第
51 回
核 燃 料 取 扱 主 任 者 試 験
核 燃 料 物 質 の 化 学 的 性 質
及
び
物
理
的
性
質
(注意)(イ)解答用紙には、問題番号のみを付して解答すること。 (問題を写し取る必要はない。) (ロ)問題は全部で5問。1問題ごとに1枚の解答用紙を使用すること。 平 成 3 1 年 3 月 6 日核燃料②-( 1 ) 第1問 次の文章は、ウラン、トリウム、プルトニウムの同位体又は化合物について述べた ものである。文章中の に入る適切な語句、数値、化学式又は核種を番号ととも に記せ。なお、同じ番号の には、同じ語句、数値、化学式又は核種が入る。 〔解答例〕 ㉑-東京 (1) 天然ウランに含まれるウラン同位体のうち、アルファ崩壊の半減期が最も短いのは ① である。233U は天然には存在せず、天然のトリウム同位体である ② を原 子炉で照射すると中性子捕獲と ③ により生成する。233U のアルファ崩壊の半減 期は、 ① よりも ④ い。 (2) 金属ウランを硝酸に溶解した際にウランの最も安定な価数は ⑤ であり、イオン の化学式は ⑥ と表され、名称を ⑦ イオンという。一方、トリウムの硝酸溶解 液中で安定なイオンの化学式は、 ⑧ である。 (3) ウランの硝酸塩水溶液にアンモニア水を添加すると、 ⑨ 色の重ウラン酸アンモ ニウム(ADU)の沈殿が得られる。ADUの化学式は ⑩ と表される。ADUを 空気中 800℃程度で加熱すると ⑪ が得られ、さらに水素気流中同温度で加熱す ると ⑫ が得られる。 (4) UO2をUF6に転換する際には、まずUO2と ⑬ ガスを反応させてUF4を得る。 固体の UF4の外観は ⑭ 色である。次にUF4と ⑮ ガスを反応させてUF6が 得られる。1 気圧、常温で UF6は固体であるが、 ⑯ ℃で昇華して気体となる。 (5) 取り出し燃焼度45 GWd/tHM の軽水炉使用済 UO2燃料には、金属元素1t あたり 約 ⑰ kg の Pu が含まれる。質量数 238 から 242 までのプルトニウム同位体のう ち、熱中性子に対する核分裂断面積が大きいのは ⑱ と ⑲ である。また、プル トニウム同位体組成において含有率が二番目に多いのは ⑳ である。
核燃料②-( 2 ) 第2問 UO2の不定比組成領域を表すUO2+x(x≥0)に関して、以下の問いに答えよ。 (1) UO2の単位格子に過剰の酸素原子1 個が格子間原子として入り得るとすると、x の とり得る最大値はいくらか記せ。 (2) 高温で平衡状態にあるUO2+xのx 値は、保持温度 T(K)と標準状態 1atm に対す る酸素分圧Po2(atm)の関数の値により一義的に定まる。UO2+xの酸化状態を記述す る指標となるこの関数の名称を記せ。また、この関数を気体定数R、温度 T、酸素分 圧Po2を用いて式で記せ。 (3) 図1 は、1400℃における酸素分圧(常用対数値)と x 値の関係を表すグラフであ る。同温度において、UO2をアルゴンと酸素の混合気流(大気圧、0.1 体積%O2)中 に保持した場合、平衡状態でO/U 比はいくらになるか、小数点以下 2 桁まで数値を 記せ。 (4) 図1 において、同じ酸素分圧のまま保持温度を下げると、O/U比は増大するか、減 少するか、簡潔な理由とともに記せ。 (5) x 値の増大とともに、以下の①から④の物性値はそれぞれ増大するか、減少するか 記せ。 ①格子定数 ②熱伝導率 ③電気伝導率 ④熱クリープ速度 図1 1400℃における酸素分圧と UO2+xのx 値の関係
図1 の数値データ出典:K. Hagemark and M. Broli, “Equilibrium oxygen pressure over the nonstoichiometric uranium oxides UO2+x and U3O8-z at higher temperatures,” Journal of Inorganic and Nuclear Chemistry, vol. 28, pp. 2837-2850 (1966).
核燃料②-( 3 ) 第3問 軽水炉において、二酸化ウラン(UO2)ペレットでは、燃焼の進行とともにその形 態や組織が変化し、燃料のふるまいに影響を及ぼす。このようなペレットの形態や組 織の変化を総称して、リストラクチャリングと呼ぶ。リストラクチャリングに関する 以下の問いに答えよ。 (1) リストラクチャリングに含まれる具体的な現象を4つ答えよ。 (2) リストラクチャリングが発生するメカニズムを、150 字程度で述べよ。 (3) 下の図中、右側に拡大した図は、リストラクチャリングが生じたUO2ペレットの 断面組織の概略を示したものである。この図中に示された領域ア、領域イ、領域ウの 名称を答えよ。解答は、例のように示すこと。 〔解答例〕 エ-東京 著作権上の都合により 省略 全面が均質な組織 (照射前UO2ペレット断面組織) 高出力(線出力950 W/cm、燃焼度 680 MWd/t) で照射されたUO2ペレットの断面組織 【出典】 ・(公財)原子力安全研究協会 実務テキストシリーズNo. 3、軽水炉燃料のふるまい ・H.Stehle, Atomwirtschaft Atomteck. , 15, 450(1970)
(見やすいように拡大している。) 照射
被覆管
核燃料②-( 4 ) 第4問 軽水炉の通常運転時、燃料被覆管の外面は、高温高圧の水と反応し、ジルコニウム が酸化されるとともに水素が発生する。発生した水素の一部は被覆管内部に吸収さ れるが、その量が固溶限を超えると、ジルコニウム水素化物が析出するようになる。 ジルコニウム水素化物には、水素含有量の違いによって、結晶構造の異なるδ相とε 相が存在する。ここで、以下の問いに答えよ。 (1) 下線で示した反応を、化学式で表記せよ。 (2) δ相ジルコニウム水素化物とε相ジルコニウム水素化物のそれぞれについて、室温 におけるおおよその水素含有量を、H/Zr(原子比)で答えよ。 (3) δ相ジルコニウム水素化物の結晶構造について述べた以下の文章中の に入 る語句を答えよ。解答は、例のように示すこと。 〔解答例〕 エ-東京 δ相ジルコニウム水素化物は、 ア 石型の結晶構造をとる。この構造は、ジルコ ニウム原子が構成する イ 格子内に、水素原子が構成する ウ 格子が含まれる ものである。 (4) 被覆管中に析出するジルコニウム水素化物が、被覆管に対して及ぼす影響を100字 程度で述べよ。
核燃料②-( 5 ) 第5問 核燃料とアクチノイド元素に関して、以下の問いに答えよ。 (1) 核燃料を原子炉で使用すると、運転終了後も熱が発生する。①この熱は何と呼ばれ ているか。②その熱はどのようなメカニズムにより発生するか。③その発熱量は1 年 以上運転した原子炉(ウラン酸化物燃料の軽水炉)の停止1 秒後、1 日後、30 日後、 1 年後に、原子炉運転時の発熱量に比べてどの程度になるか。百分率(%)、有効数 字1 桁で答えよ。 (2) 原子炉運転中の二酸化ウラン燃料中に生成する次の元素(Kr、Ru、Nd、I、Ce、 Np、Ba、Xe)を、①気体状のもの、②揮発性のもの、③固溶体としてペレット中に 存在するもの、④金属析出物をつくってペレット中に存在するもの、⑤別の酸化物相 をつくってペレット中に存在するものに分けよ。 (3) アクチノイド元素はPu あたりを境として、その原子番号から大きく 2 つのグルー プに分けることができる。このことに関して、次の問いに答えよ。 ① 小さな原子番号のアクチノイド元素と大きな原子番号のアクチノイド元素の例 を元素記号でそれぞれ3 つずつ記せ。ただし Pu を除く。 ② 小さな原子番号のアクチノイド元素と大きな原子番号のアクチノイド元素の最 も安定な原子価における相違点について説明せよ。