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甲虫生物発光における酵素反応制御に関する研究

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Academic year: 2021

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甲虫生物発光における酵素反応制御に関する研究

著者 龍福 正行

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

巻 27

ページ 127‑129

発行年 2006‑03‑11

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1202

(2)

氏名 。

(本

籍 )龍 福 正 行

(ネ

申奈り

│1県)

学位 の種 類    博      (工  

)

学位 記番 号    工博 甲第   261   号 学位授与の日付    平成 17年 3月 24日 学位授与の要件    学位規程第 5条 第 1項 該当 研究科 ・ 専攻の名称    電子科学研究科   電子応用工学

学位論文題目    甲虫生物発光における酵素反応制御に関する研究

論 文 審 査 委 員

   (委

員長)

教 授 板 垣 秀 幸   教 授 山 田 員 吉 教 授     波   達   雄    教 授   近江谷   克   裕

論 文 内 容 の 要 旨

高いエネルギー変換効率 を持つ発光甲虫による生物発光反応は、ホタル科に属する

2み

ο 励郷〃励 由来ホタルシフェリン /ル シフェラーゼ発光反応 を中心に、 AIPア ッセイ法やルシフェラーゼアッ セイ法など、産業用途での実用化が進められている。実用化の背景には れッ

j施

発光反応では光が瞬 間的に

Flash状

に立ち上が り、その後急速に減衰するため発光量の測定が困難であった

Flash発

光を、

CoAや DTの チオール試薬等の補因子 を用いることによリー定な発光強度 を持続 させる Glow発 へ人為的に制御 させる手法が確立されたためである。最近、ホタル科以外の発光甲虫による発光反 応が注 目されている。これは、共通のルシフェリンを使用 していながら、異なる発光色や pH変 動 に 影響 されない発光色 など、多様 な発光反応 を示 し、多色同時発光反応系など、従来の発光反応 をさ らに高機能化 させた用途開発が期待 されているか らである。 しか しなが ら、実用化 に向けた発光甲 虫による発光反応の特性解析や発光反応の制御 に関する試みは行われていない。そこで本研究では、

ホタル発光反応の制御機構 を確立、本発光反応の産業応用への展開を進めるため基盤構築を目標に した。具体的には鉄道虫 n笏 筋加 ″伽 由来赤色ルシフェラーゼ、イリオモテボタル動昭η物 姥滋 0筋 滅由来緑色ルシフェラーゼ、ならびにその部位特異的変異体の橙色ルシフェラーゼを用ぃ、それ ぞれの発光反応 に対する補因子 を作用 させることにより、反応の制御 ならびにメカニズムの解明を 試みた。また、ホタル発光反応は既 に実用化が行われているにもかかわらず、チオール試薬など補 因子 による発光反応への制御 メカニズムは未だ明 らか とされていないことか ら、還元剤や ピロリン 酸など従来 とは異なる補因子が及ぼす発光反応への影響の解析 を試みた。

本研究の結果、鉄道虫由来赤色ルシフェラーゼの発光特性解析では、周囲の pH変 動 によって発光

活性が影響 されない特性 に加え、ホタルルシフェラーゼの人為的発光制御 に効果を示 したチオール

‑127‑

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試薬 を添加 した反応条件 においてもFlash状の発光キネテイクスになるなど、ホタルルシフェラーゼ による発光反応 とは異なる特性 を明 らかにした。 また、Flash発 光後の急速な発光の減衰は CoAの

添加 により抑制 されることを確認 した。さらに、 CoAの 代わ りにピロリン酸 を発光反応系 に添加 さ せることにより、鉄道虫由来赤色ルシフェラーゼのみならず、北米産ホタル、イリオモテボタル由来 緑色、橙色ルシフェラーゼの何れの発光反応 においても、発光強度の減衰が抑制 された Glow発 光ヘ 制御できることを明らかにした。特にビロリン酸の効果は実用化 においても重要な知見であるが、こ れは CoAと 同様 にルシフェラーゼのターンオーバー効率に影響 を与える可能性 に、或いは、各種ル シフェラーゼによる初期発光反応の発光強度 を制御する作用 を持ち合わせる事か らだ Pリ ガーゼ活 性への抑制効果によると推察 した。興味深いことに鉄道虫由来赤色ルシフェラーゼに対 してこの効果 は確認で きなかったが、これはだ Pリ ガーゼ活性 を触媒するルシフェラーゼの活性部位の違いに依 るものと考えられる。よってターンオーバー効率の促進 と初期発光強度の抑制 といつたピロリン酸に よる 2種 類の制御作用 を最適化 させることにより、構造的、さらには発光反応特性 において多様性 を示す発光甲虫ルシフェラーゼの

jJra発

光反応系の制御が可能になることを明 らかにした。

既 に実用化が進められている CoAを 用いたホタルルシフェラーゼ発光反応 において、還元剤 とし て使用 されてきた団 rの 代替に有機イオウ試薬であるジチオカルバ ミン酸 を用いることにより、

Dl田

1/10程

度の濃度で同等あるいはこれを上回る発光活性向上の効果 を確認 したが、 CoAが 共存 しな い反応系では効果は確認 されなかった。 しか しなが ら、ジチオカルバ ミン酸は高濃度条件下でルシ フェラーゼ酵素を不活性化することな く発光反応 を抑制する作用を発見 し、発光反応 を制御する新規 の手法 としての応用の可能性が明らか となった。一方で、ビロリン酸 を反応溶液中のルシフェリン濃 度 よりも高濃度添加することにより、ホタル発光反応の主要用途であるルシフェラーゼアツセイ法に 加え、従来の制御法では困難であつただ Pア ッセイ法における発光反応系で も発光キネテイクスの 向上、ならびに数時間レベルでの発光半減期の延長に顕著な効果を示すことを明 らかにした。還元剤 ならびにピロリン酸などホタル発光反応の制御へ及ぼす新たな補因子による効果により、高価で劣化 し易いチオール試薬 を必要 としない発光甲虫ルシフェラーゼによる 加ッ j"発 光反応系の確立が可能

となった。本反応系は、産業用途への発光甲虫発光反応の展開を加速するにあた り、コス トや適用性 の点で大 きな優位性 を持つ と考えられる。

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論 文 審 査 結 果 の 要 旨

発光甲虫の生物発光反応は発光基質ルシフェリンの酸化 を酵素ルシフェラーゼカ泊虫媒する化学反応 であ り、量子収率 88%と いう地上で最 も高効率のエネルギー変換システムである。ルシフェリンは化 学的に合成可能であ り、また、ルシフェラーゼは遺伝子 レベルで解析が進み大腸菌や哺乳類細胞で生 産で きることか ら、 AIP定 量や細胞内の遺伝子発現 をモニターするレポータアッセイとして研究支 援産業や健康管理産業で実用化、製品化が進め られている。 しか しなが ら、実用化 を進めるにあた り、ルシフェリンとルシフェラーゼの化学反応 を如何 に制御するかが問題 となっている。 とりわけ反 応制御 を考える上での課題は、計測器で測定 しやすい安定 した発光パターン、情報検出の多様化など ルシフェリン・ルシフェラーゼの高機能化などである。そこで、本研究ではホタル生物発光反応系 を 制御することやホタル以外の発光甲虫に目を向けることで上記の課題 にせ まり研究 を行 った。

第 1章 では、研究の背景 となるホタルの生物発光システムの酵素学的及び化学的な基礎、また産 業応用の現状 について述べ、実用化 を進める上での基盤研究の必要性 を的確 に指摘、研究目的を導い ている。

第 2章 では、ルシフェラーゼを用いた情報検出の多様化の可能性 を秘めた鉄道虫由来赤色ルシフェ ラーゼを、カイコ生産システムを利用 して生産 し、その酵素特性 を明 らかにした。

第 3章 では、ルシフェリン 0ル シフェラーゼ反応 を制御可能な因子 として有機イオウ試薬に注 目 し、従来発光反応 を持続 させることに効果のある還元剤ジチオスライ トールに代わ リジチオカルバ ミ ン酸が同様な効果を持つことを明らかにした。詳細な反応機構の解明には至っていないが、安価で生 物学的にも優 しい試薬 を見出 した。

第 4章 では、イリオモテボタル由来緑色ルシフェラーゼを遺伝子工学的に改変することで橙色ル シフェラーゼの作成に成功 した。 さらに、このルシフェラーゼを含めた発光甲虫由来ルシフェラーゼ の発光反応制御 を目指 し、反応生産物の一つであるピロリン酸に着 日し、本化合物が だ Pリ ガーゼ 活性への抑制効果 を発揮することで発光反応が制御 され、安定な発光が得 られることを明 らかにし

た。

最終章の第 5章 では、結論 を述べ、全体 を総括、研究 をまとめた。

以上のように、本研究では、生化学的、生物工学的観点から見て多 くの有意義な知見を得ている。

よつて、本論文は博士

(工

)の

学位 を授与するのに相応 しうる内容 を具備 していることを認める。

‑129‑

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