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実験動物としてのラットの有用性 免疫不全ラットの開発と利用

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LABIO 21 OCT. 2019

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実験動物としてのラットの有用性 免疫不全ラットの開発と利用

れた。さらに、免疫不全ラット の臓器をヒト化できるか確認す るため、FSG ラットにヒト肝細 胞を移植した。肝細胞の増殖を 阻害するレトロルシンで FSGラ ットを処置した後に、門脈経由 でヒト肝細胞を移植した。する と、移植直後から経時的にラッ トの血中にヒトアルブミンが検 出された。移植6週間後にFSGラ ットの肝臓を調べたところ、ヒ ト肝細胞が生着し、増殖してい ることが分かった13。以上のこと から、免疫不全マウスより体の 大きい免疫不全ラットにヒト細 胞・組織を移植した‘ヒト化ラ ット’は、生理学的解析や移植 実験に適していると考えられた

(図2)。

◉ユーザビリティの高い免疫不 全ラットの開発

 Prkdc遺伝子を欠損した SCID ラットは F344ラットと比較して 出産直後から体が小さく、性成 熟期になると約3割程度の体重減 少が見られた。SCID ラットの胎 児(受精後14.5日目)を摘出し、

胎児線維芽細胞(REF)を培養

すると、F344ラットの REF と比 べて細胞増殖能力が低下してい ることが分かった。そこで、よ り体のサイズが大きく繁殖能力 の高い免疫不全ラットの開発を 目指し、CRISPR-Cas9を用いて

Il2rgノックアウトラットを新た

に作製した。Il2rgノックアウト ラットは F344ラットより性成熟 がやや遅く、10週齢から妊娠し やすくなるが、一度の出産で得 られる産子の数は8匹前後で、繁 殖能力に優れている。また、ヒ トSCID患者の多くに突然変異が

見られるRag2遺伝子に着目し、

CRISPR-Cas9を 用 い てRag2ノ ックアウトラットを作製した。

Rag2ノックアウトラットは F344 ラットとほとんど同じ体格をし ており、Prkdcノックアウトラッ トのような成長の遅延は見られ なかった。さらに、Il2rgノック アウトラットとRag2ノックアウ トラットを交配し、Il2rg,Rag2ダ ブルノックアウトラットを作製 した。ダブルノックアウトラッ トもシングルノックアウトラッ ト同様、発育不良を起こさず、

性成熟はやや遅いが、一度の出

産で8匹前後の産子が安定して得 られている。我々は重度の免疫 不全を呈するが、利用者が飼育・

繁殖しやすいユーザビリティの 高い免疫不全ラットの開発に成 功した。

 また、免疫不全ラットは正常 ラットに比べ微生物感染を起こ しやすいため、厳格に管理され た SPF 環境下で飼育・繁殖する 必要がある。我々は免疫不全ラ ット専用の飼育室を用意し、個 別換気ケージシステム(IVC)を 用いて、開発した3系統のラット のコロニーを維持している。

◉バイオリソースとしての免疫 不全ラット

 2002年から文部科学省が開始 したナショナルバイオリソース プロジェクトは生命科学研究の 基盤となるバイオリソースの収 集・ 保 存・ 提 供 を 行 う と と も に、ゲノム情報などの解析や、

保存技術などの開発を行ってい る。京都大学が中核機関として 推進しているナショナルバイオリ ソースプロジェクト「ラット」

(NBRP-Rat)は、これまで糖尿

内胚葉 中胚葉 外胚葉 ヒト肝細胞 ヒトアルブミン

6 - 8 精巣に移植

ヒトiPS細胞

ヒト三胚葉に分化

皮下移植

ヒト癌細胞

ヒト癌細胞が増殖

門脈移植

ヒト肝細胞

ヒト肝細胞が生着

ヒト癌細胞 2 - 4

6 - 10

図2. 免疫不全ラットを用いたヒト化動物の開発

ヒト細胞や組織を免疫不全ラットに移植して、動物体内でヒト生理機能を調べることが可能になった。

参照

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