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< 司法アクセス概観 > 最高裁判所上告控訴裁判所 違憲審査 憲法院 地方裁判所 控訴 クメール ルージュ特別裁判所 最高裁判所 : 判事 14 名のほか 検察官 5 名 書記官約 30 名 事務官約 60 名で構成されている 一つの事件の解決に約 4か月程度を要している 年間 民事事件で約 500

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カンボジア王国

2013/11/16 メンバー:揖斐哉子、赤城拓人、宮川貴穂

<基本情報>

面積:18.1 万平方キロメートル(日本の約 2 分の 1 弱) 人口:14,676,591 人(2013 年) 首都:プノンペン 言語:クメール語 宗教:主に上座部仏教 GDP:約 142 億米ドル(一人あたり GDP:933 米ドル)(2012 年推定値、IMF 資料) 識字率:87.1% (男性:88.4% 女性:85.9%) 通貨:リエル 政体:立憲君主制 元首:ノロドム・シハモニ国王(2004 年 10 月即位) 在日カンボジア人:2,770 人(2011 年、入管統計) 観光都市:シェムリアップ 主要都市:プノンペン、バッタンバン、シハヌークビル 略史: 1953 年 カンボジア王国としてフランスから独立 1970 年 クメール共和国樹立 親中共産勢力クメール・ルージュ(KR)との内戦 1975 年 KR が内戦に勝利 民主カンボジア(ポル・ポト)政権樹立 大量虐殺 1979 年 ベトナム軍侵攻で KR 敗走 親ベトナムのヘン・サムリン政権樹立 ヘン・サムリン政権と民主カンボジア三連合の内戦 1991 年 パリ和平協定 1993 年 UNTAC 監視下 新憲法で王政復活 1999 年 ASEAN 加盟 2004 年 シハモニ新国王即位 WTO 加盟 カンボジア統一資料 1

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<司法アクセス概観>

違憲審査 上告 控訴 最高裁判所:判事14名のほか、検察官5名、書記官約30名、事務官約60名で構成さ れている。一つの事件の解決に約4か月程度を要している。年間、民事事件で約500件、 刑事事件で約300件の上告がなされている。最高裁判決は、書籍にまとめ、3か月に一 回出版し、希望先に配布している。また、最高裁のホームページには、裁判のスケジュー ル等の情報を公開している。 控訴裁判所:ブノンペンの司法省の敷地にある。事件の受理件数は、毎年民事・刑事事件 ともに約2000件。1件の事件処理に要する時間は、約2~3か月とされている。現時 点では、控訴裁判所が全国で1か所しか存在しないために、全国の第一審裁判所の判断に 対する控訴が1つの裁判所に集中してしまうことが問題となっている。 第一審裁判所:全国に23か所ある。ブノンペン第一審裁判所の庁舎は新築のモダンな建 築であり、ITを用いた事件処理、各所への監視カメラの設置、ビデオを通じてのインタ ビュー設備、カードによる入退所の管理等、相当に先進的なシステムを採用している。 憲法院:管轄事項は、選挙争訟の決定と法律の違憲審査の二つである。国王、国民議会議 長、首相、10分の1以上の国民議会議員、および裁判官は、法律に対する審査(抽象的違 憲審査)を求めることができる。また、裁判の当事者は事件を管轄する裁判所から最高裁判 所を通じて、憲法院に対して係争中の裁判で適用される法令または行政機関による処分に 対する審査(付随的違憲審査)を求めることができる。 (クメール・ルージュ特別裁判所):1975年から、1979年におきたポル・ポト政権 下での大量虐殺について、その主要な責任者を罰することを目的とする裁判所。この裁判 については、二審制をとっており、最高刑は終身禁固となっている。 地方裁判所 控訴裁判所 最高裁判所 憲法院 クメール・ルージュ 特別裁判所 カンボジア統一資料 2

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<発表内容>

カンボジア児童買春への法的アプローチの可能性~わたしたちにできること~

テーマ設定動機、テーマと関わる社会情勢、日本との関連性 タイの人身売買・児童買春をテーマにした映画『闇の子供たち』を見て、その現状に衝 撃を受けたことがきっかけである。この映画の中で日本人は加害者として描かれている。 事実、日本は先進国の中で児童買春に関する犯罪が多いとされている。そのため、加害国 として無関心でいては無責任だと感じた。また、表面上は順調に経済発展及び法整備が進 んでいるように見えるカンボジアだが、実は選挙結果に国民の不満が表れていたり、いま だに児童買春が根強く存在していたりするという問題がある。私たちは、カンボジアの児 童買春に焦点をあて、その背景にはどのような原因があるのか分析し、問題の根本的解決 に向けた提言を学生の立場からしたいと考えている。 児童買春問題とは

児童買春とは、人身売買の一種で、子どもの商業的性的搾取(CSEC: Commercial sexual exploitation of children)ともいわれる。第 1 回子どもの商業的性搾取に反対する世界会議 (1996 年、ストックホルム)では、子どもの商業的性搾取を、子どもや第三者に対する金 銭や現物などの提供を伴う、大人による性的虐待を含む少年少女の基本的権利の侵害と定 義している。1999 年の最悪の形態の児童労働条約(第 182 号)の中では、遅滞なく撤廃さ れなければならない最悪の形態の児童労働とみなされている。 カンボジアの児童買春問題の原因: 我々は、児童買春問題と関係のある項目について、カンボジアの現状分析を行った上で、 原因抽出を行った。以下、その結果について簡単に説明する。 ア、被害者の事情(外部的要因) 児童買春の最大の原因たる貧困は、ポル・ポト時代に既存の文化や社会・経済シス カンボジア統一資料 3

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テムがすべて破壊されたことによって引き起こされた。現在は、経済が発展し国全体 でみれば貧困が改善されてきているが、農民は発展の波に乗り切れていない。農村の 子ども達は、都市へ出稼ぎにいき、経済発展の恩恵をうけようとするも、その過程で 児童買春の被害に遭ってしまうことがある。 イ、被害者の事情(内部的要因) 貧困層の子どもたちは家の事情で、学校へ行くことができない。結果として、子ども たちは、法律の知識や性的な知識に乏しく、買春の勧誘に騙されやすくなる。 また、カンボジアには女性蔑視の慣習があり、これも児童買春の一因となっている。 ウ、国際的な要因 ポル・ポト時代は、婚外交渉は厳しく禁止されていたため買春は行われていなかった。 しかし、内戦終了後の1990 年に UNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)による統治が開 始されると、娯楽を求めるUNTAC 兵士の需要として、買春産業が盛んになった。 近時では、観光業が発展してきており、2012 年の観光客は前年比 24.4%増の 360 万人 に上った。これと「処女神話等の迷信」や「エイズへの不安」が相まって、外国人の児 童買春の危険が増してきている。 エ、政府、国の事情 ポル・ポト政権時代の法曹の粛清を経た1990 年代初頭と比べると、法曹の数は増加 してきているが、依然として少ない。また、法曹の法解釈能力も高いとは言えない。 この点で、カンボジア司法制度が児童買春問題に対して適切に機能していないという 可能性がある。また、警察の汚職・能力不足によって、売春宿のオーナーを適切に取 り締まることができていないという問題もある。 解決策: ① これまで講じられてきた対策(一部) 国レベル ・「子どものトラフィッキング及び性的搾取対策の5 ヶ年計画」(2001 年):国家が「被害の 防止」「被害者の保護」「被害者の援護」「被害者の家庭・地域への再統合」を柱として対策 を行った。 ・「人身売買に関する国連機関間プロジェクト」(2004 年):メコン川沿いの 6 カ国と国際 機関、国際NGO などが共同して対策を行った。 NGO レベル ・かものはしプロジェクト(日本):農村地帯の女性を雇用するためのコミュニティファク トリーの経営、児童を保護する孤児院の運営、警察の能力強化支援を行っている。 ② 考えられる対策 「大人に仕事を子供に教育を」という視点 ・ハローワークの開設? ・農村の企業誘致? カンボジア統一資料 4

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<キーワード>

「闇の子供たち」:梁石日氏の原作を阪本順治監督が 2008 年に映画化したものであり、タ イで行われている違法な人身売買や児童買春を NGO 職員、新聞記者、フリーカメラマンの 視点から描いた作品である。

子どもの商業的性的搾取(CSEC: Commercial sexual exploitation of children):搾取と は、他人からさまざまなものをしぼりとって自分のものにすること。厳密にいうと CSEC に は「児童買春」の他に「子どもポルノ」等も含まれる。 ブローカー:英語で仲介業者(人)や斡旋業者を意味する。人身売買を行う業者という意味 でもつかわれている。このブローカーは人身売買される人々の親戚や知人であるケースも 国際機関などの報告書からもわかっている。 ポル・ポト:1975 年から 1979 年まで政権を握った。共産主義思想のもと、都市住民や知識 層を農村に強制移住させ、過酷労働を強いた。拷問や処刑、飢餓などで約 170 万人が犠牲 になったとされる。 性比:女性 100 人に対する男性の割合を表すものである。人間の出生性比は地域、時代に かかわらず男女がおおむね 105:100 前後になる。 UNTAC(国連カンボジア暫定統治機構):国連事務次長の明石康氏を特別代表に、92 年 3 月か ら活動開始。日本からも自衛隊が派遣された。UNTAC の任務は、行政監視、選挙準備など幅 広い範囲に及び、実質的にカンボジアを全面統治した。 絶対貧困ライン:カンボジア政府が、国家貧困削減戦略において、食量支出と非食量支出 を考慮して割り出した貧困ライン。 ジニ係数:所得の不平等の程度を測る尺度。大きいほど不平等の程度が大きいことを示す。 完全平等なら 0、完全不平等なら 1。 GDI(ジェンダー開発指数):狭義の人間開発指数に男女間の不平等を反映させたものであり、 1 女性の出生時平均余命、2 男性の出生時平均余命、3 女性の成人識字率、4 女性の GER(Gross Enrollment Ratio:総就学率)、5 男性の成人識字率、6 男性の GER、7 女性の推定勤労所得、 8 男性の推定勤労所得の 8 つの指標から計算される。 国外犯:一般に犯罪はその行為が行われた国で、その国の裁判によって裁かれる。しかし、 それだけでは不十分な場合があるので、日本の刑法では、(1)外国で行われても日本国内に 重大な影響を与える犯罪(2)日本国民が国外で犯した重大犯罪(3)日本国民が国外で被害を うけた重大犯罪―などは、日本国外で行われた犯罪でも、処罰の対象とすると定められて いる。(第二条~第四条の二)「児童買春・児童ポルノ禁止法」でも、10 条で一部の条文に ついては、刑法第 3 条に従うとあり、日本人が外国において犯罪をした場合に適用される。 買春ツアー(セックスツーリズム):先進国から途上国に、買春を目的に行く旅行のこと。 東南アジアでは、買春の対象が幼女であることもしばしばある。 トラフィッキング:違法な売買。主に「違法な人身売買」の意味で用いている。 カンボジア統一資料 5

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<追加資料>

Law on Suppression of Human Trafficking and Sexual Exploitation:人身売買および性 的搾取の取締に関する法律 第1 章 総則 第1 条 本法の目的 この法律は、人身売買および性的搾取を取り締まり、人の権利と尊厳を保障し、市民の 健康福祉を発展させ、善良な国民の慣習を維持向上させ、もってカンボジア王国が批准し ている国際組織犯罪を防止し、人、特に女性と子どもの人身売買を防止し、取り締まり、 処罰するための国連議定書、その他の国際的決まりや合意を実施する。 第2 条 国内でのこの法律の適用 この法律は、カンボジア王国内における犯罪に適用する。 この法律の目的のために、カンボジア王国とはカンボジアの国旗を掲げることのできる 交通機関や飛行機も含むものとする。 構成する犯罪の一部がカンボジア王国でおこなわれる場合、カンボジア王国での犯罪と みなす。 第3 条 国外へのこの法律の適用 この法律は、カンボジア王国外であってもクメール市民によって犯された重罪または軽 罪に適用される。 この法律は、カンボジア王国外で外国人によって犯されても、犯罪時にクメール市民が 犠牲者である場合にも、適用される。 第7 条 未成年者の定義 この法律で未成年者とは、18 歳未満の者をさす。 未成年者を監護または支配下に置く者が18 歳以上と信じるのが合理的であることを証明 しない場合には、未成年者の年齢を知っているものと推定される。 第4 章 買春および児童買春 第23 条 買春および児童買春の定義 本法でいう買春とは、なんらかの対価を受けて、不特定の者と性交またはあらゆる種類 の性的行為をおこなうことをさす。 本法でいう児童買春とは、なんらかの対価を受けて、未成年者および他人と性交または あらゆる種類の性的行為をおこなうことをさす。 第24 条 勧誘行為 みずから売春をおこなう目的で、公衆の前で人を勧誘する者は、1 日ないし 6 日の禁固、 および3000 リエルないし 10000 リエルの罰金に処せられる。 未成年者は本法に定める罰則を免除される。 第25 条 売春斡旋の定義 本法にいう売春斡旋とは以下のことをさす。 カンボジア統一資料 6

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1 他人との買春で利益を得ること 2 他人との買春を援助し擁護すること 3 売春をおこなうことを目指す者を募集し、誘導し、訓練すること 4 人が買春夫(婦)となるよう圧力をかけること 以下の行為は売春斡旋と同じ行為とみなす。 1 買春に従事する者と他人との買春から私利をはかり、利得を得る者との間の仲立ち をとること 2 勧誘から得た利益であることを知りながら、その利得を搾取したり、隠ぺいすること 3 買春に従事する者または買春に従事する危険性を持っている者のために、公的機関や 権限を与えられた私的な組織が実施する防止、援助、再教育を妨害すること 第26 条 買春斡旋 買春を斡旋する者は、2 年ないし 5 年の禁固に処せられる。 第27 条 加重買春斡旋 買春を斡旋する者は、以下の場合に5 年ないし 10 年の禁固に処せられる。 1 合法違法を問わず、買春夫(婦)の実の親または養い親である者が買春の斡旋者や斡旋 の中心になっている場合に、その者によって斡旋がおこなわれる場合 2 買春夫(婦)に対する影響力を悪用する買春を斡旋する者やその中心にいる者が斡旋を おこなう場合 3 買春の斡旋をおこなう者やその中心にいる者が、買春夫(婦)に対して暴力や脅迫をお こなう場合 4 買春の斡旋が組織によっておこなわれる場合 5 買春の斡旋が数人によっておこなわれる場合 第28 条 児童買春の斡旋 買春斡旋者は買春夫(婦)が未成年者の場合、7 年ないし 15 年の禁固に処せられる。 本章の規定の「買春」は、本条の1 項に定める違反行為に適用する場合には、「児童買春」 に置き換えるものとする。 第29 条 拷問による買春の斡旋 買春を斡旋する者およびその中心にいる者が、買春夫(婦)に対する拷問または暴力的行為 を行う場合には、10 年ないし 20 年の禁固に処せられる。 第30 条 買春の管理 直接または間接的に、買春を管理、搾取、運営、営業をおこなう者は、2 年ないし 5 年の 禁固に処せられる。 第31 条 買春をおこなう施設の管理 人は以下の場合に、2 年ないし 5 年の禁固に処せられる。 1 他人が施設やその隣接で買春を楽しむことを受け入れたり、甘受する場合 2 他人が施設やその隣接で買春をおこなう目的で顧客を探すことを受け入れたり、甘受 カンボジア統一資料 7

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する場合 第32 条 買春のための場所の提供 買春の目的のために利用されることを知りながら、公衆に利用されていない場所を他人 に売ったり、利用させる者は、2 年ないし 5 年の禁固に処せられる。 第33 条 児童買春にかかわる罪 30 条、31 条、32 条に定める罪を犯す者は、児童買春の罪を犯した場合、7 年ないし 15 年の禁固に処せられる。 本条の1 項に定める罪の場合、本章の規定にある「買春」は「児童買春」と読み替える。 第34 条 児童買春 15 歳以上の未成年者に対価を提供し、または対価を提供する約束をして性交または性的 行為をおこなう者、仲介者、両親、その他の児童を管理下に置く者は2 年ないし 5 年の禁 固に処せられる。 15 歳未満の者と上記の罪を犯す者は、7 年ないし 8 年の禁固に処せられる。 第35 条 児童買春の勧誘 児童買春を仲介する目的で、他人を児童買春に勧誘したり、児童買春を宣伝する者は、2 年ないし5 年の禁固、および 400 万リエルないし 1000 万リエルの罰金に処せられる。 営業として上記の罪を犯す者は、5 年ないし 10 年の禁固に処せられる。 第36 条 児童買春に関連する条件付きローン 未成年者が児童買春に従事することを条件に、他人に金銭の貸付やなんらかの価値のあ るものを提供する者は、5 年ないし 10 年の禁固に処せられる。 未成年者が児童買春に従事することを条件として、当該児童に金銭の貸付やなんらかの 価値あるものを提供する者は、本条1 項と同じ罰則に処せられる。 第37 条 児童買春の契約 児童が買春に従事する契約を他人と締結する者は、5 年ないし 10 年の禁固に処せられる。 買春に従事する契約を当該児童と締結する者も、本条1 項と同じ罰則に処せられる。 第9 章 最終規定 第50 条 法律の廃止 先に制定された誘拐、人身売買および人の搾取の取り締まりに関する法律は、本法によ って廃止される。 本法の規定に矛盾している他の法令は、効力を失う。 第52 条 本法の施行 本法は公布後ただちに施行する。 2008 年 2 月 15 日 宮廷 ノロドム・シアモニ 出典:香川孝三『グローバル化の中のアジアの児童労働 国際競争にさらされる子どもの 人権』(明石書店, 2010) 216, 219-222 頁 カンボジア統一資料 8

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児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(抜粋) (平成十一年五月二十六日法律第五十二号) 最終改正:平成二三年六月二四日法律第七四号 (目的) 第一条 この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害する ことの重大性にかんがみ、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童 買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な 影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護すること を目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。 2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又 はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又 は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同 じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をするこ とをいう。 一 児童 二 児童に対する性交等の周旋をした者 三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するもの をいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者 3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計 算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物で あって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法 により描写したものをいう。 一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態 二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿 態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの 三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するも の (適用上の注意) 第三条 この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなけ ればならない。 カンボジア統一資料 9

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(児童買春) 第四条 児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。 (児童買春周旋) 第五条 児童買春の周旋をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、 又はこれを併科する。 2 児童買春の周旋をすることを業とした者は、七年以下の懲役及び千万円以下の罰金に 処する。 (児童買春勧誘) 第六条 児童買春の周旋をする目的で、人に児童買春をするように勧誘した者は、五年以 下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 2 前項の目的で、人に児童買春をするように勧誘することを業とした者は、七年以下の 懲役及び千万円以下の罰金に処する。 (児童買春等目的人身売買等) 第八条 児童を児童買春における性交等の相手方とさせ又は第二条第三項各号のいずれ かに掲げる児童の姿態を描写して児童ポルノを製造する目的で、当該児童を売買した者は、 一年以上十年以下の懲役に処する。 2 前項の目的で、外国に居住する児童で略取され、誘拐され、又は売買されたものをそ の居住国外に移送した日本国民は、二年以上の有期懲役に処する。 3 前二項の罪の未遂は、罰する。 (児童の年齢の知情) 第九条 児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、第五条から前条 までの規定による処罰を免れることができない。ただし、過失がないときは、この限りで ない。 (国民の国外犯) 第十条 第四条から第六条まで、第七条第一項から第五項まで並びに第八条第一項及び第 三項(同条第一項に係る部分に限る。)の罪は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)第三 条 の例に従う。 (両罰規定) 第十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法 人又は人の業務に関し、第五条から第七条までの罪を犯したときは、行為者を罰するほか、 その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。 (国際協力の推進) 第十七条 国は、第四条から第八条までの罪に係る行為の防止及び事件の適正かつ迅速な 捜査のため、国際的な緊密な連携の確保、国際的な調査研究の推進その他の国際協力の推 進に努めるものとする。 カンボジア統一資料 10

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<参考文献(順不同)>

 ILO 駐日事務所ホームページ

http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/ipec/facts/worst_forms/4pr ostitu/01.htm (2013 年 10 月最終アクセス)

 JICA「カンボジア王国貧困プロファイル調査(アジア) 最終報告書」(2010) p. 3,10  ADB(アジア開発銀行), Asian Development Outlook 2013, p. 218-221

 松尾弘「カンボジア王国の司法アクセスの状況に関する調査研究」報告書(2013)  四本健二「カンボジアにおける社会問題と法-トラフィッキング取締法制の展開を中 心に-」(2004)  甲斐田万智子「カンボジアにおける子どもの性的搾取と人身売買―グローバル化する 暴力と国際社会の役割」平和研究,31 巻(2006)  前川実『カンボジアのトラフィッキング防止に向けた取り組みの実態』国際人権ひろ ば No.64, 2005 年 11 月号, アジア太平洋の窓 http://www.hurights.or.jp/archieves/newsletter/section2/2005/11/post-193.htm l (2013 年 10 月 27 日最終アクセス)  アメリカ国務省「人身売買報告書」 http://www.state.gov/j/tip/rls/tiprpt/index/html (2013 年 11 月 1 日最終アクセ ス)  UNICEF「人身売買に関する世界初の地域内合意が結ばれる」 2004 年 http://www.unicef.or.jp/library/press_00_29.html (2013 年 11 月 1 日最 終アクセス)  香川考三『グローバル化の中のアジアの児童労働 国際競争にさらされる子どもの人 権』(明石書店, 2010)  甲斐田万智子「カンボジアにおける子どもの性的搾取と人身売買―グローバル化する 暴力と国際社会の役割」平和研究 第31 号 グローバル化と社会的「弱者」(2009) 113, 115 頁  島崎裕子「カンボジア農村における構造的暴力と人身売買」早稲田大学大学院アジア 太平洋研究科博士学位論文 (2009) 53-57 頁

 Millennium Development Indicators

http://mdgs.un.org/unsd/mdg/Data.aspx (2013 年 10 月最終アクセス)

 統 計 局 ホ ー ム ペ ー ジ, カ ン ボ ジ ア 2008 年 人 口 セ ン サ ス : 総 務 省 統 計 局 , www.stat.go.jp/info/meetings/cambodia/census08.htm (2013 年 10 月最終アクセス)  Council for the Development of Cambodia

http://www.cambodiainvestment.gov.kh/ja/list-of-sez.html (2013 年 11 月 4 日最終ア クセス)

 道法清隆『ジェトロのカンボジア事業と進出日系企業について』(2010) 他多数

参照

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