建設工事における IRI の適用性について
㈱高速道路総合技術研究所 道路研究部 舗装研究室 正会員 ○江口 利幸
㈱高速道路総合技術研究所 道路研究部 舗装研究室 正会員 田中 裕士
1.はじめに
東日本高速道路㈱・中日本高速道路㈱・西日本高速道路㈱では平たん性に関する指標として,補修目標値はIRI,
建設時の出来形基準は8mプロフィルメータを用いたPrI,補修時の出来形基準は3mプロフィルメータを用いたs を採用しており,各々異なる指標での管理を行っている.また,8m プロフィルメータは,機器の台数が限られて おり老朽化も進んでいる.このような背景の中,すべての種類の自動車と非常に強い相関のあるラフネス指数であ る1)IRIによる出来形管理を検討している.本報告は,平たん性の出来形管理手法としてIRIの適用性を検討するた め,IRIとPrIの比較を行ったものである.
2.PrIとIRIの相関
はじめに,建設工事における高速道路の表層施工後(約 60km・車線,評価延長200m)のPrIとIRIの分布を図-1に 示す.表層は排水性舗装及び同等のテクスチャを有する舗装,
PrIの測定は8mプロフィルメータ,IRIの測定は小型路面プ ロファイラーを用いて実施した.
図-1 より,土工・トンネル部の PrIは概ね 0〜4.8cm/km,
平均1.5cm/kmの値を示した.これに対して,IRIは概ね0.5
〜2.3m/km,平均1.3m/kmの値を示した.橋梁部のPrIは概 ね 0〜3.0cm/km,平均 1.0cm/km の値を示した.一方,IRI は概ね 0.9〜2.0m/km,平均 1.3m/kmの値を示した.評価延 長200mで比較した場合、土工部に比べ橋梁部は,全体的に 平たん性が良く,データのばらつきも少ない傾向が見ら れた.これは,評価延長内のジョイント数が少ないため
と考えられる.また,PrIとIRIの間には,明確な相関が見られなかった.
3.PrIとIRIの路面の特徴
次にPrI とIRIの路面の特徴を把握するため,測定値及び路面プロファイルの比較と走行映像の確認を行った.
対象は「PrIが大きくIRIが小さい場所」及び「PrIが小さくIRIが大きい場所」とし,それぞれの代表的な測定値 と路面プロファイルの関係を図-2,図-3に示す.
1)PrI が小さく IRI が大きい場所(盛土部)
路面プロファイルは,区間全体にわたり変動(-2.9
〜+2.9cm、最大5.9cm)している.走行映像を確認す ると,区間全体が細かく上下に震動している区間で
ある. IRI はこのような区間全体を通して発生する
路面の細かなうねりをは捉える特性を持つが,PrIは 捉えられない可能性が高いことがわかる.
キーワード IRI,PrI,平たん性,出来形
連絡先 〒194-8508 東京都町田市忠生1−4−11丁目 ㈱高速道路総合技術研究所 TEL042-791-1626
R² = 0.0865 R² = 0.4287
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
IRI
PrI
土工・トンネル部 橋梁部
橋梁部
土工・トンネル部 PrI 土工部
出来形基準値
PrI構造物部 出来形基準値
R² = 0.0852 R² = 0.4287
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 IRI
PrI
土工・トンネル部 橋梁部
橋梁部
土工・トンネル部 PrI 土工部
出来形基準値
PrI構造物部 出来形基準値
-4 -2 0 2 4
-50 0 50 100 150 200 250
Prof.(cm)
(m) 路面プロファイル(50m移動平均フィルタ後)
図-1 表層施工後のPrIとIRIの散布図
図-2 PrIが小さく,IRIが大きい区間の路面特徴
5.9cm IRI
(m/㎞)
PrI(cm/㎞)
土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)
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2)PrI が大きく IRI が小さい場所(盛土部)
走行映像及び路面プロファイルより,カルバートボッ クス手前で部分的に変動(-2.5〜+1.4cm,最大3.9cm)し ている.PrI はこのように部分的に発生している中程度 の路面のうねりを捉える可能性が高いことがわかる.同 様に,評価延長10mのIRIもカルバートボックス手前に 発生している中程度の路面のうねりを捉える可能性が 高いことわかる.
4.IRIの傾向
建設工事における高速道路の表層施工後(約 100km・車 線,評価延長200m)のIRIを測定した結果を表-1に示す.
全構造物(土工・トンネル・橋梁部)の平均値は1.3m/km, 正 規 分 布 で 2σ に 該 当 す る 95.5 パ ー セ ン タ イ ル 値 は 2.1m/km,3σに該当する99.7パーセンタイル値は2.5m/km であった.構造物区間ごとに見ると,土工・TN部の平均 値は1.2m/km,95.5パーセンタイル値は2.0m/km,99.7パー センタイル値は2.4m/kmであり,全構造物に比べ,全体的 に低い値であった.橋梁部の平均値は 1.4m/km,95.5 パー センタイル値は2.2m/km,99.7パーセンタイル値は2.5m/km であった.土工・トンネル部と比較して,橋梁部の平均値 並びに95.5パーセンタイル値及び99.7パーセンタイル値の 傾向に大きな差は見られなかった.出来形管理基準を検討 する際には、構造物ごとに基準値を変えなくて良い可能性 があることがわかる。
5.おわりに
平成26年度に表層を施工した供用前の高速道路を対象にPrIとIRIを測定し比較した.また,IRIの分布傾向を 確認した.その結果,下記の事項が明確になった.
① 今回の調査対象箇所では,PrIとIRIの間に相関は見られなかった.
② IRIは,細かなうねり及び中程度のうねりの両方を捉える可能性が高いことがわかった.
③ PrIは,中程度のうねりを捉える可能性が高いことがわかった.
④ 平成26年度に建設した高速道路のIRIは,構造物ごと(土工・TN・橋梁部)の平均値及びばらつき(95.5 パーセンタイル値,99.7パーセンタイル値)の傾向に大きな差が見られなかった.
今後については,上記測定データを基に周波数特性から,PrIとIRIの違いを明確にし,IRIの適用性を検証する 予定である.
参考文献
1) 土木学会:舗装工学ライブラリー1 路面のプロファイリング入門-安全で快適な路面をめざして−
図-3 PrIが大きく,IRIが小さい区間の路面特徴
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
0%
2%
4%
6%
8%
10%
12%
14%
16%
18%
20%
0.3 0.5 0.7 0.9 1.1 1.3 1.5 1.7 1.9 2.1 2.3 2.5 全構造物
土工・トンネル部 橋梁部
IRI(m/km)
図-4 構造物別 IRI 度数分布図
相対度数(%) 相対累積度数(%)
0 1 2 3 4 5 6 7 8
0 1 2 3 4 5 6 7 8
-50 0 50 100 150 200 250
PrI(cm/km) IRI(m/km)
(m) IRI(評価延長:200m)
IRI(評価延長:10m)
PrI -4
-2 0 2
Prof.(cm)4 路面プロファイル(50m移動平均フィルタ後)
(函渠設置位置)
3.9cm 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)
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