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中級後期か ら上級段階にある学習者の

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(1)

中級後期か ら上級段階にある学習者の

作 文 の 問 題 点 一作文教材作成のための類型化の試み‑

宮 原 彬

キー ワー ド :中級 後期 ・上級 、作文 、学習者 の問題点、類型化、作文教材 の 作成

1

.はじめに

中級後期 か ら上級段階 にかけて

(1)

の一般的な作文指導

(2

)では、学習者 の書 いた作文 に現 れ る個 々の語句 の誤 用を訂正す るだけでは作文 の質 の向上 には なか なかつ なが らない。文章構成 、あ るいは、 この段階 で学習す る複雑 な文 構造 との関連 で、問題点 を整理 ・類型化 し練習 させ ることが必要 とな る

そ う した点 に留意 した教材 もこれ までい くつか出てお り

' 3 ‑

、学習 の成果が 期待で きそうな もの もある。が、学習者の実態か ら出発 し、それ らを幅広 く、

かつ きめ細 か く配慮 した教材 はほ とん どない よ うに思 う。 "論文 の書 き方"

的な指導 や、各種 の表現 の指導 とと もに、文章 ない しは文 を構成す る上 で学 習者 が抱 え る困難 ・問題 点か ら出発 した指導 が必要 ではないか と思 う。

筆者 は以前、大学進学予備課程の学生の、上級段階での作文の文章構成上の チ ェックポイ ン トにつ いて簡単 にま とめた ことがあるが

̀ 4 ㌦

上記 のよ うな意 図か ら、今回 は、長崎大学 の学部留学生、お よび、筆者 の前任校 であ る東京 大学 の大学 院留学生 の書 いた作文 を材料 と して、 この段階 の学習者 の作文 の 問題 点を よ り細 か くさ ぐり、その類型化を試 み ることにす る

15'。

これ は、中 級 後期 か ら上級段 階 にあ る学習者 の立場 にた った作文練習 用教材 を作成す る

ための基礎 的作業 の一 つ とな ると考 え る。

2

. この段 階での 目標 と作文練習の実隙

この段階の作文練習 ・指導 に当た っては、まず、何をめ ざすのか、 とい う点 を学習者 との問で明確 に してお く必要 があ る。結論 を言 えば、筆者 は、書 き 手 の意 図が読 み手 に明確 に、 しか も抵抗 な く伝 わ る文章 が書 けるよ うにな る

(2)

2

中級後期から上級段階にある学習者の作文の問題点

ことを 目標 と している

いい文章 、巧 みな文章 を書 くことは 目標 と しない。

起承転結」 とい ったような、文章構成上 の一般的 "技術" も、筆者 は問題 に しない。 ただ、説得力を高 めるためのい くつかの点 (例えば、具体的 に書

く、な ど。後述。 )は学習者 に要求す る。

作文 の練習 は、常 に読解 ない しは聴解 と結 びつけて行 う̀6'。教室 で教材 を 読 んで (あ るいは、 ビデオを見て)理解 し、文の構造 ・語句の使 い方等 を確 認 ・練習 し、教材の内容 に関連する事実や感想 ・意見等を出 し合い、話 し合 っ たあ とで、 まとめ と して 自分 白身 の感想 ・意見を書 かせ る (宿題)(7)。作文 はすべて添削 して返却 す る。

返却時の授業では、個 々の語句の用法 より、文章構成上 の問題点 に力点をお いて指導す る。個 々の語句の正 しい用法 を身 につ けさせ ることも依然 と して 重要 であるが、それ らの多 くは、筆者編集 の 『外国人学生が 日本語 で作文 を 書 くための用例集 (初級 ・中級用)』 と 『読解 と作文のための 日本語用例集

(中 ・上級 用)』 (試 用版)を適宜参照 させ ることで処理す る。

本稿で も、辞書や用例集ではなかなかカバーできない、文章構成ない しは文 構造 にかかわ る問題点 を中心 に見てみたい。

3.

学習者の文章の諸特徴一 問題点のタイプー

この段階の学習者の文章 には、以下 のような特徴 ない しは問題点が見 られ る。 その中には互 いに関連 している もの もあ るが、それ ぞれの観点か ら具体 例で見 てみたい。

文章全体をまず大 き くとらえ次第 に細部 にわたってい くとい う意味で、段落 の問題

(3‑ 1

)、段落 と段落 とのつなが りの問題

(3‑ 2)

、文 と文 とのつ なが りの問題

(3‑3‑3‑5)

、一つの文の中の問題

(3‑6‑3‑1 3)

そ して最後に、文章全体 にかかわる問題

(3‑1 4)

、 とい う順序で見てい くこ とにす る。

(以下の、( )で番号 を付 した文章例ない しは文例 には、そこでの問題点 と は関係のない部分の文法的誤 り等 について多少修正 を加 えた箇所 がある。 ま た、筆者が問題点 と考 え る部分 に下線 をほどこ した ものがある。)

(3)

長 崎大学留学 生セ ンター紀要 ■

6

1 9 9 8 年 3‑ 1

段落の不適切 さ

3

3‑ 11 1

長 す ぎ る 段 落

して 、 多 くの 学 習 者 は 、 こ の 段 階 に な って も、 段 落 に つ い て の 意 識 か 薄 い 。 全 く改 行 な しに 文 章 を 書 く者 も珍 し くな い 。 段 落 に つ い て の 意 識 が あ る場 合 で も、 き ち ん と考 膚 さ れ て は お らず 一 つ の 段 落 か 長 す き る こ と が 多 い

そ の 結 果 、 読 む 側 が 文 脈 を と らえ に く く緊 張 感 の 持 続 を 強 い られ る 文 章 と な る。

例 え ば 、 次 の よ う な 文 章 で あ る。

(1) イ スラエ ルの企 業 と工場 て もい ろい ろな国 々の よ うに

Q

C と

Z

I)か 使 われ て い ます 。 この 二 つ の経 営 方 法 を ア メ リカか ら取 り入れ ま した

,

: 最近 て は

QTM

とい う経 営 と管 理 の 手段 i)流 行 して い ます 、、これ らの 方法 は生 産 力 と品 質 を 改 良 しま した か 、有 効 性 は 日本 と同 じ結 果 にな りませ ん で したこ た とえ は完 全 主 義 者 と仕 事 の虫 を除 い て残 業 手 当 はつ くこ とに な ります。 日本 と西洋 を比 へ る と この 差 の源 は社 会 的 文 化的 差 に 発 して い るに ちか い あ りませ ん こお もな違 い は班 と共 同活動 の ことです、

‑QC

ZD

のため には この二つ の要 素 か必 要 てす 、 西 洋 文 化 は個 人 を強調 す る と思 わ れ て い ます た とえ は西 洋 の会 社 て 人 々は 高 収 入 と トップの 座 とい う自分 の利 益 に興 味 か あ ります こ 「愛 社 ̲ とい う こ とは 普通 で は あ りませ ん 。 たぶ ん 日本経 済 の成功 は い い経 営 方 法 を取 り入れ て 正 し

く適 応 させ た こ とに も基 っ い て い るて しょう。

(2)

私 は 日本 へ 来 る前 に外 食 とい う習慣 の 存 在 に あ ま り気 づ い て い な か った ぜ か とい う と私 の国 で は平 目で t)会社 や学 校 ‑ 行 く人 の ほ とん とは弁 当を も っ て い った りまた家 に帰 って食事 を す る こ とか多 いか らた ‑ その理 由 は働 く時 間 か 短 く、 ま た 食事 か て き る店 も少 な いか らた 。 これ らの こ とで外 食 は産 業 と し て 発達 して い ないこ一 方 日本 とい う国 て は経 済 発 展 に従 い労 働 時 間 か 長 くな I) 人 々の 生 活 か忙 し くな った 。 それ て外 食 とい う習 慣 か増 え 大 きな産 業 か 生 まれ た。 私 は 日本 で いっ て もと こで も食事 か て き る事 は仕事 を持 つ 人 の た め す こ く 便利 た と思 った。 しか し、 その おか けて 日本人の家 族 のふれ 合い は減 って しま っ て い る。結 局 、経 済 開 発 中心 の た め 人間 的 な情=̲質 を無 く して しま って い る

(1)、 (

2

)は 、 え は 、以 下の よ う に段 落 を 分 け れ ば 、 す っ と読 み や す い 文

(4)

4

章 とな る。

中級後期か ら上級段階にある学習者の作文の問題点

(1

)の修 正 例 :

イスラエルの企業 と工場で もいろいろな国 々のように

QC

ZD

が使 われてい ます。 この二つの経営方法 はア メ リカか ら取 り入れま した。最近 では

QTM

とい う経営 と管理 の手段 も流行 しています。

これ らの方法 は生産力 と品質を改良 しま したか、有効性 は 日本 と同 じ結果 にな りませんで した。た とえば、完全主義者 と仕事 の虫 を除いて残業手 当かつ くこと にな ります。 日本 と西洋を比べ るとこの差の源 は社会的文化的差 に発 しているに ちかいあ りません。お もな違 いは班 と共 同活動の ことです

。QC

ZD

のために は この二つの要素が必要 です。西洋文化は個人を強調す ると思 われています。 た とえば西洋の会社 で人 々は高収入 と トップの座 とい う自分の利益 に興味があ りま す。 「愛社」 とい うことは普通 ではあ りません。

たぶん 日本経済の成功 はいい経営方法 を取 り入れて正 しく適応 させ た ことに も 基づいているので しょう。

(2

)の修正 例 :

私 は 日本‑来 る前 に外食 とい う習慣の存在 にあま り気づいていなか った。なぜ か とい うと、私の国では平 日で も会社や学校へ行 く人のほとん どが弁当を もって い った りまた家 に帰 って食事 をす ることが多 いか らだ。 その理 由は働 く時間が短 く、 また食事ができる店 も少ないか らだ。 これ らの ことで外食 は産業 と して発達 していない。

一方 日本では経済発展 に従い労働時間が長 くな り人 々の生活が忙 しくな った。

それで外食 とい う習慣 が広 ま り大 きな産業が生 まれた。

私 は 日本でいつで もどこで も食事 ができる事 は仕事 を持つ人のためす ご く便利 だと思 った。 しか し、そのために日本人の家族のふれ合いは減 って しまっている。

結局、経済開発 中心 のため人間的な性質を無 くして しまっているのだ。

この段 階 で は、原稿 用紙 の使 い方 の確認 と同時 に、段 落 の作 り方 を まず初 め に指 導 す る必 要 が あ る。

筆者 は、 「一 つ の段 落 には一 つ の こと (一 つ の事 実 、一 つ の考 え ) を書 く」

よ うに指導 して い る。実 際 、段 落 につ いての、 この原則 を習得 させ るだ けで、

学 習 者 の文 章 はか な りの程 度 読 み やす くな る。

(5)

長崎大学留学 生セ ンター紀 要 6号 1998年

5

3‑ 1‑ 2

段 落 内 の 文 脈 の 混 乱

比 較 的 短 い段 落 で あ って も、 ま た 、 「一 つ の こ と」 が 書 か れ て い て も、 段 落 内 の 文 章 の 展 開 に 混 乱 が あ る場 合 は 、 長 す ぎ る 段 落 と 同 様 、 読 み に くい もの

と な る。

(3

)私 か 日本 人 の民族 性 につ いて 、一 番 び っ く り した の は、 ●集 団主 義 M とい う t) の が なぜ そ ん な に強 い影 響 を 日本 人全 体 にあ た え る よ うに な ったか とい う こ と た。 例 え は 、会 社 に勤 め て い る会 社 員 は いつ も自分 の 同僚 た ち と同様 に長 い時 間残 業 を して い る。 更 に、残 業 手 当か本 当 に少 な くて も一 生 懸 命働 き続 け られ るの は、 外 国 人 の観 点 か らは とて も受 け入れ られ な い こ とだ。

(4

)工場 や車 の数 の上 昇 に したが って 廃気 (その うちの主 な成 分 は二 酸 化 炭素 で あ る) や廃 水 お よひ工 業 ごみ な どの 量 も急 に増 え ま した。 経 済 発展 の た め に森 林 の伐採 や化 石燃 料 の消 費量 が爆 発 的 に増 え ま した。 これ まで の地 球 の 自然 に よ

るバ ラ ンスが大 き く崩 され ま した 。

以 上 の 問 題 に関 して我 が 国 の政 府 は厳 しい対 策 を制 定 しま した。 た とえ は 、 あ る都 市 で は、車 の増 加 の ため に交 通 渋 滞 の 問 題 が起 こ りま した。 また 同時 に エ ネル ギ ーの消耗量 が増 しま した。 廃気 の排 出量 もそれ に比 例 して増 え ま した

この た め都 市 内 で は車 の利 用 は制 限 され て い ます 。 さ らに タ ク シー は 中心 地 帯 に 自由 に入 る こ とか で き ませ ん (毎 日一 定 の時 間 ) 。市 民 に は公共 交通 機 関 と 自転 車 を利 用す るよ うに勧 め て い ます 。 公共 交 通 機 関 は政 策上 優遇 され て い ま す 。 す へ て の化芋 工 場 に廃物 か排 出 され る前 に処理 され るの か必 要 で あ る と要 求 され て い ます 。 これ か実 行 され な けれ ば、 その工 場 は生 産 か 停 止 され ます 。

(5

)も う一 つ考 え つ いた の だか 、私 は 日本 の女 性 に対 して ち ょ っと質 問 か あ る。 私 は、 日本 の 女性 を尊 敬 して い た。 「戦 後 の 日本 は一 生 懸 命 苦 労 した女 性 か い な けれ ば、二 度 と建 て直 す こ とはで きなか ったた ろ う」 とず っとそ う考 え て いた。

そ して 、 日本 の女 性 の地 位 か低 い こ とに怒 る こ と さえ あ った「男女 平 等 」 に 私 は大 賛 成 だ った

しか し、 日本 に きて 、 「老 人 を扶養 しな い

「パ チ ンコに 夢 中 不 倫 」 な とい ろい ろな ことを聞 いて、正直 に言 え は 、 シ ョックだ った

思 わ ず 「ほ ら、 なん だ これ は」 とい う時 もあ った。 だか ら、 そん な女 性 た ちの 力 で 日本 の 高齢 化 社 会 を乗 り越 え られ るか と うか心 配 して い る。 日本 の女 性 に

「昔 の勤 勉 な女性 に戻 って 、頑 張 って くだ さい」 と言 い た い。

(6)

中級後期か ら上級段階にある学習者の作文の問題点

(3 )、 ( 4) ( 第二段 落 )、 ( 5 )には共通 点 が あ り、 それ は この段 階 の学習 者 にか な り一 般 的 に見 られ る現 象 で あ る。 これ らの段 落 を書 くに当 た っ て 、書 き手 は その段 落 で強調 した い こ と、 あ るい は、事 実 に対 す る一 定 の 判 断 ・主 張 を もって い る。 その思 いが段 落 の 冒頭 の文 とな って現 れ る

し か し、 それ には一 定 の説 明 を加 え な けれ ば な らな い こ とに気 がつ き、 それ を次 の文 で示 そ う と して文 脈 を乱 す結 果 とな って い る。

以下 の よ うに、 まず前 提 とな る事 実 (な い しはその ま とめ) を先 に述 べ る よ うに指導 す る必 要 が あ る

(3 )の修正 例 :

私か 日本人の民族性で一番びっくりしたのは " 集団主義" ということだ。例えば、

会社 に勤 めている会社員 はいつ も自分の同僚 たちと同 じよ うに長 い時間残業を し ている。残業手当が少な くて も一生懸命働 き続 けている。 こうした ことは外国人 には とて も受 け入れ られない ことだ。

(4 )の修 正 例 :

(前略)

ある都市 では、車 の増加 のために交通渋滞の問題が起 こ りま した。 また同時 にエ ネルギーの消費量が増 しま した。廃気の排 出量 もそれに比例 して増え ま した。

これに対 して我が国の政府 は厳 しい対策を立 てま した。 た とえば、都市 内では 車の利用を制限 しま した。 さらにタ クシーは都市の中心 に自由に入 ることかでき ません ( 毎 日一定の時間)。市民 には公共交通機関 と自転車 を利用す るように勧 めています。公共交通機 関は政策上優遇 されています。すべての化学工場 に、廃 物 を排 出す る前 に処理す るよう要求 しています。 これが実行 されなければ、その 工場 は生産 が停止 され ます。

(5 )の修正 例 :

もう一つ考えついたのは、 日本女性 の変化であ る。私 は以前 は 日本の女性を尊敬 していた。 「 戦後の 日本 は一生懸命苦労 した女性がいなければ、二度 と建て直す ことはできなか っただろ う」 とず っと考えていた。そ して、 日本の女性 の地位が 低 いことに怒 ることさえあ った。 「男女平等」 に私 は大賛成だ った。 しか し、 日 本にきて、疑問を感 じるようになった。 「 老人を扶養 しな い」 「 パチ ンコに夢中」

「 不倫」な どいろいろな ことを聞いて、正直 に言えば、 シ ョックだ った。思 わず

「なんだ これは」 とい う時 もあ った。

(7)

長崎大学留学生セ ンター紀要

6

1 998

7

だか ら、 そん な女性 た ちの力 で 日本 の高齢 化社会 を乗 り越 え られ るか ど うか心 配 して い る。 日本 の女性 に 「昔 の勤 勉 な女性 に戻 って、頑 張 って くだ さい」 と言

い 。

3‑ 2

段 落 と段 落 との つ な が りの 不 適 切 さ

一 応段 落 が整 った と して も、段 落 と段 落 との つ なが りに問題 が あ る場 合 は 、 読 み手 に と ま どい を与 え る こ と に な る。

3‑ 2‑ 1

接 続 の 語 句 の 不 適 切 さ

接 続 の語 句 の不 適 切 さは、段 落 か ら段 落 へ の流 れ を乱 す (読 み手 の 予 想 に反 す る展 開 と な る ) 例 の 中 で最 も一 般 的 な もの で あ る

(6)

(前 略 ) それて、海外移転 とい う ものか さかん にな ってきた。つ ま り生産 を外 国 で行 な うよ うにな って きたのだ。現在 の会社 は、 こう しなければ、競争 で き な くな って しま うか らであ る

こう した上 で、会社 は生 き残 る ことがで きるか も知 れ な いか、マ イナ スの面 も出て くるのであるo その中の一 つ は、 「空洞化」 とい う社会的な問題 であ る

(7)

(前 略 ) ア ジアで初 めて開かれた環境 につ いてのサ ミッ トであ ったため、 ア ジ アの、 そ して世界 の環境 の将来 が期 待 を もって考 え られた

ところか 、公害 の問題 を解決す る ことは簡単 で はな い。政 府、 自治体 、 そ し て市民 も協 力 しな けれ ば問題 は解決 で きない。 例えば、名古屋市 の よ うにバ ス な どの公共 交通機 関 を利用す るこ とや、 シンガポールでの車 の数 自体 を制 限す る ことな どであ る。

しか しなが ら、 タイで は この よ うな問題 と解決方法 が よ くわか る ものの、 よ い対 策 を立 て る ことか なか なか難 しい。 タイの公共交通機 関 は、現在 、改良 し てい る ところであ る。 日本 の公共 交通機 関の サー ヒスと違 うので、 まだ まだマ イカーの数 を減 らす ことがで きて いないので あ る。

二五 、 タ イで は政治 的 な問題 もあ るため、 シンガポールの よ うに厳 しく車 の 数 自体 を制 限す る こと もあ ま りうま くで きて いないの た。

(6

)は 、 「こ う した上 で」 の 用法 を誤 った た め に 、 そ の 後 の 文 の 展 開 が読 み 手 の 予 想 に反 す る もの とな って い る

(8)

中級後期か ら上級段階 にある学習者の作文の問題点

(7

)は、 改行 の た び に接続 の語 句 を使 って い るが 、 そ の用法 を誤 って い る た め 、 文 章 全 体 の脈 絡 が と らえ に く くな って い る。

学 習 者 は、安 易 に接 続 の語 句 を 多 用 す る傾 向 が あ る。 その結 果 、 しば し ば誤 用 も生 まれ る。 接 続 の語 句 は で き るだ け使 わ な い よ う、 また 、 や む を 得 ず使 用 す る場 合 は で き るだ け基 礎 的 な語 句 を使 うよ う指 導 す る必 要 が あ

る。

(7

)は 、例 え ば 、次 の よ うに修 正 す れ ば読 み や す くな る

(7

)の修 正 例 :

(前略) ア ジアで初 めて開かれた環境 についてのサ ミッ トであ ったため、 ア ジア の、 そ して世界の環境 の将来 が期待 を もって議 論 された。

公害 の問題 を解決す ることは簡単 ではない。政府、 自治体 、そ して市民 も協力 し なければ問題 は解決 で きない。例えば、名古屋市 の よ うにバ スな どの公共交通機 関を利用す ることや、 シンガポールでの車 の数 自体 を制限す ることな どである。

このような問題 と解決方法 はよ く理解できるが、私の国 タイではよい対策 を立 て ることはなかなか難 しい。 タイの公共交通機 関 は、現在、改良 してい る ところで あ る。 日本 の公共交通機 関のサー ビスと違 うので、 まだ まだマイカ‑の数 を減 ら す ことがで きていない。

さらに、 タイでは政治的な問題 もあるため、 シンガポールのように厳 しく車 の数 自体 を制限 す ること もあ ま りうま くできていな いのだ。

3‑2‑2

余分な文の混入

不 要 な文 が あ るた め に 、段 落 と段 落 との つ な が りを乱 す こ と もあ る0

(8

)既婚 の女性 の家事労働 の負担 は、未婚の女性 よ りも重 い。未婚 の女性 は誰 の面 倒 も見ることはない。何時 に帰 って も誰 も怒 らない。

しか し、女性 は結婚 す ると、す ぐ仕事 を辞 めなければな らない とい うもので はない。 せ っか く大学 を卒業 したのに、結婚 す ると仕事 を辞 め るのは無駄 な こ とではな いか。 それ に、毎 日家事 ばか りしていて退屈 と思 わないか。働かない 女性 の世 界 は家 とアパ ー トだけだ。他 の世界 が分 か らな くな って しま う。

(9)

(前 略 ) それに対 して 日本 は山が多 くて人 口 も過剰 だ。 さまざまな状況 を総合 して見 る と、土地 の値段 の問題 も理解 できる。

(9)

長崎大学留学生セ ンター紀要

6

1 998

9

需要供給 の法則 に従 って住宅 の価格 か ひど く値上 が りしたの も無理 はない と言 って住宅 を 「個人の 自己責任」 とされ るのはひ とす ぎる。高 い地 価 その上 狭 い土地 だか らこそ、公的な援助 と計画 が必要 である。街 づ くりでは まえ もっ て将来 の事 や人 々の生活基盤 を考 えて計画す るのか政府の権利 で もあ り義務 で

もあ る

(8

)は、 「未婚 の女性 は・‑ ‑怒 らない」 の部 分 を削除 す れ ば 、次 の段 落 に ス ム ー ズ につ なが る。 (

9

)も、 「需 要 供 給 ‑‑‑無理 は な い」 の部 分 を 削除 す るか 、前 の段 落 の最 後 に付 けれ ば、段 落 間 のつ なが りは安 定 す る 叙 述 を 補 うつ も りの文 が 、 か え って段 落 か ら段 落 へ の流 れ を乱 して しま う例 は し

ば しば見 られ る

3‑3

文 と文 との つ な が りの 不 明 確 さ一 接 続 の 語 句 の 不 適 切 さ一

段 落 と段 落 とのつ なが りの 問題 と して述 べ た 、接 続 の語 句 の 問題

(3‑2‑

1

)が 、 当 然 の こ とな が ら、文 と文 との つ な が りの面 で も現 れ る。

(10)

家庭 で また職場 で、男女不平等の問題 がた くさん起 こ り、 よ くない現 象が出て きた。中国で も、昔 は こうい う問題 があ った とい う

̲i.史上 、近 代 に入 って、

男女不平等 な との問題 はだんだんな くな ったか、別の人権 問題 が存在 す るのは 事実 だ。

(ll)教育者 と被教育者の間に明確な境界はない。教育者 は被教育者 を教え るうちに、

自分 も教育 され る。 だか らこそ、教育者 は教育す る前 に、 まず 自分か教育者 で あ るとい う冠 を捨 て るべ きであ る

( 1 2 )

子 と もは もちろん子 どもだか ら、 こうい う問題 か とんなに大 き くて も、 自分の 力だけで問題 を解決 して、正 しい道 を歩 んで行 くのは無理 だ と誰 で も思 う。 土

中には、教育者 と しての親、先生 たちはほか にお しつ け られない責任を持 っ ている

( 1 3 )

日本 は、 いまで も、輸 出の国際競争力か強い。塵二.娃やは り高水準 の生産技術 による高 い労働生産性 であ る。塵二 進 経営 の革新 である

( 1 0 )

は 「しか し」 が 、 (ll)は 「だか らこそ」 が不 要 で あ る。

( 1 2 )

は 「その 中 に は」 を 削 除 す るか 、 「そ の 面 で は」 に置 き換 え る。

(10)

IO

中級後期か ら上級段階にある学習者の作文の問題点

前 述 の とお り、接続 の語 句 は使 わず にす め ば その方 が好 ま しい。 誤 用 が 避 け られ るだ けで な く、文章 も引 き締 ま り リズ ム も生 まれ る。

(1 3) は、例 え ば、次 の よ うに修 正 す る 。

(1 3) の修 正 例 :

日本 は、いまで も、輸出の国際競争 力が強い。 その原因の第一 はやは り高水準 の 生産技術 による高 い労働生産性 である。第二 は経営の革新 である。

3‑4 視 点 の移 動

一 続 きの文 章 の 中で、視 点 ない しは主体 を変 え て しま ったため に、読 み手 に と ま どい を感 じさせ る こ と もあ る

例 え ば、次 の よ うな場 合 で あ る。

( 1 4 ) 世界で唯一 の原爆被害国 と して原爆の惨害 は多 く語 られています。 しか し、原 爆投下 の原因はあま り言 いません。 と くに、戦争の責任を問われた とき、 日本 政府 も素直 に受 けとめ ません。

(15) 人間 ぐらい快適な生活を望む ものはいないだろう。いい家 に住むために、森林 を伐採 す る。便利な交通 のために、車 に乗 る。 また、いろいろな化学物質を発 明す る。石炭、石油、 ガスか ら、原子力 まで、広 く利用 されている。

(16) かつて地球 は緑 におおわれていま した。今、その緑が様 々な原因で消えてい こ うと しています。一体 どんな原因が緑を消 してい くので しょうか。 また、緑が 失われると、地球 に、私たち人間や野生動物 に、 どういう影響を与えるので しょ

うか。

3‑5 文 体 の 不 統 一

丁寧体 と普 通 体 の混 用 は、普通体 の学習 が始 ま った時点 か ら現 れ るが 、 中級 後 期 以 降 に特 徴 的 に現 れ る タイ プ と して は、以 下 の よ うな もの が あ る。

( 1 7 ) 日本人には、社会の中にあふれている拝金主義のイメー ジを強 く感 じる。 それ も精神 的 に貧 しい証拠 と言え るで しょう。

(1 8) もし環境 問題 を解決 しない と、地球がほん とうに危な くな る。地球の将来のた めに、みんな一緒 に環境 問題 に関心 を持 って きれいな地球 を作 りま しょう。

(19) 小 さな罪 を氾 して も罰 な どは科 さない方がいいと思 う。罪 を犯 した ら子供 に親

(11)

長崎大学留学生セ ンター紀要

第6

1 9 98

F L l

切 に忠告 を して くだ さい。子供 に とう してそれが悪 いかをやわ らか く説明す る と一番い と思 う。

( 2 0)

平均寿 命の伸 ひとと もに終身雇用 が崩れて来 た。今は六十歳定年 の企業かほほ 半数三 三か、男性の平均寿命か らすれば定年後十八、九年の人生が残 っていて、

定年後再就職 す る人か圧倒的であ る。

( 2

1)日本人 は ヨー ロ ッパ人 と対照的 に他人の考え、行動 な どを観察 してみんな同 じ よ うに生活 したか ってい る。 ヨー ロ ッパ人の生活方法 と日本人の生活方法 は と ち らが理想 的三三̲む と言 う質問の答えは厄介三 三が、 どち らも善 し悪 しだ。

( 2 2 )

世界の他 の国では とうで しょうか とい う質問が出て くるだ ろ う。今、 ち ょっと ドイツの状態 と比へ よ う

(1 7)

(1 8)

(19)

は 、 「で しょう

「ま しょう

「て くだ さい」 の文 体 上 の 位 置 付 けが あ い ま い な た め に (あ るい は、 そ れ に対 応 す る普 通 体 を き ちん と 認 識 して い な い た め に )、 出 て くる もの と思 わ れ る

( 2 0) 、( 2

1)

、( 2 2 )

で は 、複 文 の従 属 節 の述 部 で 文 体 が意 識 され て い な い。

3‑ 6

長 す ぎ る文

この段 階 の学 習 者 の文 が破綻 を きた した り読 み に く くな った りす る大 きな原 因 の 一 つ は 、 文 が長 す さ る とい う こ とで あ る

̀9'。

「長 す さ る」 とは 、一 つ の 文 の 中 の 文 節 数 の絶 対 的 な 多 さを必 ず しも意 味 す る もの で は な い。 内容 か ら 見 れ ば 分 け られ る (あ る い は 、 分 け るべ き )事 柄 を 、接 続 の語 句 を 使 うな と して一 つ の 文 で書 き続 け て い くこ とで あ る。 例 え ば 、次 の よ うな文 で あ る。

( 2 3 )

人間は小 さい頃に受 けた教育が その後の人生 に影響 す るといわれ、小 さい頃 に よ く耳 にす ることとか、 目に入 ることとかは、一生忘れ られないか ら、子 ど t) の教育 の中で ゴ ミ問題 を一 つの学科 と して開設す るのか いいのではな いか。

( 24)

韓国 も生活水準かあが るに したが って、旅行 とか余裕 のあ る生活がな くてはな らない ことにな ったので、特 に若 者 にはマ イホームよ りマ イカーの方 か必要 な ものにな っているので、交通問題の解決 において、大 きな障害 とな っています。

(25)

先進 国 とい う日本で もこの ような状態 ですが、文化 とか制度 とかいろいろな側 面で似て いる韓国 はまた老人 と住宅 にまつわ る問題 はは っき り出て きません け れ ども、今後 とうなるか、社会福祉分野 を勉強 している私 と しては もっと関心

(12)

72 中級後期か ら上級段階にある学習者の作文の問題点 を持 って注意する必要があると思 います。

上記 はいず れ も、前提 とな る事柄 と結論 (ない しは主 張 ) とを一 つ の文 で表 現 しよ うと して い る と ころに問題 が あ る。

( 23) の修正 例 :

人間は小 さいころに受 けた教育がその後の人生 に影響すると言われる。小 さいこ ろよ く耳 に したことや目に したことは一生忘れ られない。だか ら、学校教育の中 でゴ ミ問題を一つの科 目と して開設 してはどうだろうか。

( 23)、 ( 24)、( 25) の場合 はそれ で も一 応筋 は追 え るが、 こう した書 き方 を 容認 す る と、構 文 的 に も問題 のあ る、意 味 の と りに くい文 が続 出す る こ と

にな る。

連 体 修飾 節 を作 る練 習 、 引用 の練 習 等 、特 定 の 目的 を も った 、 " 長 い 文 " を作 る練習 は有益 で あ るが、長 い文 が書 け るか否 か とい った観 点 か ら 学 習者 の書 く力 を評 価 す る こ とは問題 で あ る。

3‑ 7 引用 の処 理 の不 適 切 さ

この段 階 にな ると、 引用 も増 え、 またその引用が長 くな る 。 その結果 、引用 の範 囲 が不 明確 にな った り、文 脈 が と らえ に く くな った りす る。

( 26) 私たちは将来の子孫を このように、豊かだが危ない台湾で育てるのか と友達 に 聞いた。 これか ら私 たちの責任は経済発展に努めるのではな くて、環境の改善 であるはずだ。台湾が美 しく、住 みやすいところになるまでがんば って、 これ は百年かか って もしなければな らないことだ と友達が こう私 に返事 した。

( 2 7)住宅の質が低いため、病気にな ったお年寄 りを寝たき りのままに しておきたい とい う動機 か らほかの先進国より寝たきり老人がた くさん出て来 るの説明は私 にはお どろさを越え、悲 しい気持 ちにな りま した。

引用部 分 を か ざで く くる、 「‑‑ ・ とい う説 明 ( 話 、主 張 、考 え、 こ と、

e t c . ) 」 の形 を使 う、 とい った基本 的な処理 の仕方 を確認 し練習す る必要 が あ

る。

(13)

長崎大学留学生 セ ンター紀要

6

1 9 98

1 3

(26)

の 修 正 例 :

「私 た ちは将来 の子孫 を、 この ように豊 かだが危 ない台湾 で育 て るのか。」 と私 は友達 に聞 いた。友達 は 「これか らの私 たちの責 任 は経済発展 に努 め る ことでは な くて、環境 の改善 であ るべ きだ。台湾が美 しく、住 みやす い ところにな るまで がんば る。 これは百年 かか って もしな ければな らない ことだ。」 と答えた。

(27)

の 修 正 例 :

「住宅 の質か低 いため、病気 にな ったお年寄 りを寝 たき りの ままに して おきたい とい う動機 か らほかの先進国 よ り寝 た き り老人が た くさん出ている

」 とい う説 明 に私 はお どろさを越え、悲 しい気持 ちにな りま した。

3‑8

内容節や 「こと」を伴 う節の処理の不適切 さ

3‑7

と関連 す る こ とで あ るが 、以 下 の例 の よ うに、 「事 実

「声

「説 」 等の被修飾名詞の内容を表す節や形式名詞 「こと」を伴 う節の処理 が不適切

で あ る場 合 が 非 常 に 多 い。 この段 階 で取 り立 て て指 導 す る必 要 が あ る。

( 28)

しか し私が何 日間かい っ しょに生活 して感 じた ことは 日本人 はせ まい と言 って い るか、それを改善 しよ うと しないでその まま満足 してい るの事実 で した

(29)

特 に、 日本 では 「男女不平等」を改善 の声 が高 ま った

( 30)

たぶん父だ けでな く、全世 界の人 々が 日本の経済 は 「永遠 に不滅」説 を信 じて いたであ ろ う。

( 3 1

)私 はその とき 日本人 は働 き蜂の ことを分か らなか ったd私 は 日本 に来 て初めて 日本人の働 き蜂 を分か った

( 3 2)

家事 はつ ま らない仕事 を男はよ く知 ってい る。

( 28)

は 「の 事 実 」 を 「 (とい う )事 実 」 とす る。

( 29)

以 下 は次 の よ うに修 正 す る

(29)

の 修 正 例 :

特 に、 日本 ては男女不平等を改善 すべ きだ とい う声 か高 ま った。

( 30)

の 修 正 例 :

たぶん父だ けでな く、全世界の人 々か 「日本 の経済 は永遠 に不滅 であ る」 とい う説 を信 じていたであ ろ う。

(14)

1 4 中級後期から上級段階にある学習者の作文の間者点

( 31 )の修正 例 :

私はそのとき日本人が働 き蜂である (という) ことを知 らなか った。 日本に来て 初めて (日本人が働き蜂であることを)知 った。

( 3 2 ) の修正 例 :

家事 はつまらない仕事である (とい う)ことを男は知 っている。

3‑ 9 疑 問表現 が節 とな って いる場合 の処理 の不適 切 さ

「だれ 」 「どう して」 とい った疑問詞 を含 む節 の処理 が不適切 な場合 が しば しば見 られ る。

これ は、 3‑1 0 の語句 の呼応 の不適 切 さの一 つ と見 る こと もで きる。

( 3 3 )1 9 9 0 年 に、旧 ソ連が‑ ンガ リーを撤退 して しまった時はその汚染 した地域の掃 除をだれが援助 しなければな らないのか問題 にな りま した。

( 3 4 ) 私 はどうして 日本人 にファース トフー ドがそんなに人気がある理由がよ く分か らない。

( 35) 早稲田大学の卒業生 A 君が どうして有名な住友銀行に一年間だけ勤めて辞めた 壁良 を話 そう。

上 の例 では、疑 問表現 が節 とな る場合 はそれを受 ける名詞 や形式 名詞 は必要 ない、 とい うことが認識 され てお らず、 「の」 や 「理 由」 で受 け よ うと して い る。

「だれ (どう して ,e t c .) ‑‑・ か」 の形 を節 とす る文 の作 り方、疑 問表現 を 使 わず に書 く方法 等 を確 認 し練習 す る必要 か あ る。

3 ‑1 0 詩 句 の呼応 の不適切 さ

語句 の呼応 の不適切 さは、主述 のね じれを中心 に初級段階 か ら現 れ るが、中 級 後期以上 で は、特 に次 の よ うな タイプが しば しば見 られ る。

3 ‑1 0‑ 1 原 因 ・理 由を説 明する構文

( 3 6) 最初学生

い じめ られて自殺 したことを聞いた時、驚いた。なぜな ら、前はこ

んなことは全然知 らなか った。

(15)

長崎大学留学生セ ンター紀要 第 6

1 99 8 年 1 5 ( 37) もう一つの事件は、ほん とうに台湾人の心を傷 つけた。 とい うのは、台湾で、

婦人の生活安全の保障 と改善 に関す る運動 に長年関心を持 ち黙 々と努力 してい た中年 の女性の教授が殺 されたO

( 38) とうしてか というと、 日本では今営業や通勤の 自家用車の渋滞か 日常化 してい て、路上駐車か渋滞 をい っそ うひど くしています。

( 39) タイで今最大の環境 問題 は熱帯雨林が減 っていることです。その原因 は農地 に 変え るため に林を伐採上皇三 。

「なぜ な ら (とい うの は, ど う して か とい うと ,e t c .) ・ ‑‑か らだ (の た,

et c .) 」 「原 因 ( 理 由 ) は‑ ‑ (か らだ, ため だ ,et c .) 」 等 の呼応 は、挿 入 され る部 分 が長 くな るにつ れ て忘 れ られ る ことが 多 くな る 。 母語 の影響 もあ っ て か 、学 習 者 は 「なぜ な ら 」 「とい うの は」 とい った語 句 を使 い たか る。 こ う した語 句 を使 わず 、 「‑州 か らだ 」 「 ‑ ・ ‑の だ」 だ けで文 を ま とめ る方 法 も練 習 す る必 要 が あ る。

3‑1 0‑ 2 主 述 の ね じれ 、な い しは視 点 の移 動

文 が長 くな るにつ れ て 、主述 の不整 合 、 ない しは、文 中で の視点 の移動 が現 れ る こ と も多 くな る。

( 4 0) 日本 に到着 して見た初めの印象は、密集住宅かず っととこまでい って も続 いて いること、高速道路が狭 いこと、それか ら曲が りくね った町の道路 にはび っく

りしま した。

( 4 1) 地球の温暖化 というのは、人間が石油や石炭などの化石燃料 を大量に消費 して、

大気中の二酸化炭素 の濃度を増加 させ ることによ って、地球上 の平均気温か上 昇 し、海面水位の上昇 、降水パ ター ンの変化、農林水産物 の生産や 自然生態系 の変化 などの各種の影響 が生 じている 。

( 4 2) われわれ人 間は長 く苦 しい時代皇鑑三 、広大 な土地 とそこに眠 る豊かな資源皇 王吐 兄上 、いわゆる 「 新世界」の建設が進 め られ ま した。

3‑1 0‑ 3 副詞 の不 適 切 さ

副 詞 の 中 に は、 その後 に続 く述部 等 を予想 させ る ものが あ るが、 その副詞 が

不適 切 な場 合 、文 は予 想 に反 す る展 開 とな る。

(16)

1 6 中級後期から上級段階にある学習者の作文の問題点

( 43) とくに、戦争の責任を問われたとき、 日本政府 も素直 に受 け止めません。上皇 呈̲ 主、政府の中に第二次世界大戦のとき日本は侵略 したのではないという意見 を もつ官僚がいます

( 44) その中で人間と呈上 呈上 関係が深いのは車である。

( 4 5 ) 情報社会 と呼ばれている今 日は電話などの通信機器が不可欠であるが、電話を 使 うときに、きちん とマナーを守 る人間はさすがに少ないという。

上記 はいずれ も誤 用であるが、 これ らは、副詞 の学習 においては意味的な面 と同時 に、 「 いまさら‑‑・ て も ( た ところで ,et c .) 」 「よほど‑‑のだろ う

(とみえ る ,et c .) 」 とい った呼応 の型 を文型 と して きちん と学習 させ ること の必要性 を示 して い る

3‑11 主体 を示 す 「 が 」 と 「は」 の不適切 さ

3‑1 0‑ 2 と関連 す る こ とで あ るが、 この段 階 で は複 文 での、主 体 を示 す

「が」 と 「は」 の使 い方 が大 きな問題 とな る。 「が」 と 「は」 の誤 りが原 因 で、文 が予測 に反す る展 開 とな り、読 み手 を とま どわせ る場合 が多 い0

( 4 6 ) 中国i i経済発展 とともに、精神的な豊かさも忘れないように願 っています。

( 47) 世界の先進国である日本に住んでいる日本人たちi iいまこんな生活を送 ってい ることが とて も不思議 だと思 う人が多いだろう。

( 48) 紫外線i g強 くなるほど、皮膚癌にかかる人の数は増えます。

( 49) 男性i i細 い体が好きな ら、女性は餓死するほどダイエ ッ トする。

複文 におけ る 「が」 と 「は」の用法 は学習者 には もちろん教 師に とって もな か なか扱 い に くい問題 で あ るが、初級 で学習済 みの連体 修飾節 で の 「が」 の 使 い方 の復 習 とと もに、接続 助詞 の入 った複 文 の場 合等 、典型 的 なパ ター ン

で練 習す る必要 があ る

3‑1 2 副詞節な い しは並列節 と主節 との接続 の不適切 さ

副詞節 ない しは並列節 と主節 との接続 は、初級 のf 那皆か ら一般的 に誤 りb . i 生

じるが、文 が長 くな るこの段 階 で はそれが一 層拡大 した形 で現 れ る。

(17)

長崎大学留学生セ ンター紀要

6

1 99 8

3‑1 2‑ 1 動 詞 の 「て

形 な い しは連 用 中止 形 によ る接 続 の 不 適 切 さ 77

( 50) 仕事 のために結婚できなか った り、また自分の生命をかけた りす ることはウソ だ とか、マ スコ ミがみんなに注 目され るようにわ ざと作 った話 しだ と思 いま し たが、今度 自分 自身 を 日本に置いてや っと働 き蜂 とい うのか分か っ三 、且盆 92 ̲

考えが幼 い もので した 。

( 5 1)とにか く、 日本 にいるうちにた くさんの勉強を し、いろんな人 と出会 い、貴重 な経験 を2重 、将来、国 に帰 った ら、 きっと役 に立つ と思 う。

( 5 2 ) 量畳娃あざやかに現代の 日本の社会問題を指

し、これか ら深刻な問題 と して、

日本政府、 また 日本国民 は しっか り考え ざるを得ないと思 います。

(53) は じめは、 もちろんいろいろの苦労を し三、お客 さん もいない し、十分な宝金 もない。

初級 の段 階 で 「て」形 を きちん と学 習 した場合 で も、 中級 以 降 にな る と上 記 の よ うな、 「て」 形 (あ るい は連 用 中止 形 )の あ とに書 き手 の判 断 が 来 た り 直 接 関連 の な い事 柄 が来 た りす る文 が頻 発 す る : 1 0 、 。 いず れ も読 み手 に と って

は予 測 に反 す る展 開 とな る。

3‑6 で述 べ た よ うに長 い文 を避 け るの か い ちばん無難 な解 決 方 法 で あ る が 、前 提 とな る事 実 と判 断 とを別 の文 で書 く練 習 等 、 パ ター ンと して の練 習 が必 要 で あ ろ う。

3 ‑1 2‑ 2 条 件 ・譲 歩 表 現 の不 適 切 さ

条 件 ・譲歩 表現 が不適 切 であ るため に読 み手 の予測 に反す る展開 とな る場 合 も、 しば しば見 られ る。

( 5 4 ) もしあの時 日本はアジアの諸国に侵略 しないと、原爆を受 けるはずがないです。

( 55) 世界の動 きの中に自分の生 き方 をすえて考える視点を持 って、国際人 と して 日 本の社会 に生 きていると、戦争 の問題 は解決できるのではないか。

( 56) 女性 にとっては主人 と子供の元気な顔を見互 と、一番幸せな ことだ。

( 57) 日本 と ドイツを両方見旦 週 、 どち らの方かいいだろうか。

( 58) マ レ‑ シ7人の運転手 の大部分 は、道を渡 ろうとす る人を見る上 、車の ス ピー

ドを下 げず に運転す る種類の人間だ

(18)

中級後期か ら上級段階にある学習者の作文の問題点 (59) もし小 さな罪を犯 し左̲ 亘、罰なんか与えない方がいいと思 う。

3‑1 2‑3 活用 の不 適 切 さ、な い しは語 句 の不 足

一 つ の文 と して続 けるの に必要 な、的確 な活 用や語句 が欠 けてい るため に、

破 綻 を きた して い る例 も少 な くな い。

(60) また自分がその場で言いに くい話があれば、あわてて静かなところに人 ら主星 をえない、あるいは困 って しょうがな く切 って しまうしかない。

( 6 1)ある事項 に関する国家規格 はこの事項 に関す る各水準の規格の最大公約数だと い って も上 上巳、最良 とはとて も言えないだろう。

( 6 2 ) 無邪気な子 どもは人か らはめて 逆 上̲ 巳、 自分か誤 ったと分か った ら、はずか し いけれ ど、今度は誤 りをおか さないように決心すると思 う。

(63) 日本に来たばか りの とき、高層 ビルや、至 るところにあるコンビニエ ンスス ト アやいろいろな娯楽施設立と 、思 わず 「日本 はほん とうに豊かな国だな」 とつ ぶやいた。

接続 の仕方 を確認す る必要 はあ るであ ろ うか、短 い文 に分 けて書 くよ う指導 す るの か最 もよい対 処 方法 だ と思 う。

3‑1 2‑4 読 点 の不 適 切 さ

学習段 階 が進 んで も、次 の よ うな不適切 な読 点 が現 れ る ことがあ る。上記 の 活 用 の問題 と して と らえ る こ と もで きるが、 か な り レベ ルの高 い学 習者 に も 現 れ る こ とか ら考 え る と、読 点 (ない しは句 点 ) の問題 で あ る と思 う。母 語

の影 響 も考 え られ る。

( 6 4 ) 仕事 は人生の重要な一部分である」全部ではない。

(65) それで、マイカーの利用を抑え ることを名古屋で実施 しています」 これは地球 を保護す るための一歩だと思います。

(66) 何年か前、中国でとて も有名な囲碁九段の女子選手が 「 女は月ではない」 と言 い出 した」 「 女 も太陽であ り、 自身光で輝 いている。」

( 6 7)私の友達 の一人は田中と言 う」 もう結婚 して二人の子供 を持 っている

(19)

長崎大学留学 生 セ ンター紀要

6

1 998

ノウ

3‑1 3

文 末 の 不 適 切 さ

こ の段 階 に な る と、 文 末 表 現 も豊 富 に な る。 そ の こ とが 文 に さ ま ざ ま な ニ コ ア ン ス を 付 与 し、 文 章 を 質 的 に 高 め る場 合 もあ る が 、 以 下 の よ う な 新 た 引

題 も生 じる 。

3‑1 3‑ 1

文 末 の 複 雑 さ

文 末 表 現 か 豊 富 に な る に つ れ て 、 以 仁の よ う に 、 文 末 を 複 雑 に した り

、甘美

と して 端 的 に 述 べ る べ き場 合 に 推 量 な い しは 判 断 を 示 す 文 末 を 使 っ た りす る 傾 向 が 現 れ 、 そ の 結 果 しば しば 読 み に く くな る

特 に 、 意 欲 的 な習 者 に そ の 傾 向 が 強 い 。

( 6 8

)い ちば ん職 場 か 多 いの は ブ ダペ ス トた し、 首都 の大 学 で 長 年 勉 強 して 、 卒 業 し た学 生 の多 くは ブ ダペ ス トよ り退 屈 な 田舎 に帰 り左̲くli:さそ うだ とみ られ て い ます 。

( 6 9 )

こ うい う問題 は法 律 しか 解 決 で きな い こ とて あ るか ら

単 に行政 ㌢段 に柏 るの は その 無 力 さを感 じさる を得 な か った

( 70)

情 報 化 の時 代 と呼 ば れ て い る現 代社 会 の 中で 、 コ ン ビュ‑ クーな と情 報 機 器 cT) め ざま しい進 歩 、 光通 信 な どの通 信技 術 の革 新 て 、情 報 の 加工 、 伝達 の 方法 に 大変 化 が 生 した{J そ して 、 裏 議 主義 も変 わ りつ つ あ るて あ ろ う /

(71)法 律 に従 うよ り、地 方首 長 の顔 に従 う方 が ま しとい う こ とは壁 掛 ̲IrIi+;・しむ ̲二と もな い だ ろ う。

3‑1 3‑ 2

疑 問 表 現 の 形 の 不 適 切 さ

こ の 段 階 の 文 章 で は 、 読 み 手 に 強 く訴 え か け る た め に 疑 問 表 現 を

F

机 、る こ と が よ くあ る が 、 以 下 の よ う に 、 学 習 者 が そ の 形 と用 法 を 正 確 に覚 え て い な い 場 合 も多 い 。

( 7 2)

エ ア コ ンな とを使 わ な い よ うにす るの は て きな いた ろ うと思 うか

順 手に利 用 しな い で 、必 要 か あ る場 合 に限 り使 え ば い いの た ろ うか

( 7 3)

文章 の 中 て ポ ス ターの こ とに こた わ って い るか 、実 際 、筆 者の気 持 ちは そ :)て は な く、 み ん な に あ き カ ンの 処理 を 了解 して も らい た い で は 畑 、

(

7 4)

ほん と うに新 しい い い環 境 を つ くれ るの かこ縁 な ら何 て もい い とい う発想 か明

(20)

2( ) 中級後期から上級段階にある学習者の作文の問題点 違 っているではないか。

( 75) 今の私達は新製品に対 して悪口を言 うより、理解 して一緒に正 しい使い方を研 究するほうがいいではないか。

「のではないか 」 「ではないか 」 「のではないだろ うか 」 「のだ ろうか」等 の形 と用法 の違 いをパ ター ン化 して練習 す る必要 が あ る。

3‑1 4 類 義語 ・類似表現 の選択の不適切 さ

最後 に、文章全体 にかかわ る問題 であるが、類義語 ・類似表現 の問題 につ い て見 てみ たい。

この段階 になると、学習済 みの語句 も増 え、意味の類似 した語句 ・表現 の用 法 の違 いが大 きな問題 とな って くる。

学習者 、特 に熱心 な学習者 は、新 しく学習 した語句 を積極 的 に使 お うとす る。 それ 自体 は高 く評価 すべ き ことであ るが、当然 の ことなが ら不適切 な使 用 も増 え る。

類義語 ・類似表現 の選択 の不適切 さには二つの面がある。一 つは意味的なず れ か ら来 る不適切 さであ り、 もう一 つ は意 味的 には的確 であ って も文 ない し は文章 全体 の調子 か ら見 て不適切 とな る場合 で あ る。

3‑1 4‑ 1 意味のずれか らくる不適切 さ

次 の よ うに、学習 したばか りの語句 を、意味的なずれ に気がつかず に使用す る場合 が しば しば見 られ る。

( 76) 人 々は 「 社会が進歩 している、国か進歩 している」 ことを示すために、音の人 間が想像 を絶する品物をどんどん生み出 している。

(77) 現代社会、特に先進国にとって、車はかけがえのない存在であろう。

( 7 8 ) 科学技術の墓呈上発展 している現代社会では、携帯電話類の ものが開発 される のは全 く珍 しくはない。

( 7 9 ) 私は以前か ら日本にまつわるいろんな本を通 して日本の住宅の事情が悪いこと は知 っていま した。

( 80) 社会経済部門の塑造立増加 と市場範囲の拡大 とともに、部門間、企業間の経済

的関係 は一層広が り、複雑化 しつつある。

(21)

長崎大学留学生セ ンター紀要

6

1 99 8

21

3‑1 4‑2 位相 差 か ら くる不 適切 さ

意 味的なず れ はあ ま りな くて も、文 ない しは文章 全体 の調子 か らみて不適切 とな る場 合 もあ る。 例 え ば、次 の よ うな場 合 で あ る。

( 81 )バ スの乗客はそのガスを不可避的 に吸 うと気分かわるい という

( 8 2 ) これ らの漫画雑誌は世界中の国に配 られ、急速 に普及 しま した。 もちろん タイ で も例外ではな く、ほとんどの日本漫画が翻訳 されてあま

く売 られています。

(83) 中国は8 0 年代か らの経済改革か世界で注 目されている 。2 0年間の経済改革のお かげで、国民の生活か著 しく改善 された。三ム それに対 して、環境の方に大 い に代価を払 った 。

( 84) 今は新、旧体制の交替期で、旧体制は立 i崩れ始めたが、新体制はまだ実現 し ていないというのが現状である

4, 内容 面 で の 問題 点 と指 導

以 上 、 この段 階 の学習 者 の作文 に見 られ る一 般 的 な問題 点 につ い て 、1 4

、23

の タイ プ にわ た って具 体 例 で 見て きた。 こ う した問題 点 が克 服 され れ ば 、か な りの程度 、 「書 き手 の意 図 が読 み手 に明確 に、抵抗 な く伝 わ る文章 が書 け るよ うにな る」 と筆者 は考 え る。

しか し、それ だ けでは十分 ではない。 「 書 き手 の意 図が読 み手 に明確 に伝 わ る」 ため に は 、内容 的 な面 につ いて の指導 も一 定 程度必 要 で あ る。

この段 階 の学習者 の作文 に見 られ る内容的 な問題 点 と しては、例 え ば、次 の よ うな もの が あ る。

a. 一 般 的 に言 われてい ることを述 べてい るだけで、書 き手 自身 の体験 や 自 身 が得 た情報 ・事 実 に裏 打 ち され て い な い。

b.一 般 的 に言 われて いることを述 べてい るだ けで、書 き手 が どうい う観 点 で それ を と りあ げて い るのか ( 書 き手 の立 場 ・意 見 )が わか らな

い 。

C . 書 き手 の意 見 は述 べ て あ るが 、 その根拠 か具体 的 な体験 や 自 ら得 た情

報 ・事 実 で裏 打 ち され て い な い。

d.

個 人 的 な体験 ・感想 に終始 していて、問題 を社会 的 ない しは歴 史的な敬 点 か らと らえ て い な い。

それ ぞれ の学習者 の書 く作文 の内容的な記述 の ス タイル には一定 の傾 向があ

(22)

22 中級後期か ら上級段階にある学習者の作文の問題点

り、上 記 の よ うな問題 点 が特 定 の学 習者 につ い て繰 り返 し現 れ る。

日本語教 師 は、学習者 が書 こ うと してい る中身 その もの に深 く入 ることはで きない が、学 習者 が書 こ うと して い る もの 、 あ るい は、書 け るはず の もの を 引 き出 し、 「 読 み手 に明確 」 な もの とす る こ とはあ る程度 は可能 で あ る。 筆 者 は、① 具 体 的 な体 験 や事 実 ・情報 に もとづ い て書 くこ と、② 歴 史 的 ・地 理 的 な比較 ( 例 えば、以前 と現在 との比重 交、母 国 と 日本 との比較 ) の視点 を もっ て書 くこ と、③一 定 の主 張 を もって書 くこ と、 の 3点 を、常 に学 習者 に要 求 して い る。 こ う したわず か の示 唆 で も、学 習 者 の書 く文章 はか な り説 得 力 を もった もの に変 わ る。

5.

おわ Uに

この段 階 の学習者 の作文 を添 削 して いて最 も頭 を悩 ます の は、学 習者 の意 欲 と、 ど こで折 り合 いをつ け るか とい う点 で あ る。意 欲 的 な学 習者 は、 しば し ば難 しい語 句 、複雑 な構 造 の文 を書 こ うとす る 。 教 師 はその積 極 性 を評 価 し つ つ 、 「書 き手 の意 図が読 み手 に明確 に伝 わ る」文章 に導 い て い か な けれ ば な らな い。 その ため には、問題 点 をパ ター ン化 し、 そ の意 欲 をパ ター ンの学 習 に向 け させ る こ とが必 要 で あ ろ う。

留 学 生 の、書 くこ とへ の関心 は高 い。 それ は、例 え ば、補 講 コー スの 「作 文 」 の受 講 希 望 者 数 の多 さか らも分 か る。 しか し、 そ う した留 学 生 の希 望 に こたえ られ る既 存 の教 材 を さかす の はなか なか難 しい。 学習 者 の立 場 に立 っ て、 その困難 ・問題 点 と " 苦 闘" の過 程 を的確 につ か み、 それ らを十 分 反 映

した教 材 を作 成 す る必 要 が あ る と思 う。

(1 )おおよそ 5 0 0 時間以上の学習時間を もつ学習者 を指す。

(2 ) 専門の論文を書 くため、 といった特別の目的を もたず、一般的に書 く力をつける ための作文指導。

(3 ) 佐藤他 (1 9 8 6) 、 C& P日本語教育 ・教材研究会 ( 1 9 88) 、浜 田他 ( 1 9 9 7) 、倉八 ( 1 9 9 7 ) な ど。

(4 ) 宮原 ( 1 9 9 1)

(5 )日本人 の書 いた文章 を対象 と した研究 は、岩 淵 ( 1 97 9) 、木下 ( 1 9 8 1)、木下

( 1 9 9 0) 、古群 ( 1 9 9 2 ) など、かな りある。 これ らで扱われている問題の中には外国

人学習者 にも当てはまるものが少な くな い。

参照

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