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要旨集(一般演題) 日本動物看護学会第28回大会

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Academic year: 2021

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P-1 犬猫腫瘍症例報告からみたがん看護の現状と問題点

〇勝又夏歩1)、久田松朋花1)、丸尾幸嗣1) 1) ヤマザキ動物看護大学 序文 伴侶動物医療において、がんの症例が多くなっている。しかし、動物看護学は発 展途上であるため、がん看護に関する文献は非常に少ない。そこで、動物がん看護 の現状を調査するため、犬猫腫瘍症例報告を読み、どのような看護が行われている かを把握した上で、動物がん看護の現状と問題点について考察した。 材料および方法 腫瘍症例報告のうち、個体情報が得られやすいと考えられる1 例報告に限定し、 20 症例を選抜した。選んだ犬猫腫瘍症例報告 20 例について、1.腫瘍の種類、2.動 物種、3.性別、4.年齢、5.主訴、6.治療の種類、7.治療効果、8.副作用および有害 事象、9.QOL、10.看護のポイントと問題点について注目し、整理分析および考 察を行った。 結果 腫瘍の種類は良性腫瘍2 例、悪性腫瘍 18 例、犬 15 例、猫 5 例であった。性別は 雌4 例、避妊雌 8 例、雄 1 例、去勢雄 7 例であった。年齢は 1 歳から 17 歳までに 分布し、8 歳以上のシニアが 16 例、8 歳未満が 4 例であった。主訴は全身症状から 局所症状まで様々であった。治療は、外科療法16 例、化学療法 9 例、放射線療法 2 例、その他 2 例であり、併用して治療をしているケースが 11 例であった。治療 の結果、生存が10 例、死亡が 10 例であった。治療によるQOLは、15 例が低下、 5 例が低下しなかった。 考察 今回の症例からも明らかなように、8 歳以上のシニアが多く、がんに罹患した高 齢動物は、がん以外の疾患を併発していることが多いので、がん以外の併発疾患 へのサポートも必要になると考えられた。重症で来院された症例の主訴では、飼 い主が異常に気付くのが遅いと感じることがあった。常日頃から異常症状などを 飼い主にあらかじめ伝えておくことで、早期治療に取り掛かることができると思 われた。治療が長引くことで、動物や飼い主にとってつらく長い看護生活を強い られることになるため、動物医療スタッフとの信頼関係が必要不可欠になる。ま た、半数が死亡していることから、終末期ケアについて、飼い主へのインフォー ムドコンセントが重要であると思われる。20 例中 15 例でQOLの低下がみられ た。がん治療においてある程度のQOL低下は仕方ないと考えるが、QOLを極 力維持して生活を送ることが出来るようにすることが、動物看護師の役割の一つ であると改めて考えさせられた。

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P-2 無麻酔下でのオトスコープ検査時の看護師の保定について

○伊藤千夏 松村恵 木村里奈 青木理紗 竹尾記子 中村泰治 小滝橋動物病院グループ 目白通り高度医療センター 東京都豊島区 序文 外耳炎治療において有効な検査方法としてオトスコープ(Video Otoscope)がある。オトスコープ は麻酔下、無麻酔下で耳道内に硬性鏡を入れ画面上で耳の中を観察・耳道の洗浄ができる。耳鏡 を使用するよりも明瞭に観察することができる。無麻酔下で行うことで動物への負担の減少や麻 酔リスクのある症例にも使用ができ、飼い主にとっても簡便な検査方法である。保定が適切でな いと動物の耳道・鼓膜を傷つけオトスコープ本体の破損に繋がる。今回は、無麻酔下における動 物種・犬種ごとのオトスコープでの耳の保定方法を報告する。 材料および方法 ①マズルの長い小型犬~中型犬:柴犬・トイプードルなどを挙げることができ、方法としてマ ズルを片手で固定しもう片方の手で後頭部を保定する。肩も使い3 点で固定すると犬が頭を動か すのを予防できる。体を動かすのを防止するため犬の腰を、後頭部を支える腕の肘で固定する。 前肢が動いてしまう犬であれば前肢を持つ保定者を用意すると良い。第三者がいない場合はタオ ルなどを利用して前肢などで顔を保定する手を払われないようにする。 ②マズルの短い小型~中型犬:短頭種はマズルが短く、掴む場所がなく保定が困難である。しか しポイントを押さえることにより保定が可能となる。また、短頭種は外耳炎のなりやすさ、悪化 要素として耳道の狭さがある。代表的な犬種としてフレンチブルドッグ・パグ・シーズーなどを 挙げることができる。保定のポイントは犬種の目の位置にもよるが頬骨を支えるように片手で押 さえ、自身の肩に顔を押し付けるのが良い。また、片手で後頭部を支え後頭部を支える方の腕の 肘で腰を固定する。短頭種の場合、頬骨を支える手の指の爪等で動物の角膜を傷つける様な医療 事故が起きないように注意する。 ③怒る犬:外耳炎を患う犬は、耳道の痛みで耳に触られるのを嫌がる傾向にある。その場合、保 定者・獣医師が噛まれてしまう事故も想定される。この場合は鎮静や麻酔をかけての観察・洗浄 を行うことも検討する。麻酔・鎮静をかけずに観察・洗浄ができる方法は、エリザベスカラーを 装着しエリザベスカラーの間から片耳ずつ耳介を出し耳道内の観察、洗浄を行う。体の固定は片 腕でエリザベスカラーと頭部を固定し、もう一方の腕の肘で腰を固定する。 ④猫の保定:性格に合わせて保定選択することを勧める。固まって動かない猫であれば、体と頭 部が一直線になるよう支えるのみでよい。動いてしまう猫はタオルや洗濯ネットに入れて耳のみ を出し観察する。攻撃的な猫であればエリザベスカラーを用意し片耳ずつ耳を出し観察すると良 い。どうしても保定が難しい猫であれば鎮静、麻酔処置を検討する必要がある。 結果・考察 ポイントを抑えて保定することで保定の質が上がり、技術の均一化を図ることができ、新人の 保定の指導がしやすくなると考えられる。また無麻酔下で行うことにより獣医師の円滑な診療の 補助、動物の負担の減少・安全に繋がる。

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P-3 防災ヘリでのペット吊り上げについての課題-災害を想定した訓練事例を通じて- 西村 裕子 千葉科学大学 動物危機管理教育研究センター 序文 災害大国日本における豪雨被害は毎年のように発生している。日本各地の大河川を管理する国 土交通省によると「氾濫危険水位」を越えた大河川は、2015 年には 17 河川だったものが 2018 年 に62 河川に増加し、これまでの河川堤防では決壊の恐れが高まっている。内閣府は「避難勧告等 に関するガイドライン」を2019 年 3 月に改定し「自らの命は自らが守る」意識を持ち自らの判断 で避難行動をとる方針が示された。それに伴い5 段階警戒レベルの防災情報に変わったが、建物 の屋上に孤立し、自衛隊や航空防衛隊に救助される様子がニュースから消えることはない。 事例報告 埼玉県の動物指導センターから県認定災害支援団体である動物支援ナースに依頼があり、防災 航空センターからは、隊員の命を守り市民の安全を確保するための訓練との説明を受け、参加を 決めた。訓練へは、演者が飼養管理している重量約7kgの小型犬 2 匹健康体と動物看護師 4 名 が参加。運輸安全委員会報告によると全国のヘリコプター事故は2010~2020 年の 10 年間に 63 件発生し、そのうち吊り下げ輸送中における物件の落下は13 件あった。一度でも事故が発生す れば、隊員はトラウマを抱え今後の救助活動に支障をきたすことも説明を受けた。ヘリコプター は、優れた飛行特性により垂直上昇、空中停止等を可能し遭難者の救助や災害時の資材の運搬等 その利用価値はきわめて大きい一方で、固定翼機と異なり不安定な動特性を有し操縦が難しい。 またホバリング中に発生するダウンウォッシュという風は、人が転倒し建物の屋根や壁の一部が 破損する危険性がある 20m/s 以上の瞬間水平風速を観測するほどの強風で、実際の訓練時にお いても、周囲の枯れ草が竜巻のように舞い上がり、ヘルメットが何度も脱げ、立位を保つことが やっとだった。吊り上げの資機材は、大きさや素材が異なるペットケージをこちらが用意し並べ それを航空隊が選択。選んだキャリーを航空隊が平時から活用している容量95L のボストンバッ グに包み込み、2 重構造の形で地上での引き上げ訓練が行われた後、屋外での本番を想定した訓 練を行った。資機材が変わるだけでペットの動きが安定せず揺れることやジップ部分から飛び出 すことに加え、ペットにとっての熱中症の危険や排泄、吊り上げ時の隊員への咬傷リスクなど課 題が挙がった。また2 匹のうち 1 匹は地上訓練の時点で資機材の中で暴れ吊り上げを断念した。 考察 ペットは子どもの数を越え、人とペットの共生は心理的健康を高める可能性があり、災害時飼 い主とペットが離散することは、それが脅かされる危険を秘めている。防災航空センターも隊員 を守りつつ、被災者を精神的に安定させ安全に引き上げるためには、ペットも一緒であることが 必要と考えており、貴重な訓練機会になったとのことだった。しかし吊り上げには、災害時でな かったにも関わらず、隊員にとってもペットにとっても課題が多く、より安全な資機材の検討や 中~大型犬、猫を想定した訓練も視野に入れる必要がある。そして何より建物に孤立する前に早 期避難を促し、ペットと共に吊り上げ救助が行われるような状況を作らないことが重要である。

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犬の車椅子:QOL の向上を目指して

~製作時の個体別調査および使用症例報告~

〇山本和弘・井上みちる・井上香菜 帝京科学大学 生命環境学部 アニマルサイエンス学科 【はじめに】近年、犬の遺伝的要因による歩行困難となる症例が多く報告されている。その要因 は犬種特異性を示し、ダックスフントの椎間板ヘルニアやウェルシュ・コーギーの変性性脊髄症 (Degenerative Myelopathy:DM)がその代表的な例としてあげられる。発症すると後肢もしくは、 四肢運動不全の症状を呈し、ヘルニアではヘミラミネクトミーなどの手術により回復する例もあ るが、後遺症を残し運動機能の低下がみられる症例も少なくない。これらの症状をもつ犬につい て、本研究で、車椅子工房と協力し、オーダーメイドで製作する際の個体調査と使用状況と QOL(Quality of Life)の変化を調査した。 【方法および対象動物】 使用状況の調査:対象は、大阪市住之江区にある工房スイーピーにおいて、 2013~2019 年にかけて製作依頼された 2106 頭。調査内容は犬種、性別、 年齢、体重、原因、車椅子の種類(2 輪(写真 1)もしくは 4 輪(四肢不全 用)であり、車椅子発注時に各飼い主からの聞き取りによって行われた。 使用症例:(症例1)トイプードル、13 歳、去勢済み雄。2019 年 4 月にオ ーナー宅の火災発生時より後躯麻痺(正確な原因は獣医師診断も不明)。2019 年 10 月より後肢補 助用 2 輪車椅子を使用開始。(症例2)ミックス犬、推定 16 歳(保護犬のために正確には不明) 去勢済み雄。老齢化に伴う姿勢保持筋肉量の低下による歩様困難、後躯麻痺。2019 年 9 月より 2 輪車椅子を使用開始。 【結果】車椅子の受注を受けた犬種; コーギー734 頭(35%)、ダックスが 486 頭(23%)で全体の 58%、ついでミックス犬が 104 頭であった。性別; 雄 1238 頭(59%)、雌 865 頭(41%)(不明 3)。使 用開始年齢(n=471、1~19 歳); 13 歳(76 頭)まで増加傾向がみられ、それ以降、高齢になると ともに減少する(0~13 歳の回帰分析(R=0.857, p<0.01))。体重(n=726); 14kg 以下が 86%(627 頭)を占め、とくに 4-8kg の頭数は 44%(322 頭)となった。原因が明白な症例(n=242)中、コーギ ー(n=116)の DM(n=114)は 98%:ダックス(n=69)の椎間板ヘルニア(n=55)は 80%であった。2 輪車 椅子 75% (n=1583)、4 輪車椅子 25% (n=523)の割合となった。また、2 輪と 4 輪と年齢との関係は 13 歳以下(n=310, 2 輪;198, 4 輪;112)は 2 輪、14 歳以上(n=162, 2 輪;52, 4 輪;110)は 4 輪の使 用する傾向(p<0.01)が強くなった。(使用症例)2 症例とも車椅子による前肢駆動型の歩行を行い、 散歩可能となった。とくに症例2では車椅子なしの歩行困難であったが、使用 3 ヶ月後には、筋 力の回復が見られ車椅子なしで短時間の自走歩行が可能となった。 【考察】犬も高齢になるほど運動機能障害は多く、それに伴い発症例車椅子使用頻度も増加する。 寝たきりになる症例も少なくないが、車椅子を使用することにより廃用症候群のリスクを低下さ せる。体重の結果からは日本国内では小型犬飼育の傾向が反映されたと推測される。原因別には コーギーの DM、およびダックスのヘルニアが多く、近年の発症数の増加を反映している。高齢に なるほど四肢運動機能が低下し、14 歳以上になると 4 輪車椅子(四肢機能不全用)の使用頻度が 高くなる。今回の症例の結果からも車椅子を使用することで、歩行や散歩が可能となり、排泄も 容易になるなど QOL を向上させることが期待できる。

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P-5 人と伴侶動物のニューノーマルな関係性と動物介護:

ポストコロナ社会における変容の社会学的検討

新島 典子 ヤマザキ動物看護大学 序文 全世界で多数の罹患者や死者を出している新型コロナウイルス(以下、COVID-19)の感染拡 大を受け、パンデミック以降のポストコロナ社会では、新たな生活様式(ニューノーマル)のあ り方が議論されている。近年さまざまな社会的背景から人との距離を縮め、家族同様に扱われる に至った伴侶動物と人との関係性においても、社会的距離の保持などの新たな生活習慣導入に伴 い、今後新たな変容が生じうるだろう。しかし、人は予測できない変容を恐れ、未知なる危機に は社会不安を増しやすい。過去の辛い教訓を経て災害時には被災飼い主との同行避難が浸透しつ つあるかたわらで、人畜共通感染症であるCOVID-19 に罹患した飼い主が隔離や入院に至れば、 飼育動物とは引き離され、大きな環境変容を免れない。先行き不透明な状況で、伴侶動物の飼い 主、特に要介護動物を抱える飼い主は不安を増していることが懸念される。 材料および方法 そこで本研究は、ポストコロナ社会における人と伴侶動物のニューノーマルな関係性の検討に 向けた試論として、まずは(1)COVID-19 禍による各種変容が飼い主にもたらしている不安、 中でも動物介護にかかわる不安の現状分析を行った。2020 年 3 月~6 月に一般の飼い主から国内 の老犬老猫ホームX(九州)および Y(関東)へ寄せられた各種問い合わせから、COVID-19 禍 による変容に起因する不安の事例を、相談者が特定されぬよう留意して抽出し、その要素をテキ スト化し、分析した。さらに(2)「変容」の不安に応えるために、飼い主に代わる預かり先と なりうる関連施設の対応の現状、中でも他の要介護動物を既に預かっている老犬老猫ホームの体 制整備や対策過程で生じる問題点についてX および Y の職員を対象に聞き取り調査を行った。 結果 (1)今すぐ預けたいCOVID-19 罹患者からの相談よりも、将来の罹患に備えて伴侶動物の世 話、預け先の選定法や預かり費用を不安視する事前相談が多く、預かり先の少なさ・距離も不安 視されていた。(2)風評被害などの社会的リスク、職員や他の預かり動物への二次感染など心 身のリスク、感染防御用の環境整備費から万一の二次感染時の賠償金に至るまでの経済的リスク は、いずれも自助努力での対応を要する現状であった。そのため、社会的使命として預かりに協 力したくても名乗り出られる施設は限られ、預かり施設の増加が期待しにくいことも判明した。 考察 ウイルスの不可視性や、未だ確立されない予防法・治療法、被害者であるはずの感染者への帰 責や疎外といったCOVID-19 禍特有のリスクが、災害時とは異なる困難を生じさせること、罹患 者の先行事例は乏しいうえに秘匿され周知されにくいことなどがCOVID-19 禍による変容への不 安を増大させ、飼い主にも預かり施設にも対応の変容を余儀なくさせていた。このような変容 が、ペット喪失(ペットロス)による悲嘆悪化を引き起こしかねないことも懸念される。

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P-6 IOT トイレを用いたネコの排尿行動解析

〇荒川 真希1) 鈴木 優季1) 秋山 蘭1) 浅見 優樹2) 松原 あゆみ2) 石岡 克己3) 1)ヤマザキ動物看護大学 2) 株式会社トレッタキャッツ 3) 日本獣医生命科学大学 序文 ネコは泌尿器疾患が多いことが知られている。代表的な泌尿器疾患として、尿石症や膀胱炎に 関連する猫下部尿路疾患 (FLUTD) や慢性腎臓病が挙げられるが、それらは排尿回数や尿量の変 化が初期症状として認められる。そのため早期発見や予防には、日々の排尿回数、排尿量などの 排尿行動の観察が重要である。現在、インターネットを経由して排尿行動や体重をモニタリング してデータを記録できるIOT (Internet of Things)トイレが開発され、家庭内におけるネコの健康管 理に活用されている。しかし、それらを活用してネコの排尿行動を解析した報告は少ない。そこ で本研究では、ネコの泌尿器疾患を家庭内で早期発見するための基礎データを得ることを目的と し、IOT トイレを用いて一般家庭における健常猫の排尿回数や尿量について解析した。また、実 際に泌尿器疾患の早期発見に結びついた一事例についても併せて報告する。 材料および方法 2019 年 12 月 1 日から 31 日(31 日間)において、ネコ用 IOT トイレ(株式会社トレッタキャッツ) を用いて得られた一般家庭の健常猫のデータを用いた。そのうち、完全室内飼育かつ家庭内にお いてすべてのトイレに同機種のIOT トイレのみを使用していることが確認された家庭を分析対象 とした。分析項目は、トイレに入った回数 (回/day、排便も含む) 、排尿回数 (回/day)、尿量 (g/kg/回、g/kg/day)、排尿時刻、排尿時の滞在時間とした。さらに、異なる時期で変動が無いか 確認するため、同項目について2020 年 4 月 1 日から 30 日(30 日間)のデータと比較した。また、 細菌性膀胱炎を発症した猫の一事例について、発症前に排尿行動にどのような変化が見られたか 検証した。統計解析はMann-Whitney’s U 検定を行った。 結果および考察 分析した健常猫の排尿行動データは、51 頭の 6,752 件であった。対象となった猫の平均年齢は 7.37±4.86 歳であり、雄が 23 頭 (45.1%)、雌が 28 頭 (54.9%)であった。飼育頭数は単頭飼育が 14 頭 (27.5%)、複数飼育が 37 頭 (72.5%)であった。トイレに入った回数は平均 4.35±1.29 回/day、 排尿回数は平均2.25±0.87 回/day であった。尿量は平均 6.02±2.57 g/kg/回、14.65±7.75 g/㎏/day で あった。猫の基本的属性 (性別、年齢、飼育頭数)により平均値を比較したところ、尿回数は 1-6 歳が1.78±0.63 回/day に対し、7 歳以上では 2.75±0.81 回/day と有意に多かった (p<0.01)。尿量 は、1-6 歳が 5.98±2.33 g/kg/回、7 歳以上では 6.04±2.77 g/kg/回と 1 回当たりに有意な差は認めら れなかったが、1 日当たりでは 1-6 歳が 12.08±6.45 g/kg/day、7 歳以上では 16.65±8.34 g/kg/day と 高齢猫で多い傾向を示した。すなわち、高齢猫では平均尿量が多く、それに伴い排尿回数がやや 多くなっていることが考えられた。また、2020 年 4 月における排尿行動と比較したところ有意 な差は認められず、データの安定性が確認された。 細菌性膀胱炎を発症した事例では、罹患時にトイレに入った回数や排尿回数が顕著に多くなっ たことが確認された。排尿回数の変動や排尿時の滞在時間など、詳細も併せて報告する。

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P-7 ネコにおけるおもちゃの嗜好性調査

〇下里 あすか1) 安達 彩弥加1,2) 齊藤 七海1,3) 渡辺 真由1,4) 荒川 真希1) 茂木 千恵1) 1)ヤマザキ動物看護大学 2) 株式会社 DVMs (神奈川県) 3) 株式会社リアルユナイテッド 4) りゅう動物病院 (東京都) 序文 現在、日本でのネコの飼育頭数は約978 万頭と推計され、そのうち 75.6%が完全室内飼育をさ れている (ペットフード協会, 2019)。完全室内飼育は、ネコの運動不足や狩猟本能の刺激不足に より、疾患やストレスへの影響が懸念される。おもちゃは室内飼育における運動不足解消の一手 段として飼い主に利用されるアイテムの一つであり、種類豊かに販売され、素材や形状も様々で ある。Strickler らによるアメリカでの研究 (2014)では、最も一般的なおもちゃとして、Furry mice (ネズミのぬいぐるみ)、Catnip toys (キャットニップ付きトイ)、Balls with bells (鈴付きボー

ル)が上位に挙げられた。そこで本研究では、日本におけるネコのおもちゃの嗜好性やおもちゃ を使用した遊びについて実態を明らかにすることを目的として調査した。 材料および方法 2019 年 9 月 14 日から 10 月 11 日(28 日間)において、ネコを飼育する飼い主を対象にインター ネットを活用したアンケート調査を実施した。調査項目はネコの属性に関する質問と、おもちゃ の形状や素材による嗜好性に関する質問、おもちゃで遊ぶ頻度や時間、購入に関する質問の計 22 項目で構成した。統計解析は単純集計および χ2検定を用いた。 結果および考察 有効回答数は225 件であった。年齢は平均 6.3±4.5 歳であり、オスが 121 頭 (53.8%)、メスが 104 頭 (46.2%)、そのうち不妊手術済みは 202 頭と約 90%であった。品種は混合猫 (ミックスや 雑種)が 102 頭 (45.3%)、日本ネコ (三毛やトラ)が 68 頭 (30.2%)、純血種が 55 頭 (24.4%)であっ た。飼育頭数は1 頭が 91 件 (40.4%)であり、2 頭が 76 件 (33.8%)、3 頭が 21 件 (9.3%)、4 頭以 上が37 件 (16.4%)であった。 最も反応の良いおもちゃの形状として回答が多かったのは、ネコじゃらしが112 件 (49.8%)と 約半数を占めた。一方、最も反応の良くないおもちゃの形状として回答が多かったのは、ぬいぐ るみが56 件 (24.9%)、電動のおもちゃが 45 件 (20.0%)、ボールが 41 件 (18.2%)であった。最も 反応の良いおもちゃの素材は、羽が54 件 (24.0%)、紐が 50 件 (22.2%)、動物毛が 30 件 (13.3%) と柔らかいものや天然素材が上位3 位を占めた。おもちゃの嗜好性とネコの基本的属性 (年齢、 性別、品種、飼育頭数)に有意な差は認められなかった。 おもちゃで遊ぶ頻度では、毎日が98 件 (43.6%)、週に 6 日が 11 件 (4.9%)と、約半数がほぼ毎 日おもちゃで遊んでいることが明らかとなった。遊び始めてから飽きるまでの時間は、5~10 分 未満が79 件 (35.1%)と最も多かった。年齢区分 (0 歳・1-6 歳・7 歳以上)と遊ぶ頻度および飽き るまでの時間の相関関係を解析したところ、いずれも有意な関連が認められた (χ2検定; p<0.01)。これらのことにより、最も反応の良い柔らかい素材で作られたネコじゃらしを使用し年 齢に合った時間や頻度で遊ぶことが、ネコの運動不足を解消し疾患予防に繋がると考えられた。

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P-8 新型コロナウイルでの動物病院への影響と感染予防対策に関する研究

友野 悠 ヤマザキ動物看護大学 序文 2019 年 12 月に中国武漢で発生した新型コロナウイルスは 2020 年 2 月には日本においても感染 者が増加した。このウイルスへの感染予防として、密閉された場所や、人が多く集まる密集空間、 人と人との密接な距離を避けることが推奨された。動物病院においても院内スタッフと飼い主、 動物への感染予防対策をする必要があったが、明確なガイドラインはなく、各病院に対策が委ね られた。 本調査では動物院を対象に新型コロナウイルス感染拡大後の影響と感染予防対策についてアン ケートを行い、動物病院で行える対策について検討した。 材料および方法 2020 年 4 月 16 日〜5 月 31 日に、動物病院の獣医師に対してアンケート調査を行った。質問内容 は、1) 病院の所在地、2) 2019 年 3、4 月と比較した来院数の変化、3) 営業時間の変更の有無、4) 新型コロナウイルスを理由とした飼い主からの来院キャンセル問い合わせの有無、5) 感染予防対 策(複数選択可)である。 結果 計 31 件の動物病院から回答を得られた。所在地は、東京都 14 件、神奈川県 12 件、埼玉県 2 件、 千葉県 1 件、山梨県 1 件、静岡県 1 件であった。来院数は、「増えた」5 件(16%)、「減った」11 件(35%)、「変わらない」14 件(45%)であった。営業時間は「短縮した」5 件(16%)、「延長した」 1 件(3%)「変わらない」24 件(77%)、「予約制にした」4 件(13%)であった。キャンセルの問い合わ せは、「あった」15 件(48%)、「無かった」13 件(42%)、「わからない」3 件(10%)であった。感染 予防対策として「1 日の勤務スタッフの制限」7 件、「外来数制限」11 件、「フードや薬の郵送」 13 件、「院内消毒の徹底」26 件、「特に何もしていない」0 件、「その他」10 件であった。「そ の他」の工夫では、換気 5 件、飼い主に車や院外で待機するよう指示 5 件、受付にフェイスシー ルドの設置 2 件、複数人での来院の断り 2 件、診察室にフェイスシールドの設置 1 件、外来予約 の間隔延長 1 件、飼い主に電話での説明 1 件、不要不急の外来の断り 1 件、待合室の椅子の間隔 延長 1 件、飼い主にアルコール綿花の配布 1 件であった。 考察 来院数は 51%の動物病院で変化があった。また、感染予防対策は既に各動物病院行われていた。 リバプール大学は動物病院の来院数の変化を調査した。その結果、感染者数が増加すると前月よ り来院数が減少し、飲食店などが再開されると来院数が増加した。また、American Veterinary Medical Associations は米国の動物病院 2,017 件に感染予防対策について調査を行った。「動物の治 療中は飼い主を車で待機させる」と回答した動物病院が全体の半分以上だったのに加え、非対面 での支払い、電話やテレビ電話での問診、高齢者の飼い主専用の時間の設定が挙げられていた。 日本においても、来院数の変化や感染予防対策に関する継続的な調査を行い、動物病院同士で情 報共有をすることが、院内での感染予防に有益であることが示唆された。

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P-9 血液塗抹観察における桿状核好中球と分葉核好中球の分類基準について

柴田 歩 村松郁芽 小野沢栄里 ○石岡克己 日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医保健看護学科

序文

全血球計算(complete blood count, CBC)は、動物看護師の重要な業務の一つである。現在、血球 総数のカウントには自動血球計数機が用いられるが、各種白血球の百分比算出には血液塗抹標本 の観察が欠かせない。特に炎症反応を反映する左方移動を正しく評価するためには、桿状核好中 球と分葉核好中球を適切に鑑別しなければならない。この2 つを鑑別する基準は、人医療では核 の最小幅部分が最大幅部分の1/3 以上ある場合を桿状核好中球とすると規定している。しかし、 この条件はイヌやネコにはそのまま適用することができず(桿状核好中球が過剰となる)、獣医療 のための条件は確立されていないのが現状である。本研究では、イヌとネコにおける桿状核好中 球と分葉核好中球の最適な境界を決めることを目的とし、健常動物および疾患動物の血液塗抹標 本を用いて桿状核好中球をさまざまな条件でカウントした。その結果を比較し、一般的な臨床病 理学的知見に最も一致する条件を探索した。 材料および方法 健常動物検体として本学科臨床部門で飼育している犬6 頭と猫 4 頭の血液塗抹標本、疾患動物 検体として本学獣医学科で明らかに左方移動を伴う炎症像があると評価された患者犬5 頭と患者 猫5 頭の血液塗抹標本(2014 年 3 月〜2019 年 7 月作製)をそれぞれ準備した。 健常動物10 頭、疾患動物 10 頭の血液塗抹標本について、以下の 3 つの異なる条件で 200 個の 好中球をカウントして、桿状核好中球の割合(%)と個数(/µL)を算出した。即ち、核の最小幅部分 が最大幅部分の1/3 以上ある場合を桿状核好中球とする(条件≧1/3; 人医療と同じ)、1/2 以上あ る場合を桿状核好中球とする(条件≧1/2)、2/3 以上ある場合を桿状核好中球とする(条件≧2/3)の 3 条件である。それぞれの結果を比較し、臨床像に最も合致する条件を選定した。 結果および考察 桿状核好中球数は、条件≧1/3 では健常犬 1,515 (36.6%)、疾患犬 21,356 (77.6%)、健常猫 1,478(30.0%)、疾患猫 3,726(12.4%)であった。条件≧1/2 では健常犬 747(18.4%)、疾患犬 16,549(59.4%)、健常猫 686(14.8%)、疾患猫 3,397(11.4%)であった。条件≧2/3 では健常犬 257(8.0%)、疾患犬 13,127(47.2%)、健常猫 344(8.0%)、疾患猫 3,037(10.4%)であった。一般的に用 いられる健常動物の基準値(桿状核好中球<300)を当てはめると、条件≧1/3、条件≧1/2 では健常 動物において明らかに高すぎ、今回実施した中では条件≧2/3 が最も臨床像に近いと思われた。 ただし健常猫において 300 を越えているので、≧3/4 など条件をさらに引き上げれば、より適切 な条件を見つけられる可能性がある。ただしその場合は疾患動物における桿状核白血球数も下が るので、総合的により妥当な結果が得られるかは今後の課題である。また、目視での実施のしや すさも考慮する必要がある。今回得られた中でイヌとネコの桿状核好中球の分類における最適条 件は、最も細い部分が最も太い部分の2/3 以上ある場合と考えられた。基準が明確に定まれば、 今後それを基にしてより標準化された基準値を新たに作ることも可能になると思われる。

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P-10 渡り鳥が保持する病原体からの公衆衛生的検討

〇石毛 陽和 阿部 仁美 小沼 守 千葉科学大学 危機管理学部 動物危機管理学科 序文 渡り鳥は病原体を伝染させる可能性があるため、感染症の媒介動物の1つだとみなされている。特に 水鳥の生息環境は日本国内でも人間社会と隣接して存在するため、これらの病原体の実態を把握するこ とは、人間社会における野生動物生息地の衛生管理を考える上で重要である。 茨城県神栖市は海や河川など多くの水辺を有しており、毎年数多くの渡り鳥が飛来している。同市内 には市街地の近くに多種多様な野鳥を間近に見ることができる野鳥観察地があり、野鳥が病原体を保有 する場合はヒトに感染するリスクがある。そこで、野鳥との関わり方及び公衆衛生について検討することを 目的とし、茨城県神栖市に飛来した渡り鳥の糞便を採取して病原体の保有状況を調査した。 材料および方法 茨城県神栖市において、2020 年 4-10 月までの間に飛来したツバメ (N=4)、コアジサシ (N=3)の糞便 を採取した。コアジサシは比較対象として東京都 (N=3)、千葉県美浜区内の検見川浜 (N=3)の個体から も採取した。検体はいずれも自然排泄した糞便を用いた。供試検体は、シードスワブ1号(栄研)にて少量 をサンプリングし、残存する一部は糞便検査用に密閉容器に入れ、低温下で輸送し、24 時間以内に直接 法および浮遊法による糞便検査をし、その後、細菌培養検査した。すべての検体を非選択培地の血液寒 天培地、サブロー寒天培地と、選択培地のマッコンキー寒天培地、DHL 寒天培地、マンニット寒天培地 を用い常法通り培養した。純培養されたコロニーからグラム染色を行い、グラム陰性桿菌のみ、Api10s(シ スメックス・ビオメリュー株式会社、東京)で菌の同定を行った。 結果 細菌培養検査から、神栖市のツバメで、腸内細菌の Providencia stuartii/alcalifaciens、Hafnia alvei、Pantoea spp 1、Proteus vulgaris group、Citrobacter farmeri、非腸内細菌の Acinetobacter baumannii が検出され、コアジサシでは非腸内細菌の Stenotrophomonas maltophilia が検出された。

比較対象のコアジサシでは、千葉で、非腸内細菌の Stenotrophomonas maltophilia、東京で、腸 内 細 菌 の Enterobacter cloacae非 腸 内 細 菌 の Stenotrophomonas maltophiliaYersinia pseudotuberculosis、が検出された。なお、虫卵検査ではツバメの1検体で昆虫由来の虫卵が検出された。

考察

本調査において検出された非腸内細菌の Acinetobacter Baumannii、Stenotrophomonas maltophilia、 Yersinia pseudotuberculosis はヒトへの病原性を示すことが知られているため、野鳥との不適切な接触は 感染に繋がる可能性がある。ツバメは民家に巣をつくることが知られ、コアジサシは河川や砂浜で繁殖し、 コロニーを形成するためその土地は糞が多くなる。本調査を行った神栖市は河川や海が間近にあり、い ずれも市民の遊び場となる身近な場所であるため、公衆衛生を考慮した関わり方を啓発する必要がある。

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P-11 東日本大震災後における災害発生地域のペットへの災害対応に関する実態調査

〇岩谷菜々子 阿部仁美 小沼 守 千葉科学大学 危機管理学部 動物危機管理学科 序文 大規模な災害時には、多くの被災者が避難所で避難生活を送ることになるが、ペットを飼養す る/しない被災者が共に災害を乗り越えることが必要である。このため環境省では、これまで発 生した災害での課題を反映した「人とペットの災害対策ガイドライン」が平成30 年に策定さ れ、これを元に市町村独自の防災計画が作成されている。しかし、避難所でのペットの受入れや 一時預かりをはじめ、広域な支援体制や受援のあり方など数多くの課題がある。そこで今回、環 境省のガイドラインが改定された平成30 年から令和 2 年までに発生した災害経験のある市町村 において、動物に関する防災計画と実情を調査し、その相違点や課題を調査した。 材料および方法 対象は、平成30 年から令和 2 年に災害経験のある市町村の中で、政令指定都市を除く人口5 万人~30 万人の市町村を選定し、13 都市とした。各地域の防災計画とホームページ、および電 話によるアンケートを用い調査した。アンケート項目は「同行避難可能な避難所の有無」「同行 避難できる避難所は全体の何%か」「地域住民に同行避難できる避難所のあることが認知されて いるか」「被災時の同行避難できる避難所において同行した動物を把握していたか」とした。 結果 防災計画に同行避難が可能である避難所の記載があった市町村は37.5%であるのに対して、電 話によるアンケート調査では62.5%と高くなった。また、「同行避難できる避難所は全体の何% か」に関しては、回答の得られた3 市町村のうち、2 件で各 100%、1 件は 6.25%であった。「地 域住民に同行避難できる避難所のあることが認知されているか」については62.5%、「被災時の 同行避難できる避難所において同行した動物を把握していたか」については12.5%となった。ま た、防災計画と実態調査の相違については37.5~75%という結果となった。 考察 同行避難可能な避難所の有無に関して、防災計画に比べ実態調査の方が高くなったことから、 明確な避難所の規定は無いが、地域住民の意向で臨機応変に対応可能してくれる市町村の多いこ とが判明した。しかし同行避難できる指定避難所の詳細を聴取したところ、幅があり、規定が曖 昧な課題もあった。また、同行避難できる避難所の認知は過半数認識していたが、災害時に問い 合わせも多かったため、認知度はそれほど高くない可能性もある。また、被災時の同行避難でき る避難所において同行した動物情報を把握していた自治体が少なかったが、これは動物情報の把 握が必要であることを認識していなかった可能性がある。このように実態調査と防災計画を比較 すると多くの相違点が見られたため、行政の中での認識の差を埋める取り組みが必要となる。

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P-12 千葉県内の犬における市中 Clostridium difficile の実態調査

〇大坂瑞季¹⁾ 大島利夫²⁾ 佐藤逸郎3) 阿部仁美¹⁾ 小沼 守¹⁾ 1)千葉科学大学 危機管理学部 動物危機管理学科 2)千葉科学大学 危機管理学部 保健医療学科 3) 銚子ハートアニマルクリニック 序論 Clostridium difficile (CD)は芽胞を形成するグラム陽性偏性嫌気性細菌であり、水辺、土壌、 ヒトや動物の腸管・糞便などに広く存在する。C.difficile 感染症(Clostridium difficile infection ; CDI)は腸管内で毒素を産生した CD によって引き起こされ、発熱や下痢を主症状とする。 また、CDI は抗菌薬投与に伴う菌交代の結果として生じる。我々の先行研究において、埼玉 県内の動物病院に来院した犬における本菌の保有状況を調査したところ、47.1%で糞便から グルタメートデヒドロゲナーゼ(glutamate dehydrogenase ; GDH)抗原の存在が確認された 1)。今回は地域性を明らかにするために、調査地域を変更し、千葉県内の飼育犬を対象に本 菌の保有状況を調査し、加えて寄生虫の調査も行った。 材料および方法 期間は2020 年 6-8 月で、22 検体を収集した(正常便 n=20、下痢便 n=2)。全ての検体に 対し、直接イムノクロマト法を用いた検査キットによるスクリーニング検査を実施した。本 検査は日水製薬株式会社が製造、販売するクロストリジウムディフィシルキット「GE テス ト イムノクロマト- CD GDH / TOX ニッスイ」を使用し、糞便中 GDH 抗原、CD トキシン A/B の検出を調査した。また、動物愛護センターから収集した検体は保護犬で確認のためす べての検体(1-15)、動物病院から収集した検体(16-18)で GDH 抗原陽性だった検体をサ イクロセリン・セフォキシチン・マンニトール寒天培地で嫌気培養し、発育したコロニーを 用いて検査キットによる同様の試験を行った。加えて虫卵検査については、直接法および浮 遊法で虫卵を検出した。 結果 正常便の19 検体では GDH 抗原、CD トキシンともに陰性で、下痢便 2 検体と正常便 1 検 体のみ直接法でGDH 抗原陽性、CD トキシン陰性であった。虫卵検査は全て陰性であった。 考察 CDI の特徴として春に多いということが示されており、下痢の犬は健康な犬よりも CD 陽 性率が5 倍以上高かったという報告がある。我々の先行研究においても同様の結果1)が得ら れたが、今回の調査では先行研究と比較して、CD の検出率が低かった。これは、地域性ま たは下痢便の検体が先行研究より少なかったことが原因と考えられる。

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P-13 捜索/災害救助犬における嗅覚に影響を与える因子の検討

〇諏訪晴菜1) 江口タミ子2) 阿部仁美1) 小沼 守1) 1) 千葉科学大学 危機管理学部 動物危機管理学科 2) 一般社団法人日本捜索救助犬協会 序文 災害は社会に大規模なストレスを与え、人々の健康や生活に与える影響は甚大である。災害時 の課題は、人命救助および捜索活動であり、地震による家屋の倒壊や土砂崩れが起きた際、闇雲 に捜索するより嗅覚の発達した捜索/災害救助犬を用いることで人間より素早い探査が可能とな ることもある。これら捜索/災害救助犬は、鋭敏な嗅覚で瓦礫に埋もれた被災者を発見し、吠えて 居場所をハンドラーに伝えることができるなど災害現場では待機や移動を含めて数時間程度の活 動を強いられることも多く現実は過酷な環境となり嗅覚低下につながる可能性がある。 犬の嗅覚に影響を与える因子としては、環境因子、薬物、化学物質、健康、または脱水によって 引き起こされる鼻膜の乾燥などが知られている。そこで今回、捜索/災害救助犬を用いて嗅覚に影 響を与える因子を明らかにすることを目的とし、調査を行った。 材料および方法 2020 年 2 月 26 日~2020 年 7 月 15 日の期間、74 日(1 日 1 回)で日本捜索救助犬協会登録の捜 索/災害救助犬訓練時の温度、湿度、天候、風力、訓練状況及び犬の体調を記録し、環境条件によ

る訓練状況を調査した。結果はFisher's exact probability test を用い、統計解析した。 結果 「風のあり/なし」、「温度の平均値以下/以上」、「温度が平均値より低い時の晴/曇りまたは雨」、 「風ありの時の晴れ/曇または雨」、「風なしの時の晴/曇りまたは雨」で有意差が認められた(p<0.05)。 よって、訓練状況が悪くなる環境条件には「風がある」、「温度が平均値より低い」、「温度が平均 値より低い状況において曇りまたは雨の時」、「風がある状況において晴の時」、「風がない状況に おいて曇りまたは雨の時」となった。 考察 嗅覚に依存している捜索/災害救助犬において、訓練状況が悪くなった環境条件として風と温度 に有意差が確認されたが、それらが嗅覚に影響を与える因子の一つと考えられる。風が強い場合、 犬はいつも追跡する地面の臭いではなく、浮遊臭を追うようになるため、その違いから訓練状況 に変化が見られた可能性がある。また、先行研究では、体温の上昇は、仕事を遂行するために嗅 覚能力に依存している働く犬にとって重要な懸念事項との報告があったため、温度は高い方が訓 練状況に影響を及ぼすと考えられるが、今回の研究では温度が低い方が訓練状況に影響を及ぼす という結果になった。これは、犬の個体差か、パンティングをするような高温多湿の状況ではな かったためではないかと考えられる。

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P-14 捜索/災害救助犬への応用に向けたスナネズミにおける嗅覚影響因子の行動学的検索 〇松﨑 奏,諏訪晴菜, 阿部仁美,小沼 守 千葉科学大学 危機管理学部 動物危機管理学科 序文 麻薬探知犬は幾重にも包み隠された麻薬を検出し、警察犬や捜索/災害救助犬は人間の匂いを 嗅ぎ分けて犯人や行方不明者、瓦礫に埋もれた生存者を探索し、癌探知犬は癌患者に特有な体臭 を識別する。本研究では、捜索/災害救助犬に社会貢献へつなげる研究として、ヒトに慣れやす く取り扱いが容易で行動学的研究に用いられるスナネズミ (Mongolian gerbil)で行動モデルを作 成するとともに、嗅覚影響因子を明らかにすることを目的として行った。 材料および方法 12 週齢の雄のスナネズミ 8 匹に対し、順化期間 56 日後、60 日間で空腹時 16 回および満腹時 8 回調査を実施した。実験は、レプタイルボックスワイド(15.5×30×40cm,株式会社三晃商会,大 阪府)内で、スナネズミが餌に鼻をつけるまでの時間で嗅覚の評価をするために、一定の時間や 距離が測定できるよう餌の置き場から対角線上の位置に入れ、その時間および距離を空腹時およ び満腹時に分け計24 回調査した。実験は、動物が制約を受けることなく自由に行動できる空間で あり、かつ新奇環境という要因を極力取り除いた「自発運動活性測定試験⁹⁾」という方法を基に行 った。また、本実験前の順化期間中に挙げられた課題を基に、空腹群と満腹群に分けてデータを 取り、環境の匂いを消すため消毒等を行い、次の個体を入れるまで間隔をあけ、実験順番や餌の 位置をランダムとした。加えて基準値を作成するための棄却検定として多重比較のTukey-Kramer 法(BellCurve for Excel,Social Survey Research Information Co.,Ltd.)および対応のある t 検定を使用 し統計解析を行い、P<0.05 をもって有意差ありとした。 結果 空腹群 (n=128)と満腹群 (n=64)各群で多重比較を行ったところ、満腹群には見られなかったが、 空腹群1,2 回目 (n=16)のみ他群との差があり、空腹群 13 回目も 1 個体のみ大きく外れ値が存在 したため不適切と評価した。また、空腹群と満腹群で有意差は見られなかった (P=0.075098)。 ・空腹n=104,平均値: 2.66,SD: 1.383, SE: 0.136,基準値: 2.66±1.38 (1.28-4.04) ・満腹n=64,平均値: 3.381,SD: 3.687, SE: 0.465,基準値: 3.38±3.69 (0.00-7.07) 考察 空腹群と満腹群に有意差は認められなかったが、平均値では満腹群で大幅に長く、データのば らつきが大きかった。また、満腹群を空腹時の基準2.66± SD に当てはめると 10/104 (9.61%)に比 べ、8/64 (12.5%)と逸脱する割合が高かった。よって満腹群のデータは満腹時の基準値としては不 適切と考えられたため、嗅覚実験は空腹時に行うことが望ましいと考えられた。

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