目的~方法
研究法ⅡA 実験法 認知心理学研究室D5 田根健吾広い話
•人は普段から「好き嫌い」の判断をしながら生
活している
•人や物についてなんでも •ではその好き嫌いはどうやって決まるのか
広い話
•対象の特徴によって決まる好み
•例: 左右対称性 平均的 →それぞれの中にある「好み」に合致するかどうか 私は左右対称な顔が好きだ広い話
•対象の特徴によって決まる好み
•例: 左右対称性 平均的 →それぞれの中にある「好み」に合致するかどうか きらい。広い話
•対象の特徴によって決まる好み
•例: 左右対称性 平均的 →それぞれの中にある「好み」に合致するかどうか ・・・すき。 100万人に1人レベルの左右対称顔広い話
•評価する側との関係性によって変わる好み
•好みは変化することがある →だんだん好きになることがある?先行研究
•
単純接触効果(mere exposure effect)
•Zajonc (1968) •参加者:ミシガン大学の学生 •刺激:漢字(参加者は意味を知らない) ・・・・・・計12文字
先行研究 Zajonc (1968)
-•実験手続き: まず参加者に刺激を見せる。各刺激の呈示回数に違い があり、1回、2回、5回、10回、25回のいずれか。1回
2回
5回
10回
25回
先行研究 Zajonc (1968)
-•実験手続き: 全ての刺激呈示終了後、呈示していない漢字を加えて、 それぞれの漢字に対する印象を7件法で答えさせる。 「この漢字は良い印象ですか?1~7で回答してください」 (×刺激個数分)先行研究 Zajonc (1968)
-•結果
•刺激の呈示回数が多い漢字ほど好意度が高かった!!先行研究
•つまり、単純に繰り返し見ているだけでも、その
対象の好意度が上昇する。
→「
単純接触効果
」と呼ばれ、心理学において
非常に重要な概念とされる。
•その後の追試
•顔やポスターなどさまざまな刺激でも生じる •閾下呈示でも生じる。 →頑健な現象であると考えられている。 (多少変数をいじっても安定して観察される) 波しぶき!先行研究
•なぜ単純接触効果が生じるのか?
•知覚的流暢性誤帰属説(Bornstein & D’Agostino, 1992)
•一度見たことのある刺激は、情報処理が楽になる。 扇! 扇の模様は 日の丸? 右下から左上への 流れを感じる! 波!
葉っぱ6枚!
先行研究
•
なぜ単純接触効果が生じるのか?
•知覚的流暢性誤帰属説(Bornstein & D’Agostino, 1992)
•一度見たことのある刺激は、情報処理が楽になる。 付け根の しわ! 葉脈かなり細かい! 一般的な向きの置き方! かぶ!!
先行研究
•なぜ単純接触効果が生じるのか?
•知覚的流暢性誤帰属説(Bornstein & D’Agostino, 1992)
•一度見たことのある刺激は、情報処理が楽になる。 →認知的負荷が小さくなるため、ポジティブな印象になる。 さっき見たやつ! 既に処理された情報 を再構成するだけ
問題提起
•知覚的流暢性誤帰属説によれば、どんな刺激でも 単純接触効果が生じると考えられる。 •しかし、例えば「嫌悪感」があるような刺激でも同じだろう か? •嫌悪感がある刺激を繰り返し見たところで、「嫌な感じ」が 強くなるだけではないだろうか??↓↓↓
•嫌悪感がある刺激でも単純接触効果が生じるか?実験計画について
・・・しかし
•単純に刺激を嫌悪刺激に変えるだけではダメ
•中性的な刺激や魅力度の高い刺激における
単純接触効果との違いがわからなくなってしま
う。
実験計画について
では、普通の刺激と嫌悪刺激で比較する? それでも不十分! •嫌悪感を生じる刺激で単純接触効果が生じなかった ⇒「嫌悪感のある刺激だから」生じなかった? ⇒「刺激の他の特徴が影響したから」生じなかった? 普通の刺激 嫌悪刺激 生じた!! 生じなかった!! 類似度 低 類似度 高 接触経験の般化実験計画について
では、普通の刺激と嫌悪刺激で比較する? それでも不十分! •嫌悪感を生じる刺激で単純接触効果が生じなかった ⇒「嫌悪感のある刺激だから」生じなかった? ⇒「刺激の他の特徴が影響したから」生じなかった? ↓↓↓ 刺激自体の特徴を揃える必要がある ⇒条件間で同じ刺激を用いる実験計画について
•そこで、参加者によって嫌悪感が異なる刺激を用い
て、刺激に対する嫌悪感が
強い人
と
弱い人
で
単純接触効果の生じ方に違いがあるかを調べる。
⇒この条件を満たす刺激を選ぶ。
刺激の選定
•一般に、「
目が合う顔刺激
」は魅力的に知覚される
(Conway, Jones, DeBruine, & Little, 2007)
•
一方で、
対人不安
が高い者は他者と視線を合わせ
ることを嫌悪する傾向がある
(Griest, 1995) つまり、参加者の対人不安傾向の高さによって、「目が合う
顔写真」に対する嫌悪感は変化する。
⇒実験の目的に合致!
目的
•刺激に対する嫌悪感が、単純接触効果に与える影
響を検討する
←
本実験の目的!
目的
方法の簡単な説明としては・・・ •刺激として「目が合う顔写真」を用い、参加者の対人不安傾向に よって単純接触効果の生じ方に違いがあるか比較する。 •実験手続き簡略化のために、刺激呈示回数が 0回の刺激(非接触刺激)と1回の刺激(接触刺激) で好意度を比較する。 ⇒ 単純接触効果の指標 •対人不安傾向の高い群と低い群に分けた時、単純接触効果の生 じ方に違いがあるか比較する。 ⇒ 刺激に対する嫌悪感が単純接触効果に影響するか否か •知覚的流暢性誤帰属説の検討を通して,単純接触効果のメカニズ ムについて理解を深めることができる。←本研究の意義仮説と予想される結果
仮説
•刺激に対する嫌悪感がある場合、単純接触効果は
生じない
予想される結果
•対人不安傾向の低い群
(刺激に対する嫌悪感が弱い)⇒接触刺激と非接触刺激の好意度に差が生じる
•対人不安傾向の高い群
(刺激に対する嫌悪感が強い)⇒接触刺激と非接触刺激の好意度に差が生じない
•次は
方法
です!
方法の構造
方法 (method) 実験参加者 (participants) 実験装置 (apparatus) 刺激 (stimuli) 手続き (procedure) 実験計画 (experimental design)実験参加者
•実験に適した参加者であったかどうか
•今回の刺激は視覚刺激 •人数
•男女の比率
•⇒実験は集団で行った。視力の正常な大学生
73名(男性11名、女性62名)が一度に実験に
参加した。
実験装置
•刺激呈示に使ったもの
•パソコン DELL社製コンピュータ OptiPlex 990SF •ディスプレイ 19インチモニタ•刺激制御ソフト -Microsoft Power Point2007
•
反応取得に使ったもの
•回答用冊子 -再認課題、好意度評定用 •質問紙 -日本版社会的相互作用不安尺度(原井, 2002)質問紙について補足
•「社会的相互作用不安尺度」 ・・・なんて大層な名前がついていると、少し怖く感じる 人もいるかもしれない。しかし・・・ •質問紙は、実際のパーソナリティのほんの一部分を推 測するための目安に過ぎない。(特に今回のものはか なりの簡易版。) •また、「不安」というものにもポジティブな役割、適応的 な意義があるという主張もあり、 「不安傾向が高いこと」=「悪いこと」では断じてない!刺激
•顔刺激
•男女20枚ずつ 計40枚 •Web上に公開されているヘアカットモデルの写真 (顔写真自体の魅力度を高く保つため) •正面に視線を向けているもの •背景が白に近いもの手続き
•実験の流れ
•学習段階 ↓↓ •再認段階 ↓↓ •質問紙回答手続き
-学習段階-
•刺激の半数、男女各10枚を学習段階で使用 •予備実験で魅力度を測定し、男女とも残りの10枚との間で魅 力度に差が生じないよう調整 •できるだけ記憶するよう教示 •男性刺激と女性刺激は交互に呈示 •まず注視点を画面中央に1000ms呈示 •次に顔刺激を画面中央に1枚ずつ2000ms呈示手続き
-再認段階-
•学習段階で呈示しなかった20枚を含む、全40枚の刺激を呈示 •男女交互に1枚ずつ呈示 •参加者は各刺激について、学習段階で呈示されたものかどう かを、「あった」または「なかった」に丸を付ける形で回答 •同時に、刺激についての好意度を7件法で評定。1を「非常に 好ましくない」、7を「非常に好ましい」とした。 •学習段階で呈示した刺激が呈示される順番はあらかじめラン ダム化し、特定のパターンが生じないよう制御した。手続き
-質問紙-
•再認段階終了後、質問紙へと回答。 •質問項目は19項目。代表的な項目を2つ程度記載する。 •それぞれの項目が自分にどの程度当てはまるかを5件 法で回答。 •1を「自分の性格や自分についての事実を全く表してい ない」とし、5を「自分の性格や自分についての事実を 大変よく表している」とした。実験計画
•今回の従属変数は・・・?
•刺激に対する好意度評定値 •今回の独立変数(要因)は・・・?(2つあります!)
•接触経験の有無(2水準:接触/非接触) •参加者の対人不安傾向(2水準:高/低) →質問紙得点を順番に並べ、高い方から半数を不安傾向高群、もう 半数を不安傾向低群とする。実験計画
•各要因は「参加者内」なのか「参加者間」なのか
→各参加者が、要因の中にあるすべての水準に参
加しているかどうかで見極める。
→すべての水準に参加しているなら「参加者
内
要因」
→1つにしか参加していないなら「参加者
間
要因」
接触経験の有無(接触/非接触)を○○○要因、参
加者の対人不安傾向(高/低)を△△△要因とする、
2×2の
混合計画
引用文献
•Zajonc, R, B. (1968). Attitudinal effects of mere exposure. Journal of Personality and Social Psychology Monograph Supplement, 9(No.2 Part.2), 1-28.
•Bornstein, R. F., & D'Agostino, P. R. (1992). Stimulus recognition and the mere exposure effect. Journal of personality and social psychology, 63(4), 545-552. •Conway, C. A., Jones, B. C., DeBruine, L. M., & Little, A. C. (2007) Evidence for adaptive design in human gaze preference. Proceedings of The Royal Society: Biological Sciences. 275, 63-69.
•Griest, J. H. (1995). The diagnosis of social phobia. Journal of Clinical Psychiatry. 56, 5-12.
•原井弘明 (2002). 日本版社会恐怖尺度(SPS), 日本版社会的
相互作用不安尺度(SIAS)の開発 日本行動療法学会大会発表