1E 物理学演習 標準 H004-1
担当教員
:浜中 真志 研究室
: E-mail:[email protected]運動方程式の立式 (2018 年 10 月 11 日 )
作成日: October 8, 2018 Updated : October 11, 2018 Version : 1.0 実施日: October 11, 2018
運動方程式
質量
mの物体に力
F~が加わると物体に加速度
~aが生じる:
m~a=F~
この関係式を運動方程式
(Equation Of Motion=「
EOM」と略す
)と呼ぶ
.運動方程式の立式
問題
1.(自吊り:先週の続き
)先週の
H003問題
1と同じ設定で
,M = 30kg,m = 60kgと する
.台車には体重計が埋め込まれており先週の静止した状況では
15kgを表示していた
.今週は,人が糸に一定の力を加えながら,糸をたぐりつつ上昇したり,糸を繰り出しな がら下降したりしている状況を考えよう
.ある時刻で体重計の読みが
16.5kgであったと する
.このときの台車の加速度を求めよ
. (鉛直上向きを正とする
.)m
M
問題
2. (落下運動
)右図に示されるように
質量
Mの箱の中に,質量
mの分銅が入れてある
.これがそのままの姿勢を保って自由に落下するとき
,次の各場合について分銅の底面にはたらく力の 大きさはいくらか
. (重力加速度の大きさを
gとする
.)(1)
空気の抵抗
Fが箱にはたらく場合
(2)空気の抵抗がない場合
(3)
箱の落下の速度が増して空気の抵抗が大きくなりやがて落下速度が一定になった場合 問題
3. (テキスト演習問題
II-A 7.)問題
4. (テキスト演習問題
II-C 4.)(1)
質量
m1, m2の物体の加速度をそれぞれ下向きに
a1, a2,質量
m3の物体の加速度を上 向きに
a3として
,運動方程式を立てよ
.(2) M = 0, m1 =m, m2 = 3m, m3 = 4m
として
,a1, a2, a3を重力加速度
gを用いて求め よ
.ただし加速度に
a1 −a3 =−(a2 −a3)の関係が成り立つことを既知としてよい
.【解答】
(1)物体
1:
m1a1 =m1g −T′,物体
2:
m2a2 =m2g−T′,物体
3:
m3a3 = T −m3g,動滑車:
Ma3 =Mg+ 2T′ −T.(2)
これに加速度の関係
a1 −a3 =−(a2−a3)を加えると
5個の未知変数に対して方程 式が
5つとなる
. M = 0, m1 =m, m2 = 3m, m3 = 4mとして解くと
, a1 =−(5/7)g, a2 = (3/7)g, a3 = (1/7)g, T = (24/7)mg, T′ = (12/7)mg.標準
H0-1E18-04難易度
: C名城大学・理工学部
1E 物理学演習 標準 H004-2
担当教員
:浜中 真志 研究室
: E-mail:[email protected]問題
5. (斜面の運動:先週の続き
)今週は
θ > θ∗のときを考える
.このとき物体
Pは斜 面に沿って下向きに等加速度運動を行う
.斜面と物体の間の動まさつ係数を
µ′とする
.(1)
この加速度の大きさを
aとして斜面に平行な方向の運動方程式を立てよ
. (m, g, θ, µ′のうち必要なものを用いて表せ
.)(2)
ここで斜面台に着目する
.斜面台は地面に対して静止したままであるが,これは斜 面台と地面の間に静止まさつ力が存在するからである
.斜面台の質量
Mとし,斜面 台に関して水平方向の力のつり合いの式を立てて
,斜面台と地面の間の静止まさつ 力の大きさ
Fを,
M, m, g, θ, µ′のうち必要なものを用いて表せ
. (注:斜面台が物体 から受ける力をすべてきちんと書くのが重要
.垂直抗力だけでなくまさつ力につい ても作用反作用の法則を適用しなければならない
.)(3)
斜面台と地面の間の静止まさつ係数を
µとする
.斜面台が地面に対して動き出さな いためには
µはいくら以上であればよいか?
M, m, g, θ, µ′のうち必要なものを用 いて表せ
. (注:斜面台が地面に対して動き出さない
⇔F ≤Fmax.)問題
6. (力のつりあい:先週の続き
) H003問題
6の状況において小物体につけた糸を切っ た
.この瞬間に半円柱が水平面上をすべらないためには,半円柱と水平面との間の静止ま さつ係数はいくら以上であればよいか
. (答:
√3m
3m+ 4M
以上
)第
1回小テストについて
(10月
18日
(木
)実施分
)•
試験時間
60分の予定.
•
ノート持ち込み不可です.
(電卓・スマホの類も不可
.)•
試験範囲は,配布プリント
H001〜
H004に関連した話題です.
(ばね・振動運 動・浮力は範囲外
.)ただし以下の問題は試験範囲外とします: 「数学的準備
(微 分・積分
)」の問題
4(暇つぶし
).【解答】
(H002問題
3 (2))y=±pb/a
は初期条件を満たさないので不適
.よって
y2−b/a 6= 0であり
,与式は
, 1y2−b/a dy
dx =a
のように書ける
.ここで
, 1y2−b/a = 1 2
ra b
1 y−p
b/a − 1 y+p
b/a
!
のように部分分数化されることに注意すると
, 1y−p
b/a − 1 y+p
b/a
!dy dx = 2√
ab.
両辺を
xで積分すると
, log|y−pb/a| −log|y+p
b/a|= 2√
abx+C, (C
は積分定数
.)すなわち
, log
y−p b/a y+p
b/a
= 2√
abx+C.
すなわち
, y−p b/a y+pb/a =Ae2√abx, (A
は
0でない定数
).y(0) = 0
より
, A=−1が求まる
.上式を整理すると
y=− rbatanh√ abx.
標準
H0-1E18-04難易度
: C名城大学・理工学部
1E 物理学演習 標準 H004-3
担当教員
:浜中 真志 研究室
: E-mail:[email protected]微分方程式補充問題
問題
7. (医学への応用
)薬を血管内に注射して初期血中濃度
y0を得た
.この薬は血 中濃度に比例した速さで代謝排泄されるため,血中濃度は注射後時間
tとともに次 第に減少する
.ただしこの薬はある一定の血中濃度
c以上でないと効力がない
.この薬は
y0が
cの
3倍のとき
8時間有効だった
. 24時間有効にするためには
y0をい くらにすればよいか
.【解答】
t分後の血中濃度を
y(t)とする
.血中濃度の減少する速さが血中濃度に比例する ので
,k(>0)を比例定数として
,以下の関係式が成り立つ
:dy
dt =−ky.
定数関数
y= 0は条件を満たさないので不適
.よって与式の両辺を
y (6= 0)で割ると
1y dy
dt =−k.
両辺を
tで積分をすると
Z 1
ydy=− Z
kdt.
よって,
log|y|=−kt+C(
Cは積分定数
).すなわち
y=±eCe−kt.ここで,
A=±eCと おけば,
Aは
0ではない任意定数となる.よって,一般解は以下のようになる
.y=Ae−kt
(
Aは
0ではない任意定数)
.初期血中濃度が
y0であるとは
, t= 0で
y=y0であるということ
.よって
y0 =Aであり
, y(t) =y0e−kt.与えられた条件は「
y0 = 3cとすると
t= 8で
y =c」 である
.よって
c= 3ce−8k· · ·(∗)が 成り立つ
.したがって
, t = 24で
y =cとなる
y0は
c=y0e−24kより求まる
. (∗)を
3乗し た式
1 = 27e−24kを代入して
kを消去すると
, y0 = 27c· · · (答
).問題
8. (ロジスティック・モデル
)(1)
ある国の時刻
tでの人口を
x(t)とし
,t = 0のとき
x(0) = x0 (>0)であると する
.人口の増加率がその時点での人口に比例し
,その比例定数
kは時刻によ らず一定であるとしたとき
,時刻
tでの人口を求め
, t→ ∞のときの人口の挙 動について述べよ
.(2)
もう一つ別のモデルを考える
.人口が以下の微分方程式に従うとき
x(t)を求 めよ
. (ただし
a, Nは正の定数
.) t → ∞のときの人口の挙動についても述 べよ
. dxdt =ax(N −x), x(0) =x0 >0,
【解答】
標準
H0-1E18-04難易度
: C名城大学・理工学部
1E 物理学演習 標準 H004-4
担当教員
:浜中 真志 研究室
: E-mail:[email protected] (1) x(t)は微分方程式
dxdt = kx
を満たすので
, H002例題
1(2)よりその解は
x = Aekt (Aは任意定数
)と表される
. x(0) =x0より
A =x0,すなわち
x(t) = x0ektとなる
.これより
,• k > 0
のとき
x→ ∞,• k = 0
のとき
xは常に一定
x0,• k < 0
のとき
x→0.(2) x(0) =x0 >0
より
x = 0 (定数関数
)とはならない
. x 6=N (特に
x0 =x(0) 6= N)のとき
,微分方程式は
1
x + 1 N−x
dx dt =aN
と変形できるので
,両辺を
tで積分して
log|x| −log|N−x|=aNt+C (C
は積分定数
),すなわち
xN −x =AeaN t (A
は
0でない定数
)となる
.初期条件
x(0) =x0から
A= x0N −x0
となり
,解は
x(t) = Nx0eaN tN−x0 +x0eaN t· · ·(∗)
となる
.また
,x0 =Nのとき
,定数関数
x=Nが解となるが
,これは
(∗)で
x0 =Nとしたものである
.したがって
,いずれの場合も
(∗)が解となる
.これより
t → ∞のとき
x→Nとなる
.[
コメント
] (2)の微分方程式はロジスティック方程式と呼ばれる
.下図 はそれぞれ
x0 < N(左 図
), x0 > N(右図
)の場合の解のグラフである
.いずれの場合も人口は
Nに収束してくこ とが見て取れる
.しかし
,人口の挙動は解を求めなくても方程式自身からある程度知るこ とができる
.例えば
xの値が
(Nに比べて
)非常に小さいとき
,微分方程式はだいたい
(つ まり
x2の項は無視すると
)dx
dt =aNx
だと思える
.これは一つ目のモデルと同じ形の方程式なので
, xは指数関数的に増えてい くことが分かる
.一方
,xが
Nに近いときには微分方程式の右辺は
(したがって
dxdt
も
)ほ とんど
0なので
, xの値はほとんど変わらないことが分かる
.O x
t N
x0
O x
t N
x0