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学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 氏 名

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Academic year: 2021

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(1)

((別紙様式第7号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名

安田 文俊

審 査 委 員

主 査 尾谷 浩 ◯ 副 査 児玉基一朗 ◯ 副 査 荒瀬 榮 ◯ 副 査 田中 秀平 ◯ 副 査 前川二太郎 ◯

題 目 ニホンナシおよびカキに発生した数種新病害の病原菌に関する研究 (Studies on the Causal Pathogens of New Diseases on Japanese Pear and Persimmon)

審査結果の要旨(2,000字以内)

近年,自然環境の変化などから農作物に新病害の発生が多くみられるようになり,その実態を明らかに することが緊急の課題となっている。本研究は,鳥取県の主要果樹であるニホンナシ(Pyrus pyrifolia Nakai var. culta Nakai, syn. P. serotina Rehd. var. culta Rehd.)およびカキ(Diospyros kaki Thunb.)に新たに発生した 4種の病害を対象に,病害を引き起こす病原菌について検討を行ったものである。

2001年頃から,鳥取県内の圃場に栽植されたニホンナシ‘二十世紀’および‘ゴールド二十世紀’の収 穫果実に赤アザを伴う汚れ果症状の発生がみられるようになった。汚れ果症状を呈する果面からは,複数 種の糸状菌に加えて,4種の担子菌系酵母様菌が高率に分離された。分離菌株の形態的特徴,生化学的性状,

rDNA部分塩基配列解析から,各分離菌株をAcaromyces ingoldii Boekhout, Scorzetti, Gerson & SztejnbergMeira sp.,M. geulakonigii Boekhout, Scorzetti, Gerson & Sztejnberg,Pseudozyma aphidis (Henninger & Windisch)

Boekhoutと同定した。また,Meira sp.は,これまでに記載されているMeira属のいずれの種にも該当しな

いため,分子系統解析により本属の新種であると結論し,M. nashicola F. Yasuda & H. Otani, sp. nov.として新 種記載した。各菌株をナシ幼果に噴霧接種すると,収穫果実に汚れ果症状が再現され,病斑部からは接種 菌が再分離された。担子菌系酵母様菌による汚れ果症状は,既報のAlternaria sp.,Hyalodendron sp.,Phomopsis sp.およびStenella sp.によるナシ汚果病(英名:fruit stain of Japanese pear)の病徴と区別できないため,これら を本病の病原に追加した。なお,本病の病原として記録されているHyalodendron sp.は分子系統解析からA.

ingoldiiと同一種であることが明らかとなり,病原の学名変更を提案した。

(2)

1997年9月に,京都府内の圃場に栽植されたニホンナシ‘二十世紀’の収穫果実にボタ腐れ症状が発生 し た 。 罹 病 果 実 か ら 得 ら れ た 分 離 菌 株 の 形 態 的 特 徴 や , 分 離 菌 株 と 保 存 菌 株 Rhizopus stolonifer (Ehrenberg:Fries) Vuillemin var. stolonifer との対峙培養による接合胞子の形成から,本菌株を R. stolonifer var.

stolonifer と同定した。異なる生育ステージのナシ果実に対する分離菌株の接種試験を行った結果,成熟した果実

にのみ有傷接種で病徴が再現され,病斑部から接種菌が再分離された。本菌によるナシ病害は本邦未記録であっ たため,病名をナシ黒かび病(英名:Rhizopus rot of Japanese pear)と命名した。

1996年6月に,鳥取県内に栽植されたカキ‘富有’および‘西条’において,幼葉と幼果のヘタに斑点 病斑を生じる病害が発生した。病斑部からPestalotiopsis属(以下Ps.)菌が多数分離され,分離菌株の分生 子の形態観察を行った結果,分生子の大きさ,付属糸の長さおよび太さ,中央有色 3細胞の色調などに違 いが認められた。これらの形態的特徴から,分離菌株を Ps. glandicola (Castagne) Steyaert,Ps. longiseta (Spegazzini) Dai & Kobayashi,Ps. acaciae (Thümen) Yokoyama & KanekoおよびPs. crassiuscula Steyaertと同定 した。カキの成葉に各菌株の胞子懸濁液を有傷接種した結果,供試した各分離菌株は,いずれも有傷部位か ら病斑の形成が認められ,病斑部から接種菌が再分離された。Ps.属およびPestalotia属(以下Pa.)菌によるによ るカキ病害は,Pa. diospyri H. & P. Sydow,Ps. breviseta (Saccardo) Steyaert,Ps. guepini (Desmazières) Steyaert およびPs. longisetaによるカキ葉枯病,Ps. theae (Sawada) Steyaertによるカキ輪紋葉枯病が記録されている。

本研究で新たにPs. glandicola,Ps. acaciaeおよびPs. crassiusculaの病原性が立証されたが,これらの病原菌によ るカキの病徴は既報のものと区別できなかったため,これらをカキ葉枯病(英名:leaf spot of Japanese persimmon) の病原に追加した。

2005年1月に,鳥取県内の圃場に栽植されたカキ‘西条’において,枝幹部に鮮やかな紅色の小粒を無 数に形成し,枝枯れや胴枯れなどを引き起こす病害が発生した。病斑上に形成された病原菌の形態的特徴 などから,本菌をNectria cinnabarina (Tode:Fries) Friesと同定した。ポット栽培のカキに本菌の分離菌株を有傷 接種した結果,約 1か月経過した時点で接種部位の周辺の樹皮に亀裂が生じ,やや陥没した病斑を形成し た。約 7か月経過すると,接種部位の周辺に自然発病のものと同一の分生子褥の形成が認められた。形成 された病斑部からは接種菌が再分離された。本菌によるカキ病害は本邦未記録であったため,病名をカキ紅粒 がんしゅ病(英名:coral spot,twig canker,またはNectria twig blight)と命名した。

以上のように,本論文は,ニホンナシおよびカキに発生した4種の新病害において,それぞれの病害 を引き起こす病原菌を明らかにしたもので,今後の病害防除対策に直結する成果として高く評価され,

学位論文として十分な価値を有するものと判定した。

参照

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