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学 位 記 番 号 甲 第 719 号 学 位 授 与 の 日 付 平成 26 年 3 月 7 日

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ふ り が な

氏 名

こしぬま しずか

越沼 静

学 位 の 種 類 博士(歯学)

学 位 記 番 号 甲 第 719 号 学 位 授 与 の 日 付 平成 26 年 3 月 7 日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項に該当

学 位 論 文 題 目 Combination of necroptosis and apoptosis inhibition enhances cardioprotection against myocardial

ischemia-reperfusion injury

(ネクロプトーシス,アポトーシス阻害の組み合わせは 心筋虚血再灌流障害に対する心保護効果を増強する)

学 位 論 文 掲 載 誌 Journal of Anesthesia 第 28 巻 第 2 号 平成 26 年 4 月

論 文 調 査 委 員 主 査 小谷 順一郎 教授 副 査 池尾 隆 教授 副 査 西川 泰央 教授

論文内容要旨

近年,アポトーシス,およびネクローシスとも異なる新しい細胞死の形として「プログラムされた ネクローシス」 ,ネクロプトーシスという概念が提唱されている.ネクロプトーシス阻害薬であるネク ロスタチンの脳室内投与により脳梗塞サイズが減少するという報告がある.近年,心筋においても同 様の報告があるがその詳細は不明である.

本研究では,虚血による偶発的心筋細胞死(ネクローシス)と考えられている急性心筋梗塞におい てネクロプトーシスが関与するか否かを明らかにし,その細胞内シグナル伝達に関与するタンパクの 発現について検討した.また,カスパーゼ阻害剤である Z-VAD をネクロスタチンと同時に投与して梗 塞縮小効果に相乗効果が認められるか検討し,ネクロプトーシスとアポトーシスの相互作用について 検討した.

モルモットの Langendorff 灌流心で 30 分間虚血,4 時間再灌流を行った(CTL:n=8).ネクロスタチ ン群(Nec)は CTL 群にネクロスタチン(10µM)を虚血直前の 5 分間,および再灌流後 30 分間投与し た.Z-VAD 群(Z-VAD),ネクロスタチン+Z-VAD 群(Nec+Z-VAD)も同様に,Z-VAD(0.1µM),あるいは ネクロスタチン+Z-VAD を投与し,計 4 群を作製した.心機能の指標として,左心室圧(LVDP),左心室 終末拡張期圧(LVEDP),冠血流量(CF)をモニターした.梗塞サイズは triphenyltetrazolium chloride

(TTC)染色にて行った.各群で再灌流 240 分後に心筋を採取し,ネクロプトーシスとアポトーシスの

key enzyme である receptor interacting protein 1 (RIP1) および caspase3 の発現を Western blot

法を用いて検討した(n=4) .

(2)

虚血再灌流後,CTL 群と比較し Nec+Z-VAD 群で,LVDP は有意に高値を認め,LVEDP は有意に低値 を認めた.CF は各群間で有意差は認められなかった.心筋梗塞サイズは,CTL 群と比較し,Nec 群,Z-VAD 群で有意に縮小し,Nec+Z-VAD 群においてさらに縮小を認めた.RIP1 は CTL 群,Nec 群で他の群と比 較し,有意に発現が減弱した.Caspase3 は CTL 群,Nec 群で有意に活性化が認められたが,Nec+Z-VAD 群では抑制された.

以上より,摘出したモルモット心筋において,虚血再灌流障害でみられる心筋細胞死にネクロプト ーシスが関与し,ネクロプトーシスとアポトーシスを同時に阻害することで心筋梗塞縮小効果が増強 されることが明らかとなった.また,その細胞内シグナル伝達において,RIP1 および caspase3 の関与 が明らかとなった.

論文審査結果要旨

広範囲心筋梗塞後の重症心不全は長期予後を大きく左右する.これまで血流遮断による心筋細胞死 はほとんどがネクローシスと考えられていたが,プログラムされた細胞死であるアポトーシスの関与 も報告されている.近年,これらの細胞死とは異なる「プログラムされたネクローシス」,ネクロプト ーシスという概念が提唱されている.この現象の阻止により脳梗塞が縮小することの報告がある.し かし,偶発的細胞死でネクローシスが主因となる心筋梗塞においてこの現象が起こるか否か,またそ の詳細は不明である.

著者は,急性心筋梗塞においてネクロプトーシスが関与することを解明した.また,カスパーゼ阻 害剤である Z-VAD をネクロスタチンと同時に投与して梗塞縮小効果が増強されることを証明し,ネク ロプトーシスとアポトーシスを同時に阻害することで心筋梗塞縮小効果が増強されることを明らかに した.また,その細胞内シグナル伝達において,RIP1 および caspase3 が関与していることを明らかに した.

本研究は心筋虚血再灌流障害におけるネクロプトーシスの関与,およびネクロプトーシスとアポト ーシスの相互作用について細胞内シグナル伝達の観点から検討したものである.これらについて詳細 を解明することで,心筋保護効果が増強できる可能性があり,今後の臨床応用にもつながると考えら れる.

以上,心筋虚血再灌流障害におけるネクロプトーシスの関与,およびネクロプトーシスとアポトー

シスの相互作用について解明した点において,本論文は博士(歯学)の学位を授与するに値すると判

定した.

参照

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