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深梁工法による既設桟橋の補強工事

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Academic year: 2022

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深梁工法による既設桟橋の補強工事

JFEエンジニアリング(株) 正会員 ○園部与志克、田中祐人

1.はじめに

港湾施設の既存ストックは設計震度見直しや老朽化により、所定の性能を維持できないケースが増加しており、

岸壁に多い杭式桟橋は、従来『杭の増設』や『新設構造物による前出し』などの対策が実施されている。しかし ながら、『杭の増設』は現地工期が長く岸壁の利用が制限されることで、『新設構造物による前出し』では岸壁法 線(港湾計画)の変更が必要になる、等の問題がある。そこで、当社では岸壁法線を変更せず現地工期の短縮が 可能な、追加部材による補強工法の「深梁工法」1) を開発した。この工法が、青森港本港地区(-10m)(改良)改良 工事において初めて適用されたので、本工事の施工を報告する。図-1に搬入された深梁の状態、図-2に水中設置 したイメージ図を示す。

2.深梁の設置手順

深梁を水中で仮受けするために、既設杭に受架台 を取り付けた。既設杭の下地処理をしたうえで、深 梁扉部の内側に当たる部分に水中スタッド打設を行 った。その後、打設したスタッドの周囲に鉄筋を組 立て、陸上に仮置きした深梁を陸上クレーンで進水 し(図-4)、潜水士の誘導で水中移動して設置する手 順とした。今回設置した深梁の構造は、Box 梁の本 体部と、杭に接続する両端の U 型扉部(図-1~3)か ら構成され、フローターによる浮力を利用して容易 に水中移動(図-8)できる。既設杭への深梁設置は、

ヒンジ(9 枚/列)両端の扉部を回転させて、開けた 状態で設置位置まで引き寄せ、杭を挟み込むように

扉を閉める方法(図-5)とした。さらに、扉を閉めた後は本体部と扉部 を引張ボルト接合させて一体化した。また、深梁設置後は、既設杭と深 梁の一体化を図るために「水中不分離性モルタル」を打設(図-6)し、

ボルト接合部の周囲は水中硬化型エポキシ樹脂を塗布(図-11)した。

キーワード 岸壁,護岸,法線,補強,耐震性向上,老朽化 連絡先 JFEエンジニアリング(株) 沿岸鉄構事業部

〒230-8611神奈川県横浜市鶴見区末広町2-1, TEL:045-505-7559 図-1 搬入後の深梁 図-2 水中設置イメージ

深梁平面図

開閉

ヒンジ 開閉

本体部

扉部 扉部

図-3 扉開閉のイメージ図

図-4 陸上クレーンによる設置 本体部

扉部

施工フロー図 受架台設置

下地処理(ケレン)

スタッド・鉄筋

深梁設置

中詰グラウト

被覆塗装工 受架台設置 受架台設置

下地処理(ケレン) 下地処理(ケレン)

スタッド・鉄筋 スタッド・鉄筋

深梁設置 深梁設置

中詰グラウト 中詰グラウト

被覆塗装工 被覆塗装工

図-6 水中不分離性モルタル打設

(40N/mm2)

扉部

扉部 扉部

本体部

図-5 水中での扉部の回転作業 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑603‑

Ⅵ‑302

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3.水中設置作業

深梁は浮力を生かした設置が可能であるが、扉部の開閉による偏心 で水中のバランスが取りにくく、水中移動や既設杭への設置が困難と 想定していた。進水後、扉を開けた状態で中性浮力を生かして水平に 保つため、深梁本体の浮力と水中重量に対して必要な浮力体(発泡体)

と鋼製ウェイトを深梁に取り付けた(図-7)。さらに水中でロープやレ バーブロック等のツールを使用して、浮力体の取り付け位置や深さを 微調整することで、水中において深梁の水平状態を保った。これによ り水中移動(図-8)がスムーズに行え、水中で扉の開閉作業(図-9)も短 時間で可能となり、作業性・安全性に優れた施工ができた。

4.深梁の固定

引張ボルトの締付け箇所は、深梁1基あたり64箇所(16列×4箇 所)で、軸力 205kN が管理基準値であった。水中での施工性を考慮 して、水中でボルトを締付ける油圧トルクレンチと、陸上で締付け管 理をする油圧ポンプの油圧ユニットを使用した。なお、これらは直接 的にボルトの軸力管理ができないため、あらかじめ気中で軸力計を用 いて、軸力と油圧ユニットの締付力の相関関係を確認し、油圧管理値 を50MPaとした。

5.今後の課題

施工箇所は透明度が良好で、冬季でありながら海象による影響が少 なかったため作業性がよかった。なお、透明度が不良の場合は、水中 ライトや相互交信機等の設備を使用すること、波浪等の海象条件が悪 い場所では、深梁を仮置きする水中足場を使用することが効果的であ る。また、低水温で水中塗装のため、練り混ぜた材料が伸ばしにくく なり、塗膜厚が増加した。今後は塗装箇所の構造や海象条件を想定し て、塗装方法や塗装材料の検討も重要である。

6.おわりに

深梁工法は、今回が初めての施工であった。桟橋上部工のスラブ直 下の補修・補強はクレーンや作業船の使用が困難であり、重量物の設 置や移動が制限される。近年、護岸や岸壁は耐震性の向上や、経年劣 化箇所補修・補強等のリニューアルが望まれている中で、今回のよう に供用中の岸壁で施工できることは非常に有効である。今後は全国の 桟橋で本工法の実績を積み重ねて、構造や施工方法のブラッシュアッ プを図りたい。

最後に、本工事の施工にあたり、国土交通省東北地方整備局青森港 湾事事務所及び東亜建設工業㈱東北支店の関係者の皆様には、貴重な ご意見・ご指導をいただき、ここに記して厚く御礼申し上げます。

参考文献:1)深梁工法 NETIS 登録番号 KTK-140008-A

図-11水中硬化型エポキシ樹脂塗布 図-7 浮力体の設置

図-8 既設杭への引込作業

図-9 扉の開閉作業

図-10 水中ボルト締め作業 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

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参照

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