第二言語としての日本語の連語習得について
方 小 贇
浙江財経大学 要旨:中国の日本語教育現場では語彙の学習を 指導する際、語を個別的・孤立的に捉える傾向 があり、教師や学習者の関心が教科書に現れた 個々の新出単語に向けられている。このような 学習法は語彙の習得や産出にあまり効率がな い。一方、近年では連語と呼ばれる共起する語 についての指導が学習効果の向上につながると 考えられている。そのため、本稿ではアンケー ト調査を通して、「同形同義語」「格助詞」「多 義語」という三つの面から、中国人日本語学習 者によく見られる連語習得上の問題点を考察 し、中国人日本語学習者の語彙や連語の習得に 寄与できると考える。 1.はじめに 第二言語習得研究において、Nation(2001) は言語学習のゴールは言語構成要素、概念、技 能、テキスト・談話の四つに関する知識の習得 であり、言語構成要素の一部である語彙の習得 は、言語学習のサブゴールの一つであると主張 している。このように、語彙知識やその習得は 第二言語の場合も母国語と同様、理解および産 出の両面において極めて重要な役割を担ってい ると言える。 ただし、日本語教育の現場では語彙習得は 従来単語の意味理解を中心としてきており、 単語一語一語を覚えることは学習者に任され てきた。このような習得方法は語彙の記憶や 産出においてあまり効率的であるとは言えな い。近年、英語教育では、語を適切に使用で きるようにするには、連語と呼ばれる共起す る語についての指導が重要視されてきており、 その有効性も証明されつつある。一方、日本語 教育では連語は学習指導要領において、具体的 な指定に至っていない。その原因の一つとし て、連語というものの定義が明確にされていな いということが考えられる。 以上を受けて、本稿は連語の定義および諸先 行研究を踏まえつつ、調査結果から中国人日本 語学習者によく見られる連語習得上の問題点及 びその指導法を考察し、中国人日本語学習者の 語彙や連語の習得に寄与することを研究の目的 とする。 2.連語の定義及び先行研究 日本語の 「連語」 という概念及びその範囲に ついては、諸学者によって多岐にわたっている が、ここで宮地(1985)、国広(1985、1997)、 姫野(2006)などの先行研究を取り上げて考察 する。 宮地(1985)は、日本語の句を上記の図 1 の ように、「一般連語句」「慣用句」「ことわざ・ 格言」などに分類している。そのうちの「一般 連語句」とは、「雲が流れる」「空が青い」など 二語(以上)が意味関係の許す限り自由に結合 してできるものである。それに対し、「連語的 慣用句」とは、「汗をかく」「うそをつく」など その結合に制約があり慣用が固定的であるもの 図1 宮地(1985)による句の分類 一般連語句 連語的慣用句 句 慣用句 直喩的慣用句 成句 比喩的慣用句 隠喩的慣用句 ことわざ・格言をさすが、「道草を食う」「口が軽い」などの「比 喩的慣用句」ほどには全体として派生的な意味 を持たないとしている。つまり、宮地(1985) は「意味関係の許す限り自由に結合してできる 語句」を「連語句」として認めている。 国広(1985、1997)は、二つ以上の語の連鎖 は、連結の固定度と意味の固定度によって三つ の段階があるとしている。「熱い風呂」「風呂を 沸かす」のように自由に作ることのできる語の 結び付きを「自由結合」、「風呂から上がる」の ように語と語の結び付き方は決まっているが全 体の意味は個々の語の意味からすぐ分かる結び 付きを「連語」、「骨を折る」「足を洗う」など個々 の意味からは全体の意味が出てこない語の結び 付きを「成句」や「慣用句」と分類している。 つまり、国広(1985、1997)は「連語」を「自 由結合」でもなく、「成句」や「慣用句」とも 異なった「語と語の結び付き方は決まっている が全体の意味は個々の語の意味からすぐ分かる 結び付き」であると認定している。なお、連語 は従来の辞典では記述の対象にされなかった が、言語使用者が勝手に作ることができない定 型表現であるため、外国人学習者のためには、 記述されるのが理想であると国広(1997)は述 べている。 このように、「連語」 がある程度結合が固定 し、「自由結合」 と句の構成要素の意味を反映 しない 「慣用句」 とは区別されているのは伝統 的な捉え方である。実際、日本語教育におい て、慣用句と連語は慣用的な結び付きであり、 学習者にとって予測が難しいため、重要視され ている。一方、自由結合は語レベルの知識に頼 りすぎて文脈の中での意味を確認したり、使用 されている共起語に注意があまり向けられな かったりする傾向が見られる。しかし、近年日 本語教育では、連語を幅広く捉える必要がある と指摘されている。姫野(2006)は、「固定し ている語同士の結び付き」 の連語は、外国人学 習者にとって重要なものであるが、連語として 扱われない普通の句においても、語の連結関係 を示す必要があると指摘している。「薬を飲む」 のような自由結合に分類可能な結び付きは、学 習者の母語の影響によって 「*薬を食べる」 の ような誤用が出てきたため、言語背景の異る外 国人学習者に対しては、できるだけ広い範囲の 結合関係を示しておくことが望ましいと述べて いる。また、大曾(2005)は「風呂を沸かす」 のような母語話者にとって常識的な表現の中 に、学習者にとっては慣用的な表現もあると指 摘している。 本稿は以上のような指摘を踏まえ、日本語教 育の立場から大曾(2005)や姫野(2006)と同 様に、自由結合も連語の一部として扱うことに する。 3.連語の習得に関する調査 連語の習得の実態を明らかにするため、2015 年 12 月に所属機関である浙江財経大学 3 年に 在籍する中・上級レベルの日本語学習者 40 名 を対象にアンケート調査を行った(調査紙は論 文末尾に添付している)。アンケートは二部構 成とし、次の内容になっている。 第一部:単語の予習・復習に関する選択肢問 題である。 第二部:文の中で連語の意味を確認し、それ を中国語に訳してもらう。 結果として、第一部の質問項目から、学習者 は単語を予習する際、、「辞書で単語を調べる(35 名、87.5%)」「単語を繰り返して書く(30 名、 75%)」ことが多かった。また、復習に関しては、 「単語の意味を覚える(32 名、80%)」「単語 を繰り返して書く(29 名、72.5%)」との回答 が多かった。この調査から、学習者が個々の単 語に注目し、繰り返し覚えていることが分かっ た。日本語の語彙学習が進み、単語数が増える
ことになると、語を個別的に覚えるような学習 方法はあまり効率的であるとは言えない。覚え ても、すぐ忘れてしまう、あるいは正しく使え ない場合も多くあると考えられる。これは第二 部の調査で明らかになった。 第二部の問題は文を提示して「気が気でな い」「足がある」「目が覚める」「机上の空論」「食 指が動く」という五つの連語を、それぞれ「習っ たことがあるかどうか、意味を知っているかど うか」を確認したうえ、その中国語訳も書いて もらった。分析結果として、以下のような傾向 が見られる。 (1)示した用例では、文字どおりの意味で使 われる連語(「外の騒がしい音で目が覚めた」) のほうが理解しやすかった。この場合、学生全 員が正答できた。 (2)日本語能力試験 1 級にも出ている「気 が気でない」に関して、「習ったことがある (95%)」「知っている(87.5%)」と答えた学 生がかなり高い比率を占めているが、中国語に 訳してもらうと、正答率は 37.5%しかない。多 くの学生は「気にする」「気にしない」と誤解 してしまった。つまり、この連語を学習したに もかかわらず、正しく理解できないのである。 (3)「この町は夜遅くまで足があるので、便 利でいい。」という文から、正しく答えた学生 数は 10 名、全体の 25%を占める。「人影がいる」 「にぎやかだ」「歩いていける」のような答え が多かった。それは全体の文脈からの推測や「足 がある」に対する連想からきたものと考えられ る。 (4)「机上の空論」は中国語でも類似した表 現がある(紙上談兵:紙の上で兵法を談ずる) ので、正答率がかなり高く、87.5%であった。 (5)「ここまで株価が下がると、逆に食指が 動く。」という文から「食指が動く」について、 正答率は意外に低く、30%であった。この連語 は食欲が起こることから転じて、ある物事に対 し欲望や興味が生じるという意味になる。中国 語でも「食指大動(食欲が起こる)」という言 葉があるため、学生がそれをそのまま当ては め、「食欲が起こる」「欲張る」という答えが出 てきた。 以上第一部と第二部の調査から、学習者が 連語を習得する際、語の結び付きからではな く、単語を孤立的に覚える傾向が見られる。こ のように学習効率があまりいいとは言えないた め、よりよい学習方法や指導法が求められる。 本稿では先行研究を踏まえ、連語指導法が学習 効果の向上につながると考える。また、五つの 連語に関して意味確認を行い、母語中国語の影 響が非常に大きいことが分かった。この調査結 果を受けて、次の 4 節では連語習得に関する諸 問題点を詳しく考察する。 4.連語の習得に関わる問題点 中国語を第一言語とする日本語学習者(以 下、中国人日本語学習者)にとって、ほかの言 語を第一言語とする日本語学習者と同様、習慣 的にまとまって使われる連語を習得するのに難 しいと思われる。また、日本語学習者の作文や 談話には、「*薬を食べる」「*ビタミンを食べ る」のような、誤用や不自然な連語がよくあ る。そして連語の観点から、学習者がどうのよ うな連語の誤用や不自然な表現を生じるかを考 察すれば、今後の指導を示唆できると思われる。 市川(2001)は誤用の要因に、母語干渉によ る誤りと母語干渉以外の誤りがあると述べてい る。母語干渉以外の誤りは、(1)言語内の誤り: 目標言語の構造そのものが困難であったり、 既習の言語規則を未知の構造に適用しようとし た際の誤り、(2)発達上の誤り、(3)誘発され た誤り、(4)伝達方略に基づく誤り、(5)学習 方略による誤り、などが挙げられる。中国人日 本語学習者は漢字や母語である中国語の影響が 強く感じられ、日本語の連語を習得する際、中
国人学習者特有の問題点が存在していると考え る。以下、市川(2001)の提示した誤用要因を もとに、「同形同義語」「格助詞」「多義語」な どの視点から諸問題点を詳しく考察する。 4.1 同形同義語1に見られる誤用 小森(2013)は先行研究などを踏まえ、漢語 が日本語の語彙全体に占める比率が高いという ことに加えて、その漢語の約 4 分の 3 が中国語 でも用いられている日中同形語であり、さらに その同形語の 3 分の 2 が日本語と中国語の両言 語で意味が同じ同形同義語に分類される語であ ると指摘している。すなわち、両言語において 同形同義語が高い割合を占めている。そのた め、中国人日本語学習者は、漢字の形と意味に ついて母語の知識がある程度転用でき、非漢字 圏学習者より日本語の習得に有利だと捉えられ がちである。しかし、実際、両言語において同 形同義語は辞書的な意味が一致するにもかかわ らず、用法や共起制限においては、必ずしも一 致しないため、中国語で成立する共起関係が日 本語では成立しない場合もある。共起語によっ ては、日本語は和語が適切なこともある。その ため、中国語の共起関係をそのまま日本語に転 用すると、誤用となる可能性がある。たとえ ば、日本語の「破壊」と中国語の「破壊」は、 辞書の意味記述では、「こわすこと、こわれる こと」という共通の語義を有する。しかし、中 国語の「破壊」では、「破壊公司的規定(直訳: 会社の規定を破壊した)」と言えるが、日本語 の「破壊」では「*会社の規定を破壊した」と はいえない。日本語では、「会社の規定を破っ た」と、和語を用いるのが適切であろう。ほか にも、「体現愛国精神→愛国精神を表す(*愛 国精神を体現する)」「整理頭髪→髪の毛を整 える(*髪の毛を整理する)」などの例が挙げ られる。このように、共起や用法の点から見る と、同形同義語も中国語とずれがあることもあ る。 同様に松本・堀場(2007)も、日本語の語彙 習得について中国人日本語学習者の共起語の知 識は遅れており、漢語に比べて和語の習得が遅 れていることを指摘している。つまり、中国人 学習者にとって和語の習得が漢語より困難であ るため、産出の際に共起語の知識が必要とされ る和語動詞を重視すべきだと言える。また、学 習を指導する際、漢語に対応する和語について も、明示的な学習が必要だと考える。 4.2 格助詞による誤用 格助詞の選択に注意を払う代わりに、一つの かたまりとして認識された連語は、効果的に記 憶されるという見方はあるが、こうして助詞を ばらばらに学習していく方法では、学習者が助 詞の全体像がつかめないため、誤用を生み出す 場合もある。例えば、母語の影響で中国人学習 者の作文や会話から「わたし あなたのこと 好きです」のような格助詞「不使用」などの表 現がしばしば現れる。また、「*幸せな生活を 憧れている」「*人目に恐れる」のような誤っ た表現もよく見られる。 したがって、本稿では日本語の連語を学習す るうえで、助詞から乖離できないと考える。む しろ、「格」という文法システムを備えない中 国人日本語学習者に、日本語の格システム(N が、N を、N に、N へ……)を提示し、「連語」 という概念をもあわせて導入することが学習を 促進できると考える。たとえば、「田舎」と「出 る」の組み合わせを見よう。 1 同形同義語は意味の面では、日本語と中国語とで辞書で意 味記述が一致するものという。(文化庁『中国語と対応す る漢語』より)
上記の表 1 から分かるように、中国語のよう な格助詞を持たない言語を母語とする学習者に とって、「田舎」と「出る」の組み合わせは格 助詞の種類に関わらず、いずれも字面の意味「出 村荘」で理解しがちである。実際、「出る」と 組み合わさった名詞が「を格」をとると、その 名詞は動作の「離れる場所」を表し、「に / へ格」 の場合は、その名詞は「目的、到着の場所」を 表すことである。また、「まで格」は「移動の 範囲」を示すことになる。しかし中国語では、 そうした違いが格助詞によってではなく、異 なった動詞(離開、到、従、走到)を用いて表 現したりすることになる。このように、動詞と 格の名詞との組み合わせの間に、異なるタイプ の関係性を示すことによって日本語の格システ ムの深い理解につながる。そして、格システム の理解を深めることは連語の体系的な学習にも 役立つと考えられる。 4.3 多義語から生じた問題点 多義語とは「多くの意味を持っている語」の ことである ²。Lakoff(1987)は、認知言語学 の観点から、多義語を、プロトタイプ的な意義 を中心に様々な動機づけを持って周辺的意義に 拡張する「放射状カテゴリー」をなすと特徴づ けた。つまり、メタファーなどのメカニズムに よって一つの基本義に複数の関連のある語義が 絡み合って多義語としての意味が成り立つのだ ろう。そのため、多様な意味や用法を持つ多義 語は学習者にとって習得が難しい項目になると 思われる。ここでは、日本語と中国語にともに 存在している 「打つㆍ打(dǎ)」 という多義動 詞を例として分析してみる。 『明鏡国語辞典』によれば、日本語の「打つ」 は 18 の意味項目を有しているが、すべては日 常でよく使用されるとは限らないと考える。そ こで日本国立国語研究所が構築した『現代日本 語書き言葉均衡コーパス』(BCCWJ)で日本語 の「打つ」を検索したところ、野球関係の「ボー ルを打つ」のような例が非常に目立つ。また、「頭 を打つ」「釘を打つ」「波が岸を打つ」「手を打つ」 など「たたく」、「ぶつかる」、「衝突する」とい う意味の用例もよく見かけた。いずれも一方の 物体が他方に衝撃力を加える「打撃」とか、物 体同士の「衝突」など物理的なイメージを与え る。また、比喩的に、「感動させる」ことを「心 を打つ」「胸を打つ」という表現もあるが、心 に衝撃を与える意味では、やはり物理的に捉え られる。 一方、中国語の「打」の意味は『中日辞典』 で全部で 26 種にも分類している。日本語と同 じく「たたく」を意味する「打鼓(太鼓を打つ)」 や「打人(人をたたく)」の用例もあるが、多 くの動詞の代役として盛んに使われて遊技やス ポーツ、動作や行為をすることを表せることは 日本語とは区別されている。例えば、「打+目 的語」の目的語のところに、日常用品を代入す ると、「打雨傘(傘をさす)」「打灯篭(提灯を 提げる)」「打毛衣(セーターを編む)」「打車(タ クシーを拾う)」「打麻将(マージャンをする)」 となる。これらの例では、本来の動詞は「打(た たく)」ではなく、「さす=撑」、「提げる=提」、 「編む=織」、「拾う=叫」「する=遊ぶ」といっ た動詞の代役を果たしている。また、目的語は 動物や植物である場合、「打魚(魚を捕る)」「打 鳥(鳥を捕まえる)」「打鶏蛋(卵を割る)」「打 草(草を刈る)」「打粮食(穀物を収穫する)」 となり、自然環境関連では「打水(水を汲む)」「打 火(火を起こす)」「打气(空気を入れる)」「打 表1 「田舎」と「出る」の組み合わせ 日本語 間違った中国語訳 適切な中国語訳 田舎を 出る 出 村荘 離開 村荘 田舎に/へ 出る 出 村荘 到 村荘 田舎から 出る 出 村荘 従 村荘 来(的) 田舎まで 出る 出 村荘 走到 村荘 2 『大辞林(デジタル版)』の記述による。
井(井戸を掘る)」「打雷(雷がなる)」などの 表現が見られる。このように、中国語の「打」 は日本語より基本義から意味拡張が広範に起こ り、「打」の字で多くの動作や行為を表せるた め、非常に便利な言葉と言える。ただし、この 点は逆に中国人日本語学習者の連語学習に支障 を及ぼす恐れがある。日本語では「さす、提げ る、編む……」など本来の動詞を使うべきとこ ろに、母語の影響で「打つ」を誤用してしまう 可能性もあるからだと考えられる。 以上、日本語の 「打つ」と中国語の「打(dǎ) 」 を考察し、両者は言語形式が類似しているた め、語彙知識としては十分だと思われがちだ が、実際の使用場面においては、多義語として それぞれ意味拡張が行われ、名詞との結合関係 の面では大きな差が見られる。よって、多義語 は学習者の連語学習に一層困難をもたらしてい ると考える。 5.まとめ 従来、語を個別的・孤立的に捉える傾向があ り、教師や学習者の関心が連語にではなく、教 科書に現れた個々の新出単語に向けられると指 摘されている(三好 2007)。中国の日本語教育 現場でも同じ傾向が見られる。これを受けて、 本稿ではアンケート調査を通して、中国人日本 語学習者によく見られる連語習得上の問題点及 びその指導法を考察し、中国人日本語学習者の 語彙や連語の習得に寄与すると考える。 具体的には、日本語の言語構造や母語中国語 の影響などを考慮に入れて「同形同義語」「格 助詞」「多義語」という三つの面から考察した。 「同形同義語」について分析した結果、両言語 における同形同義語は形や意味が同じだとして も、共起や用法ではずれがあることもあって、 学習を指導する際、漢語に対応する和語につい ても、明示的な学習が必要だと考える。「格助 詞」について考察したところ、「格」システム を備えない中国人日本語学習者に、日本語の格 システムを体系的に提示し、「連語」という概 念をもあわせて導入することが学習を促進させ ると考える。また、多義語から生じた問題点に ついて、言語形式が類似している日本語の 「打 つ」と中国語の「打(dǎ)」 を考察することによっ てある程度明らかにした。実際には、「打つ」 と「打(dǎ)」 は多義語としてそれぞれ意味拡 張が行われ、名詞との結合関係の面では大きな 差が見られ、多義語は学習者の連語学習に一層 困難をもたらしていると考える。 以上より、中国人日本語学習者に対する語彙 指導には、単語レベルの指導ではなく、共起語 に注目させる連語指導を取り入れる必要があ り、また日本語の言語構造や母語としての中国 語の影響を無視してはいけないと考える。した がって、このような学習指導法は学習者の語彙 や連語習得の促進に重要な意義があると考え る。 (後記:この論文は、「杭州市哲学社会科学規 划常規性課題(Z16JC047)」「浙江省社会科学 界联合会研究課題(2015N078)」「浙江省教育 庁科研項目(Y201534473)」による研究成果の 一部である。) 参考文献: 市川保子(2001)「日本語の誤用研究」『日本 語教育 通信』NO.40、東京:国際交流基金 伊藤醇(他)編(2002)『中日辞典』第2版 小 学館・北京商務印書館 大曾美恵子(2005)「コーパスによるコロケー ションの特定-日本語学習辞書の充実を目 指 し て - 」 影 山 太 郎 ( 編 ) 『 レ キ シ コ ン フォーラム No.1』ひつじ書房、11-23. 岡部幸枝・松本茂 編(2010)『高等学校新学 習指導要領の展開 外国語科英語編』明治図 書
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(2005)『英語のボキャブラリー・ラーニン グ』松柏社)
<付録> 連語習得に関するアンケート調査 このたび、大学生の語彙習得の実態を把握す るため、皆様にアンケート調査をお願いするこ とになりました。当てはまるものに○を付けて ください。「その他」を選んだ場合、中国語で 詳しく書いてください。また、調査の結果に関 しては、論文内で分析し、研究資料として活用 していきたいと思っております。それ以外に利 用することは一切ございません。以上の趣旨を ご理解いただき、何卒このアンケート調査にご 協力くださいますよう、よろしくお願いします。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 以下の欄にご記入ください。 性別:「男・女」 学年:「1・2・3・4」 第一部 . 当てはまるものに○をつけなさい。 問題 1.新しい課に入る前に単語の予習をしま すか。 1. いつもする 2. 時々する 3. あまりしない 4. 全然しない 問題 2.問題 1 で①~②を選んだ人は、予習に どのぐらいの時間をかけますか。 1. 15 ~ 30 分 2. 30 ~ 45 分 3. 45 ~ 60 分 4. 60 分以上 問題 3.授業の後、単語の復習をしますか。 1. いつもする 2. 時々する 3. あまりしない 4. 全然しない 問題 4.問題 3 で①~②を選んだ人は、復習に どのぐらいの時間をかけますか。 1. 15 ~ 30 分 2. 30 ~ 45 分 3. 45 ~ 60 分 4. 60 分以上 問題 5.単語の予習・復習に何をしますか。そ れぞれ当てはまるものの後ろの括弧に○をつけ てください(複数の選択も可)。「その他」を選 んだ場合、できるだけ詳しく書いてください。 A: 予習 B: 復習 1.単語を繰り返して朗読する ( A ) ( B ) 2.単語を繰り返して書く ( A ) ( B ) 3.辞書で単語を調べる ( A ) ( B ) 4.単語の意味を覚える ( A ) ( B ) 5.文と一緒に単語を覚える ( A ) ( B ) 6.会話文・読解文の中で単語を覚える ( A ) ( B ) 7.そのほか 第二部.次の文の下線部に当てはまる選択肢に ○を付けてください。それから、その中国語の 意味も書いてみてください。 1.結果がどうなったか、気が気でない様子だ。 1. 習ったことがある 2. 習ったことがない 3. 知っている 4. 知らない 2.この町は夜遅くまで足があるので、便利で いい。 1. 習ったことがある 2. 習ったことがない 3. 知っている 4. 知らない 3.外の騒がしい音で目が覚めた。 1. 習ったことがある 2. 習ったことがない 3. 知っている 4. 知らない 4.実際に確かめられないのなら、机上の空論 に過ぎない。 1. 習ったことがある 2. 習ったことがない 3. 知っている 4. 知らない 5.ここまで株価が下がると、逆に食指が動く。 1. 習ったことがある 2. 習ったことがない 3. 知っている 4. 知らない