博 士 ( 工 学 ) 吉 田 雅 紀
学位論文題名
Stereoselective Synthesis of Fluoroalkenes Using Fluoroalkenyliodonium Salts
(フルオロアルケニルヨードニウム塩を利用した フ ル オ ロ ア ル ケ ン の 立 体 選 択 的 合 成 )
学位 論文内容の要旨
有 機 フ ッ 素 化 合 物 は 医 薬 や 農 薬 を 中 心 と し て 液 晶や 染料 に も用 いら れ るな ど幅 広 い分 野で 需 要が 高 ま っ て いる が、 天 然に はほ と んど 存在 し ない ため 人 工的 に合 成 する 必要 が ある 。医 農 薬の 分野 で は天 然 生 理 活 性物 質に フ ッ素 を導 入 する とそ の 活性 が増 強 され るこ と が知 られ て いる 。と こ ろで 生理 活 性物 質 に は 分 子内 に二 重 結合 を持 つ 化合 物が 多 いこ とか ら 、特 にフ ル オロ アル ケ ンの 合成 は 含フ ッ素 生 理活 性 物 質 合 成に おい て 関心 を集 め てい る。 し かし 、フ ッ 素を 導入 す る位 置や 二 重結 合の 立 体に より そ の活 性 が 大 き く異 なる た め、 フル オ ロア ルケ ン を立 体選 択 的に 合成 す るこ とは 非 常に 重要 で ある 。こ れ まで に 知 ら れ て い る フ ル オ ロ ア ル ケ ン の 合 成 法 と し て は 、Horner‑Wadswortll.Emmon8反 応を 利用 す る方 法 が 一 般 的で ある が 、通 常こ の 方法 で得 ら れる フル オ ロア ルケ ン は立 体異 性 体の 混合 物 であ る。 最 近、
い く っ か の新 しい 立 体選 択的 な フル オロ ア ルケ ンの 合 成法 が開 発 され てい る が、 いず れ の場 合も 特 異な 原 料 を 用 いた 場合 に のみ 高い 立 体選 択性 が 得ら れる 結 果と なっ て おり 、未 だ 幅広 く利 用 可能 な有 用 な方 法 は 報 告 され てい な い。 本研 究 は様 々な 構 造を 持つ フ ルオ ロア ル ケン を収 率 良く 高い 立 体選 択性 で 得る ことを目的 としている。
本 論 文 は 序 論 お よ び8章 で 構 成 さ れ て お り 、 序 論 で は 研 究 の 背 景 と 目 的 に つ い て 述 べ た 。 第1章では1.アルキンから(め.2.フルオロー1.アルケニル(ダトリルぅヨードニウム塩を経由し(D・2. フ ルオ ロ.1.ヨ ー ド‐1‐ア ルケ ン を合 成す る方法について 述べた。1‐アルキンをEbN.5HF存在下にヶヨ ー ドト ルエ ン ジフ ルオ ラ イド と反 応 させ ると 位 置お よび 立 体選 択的 に付加反応が進行し (D‐2.フルオロ
・1゜ ア ルケ ニル ヨ ード ニウ ム 塩が 得ら れ た。この ヨードニウム塩を 単離することなくヨ ウ化銅およびヨウ 化 カ リ ウ ム と 反 応 さ せ る と ( め .2. フ ル オ ロ ‐1 ̄ ヨ ー ド ‐1. ア ル ケ ン が立 体選 択 的に 得ら れ た。
第2章で は(D→ロ ‐フルオロ ‐Q,ロ ・不飽和エステルの 合成について述べ た。第1章 で述べた方法によ り(め ̄2‐フルオ ロ‐1.ア ルケニルヨードニ ウム塩を合成し、パラジウム触媒の存在下、メタノール溶媒中、
一酸化 炭素雰囲気で反応 を行うと、(カ・ ロ・フルオロ.a,ロ・不飽 和エステルが立体選 択的に得られた。
第3章では フルオロアルカジエ ンの立体選択的合 成について述べた 。(め‐2.フルオロ‐1.アルケニル ヨ ード ニウ ム 塩を パラ ジ ウム 触媒 お よび 塩基 の 存在 下、a,ロ ・ 不飽 和カ ル ボニ ル化 合 物と反応させると He出反応が 進行し、(Eめ・6.フルオロ‐a,日,ッ,6‐不飽和カ ルポニル化合物が 立体選択的に得られた。
こ の 反 応 を 用 い て 、 生 理 活 性 物質13HODEの含 フ ッ素 類似 体 の立 体選 択 的合 成を 行 った 。ま た (励 .2・
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フ ル オ ロ .1‐ ア ル ケ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 を パ ラ ジ ウ ム 触 媒 存 在 下 に ト リ ブ チ ル ビ ニ ル ス ズ と 反 応 さ せ る と Stille反 応 が 進 行 し ( D‐ 4‐ フ ル オ ロ ‐1,3・ ア ル カ ジ ェ ン が 立 体 選 択 的 に 得 ら れ た 。 第4章 では (D.2‐フ ル オロ ‐1. アル ケニ ル ヨー ド ニウ ム 塩お よ び( 窃‐2‐ フ ルオロ.1. ヨード‐1.ア ルケン を 用 い た 鈴 木 ‐ 宮 浦 反 応 に つ い て 述 べ た 。 ( め ・2. フ ル オ ロ‑1‐ ア ル ケ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩と フェ ニ ルボ ロ ン 酸 と の カ ッ プ リ ン グ 反 応 を 行 っ た と こ ろ 、 ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 の ア ル ケ ニ ル 基 側 で は な く ヶ ト リ ル 基 側 で の 反 応 が 優 先 的 に 進 行 し 、 目 的 の フ ル オ ロ ア ル ケ ン は ほ と ん ど 得 ら れ な か っ た 。 そ こ で 、 ( め .2. フ ル オ 口
‐1‐ ア ル ケ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 を い っ た ん (D‐2‐ フ ルオ ロ .1‐ヨ ード .1‐ アル ケ ンヘ と 変換 した 後 にカ ッ プ リ ン グ 反 応 を 検 討 し た と こ ろ 、 種 々 の ア リ ー ル ボ ロ ン 酸 お よ び ( め ‐1‐ ア ル ケ ニ ル ボ ロ ン 酸 と の 反 応 に よ り対 応 する ( あ.2. フル オ ロ‑1. アリ ー ル.1. アル ケ ンま た は(ED‐4‐ フ ルオ ロ ‐1,3.アル カジェンが高 立体選 択的 に 得ら れ た。
第5章 で は 第4章 で 紹 介 し た 方 法 を 用 い て 共 役 ジ ェ ン 構 造 を 持 つ 昆 虫 性 フ ェ ロ モ ン の 含 フ ッ 素 誘 導 体 合 成 を 行 っ た 結 果 に つ い て 述 べ た 。 本 反 応 に よ り2種 類 の 含 フ ッ 素 誘 導 体 が 高 収 率 、 高 立 体 選 択 的 お よび 短 行程 で 合成 でき た 。
第6章 では (D・2.フ ル オロ .1. アル ケニ ル ヨー ド ニウ ム 塩お よ び(D.2‐ フル オ ロ‐1. ヨ ード .1‐ア ルケン と1‐ ア ル キ ン と の 薗 頭 反 応 に つ い て 述 べ た 。 (D.2. フ ル オ ロ‑1. ア ル ケ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 を 用 い た 反 応 で は 目 的 の ( 励 ‐1‐ フ ル オ ロ ‐1,3‐ エ ン イ ン が 中 程 度 の 収 率 で 得 ら れ た が 、 ダ ト リ ル ア ルキ ンが 多 量に 副 生 し た 。 そ こ で ( め .2‐ フ ル オロ ‐1. アル ケニ ル ヨー ド ニウ ム 塩か ら (D 2. フ ルオ ロ‑1‑ヨー ド‑1‑ア ル ケン へ と 変 換 し た 後 に 薗 頭 反 応 を 行 う と 目 的 の ( め ‐1. フル オ ロ‐1,3‐ エ ンイ ンが 高 収率 、 高立 体 選択 的に 得 られ た 。 以 上 第1章 か ら 第6章 ま で で ( め ‐2. フ ル オ ロ‑1‑ア ル ケ ニ ル ヨ ー ド ニウ ム 塩お よ び( あ ‐2.フ ルオ ロ .1. ヨ ー ド‑1‐ ア ル ケ ン を 利 用 し た ( め ‐2. フ ル オ ロ .1‐ ア ル ケ ン 誘 導 体 の 合 成 に つ い て 述 べ た 。 | 第7章 で は1‐ ア ル キ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 の1. ア ル キ ン か ら の 新 規 直 接 合 成 法 に っ い て 述 べ た 。1− ア ル キ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 は 求 核 的 な フ ッ 素 化 試 薬 と マ イ ケ ル 付 加 型 の 反 応 を 起 こ し ( カ ‐2‐ フ ル オ ロ ‐1. ア ル ケ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 を 生 成 す る こ と が 知 ら れ て い る が 、 こ れ ま で1. ア ル キ ン か ら 二 段 階 で 合 成 す る 方 法 が 最 も 一 般 的 で あ っ た 。 今 回 、1. ア ル キ ン を 塩 化 メ チ レ ン 溶 媒 中 、 ヨ ー ド シ ル ベ ン ゼ ン 、 テ ト ラ フ ル オ ロ ホ ウ 酸 と 触 媒 量 の 酸 化 水 銀 を 加 え て 反 応 さ せ る と 種 々 の1‐ ア ル キ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 が1‐ ア ルキ ン から 一 段階 で収 率 良く 得 られ る こと がわ か った 。
第8章 で は ( カ .2‐ フ ル オ ロ‑1. ア ル ケ ニ ル ヨ ード ニ ウム 塩 の高 効率 的 な合 成 と( カ ‐2‐フ ルオ ロ‑1 ̄ ア ル ケ ン 誘 導 体 合 成 へ の 応 用 に つ い て 述 べ た 。 金 属 フ ッ 化 物 を 用 い る 従 来 法 に よ る1. ア ル キ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 か ら の ( カ .2‐ フ ル オ ロ .1‐ ア ル ケ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 の 合 成 で はそ の 収率 は20% 程 度で あっ た 。今 回 、 1. ア ル キ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 と フ ッ 化 水 素 酸 と を 反 応 さ せ た と こ ろ 、 約80% の 収 率 で ( カ .2.フ ルオ ロ .1‐ ア ル ケ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 が 得 ら れ る こ と を 見 出 し た 。 ま た 、 こ の よ う に し て 合 成 し た ( カ ‐2‐ フ ル オ ロ
‑1‑ア ル ケ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 お よ び そ の 誘 導 体 で あ る ( カ .2. フ ル オ ロ‑1‑ヨ ー ド‑1‑ア ル ケ ン を 用 い て 種 々 の カ ッ プ リ ン グ 反 応 を 行 っ た と こ ろ 様 々 な 構 造 を 持 つ ( カ ‐2. フ ル オ ロ  ̄1, ア ル ケ ン 誘 導 体 が 高 収 率 、 高立 体 選択 的 に得 られ た 。
以 上 、 申 請 者 は1. ア ル キ ン か ら (D‐2‐ フ ル オ ロ‑1. ア ル ケ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 を 高 立 体 選 択 的 に 合 成 す る 方 法 を 見 出 し 、 そ の 後 パ ラ ジ ウ ム 触 媒 を 用 い た 種 々 の カ ッ プ リ ン グ 反 応 を 行 う こ と で 様 々 な 構 造 を 持 つ ( め ・2. フ ル オ ロ‑1‑ア ル ケ ン 誘 導 体 を 得 る こ と に 成 功 し た 。 ま た 、 従 来 法 で は 低 収 率 で し か 得 ら れ な か っ た ( カ .2. フ ル オ ロ‑1‑ア ル ケ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 を 高 収 率 か つ 高 立 体 選 択 的 に 得 る 方 法 を 見 出 し 、
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( カ.2‐ フル オ ロ‑1. アル ケ ン 誘 導 体 合 成 への 応 用 にも 成功し た。 さらに 、( カ.2‐ フル オロ.1・ア ルケ ニルヨ ー ド ニ ウ ム 塩 の 原 料 と な る1・ ア ル キ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 を 新 規 に 開 発 し た 方 法 に よ り 収 率 良 く 、 従 来 法 よ りも 簡 便 に 合 成 す る 方法 を 見 出 し た 。
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学位 論文審査の要旨
学位論文題名
Stereoselective Synthesis of Fluoroalkenes Using Fluoroalkenyliodonium Salts
(フルオロアルケニルヨードニウム塩を利用した フ ル オ ロ ア ル ケ ン の 立 体 選 択 的 合 成 )
有 機 フ ッ 素化 合 物 は 医 薬 や 農 薬を 中 心 と し て 液 晶や 染 料 に も 用 い られ る な ど 幅 広 い 分 野で 需 要 が 高 ま っ てい る が 、 天 然 に は ほ と ん ど 存 在 し な ぃ た め 人 工 的 に 合成 す る 必 要 が あ る。 医 農 薬 の 分 野 で は天 然 生 理 活 性 物 質に フ ッ 素 を 導 入 す る と そ の 活 性が 増 強 さ れ る こ と が知 ら れ て い る 。 とこ ろ で 生 理 活 性 物質 に は 分 子 内 に 二 重結 合 を 持 つ 化 合 物が 多 い こ と か ら 、 特 にフ ル オ ロ ア ル ケ ン の合 成 は 含 フ ッ 素 生理 活 性 物 質 合 成 にお いて 関心を 集め ている ごし かし、 フッ 素を 導 入 す る 位 置 や 二重 結 合 の 立 体 に よ りそ の 活 性 が 大 き く異 な る た め 、 フ ルオ ロ ア ル ケ ン を 立 体選 択 的 に 合 成 す るこ と は 非 常 に 重 要 で あ る 。 こ れ ま で に 知 ら れ て いる フ ル オ ロ ア ル ケン の 合 成 法 と し て は、Homer‑Wadsworth‑Emmons反 応 を 利 用 す る 方 法 が― 一 般 的 で あ る が 、通 常 こ の 方 法 で 得ら れ る フ ル オ ロ アル ケン は立体 異性 体の混 合物 である 。最 近、
い く っ か の 新 し い 立 体 選 択 的 な フ ル オ ロ ア ルケ ン の 合 成 法 が 開発 さ れ て い る が 、 いず れ の 場 合 も 特 異な 原 料 を 用 い た 場 合 に の み 高 い立 体 選 択 性 が 得 ら れる 結 果 と な っ て おり 、 未 だ 幅 広 く 利用 可 能 な 有 用 な 方 法は 報 告 さ れ て い ない 。 本 研 究 は 様 々 な 構 造 を 持 つ フ ル オ ロ ア ル ケ ン を 収 率 良 く 高 い 立 体 選 択 性 で 得 る こ と を 目 的 と し て い る 。 論文は序論および8章で構成されており、序論では研究の背景と目的について述べている。
第1章では1‐アルキンから(め→2‐フルオロ‑1‑アルケニル(p‑トリ′レ)ヨードニウム塩を経由し(め‐2‐フルオロ‑1‑ヨード.1 ‑ ア ル ケ ン を 合 成 する 方 法 に つ い て 述べ ている 。1‐ アル キンをEt3N‑5HF存 在下 にp‐ヨ ード トルエ ンジ フルオ ライ ドと反 応 さ せる と位置 およ び立体 選択 的に付 加反 応が進 行し (め−2−フ ルオ ロ‑l‑ア ルケニ ルヨ ードニ ウム 塩が得 られ ること 、さら に この ヨード ニウ ム塩を 単離することなくヨウ化銅およびヨウ化カリウムと反応させると(め‐2‐フルオロ‑1‑ヨード‑1‑アルケ ンが立体選択的に得られることを見出している。
第2章で は( め‐ロ ‐フ ルオロ‑a,ロ −不 飽和エ ステ ルの合 成に ついて 述べ ている 。第1章で 述べた 方法 により(E)・2‐フ ル オ ロ‑1‑ア ル ケ ニ ルヨ ー ド ニ ウ ム 塩 を合 成 し 、 パ ラ ジ ウム触 媒の 存在下 、メ タノー ル溶 媒中、 ー酸 化炭素 雰囲 気で反 応 を行い、(E)‑ロ‐フルオロ‑a,ロ‐不飽和エステルを立体選択的に得ている。
第3章 で は フ ル オ ロア ル カ ジ エ ン の 立体 選 択 的 合 成 に ついて 述べ ている 。( め‐2−フル オロ‑1‑アル ケニル ヨー ドニウ ム 塩 を パ ラ ジ ウ ム 触 媒 お よ び 塩 基 の 存 在 下 、0, ロ − 不 飽 和 カ ル ボ ニ ル 化 合 物 と 反応 さ せ る とHeck反 応 が 進 行し 、
¢ ,め .6 ‑フ ルオロ ・ば ,ロ,v,6― 不飽 和カル ボニ ル化合 物が 立体選 択的 に得ら れる ことを 見出 している。この反応を用 い て 、 生 理 活 性 物質13 HODEの含 フ ッ 素 類 似 体 の 立体 選 択 的合成 を行 ってい る。 また( め.2‐フル オロ‑1‑アル ケニル ヨ ―102ー
治 生
夫
正 昌
憲
田 浦
原 徳
宮
授 授
授
教 教
教
査 査
査
主 副
副
ード ニウム 塩を パラジ ウム 触媒存 在下 にトリ ブチ ルビニ ルス ズと反 応さ せるとStille反 応が進行し(D4゛フルオロ‐1,3‐ア ルカジェンが立体選択的に得られることを見出している。
第4章では (め ‐2‐フ ルオ ロ‑1‑ア ルケニ ルヨ ードニウム塩および(め‐2_フルオロ‑1‑ヨート1‐アルケンを用いた鈴木‐宮 浦反 応につ いて 述べて いる 。(め ‐2‐ フル オロ‑1‑アルケ ニル ヨード ニウ ム塩と フェ ニルボロン酸とのカップリング反応を行 っ た と ころ 、 ヨ ー ド ニウ ム塩 のアル ケニ ル基側 では なくp.トリ ル基 側での 反応 が優先 的に 進行し 、目 的のフ ルオ ロアル ケ ンは ほとん ど得 られな かっ た。そ こで 、(め12‐フ ルオ ロ‑1‑ア ルケニルヨードニウム塩をぃったん(D12‐フルオロ‑1‑ヨード
‑1‑ア ルケ ンヘと 変換 した後 にカ ップリ ング 反応を 行い 、種々 のア リール ボロ ン酸お よび (め‐1‐ア ルケニ ルボ ロン酸 との 反応 により 対応 する(D12‐ フルオ ロー1‐アリ ール‑1‑アルケンまたは他Dー4‑フルオロ‐1,3‐アルカジエンを高立体選択的に 得ている。 .
第5章 で は 第4章 で 見 出 し た 方 法 を 用 い て 共 役 ジ ェ ン 構 造 を 持 つ 昆 虫 性 フ ェ ロ モ ン の 含 フ ッ 素 誘 導 体合 成 を 行 っ た 結 果 に つ い て 述 べ て い る 。 本 反 応 に よ り2種 類 の 含 フ ッ 素 誘 導 体 が 高 収 率、 高 立 体 選 択 的 およ び 短 行 程 で 合 成し ている。
第6章では (D12. フル オロ‐ トア ルケニ ルヨ ードニウム塩および(め.2.フルオロ‑1‑ヨード‑1‑アルケンと1‐アルキンとの 薗頭 反応に つい て述べ てい る。( め12− フル オロ―1ーア ルケ ニルヨ ード ニウム 塩を 用いた 反応 では目 的の(D‐1‐フルオロ
―1,3‐エ ンイン が中 程度の 収率で得られたが、p小リルアルキンが多量に副生した。そこで(め‐2‐フルオロ‑1‑アルケニルヨ ードニウム塩からCめ‐2‐フルオロ‑1‑ヨーF'‑i ‑アルケンへと変換した後に薗頭反応を行い、目的の(D‐1‐フルオロ‐1,3‐エ ンインを高収率、高立体選択的に得ている。
第7章 では1‐ アル キ ニ ル ヨ ー ド ニウ ム 塩 の1‐ ア ル キ ン か らの 新 規 直 接 合 成 法 につい て述 べてい る。1←アル キニ ルヨ ー ド ニ ウム 塩 は 求 核 的 な フッ 素 化 試 薬 と マイ ケル付 加型 の反応 を起 こしの ‐2一 フルオ ロ‑1‑ア ルケ ニルヨ ード ニウム 塩を 生 成 す るこ と が 知 ら れ て いる が 、 こ れ ま で1― ア ル キン か ら 二 段 階 で 合成 す る 方 法 が 最 も 一般 的 で あ った 。本 研究で は 1‐ ア ル キ ン を塩 化 メ チ レン溶 媒中 、ヨー ドシ ルベン ゼン 、テト ラフ ルオロ ホウ 酸と触 媒量 の酸化 水銀 を加え て反 応させ る と 種 々 の1. ア ル キ ニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩 が1‐ ア ル キ ン か ら 一 段 階 で 収 率 良 く 得 ら れ る こ と を 見 出 し て い る 。 第8章で は(め12−フ ルオ ロ‑1‑ア ルケニ ルヨ ードニ ウム 塩の高 効率 的な合 成と (め‐2‐フ ルオロ‑1‑アル ケン 誘導体 合成 へ の応用 につ いて述 べて いる。 金属 フッ化 物を 用いる 従来 法によ る1‐ アルキ ニル ヨード ニウ ム塩か らの (め‐2‐フ ルオロ
‑1‑ア ル ケニ ル ヨ ー ド ニ ウ ム 塩の 合 成 で は そ の 収率 は20% 程 度で あ っ た 。 本 研 究 では1‐ アル キニル ヨー ドニウ ム塩 とフ ツ化 水素酸 とを 反応さ せた ところ 、約80%の 収率で (め ‐2‐ フルオ ロ‑1‑ア ルケ ニルヨ ードニウム塩が得られることを見出し ている。また、このようにして合成した(め.2・フルオロ‑1‑アルケニルヨードニウム塩およびその誘導体である(め.2.フルオ ロ‑1‑ヨード‑1‑アル ケン を用い て種 々のカ ップ リング 反応 を行っ たと ころ様 々な 構造を 持つ(め‐2‐フルオロ‑1‑アルケン誘 導体を高収率、高立体選択的に得ることに成功した。
これ を要 するに 著者 は1‐ アルキ ンか ら(E)‑お よび( め‐2‐フ ルオロ‑1‑アル ケニ ルヨー ドニ ウム塩 を高立体選択的に合成 す る 方 法を 見 出 し 、 そ の 後パ ラ ジ ウ ム 触 媒を 用いた 種々 のカッ プリ ング反 応を 行うこ とで 、これ まで 困難で あっ たフル オ ロ ア ル ケ ン の 立 体 選 択 的 か つ 効 率 的 な 合 成 に 成 功 し た 。こ の こ と か ら 本 研 究は 有 機 合 成 化 学 の分 野 に お け る 興 味に 留 ま ら ず 、 含 フ ッ 素 生 理 活 性 物 質 合 成 の 観 点 か ら 医 農 薬 の 分 野 に 対 し て も 貢 献 す る と こ ろ 大 な る も の が あ る 。 よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。
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