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博 士 ( 農 学 ) 砂 川 政 英 学 位 論 文 題 名 Interspecific Heterokaryon Formation Between Auricularia auricula - judae And Auricularia polytricha By Electrical Protoplast Fusion

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 砂 川 政 英

学 位 論 文 題 名

Interspecific Heterokaryon Formation Between Auricularia        auricula ‑ judae And Auricularia polytricha       By Electrical Protoplast Fusion

( キ ク ラ ゲ と ア ラ ゲ キ ク ラ ゲ の 電気 的 プ口 ト プラ ス ト 融合 に よ るへ テ ロカ リ オンの 形成)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  本研究はキクラゲとアラゲキクラゲのプ口卜プラスト融合を行うにあたルプロトプラストの調 製,培養条件を検討し,また雑種細胞を選抜するため代謝阻害処理を行いその諸条件にっいて検 討した。そしてプ口トプラスト融合によって得られた融合株の性質を明らかにするため様々な解 析がなされた。

1.キクラゲとアラゲキクラゲの性質

  供試菌として用いられるキクラゲとアラゲキクラゲの菌糸伸長に関する温度特性及び木粉培地 の適性を検討し,また両菌株の栽培特性も明らかにした。キクラゲとアラゲキクラゲの菌糸伸長 に関する最適温度は共にPDA (20%ジャガイモ抽出液,1%デキスト口―ス,1.5%寒天)培 地上 で25〜30℃ であ った 。また 菌糸伸長速度に関しては,両 菌株共に同程度であった。

  ブナ,シラカンバ及びミズナラの木粉培地を用いて菌糸伸長の比較を行った結果,キクラゲ,

アラゲキクラゲ共にシラカンバ培地で最も良い結果が得られた。アラゲキクラゲの場合,ブナ培 地でも比較的良い菌糸伸長が得られた。しかしながら,ミズナラの木粉培地においては両菌株の 菌糸伸長fま認められなかった。木粉培地上でのキクラゲ,アラゲキクラゲの菌糸伸長速度におい ては,ブナ培地を用いた場合に顕著な差が認められ,アラゲキクラゲの菌糸伸長速度が優れてい た。 また ,シ ラ カン バ培 地に おい て もア ラゲ キク ラ ゲの 方が 良い 伸長 速 度を示した。

  添加物の影響を検討するため,両菌株に対して菌糸伸長が良かったシラカンバ培地に米糠及び フスマが添加された。その結果,米糠,フスマ共に無添加培地よりもキクラゲ,アラゲキクラゲ

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の菌糸 伸長に 対し て促進 効果が認められた。特にフスマを用いた場合に最も良い結果が得られた。

栽培特 性にお いて は,ア ラゲキ クラゲ の方 が,子 実体を 形成す るまで の培養日数が短く,また子 実体の 収量も 良い 結果が 得られ た。

  以上 の結果 により ,供試 菌の性 質が 明らか にされ ,アラ ゲキ クラゲ はキクラゲに比ベ栽培が容 易であ ること が見 いださ れた。

2.キク ラゲと アラゲ キクラ ゲの プロ卜 プラス 卜の調 製・ 培養

  キク ラゲ及 びアラ ゲキク ラゲ のプ口 トプラ ストの 調製 に影響 を及ぼ すと考 えられる細胞壁溶解 酵 素 , 菌 糸 の 培養 日 数 等 が 検討 さ れ た 。 その 結 果 , 菌 糸の 培 養 培 地 をSMY(1%シ ョ 糖 ,1% 麦 芽工 キ ス ,O.4% 酵 母 工 キス) でキク ラゲで は4日間, アラ ゲキク ラゲで は6日間培 養し, 酵 素 処 理 液 っ ま り, ノ ボ ザ イ ム2341%と キ チ ナ ー ゼ0.1% の 処理 液lmlに 対 し て 約200mgの 生菌 体 を 用 い た 場 合 に プ 口 ト プ ラ ス ト の 高 い 収 量 (5〜7 Xl0 個/ml)が 得 ら れ た 。   作出 された プロト プラス トを 菌糸ま で復帰 させる ため ,菌糸 の培養 日数及 び再生培地に関する プ ロト プラ ストの 培養 条件を 検討し た。そ の結 果,キ クラゲ では培 養4日目, アラゲ キク ラゲで は6日 目 の 菌 体 を 用 い て 前 述 し た 条 件 でプ ロ ト プ ラ スト を 単 離 し ,そ れ ら をpH7付 近 のStMY

(1%澱粉 ,1%麦芽 工キス ,O.4%酵母 工キス )再 生培地 に塗布 した場 合に 高い再生率(6.5〜 7.5% ) が 得 ら れ , 融 合 処 理 後 の プ ロ ト プ ラ ス ト の 再 生 ( 融 合 率 ) に 期 待 がも た れ た 。

3.キク ラゲと アラゲ キク ラゲの プ口卜 プラス 卜融合

  人為 的に誘 導した 遺伝 的マー カーを 用いる ことな く体 細胞雑 種をス クリー ニングするため,キ ク ラ ゲ とア ラ ゲ キ ク ラゲ か ら 誘 導 した 一 核 菌 糸 (MoAll,MoP16)に 対 し 融 合前 処 理 と し て代 謝 阻害 処 理 を 行 っ た。 処 理 後 の プロ ト プ ラ ス トの 破壊 率と再 生率の 結果に より,MoAllのプ口 トプ ラス卜 に対し ては4%の ヨード 酢酸ナ トリ ウム, アラゲキクラゲのプ口トプラストに対しては 4% のジェ チル ピロカ ーボネ ートに よる4℃,30分間 の処理 が適当 である と判 断された。それらの プロ トプラ ストを 用いて ,電気 的な 融合条 件を検 討した 。0. ImMの塩化カルシウムおよびO.5mM 塩 化マ グ ネ シ ウ ム を含 むO. 5Mマンニ トール 溶液 に懸濁 したプ 口トプ ラスト を2MHz,500 V/cm の 高周 波 を10分間 印 加 し プ 口ト プ ラ ス ト の パー ル チ ェ ー ンを 形 成 さ せ次 いでlOUsec,3kV/cm の 直流 パ ル ス を1秒 間 隔 で2〜5回 印 加 し て融 合 処 理を行 った 。そし て,そ れらの プロ トプラ ス トをStMY再生培 地に 塗布し た結果 高い融 合率 (1.2% )が得 られ た。

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4.融合株 の性質

  プ口 トプラ スト の融合 によっ て得ら れた5株の 融合 株の性 質を明 らかに するた め菌 糸伸長 の温 度 特性 および 木粉培 地の選 択性, 対峙 培養, アイソ ザイム 及び 生化学 的な分析に関して両親株及 び 一核 菌糸と の比較 検討を 行った 。ま た,融 合株の 子実体 の形 成も試 みた。更に遺伝子レベルで の 分析 を行う ため, 融合株 のミト コン ドリアDNAを 解析し た。

  5株 の 融 合 株 の 菌 糸 伸 長 に 関 す る最 適 温 度 は ,PDA培 地 上で30℃ であ り , こ れ はMollと 類 似 して いた。 また, 菌糸伸 長速度 は親 株及びMoP16と 類似 してい た。

  ブナ ,シラ カン バ及び ミズナ ラの木 粉培 地を用 いて菌 糸伸長 の比較 を行 った結 果,5株の 融合 株 のす べは親 株と同 様,シ ラカン バ培地で良い結果が得られた。また,木粉培地に添加物(米糠,

フ スマ )を加 えた場 合に無 添加培 地よ りも菌 糸の伸 長が促 進さ れた。 すべての融合株は親株,一 核 菌糸 より菌 糸密度 が濃か った。

  融合 株を親 株, 一核菌 糸のそ れぞれ と対 峙培養 した結 果,5株の 融合株 すべて は両 方に対 して 拮 抗 線 を 形 成 し た 。 ま た , そ の 融 合 株 は ク ラ ン プ コ ネ ク シ ョ ン を 有 し て い た 。   工ステ ラーゼ のアイ ソザ イム分 析にお いて, すべて の融 合株は それぞ れの一核菌糸に特異的な バ ンド を併せ 持って いるこ とが確 認さ れた。

  ば―ガ ラクト シダー ゼ活 性にお いては すべて の融合 株に 活性が 認めら れたが,フェノールオキ シ ダ ー ゼ 活 性 に お い て は5株 の 融 合 株 の う ち1株 に お い て そ れ が 認 め ら れ た 。   融合株 の子実 体形成 を試 みたと ころ,1っ の融合 株において幼子実体の形成が認められ,その融 合 株 の ミ ト コン ド リ アDNAの 解 析 を 行っ た 。 そ の 結果 , ゲ ノ ム サ イズ が90kbpであ るこ とが確 認 さ れた。Hindmを用い た制限 酵素断 片パ夕 一ン におい ては, その融 合株 はそれ ぞれの 一核菌 糸 に 特 異的な バンド(3.2,3.5kbp)を併 せ持 ってい た。ま た,そ の融 合株に 一核菌 糸と異 なる2つ の バン ド(2.1,2. 5kbp)が 存在す るこ とから ,それ らの断 片は両 菌株 のミトコンドリアDNAが プ 口 ト プ ラ ス ト の 融 合 によ っ て 相 互 に 組み 換 え が 起 こっ た 結 果 生 じた も の と 考 察さ れ た 。   以上 の結果 によ り,5株の 融合株 はキク ラゲと アラ ゲキク ラゲの プロト プラス ト融 合によ って 得 られ たヘテ ロカリ オンで あるこ とが 結論さ れた。

  本研究 におい て,遺 伝的 なマー カーを 用いず ,キク ラゲ とアラ ゲキク ラゲのプ口トプラスト融 合 によ ってヘ テ口カ リオン を得る ことができた。そのヘテロカリオンは幼子実体を形成したので,

発 生操 作の詳 細な検 討によ り成熟 した 子実体 に成長 する可 能性 がある 。親株,一核菌糸及び融合 株 の ミ ト コ ンド リ ア 内 に プ ラス ミ ド 様 のDNAの 存 在が 確 認 さ れ た こと は 興 味 深 く, そ れ を 用 い た食 用キノ コの遺 伝子組 換えに よる 育種が 今後期 待され る。

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学位論文審査の要旨 主 査    教 授 寺 澤    實 副 査    教 授 笹 谷 宜 志 副 査    教 授 深 澤 和 三 副査    助教 授三浦    清

  本論文は,4章からなり,図32,表8引用文献87を含む総頁106の英文論文である。弓lJに参考 論文8編が添えられている。

  本研究はキクラゲとアラゲキクラゲのプ口トプラスト融合を行うにあたり,プ口トプラストの 調製,培養条件の検討,また融合雑種細胞選抜のための代謝阻害前処理の諸条件の検討,プ口ト プラストの電気的融合,および融合によって得られた体細胞雑種株の性質の解明を行ったもので ある。

  第1章では,供 試菌として用いられるキク ラゲとアラゲキクラゲの性質を明らかにした。

  二次菌糸伸長 に関する最適温度は,両供試菌株共にPDA(20%ジャガイモ抽出液,1%デキ ストロース,1.5%寒天)培地上で25〜30℃である。両菌株ともシラカンバ培地で最も良い結果 が得られ,ミズナラの木粉培地においては両菌株の菌糸伸長は認められない。ブナ培地を用いた 場合には,アラゲキクラゲのみ菌糸伸長が顕著に認められる。また,フスマを添加した場合に最 もよい菌糸成長が得られる。栽培特性においては,アラゲキクラゲの方が,子実体を形成するま での培養日数が短く,また子実体の収量も高い。以上の結果,アラゲキクラゲはキクラゲに比べ 栽培が容易であること,およびこれら人工培養の際の木粉培地の適性への指標を見いだした。

  第2章では,キクラゲとアラゲキクラゲのプ口トプラストの調製・培養に影響を及ばすと考え られる細胞壁溶解酵素,菌糸の培養日数等を検討した。

  その結果,キクラゲでは4日間,アラゲキクラゲでは6日間培養した生菌体を細胞壁溶解酵素 液(ノボザイム2341%とキチナーゼ0.1%)で処理した場合に,プ口トプラストを高い収量(5〜 7 x10 個/ml)で得 た 。前 述し た条 件で プ 口ト プラ ストを 単離し,それらをpH7付近の StMY(1%澱粉,1%麦芽エキス,O.4%酵母工キス)再生培地に接種した場合に高い再生率(6.5

〜7.5%)を得た。

  第3章では,キクラゲとアラゲキクラゲ・プロトプラストの電気的融合の条件,体細胞雑種の スクーリング条件を検討した。

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  人為的に誘導した遺伝的マーカーを用いることなく体細胞雑種をスクリーニングするため,両 菌株から誘導 した一核菌糸(MoAll,MoP16)に対し融合前処理として代謝阻害処理を行い,

処理後のプ口トプラストの破壊率と再生率の結果から,キクラゲMoAllのプ口トプラス卜に対 しては4%のヨ ード酢酸ナトルウムによる処理が,アラゲキクラゲのプロトプラストMoP16に 対しては4%のジエチルピ口カーボネートによる処理が適当であること,それらの前処理プロト プラストを用いて,電気的な融合条件を検討し,プ口トプラスト懸濁液を2 MHz,500 V/c.mの 高周波を10分 間印加し,次いで10〃 sec,3kV/cmの直流パルスを1秒間隔で2〜5回印加して 融 合 処 理 を 行 う こ と で , 高 い 融 合 率 (1.2% ) を 得 る こ と を 明 ら か に し た 。   第4章でtま,プ口トプラストの電気的融合によって得られた5株の融合株の性質を明らかにし た。

  5株の 融 合株の菌糸伸 長に関する最適温度は,PDA培地上で30℃であり,これはMoAllと 類似し,また ,菌糸伸長速度は親株及びMoP16と類似している。5株の融合株のすべては親株 と同様,シラカンバ培地で菌糸成長が良好であった。また,木粉培地にフスマを添加した場合に 無添加培地よりも菌糸の伸長が促進される。すべての融合株は親株,一核菌糸より菌糸密度が濃 い。融合株を親株,一核菌糸のそれぞれと対峙培養した結果,5株の融合株すべては両親株に対 して拮抗線を形成する。また,その融合株はクランプコネクションを有する。種々の酵素のアイ ソザイ厶分析をし,工ステラーゼは,すべての融合株にそれぞれの親株の一核菌糸に特異的なバ ンドが共存していることを認めた。1っの融合株において幼子実体の形成が認められたが,この 融合株のミト コンドリアDNAの解析を行い ,ゲノムサイズが90kbpであ ることを確認した。

Hind IIIを用いた制限酵素も分解による断片DNAの電気泳動パターンにおいては,その融合株 はそれぞれの親株の一核菌糸に特異的なバンド(3.2,3. 5kbp)を併せ持ち,かつ,親株の一核 菌糸には存在しナょい新たな2っのバンド(2.1,2.5kbp)の存在が認められた。これはプロトプ ラストの融合 によって,ミトコンドリアDNA相互に組み換えが起こった結果生じたものと考 えられる。以上の結果により,5株の融合株はキクラゲとアラゲキクラゲのプロトプラスト融合 によって得られたへテロカリオンであることが結論された。

  また,親株 ,一核菌糸及び融合株のミト コンドリア内にプラスミド様のDNAの存在を発見 した。

  以上,本研究は,担子菌の異種間の体細胞雑種(ヘテ口カリオン)作出のための基礎的研究を 行ったものであるが,その結果,突然変異株などの遺伝的なマーカーを用いることなく,その両 者のプ口トプラストを電気的に融合させ,融合株のアイソザイム分析,ミトコンドリアのDNA

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分 析 等に よ り , 細 胞融 合 を確認 すると ともに ,そ のへテ 口カリ オンか ら幼 子実体 の形成 に成功 し た 。ま た , 親 株 ,一 核 菌 糸 及 びそ の 融 合 株 のミ ト コ ン ド リ ア内 に プ ラ ス ミド 様DNAの 存 在 を 発 見 し , 今 後 の 食 用 キ ノ コ の 遺 伝 子 組 換 え に よ る 育 種 へ の 応 用 へ の 可 能 性 を 示し た 。   以上 の研究 成果は ,担 子菌の 異種間 の体細 胞雑 種(ヘ テロカ リオン )作出による育種を行う際 の 貴 重 な 知 見 を 示 し た も の で , 学 術 上 ま た , 応 用 の 面 か ら も 高 く 評 価 さ れ る 。   よっ て,審 査員一 同は ,最終 試験の結果と合わせて,本論文提出者の砂川政英は,博士(農学)

の学 位を受 けるに 十分な 資格 がある ものと 認定し た。

参照

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