図書館員の文献紹介と 資料の活用
29 尾中紗千
保育所の絵本コーナー、地域の公共図書館、
小学校、中学校、高校の図書室、そして大学図 書館。物心ついた頃から、ずっと本を手に取る 機会を与えられ続けてきましたが、存分には活 かせず今に至っています。しかし、熟読した本 の数は少なくとも、図書館に入り浸っていた時 間は長かったように思います。
特に思い出深いのは、地元の公共図書館です。
元は公民館の一室としてあった図書室で、学校 終わりによく友人と宿題をしていました。その 空間も自室のような雰囲気で好きでした。私が 中学生になる頃に、公民館全体で建替工事が行 われ、図書室も「図書サロン」という名前で生 まれ変わりました。窓は広く、照明は明るく、
床も壁もカウンターも木材が使用され、広さは 元の図書室の5倍以上にはなっていました。所 蔵本は量もジャンルも増え、少しでも気になっ た本を手にとっては、満足したら棚に戻すとい うこともしやすくなりました。空調完備で常時 オルゴールも流れており、本当に「生まれ変わっ た」という印象を受けました。
この図書サロンは、当時「図書館は学びを主 目的に利用するところ」というイメージを持っ ていた私にとって、衝撃的で感動的でした。長 時間文字を読むことが苦手でも、勉強の目的で なくとも、身構えずに利用できる。もっと言え ばくつろぐことさえ出来そうな空間が図書館に あるということが、とにかく驚きでした。この
図書サロンには、色々な目的で通いました。好 きな絵柄の絵本を借りに行ったり、資料を探し たり、音楽雑誌を読みに行ったり。自習の場所 をここに移して気分転換を試みたことも、ただ 何となく行って本棚を眺めて歩いた事もよくあ りました。中学生の頃はここで職業体験をさせ てもらうなど、この図書サロンが大好きでした。
「図書サロン」という名前である以上、本来 の図書館とは趣旨が異なっているのかと思って いました。しかし先日お仕事で全国各地の公共 図書館のホームページを調べたとき、どの図書 館でも居心地の良い環境作りに力が注がれてい ることを知りました。やはり図書館とは、ただ 図書や情報を提供するだけでなく、愛される空 間であるべきなのだと感じました。そしてそれ は、大学図書館でも同じだと思います。
図書館は、身近に感じるほど、立ち寄りやす くなるほどに、嬉しいものだと思います。目的 の本を探すのはもちろんのこと、目当ての本が 特になく「何となく寄ってみた」という利用方 法も、有意義だと思います。この京都外国語大 学付属図書館は、語学関連の本はもちろんのこ と、資格教材、社会情勢、心理学、草花、歴史、
軍人の伝記、ぐりとぐら、動物園やボタニカル アート、ふと気になって探してみた大津絵の本 まで幅広いジャンルの本が揃っています。何と なく立ち寄って、興味のある本に手を伸ばすに は、とても適した場所だと思います。そんな図 書館の運営に携われるご縁を頂いている中で、
利用者の方により利用しやすい環境を提供でき るよう、努力していきたいと思います。
おなか さち(図書館非常勤職員)