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(1)

ギ ャップ変化法 によるイネ葉身水分含量の 非破壊計測に関する基礎的研究

Fundamental Study on Non-destructive Measurements of Leaf Water Content of Rice by Gap Change Method

増田好治・ 藤井道彦

Yoshiharu MASUDA and Michihiko FuJH

(平7年10月2日 受理

)

Abstract

Measurements of water content of rice leaf by gap change method is described.

Water content can be measured without the influence of leaf width, even in the case that leaf width changes. Linear relationship was observed between relative dielectric constant and water content of rice leafo As a result of this experilnent,we could obtain the possibility of this method for the non‐

destructive measurements of leaf water content.

1。

は じめに

植物体 の生理機能 は、葉身の水分状態 に大 きく影響 され る

1)。

イネにおいて も、葉身 水 ポテ ンシャルの低下 とともに光合成 は抑制 されるので

2)、

水 ス トレス条件下 におけるイネの生育 を 高 く維持す るための生理的な基礎 デー タと して 、また、水 田にお ける中干 し後 の給水時期 を判 定す る上 での生理的指標 と して、イネの水分状態 の非破壊計測 は重要である。

植物体 の葉身水 ポテ ンシャルの測定法 にはサイクロメータ法 とプ レッシャーチ ェ ンバ法が あ る。サイクロメータ法 には非破壊計測 した例 もあるが3,4.5,6,7)、 プ レッシャーチ ェ ンバ法 もサ イ クロメー タ法 も基本的 には破壊計測 である。

著者 らは前報 で、茎内静電容量 の変化を測定す ることによ り、イネの茎 の水分状態 の非破壊 計測を試 みた

8)。

̲方、光合成 は主 として葉で行 われ るため、葉身水分状態を捉 え る ことは非 常 に重要 である。前報 の方法で葉身水分状態を測定す るには、葉 の表裏 に導電性テープを貼 り、

コ ンデ ンサを形成 して測定す ることになる。 しか し、土壌乾燥条件下 にあるイネに給水 した場 合 は、時間の経過 とともに葉の厚 さが変化 し、 コンデ ンサの電極間距離が変 わ って しま うこと

にな るので、前報 の方法 は適用 で きない。本研究では、葉の厚 さを測定す ることによ って、厚 さの変化 に影響 を受 けず に測定す ることが可能 なギ ャップ変化法を用 いて、葉身水分含量 の非 破壊計測 のための基礎的研究 として、イネの葉身水分含量 の計測を試 みた。

2.測定原理

ギ ャップ変化法 による試料 の比誘電率の測定原理 は、以下の通 りである。

(2)

2.1 

試料をは じめに挿入する場合

増 田 好 治・ 藤 井 道 彦

(A)

Fig. I . Principle of gap change method in material is inserted at the start of

まず、Fig.l lAlに示 す よ う

に、

tOの

間隔 を もつ金属 製 円板電極

Pと

Qとか らな る平 行板 コンデ ンサ中に厚 さ

tの

試料 を挿入 してお く。 この と

き、

P一 Q間

の静電容量

Cは

厚 さ

tの

試 料 に よ る容量

Ct

と距離 (tO― t)によ る空 隙部分 の容量C'との合成容 量 であ る。

したが って、空気 の誘電率 を εO、 試料の比誘電率を εs、

電極Pの面積 をAとす ると次

式 が得 られ る。

=C=

(B)

the case that test

the measurement.

.け

α =♯

C=♯

ここで試料 を取 り去 ると

P一 Q間

の容量 は減少す るので、Fig。 lDに示 す よ うに電極

Pを

t

だ け近 づけ、電極間の距離 を

(tO―

△t)と して最初の容量

Cと

等 しくな るよ うにす る。 した が って、次式 が得 られ る。

×

ε

sA+

εoA 一﹇ t+ε 6oEsA stO一

εst

.・

 

ε s =

t―

t

(a式 によ り、試料 の厚み tと ギ ャップ変化 △tを測定す ることによつて、試料 の比誘 電 率 ε

s

を求 めることがで きる。数 メガヘルツの周波数領域 において は、植物組織 の比誘電率 が

2程

であるのに対 し、水の比誘電率 は81と大 きいので、試料を植物 と した場 合 、{2)式に よ る εsの 値 か ら植物組成内の含水量 を知 ることがで きる。

2.2  試料 を後か ら挿入する場合

Fig。 20に示す よ うに、電極間の距離 を tOに 保 った ときの容量 をCとす る と次 式 が得 られ る。     c= ̲i占

υ)

(3)

次 に、Fig。 2Dに示 す よ う に、厚 さ tの 試料 を挿入 す る と電極 間容量 は増加す るので、

電極Pをtだけ遠 ざけ、P―

Q間

の容量をCと 等 しくする。

この ときの

P― Q間

容量 は厚

tの

試料 によ る容量Ctと 距離 (tO+△t一 t)に よ る 空隙部 分 の容 量C'と の合成 容量 であ る。 したが って、次 式 が得 られ る。

C' = C =

ε

OA tO+△

t―

t

(A)

Fig.2. Principle of gap change method material is inserted afterwards in

(B)

in the case that test the measurement.

CtC'

Ct+C'

€o€sA t

ε

OA tO+△

t一

t ε

sA

t ε

0

ε  OA

tO十 △t―

t

εsA

t+ε stO+ε

s△ t― εst

.。 

ε s =

t― Δt

(0式 は(2)式と同 じであ り、試料 を は じめに挿入 して も後 か ら挿入 して も、同 じ結果が得 られ る。

3.供試材料 と実験方法

供試材料 と して は、イ ン ド型水陸両用稲であるDular lを 用 いた。Dular lは 、干 ばつ抵抗 性 の品種 であ る

9)。

また、Dular lは 日本型水稲 と比べて葉幅が広 いため、測定の際に必要 な、

電極 を完全 に覆 う幅 の広 い葉身が多 く、測定 が容易である。

1995年

5月25日に、催芽種子 をペーパ ーポ ッ トに播種 した。測定 には、ポ ッ ト栽培 したイネ と、圃場 で栽培 したイネとを用 いた。ポ ッ ト栽培では、 6月28日 に1/5000aワ グナー ポ ッ トに

1本

植 えで移植 した。施肥 は、元肥 と して ポ ッ ト当 り窒素1.5gを与 えた。ポ ッ ト栽培 で は、乾 燥処理 を行 うまでは湛水状態を保 った。一方、圃場栽培 で は 6月16日に、 ビニルハ ウスで降雨 を遮断 した畑地 に、条間30cm、 株 間15cmの

1本

植 えで移植 した。施肥 は、元肥 と して10a当 り 窒素成分量で5 kg、 追肥 として

5 kgを

与え、合計で窒素

10kgと

した。活着後 は潅水 を停止 し、

土壌乾燥処理を行 った。

ポッ トで湛水栽培 したイネでは、 9月15日にポッ ト下側のゴム栓をはず して排水 し、 9月

18

日まで土壌を乾燥 させた。このポッ トをPlとす る。

εoA

0 0

(4)

(4)

一方、圃場栽培 したイネは、 9月18日 に根 をで きるだ け切断 しないよ うに注意

して土壌 ごと掘 り取 り、1/5000aワ グナー ポ ッ トに移植 した。 このポ ッ トをP2と

す る。

9月18日に、土壌 を乾燥 させ たPlと P2に再給水 して湛水状態 とし、イネの 葉身 の水分含量 の変化を測定 した。再給 水前 の土壌水分含量 は、Plで乾燥土壌 当 り6。

9%、

P2で

3.7%で

あ つた。再給 水前 において、Plではイネの葉身 は軽 い萎凋 を示 し、巻 きかけた状態であった。

一方、P2では葉身 は完全 に萎凋 し、強 く巻 いた状態であ った。

ギ ャップ変化法 によって水分含量 が測 定可能 であ ることを確認す るため、 イネ の葉 につ いて測定す る前 に、水 で濡 ら し た濾紙 を用 いて、乾燥 に伴 う濾紙 の水分 含量 の変化 を測定 した。

測定 には、先 に示 した測定原理 の「 試 料 を は じめに挿入す る場合」を用 い、濾 紙 およびイネの葉を試料 とした。比誘電 率 と水分含量 との対応を検討す るためにヾ 本実験 で はイネの葉 を試料 とす る際 に、

カ ッターナイ フを用 いて基部で切断 した 葉身 を用 いた。Fig.3に 示 す よ うに、 イ ネの葉身

(leaf blade)の

中で中肋 (mid̲

rib)が比較 的硬 く厚 み が大 きい の で 、 葉身全体 の厚 さを測 るときに不都合で あ

る。そ こで、Fig。 4に示 す よ うに、電極

Qの

直径部分 に溝を作 り、そ こに中肋 を 落 と して葉身全 体 の厚 さ

tを

測定 した。

また、中肋内には破生通気腔

(lySigenOus

aerenchyma)と よばれ る空隙が存在 し、

葉身 の他 の位置 とは内部構造が異なるが、

中肋 を溝 に落 とす ことによって中肋を除 外 して測定す ることがで きる。また、測 定原理 の説明で はPを移動 させたが、実 際 には電極 の構造上 、

Qを

動かす ことに よ って測定 を行 った。なお、用 いた電極

増 田 好 治 0藤 井 道 彦

lysigenaus aerenchyma

Fig. 3. Structure of rice leaf. This figure is adapted from Hoshikawato).

1.5(″

"η )

0。7(

"2)

Fig.4. Structure of the electrode.

(5)

Pの面積

Aの

値 は0。95(cm2)でぁる。 tの 測定 は、

Fig.5に

示 す電極 を用 いて行 う。 マイ ク ロメータ

Aに

よ り電極間距離 tOを 目標値 に設定す る。本実験 で は、tO=2(mm)と した。D

Cモ ー タ

Mを

駆動 してマイクロメータヘ ッ ドBを左へ移動 させ ると、

Cが

傾斜

Dに

沿 って上 側 に移動 し、同時 に

C上

に置かれたス ピン ドル

Fが

上昇す る。 くし形格子電極

Gの

上 に感圧 ゴム

Kが

置かれて いる。電極

Qが

上昇 し、イネの葉Sを押 しつ け、一定圧力 になると感圧 ゴムの抵 抗値 が変化す ることによ り格子電極間の抵抗値 が日標値 に到達す る。 その値 を電 圧 に変換 し、

コ ンパ レー タを介 して リレー回路 に導 き、モータの駆動回路を切 り電極

Qの

上昇を停止 させ る。

この ときのマイ クロメー タの日盛 りか ら tを 測定す る。

Δtの測定 は次 の通 りである。Fig。 l lAlに示す端子

Hを

高周波抵抗容量計

8,lL 

② に接続 し、 イ ネの葉 を挿入 したのち tOを 2(mm)に設定 し、 この ときの容量 出力 を零 にす る。抵抗 容量計 の使用周波数 は

6(MHz)で

ある。次 に、イネの葉 を除 くと容量 出力 は負 となるので、マイク ロ メー タを容量 出力 が零 にな るよ う調節 し、 この ときの マ イ ク ロメ ー タの読 み と

tOの

2

(mm)との差 を △tとす る。

ギ ャップ変化法 による測定 の後、ただ ちに用 いたイネの葉 の生体重を測定 した。その後 、葉 を通風乾燥機 に入 れて

80℃

48時

間以上乾燥 させた後、乾物重 を測定 し、葉 の水分 含量 を求 め た。濾紙 につ いて も、同様 に して湿潤状態での重 さと乾物重か ら水分含量 を測定 した。

Measuring instrument for gap change method.

micrometer thimble, B : micrometer head, C : movable table, inclined plane, F : spindle, G : grid type electrode,

lead wire, K : pressure sensitive rubber, M: D-C motor, electrode (hign potential side), Q : electrode (earth side), sample (leaf of rice)

Fg

(6)

増 田 好 治・ 藤 井 道 彦

Filter paper

Y=‐

13。0+15.lX

r〓 0。

993費

4.結果 と考察 水 で濡 ら した後 、 異 な る時間乾燥 させ

た濾紙 につ いて、本 測定法 によ り求 めた 比誘電 率 εsと 、 乾 物重 当 りの水分含量

Mdと

の 関 係 をFig。

6に

示す。両者 間 に は直線関係 が認 め ら れた。

乾燥土壌 に給水 し た ときのイネの葉 に つ いて求 めた比誘電 率 εsと、 乾 物 重 当 り水 分 含 量

Mdと

関係 をFig,7に 示す。

両者間 には、濾紙 の 場合 と同様 に直線 関 係 が認 め られた。す な わ ち 、 比 誘 電 率 εsをX、 葉 身 水 分 含 量

Mdを

Yと す る

0 0

S ︵ Y

200

150

50

12

14

0 10

Fig.6 . Relation between water content and relative dielectric constant in the case of filter paper.

と、Plで

Y=93.5+39.9X(r=0。

925・)で表 され、1%水準 で有意 で あ った。 また、P2

で は

Y=77.0+21.4X(r=o。

986・)で表 され、5%水準で有意 であ った。なお、測定 に用 いた イ ネの葉身 の乾物重 は、0。

08〜 0.28gで

あつた。

Plと P2と では直線 の傾 きが異 な ったが、 この原因 は次のよ うに考 え られ る。P2では葉 が萎凋 して強 く巻 いていたため、測定 の際に葉を広 げる必要があ った。 このため、葉 の厚 さの 測定 と、葉で電極 を完全 に覆 うことが難 しく、測定上 の誤差 が大 きか った可能性 がある。 した が って、P2は参考 データとして示 している。本測定法 によ って求 めた比誘電率 と水分 含量 と の関係 につ いての、イネの栽培条件 による差 の検討 は、今後 の課題であ る。

本実験 で は、カ ッターナイフを用 いて基部 で切断 した葉身を試料 としたので、再給水後 にお ける葉身 の水分含量 の回復を、

1回

の測定 ごとに異 なる葉 を用 いて測定 して い る。Fig。 7に いて若干 ば らつ きがみ られ るのは、異 なる葉 を用 いて測定 した ことが原因だ と考 え られ る。 し か し、実際の適用 において は、同一 の葉 について測定をす るため、ば らつ きは小 さ くな る と思 われ る。

Fig.7か

ら、栽培条件 によって比誘電率 と水分含量 との直線式が異 な る場合 にお いて も、両 者間の関係 は直線的であ ることか ら、

1枚

の葉 について比誘電率 と水分含量 の関係 を破壊計 測 すれば、他 の葉 につ いて は非破壊計測が可能 である。

また、前報8)の方法で は、あ る状態か らの容量 の変化量 の測定であるので、異 な る測定部 分

(7)

の値 を比較す ること

が で きなか ったが 、    350

本測定法 で は比誘 電 率を求めることか ら、

異 なる測定部分 の水     300

分含量 の絶対値 を比

較す ることが可能 で     250

あ る。

乾燥条件下 の イ ネ     2∞

に給水した場合、葉

  

の厚さが変化するた

  

 150

めに、前報 の方法

8)

で は葉身水分状態 を     1。 測定す ることがで き

なか った。試 み に

1

枚 の葉 につ いて厚 さ     50

の変化を測定 してみ

た結果、給水前 の葉     0

の厚さは 0.459mmで        島

あ った ものが、給水

によ って萎凋か ら回  Fig。7.Relation between water content and relative dielectric constant in

復 した ときの葉 の厚     the case of rice leaf。

さは

0.569mmで

24%厚

くな った。

5.ま とめ

本研究 で は、ギ ャップ変化法 を用 いて、イネの葉身水分含量 の計測を試 みた。ギ ャ ップ変 化 法 では、葉 の厚 さを測定 しているため、葉 の厚 さが変化す る場合で も、葉の厚 さに影響 されず に水分含量 を測定す ることがで きる。実験 によって求 めたイネの葉 の比誘電率 と水分含量 との 間 には直線関係 が認 め られ、葉身水分含量 の非破壊計測 に対す る本方法 の有用性 が示 され た。

比誘電率 と水分含量 との関係 につ いての、イネの栽培条件 による差 の検討、な らびに測定 シス テムの 自動化 につ いて は、今後 の課題である。

最後 に、本研究 は財団法人「 新技術開発財団」の助成を受 けたことを付記 し謝意を表 します。

本研究 において使用 した電極 の作製 に協力 いただいた、本学部大倉宏之技官に感謝致 します。

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Leaf of rice

   

̀ Pl Y〓 3が

91

p/

/

0/

    Y=77.0+21。

P2

4X

/

0.986・

0123456

(8)

増 田 好 治・ 藤 井 道 彦

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Fig.  I  .  Principle  of  gap  change  method  in material  is  inserted  at  the  start  ofまず、Fig.l lAlに示 す よ うに、tOの間隔 を もつ金属 製円板電極PとQとか らな る平行板 コンデ ンサ中に厚 さtの試料 を挿入 してお く。 この とき、P一Q間の静電容量Cは厚 さtの試 料 に よ る容量Ctと距離(tO―t)によ る空隙部分 の容量C'との合成容量 であ る。したが って、空気 の誘
Fig.  3.  Structure  of  rice leaf. This  figure  is  adapted from  Hoshikawato).

参照

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