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生体材料用金属イオン固溶β型リン酸三カルシウムの材料化学的研究

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(1)

千葉工業大学 博士学位論文

生体材料用金属イオン固溶

β 型リン酸三カルシウムの材料化学的研究

平成 22 年 3 月

松  本    尚  之

(2)

平成 21 年度  博士学位論文 目次

1

章  緒言

1.1  本研究の背景と目的      ・・・1 1.2  β 型リン酸三カルシウム      ・・・3     1.2.1  バイオセラミックス

    1.2.2  リン酸三カルシウム

1.2.3  β型リン酸三カルシウムの結晶構造

1.3  金属イオン固溶リン酸三カルシウムに関する既往の研究とその課題    ・・・7

1.4  本研究の概要      ・・・11 文    献

2

章  一価金属イオン固溶 β 型リン酸三カルシウムの熱安定性

2.1  はじめに      ・・・29 2.2  実    験      ・・・30     2.2.1  試    料

    2.2.2  評    価

2.3.  結果および考察      ・・・35     2.3.1  β型リン酸三カルシウムの熱安定性

    2.3.2  一価金属イオン固溶 β型リン酸三カルシウムの熱安定性

  2.4  おわりに      ・・・52 文    献      ・・・53

3

章  一価金属イオン固溶 β 型リン酸三カルシウム焼結体の機械的性質 3.1  はじめに      ・・・55 3.2  実    験      ・・・56     3.2.1  作    製

    3.2.2  評    価

3.3.  結果および考察      ・・・62

    3.3.1  一価金属イオン固溶 β型リン酸三カルシウム焼結体の結晶相と固溶形態

3.3.2  一価金属イオン固溶 β型リン酸三カルシウム焼結体の機械的性質

3.4  おわりに      ・・・79 文    献      ・・・80

(3)

4

章  一価金属イオン固溶 β 型リン酸三カルシウムの溶解機構

4.1  はじめに      ・・・82 4.2  実    験      ・・・83     4.2.1  試    料

4.2.2  溶解性試験

4.3  結果および考察      ・・・85

    4.3.1  一価金属イオン固溶 β型リン酸三カルシウムの溶解性

    4.3.2  一価金属イオンの固溶が溶解性に及ぼす影響

4.4  おわりに      ・・・99 文    献      ・・・100

5

章  バナジン酸イオン固溶 β 型リン酸三カルシウム焼結体の機械的性質 5.1  はじめに      ・・・103 5.2  実    験      ・・・103   5.2.1  作    製

  5.2.2  評    価

5.3  結果および考察      ・・・111

  5.3.1  バナジウムイオン(Ⅲ)イオン固溶β型リン酸三カルシウムの物性

  5.3.2  バナジン酸イオンの固溶形態

  5.3.3  バナジン酸イオン固溶β型リン酸三カルシウム焼結体の機械的性質

5.4  おわりに      ・・・139 文    献      ・・・141

6

章  一価および二価金属イオン同時固溶 β 型リン酸三カルシウム抗菌剤の 創製

6.1  はじめに      ・・・143 6.2  実    験      ・・・144     6.2.1  試    料

    6.2.2  評    価

6.3  結果および考察      ・・・151

    6.3.1  抗菌性金属イオンの固溶形態と色相

    6.3.2  抗菌性とそのメカニズム

    6.3.3  細胞毒性

6.4  おわりに      ・・・172 文    献          ・・・ 174

(4)

7

章  錯体重合法による金属イオン固溶 β 型リン酸三カルシウムの合成

7.1  はじめに            ・・・176 7.2  実    験              ・・・177     7.2.1  原    料

    7.2.2  錯体重合法によるβ型リン酸三カルシウムの合成

    7.2.3  評    価

7.3  結果および考察            ・・・182

    7.3.1  β型リン酸三カルシウム前駆体の生成

    7.3.2  β型リン酸三カルシウム前駆体の加熱挙動

    7.3.3  加熱試料の粒子形態と粒子径

7.4  おわりに            ・・・215 文    献      ・・・217

8

章  総括      ・・・219

研究業績 謝辞

(5)

第 1 章  緒言

1.1

本研究の背景と目的

21世紀に入り,わが国日本における65歳以上の人口の割合は,図1.1に示したように,

米国や欧州諸国のそれよりも高くなり,世界的にみても急速に少子高齢化社会へ移行して いる 1).少子高齢化社会を迎えるにあたり,人類の抱える多くの重篤な疾病を克服し,肉 体的にも精神的にも健康な体の維持が求められ,それらの治療に使用される生体材料に関 する研究が世界的に行われている.また,高齢者だけでなく,食生活などの生活スタイル の変化により,メタボリック症候群や糖尿病などの成人病を患う中若年層の患者数も増加 傾向を示し,近年では,その診断,治療,および疾病の予防や子供や乳児などの治療にも 生体材料を使用するケースが増えている.したがって,わが国だけでなく,世界中の人々 の健康的で安心・安全な社会実現のためには,生体材料の研究が重要となり,今後の発展が 望まれる研究分野である2)~6)

生体材料のなかでも,高齢化にともなう骨折や骨粗鬆症を発症する患者数の増加から,

それらにともなう骨欠損部の補填や修復に使用される骨修復材料(人工骨)の重要性が高ま

っている5),6)

β型リン酸三カルシウム(β-TCP)は,骨置換性や新生骨誘導能のある生体吸収性セラミッ クスとして,骨腫瘍の摘出や骨折などによる骨欠損部の補填材料に現在臨床応用されてい るが,β-TCP単身では十分な機械的強度の焼結体を作製することは困難であり,生体内に おける溶解・吸収速度も新生骨生成速度にくらべて速いことから,現在は金属材料や高分子 材料とともに使用している7)~15).しかし,金属材料は生体内埋入後の感染症の発症や毒性 の発現を,高分子材料の場合では強度が低くクリープ現象による材料の寸法変化を,それ ぞれ引き起こす危険性がある3).したがって,β-TCP単身で,低い機械的強度や高い溶解 性を解決することが求められている.

β-TCP 構造中の Ca(4)および Ca(5)サイトに鉄,マンガン,マグネシウムなどの金属イ

オンや水素イオンを置換固溶した構造は,whitlockite(天然鉱物)の結晶構造と一致する

16),17).これは,β-TCPのCaサイトに金属イオンが置換固溶することを示している.また,

同じく骨修復材料として用いられる水酸アパタイト(HAp)の場合でも,その結晶構造中の Ca サイトや PO4サイトへの金属イオンの固溶が,熱安定性や溶解性などの材料特性に影 響を与えることを金澤らは報告している18)

本論文では,これらの観点からβ-TCPの機械的強度や溶解性などの問題を解決するため に,金属イオンをその結晶構造中に固溶させ,その物性改善をめざした.

また,臨床応用の段階で埋入部位や患者にあわせた材料設計をするためには,固溶させ る金属イオンの種類や添加量の違いで,どの程度機械的強度の向上や溶解性の制御が可能 であるかという基礎データがまず必須になる.しかし,金属イオン添加β-TCPの材料化学

(6)

的性質に関する報告はあるが,β-TCPへの金属イオン固溶が,どのようなファクターに作 用し,その材料特性にどの程度影響を与えるのかということはこれまでに明らかにされて いない.

  一方,β-TCPについては,一般照明用蛍光体,イオン交換体,触媒,イオンカラム充填 材など生体材料以外の機能性材料にも使用される HAp にくらべて生体材料以外の用途に 関する研究は少ない19)

近年,生体材料の材料設計による生体内での特性制御について少しずつ明らかにされて

いる 20)~23).β-TCP は,一般に固相法で合成されることから,材料設計に必要な粒子形態

や粒子径の制御は困難である3).したがって,β-TCPの粒子形態や粒子径制御のために液 相法によるβ-TCP合成を求められているが,実験条件の制御や長時間の熟成が必要である ため3),新たな合成方法の検討が望まれている.

そこで,本論文では,金属イオン固溶β-TCPを合成し,その熱安定性,機械的強度およ び溶解性を評価し,β-TCPへの金属イオン固溶がそれらの特性に対して及ぼす効果やメカ ニズムを,結晶構造などの観点から材料化学的に解明することを目的とした.一方で,骨 補填材以外の β-TCP の使用範囲の拡大をめざした抗菌性金属イオンを固溶させた β-TCP 抗菌剤の開発や,液相法によるβ-TCPや金属イオン固溶β-TCPの新たな合成方法につい ても検討した.

(7)

1.2

  β 型リン酸三カルシウム

1.2.1  バイオセラミックス

1.2.1.1 バイオセラミックスの定義と特徴

  生体材料(バイオマテリアル)とは,1989年3月のヨーロッパバイオマテリアル会議にお いて,「医薬品を除く,合成または天然もしくはその複合材料で,一定期間,人体の組織,

器官またはその機能の一部もしくは全部を代替もしくは促進する材料」と定義された24). また,生体材料の一種であるバイオセラミックスについては,現代の医療技術の発達に ともないそれを定義することが困難となっているが,広義には「臨床検査分野や生体計測 分野で酵素の固定化やウイルスの分離にも臨床応用されているセラミックス[生化学関連 セラミックス(バイオテクノロジーセラミックス)]」と定義されている.しかし,狭義には,

「生体内に埋入または生体と接触させて使用することにより,生体機能の回復や増進を目 的としたセラミックス[生体関連セラミックス(インプラントセラミックス)]」と定義される

7), 8), 25)~27)

人工歯や人工骨などの生体硬組織代替材料は,無機材料(セラミックス),金属材料や高 分子材料の三種類に大別される.きびしい化学的腐食環境下にある生体内で使用する生体 硬組織代替材料には,以下の条件が求められる28)

・生体との親和性および適合性にすぐれる

・毒性,免疫反応,催奇性および発がん性など生体へ悪影響を及ぼさない

・長期間の使用に耐えられる機械的強度をもつ

・生体との作用によって劣化しない

セラミックスは一般に電気絶縁性であることから,金属材料のように生体内において異 種金属同士が電解質溶液中で接触したときに生じる急激な腐食(電触)などは起きない.ま た,高温および化学的耐久性が高く,生体内で周囲組織に溶出することがないため,生体 内安定性も高く,金属材料や高分子材料にくらべてすぐれた生体親和性を示す.それと同 時に,図1.2と表 1.1 に示したように硬く,高い圧縮強度などすぐれた力学的性質ももつ

27),28).したがって,バイオセラミックスは,上記の必要条件を満たす,すぐれた生体硬組

織代替材料である.

 

1.2.1.2 バイオセラミックスの種類9), 29~35)

バイオセラミックスは,その表面性質によって生体とさまざまな反応を起こすが,現在 では生体反応という観点から,表 1.2のように分類される.現在臨床応用されている代表 的なバイオセラミックスについて以下に概説する.

(1) 生体不活性セラミックス

生体内不活性材料とは,すぐれた生体内安定性と機械的強度とをもち,生体組織と材

(8)

料とで化学反応や相互作用を起こさないバイオセラミックスである.

アルミナ (Al2O3)

多結晶アルミナと単結晶アルミナとが存在するが,医用材料として用いるアルミナ は多結晶体である.アルミナは硬く(モース硬度9),高強度であり,耐磨耗性が高く,

また耐食性にもすぐれていることから,骨接合用材料や人工関節などの荷重部位にお もに用いられる.また,ポリエチレン製臼蓋部との摩擦により生じる磨耗粉の低減が 可能であるため,人工股関節の骨頭として臨床応用される.

ジルコニア (ZrO2)

臨床応用されるジルコニアは,高温焼結時にクラックの原因となる結晶相の相転移 による体積変化を防ぐために Y2O3を一部固溶させたイットリア部分安定化ジルコニ ア(Y-PSZ)である.PSZ は,多結晶アルミナの約 3 倍の曲げ強度を示し,破壊じん性 も高い.さらに耐衝撃性にもすぐれていることから,臼歯部ブリッジや人工関節の摺 動部材として使用される.

カーボン (C)

カーボン材料は,生体適合性にすぐれ,生体内安定性の高い材料であり,軽く,潤 滑性や耐疲労特性にすぐれる.そのなかでも,パイロライトカーボンは,抗血栓性お よび耐摩耗性にすぐれた高強度材料であり,人工心臓弁の可動部分などに用いる.し かし,C/C複合で幅広い特性をもつが,疎水性のため応用部位が限定され,材料表面 からの炭素粒子や繊維が離脱するという問題点もある.

(2) 生体内活性材料

生体内活性材料とは,生体内で硬組織と直接結合して材料と骨との間に強固な結合を 形成するバイオセラミックスである.これに分類される材料は,一般にその材料組成に カルシウムとリンを含み,硬組織の無機成分と同一である.また,機械的強度は生体内 不活性セラミックスのそれとくらべて一般的に低い.

水酸アパタイト [Ca10(PO4)6(OH)2; HAp]

アパタイトは,その組成や結晶構造が歯や骨の無機成分のそれらと同様であること から,すぐれた生体適合性をもつ.生体埋入後に骨組織と直接接合するため,硬組織 置換材料(骨補填材やスペーサー)として注目され,インプラント材料以外でも歯科分 野で歯科用セメントや歯磨剤などとして幅広く利用される.一方,もろく割れやすい など機械的強度が不十分であるため,機械的性質にすぐれた金属材料表面にコーティ ングして人工関節や人工歯根として臨床応用される.

バイオガラス (Bioglass®)

バイオマテリアルとして用いられているリン酸カルシウム系ガラスは,ケイ酸系ガ ラスにカルシウムとリンを大量にくわえたガラスである.リン酸カルシウム系ガラス

(9)

は生体内で,まずその表面からNa+やCa2+イオンなどを溶出し,ガラス表面にシリカ の多いゲル層を形成する.一方で,自家骨からはコラーゲン繊維が産生され,このコ ラーゲン繊維が形成したシリカゲル層に定着する.また,骨の無機成分である HAp 結晶はガラス表面に生成し,人工骨と骨組織とが化学的に結合する.しかし,機械的 強度は他のバイオセラミックスにくらべ劣るため,水酸アパタイトと同様に金属材料 と複合化して使用される.

(3) 生体吸収性材料

生体吸収性材料とは,生体活性材料の HAp にくらべて溶解性が高く,生体内でしだ いに溶解しながら新生骨と置換し,最終的には完全に骨置換することから,すぐれた骨 補填材や骨セメントとして応用されている,リン酸三カルシウムに代表されるバイオセ ラミックスである.リン酸三カルシウムについては次節にくわしく示す.

1.2.2

リン酸三カルシウム3),9)~18),26)~41)

  リン酸三カルシウム[Ca3(PO4)2; TCP]には,低温からβ,α,α’およびγの四つの相が存 在する.β-TCP(理論密度 3.07g·cm-3)は,1150±30°C で高温型の α-TCP(理論密度 2.86 g·cm-3)に相転移する.α’-TCP および γ-TCP は,1430°C以上および高圧下でそれぞれ生 成し,低温域で準安定相を生成することから,α’-TCP および γ-TCP 単相で合成すること は困難である.天然にはβ-TCP構造に水素,鉄,マンガンおよびマグネシウムイオンが微 量に固溶した whitlockite [Ca18(Mg,Fe)2H2(PO4)14]が存在し,植物の栄養源である化学肥 料への応用も期待される材料である.

TCPのなかでは,上記したようにα-TCPおよびβ-TCPがともに合成しやすいため,生 体吸収性バイオセラミックスとして臨床応用されている.α-TCP または β-TCP の溶解度 は,それぞれHApの約2倍,約10倍であることから,これらバイオセラミックスの生体 内における性質は異なる.

HAp は,生体内で溶解度が低いことや体液中の Ca2+,PO43-イオンが HAp を結晶の核 として沈着するため,生体埋入後も長期間そのまま残存する.

それに対してβ-TCPは,他のリン酸カルシウム系セラミックスとくらべて生体内の溶解 および吸収速度が大きく,さらに生体内環境下(37°C,pH≒7.4)において不安定であるこ とから,しだいに生体内で吸収されながら新生骨が生成し,自家骨へと置換する.

  一方のα-TCPは,その結晶構造がHApのそれときわめて類似していることから,水和 反応でHApに転化し,そのとき生成したHAp結晶同士は,からみ合いながら連結するた め硬化する.

以下に, -TCPの硬化反応をpHごとにそれぞれ示す.

       

(10)

酸性

Ca3(PO4)2+6H2O

→2CaHPO4·2H2O+Ca(OH)2

中性

Ca3(PO4)2+7H2O

→Ca8H2(PO4)6·5H2O+ Ca(OH)2

塩基性

(1-z)Ca3(PO4)2+3(2-z)H2O

→3Ca10-x(HPO4)x(PO4)6-x(OH)2-x·nH2O+2(1-x)H3PO4

この水和して硬化する性質を利用したα-TCPと水とを混合した骨セメント(ペースト)が 現在臨床応用されている.α-TCPと水を混合した直後はペースト状のため,複雑な骨欠損 部への補填も容易である.しかし,水のみによる硬化では,硬化時間が生体用セメントの 使用条件にくらべて長いことから,通常は硬化促進のためにクエン酸,ポリアクリル酸な どの酸性硬化剤を添加する.しかし,これらの酸性硬化剤を用いた場合には,充填部位周 辺に炎症反応が生じることから,酸性硬化剤を使用しない,もしくは酸を積極的に中和さ せる骨セメントも開発されている.

1.2.3 β

型リン酸三カルシウムの結晶構造

  Whitlockiteおよびβ-TCPの結晶構造については,1974年にそれぞれGopal16),17)および

Dickence42),43)がはじめて報告し,近年では,中性子回折および結晶構造解析ソフトである

RIETAN を用いて Yashima らが β-TCP の結晶構造解析を行い,より精度の高い β-TCP の結晶構造(結晶学データ)を報告している44)

  β-TCPの結晶系は菱面体晶系に属し,その空間群および格子充填は,それぞれR3cおよ

び Z=21 である.また,六方格子設定で格子定数は a=b=1.04352(2)nm および c= 3.74029(5)nmであり,α=β=90o,γ=120oである.

図1.3および図1.4には,空間群R3c 45),およびYashimaらが報告しているβ-TCP結 晶構造をもとに作成した β-TCP 単位格子の模式図を,それぞれ示した.図1.4 において,

(a)は[001]方向から見たPO4四面体のみを示し,BカラムがAカラムを囲むように配置し

ていることがわかる.(b)はc軸方向からのAおよび Bカラムをそれぞれ示し,β-TCP単 位格子には,c 軸方向に2本の結晶学的に独立した AカラムおよびBカラムが存在する.

A カラムは,[–P(1)O4–Ca(4)O3–Ca(5)O6–]で構成されて三回軸上に存在し,B カラムは [–P(3)O4–Ca(1)O7–Ca(3)O8–Ca(2)O8–P(2)O4–]で構成され,三つの Ca は一直線とならず に折れ線を形成する.  

表1.3には,β-TCP単位格子内中の各カラムに存在するCaサイトおよびPO4サイトの 席占有率,原子位置,酸素配位数,結晶学データから算出したbond valence sum (BVS),

(11)

および各サイトの単位格子中における数と割合とを示した.A カラムに存在する Ca(4)サ イトは,酸素の配位数が 3,席占有率は 0.43(4)の結晶学的に特異的な Ca サイトである.

また,Ca(4)サイトと酸素[Ca(4)–O]の距離も大きいことから,他の Ca サイトにおける Ca–Oの結合にくらべてその結合は弱いと推測され,これよりBVS(0.7)および等方熱パラ メーターも低い.一方,Ca(5)–Oの距離は,Dickence42),43)らによって報告されている値よ り小さく,BVSも2.7と他のCaサイトにくらべて高い.

1.3  金属イオン固溶リン酸三カルシウムに関する既往の研究とその課題

  生命活動に必要となる元素,すなわち生体必須元素および微量必須元素には,さまざま な金属が含まれている.それら金属イオンは,触媒作用のあるものが多く,生体内ではそ れらの金属をタンパク質や酵素分子などに取り込んで,生体反応に利用している45).一方,

β-TCPと類似した結晶構造をもつwhitlockite結晶構造中には,上記したように水素,鉄,

マンガンおよびマグネシウムが微量に固溶している16),17).これらの観点から,これまでに 数多くの研究者が,生体反応に関与する金属イオンをはじめ,さまざまな金属イオンを固

溶したβ-TCPを作製し,その特性を評価している.表1.4には,これまでに報告された金

属イオン固溶 β-TCP における金属イオンおよびそのイオン半径と報告されている固溶限 界とをそれぞれ示した 45).本節では,金属イオン固溶 β-TCP に関する既往の研究を,合 成方法,結晶構造(固溶形態),熱安定性,機械的性質,および溶解性(生体吸収性)とわけて,

以下に概説する.

1.3.1

合成方法

  金属イオン固溶β-TCPの合成方法は,固相法と液相法とに大別できる.固相合成として は,CaHPO4または(NH4)2HPO4と CaCO3とに金属イオン源となる酸化物(MgO など)や 炭酸塩(Na2CO3など)を混合し,これらを900oC以上で焼成している45),46).また,Ca3(PO4)2

と金属リン酸塩[Mg3(PO4)2など]とを混合,焼成した報告もある45),46)

液相合成では,Ca(OH)2またはCa(NO3)2とH3PO4,(NH4)2HPO4やNH4H2PO4に,金 属イオン源となる硝酸塩[Mg(NO3)2など]や水酸化物塩[Mg(OH)2など]を液相中で反応さ せ,その合成粉末をさらに加熱して金属イオン固溶 β-TCP を合成している 45),46).また,

Mg2+イオンまたはZn2+イオン固溶β-TCPは,とくに酸性領域において,60~90oC,Mg/Ca モル比>0.20 または Zn/Ca モル比>0.20 の条件下で,加水分解生成物(加水分解法)や沈殿 物(均一沈殿法)として低温合成が可能であるが,これら低温合成した粉末は,厳密には β-TCPでなくwhitlockiteである45),46).また,Leeらは,Mg2+イオン添加CaHPO4·2H2O を30分間熱水処理し,ナノサイズ(<100nm)のMg2+イオン固溶β-TCPを合成している47). また,Ca(OEt),H3PO4およびC4H6O4Znを原料として,ゾルゲル法を用いたZn2+イオン 固溶β-TCPの合成も行われている45),46)

(12)

その他の合成方法としては,Loher らは,上記のバッチ処理ではなく,2-メチルヘキサ ン酸カルシウム-トリブチルリン酸-ナフテン酸亜鉛を CH4/O2炎中における噴霧熱分解法 でZn2+イオン固溶β-TCP を合成している48)

しかし,これらの合成方法には,厳密な実験条件の制御や長時間の熟成が必要となる場 合が多く,また,粒子径や粒子形態を制御した報告は少ない.したがって,粒子径や粒子 形態などの制御が可能で,簡便な金属イオン固溶β-TCPの合成方法が求められている.

 

1.3.2

結晶構造

金属イオン固溶β-TCP構造中における金属イオンの固溶するCaサイト(すなわち金属イ オンの固溶形態)は,図1.5のように,これまでにYoshidaらが,その格子定数変化より明 らかにしている49)

すなわち,一価金属イオン(Li+,Na+,K+イオン)の場合は,Ca(4)サイトおよび空孔に 2M=Ca2+イオン+□(□:空孔)の形で固溶し,その固溶限界は9.09mol%である.二価金 属イオン(Mg2+イオン)の場合は,まず二価金属イオン添加量9.09mol%までCa(5)サイトに 固溶し,その後 13.64mol%(固溶限界)まで Ca(4)サイトに M=Ca2+イオンの形で固溶す る.また,三価金属イオン(Al3+イオン)の場合は,Ca(5)サイトに 3M=2Ca2++□の形で 9.09mol%まで固溶すると報告している.

一方,Bigi らは,Ca2+イオンよりもイオン半径の大きい Sr2+イオンが β-TCP に固溶し た場合,その固溶限界は13.64mol%ではなく,約80mol%であることを明らかにしている

50).したがって,イオン半径が大きい二価金属イオンは,イオン半径の小さいMg2+やZn2+

イオンの固溶するCa(5)およびCa(4)サイトではなく,Ca(1),Ca(2)およびCa(3)サイトに 固溶すると考えられる.

金属イオン固溶β-TCPの結晶構造については,Lazoryakらの研究グループがこれまで に数多く報告している.これまでに報告されている結晶構造には,一価金属イオン固溶 β-TCP[Ca10M(PO4)7: M=Li,Na,K]51),二価金属イオン固溶β-TCP [Ca9M(PO4)7: M=Fe,

Cu,Mn,Co]52)~57),三価金属イオン固溶β-TCP [Ca9M(PO4)7: M=Fe,Eu,Y,Bi,In)]58)~61) などがある.さらに,一価および二価金属イオン同時固溶β-TCP[Ca9MM(PO4)7: M=Li,

Na,K,M=Mg,Mn,Co]の結晶構造もLazoryakらによって報告されている62)~66).ま た,Mayerらは,単結晶 X線回折および電子常磁性共鳴(ERP)測定を用いてMn2+イオン

固溶 β-TCP の結晶構造解析を行い,上記と同様の結晶構造データを報告している 67).一

方,Weiらは,中性子回折を用いてZn2+イオンおよびSiO44-イオン同時固溶β-TCPの結晶 構造解析を行っている68)

1.3.3

熱安定性

上記したようにTCPのβ-α相転移温度は1150±30°Cである.金属イオン固溶β-TCP の

(13)

熱安定性については,二価金属イオン,とくにMg2+イオン固溶β-TCPの報告が多く,Ando は,MgOを4.0at.%焼結助剤としてβ-TCPに添加した場合,1485oCまでβ-TCPが安定に 存在すると報告している69),70).また,Marchiらも,4.5mol%Mg2+イオン固溶β-TCPのβ 相は,1300oC まで安定であるとしている71).Ryuらは,Mg2+イオン固溶β-TCP/HAp複 合材料におけるTCPのβ-α相転移温度は1300oCであることを明らかにしている72).さら に ,Carrodeguas ら は , こ れ ら の Mg2+イ オ ン 固 溶 β-TCP の 熱 安 定 性 の 結 果 と Palatnik-Landau’s contact則から,図1.6のMg3(PO4)2-Ca3(PO4)2二成分系状態図を示し ている73)

一価金属イオン固溶 β-TCP の熱安定性の向上としては,Lin らは,Ca 欠損型 HAp に Na4P2O7·10H2Oを添加して合成したNa+イオン固溶β-TCPのα相転移温度が,1180oCか ら1300oCまで向上すると報告している74).また,Kannanらは,K+イオン固溶β-TCP/HAp 複合材料におけるβ-α相転移温度は1200oCとしている75)

一方,三価金属イオン固溶β-TCPとしては,AlPO4を添加して合成したAl3+イオン固溶

β-TCPにおいてもβ相が熱安定化することを門間らは報告している76)

また,SiO2 および α-Al2O3 の添加は,β 相の熱安定化に効果がなく,Sr(OH)2 および Ba(OH)2を添加した場合には,β-α相転移温度の低下も鳥山らによって報告されている77)

しかし,これらの金属イオン固溶 β-TCP の熱安定性については,β-TCP と一種類の金 属イオンが固溶したβ-TCPの比較であり,その金属イオン添加量も統一されていないこと から,熱安定性における金属イオンの種類および添加量の依存性,およびそのメカニズム 解明には至っていない.

1.3.4

機械的性質

  金属イオン固溶β-TCPの機械的強度に関して鳥山らは,MgOの添加は少量の添加で焼 結体の曲げ強度を増加させるが,さらなるMg2+イオン固溶はその機械的強度に効果がない としている78).この結果についてはItataniらも,MgO添加量4mol%までは焼結体のMg2+

イオンの固溶にともない物質移動が促進することから,相対密度が増加し,それ以上の添 加では空気中の水分により HAp が生成し,その体積変化にともない物質移動が遅くなる ため,相対密度は低下することを報告している.さらに,鳥山らは,β-TCPにAl2O3およ び SiO2の同時添加した焼結体の場合には,Al2O3を 2mass%および SiO2を6mass%添加 した成形体を1280oC焼成すると,高強度 β-TCP焼結体(曲げ強度が271MPa)がえられる ことを報告している79)

それ以外の金属イオン添加についてItataniらは,一価金属酸化物(Li2O,Na2O,K2O),

二価金属酸化物(CaO,SrO,BaO),または三価金属酸化物(Al2O3)のそれぞれの添加は,

β-TCP 焼結体の相対密度を低下させるが,Fe2O3添加の場合は,相対密度が増加すること

を報告している.さらに,四価の金属酸化物(SiO2,ZrO2)添加で相対密度がわずかに低下

(14)

し,TiO2添加は,添加量に関わらず相対密度に影響のないことを明らかにしている79).ま た,Bandyopadhyayらは,ZnOを添加して1250oC焼成した場合,ZnO添加量2.5mass%

まで焼結体はち密化し,その微小硬度も増加するが,それ以上の焼成温度およびZnO添加 量の場合は,それぞれ減少することを報告している 80).門間らは,AlPO4を β-TCP に添 加した場合,その焼結体の機械的強度に影響のないことを報告している76).さらに,Min らは,DyPO4を添加したβ-TCP 焼結体の相対密度は,1300oCで97%,1350~1400oC で

98%以上あり,その焼結体はマシナブル性をもつことを明らかにしている81),82)

これらの金属塩(イオン)添加β-TCP焼結体に関する報告では,すべてβ-TCPに対して金 属イオンは外配合であったが,Yoshidaらは,金属イオンを内配合したβ-TCP焼結体の機 械的性質を評価している.ホットプレス法により作製した一価金属イオン(Li+,Na+,K+ イオン)または二価金属イオン(Mg2+イオン)固溶 β-TCP 焼結体については,Mg2+イオン添 加量7.6mol%のときに最大曲げ強度160MPaを示し,さらにMg2+イオン添加量9.6mol%

以下および少量の一価金属イオン固溶でも機械的性質の向上することを明らかにしている

83).また,常圧焼結法の場合,Na+イオンおよび Mg2+イオンを β-TCP に同時固溶させた 焼結体の場合は,Na+イオンおよびMg2+イオンをともに9.09mol%添加したとき最大曲げ 強度を示すことも報告している84)

しかし,これら金属イオン,とくに一価金属イオンを単独で内配合して常圧焼結法によ り作製した焼結体の機械的性質については,焼成温度の影響も含めて,これまでに検討さ れていない.

1.3.4

溶解性

(

生体吸収性

)

  金属イオン固溶β-TCP の溶解性については,二価金属イオン固溶β-TCPに関する報告 が多い.Itoらは,Zn2+イオン固溶β-TCPのpH5.0~7.0における溶解性がZn2+イオン添加 で抑制し,細胞毒性を示さない Zn2+イオン添加量(<0.63mass%)の場合は,β-TCP のそれ にくらべて52~92%抑制し,さらにその溶解度積(Ksp)は,以下の式であらわせるとしてい る85),86)

pKsp = 28.686 + 1.7414C - 0.42239C 2 + 0.063911C 3 - 0.0051037C 4 + 0.0001595C 5

さらに,Itoらは,25oC,pH5.50酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液を用いてMg2+イオン固溶

β-TCP の生体吸収性(溶解性)も評価している.その結果,Mg2+イオン添加量 10.1mol%ま

で,その添加量の増加にともない溶解性は抑制すると報告している.また,Mg2+イオン固

溶β-TCPの溶解性が,以下に示した溶解度積であらわせ,Zn2+イオン固溶 β-TCP とくら

べてMg2+イオン固溶β-TCPのそれは高いことを明らかにしている87)

(15)

pKsp= 28.87432 + 1.40348C - 0.3163C 2 + 0.04218C 3 - 0.00275C 4 + 0.0000681659C 5

Weiらは,Zn2+イオンとSiO44-イオンとの同時固溶β-TCP の擬似体液(SBF)中における 溶解性を報告しており,Zn2+イオンおよび SiO44-イオン添加量の増加で,その溶解性を抑 制し,またZn2+イオン添加ではHAp生成についても抑制するとしている88).また,鳥山 らは,Ba2+イオン固溶β-TCP焼結体の溶解度がHApの約1.7倍であると報告している77)

1.4  本研究の概要

  本論文の構成は以下のとおりであり,図1.7にその流れを示した.

  第1章「緒言」では,β-TCPをはじめとする生体材料について概説および従来の研究を 概観し,本研究の背景や目的を記した.

  第2章「一価金属イオン固溶β型リン酸三カルシウムの熱安定性」では,一価金属イ オン(Li+,Na+およびK+イオン)の固溶した β-TCP(Li-TCP,Na-TCPおよび K-TCP)につ いて,一価金属イオン固溶がβ相の熱安定性に及ぼす影響を明らかにする.さらに,一価 金属イオン固溶 β-TCP と Mg2+イオン固溶 β-TCP(Mg-TCP)との熱安定性を比較し,金属 イオンの固溶する Ca サイトの違いがそれに及ぼす影響,および金属イオン固溶による β 相の熱安定性向上のメカニズムを結晶学的観点から明らかにする.

第3章「一価金属イオン固溶β型リン酸三カルシウム焼結体の機械的性質」では,Li-TCP,

Na-TCP および K-TCP 焼結体の機械的性質を評価し,β-TCP への一価金属(Li+,Na+

K+)イオンの固溶が機械的性質に及ぼす影響について検討する.

第4章「一価金属イオン固溶β型リン酸三カルシウムの溶解機構」では,一価金属イオ ン固溶β-TCP(Li-TCP,Na-TCPおよびK-TCP)の溶解性や溶解挙動を,37oCの生理食塩 水を用いて評価し,一価金属イオン固溶が溶解機構に及ぼす影響を検討する.

第5章「バナジン酸イオン固溶β型リン酸三カルシウム焼結体の機械的性質」では,バ ナジン酸イオン(VO43-イオン)を,その添加量および配合組成を変化させてβ-TCPに添加し た焼結体の機械的性質を評価し,その固溶形態や,機械的性質に及ぼす仮焼粉末の配合組 成やVO43-イオン添加の影響などを考察する.

第6章「一価および二価金属イオン同時固溶β型リン酸三カルシウム抗菌剤の創製」で は,β-TCPの骨補填材以外での使用の検討,ならびに生体内外で使用可能な抗菌材料の開 発をめざした.一価金属イオンには Ag+イオン,二価金属イオンには Cu2+イオンまたは Zn2+イオンを同時固溶したβ-TCPを作製後,それら金属イオンの固溶形態,およびその抗 菌性や細胞毒性を評価し,新たな抗菌剤としての有用性を検討する.

第 7 章「錯体重合法による金属イオン固溶 β 型リン酸三カルシウム粉末の合成」では,

カ ル シ ウ ム 源 に Ca(NO3)2·4H2O を , リ ン 源 に ホ ス ホ ノ ブ タ ン ト リ カ ル ボ ン 酸 (2-phosphonobutane-1,2,4-tricarboxylic acid; PBTA)を,それぞれ用いた錯体重合法で

(16)

β-TCPを作製し,調製した前駆体の形成機構や加熱挙動,および合成粒子の粒子形態や粒 子径などを評価する.さらに,上記出発原料と,硝酸ナトリウム(NaNO3)または硝酸マグ ネシウム六水和物[Mg(NO3)2·6H2O]を用いて,金属イオン添加前駆体,金属イオン固溶

β-TCPを合成し,金属イオン添加が前駆体や合成粒子の物性に及ぼす影響を検討する.

第8章「総括」では,本研究のまとめおよび将来の展望について記す.

(17)

文    献

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(22)

0 10 20 30 40

1950 1970 1990 2010 2030 2050

Dominical year

R at io o f pe op le 6 5 ye a rs o ld /%

Fig. 1.1 Population ratios of the people over 65 years old against the entire population in different countries

1)

. Rhombus: Japan, square: America, triangle: England, circle:

France.

(23)

Fig. 1.2 Mechanical properties of several bioceramics

18)

.

(24)

Table 1.1 Mechanical properties of biomaterials, bone, and tooth

28)

. Bending

strength /MPa

Compressive strength

/MPa

Young's modulus

/GPa

Fracture toughness /MPa

m

1/2

Alumina

 

Polycrystal

 

Single crystal

210~380 210~1300

1000 3000

371 385

3.1~5.5 -2.3

Hydroxyapatite 113~196 510~920 35~120 0.7~1.2

Tricalcium phosphate 140~160 470~700 34~84 1.1~1.3

Pyrolytic carbon 520

28

Carbon fiber 2550

240

Magnesium oxide 98~140 780 215

Titanium oxide 56 650

― ―

Quartz glass 69~108 2000 68

Bioglass 85

79 0.54

Crystallized glass 180~210 900 120 2.0~2.6

Zirconia 900~1400 210 140~200 3.0~10.0

Bone compact bone sponging bone

160~180 0.4

90~165 1.9~7.0

16 0.18~0.33

2.2~4.6

Tooth dentine

enamel

300 390

19 84

(25)

Biologic process Material Alumina

(Al2O3)

Zirconia

(ZrO2)

Partially-stabilized zirconia Calcium alminate

(CaO-Al2O3)

Oxide

Aluminosilicate

(Na2O-Al2O3-SiO2)

Carbon (vitrous

pyrolytic

graphite) Silicon nitride

(Si3N4)

Bioninert

Nonoxide

Silicon carbide

(SiC)

Bioglass

(SiO2-Na2O-CaO-P2O5)

Cerabtale

(SiO2-CaO-Na2O-P2O5-K2O-MgO)

Bioglass

CPSA glass fiber

(CaO-P2O5-SiO2-Al2O3)

Mica crystallized glass

(SiO2-B2O3-Al2O3-MgO-K2O-F)

A-W crystallized glass

(SiO2-CaO-MgO-P2O5)

Crystallized glass

β-Ca3

(PO

4

)

2

crystallized glass

(CaO-P2O5)

Bioactive

Calcium phosphate Hydroxyapatite

[Ca10(PO4)6(OH)2]

Tricalcium phosphate

[Ca3(PO4)2]

Tricalcium phosphate

Tetracalcium phosphate

[Ca4O(PO4)2]

Biodegradable

Calcium alminate Soluble calcium alminate

(CaO-Al2O3)

Table 1.2 Classification of bioceramics

31)

.

(26)

Fig. 1.3 Space group R3c

44)

.

(27)

a a

A column a B column a

A column B column

P(1)

P(1) P(1) Ca(4) Ca(5)

Ca(5) Vacancy (Ca(4))

P(2)

P(2)

P(2) P(3)

P(3)

P(3) Ca(1)

Ca(3)

Ca(1) Ca(3)

Ca(2)

Ca(2) B column A column

c

P(1)

P(1) P(1) Ca(4) Ca(5)

Ca(5) Vacancy (Ca(4))

P(2)

P(2)

P(2) P(3)

P(3)

P(3) Ca(1)

Ca(3)

Ca(1) Ca(3)

Ca(2)

Ca(2) B column A column

c

Fig. 1.4 Crystal structure of β-tricalcium phosphate viewed from [001] (a) and along c -axis (b)

44)

.

(a)

(b)

(28)

Table 1.3 Positional parameters, CN, BVS, and ratio of site of

β-tricalcium

phosphate

44)

.

Site Ocucupancy x y z CN BVS Ratio of

site / % Ca(1) 18b 1.0 -0.2741(6) -0.1382(7) 0.1663(2) 7 2.0 27.27 Ca(2) 18b 1.0 -0.3812(6) -0.1745(6) -0.0332(2) 8 2.1 27.27 Ca(3) 18b 1.0 -0.2734(4) -0.1486(5) 0.0611(2) 8 1.8 27.27 Ca(4) 6a 0.43(4) 0.0 0.0 -0.0851(6) 3 0.65 9.09

Ca(5) 6a 1.0 0.0 0.0 -0.2664(3) 6 2.7 9.09

P(1) 6a 1.0 0.0 0.0 0.0 4 4.9 14.20

P(2) 18b 1.0 -0.3128(4) -0.1394(5) -0.1315(2) 4 5.0 42.90

P(3) 18b 1.0 -0.3470(5) -0.1536(5) -0.2332(2) 4 5.0 42.90

(29)

Table 1.4 Previous reports of

β-tricalcium phosphate doped with several metal

ions

45)

.

Metal ions Ion radius / pm

Maximum substitution

/ mol%

Reference

14.3 R. A. Terpstra (1983)

89)

Mg

2+

72

14.3 S. L. Rowles (1968)

90)

Fe

2+

61 J. Ando (1958)

69),70)

Cu

2+

73 S. S. Romdhane (1983)

91)

E. R. Kreidler (1967)

92)

Zn

2+

74

20 A. Bigi (1997)

50)

Mn

2+

67 20 I. Mayer (2006)

67)

Al

3+

54 9.09 K. Yoshida (2006)

49)

Ba

2+

135 3.33 J. Ando (1958)

69),70)

Sr

2+

118 80 A. Bigi (1997)

50)

Cd

2+

95 18.3 S. S. Romdhane (1982)

91)

Li

+

76 9.09 K. Yoshida (2006)

49)

K. Yoshida (2006)

49)

9.09

L. Obadia (2006)

93)

Na

+

102

3.33 J. Ando (1958)

69),70)

K

+

138 9.09 K. Yoshida (2006)

49)

Zn

2+

+ SiO

44-

X. Wei (2007)

68)

B

3+

11 H. Bauer (1964)

94)

(30)

(a) (b) (c)

Fig. 1.5 Schematic substitution model and maximum substitution of (a) monovalent, (b) divalent, and (c) trivalent metal ions for β-tricalcium phosphate

49)

.

13.64mol%

9.09mol%

Ca(4)+ □= 2M

+

Ca(4)+2Ca(5) = 3M

2+

A column A column A column

Vacancy (Ca(4)O

3

P(1)O

4

P(1)O

4

Ca(4)O

3

Ca(5)O

6

Ca(5)O

6

P(1)O

4

9.09mol%

3M

3+

= 2Ca(5)+ 13.64mol%

9.09mol%

Ca(4)+ □= 2M

+

Ca(4)+2Ca(5) = 3M

2+

A column A column A column

Vacancy (Ca(4)O

3

P(1)O

4

P(1)O

4

Ca(4)O

3

Ca(5)O

6

Ca(5)O

6

P(1)O

4

9.09mol%

3M

3+

= 2Ca(5)+

(31)

Fig.1.6 Tentative phase equilibrium diagram of the

tricalcium phosphate-rich region of the system Mg

3

(PO

4

)

2

Ca

3

(PO

4

)

2 73)

.

(32)

総括 (8) 固相法

一価金属イオン固溶 -TCP焼結体の 機械的性質の評価

(第3章)

バナジン酸イオン固溶 -TCP 焼結体の機械的性質の評価

(5)

一価および二価金属イオン固溶 -TCP抗菌剤の作製と評価

(6)

一価金属イオン固溶 -TCPの 溶解挙動と溶解機構の解明

(第4章)

錯体重合法による金属イオン固溶 -TCPの作製

(第7章)

-TCPと金属イオン固溶 -TCPの既往の研究と課題

(1)

金属イオン固溶 -TCPの熱的安定性(結晶構造安定性)の評価 (第2章)

金属イオン固溶 -TCPの合成

Caサイトへの金属イオンの固溶

新たな使用用途の検討

液相法

PO4サイトへの金属イオンの固溶

総括 (8) 固相法

一価金属イオン固溶 -TCP焼結体の 機械的性質の評価

(第3章)

一価金属イオン固溶 -TCP焼結体の 機械的性質の評価

(第3章)

バナジン酸イオン固溶 -TCP 焼結体の機械的性質の評価

(5)

バナジン酸イオン固溶 -TCP 焼結体の機械的性質の評価

(5)

一価および二価金属イオン固溶 -TCP抗菌剤の作製と評価

(6)

一価および二価金属イオン固溶 -TCP抗菌剤の作製と評価

(6)

一価金属イオン固溶 -TCPの 溶解挙動と溶解機構の解明

(第4章)

一価金属イオン固溶 -TCPの 溶解挙動と溶解機構の解明

(第4章)

錯体重合法による金属イオン固溶 -TCPの作製

(第7章)

-TCPと金属イオン固溶 -TCPの既往の研究と課題

(1)

金属イオン固溶 -TCPの熱的安定性(結晶構造安定性)の評価 (第2章)

金属イオン固溶 -TCPの熱的安定性(結晶構造安定性)の評価 (第2章)

金属イオン固溶 -TCPの合成

Caサイトへの金属イオンの固溶

新たな使用用途の検討

液相法

PO4サイトへの金属イオンの固溶

Fig. 1.7 Flow chart of the outline in this study.

(33)

第 2 章 一価金属イオン固溶 β 型リン酸三カルシウムの熱安定性

C)

2.1

はじめに

  リン酸三カルシウム(TCP)の四つの結晶相(α,β,α’,γ)のなかで生体材料として現在用 いられるのはα-TCPとβ-TCP である1)~7).α-TCPについては,生体内で高い反応性や溶 解性(吸収性)を示すため,その適用範囲に制限があり,現在ではおもに骨セメントとして 臨床使用される.それに対して,β-TCPの場合は,生体吸収性や骨置換性のある硬組織代 替セラミックス材料として幅広く臨床応用されている 8)~13).しかし,この場合,β-α 相転 移温度(1150±30°C)以下で焼成した焼結体はもろく,機械的強度も低い.また,相転移温 度以上で焼成した場合も α-TCP とβ-TCPの体積膨張率の違いからクラックが発生するこ となどの潜在的な問題点がある 14)~17).そのため,機械的強度の必要とされる硬組織代替 材料として適用制限がある.したがって,硬組織代替材料としてさまざまな部位でβ-TCP を臨床応用するためには,高温焼成で機械的強度を向上させる必要であり,そのためには β相の熱安定化が重要になる.

これまで,β-TCPに微量の金属イオンを添加すると,その化学的および生物学的性質の 変化することが明らかにされている.たとえば,Ca欠損アパタイトを焼成してβ-TCPを 合成する場合,Ca欠損アパタイトに微量のMg2+イオンを添加するとβ-TCPの生成温度が 低下することが報告されている18).また,Mg2+イオンの添加は,骨形成や石灰化の促進だ けでなく,骨強度や骨密度を増加させる効果も期待できる 19)~22).したがって,β-TCP に 微量の金属イオンを添加してβ-TCPの熱安定性を改善させる方法は,化学的および生物学 的観点からも有効な方法であると考えられ,Mg2+イオンをβ-TCPやβ-TCP/HAp複合材料 などに添加することで β-TCP の熱安定性の向上することがこれまでに報告されている

6),14),15),23)~26).実際,前章で示したようにMgO を焼結助剤としてβ-TCPに添加した場合は

β-α 相転移温度が 1485oC まで上昇し,Mg2+イオンを固溶した HAp/TCP 複合材料の β-α 相 転 移 温 度 も 上 昇 す る こ と が 報 告 さ れ て い る 27)~29). ま た ,Carrodeguas ら は Mg3(PO4)2-Ca3(PO4)2二成分系の状態図からMg2+イオン固溶でβ-TCPの熱安定性が向上す ることを明らかにしている26)

β相の熱安定化は,β-α相転移温度以上での焼結体の焼成を可能にし,高強度焼結体が作 製できる.また,Li らは相転移温度の向上,すなわち結晶構造の安定化で生体吸収性(溶 解性)も抑制できると報告している 20).このように β-TCP の熱安定性(結晶安定性)を評価 することは,機械的性質および生体吸収性(溶解性)を決定するために重要になる.

そこで本章では,固溶形態が明らかな一価金属イオン(Li+,Na+および K+イオン)固溶 β-TCP(Li-TCP,Na-TCPおよびK-TCP)を作製し30),一価金属イオンの β-TCP への固溶 がβ相の熱安定性に及ぼす影響をα-TCP 転化率,および反応速度定数を用いて検討した.

さらに,Mg2+イオン固溶β-TCP (Mg-TCP)についても,β-α相転移における反応速度定

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