短 期語学 研修に参加 する 日本人学生 の不安 の理解
一 特 性 不 安 と 外 国 語 不 安 −は じ め に
奥 村 玲 香
帝 塚 山大 学 で は、 春 期 休 暇 中 の 毎 年 2月 に 約 4週 間 の 短 期 語 学 研 修 を ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 、 ク ラ イ ス ト チ ャ ー チ に あ るChristchurch Polytechnic Institute of Technology (CPIT) に て 実 施 し て い る。 2009年 は、 2月13 日 か ら 3月15 日 ま で の31 日 間 で 、 4学 部 か ら 8名 の学 生 ( 男 子 2名 、 女 子 6 名 ) が 参 加 し た 。 学 生 は、 初 日 に 英 語 の クラ ス分 け テ ス トを 受 け 、 そ の 後 4週 間、 毎 日 約 3 時 間 の英 語 の 授 業 を 受 け る 。 午 後 は、 観 光 な ど を 含 む 体 験学 習 を 中 心 と し た ア ク テ ィ ビ テ ィ に 参 加 す る。 研 修 中、 学生 は、 全 員 ホ スト フ ァ ミリ ー と生 活 を 共 に し、 午 後 や週 末 を 過 ご す こ と と な る。 学 生 に と っ て 、 海 外 に お け る語 学 研 修 は、 日 本 で の 日 常 生 活 と は 全 く 異 な り 、 当 然 の こ と な が ら 不 安 が大 き い 。 母 国 語 が 通 じ な い 環 境 で の 生 活 や 新 し い 文 化 と の 接 触、 日 本 語 が 使 え な い 英 語 の授 業 な ど 、 不 安 と 緊 張 の場 面 の 連 続 で あ る 。 ま た 、 自 分 の英 語 力 に対 す る 自 信 の な さ か ら く る 不 安 だ け で は な く、 所 属 学 部 や 学 年 の 違 う 学 生 達 と の集 団生 活 や 対 人 関 係 な ど、 言 語 や 文 化 以 外 に も、 多 く の 不 安 や 緊 張 を 感 じ て い る。 本 研 究 で は、 1 ) 語 学 研 修 に 参 加 す る学 生 は ど の よ う な 不 安 を 持 っ て い る の か 、 2 ) 外 国 語 学 習 に 特 有 の 不 安 の軽 減 に 、 語 学 研 修 は効 果 的 で あ る の か 、 3) 研 修 期 間 の 前 後 で 、 学 生 の 不 安 に 変 化 は み ら れ る の か 、 の 3つ の 点 につ い て 考 察 を 行 う 。 語 学 研 修 へ の 参 加 や 英 語 学 習 に 関 す る 学 生 の 様 々 な 不 安 を 事 前 に理 解 し 、 そ れ ら を 解 消 す る た め の オ リエ ン テ ー シ ョ ン の 実 施 な ど、 短 期 語 学 研 修 の効 果 を 最 大 限 に 引 き 出 す た め の 具 体 的 な 方 法 を 考 え る 。
外国 語 学習 不 安 の理 解
情意フ ィルター(Affective Filter) 学習者 の情緒的な状 態が、学習 効果 に与 える影響 は大きい。人 間の脳 には、 言語を 学習す る 過程におい て、 フ ィルターの ような働きを する もの がある。 もしそのフ ィルタ ーが開いてい る 場 合、言語 の習得( インプ ット) が行 われ、 閉じて いる場合 には、 ど れだけ学習を して も言語 ― 35 ―短期語学研修に参加する日本人学生の不安の理解
習 得 は 行 わ れ な い(Burt, Dulay & Krachen, 1984)。 学 習 者 が そ の 言 語 に 対 し て 興 味 を 持 っ てい る か 、 ま た、 そ の言 語 を 何 ら か の 形 で 自 分 の も の に し た い 、 役 に 立 て た い と 意 欲 的 に 学 習 し て い る 場 合 、 情 意 フ ィ ル タ ー は 開 い て お り、 言 語 の習 得 が 行 わ れ る。 一 方 、 学 ん で い る 言 語 や そ の 文 化 に 興 味 が な い 場 合 や そ の言 語 を 習 得 す る 必 要 性 を 感 じ て い な い 場 合 に は 、 学 習 者 の 情 意 フ ィ ル タ ー は 閉 じ て い て 、 言 語 の 習 得 は 起 こ ら な い 。 語 学 研 修 に 参 加 す る学 生 は 、 英 語 と い う 言 語 に 興 味 を 持 ち 、 そ の 言 語 が使 わ れ る 文 化 や 生 活 につ い て 興 味を 持 っ て い る こ とは 言 う ま で も な い。 し か し、 十 分 な 興 味 、 関 心 を 持 ち、 自 ら 語 学 研 修 に 参 加 す る 意 思 決 定 を し て 臨 ん で い る場 合 で も、 情 意 フ ィ ル タ ー を 閉 ざ し て し ま う も の があ る。 学 習 に お け る 匚不 安 」 で あ る。 語 学 研 修 に 参 加 す る学 生 に 限 ら ず、 学 生 の多 く は 、 外 国 語 の 学 習 や 授 業 に 対 す る 不 安 を 持 っ てい る と い え る が 、 海 外 の お け る 語 学 研 修 で は、 特 に そ の 不 安 が大 き い 。 英 語 で 書 か れ た 教 材 を 使 い、 授業 も英 語 で 進 め ら れ る た め 、 英 語 に よ る直 接 教 授 に 対 す る不 安 を 訴 え る 学 生 が多 い。 そ う い っ た不 安 が 、 外 国 語 に よ る イ ン プ ット の プ ロ セ ス に お い て 何 ら か のフ ィ ル タ ーを か け て し ま い 、 そ の 結 果 、 外 国 語 の メ ッ セ ー ジを 取 り 込 む こ とを 妨 げ て し ま う ので あ る 。 不 安 は 認 知 活 動 を 妨 害 し 、 学 習 を 妨 げ る 原 因 とな る の で あ る。 Gardner とMaclntyre (1992) は 、 言 語 習 得 に 関 わ る 要 因 を 情 意 面 と 認 知 面 の 2 つ に 分 け て 考 え て い る 。 態 度(attitude) 、 動 機(motivation) 、 言 語 不 安(language anxiety) 、 自 信 (sel仁confidence) な ど を 含 む 冂青意 面 」 と 、 知 能(intelligence) 、 言 語 適 性(aptitude) 、 ス ト ラ テ ジ ー(learning strategy) を 含 む 匚認 知 面 」 の 二 つ で あ る 。 本 研 究 で は、 匚情 意 面 」 の
ひ と つ で あ る 「 言 語 不 安 」 に 焦 点 を 当 て て 考 え る。
不 安 の 種 類
外 国 語 を 学 ぶ 者 に と っ て 、 不 安(anxiety) と い う の は 様 々 な か た ち で 表 わ れ る。 不 安 は 大 き く 2つ に分 け ら れ る(Maclntyre & Gardner, 1991)。 ひ と つ は、 習 性 不 安(trait anxiety) で、 も う ひ と つ は、 状 態 不 安(state anxiety) で あ る。 ま た 、Ellis (1994) は 、 第 二 言 語 学 習 に 関 す る 不 安 をtrait anxiety とstate anxiety 、 そ し て 、 2つ の 相 互 作 用 に よ っ て 起 こ るsit uation-specific anxietyに 分 類 し て い る。 習 性 不 安 と は、 状 況 に 関 係 な く、 不 安 に な り が ち で あ る と い う 個 人 の 特 性 に よ る も の で、 人 の認 知 機 能 に 影 響 を 与 え 、 場 合 に よ っ て は 、 状 況 判 断 が で き な くな っ た り 、 回 避 的 な 行 動 を 起 こ し、 パ ニ ッ ク に な っ た り す る こ と もあ る 。 一 般 的 に 、 多 く の人 々 に と って 不 安 を 感 じ さ せ る 状 況 が 、 あ る 大 に と って は 必 ず し も そ う で は な く 、 時 に気 持 ち が 和 ら ぐ 状 況 で あ る な ど、 個 人 に よ っ て 状 況 は 異 な る 。 状 態 不 安 と は、 不 安 を 喚 起 す る状 況 に お け る 一 過 性 の不 安 で 、 変 化 す る も の で あ る。 教 室 に お け る 言 語 学 習 の 例 を 挙 げ る と、 テ ス ト 前 に な る と 落 ち 着 か な くな っ た り 、 発 表 の 際 に、 緊 張 ― 36
短期語学 研修に参加する日本人学生の不安 の理解
の あ ま り 記 憶 が 途 切 れ た り す る の が そ の例 であ る。
本 研 究 で は 、 日 本 語 版State Trait Anxiety Inventory (STAD を 使 用 し て、 語 学 研 修 に 参 加 す る と い う 特 殊 な 状 況 に お け る 学生 の不 安 、 す な わ ち、 状 態 不 安 の 変 化 を 測 定 す る 。
外国 語 不 安
外 国 語 不 安 は、 第 二 言 語 習 得 に 特 異 で、 明 確 な 過 程 で あ る(Horwitz et a1.、1986) 。 外 国 語 不 安(foreign language anxiety) に 関 し て 様 々 な 研 究 が な さ れて い る が 、 一 貫 し て い え る こ と は 、 不 安 は 言 語 学 習 を 妨 げ る 要 因 と な っ て い る と い う こ と で あ る。 外 国 語 学 習 に関 す る 不 安 は、 子 供 よ り も、 大 人 の方 が 大 き い とい わ れ て お り、 学 習 が よ り 正 式 な もの に な れ ばな る ほ ど、 友 人 や知 人 か ら学 ぶ の と比 べ 、 不 安 は 大 き く な る(Maclntyre, Noels, & Clement, 1997) 。 言 語 使 用 不 安 や コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン 不 安 は、 外 国 語 学 習 の 習 得 に大 き く影 響 す る も の で あ る ( 八 島、2003 )。 言 語 習 得 の 過 程 に お い て 重 要 な 役 割 を 果 た す 不 安 を い か に 克 服 し 、 学 習 を ス ム ー ズ に す す め る か 、 が課 題 で あ る と 考 え る 。 大 人 数 の 前 で 間 違 え る こ と へ の 恐 怖 や緊 張、 し ゃ べ れ な い こ と へ の スト レ スや 日 本 語 な ら 話 せ る の に と い う 苛 立 ち な ど 、 第二 言 語 を 使 用 す る と き に 感 じ る不 安 は 、 学 習 者 の 性 格 や 第 二 言 語 の 能 力 に よ っ て 異 な る が 、 こ う い っ た様 々 な 不 安 が 外 国 語 の習 得 に 与 え る 影 響 は大 き い 。 学 習 者 の不 安 度 が 高 い と 上 手 く言 語 を 習 得 で き な くな り、 能力 の認 知 に も影 響 を 及 ぼ す と い わ れ て い る(Clement et a1. 1997) 。 不 安 を 抱 い た 学 習 者 や 言 語 学 習 の 過 程 で 否 定 的 な 経 験 を し た 者 は 、 第 二 言 語 ( 英 語 ) 学 習 を 不 快 な も の と し て 捉 え て し ま い 、 学 習 す る こ と を 拒 否 し て し ま う の で あ る(Maclntyre & Gardner, 1991)。
こ れま で多 く の研 究 者 が 、 外 国 語 学 習 が 不 安 感 を 引 き 起 こ す 可 能 性 に つ い て 研 究 を 行 っ て き て い る が 、 外 国 語 に 対 す る 不 安 要 素 と し て 、Horwits とYoung (1991) は 以 下 の 3つ を あ げ て い る 。 人 と 話 を す る と き に、 理 解 で き な い こ と が あ る の で は な い か と い う 不 安 に 駆 ら れ る。 困 難 さ を 感 じ る こ と に対 し て の 不 安 の こ とで 、 外 国 語 で の コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン や 自 分 の 知 ら な い 分 野 に お け る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 特 有 の 不 安 で あ る と い え る。 こ の 種 の 不 安 が、 語 学 研 修 に 参 加 す る 学生 が 持 つ の 不安 の 中 で一 番大 き な不 安 であ る と 考え ら れ る。 教師 や現 地 の ス タ ッ フ 、 研 修 中 に 滞 在 す る ホ ス ト フ ァ ミリ ー と の会 話 な ど、 匚ち ゃ ん と 理 解 で き な か っ た ら ど う し よ う …」 と い う コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンに 対 す る 不 安 を 訴 え る 学 生 が多 い 。 テストに対 する不安(test anxiety) テ スト できち んとできな かったら、点 数が悪 かったら、 どうなるの だろ う等、失 敗するこ −37 −
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とを恐 れる気持 ちか ら生 じ る不 安であ る(Gorden & Sarasonl955 ; Sarasonl980)。 オーラ ルテ スト の場合は、 テスト に対 する不安 とコ ミュニ ケー ショ ンに対す る不安 の両方を 同時に 引 き起 こすこ とがあ る(Horwits & Young, 1991)。 語学 研修で は、 授業 開始 前に クラス分 けテ ストが行 われる。「 テスト でま ったく分 からな かった らどうし よう」 など、 テスト に対
する不安 は もちろ ん、「せっ かく語学 研修に 参加し たのに、 授業 につい ていけ なくて 単位を
もらえな かったら どう しよう…」 という不安を 持つ学生 が多 い。
否 定 的 評 価 へ の 恐 れ(fear of tive evaluation)
他の人 が自分を どう思 うの かというま わりの評価 に対 する恐 れ、 悪い イメー ジを持 たれて い るので はないか、 自分は頭 が悪 いと思 われている のではない か、 とい う否定的な評 価をさ れるこ と への心配 や不安 であ る(Watson & Friend, 1969)。 語学 研修 中、 周囲 の目を気 に して言い たいこと があ るけ ど言え ない、 教師や クラ スメイト に 匚あの子 の英 語は理解 できな い」 と思 われてい るのでは ないか、匚この子、 本当 に分 かってい るのか しら ?」 と思 われて い るので はないかな ど、 自分の英 語力 に対 する周り の評 価を気 にする学生 が多 い。 第一 言語 ( 日本語)を 話す 自分 と第二言 語を話 す自分 の違い から、英 語で コ ミュニ ケ ーショ ンを とる
自分が何 もできなく無力 である と考えてし まう傾向があ る。
本 研 究 で は 、Foreign Language Classroom Anxiety Scale (FLCAS) を 用 い て 、 外 国 語 学 習 に お け る 不 安 の 変 化 を 測 定 す る。 <目 的 > 語 学研修 における 参加 学生の不安 の状況 と外目 語学習 に特有な不 安を理解 するた めに、 2種 類 の質問紙を もとに測定 結果を分 析した。学生 が語学 研修に参 加する際 に感 じる様 々な 不安の 状態 を把握し、 語学研 修に関 わる大学の教 職員 が、学生 の不安を少 しで も軽 減でき るよ うな参 加 募集の方法 とオリエ ンテー ションの実施、 よりよい 異文 化体験 の海外語学 研修プロ グラ ムの 実現 を目指す ことを目的 とした。 <対 象 > 2009 年 2月13 囗 か ら 3月15 囗ま で の31 日 間 、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 、 ク ラ イ ス ト チ ャ ー チ の Christchurch Polytechnic Institute of Technology (CPIT) に 於 け る 語 学 研 修 に 参 加 し た 4 学 部 8名 の学 生 ( 男 子 2名 、 女 子 6名 ) を 対 象 に 行 っ た 。
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< 調 査 方 法 >
State Trait Anxiety Inventory (STAI)
不 安 傾 向 を 測 定 す る た め に 日 本 語 版State Trait Anxiety Inventory (STAD を 使 用 し た 。 STAI は 、 状 態 不 安 と 特 性 不 安 を 測 定 す る た め の 尺 度 で 、 そ れ ぞ れ20 の 査 定 叙 述 文 か ら な り 、 尺 度 は 「 全 く 当 て は ま ら な い ( 1点 )」「 非 常 に よ く 当 て は ま る ( 4点 )」 の 4段 階 の評 定 で 得 点 化 さ れ る。 状 態 不 安 尺 度 は 、 回 答 者 が 匚今 ま さ に、 ど の よ う に感 じ て い る か 」 を 評 価 し 、 特 性不 安 尺 度 は、 回答 者 が 匚ふ だ ん一 般 に ど の よ う に感 じ て い る か」 を 査 定 し てい る。 プ ロ フ ィ ー ル は 、 段 階 得 点 と パ ー セ ン タ イ ル で 表 さ れ る。
Foreign Language Classroom Anxiety Scale (FLCAS)
外 国 語 学 習 不 安 の 測 定 に は、Foreign Language Classroom Anxiety Scale (FLCAS) に、 3つ の 項 目 を 付 け 加 え た 質 問 紙 を 使 用 し た(Goshi, 2005) 。 FLCASは 、 外 国 語 学 習 環 境 に お け る 不 安 を 測 定 す る 尺 度 で 、33 の 査 定 叙 述 文 か らな る。 通 常 、 尺 度 は 5段 階 の リ カ ー ド スケ ー ルを 用 い る が 、 中 間 値 で あ る 3を 避 け る た め、「 全 く そ う 思 わ な い ( 1 点 )」 か ら 「 非 常 に そ う 思 う ( 6点 )」 の 6 件 法 を 使 用 す る こ と に し た 。( 質 問 項 目 は 付 表 1を 参 照 )。 振 り 返 り ノ ー ト 参 加 学 生 8 名 に 、 研 修 期 間 中 に 毎 日 匚嬉 し か っ た こ と 」 匚が っ か り し た こ と 」 匚疑 問 に 思 っ た こ と 」 匚学 ん だ こ と 」 匚驚 い た こ と」 匚明 日 、 私 が し た い こ と 」 の 5 点 と 新 し く 出 会 っ た英 単 語 や 英 語 表 現 を 自 由 記 述 で メ モ を し て もら う よ う に し た。 < 実 施 日 > 語 学 研 修 開 始 直 後 と 語 学 研 修 終了 後 の計 2 回 、 実 施 し た 。 第 1[可目 は 、 語 学 研 修 へ 出 発 す る 当 日 の 2月13 日 、 飛 行 機 の 出 発 待 ち の ロ ビ ー に て 行 わ れ 、 第 2 回 目 は 、 語 学 研 修 終了 後、 約 2 週 が 過 ぎ た 3月30 囗、 写 真 交 換 会 を 兼 ねた 報 告 会 に て 行 わ れ た 。 調 査 結 果 は 、 学 生 の 語 学 研 修 の成 績 評 価 に は一切 関 係 がな い 旨を 伝 え、 同 意 書 に サ イ ン の 上、 2 種 類 の質 問 紙 を 配 布 し た 。 名 前、 実 施 日 な ど を 記 入 し た 後 、 各 質 問 項 目を よ く読 み、 自 分 に も っ と も よ く 当 て は ま る と 思 う 番 号を 選 ぶ よ う に 指 示 し た。 結 果 <FLCAS の 結果 > 今 回 調 査 に 用 い た36 項 目 の う ち、 3項 目(10, 20, 26) は 、 オ リ ジ ナ ル のFLCASと は こ と な る 追 加 項 目 で あ っ た た め 、 分 析 か ら は 削 除 し た 。 ま た 、 取 得 し た デ ー タ の う ち 、 以 下 の 項 目 −39 −
短 期語 学 研 修 に 参加 す る 日 本人 学 生 の 不安 の 理 解 (2, 5, 8, 11, 14, 18, 22, 28, 32) は 、 逆 転 項 目 と し て 扱 っ た。 通 常 の 5件 法 で は 、99 未 満 の場 合 を 外 国 語 学 習 不 安 が 低 い と 考 え 、99 以 上 の 場 合 を 不 安 が 高 い と 考 え る が、 今 回 の調 査 で は 6件 法 を 使 用 し た た め 、124 未 満 を 低 不 安 群 と 考 え る。 以 下 の 図 1 は、 参 加学 生 8名 のFLcAs の 変 化 を 示 し た も の で あ る 。 事 前 テ スト で は 、124 を 超 え る 高 い 外 国 語 学 習 不 安 を 持 つ 学 生 が 3名 い た が 、 事 後 の テ スト で は 、 学 生 E の 1名 だ け に な っ た。 8 名 の 学 生 の う ち 6名 の 学 生 は 、 事 前 と 事 後 の テ スト で 不 安 が 減 少 す る結 果 と な って い る 。 反 対 に 、 学 生 Aは 、86 か ら107 へ 不 安 を 上 げ 、 同 じ く 学 生 B も、 変 化 は 小 さ か っ た と は い え 、 不 安 を 上 げ る 結 果 と な っ た。 8 名 の 学 生 の 外 国 語 学 習 不 安 は 、 平 均 し て16.25 減 少 す る 結 果 と な っ た。 0080 21 6040 11 0 0 0 n 乙 O 只 ︶ I I 6040 20 0 A B C D E F G H 図I FLCAS の 得 点 変 化 ■ full pre full post FLCASの33 項 目 の 中 か ら 、 事 前 テ ス ト で 不 安 度 の 高 か っ た 5 項 目 を 選 出 し、 事 前 と 事 後 の テ ス ト に お け る 不 安 度 の 変 化 を み た。 事 前 テ ス ト で 不 安 度 の 高 か っ た 項 目 は、 表 1 の と お り で あ る。 表 1 不 安度 の高 い 5項目 問 7.自 分 より も他 の学生 の ほう が英語 がで き るので はな い かと思 って し まう 問 8.英 語 のテ スト の時 はいつ も緊 張し ない 問19. 英 語 の授業 で話 す とき、 自信 かあ る 問25. 他 の学 生 は自分 よ りも英 語を う まく話 せ ると いつ も感じ てし ま う 問27. 他 の学 生 の前で 英語 を話 すこ と にとて も自信 かあ る 不 安度の高 かった 5つ の項目の不安 度の変化 は、図 2に示 し たとおりであ る。 問 8「英 語の テスト の時 はいつ も緊 張しな い」 が4.75か ら3.375に変 化 した以 外、 残り の 4項 目 にはあ まり 大 きな変 化 は見られな かった。 −40 −
5 4 3 2 1 0 問 7 短 期 語 学研 修 に 参 加 す る 日本人 学生 の 不安 の理 解 問 8 問19 問25 図 2 不安 度 の高い 項目 問27 ■ pre post 次 に 、 不 安 の 変 化 度 の 変 化 率 の 高 か っ た 項 目 を 5つ 選 出 し た 。 選 ん だ 5 項 目 は 、 表 2 の と お り で あ る 。 表 2 不 安 度の変 化率 の高 い 5項目 間 2.英 語 の授業 で 間違え る ことを 恐 れて いな い 問 5. も っと英 語の 授業 を履 修し て もいい と思 う 問 8.英 語 のテ スト の時 はいつ も緊張 しな い 問24. 英 語 の授業 で話 を して い る時 、 緊張 して混 乱 して く る 問30. 英 語 の授業 のためにしっかり準 備( 予習) をしない とい けないというプレ ッシャーを感 じない 以 下の 図3は、不安 度の変化率 の高 かった5項目 の事前と事 後の変化を示 した ものである。 1番大 きな変 化を示 した のは、 問 5「 もっと英 語の授業 を履 修し て もい いと思 う」 で1.875の 変 化があ った。 次 に大 きな変化 があっ たのは、 問 2 匚英 語の授業 で間違え ることを恐 れていな い」 で1.5の変 化が あ った。 問 8 匚英語 の テス トの時 はい つ も緊 張し ない」 では1.375、 問24 「英 語の授業 で話を して いる時、緊 張 して混乱 して くる」 と、 問30「英語 の授業 のた めにし っ かり準備 (予習) をしない といけ ないとい うプレ ッシ ャーを感 じない」 は、 どちら も1.25の変 化 が表 れた。 ― 41 ―
5 4 3 2 1 0 問 2 短 期語 学 研 修 に 参加 す る 日 本人 学 生 の 不安 の 理 解 問 5 図 3 問 8 問24 問30 不 安度 の変 化率 の高 い 5項目 ■ pre post 事 前と事後 のテストで、 ま ったく不 安度 に変 化のな かった項 目が3項目あ った。項 目は以 下 の表 3の とおり である。 問1 は3.75、 問13は2.88、 問19は 3のま ま、 事前 と事後 のテ スト で変 化 が表れな かった。 表 3 不 安度 の変化 のな か った 3項目 問 1.英 語で 話を して い る時、 自分 自身 につ いて あ まり確 かだ と感 じな い 問13. 英 語 の授業 で、 緊張 し過 ぎて 自分 の知 って い るこ とを忘 れて しま う こと があ る。 問19. 英 語 の授業 で話 す とき、 自信 かあ る。 次 の 表 4は 、 事 前 と事 後 の テ ス ト で 、 不 安 度 が上 昇 し て い る 2項 目 で あ る。 問 4 と問 6 で は、 3.25か ら3.75 へ 不 安 度 が 上 が る 結 果 と な っ た。 表 4 不安 度が 上昇 した 2項 目 間 4.先 生 が英語 で言 って い るこ とが分 か らな いと心 配 にな る。 問 6.英 語 の授業 中、 授業 内容 と関 係 のない こ とを考 えて い ること があ る。 <STAI の 結 果 > 特 性 不 安 と 状 態 不 安 の 2つ の不 安 の 測 定 を 行 っ た が 、 今 回 の 研 究 で は 、 語 学 研 修 とい う 特 殊 な 環 境 に お け る 不 安 を 測 定 す る た め、 状 態 不 安 の みを 取 り 上 げ る こ と に し た。 図 4 は、 8 名 の 学 生 の 状 態 不 安 の 変 化 を 示 し た も の で あ る 。 8 名 中 7名 の 学 生 に、 全員 が 研 修 前 と 後 で状 態 不 安 に大 き な 変 化 が 見 ら れ た。 も っ と も状 態 不 安 の 変 化 率 の 高 か っ た 学 生 E は70 % か ら10 % へ 、 続 い て 学 生 H も55 % か ら 4 % へ 大 き な 変 化 を み せ た。 8名 の 学 生 の状 態不 安 は 、 事 前 と事 後 で平 均 す る と 約35 % か ら 7% へ 減 少 し てい る。 ― 42 ―
0 0 冖 h y r a 0 0 4 りa 0 0 n 乙 1 0 短 期 語 学研 修 に 参 加 す る 日本人 学生 の 不安 の理 解 A B C D 図 4 E F 状態 不安 の変 化 G H ・pre post < 振 り 返 り ノ ー ト > 8名 の 学 生 の 中 に は、 出 発 の 日 か ら毎 日欠 か さ ず 丁 寧 に記 録を 続 け る 者 、 途 中 、 記 録 に 疲 れ、 数 日 の記 録 が抜 け てい る 者、 ま た、 毎 日 の振 り返 り の 内容 が深 す ぎ て 提 出を た め らう 者 な ど様 々 で あ っ た 。 提 出 に つ い て は 、 学 生 個 人 の意 思 に 任 せ た上 で 、 最 終 的 に 提 出 さ れ た 5名 の 学 年 の 「 振 り返 り ノ ー ト」 に 記 さ れ た コ メ ン ト を 集 め、 そ れ ら の コ メ ント を 「 友 達 づ く り と 人 間関 係 」 匚英 語 力 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」 匚英 語 」 匚自 己 理 解 」 匚外 国 文 化 と 日 常 生 活 の 疑 問 」 の 5 つ に 分 類 し た 。 以 下 の 表 5 は、 匚振 り 返 り ノ ー ト 」 の 学 生 の コ メ ン トを 抜 粋 し た も の で あ る。 1 日 の 出来 事 や 気 持 ち の 変 化 を メ モ とし て 残 し 、 自 分 自 身 が感 じ た さ ま ざ ま な 思 い を 自 身 に フ ィ ード バ ッ クす る と い う 振 り 返 り の 記 録 に は 、 学 生 の 成 長 、 変 化 のあ と が みら れ る。 英 語 が 通 じ な い も ど か し さを 感 じ 、 自 分 の 英 語 力 の な さ に 落 ち 込 む 。 諦 め ず に 努 力 を 重 ね、 思 い が 伝 わ り、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン が と れる 喜 びを 味 わ う 。 そ し て 、 再 び壁 に ぶ つ か り 、 苛 立 ちを 感 じ、 時 に は、 周 り の学 生 と 自 分 を 比 べ 、 自分 だ け が で き て い な い ので は な い か と 、 不 安 にな っ た り、 焦 り を 感 じ た り を 繰 り 返 し て い る。 ま た、 授業 や 日 常 の 体 験 や 観察 の 中 で は、 多 く の 疑 問 を 抱 き な が ら、 そ れ が ま た 新 し い 発 見 に つ な が っ て い る よ う で あ っ た 。 今 ま で に味 わ っ た こ と の な い 自分 自身 の 感 情 や 素 の自 分 に 出 会 い、 学 生 達 は 、 喜 び や 悲 し み、 不 安 や 緊 張 と い っ た 自 分 の 感 情 を コ ント ロ ー ル す る方 法 を 見 つ け、 新 し い 自 分 を 発 見 す る こ と や 自 己 を 受 け 入 れ る こ と を 学 ん で い る 。 不 安 や 緊 張 、 焦 り や 苛 立 ち は 心 地 の よ い も の で は な い が、 そ う い っ た 感 情 は 当 然 の も の で あ る と い う こ と、 必 ず し も マ イ ナ ス の 要 素 で はな い こ と を 知 り 、 積 極 的 に 取 り 組 も う と す る 努力 の 過 程 が みら れ た。 ― 43 ―
短期語学研修に参加する日本人学生の不安の理解 表 5 参 加学生 の コメ ント (振 り返 り ノー トより 抜粋 ) 友 達 づ く り ・ 人 間 関 係 ● 1 人 で 参 加 し た こ の N Z 短 期 語 学 研 修 で 1 ヶ 月 留 学 生 活 を と も に す る 人 達 と 早 速 仲 良 く な れ た こ と 。 ● 学 年 も、 学 部 も ち か っ て 全 然 知 ら な い 人 ば っ か り の 対 面 だ っ た け ど、 み ん な と 仲 良 く な れ た 気 が し た 。 ● 夜、 み ん な で 写 真 を と っ た 。 や っ と な じ め た 気 が … ( 笑 )。 ● も っ と 他 大 学 の 人 達 や 帝 塚 山 の 友 達 と も 仲 を 深 め て い け た ら い い な と 思 う の で 、 そ の よ う に 過 ご し た い。 英 語 力 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ( 十 ) ● 多 分 い っ ぱ い 間 違 っ て い る 所 は あ る の だ ろ う け ど 、 あ ま り 考 え ず に 会 話 の キ ャ ッ チ ボ ー ル が 出 来 る よ う に な っ て き た。 ● 今 日 か ら 英 語 の 授 業 が 始 ま っ て 、 他 国 の 人 と も ジ ェ ス チ ャ ー を 使 い な が ら、 お 互 い ぎ こ ち な い 英 語 で し ゃ べ っ て た け ど 、 一 生 懸 命 し た ら 理 解 し て く れ よ う と す る こ と を 学 ん だ。 ● ち ゃ ん と 言 っ た ら 伝 わ る 。 正 し く 言 え て な く て も 伝 え よ う と 頑 張 っ た ら 理 解 し よ う と し て く れ る 。 ● と り あ え ず 囗 に 出 す ! 英 語 力 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ( − ) ● 英 語 の で き な さ に が っ か り 。Listening は 全 く 出 来 な い し 、 単 語 も 基 本 的 な 言 葉 も で て こ な い。 自 分 自 身 か 嫌 に な っ た 。 ● み ん な 英 語 む っ ち ゃ し ゃ べ れ る よ う に な っ て る け ど 、 自 分 だ け 成 長 で き て な い 気 が す る … 。 あ と 残 り わ ず か 頑 張 る 。 ● 英 語 が い っ こ う に し ゃ べ れ な い … 当 た り 前 か … た ぶ ん リ ス ニ ン グ は ま し に な っ た か も … で も、 不 意 に し ゃ べ ら れ る と 、 だ め … 。 聞 く 気 に な っ て な い と だ め … よ く分 か り ま せ ん 。 ● ク ラ ス の 中 で 授 業 か 1 人 だけ が わ か っ て い な い 気 が し て、 も っ と 勉 強 し な い と ダ メ や っ て 思 っ た。 ● 授 業 で 、 周 り の 人 達 は ほ ぼ 英 語 のspeaking が 出 来 て い る し 、 理 解 で き る よ う で す が 、 自 分 は そ う い っ た こ と が で き ず 、 落 ち 込 み そ う に な っ た 。 こ の 悔 し さ を バ ネ に 、 次 に ス テ ッ プ ア ッ プ し た い 。 英 語 ● 知 っ て る 単 語 もKiwi ( ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 人 ) のPronunciation だ と 聞 き 取 れ な い 。 ● ホ ス ト マ ザ ー が ア メ リ カ 英 語 ・ イ ギ リ ス英 語 ・NZ 英 語 の 違 い を 教 え て く れ た。 ● こ っ ち はcentre 。 ● Late の 発 音 がright に 聞 こ え る 。 自 己 理 解 − − j l − − j J 1 今 日 は精神 的 にダ メダ メな 1日 やっ た。 自分 の弱 さに がっ かり。 人 に頼 って ば っ かり じ ゃな くて 、 自 分自 身 がし っ かり し ない と いけ な いと わ か った。 い時 は泣 いて、 次 から がん ばれ ばい い。 自分 の意志 を伝 え るこ とは大 切。 泣 き だ 自分 自身、 強 くな らな いと !!悩 んで た って仕 方 がな い。 明 日 にな れば また変 わるはず 。 外 国 文 化 ・ 日 常 生 活 の 疑 問 ● こ っ ち のBBQ つて … ? な ん か ハ ン バ ー ガ ーを 食 べ た 感 じ や っ た。 日 本 のBBQ を 教 え て あ げ た い。 ● Hokey-pokey の か た ま り を 食 べ た け ど 、Hokey-pokey つ て 何 ? ● バ ス の 中 で ひ も み た い な の が あ っ た 。 そ れ を 引 っ 張 っ た ら 、 ボ タ ン を 押 し て る こ と と 同 じ な の か ? ● ク リ ケ ッ ト つて ど ん な ス ポ ー ツ ?
考 察
今 回の語学 研修の参加 学生は、 8名と少な かったた め、 調査結果 の統計的 な検討を行 うには 至 らなか ったが、 学生 が持つ語学 研修に関 する不安の 種類 や外国語 学習 に関 する不安 が、 明 ら ― 44 ―短期語学 研修に参加する日本人学生の不安 の理解 か に な っ た。 学 生 の 持 つ 不 安 を 考 慮 に 入 れ た、 研 修 前、 中 、 後 の オ リ エ ン テ ー シ ョ ン の 実 施 が 学生 の不 安 の 解 消 につ な が る と考 え る 。 束 生 駒 と学 園 前 の 2 つ の キ ャ ン パ ス、 6 学 部10 学 科 に 所 属 す る 参 加 学 生 が 、 全 員 で 集 ま れ る 日 程 で 事 前 の オ リ エ ン テ ー シ ョ ン を 実 施 す る こ と は な か な か 困 難 で あ り 、 今 以 上 の 回 数 を 行 う こ と は 難 し い。 し か し、 隕 ら れ た 時 間 と 回 数 で 行 わ れ る オ リ エ ン テ ー シ ョ ン を 、 出 発 前 の 単 な る 旅 の準 備 で 終 わ ら せ る の で は も っ た い な い。 さ ら に 充 実 し た オ リ エ ン テ ー ショ ンを 行 う た め に は 、 そ の 内 容 に つ い て 再 度 検 討 す る 必 要 があ る。 ま ず 、 4週 間 、 海 外 で 共 に 学 び、 生 活 を 共 に す る 新 し い 仲 間 と の 関 係 づ く り に 不 安 を 抱 く学 生 が 多 い と い う 事 実 を 知 り 、 そ う い っ た学 生 を 考 慮 に 入 れ た 事 前 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン の 実 施 が 必 須 で あ る。 1 人 で 研 修 に 参 加 す る こ と に 不 安 を 抱 く 学 生 は 毎 年 少 な くな い。 初 回 の オ リ エ ン テ ー シ ョ ン で は 、 多 少 の 時 間 を 費 や し て で も、 ア イ ス ブ レ イ ク の ア クテ ィ ビ テ ィ を 積 極 的 に 取 り 入 れ、 学 生 達 に 新 し い 環 境 で苦 楽 を 共 に す る 仲 間 が い る こ とを 知 る 機 会を 与 え る必 要 が あ る と 考 え る 。 ま た 、 所 属 学 部 や学 年 が 異 な る 学 生 達 の大 学 に お け る 英 語 の学 習 時 間 に は か な り の差 か お る。 そ れ に と も な い 、 学 生 の 基 礎 的 な 英 語 力 だ け で は な く、 文 化 や 異文 化 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンに つ い て の知 識 に も差 があ る と 考 え ら れ る 。 オ リ エ ン テ ー シ ョ ンで は、 授 業 で 頻 繁 に 使 わ れ る 英 語 表 現 や ホ ス ト フ ァ ミ リ ー と の 英 会 話 と い っ た 言 語 的 な知 識 だ け で は な く、 研 修 先 の 基 本 的 な 情 報 な ど を 含 め た 文 化 的 な 知 識 を 増 や す こ と も重 要 で あ る 。 言 語 と 文 化 の両 方 の 知 識 を も つ こ と で、 現 地 で の ス ム ー ズ な 生 活 の ス タ ー ト と 研 修 に 参 加 す る 学 生 の英 語 や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン、 日 常 生 活 へ の 不 安 の 軽 減 に つ な が る 。 両 方 を 合 わ せ て 、 初 め て 、 新 し い 文 化 や 生 活 に お け る 「 違 い 」 を 楽 し む余 裕 が 持 て る よ う にな る の で あ る。 さ ら に 、 オ リ エ ン テ ー ショ ン で は 外 国 語 は 短 期 間 で い き な り 上 達 す る も の で は な い と い う こ と、 言 語 を 学 ぶ に あ た っ て 、 不 安 や 緊 張 を 感 じ る こ と は 当 た り 前 の こ と であ る と い う こ と 、 カ ル チ ャ ー シ ョ ッ ク も誰 も が 経 験 す る 当 たり 前 の こ と で あ る こ と、 な ど を あ ら た め て 認 識 す る 機 会を 与 え る こ と が 重 要 で あ る 。 学 生 の 中 に は 、 授 業 や ア ク テ ィ ビ テ ィ の 合 間 に 匚振 り 返 り ノ ー ト 」 に 書 く よ う な 様 々 な 思 い を 引 率 教 員 や友 達 に ぶ つ け て 不 安 を 解 消 す る 学 生 もい れ ば 、 人 に 言 え ず、「 自 分 だ け が こ ん な 思 い を し て い る の か も し れ な い … 」 と 悩 み、 苦 し む 学生 もい る。 振 り 返 り ノ ー ト を 共 有 す る こ と は 難 し い が 、 自 分 ↓ 人 で 不 安 を 抱 え 、 悩 む の で は な く 、 思 い を 語 っ た り、 聞 い た り し て 、 研 修 中 の参 加 者 が 、 そ れ ぞ れ の思 い を 共 有 す る 時 間 、 シ ェ ア リ ン グ の 時 間 を 現 地 の オ リ エ ンテ ー シ ョ ンに 取 り 入 れ る こ と は 、 研 修 期 間中 の学 生 の 不 安 軽 減 に 大 き な 役 割 を 果 た す と 考え ら れ る。 外 国 語 学 習 に 特 有 の 不 安 に つ い て は 、 普 段 の 授 業 に お け る 練 習 の 積 み重 ね が 大 切 で あ り 、 英 語力 の向 上 に つ な が る だ け で はな く、 外 国 語 を 学 習 す る 際 に 起 こ る 不 安 の 軽 減 に もつ な が る 。 大 学 に お け る 通 常 の 外 国 語 の 授 業 に お い て も、 学 生 の動 機 や 不 安 と い っ た 匚情 意 面 」 と 学 習 ス ― 45 ―
短期語学研修に参加する日本人学生の不安の理解 タ イ ル や 学 習 ス ト ラ テ ジ ー な ど の 匚認 知 面 」 の 両 方 を 考 慮 に い れ た 英 語 教 授 を 考 え る必 要 が あ る と い え る。
今 後 の課 題
STAI とFLCASの 2種 類 の 質 問 紙 を 使 っ て 学 生 の 不 安 の 変 化 を 測 定 し た が、 出 発 時 、 帰 国 後 の 2 回 の 調 査 で は 十 分 に 変 化 を み る こ と は で き な い 。 今 後 、 参 加申 し 込 み の 決 定 時 や事 前 オ リ エ ン テ ー シ ョ ン、 研 修 期 間 中 の測 定 も含 め 、 実 施 時 期 と 回 数 に つ い て さ らな る 検 討 を 重 ね る 必 要 が あ る 。 ま た、 研 修 終了 後 の外 国 語 学 習 に対 す る 不 安 の 変 化 や学 習 意 欲 の 向 上 に つ い て も興 味深 く、 追 跡 調 査 を 行 う こ と も今 後 の 語 学 研 修 の 発 展 につ な が る と 考 え る。 お わ り に 参 加 募 集 の 説 明 会 や事 前 オ リエ ン テ ー シ ョ ン を 含 め 、 出 発 前 の段 階 か ら 引率 教 員 とし て 学 生 の不 安 や 緊 張 を一番 近 く て み て き た が 、 出 発 前 の 不 安 な 表 情 と は一転、 帰 国 後 の 学 生 の 笑 顔 と 自信 に 満 ち た 表 情 が、 研 修 の成 果 と 学 生 の成 長 の証 で あ る と 思 う 。「 語 学 研 修 に 参 加 し て よ か っ た」 匚あ れ か ら英 語 を し ゃ べ る の が怖 く な く な っ た 」 匚も っ と 英 語 の授 業 を 履 修 し た い ん だ け ど、 ど う す れ ばい い の か 」 と い っ た 声 も多 く、 様 々 な 不 安 を 乗 り 越 え て 得 た 自信 か ら 、 語 学 研 修 終 了 後 に 外 国 語 学 習 に 積 極 的 に 取 り 組 む 学 生 が増 え て い る と感 じ る 。 海 外 で の異 文 化 体 験 や 集 団 生 活 を 通 し て 、 思 っ て もい な か っ た 自 分 に 出会 い、 戸 惑 う 学 生 。 1 ヶ 月 の 研 修 の 中 で 、 英 語 や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 だ け で は な く、 不 安 を 越 え て 得 た もの は 大 き く、 自分 自身 と 向 き 合 う こ と で、 自 己 理 解 、 自 己 発 見 へ と 結 びつ い て い る。 匚短 期 留 学 に参 加 を し て み た い け ど 不 安 な ん で す 」 そ ん な 学 生 に、 参 加 学 生 の生 の声 を 届 け、 不 安 を 乗 り越 え て 参 加 し た 語 学 研 修 で 得 た も の を 共 有 す る 場 を 増 や し、 参 加 を た め ら う 学 生 の 不 安 を 少 し で も 軽 減 す る よ う な 説 明 会 の実 施を 目 指 す こ と で 、 さ ら に多 く の 学 生 が 語 学 研 修 に 参 加 す る こ とを 願 う 。 外 国 語 を 学 習 す る 学 生 の 情 意 フ ィ ル タ ー が 閉 じ て し ま わ な い よ う、 言 語 学 習 を 妨 げ る 原 因 の ひ と つ で あ る 匚不 安 」 の さ ら な る 研 究 を 行 う と と もに 、 閉 じ て し ま い が ち な 学 生 の フ ィ ル タ ー を 少 し で も開 け、 さ ら に多 く の学 生 が 語 学 研 修 に 参 加 を し た い と思 え る よ う な 語 学 研 修 の あ り 方 、 オ リエ ン テ ー シ ョ ン の あ り 方 につ い て 考 え て い き た い 。参考 文献
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短 期 語 学 研修 に 参 加 す る 日本 人 学生 の 不安 の理 解
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問 1 問 2 問 3 問 4 問 5 問 6 問 7 問 8 問 9 問10 問n 問12 問13 問14 問15 問16 問17 問18 問19 問20 問21 問22 問23 問24 問25 問26 問27 問28 問29 問30 問31 問32 問33 問34 問35 問36 短期語学研修に参加する日本人学生の不安の理解
付表I Foreign Language Classroom Anxiety Scale (FLCAS ) の質問 項目
英語 で話 をし て いる時、 自分自 身 につい て あま り確 かだ と感じ ない。 英語 の授業 で 間違 え るこ とを恐 れて いな い。 英語 の授業 で、 当 て られ る(名 前を 呼 ばれ る) と思 うと心 配 にな る。 先生 が英 語で 言 って いる こと が分 からな い と心配 に なる。 も っと英 語 の授業 を履 修 して もいい と思 う。 英語 の授業 中、 授業 内容 と関係 のな いこ とを 考え てい るこ と があ る。 自分 より も他 の学 生 のほ うが英 語 ができ る ので はない か と思 ってし ま う。 英語 の テ スト の時 は いつ も緊張 しな い。 英語 の授業 で、 準備 なし にし ゃべ らさ れる とパニ ッ クにな って しま う。 も っと英 語を 上達 させ たい。 英語 の授業 ( の単 位を )落 とす ので はな い かと心 配 にな る。 ど うして 英語 の授業 に文句 を言 う人 がい る のか理 解で きな い。 英語 の授業 で、 緊 張 し過ぎ て自 分 の知 って いる ことを 忘 れてし ま うこ とがあ る。 英語 の授 業で、 進 んで 答え を発 表す るこ と は恥ず か しい。 ネ イテ ィブ スピ ーカ ーと英 語で 話を す るこ とに、 緊張 しな い。 先生 が訂 正し て いる こと が理解 でき ない と混 乱 して しま う。 英語 の授 業 の準備 が十 分 にでき てい たと して も、 ま だ不安 にな る。 英語 の授 業に 行 く気 がよ くな くな る。 英語 の授業 で 話す とき、 自信 があ る。 英語 の勉 強を す るこ とは得 意で はな い。 英語 の先 生が 自分 の 間違 い を全 部直 す ので はな いか と心配 にな る。 英語 の授業 で 当て ら れる( 名前 を 呼ば れる) と思 う と、心 臓 がド キド キす るのを 感 じる。 英語 の テ スト の ため に勉強 をす れ ばす るほ ど、 混 乱 して くる。 英語 の授業 のた めに しっ かり準 備( 予習 )を し ない といけ ない とい うプ レ ッシ ャーを 感じ ない。 他 の学生 は自 分 より も英語 を うま く話せ る といつ も感 じて し まう。 英語 を勉 強す る のは嫌 い だ。 他 の学生 の前 で英 語を 話す こ とにと て も自 信があ る。 英語 の授業 が ど んど ん進 んでい く ので、 取 り残 されて し ま わな いか 心配 に なる。 他 の授業 より も英 語 の授業 の方 が、 緊張 し たり、 不安 にな った りす る。 英語 の授業 で 話を して い る時、 緊張 して 混乱 して く る。 英語 の授業 に 行 く時、 堂 々と してい るし、 リラ ッ クスして い る。 英語 の先 生が 言 うこ とのす べて を理 解し て いな いと不 安 にな る。 英語 を話 すことを学 ぶた めに学 ばなけ ればいけない 決ま りがた くさんあるこ とに困惑 して しまう。 英語 で話 をし て いる とき、 他 の学生 が私 の ことを 笑 うので はな いか と恐 れて し まう。 ネ イテ ィブ スピ ーカ ーに 囲ま れてい て も、 快 適 に感 じる だろ うと思 う。 事前 に準 備を して い ない質 問を 英語 の先 生 がす ると緊 張す る。 −48 −