KSR 事件合衆国最高裁判所判決 について ( 1)
KS RI n t e r n a t i o n a lCo . Ⅴ . T e l e n e xl n c . e ta 1 . , 5 5 0U. S .
‑( 2 0 0 7 ) 奥 部 弘 司*
1.
はじめに本判決は、既知の要素 を組み合わせた発明に 関 し、その 自明性 を如何 に判断す るか とい う問 題 について合衆国最高裁判所が判断を示 した も のである。 この点については、連邦巡回控訴裁 判所 (CAFC)が、いわゆる 「教示、示唆、ま たは動機付 け」テス トを示 し、それが長 らく用 い られてきた ところ、本判決ではその妥 当性 が 論 じられた ものであ り、実務 に与 える影響 も少 な くない もの と思われ る。そ こで、最高裁 の判 断について詳 しく紹介 した上で、若干の考察 を 加 えてみたい1。
2.
事案の概要判決文 を基 に、事実関係 をま とめると以下の よ うになる。
(なお、本稿 において
《 》
は判決文の引用部分 を示す。通常は 「」で示す ところであるが、引 用内で も 「」や 『』で表記すべ き部分が少な く な く、対応 関係 が分か りづ らくなるため、《 》
で表す こ ととした。 なお、2.1や (1)等 の 項番号お よびそれ らに続 く見出 しは全て、説 明 と理解 の便宜のために筆者 が付与 した ものであ り、判決文の ものではない。)
2.1 ペダルについての基礎知識
(1) 《コンピュー タ制御 され たスロッ トル を 持たない 自動車エ ンジンにおいて、アクセルペ ダルはケーブル または他 の機械 的連結 を通 じて スロッ トル と相互作用 している。ペ ダルの腕 の 部分は、 ピボ ッ トを中心に回転 し、 レバーの よ うに働 く。 ケーブル によって動作 させ られ るス ロッ トル制御 においては、ペ ダル を踏み込む こ とによって生 じる回転がケーブル を引っ張 り、
その結果、キャブ レ一 夕‑や燃料噴射装置内の バルブを引っ張 って開放す る。バルブを開けば 開 くほ ど、 よ り多 くの燃料 と空気が噴射 され、
燃焼 を増加 させ て 自動車 を加速 させ る。 ドライ バーがペダルか ら足を外 したとき、ケーブルは緩 んでバルブが閉ま り、上記 と逆のことが生 じる。
1990年代、エ ンジンの動作を制御す るために、
自動車にコンピュー タを搭載す ることが よ り一 般的になった。コンピュータで制御 されたスロッ トル は、機械的連結 によってペ ダルか ら伝達 さ れ る力 を通 じてではな くて、電気信号に応 じて バルブを開放 した り閉 じた りす る。空気 と燃料 の混合の連続的かつ微妙 な調整 が可能 となる。
ペダルの位置を超えた諸要素について、コンピュー タが迅速 に処理す ることで、燃料の効率 とエ ン ジンの能力が改善 され る。
コンピュー タ制御 スロッ トル が ドライバーに よる自動車操作 に反応す るために、 コンピュー タはペ ダルが どうなってい るのかを知 る必要が ある。 この 目的のためには、ケーブルや機械的
*神奈川 大学経営学部准教授
1なお、紙幅の関係等 もあ り、本号では判決の要 旨を紹介す るところまで とし、考察については次号 (予定)に譲 り たい。
な連結は十分ではない。そ こで、機械的な操作 をコンピュー タが理解 できるデジタルデー タに 変換す る電気的セ ンサーが必要 となる。 2》
(2)Steven
∫ .
Engelgauが、 《本件 で争 われ ている彼の特許を出願す る十分前に、コンピュー タ制御式ス ロッ トルのための電気的ペ ダルセ ン サー を含む特許権 を取得 してい る発明家が複数 いた。 これ らの発 明、例 えば合衆国特許番号5, 241,936(1991年9月9日出願 )(936特許) に開 示 されたよ うな装置は、エ ンジン内ではな くて、ペ ダル ・ア ッセ ンブ リ‑ 3内のペ ダル の位置 を 検出 した方が好ま しいことを教示 している。936 特許は、ペダル ・ア ッセ ンブ リ‑内のピボッ ト・
ポイ ン ト上に電気セ ンサーが存在す るペ ダル を 開示 している。合衆国特許番号5,063,811(1990 年7月9日出願)(Smith特許) は、セ ンサー とコ
ンピュー タを接続す るワイヤーがす り切れた り 摩耗 した りす るのを防 ぐためには、そ して ドラ イバーの足によって汚 された り傷っ け られた り す ることを避 けるためには、セ ンサー を、ペ ダ ルの踏みつけ部分上またはその内部ではな くて、
ペ ダル ・ア ッセ ンブ リ‑の固定部分 に設置す る べ きであることを開示 している。
セ ンサー統合型ペ ダル についての特許権 に加 え、発明家達は、 自己完結型のモ ジュラーセ ン サーについての特許権 も取得 した。モ ジュラー セ ンサーは、 コンピュー タ制御型ス ロッ トル を 有す る自動車で機械式ペ ダル を利用可能 にす る ために、棚か ら下 ろ して直 ぐに、様 々なタイプ の機械式ペ ダルに取 り付 け られ るよ うに、特定 のペ ダルか らは独 立 して設計 されている。その ようなセンサーの一つは、合衆国特許番号5,385, 068(1992年12月18日出願 )(068特許) におい て開示 され てい る。1994年 、 シボ レー社 は、
「ペ ダル に隣接 し、ペ ダル の支持 ブ ラケ ッ トに 取 り付 け られ、ペ ダルが操作 中に回転 させ るピ ボ ッ トシャフ トにかみ合わ され る」モ ジュラー
セ ンサーを利用す る トラックの 1シ リーズを製 造 していた。》
(3) ところで、ペ ダルの 《伝統的な設計にお いては、ペ ダル は踏み込んだ り戻 した りはでき るが、ペ ダル を前や後 ろにスライ ドさせ て、ペ ダルエ リア内での位置 を調整す ることはできな かった。結果 として、ペ ダル に近づ きたい とか 遠 ざか りたい と思 う ドライバーは、 ドライバー シー トの中で座 り直 した り、シー トを何か しら 移動 させた りす る しかなかった。 この問題 を解 決す るために、発 明家達は、1970年代 を皮切 り
に、ペ ダルエ リア内での位置 を変 える調整が可 能 なペ ダル を設計 した。本件 に重要な特許権 と
して、合衆国特許番号5,010,782 (1989年7月28 日出願)(Asano特許) と合衆国特許番 号5,460, 061 (1993年9月17日出願)(Redding特許)の 2 つがある。Asano特許 では、ペ ダル の位 置が ド ライバー との関係 によって調整 された ときでも、
ペ ダルの ピボ ッ ト・ポイ ン トの内の一つは固定 されたまま となるよ うなペ ダル を収容す る支持 構造 を開示 してい る。そのペ ダル は、ペ ダル を 踏み込むために必要な力が、ペ ダル位置 を調整 して も同 じにな る よ うに も設 計 され てい る。
Redding特許 は、ペ ダル とピボ ッ トの両方 が調 整 可能 な、異 な るス ライ ド機 構 を開示 してい
る。》
(4)Engelgauの発 明に とっての 《先行技術 に は、調整可能 なペ ダル上にセ ンサーを設置す る ことを示す特許権 も含 まれ ていた。例 えば、合 衆国特許番 号5,819,593(1995年8月17日出願) (Rixon特許) は、ペ ダルの位置 を検 出す る電気 的セ ンサー を有す る調整可能 なペ ダル ・ア ッセ ンブ リ‑ を開示 してい る。Rixonのペ ダルでは、
セ ンサーはペ ダルの踏みつ け部分 に存在 してい る。Rixonのペ ダル は、ペ ダル が踏 み込 まれ た りゆるめ られた りす るときにワイヤーがす り切 れ る問題 を抱 えることで知 られていた。》
2 「2.事案 の概要」 において判決文を引用す る場合は、引用参照表記等は省略 した。
3 自動車業界 においては、組み立て済み部品を 「ア ッセ ンブ リ‑」 と呼んでい るよ うなので、"pedalassembly"も、
ペ ダル ・ア ッセ ンブ リ‑ と訳す こととした。
2.2 訴訟提起 までの経緯
(1)本件 の原告 であ るKSRはカナ ダの会社 で あ り、ペ ダル システムを含 む 自動車部 品を製造 販売す ることを業 としてい る。
《フォー ド自動車 は、1998年 に、ケーブル制 御式ス ロッ トル を備 えた様 々なシ リーズの 自動 車向けの調整 可能 なペ ダル システムの供給元 と してKSRを採用 したoKSRは フォー ドのた めに 調整可能 な機械式ペ ダル を開発 し、その設計 に 関 して合衆 国特許番 号6,151,976 (1999年7月16
日出願 )(976特許 ) を取得 した。2000年 、GM は、 コンピュー タ制御型 ス ロッ トル を有す るエ ンジンを搭載 したシボ レーやGMのライ トトラッ ク向けの調整可能 なペ ダル の供給元 としてKSR を選 んだ。976特許ペ ダル をそれ らの トラ ック に適合 させ るた めに、 KSRはその設計 を選 びモ ジュラーセ ンサー を付加 した。》
(2) 《Teleflexは、調整 可能 なペ ダル の設 計 製 造 にお いて、KSRの ライバル であ る。》 同社 は、Engelgauよ り、
《
「電気 的 ス ロ ッ トル制御 を備 えた調整可能 なペ ダル ・ア ッセ ンブ リ‑」との名称が付 け られている合衆国特許番号6,237, 565Bl (Engelgau特許 ) の独 占的利 用許諾 を得 てい る。》
(3) 《Engelgauは、合 衆国特許番号6,109,241 (1999年1月26日出願) となった先行 出願 に対す る継続 出願 として、2000年8月22日に特許 出願 を行 った。彼 は、 当該特許権 の主題 について、
1998年2月14日に発明 した と宣誓 した。Engelgau 特許 は、 「それ程 高価 で はな くかつ部 品点数 が 少 な く、乗 り物 に搭載す ることが容易な、単純 化 された乗 り物制御用ペ ダル ・ア ッセ ンブ リ‑」
として明細書 に記載 され た調整 可能 な電気的ペ ダル を開示す る。本件 で問題 となってい る、特 許 のク レーム4は、以下の よ うになってい る :
「乗 り物 の構造体 に据 え付 け られ るため に採用 され る支持体 と、
前記支持体 に関 して前後方 向に移動す る ペ ダル腕部 を持 った調整 可能 なペ ダル ・ ア ッセ ンブ リ‑ と、
前記支持体 に関 して前記調整可能 なペ ダ ル ・ア ッセ ンブ リ‑ を回転的に支持 し、
ピボ ッ ト軸 を限定す るための ピボ ッ トと、
乗 り物 システムを制御す るために前記支 持体 に取 り付 け られた電気的制御
とを有す るよ うな乗 り物 の制御ペ ダル装 置であって、
前記ペ ダル腕部 が、前記 ピボ ッ トに関 し て前後方向に移動 している間、前記 ピボ ッ トの位置が不変であ り続 け、静止位置 と 適用位置の間で前記ペ ダル腕部が前記 ピ ボ ッ ト軸のまわ りを回転す る とき、ペ ダ ル腕部 の位置 に対応す る信号 を発生す る ために前記 ピボ ッ トに反応す る前記電気 的制御 を特徴 とす る前記装置
」》
《Engelgau特許 を付 与す る前 に、合衆 国特許 商 標庁 (PTO)は、現在 の ク レー ム4と類似 して い るが、それ よ りも広汎 な特許 ク レームの一つ を拒絶 した。 当該 ク レームは、セ ンサーが固定 され た ピボ ッ トポイ ン ト上に置 かれ ることとい う要件を含んでいなかった。PTOは、当該 クレー ムは、Redding特許 お よびSmith特許 にお いて開 示 され た先行技術 の 自明の組み合 わせ である と 結論づ けた。》
《より広汎なクレームは拒絶 されたが、クレー ム 4は、固定 され た ピボ ッ トポイ ン トの限定を 含 む こ とに よって‑ それ に よってRedding特 許 の設計 とは区別 され た‑ 後 に認 め られ た。
Engelgau特許 は引用先行技術 中にAsano特許 を 含 んでお らず 、Asano特許 は、特許 手続 き中に も言及 され なかった。 そのためPTOは、その時 点では、固定 され た ピボ ッ トポイ ン トを有す る 調整可能 なペ ダル についての情報 を有 さなかっ た。 特許 は2001年5月29日に発 効 され、Teleflex に譲渡 され た。》
(4) 《KSRがGMのた めに行 った設 計 を知 っ た とき、Teleflexは、KSRの提案 内容 はEngelgau 特許 を侵 害す ることにな るだ ろ う旨をKSRに通 知す る警告状 を送 った。》
《KSRはTelenexとの 間 で ロイ ヤ リテ ィにつ いて取 り決 めることを拒否 した。そ こでTeleflex
は、KSRのペ ダル はEngelgau特許お よび他 の2 つの特許権 を侵害す ると主張 して、侵害訴訟 を 提起 した。Teleflexは後に (Engelgau特許以外の) 他の特許権 に関す る主張を放棄 し、それ らの特 許権 を公有 と した。 結果 、GM向けのKSRのペ ダル システムがEngelgau特許 の ク レーム 4を侵 害 してい る とい う主張 だ けが残 った。 なお 、 Teleflexは、 当該特許権 の他 の3つ の ク レー ム がKSRによって侵 害 されてい るとは主張 してい ない し、KSRがフォー ド向けに設計 した機械式 の調整 可能 なペ ダルがTelenexのいずれ かの特 許権を侵害 したと主張 しているわけでもない。)
(5) 《Teleflexは、KSRが以前 に設 計 したペ ダルの一つに電気的セ ンサー を付 け加 えること によってEngelgau特許 を侵害 してい る と主張 し たが、 これ に対 してKSRは、 ク レーム4の主題 は 自明であるので、 当該 ク レー ムは特許法103 条に基づ き無効であると反訴 した。
特許法103条は、 「特許 され ることを求める主 題 と先行技術 との間の相違が、全体 としての主 題が、発明がな された時点において、当該主題 が属す る技術分野 における通常の技能 を有す る 者 に とって 自明であったであろ うといえるよ う な ものである」場合、特許権付与を禁止 してい る。》
2.3 地裁の判断
(1) 《地裁 は、KSR勝訴 のサマ リー ・ジャ ッ ジメン トを下 した。ペ ダルの設計の関連す る歴 史、Engelgau特許 の範 囲、関連す る先行技術 を 評価 した後に、裁判所 は本件で争われてい るク レー ムの有効性 を考慮 した。35U.S.C.§282 の指示 に基づ き、発効 された特許 は有効である
と推定 され る。地裁 は、サマ リー ・ジャッジメ ン トの基準に照 らして、KSRが上記推定 を覆 し ているか どうかを決定す るためにGrahamv.John DeereCo.ofKansasCl'ty,383U.S.1(1966)
の枠組み を適用 し、ク レー ム 4が、ク レーム さ れた主題 が発明 された際に存在 した先行技術に 照 らして 自明であることを示 した。》
(2)Graham判決 において、最高裁 は、103条 の法定の文言を適用す るための枠組みを定めた。
す なわち、 《「103条において、先行技術 の範囲 と内容は次の よ うに決 め られ るべきである : まず、先行技術 と問題 になっているク レーム と の間の差異が確認 され るべ きであ り、その後、
関連す る分野にお ける通常の技能の レベルが決 め られ る。 これ らを踏 まえて、主題 の 自明性 ま たは非 自明性 が決定 され る。商業的な成功や、
長 らく認識 されなが ら解決 され なかった必要性 や、他者の失敗 な どの二次的な考慮要素は、特 許 され ることを求 める主題 の起源 を取 り巻 く状 況 を考慮す るために利用 され得 る。」》 裁判所 または特許審査官が、以上の分析 を行 った結果、
《クレーム された主題 は 自明であると結論 した とき、ク レームは103条 によって無効 となる。》
(3) 《地裁 は、Graham事件 の指示 に従 い、
先行技術 の教示 とEngelgau特許 の ク レーム とを 比較 した。裁判所 は 「ほ とん ど違いを兄いだせ なか った。」Asano特許 は、ペ ダル の位 置 を調 べ、それ をコンピュー タ制御 ス ロッ トル に伝達 す るために、セ ンサー を使用す る以外、ク レー ム4に含 まれてい る全てを教示 していた。その 追加 の側 面 は、068特許や シボ レーに利 用 され ていたセンサーな どの資料に開示 されていた。》
(4) 《しか しなが ら、CAFCによる拘束性 の ある判例 に基づ けば、地裁 はそ こで留まること は許 され なかった。裁判所 もまたTSMテス トを 適用す ることを求め られた。》
TSMテス トとは、 《自明性 についての疑問を よ り統一的かつ一貫性 がある形で解決す る》た めにCAFCが採用 した手法 で あ り、 「教示 、示 唆 、 また は動機 付 け」4 テ ス トの略 で あ り、
《KSRは このテス トその もの、または少 な くと も本件におけるその適用について争 っている。)
4 "teaching,suggestion,ormotivation"については、「教示、示唆、または動機付け」と訳される例が多いので、それ に倣った。
《TSMテス トの もとにおいては、 もし 「先行技 術 を組み合わせ ることについて何か しらの動機 付 けや示唆」が、先行技術や、問題 の本質、ま たは当該技術 にお ける通常の技能 を有す る者 の 知識の中に兄いだ され得た場合のみ、特許クレー ムが 自明 と証明 され ることになる。)
《地裁 はKSRがそのテ ス トを満 たす と判断 し た。 そ してその理 由 と して、(1)業界の状態 は、
当然の こととして、電気的セ ンサー と調整可能 なペ ダルの組み合 わせ に至っていたであろ うこ と、(2)Rixon特許 は これ らの展 開の基礎 を提供 していた こと、(3)Smith特許 が、Rixon特許 にお けるワイヤーのす り切れ間題 に対す る解決策、
特 にセ ンサー をペ ダル の固定 された構造 に置 く ことを教示 していた こ とを挙げた。 これ によっ て、Asano特許 またはそれ に似 たペ ダル を、ペ ダル位置セ ンサーに組 み合わせ ることに至 るこ とができた といえる。》
(5) 《Engelgau特許 のデザイ ンは 自明である との結論は、PTOがク レーム4のより広汎なバー ジ ョンを拒絶 した ことによって も支持 され る と い うのが地裁 の見方であった。 も し、Engelgau 特許 が、その特許 出願 においてAsano特許 を含 んでいたな ら、よ り広汎なバージ ョンをRedding 特許 とSmith特許 の 自明の組 み合 わせ で あ る と 判断 したの と同様に、PTOは、クレーム4はAsano 特許 とSmith特許 の 自明の組 み合 わせ で あ る と 判断 したであろ うと、裁判所は結論づけた。》
(6) 《最後 に地裁 は、Engelgau特許 のデザイ ンに基づ いたペ ダル でTeleflexが商業的 に成功 した とい う二次的要素 は、その結論 を変更 しな い と結論づ けた。
以上か ら、地裁 はKSR勝訴のサマ リー ・ジャ ッ ジメン トを下 した。》
2.4 CAFCの判断
(1) 《TSMテス トに最大の信頼 を置 く故 に、
cAFCは地裁 の判断 を覆 した。地裁 は当該 テス トを適用す るに際 して十分には厳密ではなかっ たために、「『技術 のある技術者の知識 の中に、
[当該]発明について知識 を持たない者に』 ・・・
電気的制御 をAsano特許 の部 品の支持 ブ ラケ ッ トに取 り付 けることを 『動機づ けたであろ うよ うな特定の理解や方針 について兄いだそ うとす るこ と』」を し損 なったのだ とCAFCは結論 づ けた。
解決 され るべ き問題 の性質が この要件 を満 た す とした点で、地裁 は間違 ってい ると、CAFC は結論づ けた。蓋 し 「引用 された先行技術が、
特許権者が解決 を試みたま さにその問題 につい て言及 していないな ら」 当該問題 は、発明者 を してそれ らの引用物 に注意す る動機 を与えない だろ うか らである。》
(2) 《ここにお いてCAFCは、Asano特許 の ペ ダル は、 「割合一定問題 」‑ す なわち、ペ ダル を押 し下げるために必要 とされ る力が、ペ ダルが どの よ うに調整 されて も同一であること を確実にす ること‑ を解決す るために設計 さ れた ものであ り、それ に対 して、Engelgau特許 は、よ り単純かつ小 さくそ して安価で、調整可 能な電気的ペ ダル を提供す ることを求めた もの である と結論 づ けた。Rixon特許 に関 して、裁 判所 は、ペ ダル はワイヤーのす り切れ間題 に悩 む ことになるが、それ を解決す るよ うには設計 されていない と説明 した。裁判所の見方によれ ば、Rixon特許 はEngelgau特許 の 目的 とす る も のに関 して何 も教示 していない。 次 に、Smith 特許 は、調整 可能 なペ ダル とは関係 が な く、
「必ず しも、電気的制御 をペ ダル ・ア ッセ ンブ リ‑の支持ブ ラケ ッ ト上に取 り付 けよ うとい う 動機 の問題 に行 きつかない。」 これ らの特許 が
この様 に解釈 され るとき、 これ らの特許は通常 の技能 を有す る者 を して、セ ンサー をAsano特 許 に記載 された類のペ ダル に配置 しよ うと思い 至 らせ ることはないであろ うと、CAFCは判断
した。》
(3) 《Asano特許 とセ ンサー を組 み合 わせ を 試み ることが 自明であったか も しれない とい う 点は、同様 に無 関係 である とい うのがCAFCの 見解である。蓋 し、「『試み ることが 自明であっ た』 とい うのは、従来か ら、自明であることを構
成 しない とされてきた」か らである。》
(4) 《cAFCは また、PTOに よるク レー ム4 の よ り広範 なバー ジ ョンの拒絶 を地裁 が考慮 し た こ とも非難 した。CAFCの説 明 に よれ ば、地 裁 の役 割 は、 も しEngelgau特許 がAsano特許 に ついて言及 していたな ら、PTOが ど うしただ ろ うか を推測す るこ とではない。 む しろ地裁 は、
既 に発 効 され た特許 については有効で ある とい う推 定の もとに、先行技術 の検討 に基づ き、 自 明性 に関 して地裁 自身 の独 立 した判断 を下す こ とが求 め られ てい る。PTOが ク レー ム4の よ り 広範 なバー ジ ョンを拒絶 した とい う事 実は、そ の様 な分析 にお い て何 の意 味 も持 た ない、 とC AFCは述べた。)
(5) 《cAFCは更 に、重要 な事実 につ いて の 真正 な争 いが存在 し、故 にサマ リー ・ジャ ッジ メ ン トは退 け られ る とも述 べ た。Teleflexは 、 ク レー ム4がRixon特許 と比較 して 「単純 かつ 、 す ぼ らしく、そ して新規 な機 能 の組 み合 わせ で ある」 とす るある専門家の証言 を提 出 してお り、
また ク レー ム4は、Rixon特許 にお け るの と異 な り、セ ンサー はペ ダル 自身 ではな くて支持 ブ ラケ ッ ト上 に取 り付 け られ てい るので、 自明で はない とす る別 の専門家の証言 も提 出 してい る。
この証拠 は、 トライ アル を求 めるに足 る ものだ とCAFCは結論づ けた。》
(6)以上 を不服 と したKSRは合衆 国最 高裁判 所 に対 して裁 量上訴 を求 め認 め られ た。
3.
判決要 旨Kennedy判 事 に よって起 草 され た全員 一致 の 法廷意 見 は、CAFCの判 断 を破 棄 し、事件 を差 し戻す こ とを命 じた。 以下、判決 を可能 な限 り 丁寧 に紹介 したい 5。
3.1 既知 の要素 を組み合 わせ た発 明 にお ける 自明性
5 引用 に際 して判決文の頁の表記は行わなかった。
(1) 《我 々は、CAFCの硬 直 したアプ ローチ を拒絶す るこ とか ら始 め る。 自明性 の問題 につ いての当裁判所 の これ までの取 り組み を通 して、
我 々の判 例 は、CAFCが本 件 でそ のTSMテ ス ト を適用 した方法 とは矛盾す る、拡 張性 のあ るそ
して柔軟 なアプ ローチ を明 らか に して きた。確 か に、Graham判 決 は 「統 一性 と明確性 」 が必 要であることを認識 していた。383U.S.,at18。
しか し、Graham判決 で示 され た原則 は、IIotch kl'ssv. Greenwood,llHow.248(1851)の 「機 能 的アプ ローチ」を再確認 した ものであった。
llHow.248。 参 照 383U.S.,at12。 この 目的 を 達す るた め に、Graham判 決 は広範 な質 問事項 を定 め、適 当な場合 には、有益 で あるこ とが判 明 した二次的 な考慮要素 に注 目す るこ とを裁判 所 に勧 めた。Jd,at17。》
(2) 《先行技術 にみ られ る要素 を組み合 わせ るこ とに基づいて特許 を付 与す る際 には、注意 深 くあ るべ き と当裁判所 は以前 か ら指摘 して き た。 103条 の制 定 も、Graham判決 の分析 も、 こ れ を害す るものではない。 半世紀以上の間、 当 裁判所 は 「古い要素の機 能 を何 ら変更す るこ と な く、古 い要素 を合体 させ るのみの組み合 わせ に対す る特許 は ・・・既 に知 られ た もの を特許 の独 占の 中に引 っ張 り込む ものであ り、技能 あ る者達 に利 用可能 な資源 を減少 させ て しま うも のである こ とは明 白であ る」 と判 断 して きた。
GreatAtlantl'C& Pacl'GcTeaCo.V.SupemlaI・ket EqLl1bmentCoIP.,340U.S.147,152 (1950)。 自 明な ものに対す る特許 を認 め る ことを拒否 して きた主要 な理 由が ここにあ る。 よ く知 られ た要 素 を、既知の方法 に従 って組み合 わせ ることは、
それ が意外性 のない結果 を生み 出す に過 ぎない 場合 、 自明 で あ る可能性 が高 い.Graham判決 の後 に下 され た3つ の判決 が この原 則 の適 用 を 説 明 してい る。)
(3) 《Graham判 決 と一 対 を なす 、Unl'ted Statesv.Adams,383U.S.39,40 (1966)判 決 に おいて 当裁判所 は、2つ の点で先行す る設計 と
異 な る 「液 体電池」の 自明性 を検討 した。す な わ ち、その電池 は、蓄電池 に伝 統的 に採 用 され た酸ではな くて、水 を含 有 していた。 またその 電極 は、亜鉛 と銀塩 化合物 ではな くて、マ グネ シ ウム と白銅塩化合物 であ った。 当裁判所 は、
先行技術 中に既 に知 られ た構 造 に関 して、その 構造 中の ある要素 をそ の分野 で知 られ た他 の要 素 に置換 す るこ とで変 更 され た構造 として特許 を請求す る とき、 当該組 み合 わせ は、予想 され る結果以上の もの を生 み 出 さなけれ ばな らない こ とを認 識 してい た。383U.S.,at50‑51。 それ で も、 当裁 判所 はAdamsの電池 が 自明で あ る と の政府 の主張 を退 けた。 当裁判所 は、先行技術 が教示す るものが、特 定の既知 の要素 を組 み合 わせ るこ とか らほ ど遠 い場合 、それ らの組 み合 わせ に関 して成功す る方法 を発 見す るこ とは、
非 自明で ある可能性 が よ り高い とい う推論 的原 理 に依 拠 した。Id.,at5卜52。 Adamsが そ の電 池 を設計 した とき、先行技術 は彼 が採用 した よ うな種類 の電極 を利 用す るこ とが内包す る危険 を警告 していた。 予期 されず そ して効果的 な形 でそれ らの要素が一緒 に働 いた とい う事実は、
Adamsの設 計 が 、 当該 技術 の技能 を有す る者 達 に とって 自明でない とい う結論 を支持 した。
Anderson'S‑Black Rock, Inc.V. Pavement SalvageC0.,396U.S.57(1969)判決 において、
当裁判所 は このアプ ローチ に磨 きを掛 けた。 当 裁判所 が検討 した特許 の主題 は、既存 の 2つ の 要素 を組み合 わせ た装置 であった。具体的には、
栢射熱バーナー と舗装機 の組み合わせ であった。
問題 の装置 は、何 も新 しい相互作用 を生み 出 し ていない と当裁判所 は結論づ けた。す なわ ち、
福射熱バーナー はバー ナー と して期待 され た よ うに働 くだ けの ことで あ り、舗 装機 について も それ は同 じだった。2つ を組み合 わせ た ものは、
それ らが別 々に、そ して順番 に機 能す る以上の こ とを しなか った。Id.,at60‑62。 この よ うな 状況 にお い て は、 「古 い要素 の組 み合 わせ が有 用 な機能 を果 た してい るが、それ は既 に特許 さ
6 "鮎ldorendeavor''を本稿 では、 「努力分野」 と訳 した。
れ てい る輯射熱バーナー の本質や性能 に何 も付 け加 えてい ない」 故 に、 103条 に基 づ き特許 と な らなか った。Id.,at62(脚 注 は削除)。
最 後 に 、Sakral'dav.AG Pro,Inc.,425U.S.
273 (1976)判 決 にお い て 当裁 判 所 は、 先例 か ら、次 の よ うな結論 を導 き出 した。す なわ ち、
特許 が 「単に古い要素 を、それ ぞれ が、以前 か ら知 られ てい るよ うな形 で同様 に機能す るよ う に しただ けで あ り」その よ うな取 り合 わせ か ら 予想 で きる以上の もの を生み 出 さない とき、 当 該組み合 わせ は 自明であるold.,at282。 》
(4) 《先行技術 の要素 を組 み合 わせ る ことを ク レー ムす る特許 が 自明か否 かが問われ てい る とき、 これ らの判決 の基礎 にあ る原則 が役 に立 つ。設計上の誘 因や その他 の市場 の力 は、1つ の努 力分 野6で利 用 可能 な成 果 に関 して、 同一 の分野かまたは異 な る分野 にお いて、変化す る こ とを促す。通 常の技能 を有す る者 が予想 され た変化 を実施 で き るな ら、 103条 はお そ らくそ の特許性 を阻む こ とだ ろ う。 同様 の理 由で、 あ る技巧 があ る装置 を改善す るた めに使 われ 、 当 該技術 の通 常の技能 を有す る者 は、それ が類似 の装置 を同様 に改善す るで あろ うことを認識 し ていた場合 、その実際の適用 が通常の技能 を有 す る者 の能力 を超 えた ものでない限 り、 当該技 巧 を利 用す るこ とは 自明で あ る。Sakral'da判 決 とAnederson'S‑BlackRock判 決 が例 証 的 で あ る
‑ 裁判所 は、 当該 改善が、先行技術 の要素 の 確 立 され た機 能 に従 った予想 され た使 い方 を超
えた ものであ るか否 か を間わね ばな らない。
これ らの原則 に従 うこ とは、本件 以外 の他 の 事件 においては よ り難 しいか も しれない。蓋 し、
ク レー ム され た主題 に、 あ る既 知 の要素 を別 の ものに単純 に置 き換 える ことや 、改善の用意 が で きてい る先行技術 の一部 に既 知 の技巧 を単 に 適用す るこ と以上の ものが含 まれ るか も しれ な いか らだ。問題 となっている特許 によってクレー ム され てい る方法 で既知 の要素 を組 み合 わせ る 明 白な理 由が存在す るか ど うか を決 定す るため
に、裁判所 は、多数 の特許 の相互 に関係 す る教 示や 、設 計集 団 に既知 のまたは市場 に現存す る 需要 の効果や 、通 常の技能 を有す る者 に よって 保持 され る背景的知識 の全 てに注意す る必 要が しば しばある。 再吟味 を容 易 にす るた めに、 こ の分 析 は 明示 的 に な され るべ きで あ る。 参 照 InreKahn,441F.3d977,988(CA Fed.2006) (「自明性 を理 由 とす る拒絶 は、結論 だ けの通知 では支持 され得 ない。 かわ りに、 自明性 につい ての法的結論 を支持す る何 か しら合理 的な支 え を伴 った、明瞭 に表 現 され た論拠 が存在すべ き である。」)しか し、我 々の先例 が明 らか にす る よ うに、その分析 において、争われているクレー ムに関す る特 定の主題 に向 け られ た正確 な教示 を探 し求 める必要 はない。 蓋 し、裁判所 は、 当 該技術 の通 常の技能 を有す る者 が採 用す るで あ ろ う推論や創 造的 なステ ップについて考慮す る ことがで きるか らであ る。》
3.2 TSMテス トのあるべ き姿
(1) 《組 み合 わせ が 自明で ある ことを示す た めに、既知 の要素 を組 み合 わせ るこ とについて の教示 、示唆 、または動機 付 けを論証す るこ と を求 め る要件 を最初 に確 立 した とき、関税 ・特 許控訴裁判所 は有用 な洞察 を獲得 していた。参 照 Appll'catl'on ofBerge1,292F.2d955,956‑957 (1961 )。 Adams判 決 の よ うな事件 か ら明 らか な よ うに、複数 の要素 を組 み合 わせ た特許 につい ては、それ らの要素それ ぞれ が、独 立 して、先 行技術 にお いて知 られ ていた こ とを論証す るこ とのみ に よっては、 自明であ るこ とは証 明 され ない。 2つ の既知 の装置 を、それ らの確 立 され た機能 に従 って組 み合 わせ るこ とを革新 として 請 求す る特許 出願 につ いて、注意 して検討す る こ とは常識 で あるが、関連す る分野 の通常の技 能 を有す る者 に対 して、 ク レー ム され た新 しい 発 明が行 った方法 で、要素 を組 み合 わせ るこ と を促 したであろ う理 由を特 定す るこ とは重要 で ある。 蓋 し、発 明は、全 てではないが大抵 の場 合 、長 らく取 り扱 われ て こなか った基礎 的要素
に依拠 してお り、 ク レー ム され た発 見 はほ とん ど必然的 に、何 か しらの意 味で、既 に知 られ て い るものの組 み合 わせ とな るか らであ る。》
(2) 《しか しなが ら、有用 な洞察 は硬 直 した 義務 的公式 とな る必要 はない。 そ して、その様 に適用 され て しま った とき、TSMテ ス トは我 々 の先例 と矛盾す る。教示 、示唆 、そ して動機 付 け とい う用語 に対す る形式 主義 的 な概念 に よっ て、また公刊物 の重要性や発行 され た特許 の明 白な内容 に対す る過剰 な強調 に よって、 自明性 の分析 は限定 され てはな らない。独創 的な仕事 や現代技術 の多様性 は、 この様 な形 で分析 を限 定 しない こ とを求 める。 多 くの分野 で、 自明の 技術や組 み合 わせ について ほ とん ど議論 がない か も しれ ない し、 しば しば、科 学的文献 ではな くて市場 の要求 が設計 の トレン ドを駆 り立て る のが事 実 とい えるか も しれ ない。真 の発 明のな い、通常の推移 の 中で生 じるであろ う進歩 に対 して特許保護 を与 えるこ とは、進歩 を後戻 りさ せ 、既知 の要素 を組み合 わせ る特許 の場合 には、
先行す る発 明か ら、その価値や有効性 を奪 って しま う。
関税 ・特許控訴裁判所 がTSMテ ス トの根本的 要素 を定 めた とき以来 、控訴裁判所 が、 これ ら の原則 に合致す るよ うに多 くの裁判例 でそのテ ス トを適用 して きた こ とは疑 いがない。 そ こで は、TSMテ ス トの基礎 とな る概 念 とGraham判 決の分析 との間に、必ず しも矛盾 は存在 しない。
しか し、裁 判所 が、CAFCが本件 で行 った よ う な形 で一般原則 を変化 させ て、 自明性 の問いか けを限定す る硬直 したルール に して しま うとき、
それ は誤 りとな る。》
3.3 CAFCの誤 り
(1) 《CAFCの分析 の欠陥 は、大部分が、TSM テ ス トの適用 に際 して反 映 され る 自明性 の問い か けを、裁判所 が狭 く概念 した こ とに関連 して い る。 特許権者 の特定の動機 や公然 と認 めた 目 的が、特許 の ク レー ムの主題 が 自明か ど うか を 判断す る上 で決 定的 なわ けではない。 問題 とさ
れ るのは、ク レームの客観的な射程である。 も しクレームが 自明の ものにまで達す るのな ら、
それ は103条 に よって無効 である。 特許 の主題 が 自明であることが証明 され る一つの方法は、
発 明の時点 にお いて、 特許 のクレームによって 囲いこまれる自明の解決策が存在するような既知 の問題が存在 したことを認識することである。》
(2)
《本件 にお けるCAFC
の第一の誤 りは、裁判所 と特許審査官は、特許権者が解決 を試み た問題 のみ を凝視すべ きであると判示す ること で、 この論法 を閉め出 した ことであった。119
Fe d . Ap p x . , a t
288。CAFC
は、特許権者 を動機 付 けた問題 は、特許の主題 によって処理 され る 多 くの問題 の内の一つ に過 ぎないか も しれない とい うことを認識 し損ねた。 問題 は、組み合わ せ が特許権者 に とって 自明であるか否かではな くて、当該技術 にお ける通常の技能 を有す る者 に とって当該組み合わせが 自明であるか否かな のである。正 しい分析 の下では、発明の時点で 努力分野において既知 であ り、特許 によって処 理 される、如何なる必要性 も問題 も、当該 クレー ム された方法で要素 を組み合わせ る理 由を提供し得 る。》
(3) 《 CAFC
の第二の誤 りは、ある問題 を解 決 しよ うとす る通常の技能 を有す る者 は、同一 の問題 を解決す るための もの として設計 された 先行技術 中の要素に向けてのみ導かれ ると仮定 した ことにあった。Ibl'd. As ano特許 の主た る 目的は割合一定化問題 を解決す ることであった。そのため、裁判所 は、セ ンサー を調整可能 なペ ダルの上に どのよ うに して配置す るかを検討 し てい る発 明者 は、Asano特許 のペ ダルの上 に、
それ を配置す ることを考 える理 由がないだろ う と結論 した。Ibl'd.しか しなが ら、あ りふれ た 物品はそれ らの主た る 目的を超 えた 自明の使用 方法 を有 してい ること、また多 くの場合、通常 の技能 を有す る者 は多数の特許 の教示 を、パズ ルの ピースの よ うに、一つ にま とめることがで
きることは、常識 か ら明 らかである。
Asano特許 の主た る 目的にかかわ らず 、その 設計は固定 された ピボ ッ トポイ ン トを有す る調
整可能なペ ダルの一例であった。そ して、先行 技術 として、固定 された ピボ ッ トポイ ン トがセ ンサーの理想的な取 り付 け位置であることを示 す特許 は十分存在 した。Asano特許 は割合一定 化問題 を解決す るために設計 されたものなので、
調整可能な電気的ペダルの設計 を望む設計者は、
Asano特許 を無視す るだ ろ うとい う考 えは、 ほ とん ど意味をな さない。通常の技能 を有す る者 とは、 ロボ ッ トではな く、通常の創造性 を有す る人間で もあるのだ。
同様 の制限的な分析故 に、
CAFC
は、要素の 組み合わせ を 「試す ことが 自明の ものである」と示す ことのみによっては、特許 ク レームを自 明の もの と証明す ることはできない と誤 って結 論づ けた。Id.
, a t
289(内部 の引用符 は削除 し た)。 問題 を解決す ることについて、設計上の 要請や市場の圧力が存在 し、かつまた特定 され 予想 された有限の解決策が存在す るとき、通常 の技能 を有す る者が 自らの技術的な理解 の範境 で、既知の選択肢 を追い求めることには十分な 理 由がある。 もしこれが予想 された成功に至 る のな ら、当該製 品は、発明の結果ではな くて、通常の技能 と常識 の産物である。そのよ うな と き、ある組み合わせ について、試す ことが 自明 の ものである とい う事実 は、それが103条の も とで 自明であることを証明す る。》
( 4)
《最後 にCAFC
は、裁判所 と特許審査官 が、後知恵的な先入観 の犠牲 になるのではない か とい うこと‑の恐れか ら、誤 った結論 を引き 出 した。確かに、事実の認定者 は、後知恵的な 先入観 によって引き起 こされ る歪曲に注意すべ きである し、事後的な理 由付 けに基づ く主張に も注意す べ きで あ る。 参照 Graham,383U.S.,a t
36(「先行技術 の中に、今 問題 となってい る 発明についての教示 を読み取 ろ うとす る誘惑」について警鐘 を鳴 らし、裁判所 は
「
『後知恵 を うっか り使 って しま うことを用心す る』」べ き とも指摘 してい る。(MonroeAutoEquIbment Co.V.FIeckethom Mrg.& SuppJyC0.,332F.2d406,412 (CA6 1964)))。 しか しなが ら、事 実の認定者が常識 を利用す ることを否定す る融
通の利かない制限的ルールは、我 々の判例法に 照 らして必要で もなけれ ば、それ に一致す るも ので もない。》
(5) 《特筆すべ きは、CAFCは長 らく、TSM テス トについて、本件 において適用 したのよ り はよ り広範 な概念 をつ くり出 してきた ことだ。
参照、例 えば DyStarTextl'1rarben GmbH
&
Co.DeutschlandKG v.C.H.Patrl'ck C0.,464F.3d 1356,1367(2006)(「我 々の示唆テス トは、事実 大いに柔軟な ものであ り、一般的な知識や常識 を考慮す ることを、単に許すのではな くて、む しろ求 め る。」);AIza Corp.V.MyJan Labs., Inc.,464F.3d1286,1291(2006)(「我 々の 自明性 に関す る法的判断は柔軟な ものである。蓋 し、
動機 は、先行技術 中に暗黙の内に見出 され るか も しれないか らだ。我 々は、組み合わせ を行 う ことについての実際的教示 を求めるよ うな融通 の利かないテス トは持ち合わせていない ・・・」)
もちろん、 これ らの判断は、今我 々が検討 し てい るものではな く、本件 にお けるCAFCの過 ちを正す もので もない。それ らが、我々の以前 の一連の先例や本件 における判断によ り合致す るよ うな分析 を説 明で きる程度 は、CAFCが将 来の事件 において考慮すべ き問題 である。我 々 が言 ってい るのは、上記の よ うに特定 された基 本的な誤解 が、本件 にお けるCAFCに、我 々の 一連の特許法判決 と矛盾す るテス トを適用 させ た とい うことである。》
3.5 本件への当てはめ
(1) 《ここまで説明 してきた基準 を本件の事 実関係 に適用す る とき、 クレーム4は 自明 とせ ざるを得ない。我 々は、地裁 が挙げた関連先行 技術 と当該分野における通常の技能の レベル の 判断に同意 し、それ らを採用す る。地裁 が指摘 した よ うに、我 々 も、Asano特許お よびSmith特 許 の教示 内容 とEngelgau特許 のク レーム 4に開 示 された調整可能 な電気的ペ ダル との間に、ほ とん ど違いを見出せ ない。 当該技術 における通 常の技能 を有す る者 は、Asano特許 をク レー ム
4に含 まれた よ うな形のペ ダル位置セ ンサー と 組み合わせ ることができたろ うし、そ うす るこ
との利点 も理解 していたろ う。)
(2) 《Teleflexは、傍論 的 に、その ピボ ッ ト 構造故 に、Asano特許 のペ ダル は、 ク レー ム 4 に記述 された よ うな方法では、セ ンサー と組み 合わせ られない と主張 している。参照 Brieffbr Respondants48‑49,andn.17。 それ 故 に、 た と
えセ ンサー をAsano特許 に付 け加 えるこ とが 自 明だ として も、その ことに よってク レーム 4が 自明の主題 を含む ことは立証 されない とTeleflex は理 由付 ける。 しか しなが ら、 この主張は地裁 にお い て は な され な か っ た。 地 裁 にお い て Teleflexは、Engelgau特許 に よってク レーム され た発明を動機付ける問題は、Asano特許 とセンサー を組み合わせ るとい う解決策には至 らないとのみ 主 張す るこ とに甘 ん じていた。参 照Teleflex's ResponsetoKSR'sMotionfわrSummaryJudgment oHnvalidityinNo.02‑74586(ED Mich.),pp.18‑
20,App.144a‑146a。 CAFCにおいて ‑ そ こ でTelefelxは、Asano特許 とセ ンサー を組み合 わ せ ることは、 ク レーム 4の制限を満た さない と い う特定的でない、断定的な主張を述べていた
‑ 今 の主張がな され たのか もまたはっき り しない。 参 照 BriefforPlaintiffs‑Appellantsin No.04‑1152 (CA Fed.),pp.42‑44。 さ らに 、 Telenex自身 の専門家供述 は、現在Teleflexが挙 げた ポイ ン トを支持 しな い の で あ る。 参 照 DeclarationofClarkJ.Radcliffe,Ph.D.,Supplemental App.204‑207;DeclarationorTimothyL.Andresen, 1'd.,at208‑210。 それ らの供述の内、Radcliffe供 述に、その主張に関係があるか もしれ ない唯一 の発言が兄いだ され る:
「Asano特許 ・・・とRixon特許 ・・・は 生産や組み立てにコス トがかか り、パ ッ ケー ジ化す るのが難 しい、複雑な機械的 接続 に基づ く装置である。先行技術設計 にお けるこれ らの困難 こそが、[Engelgau 特許 が]解決す るものであ る。 ペ ダル の 位置 を反映す る単一の ピボ ッ トを有す る 調整可能なペ ダル と、支持体 とピボ ッ ト
上の調整装置 との間に置かれた電気的制 御 とを組み合わせて使 うことは、Engelgau の565特許 にお ける機 能 の単純 かつ 手際 の よい、新規 な組 み合 わせ であった。」
Id.,at206,TT16.
当該供述の全体 としての文脈 で読むな ら、 これ は、最 も有利に解 しても、Asano特許は 「Engelgau の565特許 が扱 う問題 、す なわち よ り高価 でな
く、より早 く組み立て られ、より小 さくパ ッケー ジできる、電気的制御 を有す る調整可能なペ ダ ル ・ア ッセ ンブ リ‑ を提供す るとい う問題」の 解決のためには使 われ ない とい うことを意味す
るに過 ぎない。Jd.,at205,[10。
地裁 は Asano特許 とピボ ッ トに設 置 され た ペ ダル位置セ ンサー を組み合わせ ることは、ク レー ム 4の範噴 で あ る と認 めた。298F.Supp.
2d,at592‑593。 当該認 定 が地裁 の判決 に与 え た重要性 を考 えると、 もしTeleflexが このク レー ムを維持す るつ も りだったのな ら、その よ うな 認定に対 して よ り明確 に争 ったであろ うことは 明 らかで あ る。Telenexが明確 な形 で主張 し損 なった とい うこと、そ してその点についてCAFC が沈黙 してい ることに照 らせ ば、その点に関す る地裁の結論 は正 しい と考 える。》
(3) 《Engelgauが ク レーム4の主題 を設計 し た時点で、通常 の技能 を有す る者 に とって、
Asano特許 を、 ピボ ッ トに取 り付 け られ たペ ダ ル位置セ ンサー と組み合 わせ ることは 自明だっ た と結論 した地裁 は正 しかった。機械式ペ ダル を電気的ペ ダル に転換 させ る強力な誘 因を生み 出す よ うな市場がその とき存在 し、先行技術 は この進歩 を達成す るための多数の方法 を教示 し ていた。CAFCは、真 っ 白な状態 のペ ダル の設 計者 が、Asano特許 と、 シボ レー の トラ ックの シ リーズに使 われ068特許 に開示 され た もの と 同様 のモ ジュラーセ ンサー との両方 を選んだろ うか と問いかけることで、事実上、問題 を非常 に狭 く検討す ることになった。地裁 もまた、 こ の狭い問いかけを行 ったが、 しか し、それ にも 拘わ らず正 しい結論 に到達 した。正 しくは、通 常の技能 を有す るペ ダルの設計者が、努力分野
における発展によって生み出 され る様 々な要請 に向き合 うとき、その設計者 はAsano特許 をセ ンサーで改良す ることに利点 を兄いだ したであ ろ うか と問いかけるべ きであった。
他の多 くの分野同様 に、 自動車の設計におい て、種 々の構成部分の相互作用故に、ある構成 部分 を変化 させたために、他 の部分 も同様 に変 化 させ る必要が出て くるのは、 しば しばである。
科学技術の発達により、コンピュータ制御スロッ トル を利用す るエ ンジンが標準 となるであろ う ことが明 らかになった。結果 として、設計者達 は、全 くの‑か ら新 しいペ ダル を設計す ると決 断す ることができたか も しれ ない、 しか し、既 存のペ ダルが新 しいエ ンジン と共に機能す るよ うにす る とい うの も当然の ことであったろ う。
事実、KSRは 自身 の既存のモデル を改良す るこ とで、本件 において、Engelgau特許 を侵害 した とされてい るペ ダル を設計 したのである。》
(4) 《Asano特許 を出発点 とす る設計者にとっ て、センサーをどこに取 り付けるかが問題であっ た。そのため、必然的に法律上の問題 は、通常 の技能 を有す るペ ダル設計者 が、Asano特許 を 出発点 とした とき、センサーを固定 されたピボ ッ トポイ ン トの上に置 くことを 自明 と考 えたか ど うか とい うことになる。 ここまでで論 じられて きた先行技術 を踏 まえれば、我 々は、セ ンサー をKSRとEngelgauが設置 した場所 に取 り付 ける ことは、通常の技能 を有す る者 に とって 自明で あった とい う結論 に至 る。
936特許 はセ ンサー を、エ ンジンではな くて、
ペ ダル ・ア ッセ ンブ リ‑の上に設置す る効用 を 教示 して くれた。次に、Smith特許は、セ ンサー をペダルの踏みつ け部分ではな くて、代わ りに その支持構造上に設置す ることを明 らかに して いた。 そ して、 よ く知 られ たRixon特許 の ワイ ヤ ー す り切 れ 間題 と Smith特 許 の 教 示 内 容 (「ペダル ・ア ッセンブ リ‑は接続 されたワイヤー に何 らの動 き も生 じてはな らない」 Smith,col. 1,lines35‑37,SupplementalApp.274)とか ら、
設計者 はセ ンサー をペ ダル構造体の動かない部 分に置 くことを知 ったであろ う。 もっ とも自明
な、セ ンサーが容易にペ ダルの位置 を検 出でき る構造上の動かない部分は、 ピボ ッ トポイ ン ト であ る。 したが って、設計者 はSmith特許 に従 い、セ ンサーを ピボ ッ ト上に置 き、それ によっ て、ク レーム 4によってカバー され る調整可能 な電気的ペ ダル を設計 したのである。》
(5) 《Asano特許 を コン ピュー タ制御 ス ロッ トル と共に機能す るよ うに改良す る 目的を持 っ ては じめ るのが可能 であった よ うに、Rixon特 許の よ うな調整可能 な電気的ペ ダル を採用 し、
ワイヤーのす り切れ間題 を避 ける改良を 目指す とい うことも可能であった。今説明 したの と類 似 の過程 を経 て、設 計者 はSmith特許 か らセ ン サーの移動を避 けることを学び、それによって、
Asano特許 に至 ったで あろ う。 蓋 し、Asano特 許 は、固定 された ピボ ッ トを有す る調整可能 な ペ ダル を開示 していたか らである。》
(6) 《Teleflexは、先行技術 が教示す る とこ ろは、セ ンサー をAsano特許 に取 り付 けること に は ほ ど遠 い 、 なぜ な ら、Asano特許 は‑
Teleflexの考 えに よれ ば‑ 嵩張 って複雑 で高 価だか らだ と間接的に主張 してい る。 しか しな が ら、 この主張 を支持す るた めにTeleflexが用 意 した唯一 の証拠 は、Radcl肝氏 の供述 だ けで あ り、しかもそれは、単に、Asano特許はEngelgau 特許の 目的である、小 さくて、単純で、廉価 な ペ ダル を作 るとい う目的を解決 しなかった こと を示す に過 ぎない。Asano特許 は ともか くもあ ま りに欠陥だ らけなので、それ を改良す る理 由 がない とか、それ に似たペ ダルは、現代式のエ ンジンと互換性 があるとす る理 由がない とか、
そ ういった ことを当該供述は何 ら触れてい るわ けではない。 事 実 、Teleflex自身 の供述 が この 結論 を論駁す る。Rixon特許 は、Asano特許が悩 んでいたの と同 じよ うに、嵩張 ることや複雑 な ことに悩 んでいた とRadcliffe博 士は述べた。参 照 1'd.,at206。 しか し、Teleflexの他 の専 門家 は、Rixon特許 はそれ 自身 、セ ンサー を既存 の 機械式ペ ダル に付 け加 えることによって設計 さ れた と説明 した.参照 Jld.,at209。 もし、Rixon 特許 の元 となるペ ダルが欠陥だ らけで改良でき
ない とい うのでないな ら、Radcliffe博 士の供述 もAsano特許 が同様 の状態 であることを示 して いない ことになる。Teleflexは、Engelgau特許が 優先 して具体化 した もの と比べ て、Asano特許 は非効率であることについて説得力のある主張 をす ることもできた。 しか し、Engelgau特許 に 照 らしてAsano特許 を判断す ることは、Teleflex が避 けるべ きであると主張 してきた (的 を得た ものである)、 ま さに後知恵 的な先入観 に携 わ ることにな るだ ろ う。 故 に、Teleflexは、先行 技術 が教示す るものが、Asano特許 を使用す る ことか らほ ど遠 い とい うことについて、何 ら示 して こなかった。》
(7) 《最後 に我 々は、地裁 同様 に、Teleflex はク レーム 4が 自明である とい う決定を覆す よ
うないかなる二次的要素 も示 さなかった と結論 す る。Graham判決 と我 々の先例 を これ らの事 実に正 しく当てはめると、 ク レーム4は 自明の 主題 を含む ものだ とい う結論 に至 る。結果 とし て、ク レームは103条の要件 を満足できない。》
(8) 《我 々は、Engelgau特許の手続 きの間に、
Asano特許 を開示 しなかった ことが、発効 され た特許 に与 え られ る有効性 の推定を無にす るか 否か とい う問題 に触れ る必要はない。蓋 し、ク レーム 4は、推定にも拘わ らず 自明だか らであ る。 それ で も、推 定 の基礎 にあ る理論 的根拠
‑ PTOは、その専門性 において、 ク レームを 肯定 した とい うこと‑ は、本件では大いに減 じられている と言及す ることは適 当である と考 える。》
3.6 サマ リー ・ジャッジメン トに関 して
《cAFCは、重要な事実 に関す る問題 に争 い があることを、サマ リー ・ジャ ッジメン ト命令 を覆すための別 の理 由 として挙 げてい る。我 々 は この点で もCAFCに同意 しない。 専門家が 自 明性 に関す る問題 を扱 う断定的宣誓供述書を提 出 した とき、サマ リー ・ジャ ッジメン トの可能 性 を否 定す るために裁判所 がGraham判決 のア プ ローチを理解す る限 りで、裁判所 は当該分析
において専門家証言が果たす役割 を誤解 した。
その間題 についてサマ リー ・ジャ ッジメン トを 検討す る際、地裁 は、専門家証言 を考慮す るこ とができる し、すべ きである。 もっ とも、専門 家証言は、事実に関す る特定の問題 を解決す る か もしれない し、またはそのままに してお くか もしれない。 しか し、それが問題の終鳶ではな い。 自明性 の究極的な判断は、法的な決定であ る。Graham,383U.S.,at17。 本件 の よ うに、
先行技術の内容 、特許請求の範囲、そ して当該 技術 にお ける通常の技能の レベルが、重要な論 点でない とき、そ して これ らの要素に照 らして クレームの自明性が明らかであるとき、サマ リー ・ ジャ ッジメン トは適切 で あ る。Telenexに よっ て提 出 された供述のいずれ も、地裁が、慎重に 検討 した結果、本件 にお けるサマ リー ・ジャッ ジメン ト命令 を基礎づ ける結論 に達 した ことを 妨 げるものではない。》
3.7 まとめ
《我 々は、本能、単純な論理、通常の推論 、 並はずれたアイデア、そ して天 才的なひ らめき に さえ基づ く新 しい ものを、我 々の周 りの実体 があって手で触れ るこ とのできる現実の一部 と 化す ことによって新 しい ものを作 り上げ、そ し て生み出す。 これ らの進歩は、一度我々の知識 の一部 として共有 された とき、技術革新が も う 一度始まる際の新 しい出発点 となる。 よ り高い
レベルの到達点か ら進歩がは じまることが通常 の過程で予想 され るとき、通常の技術革新の結 果は、特許法制の下で排他的権利の対象 となる ものではない。 さもな くば、特許権 は有用な技 術の進歩 を、促進す るよ りはむ しろ、窒息 させ て しま う。 参 照合衆 国憲法 Art.Ⅰ,§8,C1.8。
これ らの原則 は、 自明の主題 をク レームす る特 許 の成立を阻止す ることにつなが り、それは、
FIotchkl'ss判決で確立 され、103条に法定 された。
この よ うな阻止事 由の適用は、あま りに強制 さ れす ぎて、その 目的を果た し得ない よ うなテス
トや公式の中に限定 されてはな らない。
KSRは、Asano特許 のペ ダル の固定 された ピ ボ ッ トポイ ン ト上に、モ ジュラーセ ンサーを設 置す ることは、関連す る技術 における通常の技 能 を有す る者の理解力の範境 にある設計の一過 程であった ことについて、説得的な証拠 を提 出 した。その主張 と記録は、Engelgau特許のクレー ム4が 自明であることを示 している。地裁 の決 定 を退 けるに際 して、CAFCは問題 を、狭 く厳 格 で103条 に も我 々の先例 に も合致 しない形 で 分析 した。CAFCの判断は棄却 され 、事件 は、
本判決 に合致す るよ うな更なる手続 きのために 差 し戻 され る。》
(以下、続 く)
※ 本稿 は、2007年5月 に筆者 がWeb上 で始 めた 「KSR事件合衆国最高裁判決私 訳の試み」 を基 に してい る。
なお、本判決 に関す る評釈等 として、
井上雅夫 「KSR特許 自明事件合衆国最高 裁判決2007.04.30」http://www.venus.dti. ne.jp/〜inoue一m/bm̲070430KSRSC.htm
(2007年10月5日確認 ) お よび浅 見節 子
「発 明の非 自明性 が争 われ た連邦最高裁 判決 について KSR InternationalCo.V.
Teleflex lnc.,550 U.S.̲ (2007)(合衆 国 最高裁判所2007年4月30日判決) の紹介 とその解説」知的財産 フォー ラムVol.70 (2007)42頁がある。