• 検索結果がありません。

労働時間制度が「働き方」に与える影響 : 企画業務型裁量労働制に関する一研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "労働時間制度が「働き方」に与える影響 : 企画業務型裁量労働制に関する一研究"

Copied!
16
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)労働時間制度が「働き方」に与える影響 ──企画業務型裁量労働制に関する一研究── 二 神 枝 保. Ⅰ.研究目的. 性本部,2005 年). 本論文では,企画業務型裁量労働制を導入す. 最近,労働時間制度をめぐる議論が盛んであ. ることによって,職場,そして適用者の働き方. る.自己管理型労働制,いわゆる日本版ホワイ. や意識にどのような変化や効果をもたらすのか. トカラー・エグゼンプションは,従来の「働き. について検討する.とくに,適用者の業務量に. 方」を改革する規制緩和策として注目されてき. 占 め る 企画・調査業務比率,業績・成果 に 見. た.本来,ホワイトカラー・エグゼンプション. 合った評価,仕事における裁量度の 3 つの変数. の導入には,個々人が効率的な仕事の進め方を. が,制度導入の効果にどのような影響を与える. 自律的に選択し, ワーク・ライフ・バランス (仕. のかについて検討する.本論文では,アンケー. 事と生活の調和)を実現させる狙いが込められ. ト調査に基づいて,6 つの分析(①企画・調査. ていた(樋口,2007 年) .しかし,残業代ゼロ. 業務比率による制度導入の効果,②業績・成果. や長時間労働を懸念する労働組合等の反対のた. に見合った評価による制度導入の効果,③仕事. め,2007 年 2 月 6 日 に 政府 は,制度導入 を 盛. の裁量度による制度導入の効果,④「企画・調. り込んだ労働基準法案の提出を見送ることを決. 査業務比率」と「成果に見合った評価」の組み. 定した.. 合わせによる制度導入の効果,⑤「仕事におけ. 企画,立案,調査,分析業務を行うホワイトカ. る裁量度」と「成果に見合った評価」の組み合. ラーに 対 し て は,2000 年施行 の 改正労働基準. わせによる制度導入の効果,⑥「部門の生産性」,. 法によって裁量労働制が導入されている.裁量. 「成果に見合った評価」,「有能な人材の確保」,. 労働制とは, 現実に働いた労働時間と関係なく,. 「仕事の意欲」の相関分析)を行う.. 労使で定めた「みなし労働時間」を 1 日の労働. Ⅱ.調査方法‡. 時間とする制度である.裁量労働とは,業務の 性質上,その遂行の手段や時間配分を具体的に. 1.調査対象と配布方法. 指示するのが困難なために,それらを労働者の. アンケート調査の対象は,企画業務型裁量労. 裁量に任せる労働をさしている.裁量労働制. 働制が導入されている企業 348 社の 1013 事業. は, 当初, 研究開発などの専門業務に限られてい. 所において,企画業務型裁量労働制の部下がい. たが,2000 年の改正労働基準法によって, 「事. る管理監督者である.各事業所の人事・総務担. 業の運営に関する企画, 立案, 調査, 分析の業務」. 当者宛に調査票を 10 票ずつ送付し,調査対象. がその対象に加えられた.現在,裁量労働制を. の条件にあてはまる管理監督者に配布を依頼し. 導入している企業は,専門業務型で 19.0% ,企画. た.. 業務型 で 10.7% と なって い る(社会経済生産.

(2) . 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 1 号(2007年 7 月). (2). 2.調査時期. ⑵ 適用者の働き方・意識の変化. 2005 年 10 月 18 日─11 月 7 日. 適用者の働き方・意識の変化については,図 1 のように,「企業への帰属意識」,「仕事の意. 3.回収票. 欲」,「仕事 の 専門性」,「仕事 の 満足度」の 項. 607 票(83 社). 目に**が付いており,適用者のモラールや専. Ⅲ.分 析 1.分析 1「企画・調査業務比率」に よ る 制度 導入の効果. 門性の平均得点について,企画・調査業務比率 の高いグループの方が,有意に高いことがわか る.また,「効率的な仕事の進め方」,「成果や 業績への意識」などの平均得点についても,企. 裁量労働制を導入するにあたって,企画・調. 画・調査業務比率の高いグループの方が有意に. 査業務比率によって,⑴職場の変化と⑵適用者. 高く,成果主義にプラスの効果を得られたこと. の働き方や意識の変化にどのような違いがある. がわかる.さらに,「仕事の負荷やストレスが. かを比較するために,t 検定を行った.t検定. 減った」,「仕事と生活の調和」の項目について. は,2 つのグループ(ここでは,適用者の業務. も,企画・調査業務比率の高いグループの方が. 配分「企画・調査業務比率」が 平均〔66.7%〕. 有意に高く,管理職は,適用者のワーク・ライ. より「高い」グループと「低い」グループ)の. フ・バランスが実現されていると感じている.. 間の平均得点が等しいという,帰無仮説を検定 している.企画・調査業務比率とは,企画業務 型裁量労働制の適用者の全体業務量に占める①. 2.分析 2「業績・成果 に 見合った 評価」に よ る制度導入の効果. 企画あるいは立案する業務,および②調査ある. 次に,企画業務型裁量労働制を導入するにあ. いは分析する業務の割合をいう.以下が,その. たって,業績・成果 に 見合った 評価 の 度合 に. 分析結果である.. よって,⑴職場の変化と⑵適用者の働き方や意. ⑴ 職場の変化. 識の変化にどのような違いがあるかを比較する. 職場の変化では,図 1 のように**の付いて. ために,t 検定を行った.業績・成果に見合っ. いる「部門の生産性」 , 「職場内の仕事の配分・. た評価とは,適用者の評価について成果や業績. 連携・調整 (-)」 , 「労務管理の煩雑さ (-)」 , 「管理. に見合ったものになっているかの程度(例えば,. 職 の 仕事 の 負荷 (-)」 , 「有能 な 人材 の 確保・定. 業績ないし成績の評価結果により,賃金・賞与. 着」の項目において,企画・調査業務比率の高. で相当の格差がつくようになっている等)であ. いグループの平均得点が,有意に高いことがわ. り,回答者の質問項目の結果を尺度化したもの. かった.つまり,企画・調査業務比率の高いグ. である.ここでは,適用者の処遇に関する 5 つ. ループの方が,低いグループと比べると,部門. の質問について,「当てはまる」= 4,「どちら. の生産性が高いし,有能な人材の確保や定着と. かと言えば当てはまる」= 3,「どちらかと言. いう効果がある.また,仕事の配分・連携・調. えば当てはまらない」= 2,「当てはまらない」. 整や労務管理も円滑であり,管理職の仕事のし. = 1 として,その合計の平均(16.3%)より「高. わ寄せも少ないことがわかる.ただし, 「人件. い」グループと「低い」グループの間の平均得. 費の削減」については,企画・調査業務比率の. 点が等しいという,帰無仮説を検定している.. 高いグループの方が有意に低い.つまり,企画・. 以下が,その分析結果である.. 調査業務比率が低いグループでは,人件費が抑. ⑴ 職場の変化. 制・削減されていると感じている管理職が多. 図 2 の よ う に,「部門 の 生産性」,「残業時. い.. 間 の 増加 (-)」,「職場内 の 仕事 の 配分・連携・.

(3) 3.30 3.30. 3.50 3.50. 3.28 3.28. 3.43 3.43. 3.12. 3.31 3.31. 3.12 労働時間制度が「働き方」に与える影響(二神). 2.06 㪈㪅㪌㪇. 㪉㪅㪇㪇. 2.01 2.01. ①部門の生産性や成果はあがった**. ⑧取引先や顧客,他部門との仕事の調整が難し くなった (-) ⑨効率的な仕事の進め方をするようになった**. 2.72 2.72. 㪊㪅㪌㪇. 㪊㪅㪉㪏. 㪊㪅㪋㪊. 㪊㪅㪊㪈. 3.20 3.20. 2.34 2.34. 2.89. 2.55 2.55㪉㪅㪎㪉. ⑪企業への帰属意識が高まった** ⑫仕事の意欲が高まった**. 2.40 2.40㪉㪅㪌㪌. **. 㪉㪅㪋㪍 㪉㪅㪋㪇. 㪉㪅㪇㪌. 㪊㪅㪇㪍 2.89 㪊㪅㪉㪇. 2.72 2.72. 㪉㪅㪊㪋. 㪉㪅㪏㪐2.74. 2.74 㪉㪅㪎㪉. 2.38 2.38. 㪉㪅㪎㪋 㪉㪅㪊㪏. 2.28 2.28. ⑯仕事と生活の調和が進んだ**. 㪊㪅㪌㪌. 㪊㪅㪋㪏. 2.05 2.05. 3.55 3.55. 3.06 3.06. 㪊㪅㪈㪉. 㪉㪅㪐㪍. ⑭仕事への満足度が高まった**. 㪊㪅㪍㪉. 3.48 㪊㪅㪊㪇 3.48. 㪉㪅㪊㪉. 㪉㪅㪇㪈. 2.14 2.14. 2.46 2.46 㪉㪅㪈㪋. ⑬仕事の専門性が高まった**. 㪋㪅㪇㪇. 㪉㪅㪐㪈. 2.96 2.96 㪉㪅㪊㪐. 㪉㪅㪇㪍. ⑩成果や業績への意識が高まった**. ⑮仕事の負荷やストレスが減った. 㪊㪅㪌㪇. 2.32 2.32. 㪊㪅㪌㪊. ⑤管理職の仕事の負荷が増加した (-)**. ⑦職場の総人件費が抑制・削減された**. 2.39 2.39 㪊㪅㪇㪇. 㪉㪅㪌㪇. 㪉㪅㪌㪌. ②適用者ではないものに業務量が偏り,残業時 間が増加した (-) ③適用者とそうでないものとが混在するため職 場内の仕事の配分・連携・調整が難しい (-)** ④適用者とそうでないものとが混在するため労 務管理が煩雑になった (-)**. ⑥有能な人材の確保・定着が進んだ**. . 㪂. 㪄2.06 㪈㪅㪇㪇. (3). 㪉㪅㪉㪏. 2.68 2.68 㪉㪅㪍㪏. 調査・分析比率が高いグループ. 調査・分析比率が高いグループ 㧦ડ↹࡮┙᩺࡮⺞ᩏ࡮ಽᨆᲧ₸߇㜞޿ࠣ࡞࡯ࡊ :企画・立案・調査・分析比率が高いグループ :企画・立案・調査・分析比率が低いグループ 調査・分析比率が低いグループ 㧦ડ↹࡮┙᩺࡮⺞ᩏ࡮ಽᨆᲧ₸߇ૐ޿ࠣ࡞࡯ࡊ. 調査・分析比率が低いグループ 図 1 制度導入効果:企画・調査業務比率. 調整 (-)」 , 「労務管理 の 煩雑 さ (-)」 , 「管理職 の. とがわかる.ただし,「人件費削減」の項目に. 仕事 の 負荷 (-)」 , 「有能 な 人材 の 確保・定着」 ,. ついては,平均得点が業績・成果に見合った評. 「取引先や顧客,他部門との仕事の調整」の項. 価の度合が高いグループの方が有意に低いこと. 目の平均得点において**が付いており,業. がわかる.これは,成果主義が浸透しているよ. 績・成果に見合った評価の度合が高いグループ. うな企業では,企画業務型裁量労働制の導入が. の方が,有意に高いことがわかる.つまり,業. 人件費削減・抑制につながっているとは感じら. 績・成果に見合った評価をすることによって,. れていないことを示唆している.逆に,裁量労. 部門の生産性は高くなるし,有能な人材の確. 働制導入が人件費の削減・抑制につながってい. 保・定着という効果もあるし,残業時間や管理. ると感じている職場では,成果主義が浸透して. 職の仕事の負担も増えることはないし,仕事の. いないことがわかる.. 配分・連携・調整や取引先等との仕事の調整,. ⑵ 適用者の働き方や意識の変化. そして,労務管理も円滑であり,企画業務型裁. 適用者の働き方や意識の変化についてみる. 量労働制の外部効果がよりポジティヴになるこ. と,図 2 のように,「効率的な仕事の進め方」,.

(4) . (4). 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 1 号(2007年 7 月) ὼ. 㪈㪅㪇㪇. ὺᴾ. 㪈㪅㪌㪇. 㪉㪅㪇㪇. ①部門の生産性や成果はあがった**. 㪉㪅㪌㪇. 㪊㪅㪇㪇. ②適用者ではないものに業務量が偏り,残業時 間が増加した (-)**. ⑦職場の総人件費が抑制・削減された. 㪉㪅㪈㪌. 㪊㪅㪌㪏. 㪊㪅㪉㪈. 㪊㪅㪌㪋. 㪉㪅㪊㪎. 㪉㪅㪎㪇. 㪊㪅㪈㪋. 㪉㪅㪐㪈. ⑫仕事の意欲が高まった** ⑬仕事の専門性が高まった**. 㪉㪅㪋㪊. ⑭仕事への満足度が高まった**. 㪉㪅㪋㪇. 㪉㪅㪇㪏. ⑯仕事と生活の調和が進んだ**. 㪊㪅㪊㪈. 㪉㪅㪋㪈. 㪉㪅㪐㪌. 㪉㪅㪌㪋. ⑮仕事の負荷やストレスが減った. 㪊㪅㪍㪋. 㪊㪅㪋㪊. 㪉㪅㪈㪉. **. 㪊㪅㪊㪏. 㪉㪅㪉㪎. 㪈㪅㪐㪏. **. ⑪企業への帰属意識が高まった**. 㪊㪅㪉㪎. 㪊㪅㪇㪏. ⑧取引先や顧客,他部門との仕事の調整が難し くなった (-)** ⑨効率的な仕事の進め方をするようになった** ⑩成果や業績への意識が高まった. 㪊㪅㪍㪏. 㪊㪅㪌㪇. ③適用者とそうでないものとが混在するため職 場内の仕事の配分・連携・調整が難しい (-)** ④適用者とそうでないものとが混在するため労 務管理が煩雑になった (-)** ⑤管理職の仕事の負荷が増加した (-)**. **. 㪋㪅㪇㪇. 㪉㪅㪐㪌. 㪉㪅㪌㪏. ⑥有能な人材の確保・定着が進んだ**. 㪊㪅㪌㪇. 㪉㪅㪏㪇. 㪉㪅㪏㪇 㪉㪅㪊㪐. 㪉㪅㪊㪈. 㪉㪅㪎㪉. :業績・成果に見合った評価の度合いが高いグループ :業績・成果に見合った評価の度合いが低いグループ. 図 2 制度導入効果 :業績・成果に見合った評価の度合い. 「成果や業績への意識」の項目について**が. スが一層実現されやすいとわかる.. 付いており,成果主義的な評価の企業の方が有 意に高く,適用者の効率的な仕事の進め方や成 果や業績への意識にポジティヴな効果が得られ ることがわかる.また, 「企業への帰属意識」 ,. 3.分析 3「仕事 の 裁量度」に よ る 制度導入 の 効果 企画業務型裁量労働制の導入にあたって,仕. 「仕事の意欲」 , 「仕事の専門性」 , 「仕事の満足. 事における裁量の度合いによって,⑴職場の変. 度」などの項目においても,成果主義的な評価. 化,および⑵適用者の働き方や意識の変化につ. をする企業の方が有意に高く,適用者のモラー. いて,どのような違いがあるのかを比較するた. ルや専門性が向上していることがわかる.さら. め,t 検定を行った.仕事における裁量度とは,. に, 「仕事の負荷やストレスの減少」や「仕事. 適用者の仕事における裁量の程度(例えば,適. と生活の調和」の項目においても,成果主義的. 用者に対して,どの程度の仕事の指示を行って. な企業の方が,有意に高く,成果に見合った評. いるか等)であり,回答者の質問項目の結果を. 価によって,適用者のワーク・ライフ・バラン. 尺度化したものである.ここでは,「仕事の指.

(5) 労働時間制度が「働き方」に与える影響(二神). (5). 㪈㪅㪇㪇. ①部門の生産性や成果はあがった. 㪂. 㪄 㪈㪅㪌㪇. 㪉㪅㪇㪇. **. 㪉㪅㪌㪇. 㪊㪅㪇㪇. ②適用者ではないものに業務量が偏り,残業時 間が増加した (-)** ③適用者とそうでないものとが混在するため職 場内の仕事の配分・連携・調整が難しい (-). 㪉㪅㪈㪐. 㪊㪅㪋㪋. 㪊㪅㪊㪈. 㪊㪅㪋㪇. 㪉㪅㪇㪏. 㪊㪅㪊㪉. 㪉㪅㪊㪈 㪉㪅㪉㪋. 㪊㪅㪌㪋. 㪊㪅㪌㪈. 㪉㪅㪏㪈. ⑩成果や業績への意識が高まった. 㪉㪅㪐㪎. 㪊㪅㪇㪌. 㪉㪅㪍㪌. ⑬仕事の専門性が高まった. 㪉㪅㪌㪋. ⑭仕事への満足度が高まった. 㪉㪅㪌㪊. 㪉㪅㪈㪐. ⑯仕事と生活の調和が進んだ. 㪊㪅㪈㪉. 㪉㪅㪉㪏. 㪉㪅㪉㪉. ⑫仕事の意欲が高まった**. ⑮仕事の負荷やストレスが減った. 㪊㪅㪍㪊. 㪊㪅㪊㪎. 㪊㪅㪈㪈. ⑧取引先や顧客,他部門との仕事の調整が難し くなった (-) ⑨効率的な仕事の進め方をするようになった**. ⑪企業への帰属意識が高まった. 㪋㪅㪇㪇. 㪊㪅㪌㪉. ④適用者とそうでないものとが混在するため労 務管理が煩雑になった (-) ⑤管理職の仕事の負荷が増加した (-)**. ⑦職場の総人件費が抑制・削減された**. 㪊㪅㪌㪇. 㪉㪅㪏㪊. 㪉㪅㪍㪌. ⑥有能な人材の確保・定着が進んだ. . 㪉㪅㪎㪐. 㪉㪅㪍㪌. 㪉㪅㪍㪉 㪉㪅㪉㪍. 㪉㪅㪋㪋 㪉㪅㪌㪋. :仕事の裁量度が高いグループ :仕事の裁量度が低いグループ. 図 3 制度導入効果:仕事の裁量度. 示の度合」に関する質問と 「仕事の期限の設定」. とによって,部門の生産性が高まり,残業時間. に関する質問の結果を尺度化した「仕事の裁量. が減り,管理職の仕事の負荷も減るという外部. 度」の平均(6.7)より「高い」グループと「低. 効果が得られる.ただし, 「人件費削減」につい. い」グループ間の平均得点が等しいという,帰. ては,仕事の裁量度の低いグループの平均得点. 無仮説を検定している.以下が,その分析結果. の方が有意に高い.つまり,裁量労働制が人件. である.. 費の削減・抑制につながっていると感じている. ⑴ 職場の変化. 職場ほど,部下に仕事の裁量を与えていないこ. 図 3 のように,職場の変化については, 「部門. とが示唆される.. の 生産性 や 成果」 , 「残業時間 (-)」 , 「管理職 の 仕. ⑵ 適用者の働き方や意識の変化. 事の負荷 (-)」の項目においては, **が付いてお. 適用者の働き方や意識の変化については,図. り,仕事の裁量度の高いグループの平均得点の. 3 のように「効率的な仕事の進め方」および「仕. 方が有意に高い.仕事に裁量度が与えられるこ. 事の意欲」の 2 つの項目については, **が付.

(6) . 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 1 号(2007年 7 月) ࿑㧠 ડ↹࡮⺞ᩏᬺോᲧ₸ߣᚑᨐߦ⷗วߞߚ⹏ଔߩ⚵ߺวࠊߖߦࠃࠆ  ߟߩ࠮࡞. (6). 成果に見合った評価. 高. セル 4. セル 1. 企画・調査業務比率 高. 低 セル 2. セル 3. 低. 図 4 企画・調査業務比率と成果に見合った評価の組み合わせによる 4 つのセル. いており,仕事の裁量度の高いグループの平均. 働き方や意識の変化について,4 つのセル間の平. 得点の方が有意に高い.仕事に裁量度が与えら. 均得点を比較するために,一元配置の分散分析. れることによって,適用者は仕事を効率的に進. (ANOVA)による多重比較を行い,セル間の平. め,仕事への意欲も高まることがわかる.. 均得点の差を Bonferroni の方法によって検定し た.ここでは,セル 1 からセル 4 の 4 つのグルー. 4.分 析 4「企画・調査業務比率」と「成果 に. プ間の平均得点が等しいという,帰無仮説を検. 見合った評価」の組み合わせによる制度導. 定している.なお,多重比較は,水準A1,A2,. 入の効果. …An のすべての組み合わせの差Ai-Aj を同時. 図 4 の よ う に,企画・調査業務比率 の 得点. に検定する手法であるが,ここでは,Bonferroni. を X 軸,成果に見合った評価の得点を Y 軸に. の不等式. 座標軸を作成し,第 1 象限から第 4 象限をセル 1 からセル 4 に分類する.企画・調査業務比率 とは,企画型裁量労働制の適用者の全体業務量. n. n. n. ¦ Pr{ A }  ¦ Pr{ A ˆ A } ҇ Pr{‰ A } ҇ ¦ Pr{ A } i 1. i. i j. i. j. i 1. i. i 1. i. に占める①企画あるいは立案する業務,および ②調査あるいは分析する業務の割合をいう(分. を用いて,すべての比較を同時に有意水準αで. 析 1 に同じ) .また,成果に見合った評価とは,. おさえる方法をとっている.表 1 は,その結果. 適用者の評価について成果や業績に見合ったも. を示している.表 1 の*の付いているグループ. のになっているかの程度(例えば,業績ないし. 間には,有意な差があることを示している.こ. 成績の評価結果により,賃金・賞与で相当の格. の分析結果から,以下の点が明らかになった.. 差がつくようになっている等)であり,回答者. ⑴ 職場の変化. の質問項目の結果を尺度化したものである(分. ①成果に見合った評価および企画・調査業務. 析 2 に同じ) .. 比率の組み合わせによる 4 つのセル間の職. ここでは,⑴職場の変化,および⑵適用者の. 場の変化の平均得点に,有意な差がみられ.

(7) 労働時間制度が「働き方」に与える影響(二神). (7). . 表 1 職場の変化および適用者の働き方や意識の変化の平均得点の多重比較 ⑴ 職場の変化━平均得点の多重比較━  ① 部門の生産性・成果はあがった. ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. 3.12. ࠮࡞1. 2.69. ࠮࡞2. *. 2.50. ࠮࡞3. *. 2.65. ࠮࡞4. *. *. *. * *. ② 適用者でないものに業務量が偏り,残業時 間が増加した (-). ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. 3.69. ࠮࡞1. 3.55. ࠮࡞2. 3.43. ࠮࡞3. 3.67. ࠮࡞4. *. * *. * *. 䋺p<.05. ③ 職場内の仕事の配分・連携・調整が難しい (-). ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. 3.61. ࠮࡞1. 3.36. ࠮࡞2. *. 3.15. ࠮࡞3. *. 3.53. ࠮࡞4. ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. 3.58. ࠮࡞1. *. 3.27. ࠮࡞2. *. 3.16. ࠮࡞3. *. 3.47. ࠮࡞4. *. * *. *. *. * * *. 䋺p<.05. ⑤ 管理職の仕事の負荷が増加した (-). ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. 3.41. ࠮࡞1. 3.17. ࠮࡞2. 2.98. ࠮࡞3. 3.34. ࠮࡞4. * *. * *. *. ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. 1.84. ࠮࡞1. 2.17. ࠮࡞2. 2.37 2.22. *. *. *. ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. 2.49. ࠮࡞1. *. 2.27. ࠮࡞2. *. 2.03. ࠮࡞3. *. 2.11. ࠮࡞4. *. ᐔဋ୯. * *䋺p<.05. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. ࠮࡞1. *. 3.46. ࠮࡞2. *. ࠮࡞3. *. 3.39. ࠮࡞3. *. ࠮࡞4. *. 3.64. ࠮࡞4. *. ている. ② セ ル 1 の「部門 の 生産性 や 成果」 , 「残業 時間 (-)」 , 「仕事 の 配分・連携・調整 (-)」 , 「労務管理 の 煩雑 さ (-)」 , 「管理職 の 仕事 の 負荷 (-)」 , 「有能 な 人材 の 確保・定着」 , 「取引先等との仕事の調整 (-)」の職場変化. *. ⑧ 取引先等との仕事の調整が難しくなった (-). 3.64. 䋺p<.05. *䋺p<.05. ⑥ 有能な人材の確保・定着が進んだ. 䋺p<.05. ⑦ 職場の総人件費が抑制・削減された. *䋺p<.05. ④ 労務管理が煩雑になった (-). * * *. *䋺p<.05. の項目の平均得点において,他のセルより も有意に高い.ただし,総人件費の削減に ついては,他のセルよりも有意に低い. ③セル 2 の「有能な人材の確保・定着」,「総 人件費の削減」の職場変化の項目の平均得 点については,他のセルよりも有意に高い..

(8) . 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 1 号(2007年 7 月). (8). ⑵ 適用者の働き方や意識の変化━平均得点の多重比較━ ① 効率的な仕事の進め方をするようになった. ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. 3.27. ࠮࡞1. 2.82. ࠮࡞2. *. 2.62. ࠮࡞3. *. 2.90. ࠮࡞4. *. *. *. * *. * *. ② 成果や業績への意識が高まった. ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. 3.42. ࠮࡞1. 2.98. ࠮࡞2. *. 2.85. ࠮࡞3. *. 3.15. ࠮࡞4. *. *. *. * *. 䋺p<.05. ③ 企業への帰属意識が高まった. ᐔဋ୯. ④ 仕事の意欲が高まった. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. 2.48. ࠮࡞1. 2.20. ࠮࡞2. 2.07. ࠮࡞3. 2.27. ࠮࡞4. *. *. ᐔဋ୯. *. ࠮࡞1. *. 2.67. ࠮࡞2. *. *. 2.46. ࠮࡞3. *. 2.69. ࠮࡞4. *. *. * *䋺p<.05. ⑥ 仕事への満足度が高まった. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. 2.91. ࠮࡞1. 2.51. ࠮࡞2. 2.37 2.62. *. *. *. ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. 2.95. ࠮࡞1. *. 2.51. ࠮࡞2. *. ࠮࡞3. *. 2.32. ࠮࡞3. *. ࠮࡞4. *. 2.54. ࠮࡞4. *. *. *. ⑦ 仕事の負荷やストレスが減った. ⑧ 仕事と生活の調和が進んだ. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. 2.49. ࠮࡞1. 2.23. ࠮࡞2. *. 1.96. ࠮࡞3. *. 2.22. ࠮࡞4. *. *. *. * *. * *. *. *䋺p<.05. 䋺p<.05. ᐔဋ୯. *. *. 䋺p<.05. ᐔဋ୯. *䋺p<.05. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. 3.11. * ⑤ 仕事の専門性が高まった. *. *. ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. 2.89. ࠮࡞1. 2.46. ࠮࡞2. *. 2.17. ࠮࡞3. *. 2.45. ࠮࡞4. *. 䋺p<.05. *. *. * *. * *. *䋺p<.05. 逆 に, 「労務管理 の 煩雑 さ (-)」 , 「取引先等. 管理 の 煩雑 さ (-)」,「管理職 の 仕事 の 負荷. との仕事の調整 (-)」については,他のセル. (-)」,「有能な人材の確保・定着」,「取引先. よりも有意に低い.. 等との仕事の調整 (-)」の平均得点は有意に. ④セル 3 の「総人件費の抑制・削減」の平均. 低い.. 得点は,有意に高いが,それ以外の全ての. ⑤ セ ル 4 の「残業時間 (-)」,「仕事 の 配分・. 項目「部門 の 生産性 や 成果」 , 「残業時間. 連携・調整 (-)」,「労務管理 の 煩雑 さ (-)」,. (-)」 , 「仕事の配分・連携・調整 (-)」 , 「労務. 「管理職の仕事の負荷 (-)」,「総人件費の抑.

(9) 労働時間制度が「働き方」に与える影響(二神). (9). . 制・削減」 , 「取引先等との仕事の調整 (-)」. や成果を上げるためには,企画・調査業務. の平均得点は, 他のセルよりも有意に高い.. 比率を高めるように仕事そのものを見直し. ただし, 「部門の生産性や成果」 , 「有能な. たり,かつ成果に見合った評価をすること. 人材の確保・定着」については,他のセル. が有効である.. よりも有意に低い. ⑵ 適用者の働き方や意識の変化. ②残業時間の減少や仕事の配分・連携・調整 を容易にし,労務管理の煩雑さや管理職の. ⑥成果に見合った評価および企画・調査業務. 仕事の負荷を少なくし,かつ取引先等との. 比率の組み合わせによる 4 つのセル間の適. 仕事の調整を円滑にするためには,とくに. 用者の働き方や意識の変化の平均得点につ. 成果に見合った評価を行うことが有効であ. いて有意な差がみられている. ⑦ セ ル 1 で は, 「効率的 な 仕事 の 進 め 方」 ,. る. ③有能な人材の確保・定着をすすめるために. 「成果や業績への意識」 , 「企業への帰属意. は,とくに企画・調査業務比率を全体の業. 識」 , 「仕事の意欲」 , 「仕事の専門性」 , 「仕. 務量に対して高めるように仕事そのものを. 事への満足度」 , 「仕事の負荷やストレス」 ,. 見直すことが有効である.. 「仕事と生活の調和」の適用者の働き方や. ④成果に見合った評価を行い,かつ企画・調. 意識変化の全ての項目の平均得点が,他の. 査業務比率を高めるように仕事そのものを. セルよりも有意に高い.. 見直している職場では,裁量労働制が総人. ⑧セル 2 の「成果や業績への意識」 , 「企業へ. 件費の削減につながると認識している管理. の帰属意識」 , 「仕事の専門性」 , 「仕事への. 職はあまり多くない.反対に,成果に見合っ. 満足度」の平均得点は,他のセルよりも有. た評価もあまり行われておらず,企画・調. 意に低い.. 査業務比率も低い職場では,制度導入の効. ⑨ セ ル 3 で は, 「効率的 な 仕事 の 進 め 方」 , 「成果や業績への意識」 , 「企業への帰属意 識」 , 「仕事の意欲」 , 「仕事の専門性」 , 「仕 事への満足度」 , 「仕事の負荷やストレス」 , 「仕事と生活の調和」の適用者の働き方や 意識の全ての項目の平均得点が,他のセル よりも有意に低い. ⑩セル 4 の「効率的な仕事の進め方」の平均 得点は他のセルよりも有意に高い. ただし,. 果は総人件費の削減であるとネガティブに 認識している管理職が多い. ⑤適用者の働き方や意識の変化の分析結果か ら,効率的な仕事の進め方をさせるために は,とくに成果に見合った評価をすること が効果的である. ⑥成果や業績への意識,企業への帰属意識,仕 事の意欲,仕事の専門性,仕事の満足度を高 め,仕事の負荷やストレスを減らし,仕事. 「仕事 の 意欲」 , 「仕事の専門性」 , 「仕事へ. と生活の調和を実現させるには,成果に見. の満足度」の平均得点は他のセルよりも有. 合った評価を実施するのみならず,企画・. 意に低い.. 調査業務比率をも高めるなど仕事そのもの. ⑶ 分析 4 の ま と め ━企業 の 戦略的人的資源. を見直すことが有効である.. 管理の視点からみた制度導入の効果━ 以 上 の 分 析 結 果 か ら, 戦 略 的 人 的 資 源. 5.分析 5「仕事 に お け る 裁量度」と「成果 に. 管 理( SHRM: Strategic Human Resource. 見合った評価」の組み合わせによる制度導. Management)の視点より,以下のことが挙げ られる. ①職場の変化の分析結果から,部門の生産性. 入の効果 図 5 のように,仕事における裁量度の得点を X 軸,成果に見合った評価の得点を Y 軸に座.

(10) 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 1 号(2007年 7 月) ࿑㧠 ડ↹࡮⺞ᩏᬺോᲧ₸ߣᚑᨐߦ⷗วߞߚ⹏ଔߩ⚵ߺวࠊߖߦࠃࠆ  ߟߩ࠮࡞. 10 (10). 成果に見合った評価. 高. セル 4. セル 1. 仕事における裁量度 高. 低 セル 2. セル 3. 低. 図 5 仕事における裁量度と成果に見合った評価の組み合わせによる 4 つのセル. 標軸を作成し,第 1 象限から第 4 象限をセル 1. 職場の変化の平均得点に有意な差がみられ. からセル 4 に分類する.仕事における裁量度と. ている.. は,適用者の仕事における裁量の程度であり, 回答者の質問項目の結果を尺度化したものであ る(分析 3 に同じ) .また,成果に見合った評 価とは,適用者の評価が成果や業績に見合った. ② セ ル 1 の「部門 の 生産性 や 成果」,「残業 時間 (-)」,「仕事 の 配分・連携・調整 (-)」, 「労務管理 の 煩雑 さ (-)」,「管理職 の 仕事 の 負荷 (-)」,「有能 な 人材 の 確保・定着」,. ものになっているかの程度であり,回答者の質. 「取引先等との仕事の調整 (-)」の職場変化. 問項目の結果を尺度化したものである(分析 2. の項目の平均得点は,他のセルより有意に. に同じ) .. 高い.ただし,総人件費の抑制・削減につ. ここでは,⑴職場の変化,および⑵適用者の. いては他のセルより有意に低い.. 働き方や意識の変化について 4 つのセル間の平. ③セル 2 の「総人件費の抑制・削減」は,他. 均得点を比較するために,一元配置の分散分析. のセルよりも有意に高い.ただし,「部門. (ANOVA) による多重比較を行い,セル間の平. の生産性」,「残業時間 (-)」,「仕事の配分・. 均得点 の 差 を Bonferroni の 方法 に よって 検定. 連携・調整 (-)」,「労務管理 の 煩雑 さ (-)」,. した.ここでは,セル 1 からセル 4 の 4 つのグ. 「有能 な 人材 の 確保・定着」,「取引先等 と. ループ間の平均得点が等しいという,帰無仮説. の仕事の調整 (-)」は,他のセルより有意に. を検定している.表 2 は,その結果を示してい. 低い.. る.表 2 の*の付いているグループ間には,有. ④セル 3 の「総人件費の抑制・削減」は,他. 意な差があることを示している.この分析結果. のセルよりも有意に高い.ただし,「部門. から,以下の点が明らかになった.. の生産性」,「残業時間 (-)」,「仕事の配分・. ⑴ 職場の変化. 連携・調整 (-)」,「労務管理 の 煩雑 さ (-)」,. ①仕事における裁量度,および成果に見合っ. 「管理職の仕事の負荷 (-)」,「有能な人材の. た評価の組み合わせによる 4 つのセル間の. 確保・定着」,「取引先等 と の 仕事 の 調整.

(11) 労働時間制度が「働き方」に与える影響(二神). (11). 11. 表 2 職場の変化および適用者の働き方や意識の変化の平均得点の多重比較 ⑴ 職場の変化━平均得点の多重比較━ ① 部門の生産性・成果はあがった. ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. 3.07. ࠮࡞1. 2.63. ࠮࡞2. *. 2.52. ࠮࡞3. *. 2.80. ࠮࡞4. *. *. * *. *. ② 適用者でないものに業務量が偏り,残業 時間が増加した (-). ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. 3.73. ࠮࡞1. 3.53. ࠮࡞2. *. 3.45. ࠮࡞3. *. 3.62. ࠮࡞4. *. *. *䋺p<.05. 䋺p<.05. ④ 労務管理が煩雑になった (-). ③ 職場内の仕事の配分・連携・調整が難しい (-). ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. 3.59. ࠮࡞1. 3.31. ࠮࡞2. *. 3.22. ࠮࡞3. *. 3.57. ࠮࡞4. *. *. *. *. ࠮࡞1. 3.19. ࠮࡞2. *. 2.95. ࠮࡞3. *. 3.31. ࠮࡞4. *. ࠮࡞1. *. 3.23. ࠮࡞2. *. *. 3.18. ࠮࡞3. *. 3.46. ࠮࡞4. *. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. 2.47. ࠮࡞1. *. 2.15. ࠮࡞2. *. 2.15. ࠮࡞3. *. 2.23. ࠮࡞4. * *. *. *. *. *䋺p<.05. 䋺p<.05. ⑦ 職場の総人件費が抑制・削減された. ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. 1.90. ࠮࡞1. 2.22. ࠮࡞2. 2.34. ࠮࡞3. 2.09. ࠮࡞4. *. *. ⑧ 取引先等との仕事の調整が難しくなった (-). ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. 3.67. ࠮࡞1. *. 3.42. ࠮࡞2. *. *. 3.44. ࠮࡞3. *. 3.61. ࠮࡞4. *. 䋺p<.05. (-)」の平均得点は他のセルより有意に低い. ⑤ セ ル 4 の「仕事 の 配分・連携・調整 (-)」 ,. *䋺p<.05. ⑥ 有能な人材の確保・定着が進んだ. ᐔဋ୯. *. *. * *. *䋺p<.05. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. 3.44. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. 3.60. ⑤ 管理職の仕事の負荷が増加した (-). ᐔဋ୯. ᐔဋ୯. *. *䋺p<.05 ⑵ 適用者の働き方や意識の変化 ⑥仕事における裁量度,および成果に見合っ. 「労務管理の煩雑さ (-)」 , 「管理職の仕事の. た評価の組み合わせによる 4 つのセル間の. 負荷 (-)」の平均得点は他のセルより有意に. 適用者の働き方や意識の変化の平均得点に. 高い.. ついて有意な差がみられている. ⑦セル 1 の適用者の働き方・意識の変化の全.

(12) 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 1 号(2007年 7 月). 12 (12). ⑵ 適用者の働き方や意識の変化━平均得点の多重比較━ ① 効率的な仕事の進め方をするようになった. ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. 3.21. ࠮࡞1. 2.74. ࠮࡞2. *. 2.65. ࠮࡞3. *. 3.04. ࠮࡞4. *. *. *. ② 成果や業績への意識が高まった. ᐔဋ୯. ࠮࡞1. 2.09. ࠮࡞2. 2.15. ࠮࡞3. 2.29. ࠮࡞4. *. *. ࠮࡞1. *. 2.90. ࠮࡞2. *. *. *. 2.93. ࠮࡞3. *. *. 3.23. ࠮࡞4. *. *䋺p<.05. *. *. ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. *. ࠮࡞1. *. 2.53. ࠮࡞2. *. *. *. 2.55. ࠮࡞3. *. *. 2.79. ࠮࡞4. *. * ⑤ 仕事の専門性が高まった. *. *. *. 2.90. ࠮࡞1. 2.41. ࠮࡞2. *. 2.45. ࠮࡞3. *. 2.68. ࠮࡞4. * *. *. ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. *. 2.89. ࠮࡞1. 2.38. ࠮࡞2. *. *. 2.42. ࠮࡞3. *. *. 2.69. ࠮࡞4. *. *. *. 䋺p<.05. ⑦ 仕事の負荷やストレスが減った. *. ࠮࡞1. 2.06. ࠮࡞2. *. 2.12. ࠮࡞3. *. 2.27. ࠮࡞4. * *. *. *䋺p<.05. ⑧ 仕事と生活の調和が進んだ. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. 2.49. *䋺p<.05. ⑥ 仕事への満足度が高まった. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. ᐔဋ୯. *. 3.08. 䋺p<.05. ᐔဋ୯. *䋺p<.05. ④ 仕事の意欲が高まった. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. 2.50. *. 3.38. ③ 企業への帰属意識が高まった. ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *䋺p<.05. ᐔဋ୯. ࠮࡞1 ࠮࡞2 ࠮࡞3 ࠮࡞4. *. *. 2.80. ࠮࡞1. 2.31. ࠮࡞2. *. *. 2.30. ࠮࡞3. *. *. 2.62. ࠮࡞4. *. *. *䋺p<.05. ての項目の「効率的な仕事の進め方」 , 「成. ての項目の「効率的な仕事の進め方」,「成. 果や業績への意識」 , 「企業への帰属意識」 ,. 果や業績への意識」,「企業への帰属意識」,. 「仕事 の 意欲」 , 「仕事の専門性」 , 「仕事へ. 「仕事 の 意欲」,「仕事 の 専門性」,「仕事 へ. の満足度」 , 「仕事の負荷やストレス」 , 「仕. の満足度」,「仕事の負荷やストレス」,「仕. 事と生活の調和」の平均得点は,他のセル. 事と生活の調和」の平均得点は,他のセル. よりも有意に高い.. よりも有意に低い.. ⑧セル 2 の適用者の働き方・意識の変化の全. ⑨セル 3 の適用者の働き方・意識の変化の全.

(13) 労働時間制度が「働き方」に与える影響(二神). (13). 13. ᦭⢻ߥੱ᧚ߩ⏕଻࡮ቯ⌕. .475**. ઀੐ߩ㈩ಽ࡮ㅪ៤࡮⺞ᢛ(-) .083**. ડ↹࡮⺞ᩏᬺോᲧ₸. ഭോ▤ℂߩᾘ㔀ߐ(-). .296**. .187**. ▤ℂ⡯ߩ઀੐ߩ⽶⩄(-) ᚑᨐߦ⷗วߞߚ⹏ଔ. .386. .123**. **. ㇱ㐷ߩ↢↥ᕈ. .422**. ડᬺ߳ߩᏫዻᗧ⼂. ઀੐ߦ߅ߌࠆⵙ㊂ᐲ. .184**. .568**. - .163**. ઀੐ߩᗧ᰼. ✚ੱઙ⾌೥ᷫ. .498. **. ઀੐ߩኾ㐷ᕈ.  .544**. ઀੐ߩḩ⿷ᐲ **㧦p<.01. 図 6 部門の生産性,成果に見合った評価,有能な人材の確保,仕事の意欲などの相関分析. ての項目の「効率的な仕事の進め方」 , 「成 果や業績への意識」 , 「企業への帰属意識」 ,. 高めることが重要である. ②仕事の配分・連携・調整を容易にし,労務. 「仕事 の 意欲」 , 「仕事の専門性」 , 「仕事へ. 管理の煩雑さを少なくし,管理職の仕事の. の満足度」 , 「仕事の負荷やストレス」 , 「仕. 負荷を少なくするためには,とくに成果に. 事と生活の調和」の平均得点は,他のセル よりも有意に低い.. 見合った評価を行うことが大切である. ③総人件費の削減については,成果に見合っ. ⑩セル 4 の「効率的な仕事の進め方」 , 「成果. た評価があまりされていないセル 2,セル 3. や業績への意識」 , 「仕事の専門性」 , 「仕事. の方が有意に高いことから,成果主義が浸. へ の 満足度」 , 「仕事 の 負荷 や ス ト レ ス」 ,. 透していない企業では,管理職が,裁量労働. 「仕事と生活の調和」の平均得点において は,他のセルよりも有意に高い. ⑶ 分析 5 の ま と め ━企業 の 戦略的人的資源. 制を人件費削減の目的で導入していると考 えていることが多い. ④適用者の働き方や意識の変化の分析結果か. 管理の視点からみた制度導入の効果━. ら,企業への帰属意識と仕事の意欲を高め. 以上の分析結果から,戦略的人的資源管理の. るには,成果に見合った評価を行い,かつ仕. 視点より,以下のことが挙げられる.. 事における裁量度を高めなければならない. ①職場変化の分析結果から,部門の生産性を. ことがわかる.. 高め,残業時間を減らし,有能な人材の確. ⑤効率的な仕事の進め方をさせ,成果や業績. 保・定着をすすめ,取引先等との仕事の調. への意識を高め,仕事の専門性,仕事への. 整を円滑にすすめるには,成果に見合った. 満足度を高め,仕事の負荷とストレスを減. 評価を実施し,かつ仕事における裁量度を. らし,仕事と生活の調和をすすめるために.

(14) 14 (14). 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 1 号(2007年 7 月). は,とくに成果に見合った評価をすること. 件費削減は,マイナスに相関していることから,. が有効である.. 管理職が総人件費の削減を制度の導入効果とし て認識していても,部門の生産性が必ずしも上. 6.分析 6「部門 の 生産性」 , 「成果 に 見合った. がっているわけではないことを示唆している.. 評価」 , 「有能 な 人材 の 確保」 , 「仕事 の 意. なお,以上のことは相関分析の結果から示唆さ. 欲」の相関分析. れることであるが,今後詳細に分析・検討を重. 分析 6 では,部門の生産性に注目し,部門の 生産性と企画・調査業務比率,成果に見合った 評価,仕事における裁量度それぞれとの相関分 析 を 行った(図 6) .ま た,部門 の 生産性 と 職. ねたい. Ⅳ.総括━企画業務型裁量労働制の職場や働き 方への影響━. 場 へ の 変化(有能 な 人材 の 確保・定着,仕事. 最近では,日本において人材の流動化が進展. の 配分・連携・調整 (-),労務管理 の 煩雑 さ (-),. している(二神,2002 年).非正社員の比率が. 管理職の仕事・負荷 (-))や適用者の働き方・意. 高まりつつあり,専門性の高い派遣社員が,こ. 識の変化(企業への帰属意識,仕事の意欲,仕. れまで正社員が担っていた仕事を行うように. 事の専門性,仕事の満足度)それぞれとの相関. なるなど非正社員の比率が高まる一方,企業. 分析も行った(図 6) .. のコア人材の比率は縮小している.こうした中. 分析の結果,部門の生産性は企画・調査業務. で,企業にとってコア人材の生産性を高めるこ. 比率, 成果に見合った評価, 仕事における裁量度. とは,ますます重要な課題となっている.現. それぞれと有意に相関しているが,とくに成果. 在,戦略的人的資源管理 の 視点 は 不可欠 で あ. に見合った評価の相関係数 (.386) と企画・調査. り(二神,2000 年),企業が人的資源ポートフォ. 業務比率の相関係数 (.296) が高い.また,職場. リオを作成し,企画業務を担う,企業にとって. の変化との相関をみると,とくに有能な人材の. のコア人材に対して,企業の戦略と連携させな. 確保・定着 (.475) が有意に高い.さらに,適用. がら,職務分析や人材開発,モチベーション管. 者の働き方・意識との相関をみると,企業への. 理,報酬管理等を行っていくことが大切である.. 帰属意識 (.422),仕事の意欲 (.568),仕事の専門性. 分析 4 や分析 5 の結果から明らかなように,部. (.498),仕事の満足度 (.544) が有意に高い.人件. 門の生産性や成果を高めるためには,制度の導. 費削減とは,有意に負の相関 ( - .163) がみられ. 入だけではなく,企画・調査業務比率を全体の. る.. 業務量に対して高めるというように仕事そのも. 以上の分析結果から,企画業務型裁量労働制. のの見直し・職務分析を行うことや従業員の処. の導入によって,部門の生産性を上げるために. 遇において成果や業績に見合った評価を行うこ. は, 成果に見合った評価を行うようにしたり, 企. と,あるいは仕事における裁量度を十分に与え. 画・調査業務比率を上げるなど仕事そのものの. ることなどが重要である.つまり,企画業務型. 見直し・職務分析を行うことが重要である.ま. 裁量労働制は,職務分析や人材の評価,仕事の. た, 企画業務型裁量労働制の導入効果としては,. 与え方など人的資源管理の諸活動と連携・機能. 部門の生産性が上がることによって,結果とし. してはじめて職場の生産性や成果を高めること. て有能な人材の確保・定着に結び付くし,適用. ができるし,企業の競争優位を確立することが. 者の企業への帰属意識や仕事の意欲, 専門性, 満. できる.このように,制度導入には,戦略的人. 足度が上がるというように,適用者のモラール. 的資源管理の視点が大切なのである.なお,分. や専門性の向上にもつながる.ただし,企画業. 析 6 の結果から,部門の生産性が高まることに. 務型裁量労働制の導入による部門の生産性と人. よって,有能な人材の確保・定着につながるこ.

(15) 労働時間制度が「働き方」に与える影響(二神). (15). 15. とが示唆された. 人材の流動化の時代において,. の専門性,仕事の満足度を高めるという点から. 企業の人材のリテンションの問題は,とくに重. も,意義がある.. 要であり,企画業務型裁量労働制導入の効果と しても期待できるだろう. また,最近では,フリーエージェント(FA) やインディペンデント・コントラクター(IC) , SOHO な ど 場所 や 時間 に 縛 ら れ な い 働 き 方, つまり,バウンダリレス・キャリア(組織の境 界を超えたキャリア)が広がりつつある (二神, 2002 年) .企業の戦略的人的資源管理において も,伝統的な組織人間の働き方を見直し,こう した人々の新しい働き方やパラダイムに対応し た形で従業員のモラールを高めなければならな い.企画業務型裁量労働制は,こうした意味で 従業員の主体性や裁量を尊重したものであり, 時宜を得たものである. 分析 4 の結果によれば, 制度の導入のみならず,全体業務量に占める企 画・調査業務比率を高めるなど仕事そのものの 見直しや成果・業績に見合った評価を行うこと によって,従業員は,成果や業績への意識,企 業への帰属意識,仕事の意欲,仕事の専門性, 仕事の満足度を高め,仕事の負荷やストレスを 減らし,仕事と生活の調和を実現させることが できる.また,分析 6 の結果からは,従業員の 企業への帰属意識,仕事の意欲,仕事の専門性, 仕事の満足度と部門の生産性との相関が示唆さ れた.したがって,企画業務型裁量労働制が戦 略人的資源管理の視点から運営されることは, 従業員の企業への帰属意識,仕事の意欲,仕事. 注 ‡ 本調査は, 財団法人社会経済生産性本部の 「裁 量労働制の導入と外部効果に関する調査研究会 (座長  樋口美雄慶応大学教授) 」が 厚生労働省 の委託を受け,実施したものである.著者は, 研究会の委員として調査票の作成と分析を行っ た.研究会の委員の先生,社会経済生産性本部, および厚生労働省の方々に心よりお礼申し上げ たい.. 付 記 本研究は,文部科学省科学研究費補助金若手研 究(B) (17730227)の研究成果の一部である.. 参考文献 二神恭一編著『企業と人材・人的資源管理』八千 代出版 2000 年 二神枝保『人材の流動化と個人と組織の新しい関 わり方』多賀出版 2002 年 樋口美雄「仕事と生活調和 基本法で」日本経済 新聞社 2007 年 2 月 2 日 菊野一雄・八代充史編著『雇用・就労変革の人的 資源管理』中央経済社 2003 年 Messenger, J. C. Working time and workers’ preferences in industrialized countries: Finding the balance, London, Routledge (forthcoming) [ふ た が み し ほ 横浜国立大学大学院国際社会 科学研究科准教授].

(16)

(17)

参照

関連したドキュメント

本報告書は、日本財団の 2016

本報告書は、日本財団の 2015

4 アパレル 中国 NGO及び 労働組合 労働時間の長さ、賃金、作業場の環境に関して指摘あり 是正措置に合意. 5 鉄鋼 カナダ 労働組合

の主として労働制的な分配の手段となった。それは資本における財産権を弱め,ほとん

c マルチ レスポンス(多項目選択質問)集計 勤労者本人が自分の定年退職にそなえて行うべきも

3 学位の授与に関する事項 4 教育及び研究に関する事項 5 学部学科課程に関する事項 6 学生の入学及び卒業に関する事項 7

告—欧米豪の法制度と対比においてー』 , 知的財産の適切な保護に関する調査研究 ,2008,II-1 頁による。.. え ,

④資産により生ずる所⑮と⑤勤労より生ずる所得と⑮資産勤労の共働より