供」,
「福祉サービスの利用援助」 の回答が多い。 このことから, 同じ地域に暮らす住民という身近 な立場から, 住民と福祉との橋渡しの役割を担っており, このことが地域全体の福祉を高める 力となると考えられているといえよう。
ボランティアについては, 60名より回答が得られ, 表のような結果となった。 「人と人との つながりを作る」 が86.7%で最も多く, ついで 「地域福祉活動の支援」 が60.0%, 「福祉サー ビスの利用援助」 53.3%となっている。 これらの回答から, ボランティア活動を通じて, 住民 相互のネットワーク作りが基盤となり, 地域の福祉を高めることにつながっていると捉えられ る。 しかし, 「行政や社協への要請や提言」 のような, 地域で自主的な活動を通して住民の生 きたニーズを, 町の福祉施策に反映させるような働きかけに関しての回答は少なかった。
保健補導員については, 42名から回答が得られ, 「健康づくりに役立つ」 がもっとも多く 83.3%であった。 「人と人とのつながりを作る」 69.0%, 「健康への関心が高まった」 61.9%,
「保健や福祉の知識が身につく」 57.1%, 「地域とのつながりを強める」 54.8%など, 他の項目 においても回答者の半数以上が, 様々な場面において保健補導員活動が保健・福祉を高める力
表3−21 活動が福祉を高める力になっていると思う事柄 (複数回答)
① 民生委員 ( ) 内は%
住民・当事者への生活支援 28( 46.7) 住民の身近な相談相手 23( 38.3) 福祉問題の発見・把握 26( 43.3) 人と人とのつながりを作る 52( 86.7)
生活環境の改善 13( 21.7)
地域福祉活動への支援 36( 60.0) スポーツ・レクリエーションの振興 9( 15.0) 住民へのボランティア情報の提供 17( 28.3) 福祉サービスの利用援助 32( 53.3) ボランティア層の拡大 16( 26.7) 行政や社協等の連携・協力 26( 43.3) 行政や社協等への要請や提言 10( 16.7)
その他 1( 1.7)
合 計 289(481.7)
② ボランティア ( ) 内は%
住民への福祉情報の提供 20( 69.0) 住民の身近な相談相手 27( 93.1) 福祉問題の発見・把握 15( 51.7) 人と人とのつながりを作る 15( 51.7) 福祉サービスの利用援助 20( 69.0) 住民・当事者への生活援助 10( 34.5) 福祉活動への住民参加の支援 10( 34.5) 行政や社協等への連絡通報 15( 51.7)
行政への意見具申 5( 17.2)
行政や社協等との連携・協力 13( 44.8)
合 計 150(517.2)
③ 保健補導員 ( ) 内は%
保健や福祉の知識が身につく 24( 57.1) 健康づくりに役立つ 35( 83.3) 地域のつながりを強める 23( 54.8) 人と人とのつながりをつくる 29( 69.0) 健康への関心が高まった 26( 61.9) 住民と行政とのつながりを強める 14( 33.3) 地域の助け合いにつながる 13( 31.0)
合 計 164(390.5)
になっていると感じているようである。 活動が活発か否かについては, 他の2つの担い手群に 対し低い評価であるという印象が強いものの, どの項目についても3割以上の回答があったこ となどから鑑みて, 保健補導員活動自体は地域において, 保健や福祉を高める力となりうる活 動であると捉えられているといえよう。
4. 活動の課題
ここまでで, 実際の担い手の活動に対する意識や, 活動自体の意義を担い手はどのように捉 えているのかについてみてきたが, 今後の活動を展開していく上で課題について, 活動の重点 課題と, 行政・社協に期待する支援という二側面から捉えていく。
活動の重点課題
ここでは民生委員, ボランティア, 保健補導員の活動について, 今後どのようなことに重点 をおいていけばいいかについての回答を通して, 活動の課題について探っていきたい。 回答は 全て複数回答である (表3−22)。
民生委員については, 「住民からの相談への適切な対応」 が80.0%で最も多く, 次いで 「要 支援者の生活状況の把握」 が70.0%, 「安否確認や友愛訪問による見守り活動」 が40.0%となっ た。 また, 「福祉サービスの利用援助」, 「住民への福祉情報の提供」, 「行政や社協との連携強 化」 についても, 全体の約4割の回答となった。 このことから, 地域において民生委員の本来 的役割の強化という部分が大きな課題であるとともに, 「福祉を高める力となっている事例」
表3−22 今後どのようなことに活動の重点をおけばよいか (複数回答)
① 民生委員 ( ) 内は%
要支援者の生活状況の把握 21( 70.0) 住民からの相談への適切な対応 24( 80.0) 住民への福祉情報の提供 7( 23.3) 安否確認や友愛訪問による見守り活動 12( 40.0) 行政や社協との連携強化 7( 23.3) 生活支援のためのネットワーク作り 3( 10.0) ボランティアとしての協力 4( 13.3) バザーなどの地域行事への協力 1( 3.3) サロンなど仲間作りの活動 1( 3.3) 福祉サービスの利用援助 8( 26.7)
合 計 88(293.3)
② ボランティア ( ) 内は%
ボランティアリーダーの育成 27( 37.0) ボランティア活動の拠点整備 12( 16.4) 住民へのボランティア情報の提供 38( 52.1) 地域行事への参加・協力 49( 67.1) 住民対象のボランティア講座の開催 15( 20.5) 児童・生徒への福祉教育 13( 17.8) ボランティア団体のネットワーク作り 14( 19.2)
社協との連携強化 19( 26.0)
とくにない 2( 2.7)
合 計 189(258.9)
③ 保健補導員 ( ) 内は%
健康づくりの学習・体験 61( 62.2)
楽しい集まりの場 38( 38.8)
助け合い活動 26( 26.5)
行政とのパイプ役 24( 24.5)
今まで通りでよい 20( 20.4)
合 計 169(172.2)
でも回答の多かった住民と福祉の橋渡しという役割についても今後重点的に行っていかなけれ ばならないと考えられているようである。 しかし, 民生委員活動において, 地域のネットワー ク作りをすすめるような役割については, 重点を置くべきであると答えた者は少なかった。 現 時点での民生委員活動の中心的な役割の強化という部分が当面の課題と捉えられていると考え られる。
ボランティアについては, 73名からの回答が得られた。 最も多かったのは 「地域行事への参 加・協力」 が67.1%, 「住民へのボランティア情報の提供」 が52.1%の2項目の回答が多かっ た。 これらの結果から, 行事への参加・協力や住民への情報提供を通して, 現在行っているボ ランティア活動の実態を住民が知ることとなり, 活動に参加するメンバーが増える, また活動 への理解が深まるなどが期待されるだろう。 また 「ボランティアリーダーの育成」 も37.0%と いうことからも, ボランティア活動を展開していく上で, グループをまとめていけるようなリー ダーの育成が課題となっているようである。
保健補導員については, 98名から回答が得られたが, 「健康づくりの学習・体験」 が62.2%
と最も高く, ついで 「楽しい集まりの場」 が38.8%となった。 このふたつの結果から, 住民が 身近な地域において, 健康づくりに積極的に取り組んだり, 関心を持てるように, また保健補 導員本人や地域住民が, これらの活動を楽しい集まりの場として主体的, 積極的に参加できる ような活動の展開が求められているといえよう。
行政・社協への期待
続いて, 民生委員, ボランティア, 保健補導員という住民の諸活動について, 行政や社協に どのような支援を求めているかについてみていく。 回答は全て複数回答である (表3−23)。
まず民生委員についてであるが, 「行政や社協による活動支援」 が70.0%, 「活動のための情 報提供」 が66.7%と全体の約7割, 続いて 「日常的な連携強化」 46.7%, 「研修・学習体制の 充実」 43.3%の順となっている。 これらの結果から, 活動を行っていくうえで, 行政や社協か らの活動支援や連携が十分でないと感じている者が少なくなく, また現在の活動をより充実し たものにすること, スムーズに行うための基盤整備が求められていると言える。 このことは, 民生委員活動に積極的に取り組んでいる者が多いことや, この活動が単に住民相互の助け合い という意味合いだけにとどまらず, 福祉ニーズを的確に把握し, スムーズに必要な福祉サービ スを利用につなげることを目的としていることから考えると, 民生委員としての役割をより十 分に果たすために, 行政や社協のバックアップが大きく期待されているのではないだろうか。
ボランティア活動については, 73名から回答が得られたが, 「活動のための情報提供」 が 63.0%と最も多かった。 このことは, 「今後の活動の重点」 でも多くの回答があったように, 現在行っている活動の実態を地域住民に広く知ってもらうことや, ボランティアに関心のある 者やボランティアをしたいと考えている者とボランティアを必要とする者とを結びつける役割 も含まれていると考えられ, 行政や社協にその役割が期待されていると言えるだろう。 さらに
は 「研修・学習体制の充実」 のように, ボランティア活動を展開していくにあたっての自己研 鑽や技術向上のための支援への期待が, 行政や社協に寄せられているといえよう。
保健補導員活動については, 96名から回答が得られたが, 「保健師による活動支援」 64.6%,
「講座などによる研修の充実」 56.3%となっており, 保健師という専門職の支援を受けながら, 保健補導員自身が講座や研修などによって, 知識・技術の向上を図るための支援が期待されて いるといえる。 「活動のための情報の収集・提供」 も約半数の46.9%となっており, ここでも これらの活動を展開していく上での情報の重要性が指摘できる。
おわりに
本調査によって, 小鹿野町の民生委員, ボランティア, 保健補導員の活動の実際と意識につ いて知ることができた。 それぞれの担い手の役割が, この地域において地域の福祉を高める力 となっていると考えられており, 住民の手によってその活動は推進されている。 町として 「町 民参加型」 のまちづくりを掲げているとおり, 住民が主体となった福祉のまちづくりがすすめ られているといえよう。
実際の活動については, ボランティアを除く2つの担い手では活動年数の短い者が役割を担っ ていることが明らかになった。 その中に少数ではあるが, 長期間にわたりこの役割を担ってい る者が含まれており, 活動やその役割を熟知している者と, 新たに委員となって活動に参加し
表3−23 行政や社協に期待する支援 (複数回答)
① 民生委員 ( ) 内は%
研修・学習体制の充実 13( 43.3) 行政や社協による活動支援 21( 70.0) 活動のための情報提供 20( 66.7) 他地域との交流や意見交換 9( 30.0) 民生委員活動のPR 10( 33.3) 活動のための費用などの保障 3( 10.0) 日常的な連携の強化 14( 46.7) 活動中の事故への保証措置の確立 4( 13.3)
合 計 94(313.3)
② ボランティア ( ) 内は%
研修・学習体制の充実 40( 54.8) 相談・支援機能の充実 23( 31.5) 活動のための情報提供 46( 63.0) 他地域との交流や意見交換 33( 45.2) ボランティア活動のPR 26( 35.6)
活動経費の助成 26( 35.6)
活動中の事故への補償の確立 27( 37.0)
その他 3( 4.1)
合 計 224(306.8)
③ 保健補導員 ( ) 内は%
講座などによる研修の充実 54( 56.3) 保健師による活動支援 62( 64.6) 活動のための情報の収集・提供 45( 46.9) 活動のための資材などの提供 35( 36.5) 活動資金などの金銭的支援 35( 36.5) 活動のための公的施設や提供 24( 25.0) 他地区などとの交流や意見交換 28( 29.2) 活動中の事故への保険制度の充実 12( 12.5)
その他 1( 1.0)
特にない 8( 9.3)
合 計 304(316.7)
ている者たちによって, 民生委員活動, 保健補導員活動が推進されていると考えられる。 ボラ ンティアについては反対に, 5年以上の活動経験を持つ者が中心となり, 徐々に新しい活動へ の参加者が増えてきているという状況と考えられる。 これら3つの活動については, 一部の者 だけが熱心に取り組んでいくだけでは不十分であり, 多くの住民が代わるがわる役割を担う, また新たに活動に参加する者が増えることが, 担い手の役割への理解を深め, 活動への関心や 協力を促すことになるといえるだろう。 また, 実際の活動時間については, 民生委員について は週に10時間未満, 他の2つの担い手群については1ヶ月に1日程度と決して長いとはいえな いが, 現在活動を行っている上での悩みの中で, 「活動時間の確保が難しい」 という回答が多 くを占めていることから考えると, まだまだ十分に活動に従事できていない, もっと活動に多 くの時間を割くことができたら, という担い手の思いがうかがえる。
活動に対する意識の側面については, 3つの担い手群それぞれについて, 多くが 「周囲に勧 められた」, 「地区で選出された」, 「友人・知人のすすめ」 など, 比較的消極的とも見える動機 から活動に参加しているものの, 活動への取り組みは決して消極的ではなく, むしろ責任感を 持って, 役割を果たそうとしている姿が明らかになった。 もともと福祉や保健に対する関心が 強い者だけがこれらの役割を担っているというわけではないだろう。 しかし, 活動を通して様々 な知識が身に付く, 地域の困っている人々の力になることができたなどの手ごたえが, 活動へ の取り組みを積極的にさせる原動力となっているとも考えられる。 一方で, 活動に熱心に取り 組めば取り組むだけ, 悩みも生まれてきている。 実際の活動時間を確保する難しさや, 仕事に 対する責任感・負担感, 知識や技術の不足, 住民の参加が得られないなど, 活動をスムーズに 行っていくためには, さまざまな行政や社協, 専門職のサポートや周囲の理解, 住民の協力な ど多くの課題があるようである。
本調査の結果から, 民生委員, ボランティア, 保健補導員それぞれの活動が, この小鹿野地 区において, 地域の福祉を向上に重要な役割を果たしていることが明らかになった。 これらの 担い手の活動については, ごく一部の極めて熱心な住民の働きだけでは, 地域の中で浸透して いくことも, 他の住民の協力や理解が得られることも難しいであろう。 確かに, 住民自らが自 主的に, 主体的にこれらの活動へ参加していくことは望ましい姿かもしれない。 しかし, その 前段階としては, たとえこれらの役割が地区の中での持ち回り的な仕事として捉えられていて も, まずはそれを引き受けてみることにより, 実際の担い手の活動に理解が深まり, 地域住民 それぞれの協力が得られると考えられるのではないだろうか。 多くの住民がこれらの役割を担 うことにより, 地域への関心, 福祉への関心が高まると考えられ, 福祉コミュニティ形成へと つながっていくといえるだろう。 また, 担い手が積極的に活動を行うだけではなく, それらを よりスムーズに行えるようにするため, 行政や社協の支援への期待, 様々な形での情報の重要 性が明らかになった。 住民主体の活動を地域に根ざした形で円滑に行うためには, 地域住民各々 が個々に行う活動という形ではなく, それらを体系的, 組織的に運営していくためにも行政や 社協のバックアップは必要であり, さらには専門職による専門的な視点からの支援も期待され
ているといえよう。
福祉コミュニティの形成において, 住民と行政や社協が手を取り合い, 両者がそれぞれの役 割を意識しつつ, 地域の福祉活動が展開されていくことが望ましい。 単に住民の草の根的な活 動だけでも, また行政や社協が施策を展開するというだけでも福祉コミュニティの形成は不十 分である。 住民と行政・社協双方が 「わが町の福祉」 という意識をもちつつ, 協働していくこ とが必要不可欠であるといえるだろう。
〈註〉
1) 埼玉県衛生短期大学地域保健組合研究会 1991 住民の主体性を促す地域保健活動の方法に関する研 究 PP.7〜10
2) 小鹿野町まちづくり政策課 町村合併45周年記念小鹿野町町勢要覧 PP.26〜33
3) 3つの担い手について, 重複する役割を担っている者については, 民生委員を第一優先として, 次い で保健補導員, ボランティアの順にサンプリングを行った。 民生委員については全委員より回答が得ら れ, ボランティアについては配票数139名のうち77名, 保健補導員については配票数186名のうち104名 の回答が得られた。