• 検索結果がありません。

「図書館での カルチャー・ショック」

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "「図書館での カルチャー・ショック」"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

−23−

大学の図書館勤務となって5ヶ月経過しよう としている。それまで高校では専任教諭として 英語を教えながら校務分掌で図書館に所属し、

昼休みと放課後の学生の出入りの多い時間帯に 手伝いに行き、パソコンで洋書の登録をしてい たので、ある程度図書館の仕事に慣れているつ もりでいた。しかし、大学の図書館に来て地下 から3階までの書庫を目の当たりにし、仕事の 概要の説明を受けた時、私はまるでラッシュア ワー時に梅田の地下街に放り出されたような戸 惑いと焦りを感じた。

さすが大学の図書館だけに、高校の図書館と は規模が全く違って仕事の種類は多いし、仕事 のレベルも遙かに高い。また説明に使用されて いる専門用語や職場独特の用語は、私にとって 耳慣れない言葉であるため、早口で話されてい ると同様聞き取れないことが多い。

教師になる前に私は一般企業で働いていたの だが、課長から「新入社員は先ず座席にじっと 座っていることから始めなさい」と言われたこ とを思い出す。長時間椅子に座っていても、尻 が痛くならなくなった頃になって漸く、仕事関 係の言葉が聞き取れるようになり、他の人の動 きが見えるようになり、自分の仕事がどこに位 置していて、他社とはどういう関係にあるか、

大体分かるようになったのである。

幸いにも大学の図書館は私の最初の就職先と 同様、新人の扱いが上手で、一気に説明を受け ても直ぐには理解できないだろうから、追々覚 えていってくださいと大変親切だった。私も、

若い頃とは違って記憶力減退時に新しい職場へ 移ったのだから、新しい仕事を覚えるのに他の 人より2倍時間が掛かるだろうと覚悟していた。

ところが2ヶ月経過しようとしていた矢先に母 が亡くなり、葬儀が終わって職場に戻ってみた ら、折角覚えたはずの仕事を自分でも呆れるほ

ど忘れてしまっていることが多く、結局は他の 人より3倍も4倍も時間が掛かってしまったの である。

大学の図書館で仕事をするようになってから 初めて、図書館の本がどんなにか細かい配慮を 受けて扱われているか分かるようになった。気 が遠くなるほど膨大な数の蔵書が種類別に分類 されてラベルが貼られ、コンピュータに登録さ れて、目指す本が簡単に探し出せるようになっ ている。本の題名ばかりでなく、著者名、出版 社名、出版年そしてキーワードで瞬間的に書名 がリストアップされ、どの閲覧室にあるか、何 階の書庫にあるか示される。研究する人や読書 を楽しむ人にとって、こんなに便利なことはな い。そしてこの様な便利さを提供するために、

黙々と縁の下の力持ち的な仕事をする部門があ り、そこに私も部分的に参加しているというこ とは嬉しい限りである。

新着図書の洋書の中で英語で書かれた本を登 録する以外に、コンピュータ導入以前に購入さ れた蔵書の登録を他の人達と一緒に分担して進 めているのだが、検索カード方式がコンピュー タ方式に切り替えられてから何年もの間地道に 延々と継続されてきたことには、頭が下がる思 いがする。これは遡及入力作業と呼ばれている が、国公立と私立の大学図書館が協力してイン ターネットでデータを提供し合う体制が出来上 がっている。しかし、それでも後何年で終わる か簡単には答えられない忍耐と努力の要求され る仕事であろう。

図書館は限られたスペースの中に新刊書を受 け入れているので、管理・運営・保管・整理に 膨大な労力を要し、そこに閲覧し易さという要 素が加わるため合理的で美的な感覚が必要とさ れる。

注意深く、正確にそしてきれいに作業を進め るには、かなり細かい神経を使わなければなら ない。不器用で要領の悪い私を、我慢強く暖か い眼で見守りながら指導して下さっている皆様 に心から感謝の念を捧げる次第である。

おざわ ふみひこ(情報サービス課)

小澤 文彦 

「図書館での 

    カルチャー・ショック」 

参照

関連したドキュメント

 戦後図書館史を再検討する上で、そこに関わった人 びとの証言は貴重である。戦後占領期に米国の指導 下に設置された CIE

第7章 専門的な資料の探し方 -138-

利用者 どうでもいいと思う本は、どういうものですか。

33

 「図書サロン」という名前である以上、本来 の図書館とは趣旨が異なっているのかと思って

今回のフォーラムでは図書館本館書庫3階のポルトガル語で書かれた図

  『図書館を使う人、図書館で働く人、図書館に関 わる仕事をしている人達が、 “ 図書館の今後

 日本の小中高等学校においては、図書館の利用方