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臨床実習に対する意識について

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Academic year: 2021

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(1)

臨床実習に対する意識について

実習指導者と学生との相違点から

井口  茂1・中村 律子2・尾崎 英明3

要 旨  臨床実習の在り方を検討する目的で,実習修了後の学生と理学療法士(以下,SV:Supervisor)

に意識調査を行った.その結果,学生では実習の目標に「患者との人間関係」,「基本的な検査測定の実施」

を,S Vは「医療人としての自覚,態度」を挙げていた.指導形態,指導内容は,両者とも「口頭指導」が 最も重要とし,評価判定の形態では,学生は実習指導者による評価を求めており,S Vは教官との合議制を 望んでいた.これらより学生は,症例を通した実践的な知識・技術の理解と応用を求め,S Vは学生の反応・

興味などを重要視していた、臨床実習においてはS Vと学生との間に学習に関する目標,課題,方法などの 共通認識が必要と考えられた.

       長崎大医療技短大紀9:31−33,1995

Key War面  :実習指導者・学生・臨床実習

1.はじめに

 理学療法士養成教育3年次の臨床実習は,学内教育で 得た知識・技術を実際の臨床場面で応用,経験し理解す ることを目的としている1の.理学療法教育の中での臨 床実習に関する議論は,実習の教育目標,指導方法,学 生の評価基準など臨床実習の全般にわたり,その内容は 臨床実習指導者,教育機関でそれぞれ捉え方が異なって

いる.

 今回,臨床実習に対する意識調査を理学療法士と学生 に行い,その意識の違いから臨床実習の在り方について 検討したので報告する.

2.対象と方法

 対象は,平成6・7年度臨床実習を修了した長崎大学 医療技術短期大学部理学療法学科学生37名と長崎県理学 療法士会会員265名(以下,S V l Supervisor)の内,

回答が得られた154名の合計工91名である.回答が得られ た理学療法士154名中,実習指導者として関わっている ものが45名であった.アンケートの内容は,①臨床実習 の目標,②実習指導形態,③指導内容,④学生評価等に 関する項目とし,該当する意識について最も当てはまる ものを記入してもらい,学生とS Vで検討した.

3.結  果

1)臨床実習の目標について

 工期目は,理学療法評価に関する実習が主であり,そ れを反映し,「基本的な検査測定の実施」をあげたもの

が学生19名(5L4%),SV58名(39.5%)と最も多かっ た.次いで6名(16.2%)の学生が「患者との人間関係」

を目標とあげたのに対して,SVでは「医療人としての 自覚・態度」「疾患の理解と情報収集」がそれぞれ19名

(12.9%)であった.

 II期目では,理学療法評価から訓練の実施という一連 の流れを体験することが主である.

学生,S Vとも「問題点の抽出,P T計画立案」がそれ ぞれ20名(54,1%),54名(37.2%)と最も多かった.

次いで学生では6名(16.2%)が「患者との人問関係」

をあげていた.

 皿期目は,臨床実習のまとめと捉えられている.学生 では「患者との人間関係」11名(29.2%),「学内知識・

技術の応用」10名(27%)の順で多かった.S Vでは,

「問題点の抽出,PT計画立案」36名(25%),「学内知 識・技術の応用」25名(17.4%),「基本的治療の実施」

23名(16%)の順であった.さらに臨床実習全体を通し ての目標をどのように捉えるかについては,学生では

「問題点の抽出,P T計画立案」と「患者との人間関係」

が両者とも9名(24.3%)と多かったのに対して,SV では「医療人としての自覚・態度」33名(23%)と最も 多かった(図1〜4).

2)臨床実習の指導形態について

 指導形態で重要と思うものは,両者とも「口頭指導」

がそれぞれ20名(54%),55名(37.7%)と最も多かっ た.次いで学生では「症例検討会」が7名(18.9%),S Vでは「ケースレポート」36名(24.7%)で多かった.

1 長崎大学医療技術短期大学部理学療法学科 2 昭和会病院リハビリテーション科 3 長崎労災病院リハビリテーション診療科

一31一

(2)

井口  茂他

 疾患の理解、情報収集 基本的な検査測定の実施.

問題点の抽出・PT計画立案、

基本的な治療が実施できる .  リスク管理ができる 詩  学内知識・技術の応用  、   患者との人問関係,、

  職員との人間関係 , 医療人としての自覚・態度、、

リハの全体像・PTの位置づけ .

    その他

誉羅

0       20       40

図1.1期目の目標

60

 疾患の理解、情報収集 基本的な検査測定の実施 問題点の拍出・PT計画立案 基本的な治療が実施できる  リスク管理ができる  学内知識・技術の応用   患者との人間関係   職員との人間関係 医療人としての自覚・態度 リハの全体像・PTの位置づけ

    その他

学生SV

0       20       40

図2.H期目の目標

60

 疾患の理解、情報収集 . 基本的な検査測定の実施。

問題、点の抽出・PT計画立案 、 基本的な治療が実施できる 、  リスク管理ができる 、  学内知識・技術の応用.・

  、慰者との人問関係.

  職員との入間関係 . 医療入としての自覚・態度、

リハの全体像・PTの位置づけ 、

    その他

欝響

0     10     20     30

図3.皿期目の目標

40

 疾患の理解、情報収集_

基本的な検査測定の実施 間題点の抽出・PT計画立案 基本的な治療が実施できる  リスク管理ができる  学内知識・技術の応用   患者との入問関係   職員との人間関係 医療人としての自覚・態度 リAの全体像・PTの位置づけ

    その他

      0

       図4.

学登S〜

・一

 10       20

全体的目標

嘗響

30

実際に適切であった指導形態でも,「口頭指導」が学生 15名(41.7%),SV54名(37%)と多かった.次いで,

学生では「ケースレポート」,「デモンストレーション」

の順で,S Vでは,「症例検討会」,「ケースレポート」

の順であった(図5,6).

3)臨床実習の指導内容について

 実習で重きをおくべき指導内容は,学生では「実習に 対する積極性」,「患者・スタッフとの人間関係」がとも に11名(29,7%)で多かった.SVでは,同様に「実習

に対する積極性」が56名(37.6%)で最も多かったもの の「検査・治療技術の習得」は13名(8.7%)と少なかっ

た.

 実際に指摘された,または指摘した指導は,学生,S Vとも「実習に対する積極性」が多く学生24名(53.3%),

S V60名(41.1%),次いで「知識不足」学生15名(33.3

%),S V40名(27.4%)の順であった(図7,8).

4)実習評価について

 学生は「問題解決能力」,「治療態度」での評価を求め

 口頭指導ン 課題レポート寸 ケースレポート装 デイリーノート 寸

 カルテ記載ン  症例検討会歌

デモンストレーション※

  その他

嘗糟

0         20         40

  図5.重要と思う指導形態

60

 口頭指導く 課題レポート冗 ケースレポート く

デイリーノートト  カルテ記載  症例検討会〜

デモンストレーショント

  その他く

嘗響

0  10     20     30     40

図6.効果のある指導形態

50

知識の確認・習得

.検査・治療技術の習得

患者・ス外フとの人間関係

実習に対する積極性

その他

判s        %

0      10      20      30

図7.重きをおく指導内容

嘗響

40

知識の不足

検査・治療技術の不足

患者・スタ刀との人問関係

実習に対する積極性

その他

学S       %

0        20        40

図8.指摘した指導内容

言響

60

一32一

(3)

臨床実習に対する意識について

ており,それぞれ19名(52.8%),16名(44.4%)と多 かった.S Vは,「治療態度」81名(52.6%),「問題解 決能力」41名(26.6%)を評価内容にあげていた.しか

しながら,「知識の豊富さ」,「治療技術」などは評価の 内容に重要ではなかった.学生が重視する実習評価の内 容は,「治療態度」15名(41.6%)と最も多く,次いで

「問題解決能力」13名(36.1%)であった(図9,10).

そしてS Vが学生を評価することに関して,ほぼ正当に 評価されたと感じているのは36名(97,3%)であった.

知識の豊富さ

治療技術

治療態度

間題解決能力

レホ㌧ト等の提出物及び発表 SV及ぴス殉フとの人間関係

その他

学S

,、,、ノ.ρ

0 20 40

図9.重視すべき学生評価

知識の豊富さ

治療技術

治療態度

問題解決能力・

レポート等の提出物及ぴ発表 

SV及ぴスタガとの人間関係

その他

欝翻

60

 O     IO     2Q     30     4C

図10.重視された学生評(学生)

5D

5)評価判定の形態について

 学生は,S Vによる判定を最も多く12名(51.7%)希 望しているのに対して,S Vは90名(60.8%)が教官と の合議による判定を希望していた(図11)。

SVによる評価判定

教官による評価判定

SVと教官による合謙」

その他

S

 0      20      40      60

図11.望ましい評価判定の形態

学生画SV憩

80

は知識とその理解,情意領域は反応・態度・興味,精神 運動領域は行動,技術の実践などである.したがって臨 床実習の形態が1〜皿期と分類されていても各期の目標 は,各領域すべてについてあげられ,また学習者と教育 者の問で共通であることが望ましい.

 今回,得られた学生の実習目標は,1期〜皿期で「基 本的な検査測定の実施」,「間題点の抽出・P T計画の立 案」,「学内知識・技術の応用」が多くあげられ,学内で 得た知識の統合と応用や実践に関することが主であった.

一方,S Vでは学生同様に「基本的な検査測定の実施」,

「間題点の抽出・PT計画の立案」を主な目標としてい たが,「医療人としての自覚・態度」もその目標に上げ られており,知識・技術とともに,学生の理学療法に対 する興味,態度を重要視している.

 指導形態では,両者とも「口頭指導」を重要とし,学 生はさらに「デモンストレーション」などの具体的指導 を求めており,ここでも理学療法の実践に関する指導を 求めていた.

 指導内容では,学生・S Vとも「実習に対する積極性」

を重要としていたが,上述した実習の目標,指導内容か ら考えると学生は,具体的治療や訓練などの行動的な積 極性を重視し,S Vは学生の反応・興味をも加昧した積 極性を重視していることが伺われる.

 さらに,実習評価においても学生では,実習全体を通 した問題に対する解決能力の評価を求めており,S Vは 学生の反応・興味を学生の態度から評価すべきと考えて いることが伺われる.そして学生とS Vの評価判定の相 違は,学生の反応・興味という情意領域の評価をS V個 人が適切に判定できるかどうかという疑問を抱いている

ものと思われた.

 今回の調査から学生の臨床実習に対する意識は,より 実践的な知識・技術などを求めており,S Vでは学生の 反応,興味などの情意的側面を求めていた.

 臨床実習は,学内教育とは異なる体験学習として位置 づけるべきであり,有効な学習を行うためには,教育に 携わるS Vと学生の間に知識・技術,課題に対する反応,

興味,・実践などの共通認識が必要であると考える.

参考文献

1)臨床における教育方法をどう改善していくか:林  茂,理・作療法,15,407−41L

2)臨床実習における問題点一学生評価のバラツキと実  習継続性について一:宮下智他,理学療法学,Vol18,

 No5,503−511.

3)臨床実習教育の手引き第3版:社団法人日本理学療  法士協会

4.考  察

 臨床実習などの学習目標を定めるに当たり,学生が学 ぶものには,1.認知領域,2.情意領域,3.精神運 動領域があるといわれている2).具体的には,認知領域

一33一

参照

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