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高等学校家庭科教員のための教育情報サイ トの開発

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Academic year: 2021

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(1)

高等学校家庭科教員のための教育情報サイ トの開発

1.研

究の背景

高等学校家庭科は、「生活するために必要な衣食 住、家族、保育、消費、環境などの知識 と技術を 実践的、体験的な学習を通 して習得 させ ること1)」

を目標 としている。そのため、家庭科教員は社会 の変化や生活の実態にあつた新 しい情報 とそれ ら の学習指導能力が必要 となる。 しか し、設置学科 により教員数が少なく、非常勤講師が担当 してい る場合 もあ り、相談を した くてもす ぐにできない 場合や、専門コース等がある学校では、科 目数が 多く、教材研究等に苦労 しているなど各学校の現 状により、さまざまな課題があると考えられ る。

また、近年の学校教員の業務に対する負担が増大 してお り、学習指導の改善、充実が困難な状況 の でもある。

このような課題 を解決す るための一つの方策 と して、

ICTを

活用 した教育支援が考えられる。「教 育の情報化に関す る手引き」(文部科学省

2010で

は、教員1人 1台のパ ソコンの支給やグループ ウ ェア等の校内

LANを

用い情報共有をす るなど、

ICTを

有効活用す ることで業務の軽減 と効率化や 教育の質の向上に有効的であることが示 されてい る。また、「平成

26年

度学校における教育の情報 化の実態等に関す る調査結果」(文部科学省

2010

においても、教員の校務用 コンピュータ整備率は、

113.8%と 昨年度 よ りも上昇 してい る。 また、

30Mbps以

上の超高速インターネ ッ ト接続率は、

全国平均で81.6%であつた。そのため、教育の情 報化に向けた、コンピュータやインターネ ッ ト等

の整備が進んでいることが推測 され る。

以上のことか ら、限 られた時間の中でより効率 良く多 くの情報を収集す る方法、一人では角早決で きないような悩みを解決する方法 として、家庭科

教育 内容・ 方法 開発 専攻 行動 開発 系教育 コース

M13218J 

山本亜美

教員のための教育情報 サイ トが有用 ではないか と 考 え られ る。

2.研

究の 目的

家庭科教員 のニー ズ と実態 をふまえ、効率 よく 最新 の情報 を共有す るための教育情報サイ トを開 発 し、その有効性 について検討す る。

3.研

究 内容

3.1高等学校 家庭科教 員を対象 と した質問紙調査 兵庫県高等学校家庭科教員 を対象 とし、家庭科 教員の コンピュー タや イ ンターネ ッ トの利用状況 と家庭科の情報サイ トについて調査 を行 つた。質 問紙 の回収数 は

166枚

であ る。

家庭科教員 の コンピュー タやイ ンターネ ッ トの 利用状況 については、各教員 が個人で利用できる コンピュー タが整備 されていることもあ り、教材 研 究や業務 において利用 してい る人 は多 く、家庭 科 の情報サイ トに関 して も必要性 を感 じている人 は多かつた。

情報収集 においては、家庭科担 当教員が複数 い た場合 、他校の知 り合いに聞 くことよ りも、同 じ 学校 の同僚 な どに直接会 つて聞 くことが多いこと が考 え られ るが、それ らの回答 よ りもイ ンターネ

ッ トで検索す る との回答 が多かつた。

SNSや

掲示板サ イ トの利用 が極端 に少 ない こ と、パ ソコンを使 つた授業や使い方についての授 業 をす るこ とが少 ない こともあ り、パ ソコンが得 意 ではない教員 が多い ことが考 え られ る。 また、

イ ンターネ ッ トに掲載 され てい る情報 に関す る不 安やサイ トを管理す ることへの不安、見えない相 手 とのや りとりに関す る不安等、イ ンターネ ッ ト や コンピュー タを使 うことへの不安 を感 じてい る

(2)

教員が多い結果 となった。

3.2家 庭部会公式サイ トの開発

ニーズ調査結果を踏まえ、

Webサ

イ ト作成に関 する知識がな くても管理ができるよ う

CMSの

「NetCommons」 を採用 し、家庭部会の公式サイ トを開発 した。サイ トタイ トルは、公式なサイ ト であることをアピール し、また、みんなで自由に 閲覧・投稿できるように 「兵庫県高等学校教育研 究会家庭部会 みんなの家庭科」 とした。

サイ トのコンセプ トは、①家庭部会の公式サイ トであること、②会員であれば投稿が可能、③比 較的運営が簡単、④情報の蓄積ができ、仕事の効 率化を図ることができる、の

4項

目をあげ、教員 のサイ ト利用に関する不安 を軽減す るため、会員 のみが閲覧 。投稿することができる非公開のサイ トとした。なお、教材や授業実践等を投稿す るこ とができる 「みんなの教材・授業実践」のページ を設けた。このページはアカウン トを有す る会員 のみが自由に投稿することが可能である。投稿後 は、管理者によつて承認 されたのち、全体に公開

される。

3.3教育情報サイ トの評価・改善

家庭部会員298名を対象に、有用性や使用感 を 調査するため、郵送による質問紙調査を行つた。

回答の際には、サイ トヘのログインを必須事項 と した。主に、「サイ ト全般について」「投稿ページ について」「サイ トの信用性について」の

3項

目 について間 うた。

回答率は、

88枚

(30%)で ある。サイ ト全般につ いて有用だ と思 うかという質問に対 し、「そ う思 う」

「少 しそ う思 う」と回答 した人は

89%(78人

)と概 ね公式サイ トに対 し有用性 を感 じていることが示 唆 された。また、家庭部会員のみが閲覧できるこ

とについて信用性を感 じるか とい う質問に対 し、

「とてもそ う思 う」「少 しそ う思 う」と回答 した人 が

91%(80人

)だつたことか ら、閲覧制限を設ける ことで家庭科教員にとつて信用性のあるサイ トで あることが示唆 された。 しか し、サイ ト内にある

教材等 の投稿ペー ジについては、有用性 は感 じな が らも、教材 の投稿 を したいか とい う質問に対 し ては、「あま りそ う思わない」「全 くそ う思わない」

と回答 した人が

51%(45人

)であつた こと、自由記 述 において も、「教材の投稿が増えた らいいと思 う」

の よ うな消極的な意見が多 く、 自ら投稿 を したい と回答す る人は少 ない結果 となった。

以上の結果 を元 にサイ トの改善を行 つた。まず、

トップペー ジにおいては、全体に文章量が多 く、

わか りづ らい との意見 もあつたため、文章で記述 した内容 を簡潔 にま とめた ものを作成 し、掲載 し た。次に、投稿ページについて、「引用元の記載」、

「写真の加工」、「個人情報」、「キャラクター」、「製 作者等 に許可」の

5項

目に関す るチ ェ ック リス ト

を設 け、投稿 をす る際に事前に確認 できるよ うに した。 この項 目は承認 をす る際にも使用 し、一つ で も当てはま らない記事については、再度、編集 を求 めるよ うに した。

4.ま

とめ と今後の課題

以上、本研 究で は、高等学校家庭科教員のニー ズ と実態 を把握す ることで、効率 よく最新の情報 を共有す るための一つの方法 として、教育情報サ イ トを活用す ることは有効であることが示唆 され た。

しか し、教材投稿数や、サイ ト内の情報が少な い こ とが現状である。イ ンターネ ッ トを使 うこと に不安 を感 じてい る教員 も多い ことか ら、情報の 投稿 を促す方策の一つ として、研修会の重要性が 伺 える。今後 は教員のニーズに応 じてサイ ト構成 の改善を してい くことが課題である。

引用・参考文献

1)文部科学省

(2010)高

等学校学習指導要領解説家 庭編

2)幸地悠二郎 ら (2010「 学習指導の改善・充実を目 的 とした学習指導情報共有システムに関する研究」

電子情報通信学会pp.11‐14

主任指導教員 。指導教員

 

永 田智子

(3)

中学校 バ ス ケ ッ トボール 競 技 にお け る

1対

1 の対応 力 に関す る研 究

I.研

究 の 目的

2015年

,日 本 バ ス ケ ッ トボ ール 協 会 は,中学 生時 期 の技能 と して,1対 1の 対応 力 を身 につ け るた め に「15歳以 下で のマ ンツー マ ンデ ィフ ェ ンス推 進 につ いて」=ゾ ー ンデ ィフェ ンス禁 止 を示 した。

そ の 背 景 を 日本 バ ス ケ ッ トボ ー ル 協 会 (2015)は

,世

界 の強 豪 国 で は

16歳

以 下 の ゾー

ンデ ィフ ェ ンス を禁 止 や,国際 バ ス ケ ッ トボ ー ル 連 盟 にお け る ミニ バ ス で の ゾー ンデ ィフ ェ ンス 禁 止 な どの制 限 が あ る反 面,日 本 で は ,12 歳以 下 (U‑12)の チー ム の 90%以 上 が ゾー ンデ ィ フェ ン ス を導入 してお り,中学校 の約 70%が ゾ ー ンデ ィフ ェ ンス を 中心 に試 合 を組 み 立 て て い る現状 が あ り

,15歳

まで は コーデ ィネー シ ョ ン トレー ニ ン グや 基 礎 的 な ス キル を学 ぶ べ き 年 代 で あ る に も関 わ らず ゾー ンデ ィ フ ェ ン ス の シ ステ ム を主 に指 導 され るた め,オ フェ ンス,

デ ィフ ェ ンスの 両面 にお い て「

1対

1の対応 力 」 が不足 して い る,と して い る。

しか し,Holzman(2010)は ,「チー ムが どの よ うな タイ プのデ ィフ ェ ンス を使 お うとも,最 後 は必然 的 に1対1の局 面 とな り,い つ か必ず どこ かの局面で1人の プ レイヤー が1人の プ レイ ヤ ー と対峙 し,得 点す るこ とを止 めなけれ ばな ら ない」 と述 べ てい る こ とか ら,マンツー マ ンデ ィフ ェ ンスで も,ゾー ンデ ィフェンスで も1対1

専攻

   

教 育 内容・ 方 法 開発 専攻 コー ス

  

行 動 開発 系 教 育 コー ス 学籍 番 号

 M142021

名 前

   

岡 浩 次郎

は存在 し,ゾ ー ンデ ィフェ ンス を禁止せ ず と も,1対1の対 応 力 の 向上 に重 点 を置 けば,高め られ るの で は な いか とい う矛盾 が生 じる。

そ こで ,本 研 究 で は,これ ま で に行 わ れ て き た ゲ ー ム を対 象 に ゾー ンデ ィフ ェ ンス とマ ン ツー マ ンデ ィ フ ェ ン スそ れ ぞれ に対 して オ フ ェンスプ レイヤーが 1対 1の対応 力 を どの よ う に発 揮 して い るか を分析 し

,ゾ

ー ンデ ィフ ェ ンス とマ ンツー マ ンデ ィフェ ンス で,ど の よ う な1対 1の対応 力 の違 い が あ るのか を確認 す る こ とで,マ ン ツー マ ンデ ィフ ェ ンス を推 進 す る こ との意 義 を明確 に した い。そ こか ら,今 後 マ ンツーマ ンデ ィフェンスの推進 にあた り

,1対

1 にお け る指 導 に活 かせ て い く知 見 を得 る こ と を 目的 と した。

Ⅱ.研 究方法

1.対象 ゲー ム

対 象 は これ ま で に行 われ て きた 中学 校 男 子 の試 合 と し,地 区 レベル ,県 レベ ル ,全 国 レベ ル の合計 10試合 を分析 対象 と した。(合

20チ

ー ム分)

2.ゲ ー ム分析 につ いて

対 象 ゲ ー ム を 分 析 ソ フ ト(FITNESS APOLLO社

SpOrts Code GAME BREAKER)を 用 い て ゲ ー ム 分 析 す る 。

(4)

3.分 析項 目

ァ ィフェンス隊形 をマ ンツーマ ンデ ィフ ェ ンス とゾー ンデ ィフェンスの状況 に分類 し,オ フェンスにお いて 「得点 した」,「 シュー トを した」,「 ミスを した」 の

3つ

の最終局面に関 わったプ レー を

1対 1が

行 われた局面 とし,そ の対象 のプ レー を

1対

1における対応力の評価 基準 を用いてゲーム分析 を行 つた。

1「 1対 1に

お け る対応 力 の評価 基 準J

● ● ●

"●0ブレー ● ● ● ロ

0 ベ イ ン ト=リア 内 で ●0し ● ●

9 ベ イ ン トエ リア外で●● した ● 凛

8 7

6 フ ァー ′●● ●0し フ ア ー ′●● ●

5 ベ イ ン トエ リア 内 で シ ユー ト●摯 つた 4 ベ イ ン ト エ リ ア 外 で シ ユ ー ト ● 摯 つ

3 0カプ レイヤー デ ィフ エンスに

"

書 ●れずに シュー ト●餞 つた 2 ベイ ン トエ リア外 にバ ス し。モれ ●曇 け

0カプ レイヤー ●●ィフ エンスに

"

● ●れずに シュー ト●摯 つた

● 触 つ だ

0 タ ー ンオ ー バ ー0し

Ⅲ。結果 と考察

23(%,)

評価 法 を用 い た対象 プ レー事 象 のみ か らみ た頻度

図1では,マンツーマ ンデ ィフェンス,ゾー ン デ ィフ ェンスの両方 にお いて

,ゴ

ール か ら遠

い位 置 か らのシュー トが最 も多 くみ られた。ま た,マ ンツーマ ンデ ィフェンスでは,ゴ ール に 近 い位 置へ持 ち込む場 面が多 くみ られ,そのた めのプ レー として,ド リブルペネ トレイ トか ら のシュー トやパ ス,フ ァール の獲得 が多 くみ ら れ た。ゾー ンデ ィフェンスでは

,ゴ

ール に近い 位置へ持 ち込む場面が少 な く,外 角エ リアでパ スを多用 しての外 角 か らの シュー トとい う攻 めのパ ター ンが多 くみ られ た。す なわ ち,ゾ ー ンデ ィフェンス よ りもマ ンツーマ ンデ ィフェ ンスにおいて,1対 1の 仕掛 けに よるプ レーの出 現が よ り多 くみ られ た。この こ とか ら,マ ンツ ーマ ンデ ィフェンスに対す る

1対

1の対応力 を 高める攻撃の仕方 と して,最 も多 い割合 を示 し た ゴール か ら遠 い位 置 か らの シュー トの確 率 を上げ ること,ド リブルペネ トレイ トに よつて 相 手 を抜 き,ゴ ール に近 い位 置 に侵 入す る力,

またそ こか らシュー トを決 める力,ア シス トす る力 をつ け るた めの練 習 を取 り入れ て い く必 要性が示唆 された。

また,このゲー ム分析 に よつて,マ ンツーマ ンデ ィフェンス,ゾ ー ンデ ィフェンスの両方 で 10〜

0の

基準 よ りも圧倒的に多い割合 を示 した のが,基 準以外のプ レーである。すなわち

1対

1

を仕 掛 けなか つた プ レー で あ る と言 え る。今 後

,1対 1の

対応力 を高めるためには,この部分 を減 らし,1対 1の 機会 を増やす必要性 が示唆 さ れた。そのために

,5人

が どこか らでも

1対

1を 仕掛 け られ る よ うに,ポ ジシ ョン関係 な く,さ まざまなエ リアか らの

1対 1の

練習

,24秒

の シ

ョッ トクロ ックの うち,パ ス を少 な く し,早 い タイ ミングで

1対

1を仕掛 ける練習の必要性 が 示唆 された。

Ю

主任指導教員・指導教員

 

山本忠志

(5)

豊 か な ス ポ ー ツ ラ イ フ を 実 現 す る た め の 高 校 体 育 の あ り方 一 生 涯 ス ポー ツ社 会 の構 築 を 目指 した 人 間形 成 に着 目 して一

1.研究の動機及び 目的

スポー ツは人生をより豊かな充実 したものに し、身 体的・精神的な欲求に応 える世界共通の人類の文化で あ り、生涯 にわた り運動や スポーツに親 しむ 「豊かな スポーツライフ」を送ることには大きな意義があると い う考えの もと、学校体育においてもここ数十年あま

り生涯スポーツを志向す る教育が展開 されている。

しか しなが ら、成人のスポーツ実施率をみ ると継続 的に運動や スポー ツを実践 している人は近年50%を下 回つてお り、生活のなかにスポーツが定着 していると は言い難いのが現状である。生涯スポーツ社会の実現

といいつつ も現実にはそれにつながる学校体育であつ たのだろ う力、

そこで、本研究では生涯スポーツ社会の構築を 目指 した人間像の形成 を検討す ることによつて、生涯にわ たって 自己に応 じた運動やスポーツ活動を自主的・主 体的に継続 して実践 し、豊かなスポー ツライフを実現 できるよ うな高校体育のあ り方を提案す ることを 目的

とした。

2.研究の方法

上記の 目的を達成す るために以下の手順で考察を進 めた。

1)生 涯教育論の理念 の分析 と生涯スポーツ論の再検討 2)スポーツを享受す る原理の検討

3)生涯スポーツか らみた各学校段階の位置づけ 4)生涯スポーツ社会の実現を 目指 した高校体育のあ り

方の提案

3.結

果 と考察

1)生 涯スポー ツ概念 は、P・ ラングランの生涯教育論 を 契機 としてお り、社会的に整備 された環境の もと、生 涯にわたつて 自主的 。自発的に個人の能力や ライフス

 

  

教 育 内 容 方 法 開 発 コー ス

   

行 動 開 発 系 教 育 学 籍 番 号

  M14203G

 

   

 

 

 

テージに応 じたスポーツ活動を行 うとともにスポーツ を生活のなかに取 り入れて継続 してい くことと捉 えら れている。 しか し、生涯 スポー ツ論 は教育論 として不 十分であるとい う指摘 もあることか ら、ラングランの 生涯教育論か ら示唆 を得 ることに した。

生涯教育論の中核 は、変化す る社会に「適応」す ると ともに社会の諸制度 を改善 してい く 「変革」する能力 を身に付け、これ らを持 ち合わせた人間が望ま しい社 会を形成 してい くことである。 これ をスポーツの分野 に援用すれば、学校体育では生涯教育における「適応」

と「変革」の能力を形成す ることで生涯スポーツ社会 を実現できる人間を育成す るべきであると考えた。

2)生涯教育ではスポー ツを他の文化か ら独立 させ るこ とな くあ らゆる人々の活動 と結びつけスポーツと生涯 教育全体を統合 させ ることが重要であるとしているこ とか ら生涯スポーツ教育論の理念 は 「文化 としてのス ポーツを享受す る」 ことであると考えた。スポーツを 享受す るとは 「文化 としてのスポー ツにおいて普遍的 価値 (人間 らしさ)を見いだす」行為であ り、遊戯性の 性質を持つスポーツ活動における普遍的価値 とは 「快 感情」を求めよ うとす ることであることが明 らかにな つた。その理念 を個人の実践に結びつけるためには原 理が必要であ り、その原理は実践 しよ うとす る人間の 動機 に対応 した ものでなければな らないこと、つま り 学習者 自身の実践のための原理であることが導き出 さ れた。学校体育では生涯 スポーツを実現 してい くうえ でその理念であるスポーツを享受す るための原理に基 づいて教育 してい くべきであると考え、次のような 目 的的原理、内容的原理、方法的原理を提示 した。

目的的原理 として「快感情の追求」と「スポーツ文化 の理解」を示 した。人間は生きるために努力するとと もに自己の興味 。関心のある環境のもとで快感情 を求 める努力をす ることか ら人間 としての基本的な行動様

(6)

式であるといえる。 また、スポーツ活動を個人的に も 社会的に も価値 あるもの としてい くためにはスポー ツ 観の形成が必要である。 スポーツには競争性 もあるた め、そ こには規範的行動が求め られ る。 スポーツ活動 により「快感情」を求める場合でも、その過程 において モラルが必要 となると考えた。

内容的原理 として 「スポー ツの基盤 となる身体性 の 理解」と「スポーツ文化の理解」を示 した。多様なスポ ーツ活動において身体性は前提であ り、身体機能には いくつかの要因や個人差がある。 自らの身体の把握 と 正 しい知識 を身 に付けておけば、怪我や スポー ツ障害 もなく、豊かなスポー ツライフを実現す ることができ るといえる。 また、生涯にわたつて豊かなスポー ツラ イフを実現す る上でスポーツの歴史、文化的特性や現 代スポー ツの特徴 な どについて理解す ることには大き な意義があるといえる。つま り、単に運動やスポー ツ を受動的に楽 しむだけでな く、主体的に楽 しむ ことで よリスポー ツの特性 に触れ ることができると考えた。

方法原理 として 「創造的参入」を示 した。「快感情」

の獲得だけでは生涯スポーツの実現には至ることはな く、それまでのスポーツを自己の環境条件 に適応 した スポー ツに変化 させ、新 しい文化を創造 し、そのなか で自己の求める快感情 を獲得 してい く 「創造的参入」

でなければならない と考えた。

3)生涯スポー ツの観点か ら高校体育を視野に入れ るこ とが必要であることか ら学習指導要領 を分析 した。

学習指導要領の究極 目標は、「明るく豊かな生活を営 む態度の育成」であ り、生涯にわたつて豊かスポーツ ライフを継続できる人間の育成 を目指 してい るが、各 段階では どのよ うなことを身に付けさせ よ うとしてい

るのであろ う力、

小学校では、「運動す る楽 しさ」を体験 させ るととも に、全人的な発達を目指 していて、運動す る場面にお いて仲間 との活動の中で具体的な遵守事項に対す る行 動や態度の形成をね らい としている。 中学校では、運 動の合理的な実践を通 して 「種 目特有の楽 しさ」を体 験 させ るとともに合意 した役割 に責任 を持 って 自主的 に取 り組む ことを 目指 している。高等学校では、卒業 後に少なくとも一つの運動やスポーツに親 しみ、生涯 にわたつて豊かなスポーツライフを実現 してい くため に選択制授業を導入 している。

しか しなが ら、 このことは生涯スポー ツを一義的に しか捉 えてお らず、生涯スポーツを実践 しよ うとす る 人間の動機 に十分 こたえることはできないのではない だろ うか。すなわち、一つの運動や スポーツを選択 し て実践を継続 させ るのではな く、個人 とスポーツが ど の よ うに関わつてい くのかを学ぶべ きであ り、高校体 育では、生涯スポーツ社会を実現す るための原理に基 づいた教育を展開す ることが重要であると導き出 した。

4)これまでの議論 を踏まえて、次の ような高校体育の あ り方を提案 した。

高校体育では、スポーツ活動か ら主体的に個人の興 味 。関心のある快感情 を獲得 してい くことか ら「快感 情の追求」を、また運動や スポーツ と関わるときに規 範的行動を身に付 ける必要があることか ら 「スポーツ 観の形成」をね らい とす ることを学習の 目的 とした。

学校体育の主教材 は文化財であるスポー ツであるこ とか ら「スポーツの基盤 となる身体性の理解」と「スポ ーツ文化の理解」を学習の内容 とした。 自己の身体機 能 を把握す ること、運動やスポーツの技能 と体力の関 係 を理解 ことによ り個々のライフステー ジに応 じた運 動やスポー ツを選択でき、また、スポーツの歴史や文 化的価値、特徴な どを理解す ることでよ り深い楽 しみ や喜びを味わ うことができることか ら適 していると考

えた。

そ して、方法ではスポーツの関わ り方を学ぶ機会を 設定す ることが重要であることか ら、「す る」「みる」

「ささえる」の観点 と体育領域か ら「実技」と「理論」

の観点で分類 した結果、①個人的llkの習得、②集 団的 快の習得、③運動 と身体の関連性の理解 、④スポーツ 観戦能力の育成、⑤感情の共鳴経験、⑥ スポーツ知識 の獲得、⑦文化の伝承、③ 自発的奉仕の実践、⑨スポー ツ振興制度の理解の9つの創造的参入にむけた方法に 整理す ることができた。

4.今

後の課題

今後は、年間計画、単元計画、学習評価な どをより具 体的に示 し、授業実践につなげることによつて豊かな スポーツライフの実現を目指 したスポーツを享受でき る人間の育成に貢献 していきたい。

主任指導教員

 

上原禎弘

/指

導教員

 

森田啓之

(7)

説 明文か らの概念マ ップ作成スキルの獲得を志向 した 教員向け学習支援環境の開発 に関す る研究

は じめに

2016年

4月 に障害者差別解消法が施行 され る. これ に よ り

,学

校 現場 にお けるイ ンクル ー シブ 教育 は

,よ

リー層加速す る と推測 され る。イ ン クル ー シブ教育 を本格 的に導入す る際 には

,障

害が あ る児 童生徒 が通 常学校 で学ぶ こ とに対す る合理 的配慮 が必要不 可欠 であ り

,合

理的配慮 を実施 す るための知識・ スキル の獲得 が

,個

の教員 に求 め られ てい る。特 に

,通

常学級 に在 籍す る発達 障害 を もつ児童生徒 (以

,発

達 障

害児者 とす る)は

6.5%に

も及ぶ とされ てお り,

知識・ スキル獲得 に対す る教員のニー ズは高い。

発 達障害児者 の 中には

,抽

象 的 な概念 の理解 や文章読解 に困難 さを持つ場合 が あ るこ とが知 られ てい るが

,近

, これ らの困難 さを支援す る方 法 と して概 念 マ ップ が注 目され てお り,

Veronicaら(2007)は

,ASD(自

閉症 スペ ク トラム 障害)児に対 して個々のキー ワー ドや事象等のつ なが りや 関係性 を視覚的 に示す こ とに よ り

,概

念的 に理解す る一助 とな るこ とを示唆 してい る。

この こ とか ら

,概

念マ ップ は抽象的 な概念 の理 解や 文章読解力 を必要 とす る

,説

明文 の理解 に 困難 さを示す発 達障害児 に対す る合理的配慮 と い う観点において有用である可能性が高い.

しか し

,概

念 マ ップ を教員 が作成 す るた めに は

,対

象分野 に関す る十分 な知識 を有す る こ と に加 え

,こ

れ らの知識 を概念 マ ップ として表現 す るた めのスキル が必要 とな る。溝 辺 ら(201の の よ うに

,既

存 の教育的知識 を表現す る こ とを

目的 とした研究や

,塩

田 ら(2013)の よ うに

,概

念 マ ップ作成 にお ける技法 に関す る研 究な どは こ

教育内容・ 方法開発専攻 行動 開発 系教育 コース 学籍番号

 M14204E

氏名

 

川 田

 

健太郎

れ まで盛 ん にお こなわれ て きたが

,こ

れ らの先 行研 究 は

,教

員 の概 念 マ ップ作成 スキル の獲得 を対象 とした ものではない。

以 上 の背 景 か ら

,本

研 究で は説 明文 か らの概 念 マ ップ作成 ス キル の獲得 を志 向 した教員 向け 学習支援環境 の設 計 を 目的 とす る。

2.シ

ステム設計 にむ けた予備調査

学習支援環境設 計 の方 向性 を明 らか にすべ く,

概念 マ ップ を作成 す る際 の困難 さにつ いて把握 す るこ とを 目的 と した予備調査 を実施 した。被 験者 は教員免許 を所持 し

,教

職 経験 を有す る大 学院生 14名 (長短 につ いては個人差がある

)と

した。まず

,概

念理解 の困難 さをもつ児童生徒 への合理的配慮 を行 う場面を想定 し

,400文

字程 度 の文章 の内容 を概念 マ ップで表現 で きるかに ついて検証 した.

結果

,教

職 経験 の長 短 に関わ らず

,概

念 マ ッ

プ作成 には困難 さが見受 け られ

,特

,「メデ ィ ア」 と 「情報」,「五感 」 と 「メデ ィア」 とい っ た

,単

語 間 の関係 につ いて表現す ることに困難 さを示す場合 が多 くみ られ た。また

,関

係 を整 理す る際 に困難 さを感 じる点が示唆 され た

.従

つて

,概

念 マ ップの作成対象 とな る文章 中か ら,

"キー ワー ド"と

,キ

ー ワー ドの"関連語"を抽 出 し,

両者 の"関係"(以下 関係 と呼ぶ)を説 明す る機 能 を設計 し,さ らに抽 出 した"関"を整理す る機 能 を設計す るこ とで,"関係"の整理・体系化 を支援 す るこ とが可能 とな り

,結

,概

念 マ ップ作成

スキルの向上につなが ると考 えた.

3.概

念 マ ップ作成支援 システム

2節

で述べた仮説 に基づ き,概念マ ップ作成支

(8)

援 シ ス テ ム を試 作 した 。 シ ス テ ム は Visual

Studio 2015を

用 い て 開発 を実 施 して お り,

Windows環

境 で動作す る.

本 システ ムは

,文

章 中の任 意 の箇所 を ドラ ッ グす ることで,"キー ワー ド"や,"関連語"を選択 す るこ とがで きる."関連語"を選択す る と,「 キ ー ワー ド

"に

とつて 関連語

"の

"関"は ?」 と システ ムが表示 し

,こ

こで"キー ワー ド"と"関連 語"の "関"をコンピュー タに教 える, とい う形 で入力す る。ここで入力 した内容が"関"を示す ノー ド(関係 ノー ドと呼ぶ)と して

,画

面左側 に表 示 され

,そ

の右隣に"キー ワー ド"に対す る"関連 語"の一覧が対応す る"関"と ともに表示 され る.

使 用者 は これ ら作業 を繰 り返 し実施 し

,該

文章 か ら十分 関係 ノー ドが抽 出 され た時点で, 関係 ノー ドの整理 を実施す る。関係 ノー ドは ド ラ ッグ

&ド

ロ ップで移動 させ る機能 を有 してお

,"関

"に着 目した"キー ワー ド","関連語"の 整理・ 体系化 を実現す る。

4.評

価実験

システムの妥 当性 を検証す る 目的で

,教

員 を 志望す る学生

7名

を対象 に

,評

価 実験 を実施 し

た。検証 はシステムの使用前後 にお ける被験者 が作成 した概念マ ップの差異

,お

よび システ ム

を用 い るこ とに よる効果の観点で実施 した。評 価実験 には

2種

類 の説 明文 を使用 した。被験者 はまず

1つ

の説明文 (被験者 を

2グ

ルー プに分 け

,グ

ルー プ毎 に異 な る説 明文 を選択

)を

読 ん

だ後

,シ

ステムを利用せず概念マ ップを作成 し た。次に

,も

1つ

の説明文 を読んだ後

,本

ステ ムを利用 した うえで

,概

念 マ ップ を作成 し た

.最

後 に

,質

問紙調査お よび非構 造化 面接 を 実施 した.

結果

,7名

の うち6名の被験者 は,「使用前 と 比較 し

,使

用後 は概 念 マ ップ作成 の困難 さが軽 減 した」 と回答 してお り

,具

体的 には 「キー ワ ー ドのつなが りが少 し整理 できていたか らマ ッ プに しやすかつた」「本文 よ りも抽 出 した関係一 覧 を見 てマ ップを作成 した」 と

,シ

ステムに沿

つて文章 を理解

,整

理す る こ とで

,概

念 マ ップ 作成 の困難 さを軽減す るこ とが伺 えた。

また

,概

念 マ ップ作成 において心が けた点に つ いて も

,シ

ステ ム使用前 は 「分 か りやす く作 りたい」 と抽象的であった り,「キー ワー ドだ と 思 わ ない ものは重要視せず

,キ

ー ワー ドと思 う もの をつ なが ってい くよ うに書いた」 と"キー ワ ー ド"に強 く着 日していた りしていたのに対 し,

使 用後 では 「言葉 同士 をつ な ぐ関係性 が大事だ と思 つた」 と具体的 にな り,「関係 をあ らわす言 葉 のチ ョイ スで理解度が変わ りそ う」な ど

,"関

"に着 日 して取 り組 んでい るこ とが確認 された。

加 えて,「キー ワー ド

,関

,関

連語 ごとに整 理 す るこ とができた」,「キー ワー ド同士の関連 性 に着 日で きるので漠然 とせず理解 しやす かっ た.」 と した うえで,「概念 マ ップ を作成す る際 に よ り深 く文章 を理解 できた」 と回答 してい る こ とか ら,"関 係"に着 目す るこ とは

,概

念 を整理 す る際 に有効 である可能性 が示唆 された。

一方,「 日頃か らこのよ うな手法で文章読解 を してい るためマ ップには変化がなかった」「概念 マ ップ 自体 は大 きな変化 はない よ うに感 じた」

とい う回答 も見受 け られ た。また

,実

際 に完成

したマ ップ を比較 して明確 な差異が確認 で きた ものは少数 であつた。そのため

,着

日した"関"

を含 め概念マ ップ上 に表現す る手法 の確 立が必 要で ある点が示唆 され た.

5。 ま とめ と今後の課題

予備 調査 を通 して

,概

念 マ ップ を作成す る際 に"関"に着 目す ることが,作 成 にかかる困難 さ の軽減 につ なが る と仮定 し

,仮

説 に基づ いて構 築 した システ ム を用 いて検 証 した結果

,有

用 で

ある可能性 が示唆 された。

今後 の課題 と して

,概

念 マ ップの定義 を明確 に行 つていなか ったため

,概

念 マ ップ を被験者 間で比較す る と

,個

人差 が大 き くみ られ た

.今

後 は

,こ

れ らの点 について検討が必要である. 主任指導教員

 

森広

 

浩一郎

指導教員

 

小川

 

修史

(9)

「捕」に焦点化 した教材づ くりとその授業実践 一低学年・ゲーム領域において一

1.目

ボ ー ル ゲ ー ム にお い て 「投 」 と 「捕 」 は 身 に 付 け て お き た い 必 要 不 可 欠 な技 能 で あ り、ま た 、 金 子 ら

(1993)が

『 捕 る と投 げ る』 の組 み 合 わせ 運 動 は 、バ レー ボ ー ル な どに 見 られ る『 手 で 打 つ 』運 動 に発 展 す る」とい うよ うに 、「捕 」 と 「投 」 は他 の 動 きの 基 盤 に もな る重 要 な 技 能 で あ る。 しか し、 ボ ー ル 操 作 の 技 能 が 身 に 付 い て い な い 子 ど もは 、ボ ー ル ゲ ー ム の特 性 に 触 れ る こ とが で きず 楽 しむ こ とが で き て い な い。 そ の 要 因 と して 、ボ ー ル を捕 る こ とが で きな い こ とが 考 え られ る。 これ ま で 「投 」 に 関 る教 材 開 発 や 授 業 実 践 の 報 告 は数 多 く見 られ るが 、「捕 」 に 関 して の 報 告 は極 め て 少 な い。

そ こ で 本 研 究 は 、「捕 」 に 焦 点 化 した 教 材 づ く りを行 い 、授 業 実 践 を通 して 得 た 結 果 を報 告 し、「捕 」 教 材 の プ ロ グ ラ ム の 一 試 案 を提 示 す る こ と を 目的 と した。

2.方

(1)「

捕 」 につ い て の 予 備 的 考 察 文 献 等 で調 査 して 整 理 した。

(2)「

捕 」 の 教 材 づ く り

岩 田 の 教 材 づ く りの プ ロセ ス に 基 づ い て

「捕 」 の教 材 づ く りを行 っ た。

(3)「

捕 」 の 教 材 を用 い た授 業 実 践 ①

筆 者 が授 業 者 とな つ て 、子 ど もの 動 きや 反 応 を確 か め 、表 出 した 問 題 の 修 正 等 を 図 り、質 の 高 い 教 材 に 改 変 して い く こ と を ね らい と した 。

(4)「

捕 」 の 教 材 を用 い た授 業 実 践 ②

指 導 者 や 学 習 者 が 異 な つ て も開 発 教 材 が 学 習 者 に とつ て 教 材 が 有 効 で あ る か を検 証 した 。

(5)「

捕 」 の 教 材 プ ロ グ ラ ム の提 案

実 践 か ら得 た 知 見 を も とに して 、プ ロ グ ラム 例 の試 案 を提 示 した。

3.結

果 及 び 考 察

 

 

教育内容 。方法開発 コース

   

行動開発系教育 学 籍番 号

 M14205C

 

   

 

 

 

(1)「

捕 」 に つ い て の 予 備 的 考 察

 

捕 球 の 定 義

ボ ー ル を 「受 け る」 や 「捕 る」 は違 つた もの で は な く、「捕 る」 に 「受 け る」 が含 まれ 、「受 け る」 は 狭 義 の 「捕 る 」 で あ る と捉 え られ た 。 す な わ ち 、 ボ ー ル を受 け る とは 、「ボ ー ル の 動 き を止 め る た め の 捕 り方 」 と し、 ボ ー ル を捕 る とは 、「次 の ボ ー ル 操 作 に つ な げ る た め の捕 り 方 」 と定 義 し、 両 者 を 「捕 球 」 と称 した。

② 捕 球 の 発 達 段 階

Wellman(1937)、

マ イ ネ ル (1960)、 宮 丸 (1981)、 の 研 究 に よ る と、「捕 」の運 動 発 達 に は経 験 や 個 人 差 が あ るが 、小 学 校 1〜

2年

生 で か か え込 む 形 態 か ら手 だ け で 捕 る形 態 へ 熟 達

して い く。 手 で 捕 る こ との 適 時 期 が 低 学 年 で あ る こ とか ら、手 で ボ ー ル を捕 る遊 び の経 験 が 必 要 で あ る。

③ 捕 球 に 必 要 な能 力

捕 球 を 「捕 」 に 至 る た め の 動 き と 「捕 」 に 分 け 、「調 整 力 」 の視 点 で 能 力 を整 理 した。「視 覚 調 整 力 」 と 「補 助 的 調 整 力 (触覚 や 筋 感 覚)」

が 捕 球 に 大 き く関 与 す る。ま た 、「先 取 り能 力 」 は ハ ン ドキ ャ ッチ の 前 提 と な る 欠 か す こ とが で き な い能 力 で あ る と位 置 付 けた。

④ 先 行 実 践 の 批 判 的 検 討

先 行 実 践 で は 、ボー ル ヘ の 対 応 した 捕 球 者 の 動 きが 前 後 中 心 で 、 フ ライ ボ ー ル を 直接 捕 球 す る ゲ ー ム で あ っ た。 そ こで 本 研 究 で は 、前 後 左 右 に捕 球 者 の 動 き を 引 き出 し、ボ ー ル の 軌 道 を 限 定 せ ず に そ の 時 の 状 況 に 応 じて 捕 球 が 選 択 で き る課 題 の 教 材 を つ くる こ と と した。

(2)「

捕 」 の 教 材 づ く り

ボ ー ル 遊 び を 素 材 と して 、「あ っ ち 。こっ ち・

ボ ー ル キ ャ ッチ ゲ ー ム 」 を開発 し、そ の 下位 教 材 と して「来 た ぞ 、来 た ぞ 、ボ ー ル が 来 た ぞ !」

(10)

「追 つ か け ボ ー ル キ ャ ッチ 」「落 下 点 で ボ ー ル タ ッチ 」 を 考 案 した。

【あっち 。こつち 。ボールキャッチゲーム】

バ ド ミン トン コ ー トを使 用 し、 中 央 部 に ゴ ム 紐 を 張 リ コ ー トを 区 分 す る。 ゲ ー ム は 、 ボ ー ル を 自 コ ー トで バ ウ ン ドさせ 、 ゴ ム 紐 の 上 や 下 を 通 らせ て 相 手 コー トに 返 球 し、そ の 飛 来 す る ボ ー ル を 捕 球 者 が そ の 時 の 状 況 に 応 じ て 捕 球 す る ゲ ー ム 。

(3)授

業 実 践 ①

対 象

:S市

F小 2年 (11名 )全 8時

授 業 者 :筆者 (男性 。10年 目)

単 元 序 盤 で は 、返 球 が 捕 球 者 の 正 面 で あ つ た た め 、 ボ ー ル を捕 りに 行 く動 きが 少 な く、 ボ ー ル が 来 る の を 待 つ て 捕 る とい うゲ ー ム 様 相 で あ っ た。 そ の た め 、 第

5時

に は 、 コー ト外 に 3 か 所 コー ン を 置 き 、捕 球 後 に コー ン を旋 回 して か ら返 球 す る とい う変 更 を行 つ て 以 降 、様 々 な 方 向 に ボ ー ル が 散 ら ば リボ ー ル を 追 い か け る 動 き が 現 れ は じめ た。 そ こを境 に 、形 成 的 授 業 評 価 で は 、全 次 元 の 得 点 が 高 ま りを 示 し、高 い 評 価 を得 る こ とが で き た。 ま た 、捕 球 率 は 、 単 元 中盤 か ら終 盤 に か け て 向 上傾 向 を示 した。

これ らか ら、開 発 教 材 の 課 題 は

2年

生 の 子 ど もに とつ て 適 切 で あ る こ とが うか が え た。

(4)授

業 実 践 ②

対 象

:J小 2年

(34名

)/F小 2年

(17名 )

授 業 者

:J小

。男性

/F小

・ 女性 (共

2年

)

ゲ ー ム にお い て 、新 た に フ ェイ ン トや ゴ ロで の 返 球 す る場 面 が 多 く見 られ た。 そ れ に よ り捕 球 者 が ボ ー ル に 対 応 で き な く動 け な くな つ た 。 本 教 材 は捕 球 の 上 達 を ね らつ て い るた め 、捕 球 者 に 易 しくな る よ うに 「フ ェイ ン ト」 と 「 ゴ ロ ボ ー ル の 返 球 」 を制 限 した。 両 校 と も捕 球 率 は 同様 の 推 移 を示 し、単 元 終盤 に 向 上傾 向 を 示 し 捕 球 の 上 達 が うか が え た こ とか ら、最 低 で も 6

7時

間 の 授 業 計 画 が 必 要 で あ る こ とが 示 唆 され た。

捕 球 形 態 は 、ハ ン ドキ ャ ッチ の割 合 が 高 ま る

こ とが な か っ た こ とか ら、本 教 材 に は ハ ン ドキ ャ ッチ の 必 要 性 が 低 か っ た 。 ハ ン ドキ ャ ッチ で 比 較 す る と、 ア ン ダ ー ハ ン ドキ ャ ッチ の 出 現 の 方 が 高 く、ボ ー ル に 対 して 自然 に 手 が 出 しや す い た め と推 察 した。 そ の た め 、跳 ね 上 が って く る ボ ー ル に 対 して も 同 じ よ うに 手 を 出 して い るた め 失 敗 が 多 か っ た。 失 敗 の傾 向 か ら、ボ ー ル ヘ の 手 の 出 し方 や バ ウ ン ドボ ー ル ヘ の 捕 球 の 対 応 が 今 後 の課 題 とな った。

授 業 評 価 で 両 校 か ら高 い 評 価 を 得 る こ とが で きた の は 、本 教 材 は 「ボ ー ル を捕 る」 こ とだ け で な く 「捕 られ な い よ うに 返 球 す る」 こ と も 面 白 さで あ る と子 ど も が 感 じ られ た か ら と考 え られ る。

授 業 実 践 ① ② 共 に 、単 元 終 盤 に か け て捕 球 率 の 向 上 傾 向 が 示 され た こ とか ら、本 教 材 は、捕 球 の 習 得 に つ な が る もの と考 え られ る。 ま た 、 ゲ ー ム 様 相 か ら 「捕 」 に 至 る た め の 動 き を学 ば せ るの に適 して い る。 更 に は 、学 習 者 か らの評 価 も高 か っ た こ とか ら、本 教 材 は

2年

生 に とつ て 適 切 で あ り、挑 戦 的 に 取 り組 め る課 題 で あ る。

(5)「

捕 」 の 教 材 の プ ロ グ ラ ム 例 の 提 案 授 業 実 践 で 得 た 結 果 や 知 見 を 基 に して 、開 発 教 材 で の プ ロ グ ラム の試 案 (単元 計 画 。

1単

位 授 業 の 展 開

)を

提 示 した。

4.今

後 の 課 題

① 本 教 材 を 基 に ハ ン ドキ ャ ッチ の 必 要 性 を 感 じる発 展 教 材 (捕+投の 組 み 合 わ せ た 教 材)

の 開 発。

② バ ウ ン ドボ ー ル の 捕 球 や 手 の 出 し方 に 課 題 が あ り、継 続 的 な「捕 」の 学 習 が 必 要 で あ る。

そ の た め 、 ゲ ー ム領 域 だ け で な く、体 つ く り 運 動 領 域 と合 わ せ て 学 年 を 越 え た 指 導 計 画 を 考 え る必 要 が あ る。

主任 指 導 教 員 :上 原 禎 弘

/指

導 教 員 :森 田啓 之

(11)

中学 校 技 術 科 にお ける生徒 の技 術 ガバ ナ ンス に対 す る意 ■ を高 め る学 習指導 方 法 の検 討

〜 内 容 C「 生 物 育 成 に 関 す る技 術 」 に焦 点 を 当 て て 〜

  

 

教 育 内容 ・ 方 法 開発 コ ー ス 行 動 開 発 系 教 育 学 籍 番 号

 M14207J

  

 

世 良 啓 太

1.はじめに

現在

,技

術・家庭科技術分野(以

,技

術科)におい ては

,中

学生の技術 リテラシーの育成に向けた実践が 重要視されている。日本産業技術教育学会が2012年に 刊行 した「21世紀の技術教育(己Tla」 では,技術教 育のね らいを

,技

術 リテラシーの育成を通 した技術ガ バナンス能力,技術イ ノベーションカの獲得として示 しているlヽ この うち

,技

術ガバナンス能力について は型野ら(2014)が,「科学技術革新の成果を広く深く社 会と生活に浸透 した 21世紀において,国民が自ら技術 の光と影に対して理解し

,判

断 。発言・行動できる能 力」 と定義をしている。また

,技

術ガバナンス能力の

構成要素を 臨軒田】,【選択】,【管理・運用】,【設計】

の4つとし,これ らの能力の実態把握を試みている

'。

その結果,現在の中学生の実態として,【選択】,確疑里・ 運用】の能力に関しては

,一

定の正答率が得られるも のの,I評価】,愕貯十】に関する能力の育成状況は芳 し くないことが明らかにされた。特に

,技

術ガバナンス

能力の中核 となる姉 罰齢νア冴笏秘漸が 十分でな いことは

,今

後の技術科における実践上の重要な課題 であると考えられる。また

,上

野らの研究では

,技

術 ガバナンス能力の向上に向けた授業実践が 3つ の内容 口則して行われている め。 しかし

,中

学生の技術ガ バナンス能力の形成要因や効果的な育成に向けた学習 指導の条件などは明ら力ヽこされていないため,これ ら の実践研究で採用 された授業モデルには必ずしも一貫 性がなく

,ア

プローチが様々である。

そ こで本研究では

,上

野 らの知見を基礎に

,中

学生 の技術ガバナンス能力のうち

,技

術評価能力に焦点を

当て

,中

学生の技術ガバナンスに対する意識の実態を 検討するとともに

,内

C「生物育成に関する技術」

の学習を事例に

,技

術評価能力の育成に向けた学習指 導の条件を検討 した 卜で

,授

業モデルの構築 。実践 。 評価を試みることとした

2敵

巾 第 1章 緒論

第 2章

 

中学生の技術ガバナンスに対する意識の形成 要因の検討

第3章

 

「生物育成に関する技術」における技術評価 課題に対する生徒の反応

第 4章 遺伝子組み換え作物を題材 とした技術科 「生 物育成に関する技術」における技術評価学習

の 難

第5章

 

結論及び今後の課題

3.研究内容 3.1中暉彗

̀痛

M"レ

サ ンスに対する 喘

第2章では

,中

1〜3年生計1938名を対象に質問 紙調査を行い

,中

学生の技術ガバナンスに対する意識 及び形成要因の把握 を行った。その結果

,中

学生は学 年 によって

,技

術ガバナンスに対する意識の形成要因 が異なることが把握された。具体的には,全体 として,

「技術を評価する力」,「適切な技術を選択・活用す る 力」の習得感が技術ガバナンスに対す る意識の形成に 重要な役割を果たしていることが示 され る一方で,「技 術の仕組み理解」の習得感や 「工夫・倉け る力」の

(12)

習得感は学年によって異なる関連性を形成 しているこ とが示 された 特に,「工夫・倉雌す る力」σ灌隋感 は,

3年

生でのみ

,技

術ガバナンスに対する意識の形成に 影響力を示 した これらのことから

,技

術ガバナンス に対する意識の向上を図る授業実践には

,学

年による 習得感孵 囃 を踏まえ動 定螺 麟 法の工夫が必要であることがぶ唆された

3.2『 晰 成に関庁硫 』における― ― に対する生徒の反応

第3章では

,内

C「生物育成に関する技術」にお ける技術評価課題である「遺伝子組み換え技術の是非」

を取 り上げ,中1〜3年生計481名を対象に創思決定 時(肯定・否定・瑞幡

01靖

目する技術評価観点を調査 した。その結果

,否

自的意思決定では

,1年

生におい

,「消費システム」と「運用制限」に着日していたも のが

,2年

生では,「運用制陶 と「ガイ ドライン」

,3

年生では,「ニー内,「世論」,「師 に着目して いることが把握された これに対して肯 静礎祀決定 では,1年生において,「流通システム」と「技術目的」

に着日していたものが

,2年

生では「ニーカ と「将 来展望」に

,3年

生では,「生産システム」に着日して いることが撻握された これらのことから

,具

体的な 技術評価課題を設定 して技術ガバナンス能力を高める ためには

,学

年間における技術評価時の着目観点の差 異から

,学

年に応じて指導の力点を変える必要性のあ ることが示唆された

33       

作物日口けとした技術科「生物庸 け る誦 』における

中学 3年生を対象に 随昨子組み換え技術の議 ゝ をテーマとした技術評価の学習を試行的に実践した その際,第2,3章で得られた知見より中学 3年生の傾 向性を踏まえた手立てを導入した。具体的にlム2 章の知見より,生徒の工夫 。倉雌 を取 り入れた題材「ト マ トの地較栽培」を設定した。その後

,第

3章の知見

より

,嵯

筆紆欄眸換 え技術」

1針

る意思決定時に,

「生産システム」,「ニー内,「世論」, 中 の

4観

点に着目させてディスカッションさせる学習活動 を設定した。その結果,事前事後調査では,「技術の両 い ,「未来に向けた技術の選択・活用の動 などの意識に有意な向上が認められた。また

,設

定 し

た 4観点を含めて技術評価時の観点が広範に有意な向 上を示した。本実践に対する生徒の感想を以下に示す。

・「自分の意見を持つことが大事であり,そのためには技 術についてしつかりと考える必要があると思つた。」

。「∞ 人強のクラスでも意見が割贖るのに世の中lもっと 割

Mと

思つた 社会がこのような問題をもつと活発に 取り上げ

,ス

の人が興味を持つべきだと思つた。」

以上のことから,本実践では生徒が,「遺伝子組み換 え技術」に対して多様な観点で評価し,自分なりの意見 を持つことの大切さに気づくことが

0た

と考えら妨 。

4ま

とめと

以上 本研究では,内容… C「生物育成に関する技術」

の学習を中心として

,技

術ガバナンス能力の向上に向 けた基礎的・実践的な知見を得ることができた。今後 は

,本

調査で把握された技術ガバナンスに対する意識 がどのように技術ガバナンス能力を形成しているか検 討するとともに

,残

る3内容に貝りした実態を把握する ことで

,技

術ガバナンス能力の向上に向けた内容×学 年とい う枠組みを構築する必要性があろう。

[爛

1)日本逢業り読略婦辛嵩

=21帥

瑳姉観陳育(LntD, 

54親1冊C202)

2)上野耕史ら

:齢

ガパナンス能力の実態調査とカリキュラム′

「ガバナンス能力J等の強御 こ関する能力の現状と今後のゆくえ,日立 シンポジウムC2010

Э 藤本弘 野力磨高 藤木卓:「 エネルギ‐変換に関する技陶 の学習 を通したガバナンス能力の育成カ リキュラム,前a,p卜14C20141 0藤井道彦 西ケ谷浩史:「生物商測こ関する技術Jの学習を通したガ

バナンス能力の育由 こ向けた授業実践ゆ轟私 「ガバナンス能力」等の 技術に関する能力の現状を踏まえた今後の技術教育のゆくえ,国立政

成事業シンポジウム,pp.1822C2015)

劇讐騨 場員 知 潤 騨 狽 森山 潤

(13)

ライ フス キル の獲 得 を促 す スポー ツ コー チ ン グス キル 尺度 の開発

1.問

題 と 目的

近 年,一部 の ア ス リー トに よ る暴 力 事 件 や 強 盗 事件等 の 問題 行 動 が マ ス コ ミに よ り 日常 的 に報道 され て い る.ア ス リー トの問題 行 動 の予 防 は早急 に対応 す べ き検 討 課 題 の1つ と して位 置 づ け られ る。そ れ らを予 防 す るた め の1つの 要 因 と して体 育・ スポ ー ツ心 理 学 領 域 で は

 

「ライ フスキル」

(Life Skills:以

,LS)獲

得 を支援 す る調 査 研 究,ま た は 実践研 究 が 国 内外 で活 発 に行 われ て い る。LSと,「日常生活 で生 じる さま ざまな問題 や 欲 求 に 対 して,建設 的 かつ 効果 的 に対 処 す るた め に必要 な能 力 」(WHO,1997)等 と定義 され,わが 国 では21世 紀 にお け る教 育の基本 国標 で あ る 「生 き る力」 に極 めて類 似 した概 念 と して位 置づ け ら れ てい る.そ こで は,スポ ー ツ経験 がLSに正の影響 を与 えて い る こ とが示 され てお り

,獲

得 の程度 は

指 導者 の適 切 な働 きか けが影響 す る と報 告 され て い る (上野 。中込

1998).し

か し

,選

手 のLSの獲 得 を促 す 指 導者 に よ る働 きか け,す な わ ち コー チ ン グスキル

(Coaching SkiHs:以

下,CS)につ い て は

,著

書 な どで経 験 的 に提 示 され て い る場 合 が ほ とん どで あ る.そのた め,本研 究 で は個 人 の経験 則 に偏 らない汎用 的 なLSの 獲得 を促 すCSを 明 らか に し

,同

CSを 評 価 す る尺 度 の開発 を 目的 と した.

2.第

一 次予備 調 査

2.1 

目的

日々の指 導 場 面 にお け るア ス リー トの

LS獲

得 を促 す と考 え られ るCSを,ス ポー ツ指 導者 を 対 象 と した半構 造 化 イ ン タ ビュー調 査 を通 じて 項 目作成 の基礎 的 資料 を収集 す る.

2.2 

方 法

2.2.1 

調 査 時期 2015年 2月 〜同年 4月 初旬

2.2.2 

調査 対象

 

関西

,関

東地 区の スポー ツ

教 育 内 容 ・ 方 法 開 発 専 攻 行 動 開 発 系 教 育 コ ー ス

M14208H

壺 阪

 

圭 祐 指導 に携 わ る指 導者 20名 (男性 17名

,女

3 名,平均 指 導経 験 年 数 15.8±7.7年)であ つた。

2.2。

調 査 内容

 

イ ン タ ビュー で は

,島

本 ほ

か (2013)が一流 の スポー ツ指導者 た ちの実践的 経験 を も とに見 出 した ア ス リー トに求 め られ る LS(ス トレスマ ネ ジメ ン ト,日標 設 定,考え る力,

感 謝す る心 ,コ ミュニ ケー シ ョン,礼儀 。マナー,

責任 あ る行 動

,謙

虚 な′

,体

調 管理

,最

善 の努 力)

の 10側面 を用 い

,LS獲

得 を促 した で あ ろ うCSに つ いて

,1人

1時間程度 これ ま での経験 を語 つ て も らつた。

2.2.4 

手続 き及 び項 目作成 の方 法

 

個 人的 な 経験 に偏 つたCSなど,普遍 的 に展 開 され ていない

よ うなCSは共 同研 究者 3名 と内容 的 妥 当性 を検 討 した うえで除 外 し

,項

目作成 を行 つた 。

2.3 

結 果 及 び 考察

作成 した項 目は 112項 目で あ つた 。 コー チ ン グの 内容 は

,全

体 的 な傾 向 と して一 方的 に指 示 を促 し行 動 を強 制 す るの で は な く

,選

手 の 自発

的 な行 動 を促 す コー チ ン グが展 開 され て い る こ とが示 され た 。例 えば

,考

え る力 の 育成 を促 す CSでは 「選 手 に考 え させ た後 に指 導者 が意 見 を 言 うよ うに して い る」 な ど

,指

導者 がす ぐに答 えを与 え るの で は な く,選手 が 自分 の力 で考 え,

答 えを導 き出す 行 動や 能 力 の 育成 を促 す よ うな コー チ ングが展 開 され ていた。

3.第

二次予備 調 査

3.1 

目的

LS獲得 を促 す CSの因子構 造 を明 らか にす る.

3.2 

方 法

3.2。

調 査 時期

 2015年

5月 〜 同年 10月

3.2.2 

調査 対 象

 

関西

,関

東 地 区の スポー ツ 指導 に携 わ る267名 (男性223名 。女性44名 )

(14)

で あ り

,有

効 回答 は258名で あ つた 。

3.2.3 

調 査 内容

 

研 究 1で作成 した 112項目 を も とに質 問紙 を作成 し,調査 対象者 に対 して,

「日々の指導場 面 につ いてお 聞 き します.」 と記 した後,「現 在 の ご 自身 の様 子 に最 も当て は ま る」 もの を

4件

法 (1.ぜ んぜ ん 当て は ま らない

4。 とて も 当て は ま る

)に

よ り回答 を求 めた 。

3.2.4 

統 計 処 理

 

探 索 的 因 子分析 (主因子 法・

Promax回

)を

行 つ た 。 分 析 に は SPSS Statistics 17.0を使 用 した (有意水 準5%).

3.3 

結 果 及 び 考察

分析 の結 果

, 4因

子解 を得 た 。第 一 因子 は指 導 者 か らの助 言や 自分 の行 動 を頭 の 中だ けで留 めて お くので はな く

,紙

な どに書 き留 めて見 え る もの と して残 しお くよ うに指 導 して い る こ とか ら 「可 視 化 を促 す コー チ ン グ」と命名 した =.90).第 二因子 は様 々な人 に支 え られ てい る状 況へ感 謝す る こ との 大切 さを伝 え る一 方 で

,そ

の 人た ちの思 い を背負 つて競技 を してい るこ とを認識 させ る こ とで責任 感 を育 て る指 導 を して い る こ とか ら 「責 任 感 と感 謝す る心 を育成 す る コー チ ン グ」 と命 名 した =.85).第二 因子 は単 に 目標 を決 め るだ け で はな く

,よ

り効 果的 に 日標 達成す るた めに必 要 な手法 を指 導 してい る こ とか ら 「目標 達成 を促 す コーチ ン グ」 と命名 した =82).第 四因子 は指 導 者 が あれ これ指 示 を与 えて強制 的 に行 動 させ る の では な く

,選

手の考 え を尊重 し能 動 的 な行 動 を 促 進 させ るよ うな指 導 を してい る こ とか ら 「自発 的 な行 動 を促 す コー チ ン グ」と命名 した=75).

4.本

調 査

4。

目的

LSの獲 得 を促 すCSの尺度 開 発 を 目的 とす る。

4.2 

方 法

4。

2.1 

調 査 時期

 2015年

8月 〜 同年

H月

4.2.2 

調査 対象

 

調 査 対象者 は

,関

西

,関

地 区の スポー ツ指導 に携 わ る565名 (男性 472 名 。女性 93名

)で

あ り

,有

効 回答 は551名 で あ

つた。

4。

2.3 

調 査 内容

 

第 二次 予備 調 査 で作成 した 40項 目を も とに質 問紙 を作成 し

,調

査 対象者 に

対 して,予備 調査 と同様 の 方法 で 回答 を求 めた。

4.2.4 

統 計処 理

 

探 索的 因子 分析 (主因子法・

Promax回

)を

行 っ た 。 分 析 に は SPSS Statistics 17.0を使 用 した (有意水 準5%).

4。

結果 及 び 考察

第 一 因子 は紙 な どに書 き留 めて見 え る もの と し て残 しお くよ うに指 導 して い る こ とか ら因子名 は

「可視 化 を促 す コーチ ン グ」

=.80)と

した。

第 二因子 は感 謝す る こ との必 要性 に気づ かせ,

感 謝 の気持 ちを表現 す る こ との重 要性 を促 す コー チ ン グを 日々の指 導場 面 で 実践 して い る こ とか ら

「感 謝す る心 の育成 を促 す コー チ ング」 =.74) と命 名 した

.第

二 因子 は指 導者 が あれ これ指示 を 与 えて強制 的 に行 動 させ るの で は な く

,選

手 の考

えを尊 重 し能 動 的 な行 動 を促 進 させ る よ うな指 導 を して い る こ とか ら

,因

子 名 は 「自発 的 な行 動 を 促 す コー チ ン グ」

=.73)と

命名 した

.第

四因 子 は単 に 目標 を決 め るだ けで はな く

,よ

り効果的 に 目標 達成 す るた め に必要 な手法 を指 導 して い る こ とか ら因 子名 は 「目標 達成 を促 す コー チ ン グ」

=.70)と 命 名 した

.各

々の因子 とも α係数 は 基 準値 で あ る.70以上 で あ り

,尺

度 と して の信頼 性 は確保 され て い る こ とが示 され た 。 また

,予

備 調査 と本調 査 を通 じて因子構 造 は安 定 してお り,

尺度 と して の内容的 妥 当性 が確 認 され た。以 上 の 結 果

,4下

位 尺度 (因

)か

らな るLSの獲得 を促 す 「スポー ツ コー チ ン グス キル 尺度 」 が開発 され た.

5。 今 後 の展 望

今 後 は本 尺度 を用 い て

,CSが

選 手 のLSにどの 程度 影響 を与 え るのか につ いて

,質

,又

は縦 断 的 に検討す る こ とが求 め られ るだ ろ う.

附記

本研 究 は笹川 スポー ツ財 団 に よる 「笹川 スポ ー ツ研 究助成 」の適用 を受 けて実施 しています 。

主 な文 献

上野耕 平 。中込 四郎 (1998)高 校 運動 部活動 にお け る生徒 の ライ フスキル 獲得 に関す る研 究

.体

育学研 究

,43:33‑42.

主任 指導教員 :山本 忠志

/指

導教 員 :島本好 平

参照

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