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日中経済交流 2006年

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(1)

日中経済交流  2006年

─構造調整時代の関係構築を─

日 中 経 報 №  347  18−調−2 

2 0 0 7 年 3 月

日 中 経 済 協 会

この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。

http://keirin.jp

(2)

本報告書は、平成 18 年度日中経済協会経済交流委員会の研究成果である。

研究メンバーは次の通りである。(敬称略)

委 員 長 大塚 正修 元 野村総合研究所主席研究員

委 員 井関 裕介 国際協力銀行 国際金融第一部第一班課長 奥野 康史 電源開発株式会社 国際事業部調査役

川手 純一 日本郵船株式会社 定航マネジメントグループ グループ長代理 北原 基彦 社団法人日本経済研究センター アジア研究部長兼主任研究員 国吉 澄夫 九州大学 アジア総合政策センター教授

小林  守 株式会社三菱総合研究所 国際戦略研究グループリーダー、主席研究員 小松 博史 社団法人海外鉄道技術協力協会 技術本部部長

近藤 信一 財団法人機械振興協会 経済研究所・調査研究部研究員 佐谷  浩 日本通運株式会社 海外企画部次長

白鳥 智裕 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 金属資源開発調査企画グループ 竹原 美佳 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 石油・天然ガス調査グループ サブリーダー 戸田 弘元 元 日本鉄鋼連盟常務理事・東北大学大学院客員教授

萩原 陽子 株式会社三菱東京 UFJ 銀行 経済調査室調査役

広瀬 英樹 株式会社小松製作所 建機マーケティング本部海外営業本部中国グループマネージャー 三浦 良雄 元 川崎汽船理事中国室長、上海フェリー社長

三竹英一郎 国際協力銀行 開発第二部第一班課長

光益  彰 株式会社日本航空インターナショナル 中国事業推進部課長 村瀬 哲司 京都大学 国際交流センター教授

八島 継男 社団法人国際善隣協会 理事

山口 安彦 元 本田技研工業株式会社 中国業務室四輪ブロック主幹 執 筆 協 力 四津 雅人 日本郵船株式会社 調査グループ グループ長代理

細野 直也 日本郵船株式会社 調査グループ コンテナ・港湾調査チーム長 事務局執筆者 藤原  弘 財団法人日中経済協会調査部長

山本 祐子 財団法人日中経済協会調査部課長 髙見澤 学 財団法人日中経済協会調査部課長

(役職等は 2007 年 3 月末現在)

(3)
(4)

日中経済交流 2006 目次

はじめに………1

1.日本企業の対中投資、踊り場に………… 1

2.「戦略的互恵関係」肉付けが急務 ……… 1

3.環境・省エネは共通の関心事……… 3

第Ⅰ部 中国の経済と改革………5

第 1 章 国内経済と貿易・直接投資… ……… 5

第 1 節 国内経済の動き… ……… 5

1.第 11 次五カ年計画と 2006 年の経済運営    方針 ……… 5

2.06 年の中国経済 ……… 7

3.経済過熱抑制がテーマの一年……… 9

4.2007 年の経済見通し ………12

第 2 節 対外経済関係… ……… 13

1.貿易………13

(1)輸出 ………13

(2)輸入 ………17

(3)11 次五カ年計画における貿易政策 …19 (4)06 年の貿易関連措置 ………20

(5)貿易摩擦と品質トラブル ………22

(6)自由貿易協定(FTA) ………22

(7)中国のサービス貿易 ………23

2.対中直接投資………24

(1)2006 年中国の対外直接投資受け入れ   状況 ………24

(2)米国企業の対中投資 ………25

(3)欧州企業の対中投資 ………29

(4)アジア企業の対中投資 ………31

3.中国の「WTO 加盟 5 周年」 ………38

(1)輸出補助金 ………38

(2)検査認証問題 ………39

(3)為替問題 ………39

4.中国の FTA 戦略 ………41

(1)中国・ASEAN の FTA 戦略の進捗 …41 (2)中国メーカーの迂回輸出候補としての   インドシナの ASEAN 諸国 …………41

(3)南西アジア諸国との FTA………42

5.日中貿易と日本の対中投資………43

(1)拡大を続ける日中貿易と一巡した   対中投資 ………43

(2)2000 億ドルを超えた日中貿易 ………43

(3)前年比 3 割減の日本の対中投資 ……46

(4)新たな日中間の貿易と投資に向けて …47 第 2 章 公的資金の流れ… ……… 49

第 1 節 円借款… ……… 49

1.近年の円借款供与の動向………49

2.今後の日中経済協力の推進に向けて……55

第 2 節 その他資金協力… ……… 57

1.06 年度の業務概況 ………57

2.今後の対中資金活動………58

第 3 節 無償援助… ……… 60

1.援助実施の動向………60

2.05 年度の JICA の対中国技術協力 ……63

3.06 年度の JICA の対中国技術協力計画 …66 4.その他の事業………67

5.JICA の機構改革及び今後の展望 ………67

第 3 章 制度環境の変化… ……… 71

第 1 節 産業構造調整… ……… 71

1.過剰・劣後設備の淘汰………71

2.構造調整と外資政策………73

3.国有資本経営予算制度が浮上………76

(5)

3.上海外国為替市場の改革……… 117

第Ⅱ部 中国の産業動向……… 121

第 1 章 資源・エネルギー… ………121

第 1 節 石油・天然ガスの需給と石油政策…… 121

1.石油需給の現状と見通し……… 121

2.天然ガス需給の現状と見通し………… 124

3.中国の石油政策……… 127

4.中国国有石油企業の国外進出………… 129

5.石油産業における日中の提携………… 131

第 2 節 石炭… ……… 132

1.2006 年の石炭資源と需給 ……… 132

2.石炭政策……… 135

3.石炭輸送……… 137

4.石炭貿易……… 139

第 3 節 電力… ……… 143

1.2006 年の電力事業概況 ……… 143

2.2007 年の電力需給見通し ……… 145

3.長期電力発展展望……… 145

4.電気事業の課題と対策……… 146

5.省エネ・環境保全、電力構造改革に関する 動向 ……… 148

第 4 節 鉱物資源… ……… 152

1.2006 年の概要 ……… 152

2.主要鉱産物の生産・輸入・消費・輸出   動向……… 152

3.中国の鉱業政策の方向性……… 155

4.中国経済の拡大と我が国への影響…… 159

第 2 章 製造業… ………161

第 1 節 鉄鋼業… ……… 161

1.世界一の位置を占める粗鋼生産と   鋼材輸出……… 162

2.過剰生産能力の懸念が現実に   ―官民対応強化……… 163

3.中国鉄鋼需給の短期的見通しと趨勢… 165 第 2 節 政府改革… ……… 77

1.強まる垂直管理………77

2.公務員の考課………78

3.各級人民代表大会常務委員会監督法……79

4.土地管理の強化………79

5.収入分配制度改革………80

第 3 節 財税改革… ……… 82

1.財政執行状況………82

2.収支分類の改革………83

3.地方財政管理………85

4.税制改革………85

第 4 節 企業改革… ……… 90

1.企業経営………90

2.国有企業改革………91

3.郵政改革………92

4.破産法の公布………92

5.物権法の成立………93

第 5 節 金融・資本市場改革… ……… 94

1.金融面の動き………94

(1)銀行業の完全開放 ………94

(2)進む国有銀行の上場 ………95

(3)国内銀行と外資系金融機関との連携 …96 (4)金融工作会議が示す今後の改革の   方向性 ………98

2.資本市場の動き……… 100

(1)株式市場の動き ……… 100

(2)6 兆元弱の債券市場 ……… 104

(3)今後の資本市場政策 ……… 105

第 6 節 民間ベースの資金の流れ… ………… 107

1.はじめに……… 107

2.中国の国際収支の特徴……… 107

3.資本収支の問題点……… 109

第 7 節 外為制度と外為市場… ……… 111

1.2006 年の人民元をめぐる動向 ……… 111

2.資本取引に関する規制……… 112

(6)

4.世界鉄鋼業の再編・統合の影響……… 166

5.拡大著しい鉄鋼生産設備能力………… 168

6.製鉄資源の輸入は急速に増大趨勢   辿る……… 168

第 2 節 ハイテク動向… ……… 170

1.「自主創新」(自主開発)の波………… 170

2.「数字電視地面広播」の規格決定 …… 171

3.海外進出とイノベーション……… 172

4.「2006 電子信息百強」と中国電子情報   企業動向……… 173

5.主要ハイテク製品市場動向データ…… 178

第 3 節 電子デバイス… ……… 181

1.中国の IT 部品産業の競争力 ………… 181

2.中国の半導体産業の現状と見通し…… 182

3.中国の液晶パネル産業の現状と見通し … 190 4.中国電子デバイス産業の課題と   見通し……… 193

第 4 節 建設機械… ……… 195

1.2006 年の市場概況 ……… 195

2.製品別の市場概況……… 196

第 5 節 自動車… ……… 202

1.生産と市場の動向……… 202

2.自動車に関する政策などの変化……… 204

3.第 11 次五カ年計画 ……… 205

4.生産能力過剰に関連して……… 206

5.中国製自動車関連製品の輸出………… 208

6.中国企業による英ローバー買収と   その後……… 210

7.中国での事業活動……… 210

第 3 章 運輸… ………213

第 1 節 港湾物流-投資の過熱傾向と物流の     変貌……… 213

1.港湾物流概況……… 213

2.上海・洋山港の順調な拡充と問題点… 213 3.寧波 急増するコンテナ取扱量……… 216

4.珠江デルタ 大湾新港建設の   インパクト……… 217

5.深圳・塩田港の整備強化……… 218

6.PRD 西岸の新港湾(南沙、高欄)   建設……… 218

7.天津濱海新区の突破口「保税港区」 … 218 8.青島港に外資 100 パーセント出現…… 220

9.大連港整備計画……… 221

10.内外企業の港湾投資意欲……… 221

第 2 節 物流サービスと国内輸送… ………… 223

1.中国の物流政策の動向……… 223

2.第 11 次五カ年計画における物流   政策……… 223

3.交通インフラの整備状況……… 225

4.旺盛な物流関連投資と施策……… 225

5.外資系物流企業への規制緩和………… 227

6.外資系物流企業と民族系物流企業…… 228

7.国内貨物輸送 道路輸送と鉄道輸送… 233 8.物流業界と環境対策……… 235

第 3 節 鉄道… ……… 237

1.中国の鉄道概況……… 237

2.鉄道部における企業改革……… 239

3.輸送情況……… 240

4.最近の建設状況……… 243

第 4 節 外航海運… ……… 252

1.日中コンテナ輸送動向……… 252

2.2006 年のドライバルク市況と中国の輸入   動向 ……… 255

3.存在感を増す中国貨物……… 259

第 5 節 航空… ……… 262

1.持株の相互保有、合弁設立の状況…… 262

2.中国の航空政策及び主な課題………… 265

3.空港整備の現状と課題……… 269

4.訪中日本人・訪日中国人の動向……… 270

5.日中間の航空路線便数拡大の動向…… 270

(7)
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日中経済交流 2006 年

 

は じ め に 

1.日本企業の対中投資、踊り場に

投資の面で大きな変化があった。2003 年から連年史上最高を記録していた日本企業の 対中投資は減少に転じた。商務部の統計によると、実行ベースで見た投資額は 45 億 9800 万ドルで前年と比べ、29.6%減という大幅な落ち込みとなった。日本の対中直接投資額が 減少したのは 2002 年以来 4 年ぶりのこと。中国の世界貿易機関(WTO)加盟をきっかけ として、中国の国内市場を狙った新しい対中投資のブームが起きたが、その波が一巡した のが大きな要因だ。これに加え中国の投資環境の変化も大きい。06 年に全国のほとんど の地方で最低賃金が大幅に引き上げられるなど労働力コストの上昇が目立つほか、電力不 足など事業環境の改善も進んでいない。また 08 年に実施が予定されている企業所得(法人)

税改正などに見られるように中国の外資優遇に対する姿勢の変化も見逃せない。日本ばか りでなく全体としても、中国への外国企業直接投資額は 694 億ドルで前年比 4.%の減少 だった。

ただ日本の多くの企業にとって中国がもっとも有望な投資先(国際協力銀行 06 年調査 では中国を選んだ企業が 77%)であることは変わっていない。日本企業にとって 2006 年 は投資や市場リスクの見極めや、新しい投資の芽を模索するため必要な調整時期との考え 方も成り立つ。

通関統計でみた 2006 年の日中貿易額は欧州連合(EU)、米国についで 3 位だった。

2003 年まで連続して 年間 位を続けてきたが、その後 3 位に落ち込み、3 年間連続し ての定位置。金額は輸出入合わせて 2073 億ドルで、前年比 2.3%の伸びだった。 位の 欧州連合(EU)が 25.3%(2,73 億ドル)、2 位の米国が 24.%(2,6 億ドル)、また東南 アジア連合 23.3%(,304 億ドル)、韓国 20.0%(,9 億ドル)と中国の主要貿易パートナー の多くが 2 割の増加を記録した中で、日本は二ケタの伸びを示したものの中国の輸出入全 体に占める日本の比重は前年より下がった。日中経済交流 2005 年版では「政冷経涼」へ の危惧が指摘された。外交面では 2006 年 0 月の安倍首相の訪中後、関係改善に向けた動 きが活発化しているが、投資・貿易面ではなお「経涼」の状態をぬけきってはいないとい うのが実情といえる。

2.「戦略的互恵関係」肉付けが急務

安倍晋三首相は 9 月 26 日の就任後 2 週間もたたない 0 月 8 日に北京を訪問した。訪問

(9)

期間中、胡錦濤国家主席、温家宝首相ら中国首脳と精力的に会談し、両国は戦略的互恵関 係を構築することで合意した。日本の首脳の中国訪問は 200 年以来 5 年ぶりのこと。小 泉純一郎首相の度重なる靖国神社参拝で冷却化が進み、972 年の国交回復後もっとも低 調な関係に陥っていた日中関係はこの訪中をきっかけに関係改善に踏み出すことになっ た。

このときの会談の主な中身は以下のような点だ。

・日中関係を政治・経済の車輪で高度な次元に高め、共通の戦略的利益に基づく互恵関係 の構築を目指す

・日本は平和国家として歩むと強調、中国はこれを評価

・中国の指導者の訪日。国際会議の場で首脳が頻繁に会談

・東シナ海ガス田の共同開発の方向を堅持し協議を加速

・政治・経済・安全保障・文化などでの交流促進

・エネルギー、環境保護、金融、情報通信技術、知的財産権保護などで協力

・歴史共同研究に着手

・朝鮮半島情勢に深い憂慮を表明

日中関係のキーワードとして 972 年の「善隣友好」(日中共同声明)、998 年の「友好 協力パートナーシップ」(日中共同宣言)があったが、今回は「友好」に代え「戦略」と いう言葉が使われた。日本では米国以外に、中国も米国やロシア以外にこの言葉を使うこ とはほとんどない。今後の両国関係は①目先のものでなく長期的②二国だけでなく地域的 な広がる③政治・経済など個別分野にとどまらず幅広く――ということが含まれているの であろう。

02月22日 二階経済産業相が訪中、温家宝首相と会談 03月06日 北京で東シナ海ガス田開発をめぐる政府間協議 03月4日 温家宝首相が 3 項目の対日外交方針

03月25日 北京で日中財務対話

03月3日 日中友好 7 団体、北京で胡錦濤国家主席と会談 05月23日 ドーハ(カタール)で日中外相会談

05月3日 日中省エネルギー・環境総合フォーラム(東京)

08月5日 小泉首相、靖国神社参拝

09月03日 日中経済協会代表団訪中、温家宝首相と会談 09月22日 次官級の総合政策対話

09月26日 安倍晋三氏が首相就任

0月08日 安倍首相が訪中、胡錦濤国家主席、温家宝首相などと会談 月8日 安倍首相と胡錦濤国家主席がハノイで会談

2月27日 日中歴史共同研究プロジェクト第一回会議が北京で開催 2006 年の日中関係

(10)

その後 月にハノイで開いた APEC(アジア太平洋経済閣僚会議)では安倍首相と胡 錦濤国家主席が会談、①日中経済閣僚会議の設置②省エネ対策の閣僚対話③日中間の相互 訪問者数年間 500 万人――などが合意された。年明けの 月 4 日にはフィリピンで安倍・

温家宝両首相の会談が行われ、温家宝首相の訪日を要請、このほか①エネルギー閣僚対話

②羽田-上海のシャトル便創設――などで合意。これまでのところ関係回復は順調といえ る。

日中関係がこじれ始めた 200 年はちょうど中国が WTO(世界貿易機関)に加盟した年。

関係の冷却化が進んでいるうちに、中国は高度経済成長をとげ、世界第 4 位の経済大国の 座についた。この 00 年以上アジアで強国は(少なくとも経済面だけ見れば)日本だけと いう状況は大きく変化し、日本と中国が並立するという大きな地殻変動が生じた。両国関 係が戦略関係に格上げされたことには相応の背景があるというべきだ。現在のところ戦略 関係は 6 カ国協議に示されるように政治的な側面が前面に出ているが、クローズアップさ れている東アジア経済統合においても、日中韓投資協定の推進など両国が重要な役割を果 たしていくことが重要だ。

もちろん火種はある。東シナ海ガス田開発がそのひとつ。排他的経済水域の問題が絡む だけに共同開発といっても曲折があることは間違いない。また安全保障面でも中国の国防 費増大や昨年末の衛星破壊実験など、日本側から見て中国の不透明感は強い。

日中関係でもうひとつ大きな変化は、インターネットの普及で相手国の情勢が時間差な しに伝わると同時に、狭隘で扇情的な言動をよしとする草の根ナショナリズムともいうべ き現象が台頭している点だ。これへの対応を誤るとせっかく築き上げた関係改善が一瞬の うちに崩れる恐れもある。これまでの日中首脳会談でも中国側は歴史認識の問題にまった く触れていないわけではない。両国関係は過去の歴史という負の遺産を抱え、「世界中の 二国間関係の中で最も難しい関係」であることに変わりはない。両国関係の新しい展開に は指導者の「理性」がもっとも必要とされるだろう。

3.環境・省エネは共通の関心事

2007 年 3 月の全国人民代表大会の政府活動報告で、温家宝首相は前年に打ち出した環 境・省エネの目標が未達成だったことを認めた。昨年 3 月に正式に採択した第 次 5 カ 年計画では「拘束性」(強制力のある)指標として大々的に省エネを打ち出したが、結果 は GDP エネルギー原単位削減は .2%(年間の目標は 4%削減)にとどまり、主要汚染物 質(化学的酸素要求量と硫黄酸化物)の排出量の 2%削減にいたっては、反対に増加する という結果となった。政府活動報告は 2007 年も環境保護とエネルギー利用効率の改善に 力を入れる方針だ。

人間社会と環境とのマクロ的なバランスを見るときに、生物学的に生産可能な面積(バ イオキャパシティ)と人間の生活を維持するために仮想的に必要とされる面積(エコロジ カル・フットプリント)がしばしば比較される。中国についてこれを調べると、980 年

(11)

代から後者が前者を上回り、200 年現在でフットプリントがキャパシティを 4%も上回っ ている。中国の専門家彭希哲氏は「生態系が不安定になっている」と指摘している。問題 なのは中国全体の生態系の赤字の総量は世界全体の赤字の 24%を占めるまでになってい る点だ。中国の環境問題の解決は世界的に見てもまったなしの課題といえる。

昨年 0 月以来の 3 度に及ぶ日中首脳会談でも環境・省エネルギーについての閣僚対話 が重要な協力分野にあげられた。日本は地理的な位置関係から中国の経済活動がもたらす 環境変動の影響をもっとも受けやすい。また中国経済がエネルギー多消費型の発展を続け れば世界のエネルギー市場を不安定にし、海外にエネルギー資源のほとんどを依存する日 本の経済にも影響を及ぼす。

この面での民間が主体となった協力は不可欠である。06 年 5 月に日中経済協会は日中 の官庁などと共催で日中省エネルギー環境総合フォーラムを開催した。9 月の日中経済協 会の訪中の際にも、中国が進める「十大重点省エネ事業」「省エネ 000 社」などのプロジェ クトに対する日本の技術や経験の移転について、中国側もサポートするよう要請した。経 団連が中国の中国企業連合会と共同で行った 06 年 9 月の日中産業シンポジウムのテーマ も環境保全とエネルギーであった。07 年はこの流れをどう太くしていくかが課題になっ ている。

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第 1 部 中国の経済と改革

 

第 1 章 国内経済と貿易・直接投資 

第 1 節 国内経済の動き

国家統計局の 2006 年国民経済・社会発展統計公報(2007 年 2 月 28 日発表)によると、

2006 年の中国の国内総生産(GDP)は 20 兆 9,407 億元で、対前年比の伸び率は 10.7%となっ た。2003 年から 4 年連続の二ケタ成長。けん引役は前年比 24.0%の伸びとなった固定資 産投資と、同じく前年比 27.2%増の輸出の 2 つである。200 年の経済運営の基調を引き 継ぎ、06 年も引き締め気味の経済政策を目指したものの、貿易黒字の速すぎる拡大は国 内の過剰流動性を招き、経済過熱の再現につながる懸念が浮上したため、経済運営はこれ への対応に追われた側面が強かった。政府活動報告(2006 年 3 月の第 10 期全国人民代表 大会第 4 回会議で採択)に盛り込まれた環境・省エネルギー関連の指標、たとえば GDP のエネルギー消費原単位の削減は目標の 4%に対し、実績は 1.2%にとどまり、目標に届 かなかった。同じ会議で採択された第 11 次五カ年計画がうたう「持続可能な経済発展へ の転換」を具体化する作業は 2007 年以降に持ち越された。

1.第 11 次五カ年計画と 2006 年の経済運営方針

2006 年から 2010 年までを対象年次とする第 11 次五カ年計画は、200 年 10 月に開かれ た中国共産党第 16 期 中全会で「提案」として採択された後、06 年 3 月の全国人民代表 大会で正式採択をみた。同計画については日中経済交流報告書 200 年版(06 年 3 月発行)

に詳細な分析があるが、06 年の経済運営を分析する際に必要と思われるので簡単に触れ ておきたい。

第 11 次五カ年計画がそれまで策定・実行された 10 回の五カ年計画との最大の相違は「計 画」(英文 Plan)を「規劃」(英文 Guideline)に改めたことにある。その理由は、

・計画経済から市場経済への転換に伴って、ほとんどの商品・サービスの価格決定が市場 で行われるようになり拘束的な計画を立てる必要性がなくなった

・一方で上記の転換により政府の職能も変化しており、公共分野については目標を示す必 要がある

の 2 点であろう。これに基づき計画に盛り込まれた経済成長率など各種の数値目標は、

拘束力を持たない「予測性」数値と、何らかの強制力を伴う「拘束性」数値に分類される ようになった(詳しくは後述)。

第 11 次五カ年計画は 6 つの原則、6 つの立脚点、そして 9 つの経済・社会発展目標が 掲げられた。6 つの原則は①経済の安定的かつ比較的速い発展を維持②経済成長方式の転

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換を図る③科学技術の自主創造能力の向上④都市農村の調和ある発展⑤調和のとれた社会 の建設⑥改革開放の深化――であり、6 つの立脚点は①投資・輸出主導の経済から消費と 投資、外需と内需がバランスよく主導する経済に転換②工業と量的拡張の経済から一次、

二次、三次の各産業の協調と産業構造高度化がひっぱる経済に転換③資源節約と環境保護 の発展④自主創造能力の向上⑤改革開放の深化⑥人間本位の発展――である。「安定成長」

「国内消費主導経済への転換」「環境・省エネ重視」「都市農村格差の解消」「自主技術開発 の促進」などがキーワードといえる。

9 つの経済・社会発展に関する目標は図表 1 にまとめたが、経済成長や経済構造にかか わる指標はほとんど「予測性」に属するのが特徴だ。一方人口・資源・環境関連のうち総 人口や環境保護関連の指標、公共サービス・国民生活関連のうち都市部住民の年金加入率、

農村合作医療の加入率などが「拘束性」とされているのが目立つ。

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図表 1 第 11 次5カ年計画の主要目標

※は化学的酸素要求量と硫黄酸化物を指す

(出所)新華社電などから作成

(14)

第 11 次五カ年計画とともに全国人民代表大会で採択された温家宝首相の政府活動報告 と国民経済・社会発展計画は、2006 年の経済運営について以下のような目標を掲げた。

・GDP 成長率は 8%前後

・都市新規就業者数 900 万人、都市失業率 4.6%

・消費者物価指数の上昇率 3%

・GDP のエネルギー消費原単位の 4%前後削減

・輸出入総額は前年比 1%増

・都市住民の可処分所得と農村住民の純収入の伸びはそれぞれ 6%と %

財政をみると、中央政府の歳入と歳出は 1 兆 9,272 億元(前年実績比 11.7%増)、2 兆 2,222 億元(同 9.7%増)となった。①中央政府の財政赤字額の圧縮(0 年 3,000 億元→ 06 年 2,90 億元)②長期建設国債の発行額の削減(0 年 800 億元→ 06 年 600 億元)など財政 健全化を重視した内容。一方金融では広義の通貨供給量(M2)の伸びを対前年比 16%増と、

200 年よりも 1 ポイント高く設定した。また固定資産投資額の伸びも前年よりも 2 ポイ ント高い 18%となっていたことも目を引いた。

2004 年の景気過熱に対し 0 年は引き締め気味の政策を展開したことを受け、国民経済・

社会発展計画は総論で「政策を安定させ、適切な微調整を行う」ことを堅持すると強調し た。ただ一方で五カ年計画の第一年目として「立派な序盤、すばらしいスタートを切ろう」

とも呼びかけており、「持続可能な安定成長への転換」という中長期的な要請と「高度成 長の維持」「景気や雇用への配慮」という目先の政策目標が交錯する内容になっていたこ とは否めない。

2.06 年の中国経済

2006 年の GDP 成長率は 10.7%増となった。2003 年 10.0%、04 年 10.1%、0 年 10.4%

と連続して二ケタ成長を続けてきたが、引き続き高成長を維持した。セクター別では一次、

二次、三次産業のそれぞれが .0%、12.%、10.3%の増。結果として第三次産業の比重は 39.%と前年より 0.4 ポイント低下した。

消費関係では商品小売総額が 7 兆 6,410 億元で前年比 13.7%増と高い伸び。大多数の省 で最低賃金が引き上げられたことなどが個人所得の増加の背景にあると見られる。事実都 市住民の可処分所得、農村住民の純収入はそれぞれ 1 万 1,79 元(前年比 10.4%増)、3、

87 元(同 7.4%増)となった。ただし農村部の個人所得の伸びは都市部を大きく下回り、

都市と農村の収入格差の縮小にはつながっていない。

固定資産投資の指標は消費関連の伸びを大きく上回る。年央以降引き締め策の強化にも かかわらず、固定資産投資額は当初目標の前年比 18%増に対し、同 24%増の 10 兆 9,870 億元となった。これに伴って当初 2 兆 ,000 億元と見込んでいた金融機関による人民元の 新規貸出額も 3 兆 1,800 億元と目標を 27%も超過した。広義の通貨供給量(M2)も下半 期に引き締めを強めたものの、当初 16%増の目標を 0.9 ポイント上回った。

(15)

輸出を中心とする貿易も高い伸び持続した。輸出入の合計額は 1 兆 7,607 億ドルで前年 比 23.8%増。ただ輸出の好調は手放しでよろこべない。貿易黒字の拡大などで、外貨準備 高は 06 年 2 月に日本を抜いて世界一となったが、その後も膨らみ続け 06 年 12 月末には 1 兆 663 億ドルと、ついに 1 兆ドルの大台を超えた。しかしこの結果国内では元がだぶつき、

土地・不動産を中心としたバブル現象を起こしかねない状況が続いた。外国企業の対中直 接投資額は 694 億ドル(前年比 4.1%減)だった。

中国人民銀行(中央銀行)は国内の過剰流動性の吸収のために、06 年春から 2 度にわ たる金利引き上げ、3 度の預金準備率引き上げ(07 年 3 月までにさらに 2 度行った)など、

さまざまな手段で元の吸収を行った。しかし①為替管理システムの改善②輸出商品攻勢の 見直しや輸入の促進など貿易構造の改善――など根本的な対策はとりきれず、政府や中央 銀行は受身の政策運営を強いられた感は否めない。

産業別で見ると、工業は外需や投資に支えられて好調を維持した。企業の利潤総額(一 定規模以上の企業対象)は 1 兆 8,784 億元(前年比 31.0%増)と大きく伸びた。産業別で は一次エネルギーの生産量が 22.1 億トン(標準炭換算)で前年比 7.3%の伸び。そのほか 粗鋼 4 億 2,266 万トン(19.7%増)、自動車 727 万台(27.6%増)、携帯電話 4 億 8,013 万台

(8.2%増)などの数字を残した。

一方農業については、食糧生産は 4 億 9,746 万トンで前年を 2.8%上回る豊作となった。

2003 年に 4 億 3,070 万トンに落ち込んだ後、3 年連続で生産量を伸ばした。農地転用面積 は 16.7 万ヘクタールと当初の目標(26.67 万ヘクタール)を下回ったものの、前年の実績 を 2.8 万ヘクタール上回るなど農業を取り巻く環境は引き続き厳しい。

環境・省エネルギー関連は厳しい数字が並んだ。第 11 次五カ年計画で政府は、 年間 で GDP のエネルギー消費原単位の 2 割削減を公約(拘束力のある目標)として掲げ、こ

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図表 2 2006 年の経済運営目標と実績

(出所)新華社電などから作成

(16)

れに基づき 2006 年も 4%削減を目標とした。しかし上半期の数字は前年同期比 0.8%増と、

逆にエネルギーの無駄遣いが明らかとなった。国務院は 8 月に「省エネルギー強化につい ての決定」(国発 28 号文書)を地方政府などに通知し、省エネ目標の達成を行政幹部や企 業経営者の業績評価に組み入れることを明確化。また 10 月にはエネルギー浪費型の産業 などを中心に電力料金を引き上げるなどして、省エネルギーの徹底を図った。結果数字は マイナスに転じたが、06 年の削減幅は 1.2%にとどまった。また同じく 年で 10%削減を 目標としていた主要汚染物質の排出量については、化学的酸素要求量(COD)が 1.2%増、

硫黄酸化物が 1.8%増と、逆に悪化する結果となった。

国家統計局の謝伏瞻局長は 1 月に 2006 年の中国経済について「成長速度が高く、経済 効率はよく、物価上昇が低く、大衆の実利の多い」年だったと総括しつつ、問題点として「農 業の基礎は引き続き脆弱、投資と消費の(マクロ的な)関係が不合理、省エネルギーと環 境汚染物質の排出減の目標達成は極めて厳しい」と述べて問題も山積していることを認め た。

3.経済過熱抑制がテーマの一年

各四半期の GDP 成長率は 10.4%、11.%、10.6%、10.4%と推移した。民間シンクタンク、

日本経済研究センターが毎月発表しているアジア経済インデックスをみても、中国経済は 2006 年 3 月のプラス 6.9(プラスが好調、マイナスが不調)をピークにプラス 程度で推移、

第 4 四半期にはいり を下回るというラインを描いている。6 月前後までに固定資産投資 の急増など経済過熱の懸念が顕在化、年央からさまざまな対応策をとり、年末にかけてな んとか歯止めをかけたことを示している。

特徴的なのは 2004 年以来 2 年ぶりに引き締めの手法として行政によるコントロールが 発動されたこと。70 年代末から現在に至るまでさまざまな分野で「規制緩和→混乱→“治

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㪇㪍ᐕ㪈㪇᦬ 図表 3 中国の景気の動向

(出所)2002 年1月~ 06 年 11 月、日本経済研究センター(JCER)アジア経済インデックスより

(17)

理整頓”(正常化と取り締まり)→事態の沈静化」というサイクルが繰り返されたが、市 場経済への転換をほぼ成し遂げ、「計画」を「規劃」に変更した直後にこうした対応が行 われたことは皮肉とも言える。

2006 年の固定資産投資の伸びは高く、上半期の伸び率は前年同期比 31.3%(都市部の 固定資産投資額)に達した。主因は地方政府のプロジェクトの積極化。中央政府の定めた 第 11 次五カ年計画では成長率重視から成長の持続可能性重視、バランス重視への転換が 図られたのに、地方政府はなおも成長率重視の色彩は強い。地方で業績を上げることが昇 進の条件になっている現在の政治体制のもとで、地方の幹部が五カ年計画のスタート年に よい業績を上げようと、いっせいに投資拡大に走ったことは間違いない。

中央政府が経済過熱に警戒を強め始めたのは、 月 17 日の国務院常務会議。温家宝首 相は住宅・不動産市場の混乱を指摘、マーケットの正常化を指示した(「国 6 条」と称さ れる)。6 月 14 日の国務院常務会議では固定資産投資の急拡大が問題視され、土地利用、

金融の両面から抑制する必要性があると強調した。

転換点となったのは上半期の経済統計がまとまった 7 月中旬のこと。胡錦濤総書記は 7 月 21 日に党中央が行った党外人士との座談会で、下半期の経済工作の最重点として固定 資産投資規模の圧縮を挙げた。これを受けて同 26 日に全国の省を結んで行ったテレビ会 議の席上、温家宝首相は「経済成長が高めから過熱に転じることを防ぐ」との方針を示し た。具体的には①固定資産投資の抑制②住宅・不動産市場の管理強化③環境・省エネ対策 の強化――などで、地方政府の幹部に対し①経済情勢についての中央政府の判断への同調

②中央の示すマクロコントロール政策の擁護③政策に対する責任制の実施――3 点を強く 求めたのが特徴だ。

これと相前後して中央から地方に対し以下のような文書が通知された。①プロジェクト の見直し②土地利用、開発の管理強化③住宅・不動産市場の正常化――が主な内容で、い ずれも固定資産投資の抑制の一環だ(日付は発表日または発出日)。

・7 月 11 日「住宅・不動産市場への外資参入と管理の規範化についての意見」(国内に事 務所を持っている外国企業または中国に 1 年以上住んでいる外国人しか住宅を購入でき ない、建設部など 6 省庁)

・7 月 24 日「国家土地督察制度設立に関する通知」

・7 月 26 日「住居の転売所得に関する個人所得税に関する通知」(住宅の売却益課税の管 理強化、国税総局)

・8 月 1 日「新規プロジェクトの見直し工作に関する通知」(発展改革委員会など 省庁)

・8 月 6 日「省エネルギー強化についての決定」(内容は先述、国務院)

・9 月 4 日「住宅・不動産市場の外貨管理の規範化についての通知」(外国人の不動産取 得に関する送金管理を厳格化、外貨管理局と建設部)

・9 月 日「土地の管理に関する問題についての通知」(土地利用についての地方政府の 指導者の責任を明確化、国務院)

(18)

2 番目の国家土地督察制度は全国の 9 カ所(北京、瀋陽、上海、南京、済南、広州、武漢、

成都、西安)に国土資源部の出先機関を置き、地方政府の土地政策を直接監視し、野放図 な開発行為を抑制する狙い。また「新規プロジェクト見直し工作に関する通知」は総投資 額 1 億元(一部の産業は 3,000 万元)以上の新規プロジェクトについて産業政策との整合 性や、プロジェクトの審査立案、土地収用、環境評価、資金の各面について適格性を見直 し、一カ月以内に結果を報告せよという異例の内容だった。

地方幹部の処分も行った。8 月 16 日、9 月 27 日の国務院常務会議でそれぞれ、内モン ゴル自治区の新豊発電所の建設現場での事故(200 年 7 月)を、河南省鄭州市の龍子湖 大学園区の土地収用問題(2003 - 06 年)をとりあげ、省市の関係者の処分を命じた。い ずれのプロジェクトも中央政府が中止または規則違反行為の是正を求めていたのに、地方 が勝手に継続したことを“罪状”に挙げており、一罰百戒の色彩が極めて濃い。

9 月には陳良宇・上海市党委員会書記が汚職事件に関与したとして更迭された。この失 脚劇の背景をさまざまに推測することは可能だが、少なくとも「中央対地方」の力関係の なかで、ともすればおされ気味だった胡錦濤-温家宝政権が基盤を強化し、中央政府が進 める固定資産規模の抑制という経済政策の浸透にプラスの効果を残したことは確実だ。

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図表 4 2006 年以降の金融引き締め策

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図表 5 固定資産投資額と伸び率(都市部)

(19)

金融面での市場調節も強化された。7 月、8 月、11 月と 3 回にわたり預金準備率が引き 上げられ、過剰流動性の吸収も行われた。これらにより固定資産投資の伸び率は徐々に鈍 化し、下半期の固定資産投資額(都市部)は前年同期比 21.1%増となった。ただしこの数 字は経済成長率よりはるかに高く、「固定資産投資や銀行融資の伸びは鈍化したもののま だ安定してはいない」(10 月 18 日国務院常務会議)という認識が示されるなど、目標達 成まではなお距離があった。

このような状況を受けて 12 月 日から 7 日に党中央と国務院が開催した中央経済工作 会議は、2007 年の重要任務として真っ先に「マクロコントロールの強化と改善」をあげた。

具体的には「投資の伸びの抑制」、「住民とりわけ農民の消費の拡大」、「輸入の拡大と国内 企業の海外投資」、「穏健な財政・金融政策」などの方針を示しており、引き続き経済過熱 への警戒を解いていない。

4.2007 年の経済見通し

最後に 2007 年の経済見通しと経済運営について見ておこう。07 年 3 月 日に開幕した 全国人民代表大会第 10 期第 回会議では、以下の 6 点が主要目標として掲げられた。

・GDP 成長率は 8%前後

・都市新規就業者数 900 万人、都市失業率 4.6%

・都市住民の可処分所得、農村住民の純収入額の伸びは各 6%、社会商品小売総額 12%増

・消費者物価指数の上昇率 3%

・科学技術、教育、衛生、文化など各種事業の発展

・国際収支不均衡の改善

政府活動報告の中で温家宝首相は①マクロ経済政策の連続性と安定性を保ち、穏健な財 政政策と貨幣政策を継続②固定資産投資と融資規模の抑制③省エネルギーと環境保護を突 出させる――などを強調、06 年末の中央経済工作会議を受けて引き締め気味の経済運営 方針を示した。

この目標を 06 年と比べると、GDP、労働市場関係、物価の数値はまったく同じ。ただ GDP 成長率の目標設定では「構造の改善、効率の向上、エネルギー消費の抑制、排出物 の削減の基礎のうえに、適切な経済成長率を保持する」と述べ、地方政府に根強い成長率 一辺倒にクギを刺している。

また対外経済にかかわる部分も違いが目立つ。貿易黒字の拡大による過剰流動性に悩ん だ 06 年の教訓を生かし、「国際収支の平衡」という目標は「国際収支不均衡の改善」と明 確化された。一方ほとんどが未達成に終わった環境・省エネルギー対策は目標達成があま りに困難だったからか、政府活動報告からはマクロ的な数値目標が除かれた(06 年は 4%

減をうたった)。その一方各論で①小型火力発電所 1,000 万キロワット分の設備停止②遅 れた製鉄、製鋼設備のうちそれぞれ 3,000 万トン分、3,00 万トン分を淘汰――などを挙 げたのが特徴的だ。

(20)

第 2 節 対外経済関係

1.貿易

2006 年の中国の貿易総額は 1 兆 7,606 億 9,000 万ドル、0 年比 23.8%増となった。この うち輸出は 9,690 億 7,000 万ドル、同 27.2%増、輸入は 7,916 億 1,000 万ドル、同 20%増で ある。貿易総額は 02 年から 年連続で 2 割を超える伸びを示している。04 年には 1 兆ド ルを超えたが、この勢いが続けば 07 年に 2 兆ドルを超えることは間違いない。

世界貿易機関(WTO)の国際貿易統計速報版によれば、堅調な世界の経済成長と資源 価格の高騰を背景に世界の輸出額は 11 兆 7,620 億ドル、14%増、輸入額は 12 兆 800 億ドル、

14%増となった。このうち中国は世界の輸出額の 8%、輸入額の 6.4%を占め、0 年に引 き続き、輸出・輸入とも世界第 3 位であった。中国の輸出額は 06 年下半期に初めて米国 を上回り、07 年通年では世界第 2 位になるものと見られている。

貿易黒字は 1,77 億ドルと 0 年を 77 億ドル上回った。うち、地域別では対米国が 1,400 億ドル、対 EU が 900 億ドルに達し、これら地域との貿易摩擦は一段と厳しさを増した。

このうち加工貿易の出超は 1,889 億ドルに達し、中国政府は遂に加工貿易に対する優遇措 置撤廃を打ち出した。

農産物貿易(水産物を含む)は輸出 314 億ドル(13.9%増)、輸入 320 億ドル(11.7%増)で、

3 年連続で貿易赤字となった。赤字額は水産物の輸出増を受けて 6 億 7,000 万ドルと 0 年 より 4 億ドル減った。

中国政府は、量的拡大に頼る貿易の発展方式が 06 年も依然として変わらず、貿易不均 衡が激化し、黒字が大きすぎることを問題視しており、内外経済にいずれもマイナスだと して、07 年は貿易黒字削減を貿易の最重要課題とした。同時に、これを契機に貿易成長 方式の転換を加速し、加工貿易政策を整備し、輸出構造を改善し、企業の社会的責任を強 化して、国内資源・エネルギーの消費が多く、効率の悪い輸出を確実に圧縮すると同時に、

先進的技術設備など国内で必要な製品の輸入を積極的に拡大することを表明している。(数 値は中国海関統計による。輸出は最終仕向国・地域、輸入は原産国・地域)

(1)輸出

輸出額は 9,691 億ドル、0 年比 27.2%増である。伸び率は 0 年を 1.2 ポイント下回っ たが依然高い水準にある。

輸出額のうち、一般貿易は 4,163 億ドル(32.1%増)、加工貿易は ,104 億ドル(22.%増)

であった。

輸出構造は高度化が進み、機電製品は ,494 億ドル(28.8%増)で全体の 6%を占め、

ハイテク製品も 2,81 億ドル(29%増)となった。

企業別では、外資系企業が ,638 億ドル(26.9%増)と引き続き 6 割近くを占めた。国

(21)

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73 58.2 69.2 51.6 80.4 109.8 74.3 6.6

74 69.5 19.4 76.2 47.7 145.7 32.7 -6.7

75 72.6 4.5 74.9 -1.7 147.5 1.2 -2.3

76 68.6 -5.5 65.8 -12.1 134.4 -8.9 2.8

77 75.9 10.6 72.1 9.6 148.0 10.1 3.8

78 97.5 28.5 108.9 51.0 206.4 39.5 -11.4

79 136.6 40.1 156.7 43.9 293.3 42.1 -20.1

80 181.2 32.7 200.2 27.8 381.4 30.0 -19.0

81 220.1 21.5 220.2 10.0 440.3 15.4 -0.1

82 223.2 1.4 192.9 -12.4 416.1 -5.5 30.3

83 222.3 -0.4 213.9 10.9 436.2 4.8 8.4

84 261.4 17.6 274.1 28.1 535.5 22.8 -12.7

85 273.5 4.6 422.5 54.1 696.0 30.0 -149.0

86 309.4 13.1 429.1 1.6 738.5 6.1 -119.7

87 394.4 27.5 432.1 0.7 826.5 11.9 -37.7

88 475.2 20.5 552.7 27.9 1,027.9 24.4 -77.5

89 525.4 10.6 591.4 7.0 1,116.8 8.6 -66.0

90 620.9 18.2 533.5 -9.8 1,154.4 3.4 87.4

91 719.1 15.8 637.9 19.6 1,357.0 17.6 81.2

92 850.0 18.2 806.1 26.4 1,656.1 22.0 43.9

93 917.7 8.0 1,039.5 29.0 1,957.2 18.2 -121.8

94 1,210.0 31.9 1,157.0 11.3 2,367.0 20.9 53.0

95 1,487.7 23.0 1,320.8 14.2 2,808.5 18.7 166.9

96 1,510.6 1.5 1,388.4 5.1 2,899.0 3.2 122.2

97 1,827.0 20.9 1,423.6 2.5 3,250.0 12.1 403.6

98 1,837.6 0.5 1,401.7 -1.5 3,239.2 -0.4 435.9

99 1,949.0 6.1 1,658.0 18.2 3,607.0 11.3 291.0

00 2,492.1 27.8 2,251.0 35.8 4,743.1 31.5 241.2

01 2,661.6 6.8 2,436.1 8.2 5,097.7 7.5 225.5

02 3,255.7 22.3 2,952.2 21.2 6,207.9 21.8 303.5

03 4,383.7 34.6 4,128.4 39.9 8,512.1 37.1 255.3

04 5,933.7 35.4 5,614.2 36.0 11,547.9 35.7 319.5

05 7,620.0 28.4 6,601.2 17.6 14,221.2 23.2 1018.8 06 9,690.7 27.2 7,916.1 20.0 17,606.9 23.8 1774.6

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78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06

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図表 1 中国の貿易総額の推移

(22)

有企業は 1,913 億ドル(13.4%増)であったが、民営などその他企業は 2,139 億ドル、

43.6%増の高い伸びを示した。なお、国有資産監督管理委員会によれば、中央所管の国有 企業の輸出向け製品出荷額は 0 年比 40%増の 2,778 億元に達した。これは石油・天然ガ スの海外での探査・開発開始、鉄鋼・鋼材輸出、海外での建設請負などの活発化を反映し ている。

〈国・地域別〉

大陸別に見ると、アジア 4,8 億ドル(24.4%増)、北米 2,192 億ドル(2.%増)、欧州 2,13 億ドル(30%増)、南米 360 億ドル(2.1%増)、アフリカ 266 億ドル(42.9%増)、大洋州 160 億ドル(24.2%増)であった。依然としてアジア向けが最も多く半分近くを占め、アジア・

北米・欧州で全体の 9 割以上を占める構造は変わっていないが、新しい市場として南米、

アフリカ向けが高い伸び率を示した。

国・地域で見ると、輸出先の第 1 位は引き続き米国で 2,03 億ドル(24.9%増)となった。

2 位は香港で 1,4 億ドル(24.8%増)、3 位が日本で 916 億ドル(9.1%増)、4 位が韓国で 44 億ドル(26.8%増)、 位がドイツで 403 億ドル(23.9%増)であった。主な輸出先国・

地域では、日本を除き軒並み 2 割以上の伸びが見られた。なお EU2 カ国合計では 1,820 億ドル(26.6%増)、ASEAN10 カ国合計では 713 億ドル(28.8%増)で、これらをそれぞ れ 1 つの単位として見れば EU は第 2 位、ASEAN は第 位となる。

〈品目別〉

主力輸出商品上位 品目は、アパレル 92 億ドル(28.9%増)、自動データ処理設備及 びその部分品 930 億ドル(21.9%増)、紡織糸・織物及びその製品 488 億ドル(18.7%増)、

自動データ処理設備の材料 326 億ドル(1%増)、携帯・車載電話 312 億ドル(1.2%増)

である。

アパレルは世界的に繊維品輸出割当制が廃止され、広東省を中心にアパレル輸出に従事 する中国企業が急増して、3 割近い伸びを示して 1 位となった。また、06 年に中国が粗鋼 生産量 4 億トンを超えたことを反映して、鋼材の輸出は 4,300 万トン、262 億ドルと数量・

金額とも前年比 100%を超える伸びとなり、輸出品目として第 6 位に浮上した。鋼材の主 な輸出先は韓国、EU、米国である。このほか、7 位がテレビ・ラジオ・無線電信設備と その材料で 38.7%増の 22 億ドル、8 位は集積回路とマイクロ電子ユニットで 48.1%増の 213 億ドルと、大宗品目がいずれも高い伸びを示した。

一方、減少が目立ったのは、穀物及び穀物粉 60 万トン、12 億ドル(数量で 4 割減、

金額で 24%減)、食用油種子 86 万トン、 億ドル(数量で 1.7%減、金額で 19.8%減)、

石炭 6,323 万トン、37 億ドル(数量で 11.8%減、金額で 14%減)、AV 機器及びその部品 39 億ドル(数量で 18.1%減、金額で 12.9%減)である。また、原油と石油製品は輸出量 が減る一方で輸出金額は若干の増加となった。

〈省市自治区別〉

輸出額の上位 省は、1 位が依然として広東省で 3,0 億ドル(26.8%増)と全国の 3

図表 3 2006 年米国企業の対中投資事例 ડᬺฬ ⃻࿾ડᬺฬ ㅴ಴వ ㅴ಴േᯏ ੐ᬺౝኈ ࠳ ࠙ ࠤ ࡒ ࠞ࡞  ᳯ⯃⋭ᒛኅ᷼ ࡑ࡟࡯ࠪࠕߢᠲᬺߒߡ޿ࠆࠛ࠴࡟ࡦ♽ࠣ࡝ࠦ࡯࡞ ࠛ࡯࠹࡞ะ਄ߣ޽ࠊߖߡ ࠕࠫࠕၞౝߩ↢↥૕೙ࠍ ᒝൻߔࠆޕ ࠣ࡝ࠦ࡯࡞ࠛ࡯࠹࡞ߩ↢↥Ꮏ႐ߩᣂ⸳ޕ ᐕⒿ௛੍ቯߢᐕ↥⢻ജ ਁ࠻ࡦޕᣣᧄޔ㖧࿖ޔบḧޔਛ࿖╬ߩࠕࠫࠕ࿾ၞ߳ߩଏ⛎ၮ࿾ߣߔࠆޕ ࠲ ࠗ ࠦ ࠛ ࡟ ࠢ ࠻ ࡠ ࠾ࠢࠬ  ਄ᶏᏒ ਛ࿖ߢᎿ႐ߏߣߦ㈩⟎ߒߡ޿ߚࠛࡦࠫ࠾ࠕ࡝ࡦࠣㇱ㐷ࠍ㓸⚂ߒޔߘߩᯏ⢻ᒝ ൻࠍ࿑ࠆޕ ࠹ࠬ࠻⎇ⓥᚲޔ࠷
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図表 10 日本の中華人民共和国からの主要非鉄金属輸入実績(2006 年) (出所)日本貿易月表 2006.12㋶⒳ ਛ࿖䋨㪘㪀 ਎⇇㩿㪙㪀 㩿㪘㪀㪆㩿㪙㪀㩿㩼㪀 䊤䊮䉪㊄࿾㊄䋨㫂㪾䋩㪈㪃㪉㪋㪊㪊㪏㪃㪍㪎㪎㪊㪅㪉㪈㩼㪐㌁࿾㊄䋨䊃䊮䋩㪎㪋㪈㪃㪐㪊㪎㪊㪅㪏㪇㩼㪍㋦࿾㊄䋨䊃䊮䋩㪊㪈㪃㪍㪏㪊㪊㪈㪃㪐㪈㪌㪐㪐㪅㪉㪎㩼㪈੝㋦㋶⍹䋨ජ䊃䊮䋩㪈㪈㪃㪈㪉㪌㪇㪅㪇㪏㩼㪈㪈੝㋦࿾㊄䋨䊃䊮䋩㪐㪃㪋㪍㪏㪊㪐㪃㪎㪌㪇㪉㪊㪅㪏㪉㩼㪈䊗䊷䉨䉰䉟䊃䋨ජ䊃䊮䋩㪊㪉㪈㪃㪍㪏㪏㪈㪅㪏㪎㩼㪌䉝䊦䊚䊆䉡䊛࿾㊄䋨ජ䊃䊮䋩㪈㪋㪉㪈㪃㪏㪐㪐㪎㪅㪋㪌㩼㪎䊆䉾
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