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複合現実映像の品質がユーザ体験に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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複合現実映像の品質がユーザ体験に及ぼす影響

Effects of mixed reality image quality on user experience

5115E023 - 6 山田 初美 指導教員 河合 隆史 教授

YAMADA Hatsumi Prof. KAWAI Takashi

概要: 本研究は、複合現実映像の品質がユーザ体験に及ぼす影響に着目し、より良い複合現実映像を構成する手法に関 する知見の取得に取り組んだものである。具体的には、実写の品質として解像度を、CG の品質としてテクスチャ等のク オリティを想定し、これらの項目がユーザ体験に及ぼす影響や相互作用について、実写とCGの呈示割合を変化させつつ 人間工学的な観点から検討を行った。その結果、実写とCGの品質は主に自然さなどのユーザ体験に影響を及ぼすことが 分かり、ユーザ体験を最適化するための呈示条件や方法論が存在する可能性が示唆された。

キーワード:複合現実感、ヘッドマウントディスプレイ、実写、CG、品質 Keywords: Mixed Reality, Head Mounted Display, Photographing, CG, Quality

1. はじめに

複合現実感とは、現実世界と仮想世界を融合した 複合環境の構築・描画技術[1]のことである。筆者らは これまで、複合現実映像におけるユーザ体験の最適 化について研究を進めてきた。昨年は実写と CG の 呈示割合がユーザ体験に与える影響に関する研究を 行い、その結果、呈示割合に応じて実写・CG間で自 然さの評価基準が交代することなどが分かった[2]。 そこで本研究では、複合現実映像の品質がユーザ 体験に及ぼす影響に着目し、より良い複合現実映像 を構成する手法に関する知見の取得に取り組んだ。

具体的には、実写の品質として解像度を、CGの品質 としてテクスチャ等のクオリティを想定し、これら がユーザ体験に及ぼす影響や相互作用について、実 写とCGの呈示割合を変化させつつ検討を行った。

2. 実験方法

実験装置には、キヤノン社製のビデオシースルー 型HMD「MREAL MD-10」を用いた。本実験では、

このHMD をそのまま使用した場合と、実写の解像 度を下げた場合の2 通りで実験を行った。また、実 験は刺激を呈示するために十分な広さのある室内に おいて行った。実験環境を図1に示す。

1 実験環境

呈示条件は6種類用意し、画面に対するCG の呈 示割合によって条件を設定した。具体的には、部屋 の中に実在するオブジェクトを実写や CG に切り替 えて呈示することで、呈示割合を変化させた。なお CGオブジェクトはMaya3dsMAXを用いて作成 しており、Unity を用いて統合することで実験環境 を模した仮想モデルを構築している。また、予備実 験よりも CG のテクスチャ等のクオリティを大幅に 改善し、実験を行った。呈示条件とその呈示割合を 表 1 に示す。参加者にはこれらの条件を、CG の割 合が増えていく順序(上昇系列)と減っていく順序

(下降系列)で呈示し、HMDを用いて観察させた。

(2)

1 呈示条件とその呈示割合

評価手法には、評定尺度法とインタビューを用い た。評定尺度法については「自然さ」「広さ把握」「形 状把握」「好ましさ」「実写とCG の判別」の5つの 評価項目を設定し、7 件法で回答させた。なお形状 把握とは、複合現実空間内にある物の形や位置関係 の把握のことを指す。また、各映像を観察させるた び被験者にインタビューを行い、映像の変化や評 価・印象の変化について口頭で自由な回答を求めた。

なお、参加者は20代の男女12名であった。

3. 実験結果および考察

評定尺度法の自然さの結果を図2と図3に示す。

高解像度においては、条件5 の下降系列が上昇系 列より有意に高くなる結果が得られた。よって、全 て CG の映像に対して実写が少し混ざることにより 不自然さが生じることが分かった。この原因として、

CG を自然さの評価基準として判断する傾向が強い 可能性が考えられる。また、低解像度においては、

条件2 の上昇系列が下降系列より有意に低くなる結 果が得られた。よって、全て実写の映像に対してCG が少し混ざることにより、不自然さが生じることが 分かった。この原因として、実写を自然さの評価基 準として判断する傾向が強い可能性が考えられる。

したがって、複合割合が一定にみたない場合は不 自然さを感じることがある、すなわち、複合現実映 像を自然に見せるための最適な複合範囲が存在する ことが分かった。そしてその傾向は、実写の品質に よって異なることが判明した。

また、予備実験の結果と比較したところ、CG品質 改善後の方が全体的に自然さの平均評点が上昇して いる結果が得られた。よって、CGの品質向上には自 然さを向上させる効果があることが確認できた。

2 自然さ(高解像度)

3 自然さ(低解像度)

4. まとめ

本研究を行った結果、実写と CG の品質はユーザ 体験に以下のような影響を及ぼすことが分かった。

(1) 影響を受ける体験は主に自然さであり、これは 好ましさと深い関連がある

(2) 実写の品質の変化に伴い、自然さにおける最適 な複合割合は変化する

(3) CG の品質の向上は実写と比較して、自然さの 向上に顕著な影響を及ぼす

これらの知見は、複合現実映像の表現において、

実写と CG の品質に応じてユーザ体験を最適化する ための呈示条件や方法論が存在する可能性を示唆し ているといえる。

参考文献:

[1] 田村秀行, 太田友一,“複合現実感”,映像情報メディ ア学会誌, Vol.52, No.3, pp.266-272, 1998.

[2] 山田初美 他,“複合現実映像における実写と CG 呈示割合とユーザ体験 ”,第21回日本VR学会大会 論文集, 32D-05, 2016.

表 1   呈示条件とその呈示割合     評価手法には、評定尺度法とインタビューを用い た。評定尺度法については「自然さ」 「広さ把握」 「形 状把握」「好ましさ」「実写と CG の判別」の 5 つの 評価項目を設定し、7 件法で回答させた。なお形状 把握とは、複合現実空間内にある物の形や位置関係 の把握のことを指す。また、各映像を観察させるた び被験者にインタビューを行い、映像の変化や評 価・印象の変化について口頭で自由な回答を求めた。 なお、参加者は 20 代の男女 12 名であった。      3

参照

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