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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

バイオコーティング応用のためのナノダイヤモンド 膜と窒化ホウ素膜の合成と評価

ヤン, ジェイソン, シャオ, チュン

http://hdl.handle.net/2324/1441275

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

(2)

氏 名:Yang Jason Hsiao Chun(ヤン ジェイソン シャオ チュン)

論文題名:

Synthesis and Characterization of Nanocrystalline Diamond and Cubic Boron Nitride Films for Biocoating Application

(バイオコーティング応用のためのナノダイヤモンド膜と窒化ホウ素膜の合成と評価)

区 分:甲

論 文 内 容 の 要 旨

超高齢化社会に伴い、生体用インプラントの高性能化、長寿命化、低価格化が望まれている。生体用インプラ ントの基底材料には金属、合金、セラミックスなどが用いられる。生体用インプラントの耐磨耗性、耐腐食性、

生体親和性などを高め、利用者の金銭的・身体的負担を減らし、生活の質を向上させるには、インプラントの表 面に硬度が高く、化学的安定性と生体親和性が優れるコーティングを施し、表面機能を高めることが必要である。

一方、従来から研究されている金属酸化物、金属窒化物、ダイヤモンド状炭素などのコーティングでは、硬度や 化学的安定性が十分ではない。

本研究では、ダイヤモンド並みの硬度を有するナノダイヤモンド膜と立方晶窒化ホウ素膜を、プラズマ化学的 気相蒸着(CVD)法によって形成した。その後各種ガスを用いたプラズマ曝露処理によって表面機能を制御し、

親水性(ぬれ性)を向上させた。それら親水性が良い膜の生体親和性の実験的検証を通して、新規生体用コーテ ィングの開発に取り組んだ。

一般に膜の生体親和性を高めるには、親水性が高いことが必要とされる。本研究にて得られたナノダイヤモン ド膜と立方晶窒化ホウ素膜の表面は、それぞれ水素およびフッ素終端により安定な sp3構造を形成し、強い撥水 性を有する。本研究では、種々のガス雰囲気中で、プラズマ曝露処理を用いた極性官能基の導入によって、膜の 表面自由エネルギーを高め、親水性を著しく高めることに成功した。さらに試験細胞の培養試験を行い、これら 親水性の高い膜が生体親和性に優れること、その生体親和機構は主として表面自由エネルギーの分極成分の増加 と、ゼータ電位の変化によって説明できることを見出し、生化学的現象の解明と生体デバイスとしての原理検証 に成功した。

(1) 中間気圧マイクロ波プラズマCVD法により、Si基板上にナノダイヤモンド膜を形成し、その後水素およ び酸素等のガス雰囲気中で、同じくマイクロ波プラズマを用いた曝露処理を行った。使用ガスによらず、

膜の表面粗さはプラズマ曝露後に増加することが分かった。水素プラズマ曝露によって撥水性が若干増加 したのに対し、酸素プラズマ曝露によって親水性は著しく減少し、水の接触角は零度に近い値を示した。

酸素プラズマ曝露によって、膜表面に強い極性を有する炭素―酸素単結合が多量に形成されること、そし て膜の表面自由エネルギーの分散成分はほぼ一定のまま、分極成分が著しく増加することを見出した。ま たその際、膜表面の極近傍でダイヤモンドからアモルファス炭素への相変化が生じることも見出した。す なわち親水性発現機構は、表面に導入された炭素―酸素単結合が、極性分子の吸着を促進するためである ことを実証した。

(2) 低圧誘導結合型プラズマCVD法により、Si基板上に立方晶窒化ホウ素膜を形成し、その後水素、窒素、

酸素、アルゴン等のガス雰囲気中で、中間気圧マイクロ波プラズマと低圧誘導結合型プラズマを用いた曝 露処理を行った。水素および窒素プラズマ曝露によって親水性は著しく減少し、水の接触角は零度に近い

(3)

値を示した。特にイオン衝撃の効果がある低圧誘導結合型プラズマを用いた場合に、親水性はより低下す る傾向を示した。水素および窒素プラズマ曝露によって、膜表面を終端するフッ素が除去されること、膜 の表面自由エネルギーの分散成分はほぼ一定のまま、分極成分が著しく増加することを見出した。またそ の際、膜表面の極近傍で、不純物の残留sp2窒化ホウ素成分が除去されることも見出した。すなわち親水 性発現機構は、膜表面からフッ素が除去され、水素または窒素終端によってsp3構造が安定化されること で、極性分子の吸着を促進するためであることを実証した。

(3) プラズマ曝露処理によって親水性を高めたナノダイヤモンド膜と立方晶窒化ホウ素膜上で、試験細胞の培 養試験を行った。膜の親水性が高いほど、細胞成長が促進されることを確かめた。膜を用いず細胞培養し た場合(Control)と比べ、いずれの親水性膜も同程度の細胞成長作用を示した。特に水素プラズマ曝露 を行った立方晶窒化ホウ素膜では、Controlを上回る細胞成長作用を示した。これら膜上で成長した細胞 近傍において、自発的な鉱物化(ミネラリゼーション)を確認し、優れた生体親和性を有することを実証 した。

以上、本論文ではナノダイヤモンド膜と立方晶窒化ホウ素膜を用いた新規生体用コーティングの開発を目指し、

(ⅰ)ナノダイヤモンド膜のぬれ性向上、(ⅱ)立方晶窒化ホウ素膜のぬれ性向上、(ⅲ)ぬれ性を高めたこれらの膜の 生体親和性、を包括的に検討し、ぬれ性の著しい向上と優れた生体親和性の実証に成功している。この成果によ って、高性能かつ長寿命な生体用インプラントの開発が今後大きく進展することが期待できる。

参照

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東京大学 大学院情報理工学系研究科 数理情報学専攻. [email protected]

情報理工学研究科 情報・通信工学専攻. 2012/7/12