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コミュニティの担い手組織の対立過程を通じたガバナンスの形成 ―岸和田市葛城町を事例として―

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コミュニティの担い手組織の対立過程を通じた

ガバナンスの形成

―岸和田市葛城町を事例として―

Governance formation through conflict process between forerunner

organizations:

A case study of Katsuragi-cho Kishiwada city

栄沢 直子  EIZAWA, Naoko  本稿では、以下の検討を通じて、ガバナンス概念の有用性を明らかにし、具体 的な事例への汎用性を導くことを目的とする。第一にコミュニティの担い手組 織の区分と対立・連携をめぐる議論を整理する。第二にガバナンス概念から過 程と対抗の要素を抽出し、多元的な主体の役割分担によるガバナンスの多様化 と、権限の委譲によるガバナンスの多層化について検討する。第三にサブ・ロー カルな水準のガバナンス概念を具体的に検討するために、担い手の対立から 結社創出にいたるまちづくりの事例研究を行う。担い手組織としてのボランタ リー・アソシエーション(VA)は、公認/非公認、表出的=共楽型/手段的= 共苦型など様々な軸の組み合わせで区分される。闘争の結社創出と団結の過程 に注目すれば、それらを通じて何を継承していくのかについて考える必要があ り、また、闘争の社会的遍在性に依拠すれば、それは社会の形成・存続・発展 にとって意義がある。つまり、担い手の対立過程を容認することで、ガバナン スの有用性や汎用性も高まると考えられる。 キーワード:担い手組織、対立過程、ガバナンス 1 はじめに  近年、縁やつながりの希薄化に伴い、福祉や子育て、防犯・防災など様々な 地域課題が浮上し、公的サービスに依存しない自律的な対応が求められてい る1)。住民も公共サービスを担うべきと考えられるようになり、小さな自治や 自由投稿論文 要 約

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公民協働が喧伝されている(片木 2010)。他方、住民は多様であり一枚岩では ない2)。支援を必要とする人も住み慣れた地域で安心して暮らせるように、ま ちづくりや地域福祉の推進とその担い手が求められている。  本稿で事例とする岸和田市は、2005年に「公民協働推進の指針」を策定し、① 地域型団体(住民自治組織、各種団体)、②テーマ型団体(市民活動団体)、③行政、 ④その他を担い手とする一方で、公民協働にとらわれずに市民同士の関係構築 も重要であるとしている3)。公民協働は、行政と市民の「官民関係」を再編成す るとともに、町内会などの住民型組織とNPOなどの市民型組織の「民民関係」を 再構築して、ガバメントとガバナンスを架橋しうると考えられる4)  本稿では、地域公共的な課題解決の方策としてのガバナンスについて考察す るために、第一にコミュニティの担い手組織の区分と対立・連携をめぐる議論 を整理する。第二にガバナンス概念から過程と対抗の要素を抽出し、多元的な 主体の役割分担によるガバナンスの多様化と、権限の委譲によるガバナンスの 多層化について検討する。第三にサブ・ローカルな水準のガバナンス概念を具 体的に検討するために、担い手の対立から結社創出にいたるまちづくりの事例 研究を行う。以上の検討を通じて、地域社会の統治と課題解決を両立するガバ ナンス概念の有用性を明らかにし、具体的な事例への汎用性を導くことを目的 とする。 2 コミュニティの担い手組織の区分と対立・連携  コミュニティの担い手組織は相互の協力を必要とする一方で、分野や文脈に 応じて多様に区分される5)。総務省(2005, 2009)は、「一定の地域を前提として、 そこに存在する住民が参画している多様な主体が、当該地域が必要とする公共 的サービスの提供を協力して行う」地域協働の主体を、町内会などの「当該地域 における住民であれば参加が可能となる団体」と、NPOなどの「住民から組織さ れるその他の団体」に区分している。団体への参加や構成に着目した区分とい え、本稿ではとくに両団体を担い手組織としたい。  町内会などの住民型ないし地縁型組織とNPOなどの市民型ないしテーマ型組 織は、同一の地域社会を舞台にしながら、対照的な役割を果たしているといえ

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る。例えば、町内会が地域の全住民を代表する性質をもち、「みんな」(all)の公 共性を表現しているのに対し、NPOは不特定多数の市民に開かれ、「だれでも」 (everyone)の公共性を強調している(中田 2001)。両者はこれまで接近するよ りも反発しあい、一線を画してたがいに知らない場合が多かった(中田 2007)。 両者の関係は、「特に関わりはない」が過半数を占める一方(日本都市センター 2002)、「良好な関係を築いている」NPOは約4割にすぎず(内閣府 2004)、関係構 築はまだ途上といえる。他方で、「対立している」事例は少ないものの(日本都市 センター 2002)、両者の原理や信条などの違いによる対立の構図も指摘されて いる。加山・杢代(2009)は、対立を克服して連携を志向する議論を待望論と創 出論に分け、待望論は対立を踏まえた連携や対等な組織の協力を求める立場、 創出論は地縁型組織の福祉NPO化や町内会が課題に対応した組織を発足させる 立場とみている6)。とくに後者の立場は、町内会の特定機能が重要になればオ ヤの町内会からコが飛び出して新しい集団をつくり、重要でなくなればコはオ ヤの組織に戻ってくる「オヤコの原則」に立脚し、結社創出の一つの要因とも考 えられる7)  越智(1982, 1990)は、町内会の構造から自己保存性、機能から親睦と分担を 析出し、また町内会の役割は行事の継続にあり、非日常的なハレの行事は日常 的なケの活動を必要とし、ケの活動を活性化するボランタリー・アソシエーショ ン(以下、VAと略記)の役割を重視した。VAが非日常的・短期的・少数派にと どまれば泡沫的とみなされ、日常的・長期的・多数派に発展してはじめて認め られる。担い手組織としてのVAは多様に区分される(図-1参照)。第一に公認 と非公認に分けられ、図-1では列軸として表わされる。公認型は住民の一体性 を保持して町内会を形成し、非公認型は秩序を乱す私的な関係として排除され る。歴史研究に従えば、都市部では自生的な町内有志団体が町内会に発展した といい、また、町内会が地域生活に必要なストックを継承してきた事実が住民 に認められ、町内会には行政が補助金ではなく助成金を支出して、その活動を 促進してきた経緯がある8)  第二に表出的と手段的に分けられ、図-1では行軸として表される。表出的は 成員の満足に準拠した趣味などを楽しむ共楽型、手段的は成員の欲求をある程 度犠牲にしても共通の目的に喜びを感じる共苦型とされる。共楽型は理解され

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やすい一方、共苦型は異分子とみなされる。また、表出的=共楽型は即時報酬 の楽しみをもたらす親睦、手段的=共苦型は遅延報酬の喜びを抱かせる分担に 対応する。表出的=共楽型が親睦を媒介に町内会と手段的=共苦型の担い手組 織を連携することで、地域課題の解決も可能になると考えられる。  越智は、地域活動では町内会とVAの交差が不可避であり、町内会にはVAの 非通念的な活動を奨励する寛容、VAには町内会が好意的に反応せざるを得な い努力が求められるという。近年、担い手組織の連携が進み、町内会とNPOな どのテーマ型組織が協力する場面も増えている(内閣府 2004)。町内会とNPO の連携は、住民の地域へ関心を高め、多様なニーズを公的サービスに接続する ことで、新しい公共性も拓かれると考えられる。 3 ガバナンスの多様化と多層化、サブ・ローカルな水準  ガバナンスは、統治と課題解決の枠組みと考えられる。統治の過程に焦点を あてる一方で、多様な主体の組み合わせが想定されており、絶えず変化するネッ トワークの編成によって課題解決の領域を増やそうとする考え方とされる(山 本 2009)。第一に国家、市場、市民社会の3つのセクターが課題解決のために 相互作用するシステムおよびプロセス、第二に交換、命令、対話の3つに分類 される調整様式、第三に分権化、協働化、自己組織化という3つのサービス提 供手法と把握できる9)  「ガバメントからガバナンスへ」というナラティブは、公共政策における政府 の失敗と市場の失敗を背景とし、過程と対抗の要素を内包している。ガバナン スにおけるガバメント(政府)の役割は、漕ぎ手(rowing)から舵取り(steering)に 移行しており、第一にガバメントという統治の制度からガバナンスという統 公認 表出的 町内会 親睦 愛好会 共楽型 手段的 ゆう葛城 分担 考える会 共苦型 非公認 図-1 担い手組織の区分 越智(1982, 1990)を参照して筆者が作成       

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治の過程が切り離され、システムだけでなくプロセスも重視すべきという主 張10)、第二に「ガバメントではなくガバナンスを」というオルタナティブを意味 せず、ガバメントはあくまで舵取りとして統治の主体であり続け、プロセスは NPOなどのアクターに任せて、コー・ガバナンス(協治)を形づくればよいとい う発想に転換した(山本 2008)。一方、ガバメントとガバナンスの対抗は、公 民協働によって架橋される。公民協働は、公共サービス提供主体の多元化と役 割分担、政策過程への参画を通じて、ガバナンスを多様化する。  他方、権限の委譲を背景にガバナンスの多層化も予想される。例えば、ソー シャル、ローカル、コミュニティ、ネイバーフッドの各層を想定できる。経 済、政治、社会の3つのサブシステムで構成されるトータルシステムとしての 全体社会では、システムの全般的危機に直面して、市民社会の拡大を図るソー シャル・ガバナンスが提起されている(神野 2004)。ソーシャル・ガバナンス は、グローバルとローカル水準に拡張し、とくにローカル水準では、地方政府 (自治体)が伝統的な地縁型組織と協力する上下関係から、新しいテーマ型組織 とも協働する対等関係への転換がみられる。澤井(2004)は、ペストフ(Pestoff, V)の福祉トライアングルにおける第3セクターと第4セクターを併せた領域を 「市民社会組織」と規定し、山岡(2004)は、ソーシャル・ガバナンスの担い手と して、市民社会組織、自治体、企業を挙げている。市民社会組織は、全員参加 を基本とする住民型組織と自発的参加による市民型組織に区分され、緊張・競 合・協働の関係―組織間の3K―を通じて、ソーシャル・ガバナンスを実現する。 組織間の3Kでは、協働に向けた努力が求められる一方で、緊張と競合の関係 が存在することにも意味があるとされる。  ソーシャル・ガバナンスの視点は、第一に秩序の形成と維持、第二に統治の 機構から機能への転回、第三に市民社会組織を担い手とする、第四に上下関係 から対等関係への転換、第五に協力や合意だけでなく対立や闘争も容認する。 とくに第五の対立や闘争の容認は、これまで秩序の維持や主体の協力を強調し てきたガバナンス概念に、パラダイムシフトを迫る視点ともいえる11)  ローカル・ガバナンスは、地域課題を横断的に捉えかえすダイナミクス、 必ずしも公的権力によらない緩やかな活動調整の枠組みと定義される(山本 2009)。コミュニティの周辺部に追いやられてきた組織の参加を促し、多元的

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な民主主義に貢献する一方、資源配分の過程で対立が生じることもある。コミュ ニティ・ガバナンスは、ローカル・ガバナンスのサブ水準として、多様なステー クホルダーを引き寄せるアンブレラの役割を果たす(山本 2008)。ネイバーフッ ド・ガバナンスは、住民に最も身近な水準の集団的意思決定をあらわす(山本 2009)。  ガバナンスの分析では、統治の過程と対抗の要素が剔出される。対抗の要素 は担い手の対立として表面化し、「官民関係」だけでなく、住民型組織と市民型 組織の「民民関係」からも剔出され、サブ・ローカルな水準に照準を合わせる必 要がある。サブ・ローカルな水準のガバナンス概念には検討の余地があり、事 例に即した研究が求められる12)。次節では、担い手組織の対立から結社創出に いたるまちづくりの事例研究を行う。 4 事例研究 4.1 葛城町とだんじり  岸和田市は「城とだんじりのまち」として知られ、町内挙げてのだんじり祭が 地域コミュニティを醸成している。葛城町は岸和田市内24小学校区の1つ、修 斉校区の町である(表-1参照)13)。修斉校区は市街化調整区域に含まれ、葛城町 は昭和40年代に住宅地として開発された。市域でも山手にあたる葛城町には坂 が多く、バス便も朝夕以外は限られ、住民は「不便なとこ、陸の孤島みたいな ところ」と表現し、後述するゆう葛城の送迎サービスが不便を補っている。近 隣の町からは地域活動に熱心な町とみられているが、だんじりで揉める以前の 葛城町について、「人のことには関わらない、愛想のないとこやった」と振り返 る住民もいる。  だんじり祭は、1703年に岸和田藩主岡部長泰が城内三の丸に京都伏見稲荷を 勧請し、五穀豊穣を祈願した稲荷祭が起源とされる。現在まで地車は各町で管 理され、住民を相互に結びつけてきた。旧市域(旧市22町、春木13町)では9月 祭礼、新市域(山手47町)では10月祭礼を慣例とし、葛城町は10月祭礼で地車を 曳行する。だんじりを巡っては、一方で希薄化した地域のつながりを取り戻す 結節にだんじりを据えたいと考え、他方でだんじりを運営する祭礼団体が閉鎖

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的で自分たちの祭とは思えないとの声が交錯し、複雑な感情をうかがわせる。 4.2 だんじり問題とゆう葛城 4.2.1 だんじり問題  岸和田のだんじりは町会が管理し、祭礼団体が運営しているが、葛城町のだ んじりは(葛城町の 3 だんじりではなく)「葛城町にある 3 3 3 だんじり」とされる。他町 のきまりとは異なり、町会と祭礼団体が区別され、町会長は祭礼責任者を兼務 しない。その背景にはかつて新聞も取り上げた「だんじり問題」がある。以下、 聞き取りと資料から経緯を振り返る15)  葛城町ではこれまで地車をめぐる町会総会での議決を二度実施している(表 -2参照)。一度目は昭和60年12月の臨時総会で地車購入が提案されたが、否決 された。町民は「(地車は)お金も人手もかかるから持ちたくない」との総意を示 した。二度目は平成7年10月の臨時総会で地車寄贈の受け入れが提案され、再 び否決された。二度目の議決に先立つ地車説明会では、町会が「前回は各戸の 費用負担があったが今回はなし」と説明したが、町民は万一事故があれば責任 をとらざるを得ないとして、「地車をもたない」ことを決議した。結局、地車の 購入と寄贈とも町民は承諾しなかった。しかし、二度の否決にもかかわらず、 翌年「葛城町地車愛好会」(以下、愛好会と略記)は「曳行までは否決されていな い」として、町内に地車を運び込んだ。町民は「愛好会が曳行するのは自由」と 容認し、町会は「地車及び祭礼とは無関係」と説明したが、地車曳行には警察署 長の許可を受けるよう定められており、許可申請には町会長の押印が必要であ り、町会が無関係とはいえない。 表-1 岸和田市区町の世帯と人口   (2010年11月1日現在) 葛城町 修斉校区 岸和田市 世帯 490 2,160 82,735 人口 計 1,234 6,056 203,075 男(%) 47.0 48.7 48.2 女(%) 53.0 51.3 51.8 15歳未満(%) 11.6 15.1 15.1 65歳以上(%) 31.0 22.1 21.5 出典:「町別年齢別(5歳刻み)人口表14)」をもとに作成      

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  だんじりを10メーター動かすのでも、町会長のはんこがなかったら絶対 動かされへんの。町会長がずっとはんこ押してたっていうことですやん、 だんじりが動いてたってことは。(Aさんからの聞き取り16)  町会は平成8年の「無関係」から9年の「積極的指導」、10年の「指導・援助・参加」 へと立場を変え、10年9月に回覧された「秋祭りに関する町会の訴え」では、「今 年から祭礼は町行事とする」と表明した。祭礼の町行事化は、葛城町として修 斉校区パレードに参加することを意味し、その背景には2つの要因が考えられ 表-2 だんじり問題とゆう葛城の年表 ( )は月日 昭和44 葛城町会発足 50 近隣の町の地車を曳かせてもらう 53 子供会がハッピを新調 60 地車購入に関する臨時総会・町民投票(12/22) 平成7 地車説明会(10/8)、地車寄贈に関する臨時総会・町民投票(10/22)、朝日新聞記事(10/24) 8 (5/9)、愛好会が町内曳行・町会は「無関係」の立場町会が「お断り」回覧、愛好会が地車を運び込む(3/31)、総会開催(4/29)、朝日新聞記事 9 総会開催(4/27)、愛好会が町内曳行・町会は「積極的指導」の立場 10 総会開催(4/26)、『愛好会だより 地車』No.8「パレード参加」、「秋祭りに関する町会の訴え」 回覧(9/6)、各種団体役員会(9/27)、考える会結成、町会の責任で地車曳行、修斉地区パレー ドに参加・町会は「指導・援助・参加」の立場、町会役員会・愛好会・青年団・ジュニア会 から考える会に話し合いの申し入れ(10/18) 11 町会長から考える会事務局に私信(1/12)、町会が祭礼文書を発行(2/27)、総会開催(4/24)、 考える会が学習会を不定期に開催 12 考える会のメンバー 3人が町会役員に立候補・選出、ゆう葛城発足(4/28)、「町会福祉活動 の推進と、ボランティア募集について」回覧(5/20)、ゆう葛城が要援護者基礎調査、給食・ サロン要望調査(7)、小地域ネットワーク活動チラシ全戸配布(8)、ふれあい給食・いきい きサロン(9)、ゆうネット(10)を開始 13 旧年度役員が総辞任、A氏が町会長に就任、「葛城中学校東側俚道の整備について」連名要 望、ゆう葛城がシネマサロン・パソコンカフェ(5)、筋力トレーニング教室(6)を開始 14 「曳行の責任は愛好会と青年団、曳行の申請は町会長」を総会で承認 16 ゆう葛城が毎日介護賞を受賞(7) 17 ゆう葛城がはなまる喫茶(7)、子育てサロン(8)を開始 20 葛城町町会役員会(11/1)、ゆう葛城が大阪府医師会長賞を受賞(11) 21 「町会より臨時のお知らせ」(4/10)、葛城町町会総会(4/12)、町会とゆう葛城の話し合い (6/14)「葛城町会館使用規定」改刷(12/5) 22 「葛城町町会総会報告」(4/28)、ゆう葛城が総会報告に採決結果を追記するよう要望書を提 出(5/25)、町会・福祉ネットワークとゆう葛城の話し合い(6/7)、 出典:フィールド資料をもとに作成

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る。ひとつは町会発足当時、自町の地車をもたない葛城町は近隣の町から見下 されていたといい、昭和50年から他町の地車を曳かせてもらっていた町会には、 「近隣の町と同じようにしたい」思いがあったという17)。もうひとつは祭礼の寄 付分担金が高額で、愛好会は自町の地車をもとうと考え、他町から中古の地車 を購入して町内に運び込み、既成事実を図ろうとした。町会の思いと愛好会の 考えが合致して、地車はなし崩し的に葛城町に導入された。  平成10年9月、町会と愛好会に対抗して「住みよい町づくりを考える会」(以下、 考える会と略記)が立ち上がる。考える会は、祭礼をめぐる軋轢から創出され たと考えられる。代表のA氏は、「とにかく経緯を町民に知らせなければ」とチ ラシを作成し、全戸配布した。考える会には町内の女性7名が集まり、A氏と 協力して翌年4月の総会までに通算11号のチラシを発行した18)。考える会のメ ンバーは女性学級や家庭教育学級のネットワークでつながっている19)。町民は 「ようやってくれたみたいな感じで」、昔の資料を貸してくれたり、カンパを寄 せてくれたりと、多くの反響があったという。チラシでは町会運営を批判し、 例えば第7 ~ 8号では、「祭礼を町の行事にすると、盆踊りや運動会と同じにな ります。町会費からの支出、各種団体は祭礼の手伝い(婦人会は炊き出し、子 供会は付き添いなど)」と記述されている。また第4 ~ 6号では、考える会の目 標として、「①民主的な町会運営(住民の総意が反映された)、②一人ひとりの心 を大切に、安心して暮らせる町づくり、③総会決議の遵守(例えば、地車は町 会としては不用と決議されている)」が掲載されている。他にも「総会での議決 を覆すやり方は町会会則に違反しており、町会自体についても考え直さなけれ ばならなくなる」「内輪だけで話が進められ、町民に何も知らされない」「町会は 地車と町民の融和を考える必要がある」などの意見を、「葛城町の声」として連載 している。総会直前の第11号では出席を呼びかけ、直後の第12号では議事を採 録している。4時間に及ぶ総会では祭礼と地車曳行に質問が集中し、祭礼を町 行事としないことが拍手で確認されたという。考える会のメンバーは、「町会長 を辞めさせられなかった」と悔しがったが、取材していた記者や助言していた 専門家などから、「地縁のところでは長を替えてしまうようなことはなかなかで きない」、「せっかく知り合ったんやから、町会がどんなんか、様子みたらどうや」 などの意見もあり、町会運営を批判する代わりにガーデニングや地域福祉など

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の学習会を開催し、チラシの全戸配布は続けた。考える会のメンバーは「一年 遊んで、どんな町が住みよい町か話し合い」、学習会の成果を地域課題の掘り 起こしにつなげた。   この大騒動のなかでね、みんな今までね、町会好きな人がやってはんね んから、あの人らに任しといたらええねん、で、町会なんかたいしたこと ない思ったら、そんなすごいだんじり引張り込むみたいなことしたでしょ。 そのときにやっぱり、ほんまに放っといた自分らも悪かったなって、思い はったみたいな感じがあって、(中略)それがね、このだんじりの問題で揉 めてから、やっぱり、すごくその、なんていうのかな、自分らでやらへん かったら、自分らも考えなあかんなって、総会へ出てくる人もすごく増え た。(Aさんからの聞き取り)  「だんじり問題」―祭礼をめぐる町会・愛好会と考える会の軋轢は、葛城町 に変化をもたらした。上述したように、VAは公認/非公認の軸と表出的=共 楽型/手段的=共苦型の軸の組み合わせで区分される。愛好会は表出的=共楽 型、考える会は手段的=共苦型のVAと考えられる。愛好会が親睦を媒介に町 会と考える会を連携することが求められたが、考える会がゆう葛城に発展する ことで、分担を媒介に町会の体制を変革したといえる。   だから変わったんやと思う、どっかで。もう、あんまりにもやっぱりね、 放ったらかしといたからあかんねん、何人かの人が思ったんやと思う。こ れが私の始まりで、「ゆう葛城」の始まりにつながってることやと思う…。 (Aさんからの聞き取り)  A氏は、「町会に文句言うてるだけやったらあかん、自分らが町会役員になら んとうちの町は変えられへん」として、メンバー 3人で平成12年度の町会役員 に立候補し、選出された。町会役員は任期2年(再任を妨げない)で、旧年度か らの5人と新年度からの5人の半々で構成される20)。翌年、旧年度からの役員は 誰も残らず、新体制が発足した。A氏は町会長に就任し、「その年からもうほん

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とにいろんなことを変えた」という21)。とくに曳行の責任は愛好会・青年団が 担い、町会長は申請書に押印するだけで祭礼責任者を兼務しないことを定めた。 修斉校区の祭礼会則では、町会長と祭礼責任者の兼務が規定されていたが、A 氏の町会長2期目(任期3年目)に改定された。  旧体制では、「町会を私物化している状況」があったといい、町会役員の顔ぶ れは10年間同じで、分会(葛城町会は5分会[28区]で構成される)が輪番制で選 出した役員を、「町会長が好きな人ということで決まっていったような状態」が あり、引き継ぎ間際や任期途中の交代が続いたという。また、地車寄贈の受け 入れが提案された臨時総会に「愛好会の見積もりでは祭礼はできない」として、 他町の会計報告を借出して添付した匿名チラシが撒かれたとき、愛好会は撒い たグループ(男性5名)を突き止め、自宅に毎晩押しかけて恫喝したという22)  恫喝の様子を目の当たりにしたA氏は、「書く以上は自分の責任の所在を明ら かにせなあかん」と他山の石とし、すべての議事録を全戸配布するようにした。 町会は『葛城町だより 交友』を年4回発行しており、旧体制では「『だんじり新 聞』って言われるくらい、だんじりのことばかり書いてあった」が、「こんなにも だんじりで利用された『交友』やから、こんどは徹底的に違うっていうことを同 じ新聞使ってやらなあかん」として、編集に力を注いだ。  岸和田にはだんじり祭をはじめ、多くの「地域資源」がある。他方、葛城町に は山林や溜池などの共有財がなく、「葛城町にある 3 3 3 だんじり」では人材も限られ る。だんじりには事故がつきもので、他町では事故があれば共有財を売ったり、 町会長が私財を投じたりして支える話が伝えられるが、葛城町にはその下支え がない。地車の曳き手は保険に加入し、契約の範囲内では補償されるが、生活 の保障としては十分でない。  考える会は町会を中心とする自治のあり方を問うており、旧体制では輪番制 で選出された役員を受け入れなかったが、祭礼でこそ非民主的な運営は認めら れず、逆に責任の不明確な体制では支えられない。祭礼団体は年齢階梯的な分 業体制を整備しているとされるが23)、考える会によれば、「ほんまに人が育って るとは思われへん」という。地車を町内に運び込んだ愛好会が青年団などを指 導すべきだが、その理念は継承されていないという。地車はただの「大きな玩具」 ではないのだから、共有財や人材が不足している新興の住宅地で保有するため

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には、責任と担い手がセットでなければならない。  町会は「愛想のない」葛城町が「さみしいから、だんじりを真ん中に据えてみ んなで仲よう町をつくりたい」と考える一方、考える会は「それにしてはあまり にも大変なものを背負い込みすぎるんちがうか」と捉えている。町会と考える 会は、まちづくりという共通の目的を追求する基本方針では合意するが、それ を実現する手段では、町会のだんじりに対して考える会の地域福祉というよう に、それぞれ異なる。考える会の学習会を母体に結成されたゆう葛城は、「住民 の助け合いの網の目を張っていく」活動を担い、手段的=共苦型の担い手組織 へと発展している。 4.2.2 ゆう葛城  葛城町福祉推進委員会「ゆう葛城」は、岸和田市社会福祉協議会(以下、社協 と略記)と修斉地区市民協議会(以下、市民協と略記)福祉部会に所属する住民 組織であり、大阪府の補助事業である小地域ネットワーク活動を担っている。 小地域ネットワーク活動は、社協の内部組織として各小学校区に設置されてい る地区福祉委員会を中心に推進され、「小地域を単位として要援護者一人ひとり に近隣の人びとが見守り活動や援助活動を展開」している24)。岸和田市では市 民協福祉部会が地区福祉委員会を兼ねている。平成10年から開始され、14年ま でに市内全域で実施することとされ、葛城町では12年から始められた。平成12 年度の町会総会で「安心して暮らせる助け合いのまちづくり」が提案され、町会 役員、市民協福祉部会長、民生児童委員、老人クラブ会長、婦人会役員などの 連名で発足した。代表を務めていた町会役員の任期満了での交代を契機として、 各種団体と同じ位置づけで町会への出席を要請され、活動内容の報告だけで発 言はしないとの条件で参加してきた。  ゆう葛城の活動はサロンと助け合いに大別され、前者にはいきいきサロン、 おしゃべりランチ、子育てサロン、パソコンカフェ、はなまる喫茶、筋力ト レーニング教室などがある25)。後者には見守り・声かけ訪問などがあり、葛城 町全住民を対象とした助け合いのネットワークである「ゆうネット」に発展して いる。ゆうネットは車での送迎、留守宅の見守り、パソコン指導などの日常生 活レベルの協力活動を「ありがとうチケット」で循環させている。住民が「して

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もらいこと」と「できること」を登録し、登録者数は2009年現在で118名、協力者 延べ人数は、2003年721名、2004年不明、2005年1,203名、2006年965名、2007 年475名、2008年321名である。ありがとうチケットは、ゆうネットの依頼者か ら協力者に1回の協力につき1枚支払われ、ゆう葛城からも5回の協力につき1枚 の「ゆうゆうチケット」が還付される。ゆうゆうチケットは、サロン活動の参加 費やありがとうチケットとして利用でき、参加の誘因とチケットの循環に効果 が期待されている。また、サロン活動のスタッフにも還付され、それはスタッ フとしてサロンに参加する場合でも参加費が必要で、月に6 ~ 8回開かれるサ ロン活動は少なからず負担と考えられ、スタッフも参加してよかったと思える 仕組みにするためだという。  ゆう葛城のスタッフは約30名で、社協の福祉推進委員にも登録されている。 サロンごとに「窓口さん」がおり、月1回の推進委員会で活動を報告する。推進 委員会は自由参加で、「入りたい人は、どうぞどうぞ」「しばらく休む人は、また いけるときに来てください」と、和やかな雰囲気だという。全体の窓口として 代表を置くが、「上下関係がない、みんな同じみたいな感じ」、「会則もないし、 総会なんかしない」とのことである。それはゆう葛城が会費を集めて活動する 団体ではなく、サロンに来た人がそのときにお金を出し合って運営する団体だ からである。会計監査が事業・会計報告を審査し、社協と市民協にも提出して いるが、「推進委員会で認めてもらったらそれでいいんじゃないっていうのはあ る」と話す。町会館の鍵を預かり、活動保険の適用などの援助を受けているが、 町会とは別組織で、役職や任期にとらわれない自発性を重視した団体といえる。  ゆう葛城は課題も抱えている。第一にスタッフが固定化し、後継者問題が浮 上している。子育てサロンには他校区からの参加もあり、若い世代との連携を 模索している。第二に社協に提出する資料の様式が煩雑で、事務作業が一部の スタッフに集中している。第三にこれまでの曖昧な位置づけ(市民協福祉部会 に所属しながら町会とは別組織であり、各種団体と同じ位置づけで町会への出 席を要請されながら、活動内容の報告だけで発言はしないとの条件で参加して きたことなど)が、町会との関係を複雑にしている。  ゆう葛城は、考える会の「住みよい町づくり」という理念を継承してきた26) 右田(2005)によれば、地方自治と不可分な「あらたな福祉」としての地域福祉は、

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自治の概念と福祉の実践を接合する課題をもつという。また地域福祉は、自治 から派生する公共性の展開と生活主体を原点とすることで、新しい公共を再構 築できると考えられる。 4.3 軋轢の再燃  最近、ゆう葛城と町会の間に軋轢が生じている。ゆう葛城の推進委員として 子育てサロンやゆうネットを担当したA氏は、平成13年から2期4年間町会長を 務めた後、相談役として町会運営を支え、19年からは市民協福祉部会長に就任 したが、A氏が変革した町会体制はさらに変化したか、揺り戻しが起こったと 考えられる。20年11月の町会役員会では、町会長と町会役員の間に対立が続い て町会運営が混乱し、町会長が辞任するか町会役員が総辞任するかをめぐって 紛糾した。仲裁に入った相談役は、12月末付の町会長の辞任、町会長代行と次 期町会長候補の早期選出を勧告した。町会長批判の急先鋒に立つ町会役員が町 会長を代行し、祭礼団体に近い人物が次期町会長候補に選出された。任期半ば での町会長交代を序章として、21年度の町会総会前にゆう葛城を誹謗する「町 会より臨時のお知らせ」が全戸配布され、総会で白紙撤回されたが、ある町会 役員が「ゆう葛城は町会運営を妨げる団体、排除しなければならない」と発言し た。町会とゆう葛城は町会館の鍵の保管などについて話し合ったが、役員会へ の出席停止、交友編集委員からの除外、町会館の鍵の没収などの「抑圧」が始まっ たという。町会と愛好会に対抗して立ち上がった考える会を母体とするゆう葛 城が、秩序を乱す私的な関係として排除されているのかもしれず、社協の地区 福祉委員会を兼ねる市民協の福祉部会に所属しながら、町会とは別組織である ゆう葛城の曖昧な立場が、異分子とみなされているのかもしれない27)  抑圧の経緯は、ゆう葛城のサロンを案内する町内放送を自粛するように町会 長から文書連絡があり、ゆう葛城は放送を短縮・中止したが、町民から「町内 放送がうるさい、ゆう葛城は解散しろ」などと誹謗した匿名の郵便が届いたと いう。また、ある町会役員が情報公開条例に則ってゆう葛城の会計簿の公開を 社協に請求した。社協は書面が整っていたためこれを公開し、「適切な処理がな されている」と説明する一方、ゆう葛城の会計簿は市民協福祉部会の会計簿の 一部でもあるため、市民協の会長と福祉部会長に連絡した。そして、21年12月

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に「会館使用規定」の改刷が全戸配布され、ゆう葛城は鍵の保管者から削除され た。22年度の町会総会で「ゆう葛城を町会館の鍵の保管者とするかどうか」が挙 手採決され、出席した122人のうち65人が賛成したが、閉会直前で退席する人 も多く、反対は数えられなかった。4月28日付の「総会報告」には採決に関する 記述がなく、ゆう葛城から「会場の半数以上が賛成の挙手をしたことを総会報 告に追記すること」が要望されたが、町会からの回答はなく、ゆう葛城は鍵の 保管者から締め出された。  さらに、22年度からA氏に替わって町会特別推薦で市民協福祉部会長に就任 した婦人会役員が、葛城町の小地域ネットワーク活動団体をゆう葛城から町会 長の親族が代表を務める団体に変更した28)。ゆう葛城には補助金が支給されな くなり、町会から「7月以降の活動予定を配ってはいけない」と指示されたため、 予定していたサロン活動をすべて中止し、名称から葛城町福祉推進委員会とい う文字を外した。ゆう葛城は全戸配布したチラシで、「社協の補助金で活動する 団体ではなくなりますが、新たな福祉活動の形を模索し、充電するため、しば らく活動を休止させていただきます」と説明し、6月に「葛城町の福祉を考える 会」を開催した。9月からは町内の民家を借りて会費で運営する「ふれあいゆう 葛城」として、気軽に集える居場所づくりの活動を再開している。ふれあいゆ う葛城は、総会の開催などを会則に規定し、曖昧な立場からの脱却を図ってい る29) 5 おわりに  本稿では、コミュニティの担い手組織の区分と対立・連携、ガバナンス概念 の多様化と多層化を前提に、サブ・ローカルな水準における住民型=地縁型組 織と市民型=テーマ型組織の「民民関係」および結社創出の事例研究を行った。 担い手組織としてのVAは、公認/非公認、表出的=共楽型/手段的=共苦型 など様々な軸の組み合わせで区分される30)  公民協働は、ガバメントとガバナンスの対抗を架橋する一方で、ガバナンス 自体を多様化する。ガバナンスが内包する対抗の要素は、「官民関係」だけでな く「民民関係」からも剔出され、サブ・ローカルな水準の分析を必要とする。サ

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ブ・ローカルな水準は、コミュニティやネイバーフッドなど多層化している。「民 民関係」は協力だけでなく対立や闘争も含意しており、闘争の結社創出機能は、 担い手を公共空間に結びつけ、バラバラで無関係であったかもしれない個人や 集団を団結させる(Coser 1956=1978)。だんじりで揉める以前の葛城町は、住 民がたがいに無関心で孤立していたという。祭礼をめぐる軋轢はゆう葛城とい う結社を創出し、地域のつながりを再編した。さらに、結社創出から団結の過 程を通じて、何を継承していくのかについて考えることが重要である。ゆう葛 城は考える会の理念を継承し、地域公共的な課題に対処してきた。闘争の社会 的遍在性に依拠すれば、様々な対立は人間の本質的な属性であり、それらは社 会の形成・存続・発展にとって意義をもつ31)。ガバナンスはコミュニティの担 い手組織の対立過程を容認することで、その有用性や汎用性を高めるといえる。 【文献】 青木康容、2010、「分権改革と地方ガバナンス」青木康容・田村雅夫編『闘う地域社会― 平成の大合併と小規模自治体』ナカニシヤ出版、3-25. 鯵坂学、2006、「地域住民組織と地域ガバナンス」玉野和志・三本松政之編集チーフ『地域 社会学講座第3巻 地域社会の政策とガバナンス』東信堂、173-187. 有本尚央、2009、「現代社会における祭礼の経験的理解に向けて」第60 回関西社会学会大 会報告原稿. 栄沢直子、2009、「協働の実質化と再構築―岸和田市の地区市民協議会を事例として」 『コミュニティ政策』(7): 133-148. 橋本和幸、2003、「純粋コミュニティと経験的コミュニティ―コンフリクト処理の複雑・ オープンシステム」『金沢大学文学部論集 行動科学・哲学編』(23): 1-39. 今里佳奈子、2003、「地域社会のメンバー」森田朗・大西隆・植田和弘・神野直彦・苅谷剛彦・ 大沢真理編『講座 新しい自治体の設計1 分権と自治のデザイン』有斐閣、153-178. 神野直彦、2004、「新しい市民社会の形成―官から民への分権」神野直彦・澤井安勇編『ソー シャル・ガバナンス』東洋経済新報社、2-16. 神谷国弘・中道實編、1997、『都市的共同性の社会学―コミュニティ形成の主体要件』ナ カニシヤ出版. 神原文子、1982、「ジンメルの『闘争理論』再考」『社会学史研究』(4): 50-69. 片木淳、2010、「『地域主権国家』と地域コミュニティ」『ガバナンス』(105): 24-26. 加山弾・杢代直美、2009、「地縁型組織とテーマ型組織の連携に関する研究―団地住民 のNPO 創出および自治会・管理組合との連携を事例として」『福祉社会開発研究』(2): 55-64. 岸和田市、1977、『岸和田市史 第5巻 現代編』. 岸和田市立女性センター・きしわだの女性史編纂委員会編、1999、『市民がつづった女性 史―きしわだの女たち』ドメス出版.

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江弘毅、2005、『岸和田だんじり祭 だんじり若頭日記』晶文社. 京極高宣、1984、『市民参加の福祉計画―高齢化社会における在宅福祉サ-ビスのあり 方』中央法規出版. 間島正秀、2004、「新しい『住民自治組織』―近隣自治政府の設計」神野直彦・澤井安勇 編『ソーシャル・ガバナンス』東洋経済新報社、159-182. 森裕亮、2006、「地縁組織のNPO化の現状と課題(1)―鳥取県智頭町の事例から」『北九 州市立大学法政論集』34(1-2): 63-76. ―、2008、「地縁組織のNPO化の現状と課題(2)―岐阜県旧山岡町『まちづくり山岡』 を事例として」『北九州市立大学法政論集』35(2-4): 175-187. 内閣府、2004、『コミュニティ再興に向けた協働のあり方に関するアンケート』. 中田實、2001、「地域社会とNPO」『コミュニティ政策研究』愛知学泉大学コミュニティ政 策研究所、3: 5-13. ―、2007、『地域分権時代の町内会・自治会』自治体研究社. 名和田是彦、1998、『コミュニティの法理論』創文社. 日本都市センター、2002、『自治的コミュニティの構築と近隣政府の選択』. 越智昇、1982、「コミュニティの核を形成する思想」奥田道大ほか編『コミュニティの社会 設計』有斐閣、136-158. ―、1990、「ボランタリー・アソシエーションと町内会の文化変容」倉沢進・秋元律郎 編『町内会と地域集団』ミネルヴァ書房、240-287. 大内田鶴子、2006、『コミュニティ・ガバナンス―伝統からパブリック参加へ』ぎょう せい. 澤井安勇、2004、「ソーシャル・ガバナンスの概念とその成立条件」神野直彦・澤井安勇 編『ソーシャル・ガバナンス』東洋経済新報社、40-55. 総務省、2005、『分権型社会における自治体経営の刷新戦略―新しい公共空間の形成を 目指して』. ―、2009、『新しいコミュニティのあり方に関する研究会報告書』. 玉野和志、1993、『近代日本の都市化と町内会の成立』行人社. 塚本一郎・古川俊一・雨宮孝子編、2004、『NPOと新しい社会デザイン』同文舘出版. 鳥越皓之、1994、『地域自治会の研究―部落会・町内会・自治会の展開過程』ミネルヴァ 書房. 右田紀久惠、2005、『自治型地域福祉の理論』ミネルヴァ書房. 上野谷加代子、1985、「在宅福祉サービスのマンパワー」右田紀久恵・小田兼三編『在宅福 祉の展開』中央法規出版、42-62. 和田敏明、2002、「広がる地域福祉の担い手の役割分担と協働」和田敏明編『地域福祉の担 い手』ぎょうせい、3-21. 山本啓、2008、「ローカル・ガバナンスと公民パートナーシップ―ガバメントとガバナ ンスの相補性」山本啓編『ローカル・ガバメントとローカル・ガバナンス』法政大学出 版局、1-34. 山本隆、2009、『ローカル・ガバナンス―福祉政策と協治の戦略』ミネルヴァ書房. 山岡義典、2004、「市民活動団体の役割と課題」神野直彦・澤井安勇編『ソーシャル・ガバ

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ナンス』東洋経済新報社、204-215.

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Coser、 Lewis、 1956、 The Functions of Social Conflict、 New York: Free Press.(= 1978、新睦人訳『社会闘争の機能』新曜社.)

Pestoff、 Victor A、 1998、 Beyond the market and state: social enterprises and civil democracy in a welfare society、 Aldershot; Brookfield: Ashgate.(=2000、藤田暁男ほか訳『福祉社会と 市民民主主義―協同組合と社会的企業の役割』日本経済評論社.) 【注】 1) 橋本(2003)によれば、都市社会の秩序は異質な構造分化の中で交換・交渉・コンフ リクトのプロセスを通じて可能になるという。 2) 神谷・中道編(1997)を参照。 3) 右田(2005)によれば、地域福祉と地方自治が不可分性を有する「自治型地域福祉」で は、住民組織や当事者組織に自治概念を設定して、共同性と公共性を公私協働の理論 的根拠とすることが求められるという。 4) 住民型組織と市民型組織については、山岡(2004)を参照。民民関係については、間 島(2004)を参照。 5) 地域コミュニティの担い手は、加入構成の原理と目的機能の原理の二軸で区分され る(鯵坂 2006)。地域福祉の担い手は、専門/非専門の軸とケア性/オーガナイズ・コー ディネイト性の軸(上野谷 1985)、制度内/制度外のサービス(京極 1984)、既存/新 規の活動(和田編 2002)などで区分される。 6) 全国社会福祉協議会(2008)も参照。地縁型組織のNPO化については、間島(2004)、 森(2006, 2008)を参照。 7) 鳥越(1994)を参照。 8) 玉野(1993)、中田(2007)を参照 9) 山本(2009)、青木(2010)を参照。 10) ガバメントはガバナンスというセットに包摂され、ポスト・モダニズムのナラ ティブとは逆に、「小さな物語から大きな物語へ」の方向性を示しているという(山本 2008)。 11) 神原(1982)は、闘争、競争、葛藤の上位概念に抗争を位置づけた上で、闘争を他 者志向的で顕在的な抗争、競争を目標志向的で顕在的な抗争、葛藤を他者志向的もし くは目標志向的で潜在的な抗争と捉えている。 12) 大内(2006)は、日本の地縁団体による住民自治の形成と運営をコミュニティ・ガ バナンスと表現し、アメリカのネイバーフッド団体の活動と制度を紹介して、日米の 近隣団体規約を比較している。 13) 修斉校区は葛城町、神須屋町、八田町、真上町、北阪町、土生滝町、阿間河滝町 の7町からなる。 14) http://www.city.kishiwada.osaka.jp/uploaded/attachment/8651.htm, 2010.11.27 15) 筆者は2005年から葛城町のフィールドワークを継続している。本文に引用した聞

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き取りは、2007年6月5日に修斉地区市民協議会福祉部会長、葛城町会相談役(いずれ も当時)、ゆう葛城推進委員のA氏から伺った。資料は『考える会だより』、『葛城町だ より 交友』、『朝日新聞』(1995.10.24、1996.5.9)、『ゆう葛城だより』などを参照した。 16) A氏は1992年に葛城町へ転入し、女性学級などを経て、98年に「住みよい町づくり を考える会」を立ち上げた。2000年に葛城町の町会役員(書記)となり、01年に町会長 に就任し、2期4年間務めた。また、01年から3年間、「まちづくり・ざいせい岸和田委 員会」(まちざい)の環境部会に参加し、04年からは修斉地区市民協議会長(任期1年間) に就任する一方、まちざいの環境部会のメンバーで「かんきょう53」を結成した。05年 からはまちざいの4部会(教育と文化、健康と福祉、安全・快適な都市的魅力、環境) を母体とした、市民の出会い・交流の場である「まちづくりネットワーク岸和田」に参 加している。 17) 町会は、85年の臨時総会案内文で、「(自町の地車をもつことで)校区各町と町内の 一層の親睦が深まる。青年団の結成など、葛城町で生まれ育ってきた若者の融和がは かれる。今までも町内の中学生・高校生のかなりの者が他所の青年団に入って他町の 地車を曳いている」と説明している。 18) チラシは総会後も第15号(2000年4月27日)まで発行されている。 19) 女性学級は婦人学級として昭和31年に、家庭教育学級は39年に岸和田市教育委員 会によって開設された。51年に婦人学級と家庭教育学級の各連絡会に自主学習グルー プ連絡会も加わり、翌年「岸和田市学級・グループ連絡会」が発足し、社会教育の問題 に協力して取り組むようになった。 20) 町会役員は、町会長(1)、副会長(2)、書記(1)、会計(1)、事業委員長(1)、事業委 員(2)、会計監査(2)、相談役で構成される。毎月第1土曜日に町会役員会を開いている。 各種団体は、老人クラブ、婦人会、青年団、ジュニア会、子供会で構成され、民生委 員、自主防災会消火班、「交友」編集委員、岸和田市産業廃棄物減量等推進委員(リサイ クル委員)、修斉連合役員も含まれる。任意団体には、地車愛好会、中国式健康体操 クラブ悠々、若頭会、世話人会、囲碁将棋卓球同好会、ゆう葛城、GOLF同好会、トー ルペイントクラブ、コーラス部、環境を考える会などがある。 21) それまで杜撰に支出されていた町会運営費を縮減する一方で、町会加入を増やす ために入会金を減額した。また、2005年に「葛城町環境を考える会」を立ち上げ、町会 館前に雨水タンクを設置して、モニターと雨水活用を進める大阪府のレインボープロ ジェクトに参加した。 22) 住民は「こんな静かな住宅地やのに、とにかく外へ出て見るだけでも、無茶なこと できへんようになる」と見守ったが、仲裁に入った町内会長の呼びかけで開かれた話 し合いでも恫喝は続き、チラシを撒いたグループは「もう二度と町会には関わらない」 と言ったが、その奥さんたちは悔しがり、考える会に参加する契機になったという。 23) 有本(2009)を参照。 24) http://www3.shakyo.or.jp/cdvc/fukushi/jigyou/katsudou.html, 2010.11.27   大阪府社協によれば、小地域ネットワーク活動を必要とする背景として、①急速な 高齢化、②核家族化の進行と家族機能の変化、③公的サービスだけでは限界、④地 域の結びつき・人間関係の希薄化を挙げている(http://www.osakafusyakyo.or.jp/chiiki/

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haikei.html, 2010.11.27)。 25) 平成21年度は、120回のサロン活動に、延べ2,356人が参加している。 26) フィールド資料によれば、ゆう葛城の目指すものとして、①住みよい町づくり、 ②仲良しになること、③楽しい気持ちの伝染、④同じ地域に暮らす仲間として、⑤優 しい関係の人の輪づくりが挙げられている。 27) 岸和田市のコミュニティ施策の成果である市民協は、第一に町会連合会が反発し たため、校区町会連合会長が地区市民協議会長を兼務するようになった。第二に市民 協の制度化と軌を一つにして、社協が地区福祉委員会の組織化を進めており、市民協 の福祉部会が社協の地区福祉委員会を兼ねる形でまちづくりと福祉の連携が始まった という(栄沢 2009)。 28) 「町会直轄団体」(町会役員会で承認されている団体)として、24時間緊急対応シス テム「SOSネットワーク」を計画している。 29) 会則によれば、「地域に住むものが助け合って、住民による自主的な助け合いを行っ ていくことで、住みなれた町でいつまでも安心して暮らしていくためのまちづくり」 を目的とし、①会員の交流と親睦活動、②見守り活動、③助け合い活動、④その他目 的達成に必要な活動を行う。 30) 組織参加に注目すれば、地域社会のメンバーは中心/周辺の軸で分類され、「コア・ メンバー」「周辺メンバー」「アウトサイダー」が存在すると同時に、地域共同性を意識 した選別が行われている(今里 2003)。 31) 神原(1982)を参照。

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Governance formation through conflict process between forerunner organizations: A case study of Katsuragi-cho Kishiwada city

EIZAWA, Naoko  Keyword:forerunner organizations, conflict process, governance

 The aim of this paper is to bring out utility and generality of governance concept through the following studies. First, to consider the discussion over conflict and cooperation between forerunner organizations. Second, to extract connotation such as conflict and process from governance concept and to examine diversified and multilayered governance. Third, to study a case of the process from conflict to association creation. Voluntary associations as forerunner organizations are classified variously, namely, whether recognized or nonrecognized, expressive or instrumental, etc. It is important to consider what is succeeded to through the process from association creation to unity. Conflict is not only omnipresent to the society but also significant in the society. The approval of conflict process between forerunner organizations will improve utility and generality of governance.

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