するいくつかのポイント
著者 石川 隆司
出版者 法政大学史学会
雑誌名 法政史学
巻 52
ページ 36‑44
発行年 1999‑09‑30
URL http://doi.org/10.15002/00011363
博物館などで埋蔵文化財の展示をみるとき、資料に特別な処理が施されている場合がある。動植物に由来する有機物暫而資料は遺跡から遺物として出土したとき、それ自体が劣化により変暫てて非常に脆くなっていることが多く、また金属製の資料は、やはり劣化により変質し錆に覆われて出土してくる。土器や石器でも時には劣化が著しく脆弱な状態にある場合がある。このように劣化し変質している資料に対して、何とかその劣化や変質を抑制し、そのスピードを鈍化させるために特別な処置つまり保存処理が施されることになる。以下、特に鉄製品を代表とする出土金属製品の保存処理について紙幅の許す範囲でいくつかのポイントをあげてみたい。 法政史学第五十二号
出土文化財の延命治療
l金属製品の保存処理に関するいくつかのポイントー
金属製品は土中に埋蔵されている間に錆化が進行しているのが通常である。そして発掘調査などにより埋蔵環境から大気中へ放り出され劇的な環境変化を経験することで、錆が急激に進行することがある。その結果、遺物の崩壊を招くことになるわけで、こうなっては折角の歴史資料がだいなしになってしまう。なにより大切な文化財が失われていくことは残念なことである。そこで保存処理という延命治療を施すことになる。まず具体的な治療を行う前に遺物一点につき一枚の記録用のカードを用意する。これはまさに病院の診療カルテである。その遺物がどの遺跡のどの地点・どの遺構から出土 診療カルテの作成
石
川 隆司
二一一咄したものなのか、遺物番号は何番か、患者の住所や氏名を確認するわけである。そしてさらに受け入れ時における病状つまり劣化の状態などが記録される。破片になっているものはその様子を、また木質・漆膜・繊維などの付着物がある場合には、その形状・色・付着部分などを記録するが、このときには実測図があれば、これがなければ略図を作成して位置を図示しておくとわかりやすい。このカルテには治療記録である作業工程もその時々に記入しておくことになる。作業日と作業内容を簡潔に記録することが肝要である。より詳細に手を掛けた記録はそれ自体貴重なものではあるが、数多くの遺物をこなす上では記入自体が負担にならないように要点をおさえた簡潔な記入方法こそ長続きの秘訣であり、同じ原則を長続きさせられることが重要である。家計簿にしても日誌にしても、細かいルールをつくればつくるほど、継続させる苦労が大きくなることを多くの人は経験済であろう。記録簿の形式は上述のとおり一点に一枚のカード型つまりカルテタイプのものが基本であるが、他に最近ではコンピュータを使用して電子カルテを製作することもある。これはこれで非常に便利な点があり、特に保存処理における再処理を行う時、膨大なカルテの中から特定のものを検索する場合などにはその能力を発
出土文化財の延命治疲(石川) 写真による記録は重要である。文字だけでは記録できない部分の多くは写真や実測図。スケッチなどで補うことになるが、客観的なものの状態を記録する作業としては写真の撮影は非常に有効である。通常、処理前と処理後の状態で写真の撮影を行うことになるが、必要に応じて作業の各段階で撮影を行う。錆の種類や状態は色にも反映するため重要な情報源になりえることから、特に処理前写真では白黒写真よりカラー写真の撮影を行う。撮影アングルは表裏の撮影の他に必要に応じて角度を変え、あるいはクローズアップで撮影する場合がある。また場合によっては撮影方向が限られてしまうこともある。撮影する写真は、遺物がどの遺跡から出土したどのようなものであるのか確認できなくてはならない。写真台帳などを作成して上手に管理できればいいが、正確に漏れなく 揮する。将来は電子カルテが手書きカルテに取って代われる日が来るのかもしれないが、現在はまだその段階にはきていないように思われる。やはり電子カルテがそれなりの役割をもって使用されているにしても、手書きのカルテが基本になっていることは確かであろう。
写真による記録について
上
記帳していくことはなかなか大変なことである。しっかりした管理をしていないと迷子の写真が必ずでてくることになる。そこでこれを避けるため写真のカットの中に遺跡名や番号などを遺物と一緒に写し込むようにしている。ネガフィルムの状態はもちろんのことプリントがバラの状態になっても、その遺物の住所・氏名がその場でわかる。ただし写し込むデータが多くなればなるほど画面の中の遺物の大きさが小さくなっていき、場合によっては必要な大きさで全体を写せないこともある。そこで写し込むデータを限定することにした。つまり個々の遺物に関するすべてのデータを集約して管理できるのは、処理カードに付与された処理番号であることから、写真のカット中には遺物に添えてこの番号を写し込むことにした。そして遺物の住所・氏名などが必要な場合は、処理カードを処理番号から検索することにより必要なデータを取り出す。
実測図も遺物の状態や特徴を明確に記録するという点から、できれば処理カードに添付しておきたいものである。実測図は保存処理の前に行われる場合と後に行われる場合がある。 実測図による記録について 法政史学第五十.一吟
八処理前の場合V実際の作業を行う前に、資料を十分に観察する機会となる。特に木質や布等の意味ある付着物がある場合など、実測図に図示しておくことによって処理作業において注意を喚起できトラブルを防ぐことができる。しかし一方で処理前実測の場合、錆や泥土・石など意味ない付着物の下に遺物の形が隠されてしまうのが普通である。このような場合、遺物の本来の形状は実際に川点できないため想定線で表現することになる。X線写真が撮影されている場合はこれを参考に想定線をひくことも有効である。八処理後の場合V意味ない付着物を除去した後の状態であるため、遺物本来の外形線を推定線でなく実測で把握でき、図化作業もしやすい。錆落としをしないと外形線が見えてこない場合が多いし、また刀や刀子の目釘穴などの穿孔や象眼といった細工が錆や泥土の下に隠されている場合もありえる。これらは保存処理前の実測では表現できないことになる。ただし注意しておくことは、処理後の遺物の形状が常にその本来の形状であるとは限らないと一一一一口うことである。泥土の場合はともかく、鉄錆の場合に錆化の過程でオリジナルの部分自体が変形してしまう場合が多々ある。修正して元の状 一一八
態に近づけることができることもあるが、全体に対して変形部分の割合が大きいときや本来の状態が明確に把握できないときには修正自体を避けることが多い。このよう場合には当然に実測図の外形線は部分的に本来の形状の部分と変形部分を区別して、変形部分においては処理前実測の場合と同様に可能な限り想定線で補っておく必要がある。以上のことから保存処理を実施する予定にあるならば、本格的な実測図は処理後に作成することにするが、処理に先立って十分に個々の資料を観察することが重要であることは改めて強調する必要もないであろう。その一方法として実測図を作成する機会をつくるならば望ましいことであり、処理の結果、新たな知見が得られればこれに書き加えることもできるし、場合によっては処理後の状態として再実測したほうがいいこともあろう。それでも処理後の実測図はもちろんのこと、処理前の実測図も処理前写真と同様に大切なデータとなる。事前に実測図が作成できなくても、スケッチ・略図などを書いて、ここに処理にあたっての注意事項を記録しておくとトラブルを防ぐことができる。ここでは色鉛筆や色マーカーなどを利用して色分け表示をしたり、工夫次第で分かりやすくできたり記入しやすくできたりするであろう。
出上文化財の延命治巌(朽川) 八橘造調査V事前調査として最も代表的なのは、X線透過写真の撮影であろう。物質はその種類や状態によってX線の吸収度が異なっており、この性暫一を利用することによってX線の透過率が異なる部分がコントラストとなって現れるので画像として使用できる。金属製品の事前調査としてこれを応用すると、泥土を巻き込んで遺物の表面に錆が固着してしまっているような場合に、錆と本体の識別ができることがある。また、穿孔部などは泥土で埋まってしまって見た目では認識できなくても、金属と泥土では成分のギャップが比較的大きいため、はっきりと画像になって現れることが多い。さらに象眼などの装飾的な細工が合った場合には通常、錆を除去するまではこれがなかなか確認できない。たとえば鉄製品に象眼される金属は金・銀あるいは銅であったりして、やはり鉄とはX線の透過度が異なるため埋め込まれた細工が画像に現れる。象眼製品とX線透過写真は切っても切れない仲といってもいいであろう。さらに重要な点は、結果的に錆をうまく取り除くことができればいいようなものの、トラブルを極力回避できるように、より安 事前調査
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全に錆落とし作業を行うためにも、象眼がどのように施されているのか事前に把握できていることのメリットがいかに大きいかは特に説明を要さないであろう。八材暫{調査V一方、同じようにX線を利用した調査に蛍光X線分析がある。X線透過写真の撮影が構造調査であるのに対して、これは分析対象の成分を元素というかたちでとらえる材暫一調査といえる。試料に一次X線を照射すると、そこに含まれている原子が一時的に励起状態になる。これが基底状態に戻るときにその元素固有のX線すなわち固有X線あるいは特性X線とよばれる二次X線が発生する。従ってこの二次X線のエネルギー値や波長を測定することによってどの元素から発生したものかがわかる。すなわち試料にどのような元素が含まれているのかがわかることになる。加えて二次X線の強度を測定することによって各元素の量比を導くことも可能である。しかし保存処理における事前調査としての材質分析では、資料から試料をサンプリングしたり、資料を粉にしたり、液体にしたりといった加工をしなくても調査できるいう点は非常に有意義である。 怯政史学第五’一一号
保存処理におけるそれぞれの作業は遺物の状態によって採るべき工程が限定されたり決まったりすることがある。しかし一定の品質の製品を生産するラインとは異なり、全体として常に定まった手順が存在しているわけではない。それは出土遺物は同じ種類であっても、その状態はまさに千差万別といえるからである。次に鉄製品の保存処理工程の例からこの点をみてみる。いくつかの文献をみても金属製品(鉄製品)の保存処理工程は、いずれもお互いに似ているようで所々異なっていることがわかる。たとえば、錆落としと脱塩処理とはどちらが前なのか後なのか。鉄製品の錆落としではグラインダーなどで錆を削り落とすことになるが、このとき遺物に細かい振動が断続的に加わり、少なからぬ負荷がかかることになる。したがって表面の大小のクラックが発生しているようなときは、剥落や崩落がおこる可能性が高いが、表面的にクラックが発見できなくても作業中に不意に破損がおこる場合はしばしばある。|方、遺物に含まれている塩分を溶かし出す脱塩処理にはいくつかの方法があるが、錆や泥土が厚い層を形成しているような場合は脱塩液は層を 保存処理工程に法則はない 四○
通って浸透しないことからから、遺物内部へ作用して高い脱塩効果をあげることは期待できない。したがって余分な泥土や錆が除去されていた方がより効率のよい脱塩処理が期待できるであろう。この点からすれば「錆落とし」↓「脱塩処理」という順になる。しかし実際には上述のとおり、たいていは劣化が進行し脆弱化しているため、そこに振動などの負荷をかけると思いがけない破損を招くことになる。そこでこのようなトラブルが発生しないよう、また仮に起こっても修復できないものにしないためにも仮の補強処置を施すことにする。有機溶剤などで除去可能な接着剤を使用して、破損の可能性がある部分を接着補強したり、場合によっては合成樹脂で全体に表層を固定してから錆落とし作業に入る。「仮補強処理」↓「錆落し」ということになる。この順により仮に部分的な破損が発生しても、破片が一度に細かく分かれて飛び散り失ってしまう危険性は少なくなる。つまり錆落とし中に起こるかもしれない破損。欠失の被害を最小限に止めようということである。しかし脱塩処理前に出土鉄製品の表層を合成樹脂で補強処理を施すと、この状態のままでは内部の塩分が樹脂によって固定される、あるいはその溶脱が樹脂層によって妨げられる可能性が想定できる。この点からいえば脱塩処理
出t文化財の延命治雄(而川) の前に遺物全体をコーティングするような処置は、脱塩効率の点からは望ましいとはいえない。そうであるとすれば両者の順序は「脱塩処理」↓「仮補強処理」ということになる。さてもう一度ここで三者の順序を整理すると、次のようになる。(A)「錆落とし」↓「脱塩処理」(B)「仮補強処理」↓「錆落とし」(C)「脱塩処理」↓「仮補強処理」これらをよくみると(A)(B)(C)は循環してしまい、始まりがなければ終もないことになる。それでは実際にはどのような工程になるのであろうか。この循環の輪を断ち切るためにはどこを重視し優先するのか、どこで目をつぶるのかの選択になる。どこを優先しどこで目をつぶるかは、処理する遺物の状態やどのように仕上げるかによって異なることになる。つまり遺物の状態によって作業工程が変化してくるわけである。たとえば遺物本体の強度が十分に残っており、クラックや剥落の発生がなく破損の心配がない場合には仮補強処理自体必要がないこともある。このときは(A)にしたがって錆落し後に脱塩処理を行えばよいことになる。一方、本体の強度が劣化によって矢われ
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ているものや表面にクラックや剥落が発生しているものについては、(B)によって錆落し前に仮補強処理を施しておく必要がある。これは、脱塩処理が金属製品の保存処理において最も重要な作業の一つであり、かつその効果が多少とも低下する可能性があったにしても、それ以上に仮補強処理なしの錆落とし作業において発生する破損が遺物の価値に深刻な影響を与える場合が少なくないということからも容易に理解できよう。このように(B)を優先的に重視して考えた場合には、当然(B)(A)の複合型か(C)(B)の複合型になる。八(B)(A)複合型V表面の錆層による本体の脱塩効果の低下を避けるため、仮補強処理を行い、錆落としをした後に脱塩処理を行う。錆落とし作業段階では、除去すべき泥土を巻き込んだ錆が比較的厚く全体に付着しているものは、錆を落とすと同時に表層の合成樹脂も一緒に除去することになる場合が多い。このため結果的には補強材による脱塩効果の低下は少なくてすむこともある。しかしクラック内部などでは合成樹脂が残っており補強の効果を残すことになろう。八(C)(B)の複合型V表層の合成樹脂によって本体の脱塩効果の低下を避ける 陵政史学第五トー号
一個体の金属製品がいくつかの破片になって出土したり、出土後に折れたり割れたり剥がれたりすることは珍しいことではないであろう。これらは接着剤で接合して元の状態に戻すことになる。それではこの接合作業は保存処理作業工程のうちどの段階で行うのであろうか。それは破片の状態によって異なってくることになろう。「ケース1」比較的大きい破片で、明確に接合関係がわか ため、はじめに錆落としせずに脱塩処理から行う。したがって錆の付着が脱塩効果を低下させても目を瞑ることになる。脱塩処理後に仮補強処理を施し、その上で錆落としを行うことになるが、ここで注意が必要になってくる点は、補強を施していない状態で脱塩溶液に浸漬すると液中で遺物がばらけることがある。容器に1点だけしか入っていないのであればよいが、複数の遺物が同時に入っているような場合には破片が混ざり合ってしまい同一個体の認定ができなくなってしまう。このため、このような心配のある場合にはあらかじめ個々にネットなどに包んで浸漬することにしている。この型では付着している錆が少ない場合や局部的にのみ発生している場合などに向いていよう。
破片の接合段階について
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る場合。「ケース2」接合位置はわかるが、細かい破片の場合。「ケース3」類似する小破片が複数ある場合。「ケース4」破片の大きさに対して破断面が比岐的小さい不安定な破片の場合。「ケース5」破断面に泥土が付着している場合。破片の接合において最も重要なことは、第一には正確に元の位置に戻すことである。そのためにはより早い段階で接合作業を行った方がよいのではあるが、一方で脱塩効率や合成樹脂の含浸効率の点からみれば錆落とし.脱塩・樹脂含浸などがすんだ後の方がよいことになる。それは表面からだけではなく破断面からも塩分の溶脱や合成樹脂の含侵が期待できるからであり、また特に而的に層状に剥がれ落ちた破片などは両剥離面に発生している錆や巻き込まれている泥土なども除去し適切な処置を施してからの接合の方が望ましいことはいうまでもない。しかしながら実際の接合段階は上述のとおり破片自体の大きさや状態、また破断面の大きさや状態によって扱いが変わってくることになる。繰り返しになるが、元の位置により正確に戻すことを最優先に考えるならば、まずなるべく早い段階で破片の位置
川化文化川の延命端旅(h川) 関係を把握しておくことが肝要である。その位置関係は処理カードに記録されるが、「ケース2」や「ケース3」のような場合は記録しきれないこともあり、小破片は元の位置に戻せなくなる可能性があるので、これらについては位置確認を行った段階で接合してしまう場合がある。脱塩効率や合成樹脂の含浸効率の問題より優先的に破片の接合を考えることになる。このとき、後に溶剤ではずせる接着材を使用するか、最終的な固定を行う不溶性の接着剤を使用するかの選択をすることになる。また接合するときにも破片が合成樹脂の塗布作業に耐えられれば、これを施し補強してから接合することもある。ちなみに本体側に十分な強度が残っているときには、接合部分のみクリーニングなど必要な処置を先行して行うことになる。「ケース4」のように、破片の大きさに対して破断面が小さいものや不安定な破片の場合も早めに接合したい。錆落とし.脱塩処理・樹脂含浸など破片に負荷がかかる作業のなかでの接合部の破損は致命的なダメージとなる場合が多いからである。「ケース5」の破断面に泥土が付着している場合には、できる限り付着物を除去してから接合した。しかし破片は一般に脆弱であることが多いので除去作業には細心の注意が必要になる。ここでも脱塩効率や合成
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樹脂の含浸効率の問題をこの次にして、まず補強を施してから行う必要もでてくる。最後に「ケース1」のように比較的大きい破片で明確に接合関係がわかるものについては、接合は錆落とし.脱塩処理・樹脂含浸などの後に行うことにすることによって、遺物表面からだけでなく破断面からも塩化物イオンの溶脱や合成樹脂の含浸ができ、効率の向上が期待できよう。すなわち同一個体の破片でありながらも、個別に処理を施してゆき最後に接合するといったかたちである。このように破片を別々に処理することによって接合部に段ができてしまう。これは錆落とし作業を個別に行うことに起因しており、接合後に再度調整を加える必要がある。なお、この再調整によって、遺物表面に形成された合成樹脂に保護膜が部分的にではあるが削り落とされてしまうことになるため、これについても再度合成樹脂の含浸や塗布で塗膜層を補っておく必要がある。
主に鉄製品を念頭において出土金属製品の保存処理に関するいくつかの問題について選抜して記してみた。したがって当然、以上は処理作業の全体をカバーしたものでは むすび 法政史学第五十二号
ないわけである。実は技術的に最も重みのある作業である錆落としや脱塩処理あるいは樹脂含浸そして接合・復元技術などの内容にまでは触れていない。またさらに重要な処理後の保管や保存処理計画全体の問題についても言及できなかった。今後、機会を得て続編を期したい。 四一Ⅲ’