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グリーン庁舎計画指針の活用の検証―グリーン庁舎事例における計画設計過程の考察 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)グリーン庁舎計画指針の活用の検証 グリーン庁舎事例における計画設計過程の考察. 永山 綾子. 1.はじめに. 段階で、3つのシートを用いて庁舎のLCCO2 削減率や環境配.  建築設計における環境負荷低減の取組みが不可欠となっ. 慮度合が確認され、目標が未達成の場合はフィードバック. た現在、国内外の様々な機関が環境配慮型建築の設計指針. し、対策を練り直すという計画フローが取られる。. と評価システムを構築している。庁舎建築に対する設計指.  3つのシートについて概説すると、1つ目のグリーン化技. 針として、1998年に国土交通省大臣官房官庁営繕部(当時、. 術選定シートは基本計画段階以前に利用するシートであ. 建設省)によって策定された「環境配慮型官庁施設計画指. る。まず、7 つのエネルギー消費原因別に対策レベルを設. 針」 (以下、グリーン庁舎計画指針)はわが国で最も早期に. 定し、これに応じたグリーン化技術の導入メニューが選定. 策定され、その内容は地方自治体や民間設計事務所の設計. される。さらに、その対策レベルによってLCCO2 及びLCCが. 指針のモデルとなったと考えられる。. 簡便に算定される。2 つ目はグリーン庁舎チェックシート.  本研究では、まずグリーン庁舎計画指針に基づいて整備. で、基本計画における定性的評価と基本設計、実施設計段. された24のグリーン庁舎の評価事例を比較分析し、グリー. 階のグリーン化指標が記入される。定性的評価は26の技術. ン庁舎計画指針の効果と環境配慮型建築デザインの傾向を. 細目別に 0,1,2 点の配慮度合が自己評価され、最終的に 7. 考察する。次いで、九州地方整備局営繕部が計画を行ったグ. つの大項目別に10点を満点とした得点化が行われる。ここ. リーン庁舎である 2 つの事例を対象として、計画及び設計段. では項目別の配慮度と項目間のバランスが判断される。3. 階における会議資料とヒアリング調査をもとに計画設計過程. つ目は LCCO2 計算法(庁舎版)で、官庁施設向けに簡便化. におけるグリーン庁舎計画指針の活用を検証する。. して開発された手法である。初期の簡易算定による LCCO2. 2.グリーン庁舎計画指針の評価構造. 削減目標の達成可能性を確認するもので、基本設計の最終.  グリーン庁舎は、LCCO2 を主な評価指標としており、こ. 段階で利用される。LCCO2 に加えてLCCも簡易算定され、費. れに加えて環境配慮の度合が定性的・定量的に評価されて. 用対効果が把握できるようになっている。以上より、グ. いる。具体的には 3 つのシートが用意されており、基本設. リーン庁舎計画指針では、①グリーン化技術の選定と評. 計終了までのプロセスで利用される(図 1)。プロセスの各. 価、② LCA による定量評価の 2 つの評価によってグリーン 庁舎の計画・設計が確認される(図 2)。. START. 3.グリーン化技術の選定と評価. 建設地、建物用途、 規模、形状等.  グリーン化技術の導入は、グリーン化技術選定シートと グリーン庁舎チェックシートを用いて検討される。ここで. 建築・設備種目. 環境負荷低減 目標値の設定. LCCO2及びグリーン配慮度の 大まかな目標値を想定する. 環境負荷低減 技術の選定. 環境負荷低減技術の選定における検討プロセス. 目標値のクリア コストの妥当性. は、最終的な技術導入の結果が示されるグリーン庁舎 チェックシートの配慮度合評価を分析する。このシートは. no. 「グリーン化技術選定シート」により、 想定した目標を達成可能な技術の組み合 わせを選定する。. グリーン化技術の選定と評価. yes.  グリーン化技術選定シート. 環境配慮度合の確認. no. Aシート A1 A2. 「グリーン庁舎チェックシート」により、 配慮度合を確認し、十分な環境配慮がな されているか検証する。. A3. A4. A5 の5種. Bシート B1 B2∼B5 の2種のシート. yes. 基本設計. LCAの結果検証における検討プロセス LCCO2の計算. no.  グリーン庁舎チェックシート. 「LCCO2 計算法(庁舎版)」により、 LCCO2削減目標を達成できていること を確認する。. 技術選定. 定性的評価. yes. 配慮度合 実施設計. END. 0,1,2点 で採点. 注:「グリーン庁舎計画指針及び同解説」 P13 計画フロー図を参照し、筆者が加筆. 図 1  グリーン庁舎の計画フロー図.  グリーン化技術選定シート A6合計シート A1∼A5の対策レベル. 対策レベルの設定. 環境配慮度合の結果検証における検討プロセス 十分な環境配慮が なされているか. L C A による定量評価. ×. 換 算 係 数. =. 10点満点 表示. 標 準 モ デ ル か ら の 削 減 率. B8合計シート B1∼B5の対策レベル B1∼B7に庁舎規模を反映 LCCO 2 削減率. LCC 削減率. を表示.  LCCO2計算法(庁舎版) 運用 維持管理 新築・建替・修繕・改修・廃棄 設計監理. LCCO 2 削減率. LCC 削減率. 図 2  シートによる技術選定・評価の仕組み. 28-1. Cシート. LCCO 2 LCC 算出表 を表示.

(2) 表 1  グリーン庁舎 2 4 事例の概要と環境配慮度合のグリーン化指針項目別得点 ID. 建物名称. 管轄区. 建物状況 気候区 階数 竣工年度 敷地面積 建築面積 延床面積 分 (㎡) (㎡) (㎡) 地上 地下. 構造. 環境配慮度合い 省エネ・省資源 周辺環 長寿命 自然エネ 境 負荷抑制 有効活用 ルギー. シートの有無 エコマ テリア ル. 適正使 用・適 正処理. 平均. グリーン化 LCCO2・LCC 技術選定 算出表 シート. 1 C庁舎第2号館低層棟. 関東. 標準. 2003. 85,661. 293. 10,702. 0. 4. SRC. 5.0. 6.3. 5.0. 5.8. 6.7. 5.0. 6.7. 5.8. ○. 2 K合同庁舎. 北海道. 寒冷. 2000. 13,846. 4,478. 25,336. 9. 1. SRC. 6.7. 6.3. 6.7. 6.7. 5.0. 6.3. 6.7. 6.3. ―. ○. 3 A合同庁舎(Ⅰ期). 北海道. 寒冷. 2004. 8,380. 2,025. 13,317. 6. 1. SRC. 6.7. 7.5. 6.7. 7.5. 6.7. 6.3. 6.7. 6.8. ―. ○. 4 H税務署. 北海道. 寒冷. 2003. 7,084. 1,452. 4,059. 4. 0. RC. 6.7. 7.5. 6.7. 5.8. 6.7. 6.3. 6.7. 6.6. ―. ○. 5 A税務署. 北海道. 寒冷. 2004. 3,578. 1,068. 2,485. 3. 0. RC. 6.7. 6.3. 6.7. 5.8. 6.7. 6.3. 6.7. 6.4. ―. ○. 6 H合同庁舎. 東北. 寒冷. 2002. 3,088. 952. 4,634. 5. 1. RC. 5.0. 5.0. 8.3. 6.7. 6.7. 6.3. 6.7. 6.4. ○. ○. 7 T合同庁舎. 東北. 寒冷. 2003. 5,622. 1,141. 6,383. 5. 1. RC. 5.0. 7.5. 6.7. 6.7. 6.7. 6.3. 6.7. 6.5. ○. ○. 8 F税務署. 東北. 寒冷. 2003. 2,577. 654. 1,887. 3. 0. RC. 5.0. 6.3. 5.0. 6.7. 5.0. 5.0. 6.7. 5.7. ○. ○. 9 I合同庁舎. 関東. 寒冷. 2001. 3,517. 836. 4,082. 5. 1. SRC. 5.0. 6.3. 6.7. 8.3. 5.0. 6.3. 6.7. 6.3. ―. ○. 10 K研究所Y新庁舎. 関東. 標準. 2003. 15,418. 1,610. 4,810. 3. 0. RC. 6.7. 7.5. 10. 7.5. 8.3. 6.3. 8.3. 7.8. ○. ○. 11 K税務署. 関東. 標準. 2004. 1,698. 888. 4,188. 5. 0. RC. 8.4. 7.5. 6.7. 7.5. 8.3. 8.8. 8.3. 7.9. ―. ○. 12 T貨物検査場. 関東. 標準. 2004. 19,934. 3,972. 2. 0. S. 5.0. 5.0. 8.3. 5.8. 6.7. 6.3. 5.0. 6.0. ―. ○. 13 N合同増築棟〈事業中〉. 関東. 標準. 2005. ―. 936. 6,752. 7. 1. SRC. 1.7. 6.3. 8.3. 6.7. 6.7. 8.8. 8.3. 6.7. ○. ○. 14 O合同庁舎. 中部. 標準. 2001. 5,850. 2,344. 11,306. 7. 1. SRC. 6.7. 7.5. 8.3. 8.3. 8.3. 6.3. 8.3. 7.7. ○. ○. 15 K合同庁舎〈事業中〉. 中部. 標準. 2004. 4,414. 1,783. 6,859. 6. 0. RC. 5.0. 7.5. 5.0. 7.5. 5.0. 6.3. 6.7. 6.1. ○. ○. 16 T合同庁舎. 近畿. 標準. 1999. 3,770. 978. 2,883. 4. 0. RC. 5.0. 6.3. 6.7. 6.7. 6.7. 6.3. 6.7. 6.3. ○. ○. 17 R税務署. 近畿. 標準. 2003. 1,393. 628. 2,955. 6. 0. RC. 5.0. 6.3. 6.7. 8.3. 6.7. 6.3. 6.7. 6.5. ○. ○. 18 O貨物検査場. 近畿. 標準. 2003. 16,529. 1,189. 1,871. 2. 0. S. 3.3. 5.0. 5.0. 2.5. 5.0. 3.8. 5.0. 4.2. ○. ○. 19 T海上保安署. 中国. 標準. 2003. 1,387. 403. 741. 2. 0. RC. 6.7. 6.3. 5.0. 6.7. 10. 6.3. 8.3. 7.0. ―. ―. 20 S合同庁舎. 四国. 標準. 2003. 2,704. 10,541. 3,802. 4. 0. RC. 5.0. 7.5. 6.7. 8.3. 6.7. 5.0. 5.0. 6.3. ○. ○. 21 T合同庁舎 A棟〈事業中〉. 四国. 標準. 2006. 6,390. 3,002. 29,847. 14. 2. S. 8.4. 8.8. 10. 7.5. 6.7. 8.8. 6.7. 8.1. ○. ○. 22 N合同庁舎. 九州. 標準. 2000. 4,765. 1,000. 3,512. 4. 0. RC. 5.0. 6.3. 6.7. 7.5. 5.0. 5.0. 6.7. 6.0. ○. ○. 23 M合同庁舎. 九州. 温暖. 2003. 5,610. 1,077. 7,156. 8. 0. SRC. 5.0. 7.5. 6.7. 7.5. 5.0. 6.3. 6.7. 6.4. ○. ○. 24 N第2合同庁舎(Ⅰ期) 沖縄 温暖 2003 22,437 2,158 10,547 4 0 RC 6.7 7.5 6.7 9.2 8.3 5.0 ※1:面積の―はチェックシートに記載がなかったものを示す。※2:気候区分は「建築設計基準」解説の資料5に基づき寒冷地、標準地、温暖地の3区分となっている。 ※3:チェックシートは24庁舎全てのものを保有している。その他のシートについて、シートの有無の○は有り、―は無しを示す。. 8.3. 7.4. ○. ○. ―. 24 のグリーン庁舎全てで入手できた。まず、26 の細目別に 項目. グリーン化技術の導入事例をみると、全体的な傾向として. 周辺環 境への 配慮. 特定の項目に偏って導入するのではなく、全ての項目に対 して広く採用されていると言える。項目別では、負荷の抑. 負 荷 の 抑 制. 制、長寿命、エコマテリアル、適正使用・適正処理で全ての 項目が23または24の事例で配慮されており、技術導入の容易. 運 用 段ギ 自 階ー 然 の利 エ ネ 省用 ル エ ネ ・ 省資 資源 エ 源の ネ ル 有 ギ 効ー 活 ・ 用. 性もしくは不可欠な配慮項目として認識されている(図 3) 。  さらに、項目別に配慮度合の得点分布をみると、1 点の 標準対策が大半を占める細目が確認できる。特に周辺環境 の配慮、エコマテリアル、適正使用・適正処理の細目で多 く、グリーン化技術が広く導入されているが、その内容は 標準的なものに止まる傾向が強いと考えられる。一方、2点. 細目. 採用事 配慮度合の導入事例数 例数 0 5 10 15 20 25. (1)地域生態系 保全 (2)都市気候緩 和、地下水涵養 (3)周辺環境の 汚染防止 (1)外壁・屋根・床 の断熱 (2)窓の断熱・日 射の遮蔽 (3)局所空調・局 所排気. 19. (4)無駄の回避. 24. (1)自然採光. 24. (2)自然通風. 21. 19. 21. 10. 24. 23. (2)負荷平準化. 19 24. (6)最適運用. 23. 24 22. 3. 24 24. 14 20. 4. 20. 4. 3. 24 24 24. 21 20. 3. 20. 1. 22. 1. 23 11. 1 4. 16. 20. 23 23. 5. 18. 16. (3)搬送エネル ギーの最小化 (4)照明エネル ギーの最小化 (5)水資源の有 効活用. 24. 11. 13. 23. 23. 4. 21. 21. (3)自然エネル ギー利用 (1)エネルギーの 効率的利用. 22. 5. 17. 23. 項目. 21. 20 23 24. 13 3. 24 23. 採用事 配慮度合の導入事例数 例数 0 5 10 15 20 25. 細目 (1)ゆとりの確保. (2)建築材料の 合理的耐久性 (3)設備材料の 合理的耐久性 (1)低環境負荷 材料 エコマ (2)熱帯材型枠 テリア の使用合理化 (3)副産物・再生 ル 資源の活用 (4)解体容易な材 料・工法 (1)廃棄物の削 適正使 減 (2)建設副産物の発 用・適 生抑制・再資源化 正処理 (3)ノンフロン化・ フロン回収 長寿命. 配慮度合. ○. 22. 24 19. 4. 24 24 24. 2. 24. 14 21. 19 24. 6 6. 10. 21 24. 18 18 22. 21. 24. 8. 16. 24. 23. 10. 13. 24. 2. 20. 3. 19 20. 5. 23 23 24 24. 1点: 項目が適切に達成(標準) 2点: コンセプトとして配慮. 注1 技術採用事例数は、24のグリーン庁舎のうち、細目に対 して1つ以上の例示技術を採用している事例の数を示す。 注2 配慮度合の導入事例数は、24のグリーン庁舎のうち、配 慮度合の得点が1点もしくは2点とした事例の数を示す。 注3 技術選定シートとの対応は、グリーン化技術選定シート のレベル設定における検討内容と細目で特に関係があると思 われるものとの対応を表す。また、B1∼B5シートの長寿命へ の対応は建替50年、100年という大まかな内容であるため除 く。. 図 3 グリーン化技術の採用事例数と配慮度合の得点別事例数. の割合が大きい細目は、自然採光、搬送エネルギーの最小 化、照明エネルギーの最小化、ノンフロン化・フロン回収. く、延床面積に関係なく事例によって削減率が大きく異. の 4 つで突出している。この 4 つの細目は例示技術が浸透. なっている。また、全体的な傾向として、寒冷地や温暖地. し、積極的に取組まれていると言える。また、省エネ・省. の庁舎で高い削減効果を示している。次に、LCC をみると. 資源と長寿命の項目では 1 点及び 2 点が半数ずつ分布して. 寒冷地では全ての事例で5%以上の削減率を達成している。. いる細目が相対的に多く、これらの技術によってグリーン. グリーン庁舎の LCC02 および LCC 削減率は寒冷地や温暖地. 庁舎の対策度が差別化されていると考えられる。. で大きな効果が得られている。一方、標準地の庁舎は特に. 4.LCA による定量評価の検証. LCCO2 において5%∼15%に止まっており、削減効果は事例. 4-1 LCCO2 及び LCC 削減率と庁舎規模. によって差異が大きい結果となっている。.  グリーン庁舎計画指針では標準モデル(従来水準)から. 4-2 初期算定と最終段階の LCCO2 及び LCC 削減率の比較. の削減率を LCCO2 で約 30%、LCC で5%の削減が可能である.  初期の簡易算定と LCCO2 計算法による算定の両方の資料. としており、グリーン庁舎の目標値として考えられる。基. を保有している 16 庁舎を対象に、初期段階と最終段階の. 本設計終了時の最終的なLCAを行っている23のグリーン庁. LCCO2、LCC 削減率を比較した。両者の削減率の差を取り、. 舎を対象とし、LCCO 2 と LCC の削減率の分布を考察する。. その増減をみると、①初期よりも最終のほうが高い削減効. LCCO2 削減率では 30%以上の削減は 3 事例と少なく、指針. 果となっている事例、②削減効果が減少している事例の相. の目標値は大半の事例で未達成となっている。一方、LCC. 反する 2 つの結果が得られた。その増減の値は LCCO2 では. の削減率では 5%以上は 15 事例である。また、図 4、図 5 に. 23%減少から13%増加、LCCでは4%の減少から6%の増加. 示すように LCCO 2 、LCC 削減率と庁舎規模との相関は小さ. と大きな幅がある(表 2)。LCCO2 削減率において 10%以上. 28-2.

(3) 表 2 グリーン化技術選定シートに対する LCCO 2 計算法での LCOO 2 及び LCC 削減率の増減. の大幅な効果減少があった3事例は、初期の削減率が22%、 26%、29%となっており、他の事例に比べ極めて高い削減. 削減効果. 目標が設定されていた。LCC でも同様に、初期段階で高い. LCCO2削減率の増減 -15%未満 -15∼-5% -5∼+5% +5∼+15% +15%以上. 目標値を設定していた事例が削減率を大きく減少させる結 果となっている。最終段階の方が高い削減率となる事例で. 計. 事例数. 3. 4. 5. 4. 0. 16. LCC削減率の増減. -5%未満. -5∼-1%. -1∼+1%. +1∼+5%. +5%以上. 計. 事例数 0 5 5 5 1 16 注:LCCO2削減率の増減 = 最終段階のLCCO2削減率 − 初期段階のLCCO2削減率   LCC削減率の増減 = 最終段階のLCC削減率 − 初期段階のLCC削減率. は、初期の削減率が低く設定された事例だけでなく、平均. (LCCO2計算法による). (グリーン化技術選定シートの簡易算定による). よりやや高い削減目標からさらに効果を上乗せした事例も 識されていたと考えられる。. みられた。このように 2 段階の LCCO2 削減率の算定は、事 例によって初期の削減率の位置づけが異なっており、計画. (2 )グリーン化技術の選定:計画設計業務が始まるとグ. フローにおける目標値の設定と初期の簡易算定の意義を再. リーン化技術に関する協議は、機械設備担当が中心となっ. 認識する必要があると言える。. ている。これは、LCCO2 の発生割合の大きい空調や照明な. 5.グリーン庁舎事例の計画設計過程. どのグリーン化技術を機械設備が担当しているためであ.  九州圏のグリーン庁舎事例であるN庁舎とM庁舎について. る。初期のグリーン化技術の検討は、計画指針に掲載され. 国土交通省九州地方整備局へのヒアリング調査と計画及び. ている全ての技術に対して、個別に導入の判断がされてお. 設計段階の会議資料を分析し、計画設計過程を考察する。. り、チェックシートの役割を果たしている。. 5-1 組織体系.  一方、グリーン庁舎チェックシートの作成は、全ての技.  九州地方整備局営繕部では建築物の整備にあたり、計画. 術の個別導入判断後に行われており、計画指針のフローの. 課、建築課、設備課の機械設備、電気設備の 4 つの担当に. ように配慮度合の検証が技術選定全体の再検討に活用され. 分かれて計画設計が進められる。基本及び実施設計は設計. ていない。この理由は、シートを作成するためには計画設. 事務所に業務を委託するため、設計事務所との担当別の協. 計全体を把握することが求められるが、その立場にあるの. 議が中心であり、設計の発注と取りまとめ時に総合的な検. が設計事務所の担当者であり、計画設計の総括者として、. 討が行われる。担当者レベルでの決定事項は、課内協議、部. 全体のバランスを検証する立場にいないこと、また、技術. 内協議及び決議によって合意が得られている(図 6)。 . 選定は個別に判断されており、初期の段階での技術選定の. 5-2 グリーン庁舎の技術選定過程. 全体の方針、高い配慮度合を目指す重点技術の選定といっ た検討が不足していることが挙げられる(図 7、図 8)。. (1)環境負荷低減目標値の設定:最初に、計画担当によっ て建設地の検討と取得が行われ、建築、設備担当と協議、国.  以上の考察から、グリーン庁舎における目標設定と技術. 土交通省と調整の結果、予算要求書が作成される。ここで. 選定の関係をまとめる。グリーン庁舎計画指針の計画フ. は、太陽光発電や雨水利用といった主要なグリーン化技術. ローでは、LCCO2 削減率を目標値として、グリーン化技術の. についての予算が申請されている。続いて、グリーン庁舎. 選定を行い、目標達成可能な技術の組合わせが検討されて. 計画指針の計画フローでは LCCO2 とグリーン配慮度の目標. いる。つまり、技術選定と各技術の配慮度合で目標が達成. 値を設定することとなっている。九州地方整備局では、庁. されない場合は、再検討が行われるプロセスである。しか. 舎別の目標設定ではなく、九州のグリーン庁舎で共通の目. し、実際の技術選定では各技術が個別に検討されており、. 標として、LCCO2 削減率 10%、グリーン配慮度 7 点が定め. 技術選定全体の方針を決定する目標設定となっていないこ. られていた。竣工時の評価による LCCO2 削減率は、N庁舎が. とが分かった。これは、LCCO2 削減率を目標とすることと、. 8%、M庁舎が12%であり、グリーン庁舎計画指針の目標値. さらに目標値を 30%とすることに問題があったと言える。. である30%の削減率は極めて高いレベルの目標値として認. そのため、技術選定シートの対策レベルは実際の技術選定. 標 寒 温. 準 冷 暖. グリーン庁舎計画指針の 最大限適用による削減効果. 40% 35%. 12%. 九州地方整備局 営繕部 計画課. 計画担当. 建築課. 建築担当. 設備課. 機械設備担当. 技術・評価課. 電気設備担当. 協 議. 10%. 25% 20% 15% 10%. 8%. 5%. 6% 4%. 設計 事務所. 2%. 5% 0% -5% 0. 準 冷 暖. 14%. 30% LCC削減率. LCCO 2削減率. 30%. 標 寒 温. 0% 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 -2% 0 延床面積(㎡). 図 4 LCCO2 計算法における LCCO2 削減率. 保全指導・監督室. 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 延床面積(㎡). 図 5 LCCO 2 計算法における LCC 削減率. 28-3. 図 6  九州地方整備局営繕部の組織と 建築物の整備における協議体勢(設計段階).

(4) 年度 月 段階. 12 企画・計画段階 予 算 要 求 資 料. 平成13年度 5. 6. 7. 8. 委託業務  発注段階. 現地調査 入所官署との調整. 9. 基本設計段階. 基 本 計 画 書. 基  本及 設び 計検 書討 資 (案) 料. 10. 内容. グリーン庁舎 として整備. 12. 実施設計段階. 基  本及 設び 計検 書討 資 料. 作成. 太陽光発電 雨水利用の要 求. 平成14年度 11. ・採用可能な グリーン化技 術の選定 ・グリーン化 技術の具体的 提案及び確認. 1. 2. 3. 工事発注段階. 4. 平成15年度 10. 施工段階. 11 引越し. 12. 1 運用  段階. 基 本 設 計. 建築. 機械設備. 構造. 電気設備. 個別技術の採用有無の検討 技 術 選 定 シ ー ト. チ ェ ッ ク シ ー ト. チ ェ ッ ク シ ー ト. (積算) 代替提案の検討 コスト削減策の検討. ・グリーン化 技術の採用決 定 ・基本設計段 階での配慮度 合の確認. 資料作成者. 計画課. 設備課. 設計事務所. 主な協議者. 設備課. 建築課. 設備課. LCCO2. 作成資料. 平成12年度. 算 出 表. 竣工段階の提案で、 汚泥処理の再利用が 行われた. 入居官署 ・検察庁 ・法務局 ・税務署 ・労働基準監督署 ・公共職業安定所 ・農政局. 実施設計完了 段階での配慮 度合及び LCCO2削減率 の確認. グリーン庁舎 チェックシート の配慮項目. 設計者取りまとめ. 採用技術の決定 実 施 設 計. 配置. 高炉セメント. 雨水. 構造. 建築. チェックシート作成. 照明. 空調. 機械設備. 太陽光. 電気設備. 個別技術の配慮度合の検討 固有条件への対応の検討. 採用技術の確定. 及び. 配慮度合の確認 チェックシート作成. 図 7  M 庁舎の整備工程と主要な作成資料. 図 8  M 庁舎の技術選定の検討過程. では有効に機能していない。一方、グリーン庁舎チェック. 6.まとめ. シートは具体的な技術が例示されているため、初期段階で. (1)24 のグリーン庁舎を対象として、①グリーン化技術の. 検討する技術項目のチェックシートとして活用されている。. 選定と評価、② LCCO2 削減率及び LCC 削減率の定量評価に. 5-3 M 庁舎におけるグリーン化技術の導入検討. ついて比較考察した。まず、グリーン化技術導入の全体的.  グリーン庁舎事例の計画設計はグリーン化技術の個別の. な傾向として7つの項目で広く取り組まれていることを示. 検討が中心であるため、庁舎の規模や地域性といった固有. した。しかし、自己評価による環境配慮度合の得点分布は、. 条件への対応が技術別に判断されている。M 庁舎では、太. 特定の配慮度合に偏る傾向が強く、対策技術レベルが平準. 陽光発電、雨水利用、木材、石材の活用、汚泥処理の再利. 化傾向にあることが指摘できる。グリーン庁舎の差異は個. 用の 5 つの技術で固有の条件への対応が確認できた。この. 別技術の採用ではなく、その組み合わせであり、このため. うち特に担当者レベルを超えた総合的な検討過程を要した. の指針と評価が必要であると言える。. 3 つの技術について検討過程を考察する。. (2)LCCO2 の削減効果では指針の目標値である 30%削減を. (1)太陽光発電:太陽光発電は主要なグリーン化技術とし. 達成しているのは3つの事例のみであった。2段階の削減率. て予算計上されている。M 庁舎では、設置方向に関して受. 評価は、初期に対して最終の削減率が減少傾向にあるもの. 光面効率、対外アピール性、メンテナンス性を考慮し、東. は、高い目標設定から削減率を落としており、逆に増加傾. 側塔屋垂直面での設置が計画された。その後、実施設計段. 向にあるものは、平均値レベルの設定からさらに削減を. 階で担当者以外の整備局営繕部職員の提案により、景観を. 図っていることが明らかとなった。このように初期の削減. 考慮した設置角度及びコスト削減のため発電出力を低減に. 率の位置づけは事例によって異なっており、その意義を再. ついて、担当者レベルでも再検討された。その結果、電気. 認識する必要性を指摘した。. 室の影等、発電の障害になる要素があり、最終的には垂直. (3)N 庁舎、M 庁舎のグリーン庁舎計画設計の過程を考察し. 面にルーバー状に傾斜をつけて設置された。また、発電出. た。技術選定シートでは、LCCO2 削減率の目標設定を行うが、. 力についても、予算と屋上への収まりの問題から、当初よ. 実際のグリーン化技術の選定では個別に導入の判断がなさ. り半減することとなった。. れているため、全体の方針を決定する目標設定として有効. (2)雨水利用:太陽光発電と同様に予算申請され、便所洗. に機能していないことを指摘した。また、LCCO2 削減率30%. 浄水への使用で計画が進められた。実施設計段階に入り、. を目標値としていることにも、その原因があると言える。一. 桜島の降灰の影響を考慮し、その取止めが検討された。し. 方、グリーン庁舎チェックシートは具体的な技術が例示さ. かし、当初の雨水処理の計画にろ過装置を加え、さらに初. れているため、初期段階で検討する技術項目のチェック. 期雨水5mmを排除するように弁切り替え制御を自動で行う. シートとして活用されていた。また、グリーン化技術自体は. ことで降灰対策を図っている。. 標準化している傾向にあるが、その導入過程では、地域性や. (3)木材(自然材料) :デザインコンセプトとして、また地. 建設地が持つ独自の条件との整合が図られていた。環境配. 元産材活用の要望もあり、玄関ホールや造り付家具等に可. 慮型建築物を計画する上では、規模条件を考慮した技術の. 能な限り木材を利用することが計画された。一方、街に賑. 組合わせの判断、周辺状況を把握する地域との連携が不可. わいを創出することを目的とし、南東部の交差点側にガラ. 欠であることを明らかにした。. ス張りの階段室及びエレベーターを配置する計画がなされ. 注 1:運用エネルギー以外のエネルギー消費を対象とする B シートは、対策レベルを具 体的な技術と対応させるのが難しいため、考察の対象から除外した。 参考文献:「グリーン庁舎計画指針及び同解説」国土交通省大臣官房官庁営繕部監修. た。その日射対策として、木材が階段室の手すり部分に用 いられ、地元産材が意匠面でも効果的に活用されている。. 謝辞 グリーン庁舎の資料分析、ヒアリング調査にあたり国土交通省大臣官房官庁営繕 部及び九州地方整備局営繕部の協力を頂きました。記して、感謝致します。. 28-4.

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