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Academic year: 2021

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特集にあたって

著者 今里 滋

雑誌名 社会科学

巻 50

号 4

ページ 1‑2

発行年 2021‑02‑28

権利 同志社大学人文科学研究所

URL http://doi.org/10.14988/00028047

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特集にあたって

第20期第5研究会代表者

今 里 滋

ソーシャル・イノベーション学の総合的研究 A Synthetic Study of Science of Social Innovation

2006年度に同志社大学大学院総合政策科学研究科にソーシャル・イノベーション研 究コースが設立されて以来,当時は散見される程度であったソーシャル・イノベーショ ン(social innovation)という用語,概念,あるいは実践が内外で拡散している。しか し,ソーシャル・イノベーションの統一的・確定的定義は未定であり,ソーシャル・イ ノベーションが教育および研究の系としての学として成立可能なのかについても議論は ほとんど見られない。第20期人文科学研究所第5研究では,当大学院での10年を超え るソーシャル・イノベーション教育・研究の蓄積を踏まえ,学としてのソーシャル・イ ノベーションの確立に向けた方法的基礎とはなんであるべきかを基本的問いとして措定 し,その解を多角的に追究せんとして,研究員による個々の研究に加え,これまで数々 のシンポジウム,セミナー,研究会等を開催し,集合的な研究を行ってきた。本特集 は,これまでの研究成果を集大成し,「ソーシャル・イノベーション学とは何か?」に 関する研究会としての現時点での回答を明らかにし,ソーシャル・イノベーションの理 論と実践に関心を持つ人々へさらなる思考や議論の素材として提供することを目的とす るものである。

本特集は7本の論文で構成される。新川の論稿は,ソーシャル・イノベーション研究 を行う上で必要とされる理論的な背景について,政治学,経済学,社会学,社会心理 学,人類学,科学論,社会実験法などの観点から有意な関連のある理論を応用し研究を 行う方法を論じた上で,ソーシャル・イノベーション研究に求められる実験や実証のた めの企画立案,実験実施,その評価の手法について検討している。

今里の論稿は,大学院総合政策科学研究科にソーシャル・イノベーション研究コース が創設された経緯,コースのカリキュラム上の特徴,そして初年度に入学した4名の院 生の研究の展開について論じた,いわばクロニクルであり,それだけに資料的価値も有 1

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している。

服部の論稿は,東日本大震災の創造的復興に際して,住民主体による自発的な協働 と,地域に起きる変化に焦点を当て,復興に関する先行研究から理論と特徴を整理しつ つ,復興のみならず地域を変えていくためには,知の共同作業が必要であり,その過程 で共通知識に異質性と多様性がもたらされるとイノベーションが生起することを指摘し ている。

小田切の論稿は,ソーシャル・イノベーションを担うサードセクター組織の財源構造 を,Herfindahl-Hirschman Indexを用いて測定すると同時に,それらを規定する諸要因を 探索したものである。分析の結果,サードセクター組織全体として特定の財源に依存す る傾向がみられる点,また,財政規模の大きい組織ほど特定の財源に依存する点が,そ れぞれ示唆されている。

森の論稿は,外国にルーツを持つ子ども(CLD児)をめぐる教育問題の現状と課題 を整理した上で,これからの多文化社会における教育支援のあり方に新たな視座を提示 している。

李の論稿も,森と同様,CLD児と日本人児童の間のコミュニケーションの活性化を 通じた相互理解と他者受容の促進の可能性を,教育現場での「図形の見立て描画遊び」

という独自の手法を用いた社会実験によって実証しようとしたものである。

最後に,浜崎の論稿は,華道家として,華道の方法論と効用を,心理学による科学研 究の視点で捉えなおし,「いけばな療法」の考案・実践が,華道の現状課題解決に結び つく条件を兼ね備える,革新的な方法であることを本研究において明らかにしたもので ある。

2 社会科学 第50巻 第4号

参照

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