平面水噴流による円筒形物の削皮技術
著者
門 久義, 松村 博久
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
37
ページ
19-25
別言語のタイトル
Peeling Technology for Circular Objects with
Plain Water Jets
著者
門 久義, 松村 博久
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
37
ページ
19-25
別言語のタイトル
Peeling Technology for Circular Objects with
Plain Water Jets
平面水噴流による円筒形物の削皮技術
門 久 義 ・ 松 村 博 久
(受理平成7年5月31日)PeelingTechnologyforCircularObjectswithPlainWaterJets
HisayoshiKADOandHirohisaMATSUMURA
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requiredpowerforpeelingaburdockisestimated. 1 . は じ め に 近年,ウォータージェット技術は紙,布,ゴム,木 材からプラスチック,複合材料,金属,ガラス,岩石, コンクリートに至る各種材料の切断加工に広く利用さ れるようになってきた')。このようなウォータージェッ ト加工に使用する圧力は,通常100∼400MPa,極端 な場合には1,000MPaに達し,ノズル直径が数mm程 度以下の円形ノズルを用いて行われる2)。この技術の 特徴は,レーザー加工機などと同じく単位面積当たり の加工エネルギーを大きく取れ,噴流の直径が小さい ため所要動力を少なくできることである。しかし,こ の技術は切断加工が目的であるため,比較的広い面に わたって表面から一定の深さを一様に加工することは 困難である。 本研究は,3MPa程度以下の低圧水噴流を用いて, 農作物などの円筒状物体の表皮全面を削る方法につい て実験的に検討したものである3)。加工性能に係わる 主なパラメータとして,ノズル形状と出口直径,ノズ ルの吐出し圧力,ノズルと加工材料の距離,さらに加 工材料の種類とノズル送り速度を検討した。 本実験においては,まず,その供試円筒の軸を中心 とする同一円周上に等間隔で中心に向けて設置した平 面噴射ノズルから水噴流を供試円筒側面に噴きつけた。 そしてノズル吐出し圧力,ノズル間距離,供試円筒径 等を変化させ,供試円筒側面上の静圧測定孔によって 周方向の静圧分布を測定し,供試円筒表面における圧 力分布特性について調べた。つぎに,実際にごぼうを 例にとって削皮実験を行い,ごぼうの送り速度と最適 な削皮条件が得られるためのノズル吐出し圧力の関係 を調べた。最後に,ごぼう削皮機の所要動力特性を試 算し,その経済性について言及した。C 【】 a
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図1表面圧測定用実験装置の概略2.実験装置および方法
2 . 1 表 面 圧 測 定 実 験 ‘ 水噴流による壊食作用は,噴流コア部の連続した流 体部分の衝突によって行われるのではなく,分散した 液滴の衝突によることがわかっている4)。したがって, 物体表面への液滴の衝突は圧力変動として検出され’ その変動の大きさが壊食量の目安になると考えられる。 しかし,円形ノズルの場合と異なり,本実験で用いた 平面噴射ノズルでは,流出後比較的短距離で水噴流は 全面的に液滴状になる。そのため噴流衝突面の圧力変 動値はその平均値と一意的な関係にあると考え,本実 験では水噴流衝突面の平均圧力を測定して考察を行っ た。 図1は供試円筒の表面圧を測定する実験装置の概略 図である。往復動ポンプ①により圧送された水は,高 圧タンク②で脈動を低減されてa∼hの8本の圧力 ホースに分配され,装置③の平面噴射ノズルa∼h に送り込まれる。8本のノズルから噴出した平面噴流 は,各ノズル中心軸を含む面内,すなわち水平面内で 広がり,隣り合う噴流間で干渉しながら供試円筒側面 ④に衝突する。8本の平面噴射ノズルの先端は同一円 周上にあり,その直径をノズル間距離z,ノズル吐 出し圧力を2,とする。 直径Dの供試円筒側面には,表面圧Rを測定する ために内径1mmの測圧孔が設けられ,供試円筒を回転 させることにより周方向の表面圧分布を測定した。圧 力測定位置は,各ノズルの中心軸を通る円周上とし, ブルドン管圧力計により測定した。供試円筒の直径, 1 4 . 2 P T I / 8 図 2 平 面 噴 射 ノ ズ ル の 詳 細 Iま15,18,22,26,32,38,47.5mの7種類とした。実験に用いたノズルは,Sprayingsystems社製
のフラットスプレーノズルVV11003(オリフイス直 径1.1mm),VV11010(同2.0mm),VV65025(同1.0 mm),VV6508(同1.8mm)の4種類である。ノズル VV11003とVV11010は広がり角度が110.程度,VV 65025とVV6508は約65.であり,前者は後者に比べ て衝撃効率が低く,本実験の目的には不適当であるこ とがわかった。さらに,ノズルVV65025はVV6508 よりオリフイス直径が小さく速度への変換効率が少し 低かった。したがって,本報告はノズルVV6508に ついての実験結果について述べる。図2は平面噴射ノ ズルVV6508の詳細である。本報告では,このノズ ルをNozzleType65080と表示している。 2.2ごぼう削皮実験 水噴流によりごぼうを削皮する場合,図1に示した 8本の平面噴射ノズルの中心にごぼうを保持して,上 方にワイヤで移動させた。ごぼうの移動速度はモーター により任意に設定できる。実験に際しては,ノズル設 置条件を2.1の結果から得られた最適設置条件にし,1 3 5 1 8 0 21 - 9 0 − 4 5 0 4 s 8deg・ 図 3 単 一 水 噴 流 に よ る 表 面 圧 900 ● 750 90 120 100 600 500 600 gd 22450 Gn 四 300
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画﹄茎吻生00
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150 0 0 4 5 90 8deg. (a) 門・松村:平面水噴流による円筒形物の削皮技術 1 3 5 1 8 0 90 8deg. (b)ノズル中間圧R‘は漸増ののち減少に転じている。烏
とRbの曲線の交点は,供試円筒の表面圧が周方向に 一様になっている場合に相当する。 前 図 の 交 点 に よ り 求 め ら れ た 円 筒 直 径 D の 値 の 例 を図6に示す。これより,ノズル間距離Zを固定す ると,供試円筒の表面圧が一様になる場合の円筒直径 Dの値はノズル吐出し圧力Rの値に関わらずほぼ一 定となっていることがわかる。このDの値に対する 図4 ごぼうの移動速度Uとノズル吐出し圧力2,を変化さ せて,削皮状態が最適となる圧力を求めた。3.実験結果および考察
3.1静圧分布と最適ノズル間距離 図3は供試円筒に1本のノズルから水噴流を吹き付 けた場合の例である。ノズル正面は8=0.であり, 8=±45.ではノズル吐出し圧力E,の値にかかわらず 非常に小さい値となっている。ノズル間距離z,供 試円筒径Dを変化させてもこの傾向は変らない。 図4(a)∼(c)は供試円筒に8本のノズルから水噴 流を吹き付けた場合の例で,ノズル間距離Z=64mm とし,それぞれ供試円筒径D=38,26,18mmと変化 させた場合の表面圧Rの分布である。図中の各曲線 は,ノズル吐出し圧力R,が異なっている。いずれの 図においても8=0,45,90,135,180。がノズル正 面である。なお,隣り合う水噴流の相互干渉の様子を 示すために,この図では,8=180.の位置にあるノズ ルには水を噴出させていない。これらの例から,ノズ ルを45.のピッチで取り付けた場合,隣接するノズル の中間位置において表面圧が上昇していることがわか る。さらに,D=38mmの場合はノズル正面に圧力ピー クが表われているが,D=18mの場合にはノズルの中 間位置に表面圧のピークが表われている。そして,D= 26mmの場合には表面圧が8方向にほぼ一様な値を示 している。このような傾向はノズル吐出し圧力の値に 関わりないことも明らかである。 図5はノズル正面圧をR/,ノズル中間圧をR‘と して供試円筒直径Dに対する変化を示している。ノ ズル正面圧烏はDの増加とともに急激に大きくなり,0000
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画︽国的円 200 100 0 0 4 5 0 4 5 9 0 1 3 5 1 8 0 edeg. (c) 8方向水噴流による表面圧の例 600 5000000
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ただし,供試円筒径Dの単位は(、),R,とE,の単位 は(kPa)である。 図9(a),(b)は実験値に対する式(2)の近似程度を 表している。同図(a)中の直線および同図(b)中の曲 線は式(2)の値である。これより,実験式(2)は,最 適設置条件におけるノズル吐出し圧力と表面圧の関係 をよく近似しているものと考えられる。 3.3ごぼう削皮における送り速度と最適削皮表面 圧 の 関 係 図10は,実際にごぼうを用いて削皮を行った結果で ある。実験装置の都合で,ノズル間距離Zを54mmに 易=2.21,+0.08(、)(1) この式によって円筒径,(、)に対するノズル間距離易(、)を計算し,ノズル間距離を設定することによ
り表面圧を一様にすることができる。以後,式(1)を 最適設置条件と呼ぶ。 3.2最適設置条件における表面圧 円筒形物体の削皮を行うためには,水噴流の吹き付 けによって円筒表面圧を一様にすることは必要条件で あるが,十分条件ではない。したがって最適設置条件 の式(1)は必要条件である。ここでは最適設置条件に おいて一様となる供試円筒の表面圧を烏とし,ノズ ル吐出し圧力E,と表面圧烏との関係を調べる。 図8は凡の実験結果を表している。この結果より, 10 200 図8 900 800 30 700 600 画四基︻巨四 E E20 Q 500 400 300 D m 最適設置条件における表面圧と供試円筒径zの値を最適ノズル間距離亀と呼び,これらの関係
を図7に示す。図中の実線は,実験結果の近似直線を 表し,次式で与えられる。 100 0 0 0 図6 1 0 0 0 2 0 0 0 3 0 0 0 PnkPa 一様な表面圧になる供試円筒直径 01 0.02 0.03 0.04 0.05 NC型cTypc=65080(Z=64mm) ●P、=1176kPa 一 − OPn=1764kPa のP、=2156kPa ePn=2548kPa fb 応応 一一 //
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(a) 23 1000 1000 3500 図 1 0 ご ぼ う 削 皮 実 験 の 結 果 てごぼうを削皮するための最適設置条件と最適削皮表 面圧の条件が明らかになった。しかし,ごぼう削皮機 を開発する場合には,その経済性を検討しておくこと が重要である。ここでは,ごぼうを最適に削皮する場 合にノズルで消費される水動力を見積もる。 図12は,3.3節で得られた送り速度Uと最適削皮 表面圧R"の関係を用いて,式(2)からごぼう径Dと ノズル吐出し圧力Rの関係を示したものである。図 中の実線,破線,一点鎖線は,それぞれ送り速度U= 0.23,0.41,0.62m/sのときに必要なノズル吐出し圧 力E,の値である。ごぼう径Dの増加とともに次式の ような関係に従って増加する。
R=』器(kPa)(3)
図13は,実験に用いた平面噴射ノズル1本の特'性, 900 800 3000 700 600§
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固定し,最適円筒径に近いD=19∼22mmのごぼうを 選び,ごぼうの送り速度Uとノズル吐出し圧力Rを 変化させて削皮実験を行った。削皮の仕上り状態は目 視により判定した。図中の▲と△印は削れ過ぎを表し, ▼と▽印は表皮が一部残っていることを表している。 ○印はほぼ適切と思われる削皮結果を示し,このとき のRの値は最適削皮が行えるノズル吐出し圧力であ る。 しかし,ごぼうを実際に削皮する条件はごぼうの表 面圧に直接関係しているものと考えられる。図10の結 果から,最適な削皮状態における表面圧E"pを換算し, 送り速度Uとの関係を表わしたものが,図11である。 この最適削皮表面圧旦ゅは,基本的にごぼうの直径と は無関係に一定であり,送り速度Uにのみ依存する ものと考えられる。 3.4ごぼう削皮機の経済性 前節までの結果から,8本の平面噴射ノズルを用い 900 800 700 700 600 500 400 200 飼四誤︻巨四 600 500 400 300 同四塁 01 0.02 100 0 0.04 (b) 図 9 最 適 設 置 条 件 に お け る 表 面 圧 の 近 似 式 0.03 D m 0.05 0 0 . 2 0 . 4 0 . 6 0 . 8 NC型cTypC■“080 − − , ■ 1 3 p m m o P m m u 雪 7 P n k P a − −−.D■2qpmmoPm■0.19010nkF8 −.−.,■26J0,8鵬Pm室0.144IDnkPa 一 一 D ■ ” p m I L P m 茸 O b l l 2 n k P a − …。Dロ4コ』、瓜Pm■qO84PnkP8 −Dm47pm域P、毎Om7PnkP8e| | | フ ァ
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1 2000 0 0 0.02 0.0 黒目○ 1.5 るが,D=40m,nのごぼうでは11.8(kW)の動力を必要 とし,D=50mmのごぼうでは,16.8(kW)となる。 表1に,式(5)による動力の試算例を示す。ごぼう 径Dの増加とともに所要動力が急激に増加すること がわかる。したがって,ごぼう削皮機を開発する際に は,この所要動力を目安として,ごぼう径の対象範囲 を限定する必要があると考えられる。 4 . 結 論 以上の実験結果について検討した結果,つぎのよう な結論が得られた。 (1)供試円筒側面の周方向圧力分布が一様になるため には,供試円筒径に対する最適なノズル間距離があ り,式(1)で与えられる。これを最適設置条件とい う。 (2)最適設置条件において,一様な表面圧はノズル吐 出し圧力と供試円筒径の関数で,式(2)のように表 される。 (3)ごぼうに対する最適な削皮条件を与える表面圧は, D m 図12最適削皮条件におけるノズル入口圧と ごぼう径の関係 図14最適削皮条件における所要動力とごぼう径 表1 所 要 動 力 の 試 算 ×10−4 L=8辺E, =24.3×106Pリノ掴=0.141黒鈎L58(kW)(5)
この式よりごぼう削皮機に必要な動力を見積もると, 図14のようになる。図中の実線,破線,一点鎖線は, それぞれごぼうの送り速度U=0.23,0.41,0.62m/s の場合に相当し,ごぼう径Dによって必要な水動力 Lを表している。例えば,U=0.62m/sの場合,D= 201mnのごぼうを削皮するためにはZ,=3.96(kW)であ 2.0 ノズル吐出し圧力E,(kPa)と流量Qの関係を示して いる。図中の近似曲線は,次のように与えられる。Q=3.04×10 61/耳(㎡/s)(4)
したがって,8本のノズルにより消費される水動力L (kW)は,式(3),(4)より次のように与えられる。 D伽一Ⅲ|川一川一Ⅷ|Ⅷ|Ⅷ|Ⅲ|Ⅲ 11.81 U=0.62m/s 1.34 0.5 3.96 7.50 1.0 28.57 16.80 22.40 0 5 0 0 1 0 0 0 1 5 0 0 2 0 0 0 2 5 0 0 3 0 0 0 35.27 0 PnkPa 図13平面噴射ノズルの流量特性 00 Noz副cTypc画“080 ONoz率1●NCEエlc5 e‘Noz副c2△Nczz,c6 = ① N C 型 c . ▲ N o z z j c 7 一 oNozz】c4pNoEzjc8||』
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.( .,.ラン 〆 鐸ン〆門・松村:平面水噴流による円筒形物の削皮技術 ごぼうの送り速度に依存して一意的に定まる。 (4)8本の水噴流で削皮を行う場合に,ごぼう径の増 加とともに所要動力は急激に増加する。この所要動 力の見積もりは,式(5)により概算できる。