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機器分析との関わり

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Academic year: 2021

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(1)機器分析との関わり 機器分析評価センター 産学連携研究員 廣田 洋.  私の本務先は、理化学研究所(現在の勤務地は和光市だが、2000年から昨年までは横浜市鶴見 区)であるが、今春から週1回横浜国大にお邪魔するようになった。また、機器分析評価センタ. ーに理化学研究所からBruker社製のDRX−500型NMR装置が今春移設された。この装置が移設 後も順調に稼動し始めたので、一安心している。.  専門分野を書く際に、このところ天然物科学と書くように努めている。10年ほどタンパク質の 構造・機能研究に関わっていたのに2−3年前から天然物化学を再び主たる専門に戻したと思われ ているのかもしれないが、本人としては、NMR法等の機器分析法を用いて低分子化合物が生体内 でタンパク質・受容体等と分子間相互作用する場を視野に入れた科学の研究を一貫して追求して いるつもりである。.  40年前配属研究室を決める際に、新たに質量分析装置が導入された研究室(天然物有機化学研 究室)を希望した。装置をいじくりまわしたかったからであり、以来廃棄処分となるまでその日 立RMU−6L型の質量分析装置の子守もした。研究課題としては、天然有機化合物の単離・構造決. 定と反応を大学院時代は行った。その過程で質量分析法だけでなくNMR法も大いに利用した。. NMRは測定を依頼する等の方がその頃は多かった。いじくりまわし始めたのは約20年前からで. ある。その装置がBruker社製の500MHzのNMR装置であり、以来、勤務先が変わり、OSが変 わり、プローブが変わり、磁石が変わり、分光計が変わり、等々の変遷を経ているが、ずっとBruker. の500MHzのNMR装置を愛用している。  前勤務地である理研横浜研究所には約40台の600MHzから900MHz級のNMR装置が整備され ている。感度・分解能の点で、これらのより高磁場の装置には勝てないので、理研横浜研ですべ. ての測定を500MHzの装置で行ったわけでない、そういう点では500MHzの装置の機能を完全に 活用していたわけではないが、マシンタイムに余裕があったので、装置のクセを十分に把握でき たし、沢山のSIN比の良いデータが取得できたと思っている。.  ご存知のように、NMR法は他の有機機器分析法と比べて、対象としているエネルギーが小さい. (共鳴周波数にして10MHzから1GHz程度)ために、低感度である。しかし、 NMR法は水素核 間の距離情報に基づいて・分子全体の立体構造情報が得られる、分子間相互作用を動的過程も含 め観測できる等の特徴を有するために、感度向上や装置の安定性向上を目指して装置・測定法の 進歩が絶えず進行している“楽しい”分光法である。.  その“楽しい”分光法で行ってきた化合物の構造解析等についてごく掻い摘んで紹介する。  大学院時代に構造解析の対象としていた化合物に分子式C15H260という植物の精油成分(・LB・). があった。1Hシグナルが2ppm以下の範囲内にすべてある、化学反応の足がかりとなるべき官能 基がない(唯一の酸素原子は4級工一テル酸素である)ので、構造解析は困難であった。二次元 一6一.

(2) NMR法が開発されている現在なら丸1日で構造が出るが、この化合物でいろいろな反応や機器分 析(当時の最新NMR法を含む)を学ぶことができた。1)  1980年代に天然物(amoroiide)の全合成を35段階をかけて行ったが、合成中間体が正しい構 造(立体化学を含む)を有しているかの確認にNMR法は大いに役立った。2).  上記の500MHzのNMR装置が導入されてからは、天然物の構造解析が飛躍的に進んだが、強 力な細胞毒性を有する13−deoxytedanolideについては、構造決定だけでなく、その後受容体の特 定・タンパク質合成阻害機構まで明らかにできた。3).  タンパク質の構造・機能研究としては、たとえば転写因子TFII−1上に繰り返し存在する機能未. 知のGTF21ドメイン群10種の構造解析と構造比較を行った。インシリコ・スクリーニングも実 施して機能解析の足がかりを見出した。4)また、原索動物のホヤ類は高濃度でバナジウム元素を. 蓄積しているが、バナジウムイオンと結合するタンパク質Vanabin2の構造解析を行い、9個の S−S結合を持つ新規な基本構造を有することを明らかにした。5).  低分子化合物とタンパク質等の高分子化合物との分子間相互作用を正確に理解するには、低分 子側と高分子側の両方から見る目が必要であることが認識できた。この認識とこれまでの蓄積に. 基づき、6)質量分析法やNMR法をはじめとして種々の機器分析と関わりつつ、天然物科学の研 究を今後も進めて行きたいと考えている。. 9H E  ; 9’ HOttt・tt、. O. ‘‘. kB,,. amarolid. 13・deoxytedanolide. Vanabin2. GTF21・1. 1)Bul/. C力em. SoαJρη.,53,785(1980).. 2)a)J.・Synth. Org. C力em.却.,45,1199(1987)・b)J・ Org・C力em・・56,1119(1991)・ 3)a)J.・Org.・Chem.,56,4971(1991). b&c)B拍・rg.・Med・ Chem・,13・449&455(2005)・ 4)Protein. Sci.,16,1788(2007).. 5)J. Am. C力em. Soc.,127,4216(2005).                           . 6)たとえばa)J.BiomoL∼M尺31, 375(2005). b)Anal. C力em・,77・5750(2005)・c)J・ Biochem’s々γ, 138,613(2005).d)Pr・tein・Sci.,15,1010(2006). e)Pr・c・∼atL Acad. Sci. U. S. A.・103,14396. (2006).f)Pr・te・mics,7,494−499(2007).9)Angew.・Chem・∫nt・・Ed…46,・2254(2007)・h)J・ Chem・lnf・  ModeL,47,1609(2007).り」.ノVat. Prod.,71,520(2008). j)Org. Lett. ,11,1297(2009). k)J. Am.. Chem. S。c.,・131,・3834(2009).1)Raρid・C・mmun. Mass・Spectr・m・・23,1647(2009)・. 一7一.

(3)

参照

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