• 検索結果がありません。

スラックスの運動機能性に及ぼす布の特性の影響

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "スラックスの運動機能性に及ぼす布の特性の影響"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

B

u

l

l

.

Mukogawa W

o

m

e

n

'

s

U

n

i

v

.

N

a

t

.

S

ci.

41

45-52(1993) 武庫川女子大紀要(自然科学)

スラックスの運動機能性に及ぼす布の特性の影響

荒 巻 朋 子 , 秋 山 珠 美 , 山 川

(武庫川女子大学家政学部被服学科)

E

f

f

e

c

t

s

o

f

C

l

o

t

h

C

h

a

r

a

c

t

e

r

i

s

t

i

c

on t

h

e

10b

i

1

i

t

y o

f

S

l

a

c

k

s

Tomoko Aramaki

, Tamami Akiyama and Masaru Yamakawa

Department of T

e

x

t

i

l

e

and C

/

o

t

h

i

n

g

S

c

i

e

n

c

e

s

F

a

c

u

l

t

y

of Home Economics

Mukogawa Women's U

n

i

v

e

r

s

i

t

y

N

i

s

h

i

n

o

m

i

y

a

663

J(伊a

n

A

b

s

t

r

a

c

t

To e

s

t

i

m

a

t

e

t

h

e

m

o

b

i

l

i

t

y

o

f

s

l

a

c

k

s

, we m

e

a

s

u

r

e

d

t

h

e

c

l

o

t

h

i

n

g

p

r

e

s

s

u

r

e

on t

h

e

k

n

e

e

, and

we i

n

v

e

s

t

i

g

a

t

e

d

t

h

e

r

e

l

a

t

i

o

n

b

e

t

w

e

e

n

t

h

e

c

h

a

r

a

c

t

e

r

i

s

t

i

c

o

f

t

h

e

c

l

o

t

h

and t

h

e

m

o

b

i

l

i

t

y

o

f

s

l

a

c

k

s

.

C

o

n

c

e

r

n

i

n

g

t

h

e

c

h

a

r

a

c

t

e

r

i

s

t

i

c

o

f

t

h

e

f

a

b

r

i

c

we m

e

a

s

u

r

e

d

f

r

i

c

t

i

o

n

a

l

r

e

s

i

s

t

a

n

c

e

and s

t

r

e

t

c

h

n

e

s

s

.

F

o

r

t

h

i

s

i

n

v

e

s

t

i

g

a

t

i

o

n

we u

s

e

d

f

o

u

r

p

a

i

r

s

o

f

t

h

e

same s

h

a

p

e

d

s

l

a

c

k

s

w

h

i

c

h

w

e

r

e

made o

f

d

i

f

f

e

r

e

n

t

c

h

a

r

a

c

t

e

r

i

s

t

i

c

f

a

b

r

i

c

and two t

y

p

e

s

o

f

s

t

o

c

k

i

n

g

w

h

i

c

h

had d

i

f

f

e

r

e

n

t

s

l

i

p

p

e

r

i

n

e

s

s

.

To k

e

e

p

t

h

e

same movement w

h

e

n

e

v

e

r

t

h

e

l

e

g

was l

i

f

t

e

d

we d

e

v

e

l

o

p

e

d

new d

e

v

i

c

e

.

S

o

we c

a

n

g

e

t

e

a

s

i

l

y

r

e

l

i

a

b

l

e

d

a

t

a

o

f

c

l

o

t

h

i

n

g

p

r

e

s

s

u

r

e

.

The r

e

s

u

l

t

s

h

o

w

s

t

h

a

t

t

h

e

s

l

i

p

p

e

r

i

n

e

s

s

o

f

s

l

a

c

k

s

and t

h

e

s

t

r

e

t

c

h

n

e

s

s

o

f

w

e

f

t

d

i

r

e

c

t

i

o

n

a

r

e

a

s

i

m

p

o

r

t

a

n

t

a

s

t

h

e

s

t

r

e

t

c

h

n

e

s

s

o

f

warp d

i

r

e

c

t

i

o

n

f

o

r

t

h

e

m

o

b

i

l

i

t

y

o

f

s

l

a

c

k

s

.

1

.

E司 衣服の着心地を左右する要因については,生理・衛 生機能性,運動機能性の面から多く研究されている. 今回は,衣服の運動機能性の中でも脚部(特に膝部)に 注目し,布の特性がスラックス膝部の運動機能性に及 ぼす影響について調べることにした.なお,スラック スの運動機能性は,人体に対する拘束度合いを表す衣 服圧で評価した. スラックスの衣服圧測定については,清水らが衣服 圧平衡値と最大衣服圧値を測定した結果,スラックス の運動機能性の評価には,動作中の連続測定による動 的なデーターの最大衣服圧値で検討をすべきであると 報告している 1) さらに,清水らは足の持ち上げ方 や運動のさせ方によっても衣服圧に差が出ると述べて いる 2) また,スラックスの運動機能性と布地特性の関係を 検討したものとしては,伊藤らの一定姿勢における伸 び量・ずれ量と衣服庄の関係について論じたものがあ る3)のしかし,これは,静的な状態において衣服圧 (衣服圧平衡値)・伸び量・ずれ量を測定したものであ り,動的な最大衣服圧値と布地特性との関係について は検討されていない. そこで,本研究では,スラックスの運動機能性とし て,動的な最大衣服圧値と布地特性との関係を追求す ることにLtこ. スラックスの運動機能性に関係する主な特性として は,パターン形状,布地の伸長性,滑りやすさ,勇断 特性などがある 2)~7) それら主な特性の中から,今 回はスラックスの膝部の運動機能性に大きく影響して いると思われる布地の伸長性と滑りやすさの2点を取 り上げ,動的な衣服圧-伸び量・ずれ量を測定し,ス ラックスの伸長率・摩擦抵抗が膝部分での運動機能性 にどのように関係しているかを検討した.

2

.

方 法

2-1 被験者 体型差による衣服圧への影響を避けるために,被験

(2)

Table 1.に示す. 者は,成人女性一名で行った.被験者の身体寸法を 2-2 試料 Table 1. Body size of the subject

m

g

m

m

m

m

m

m

c ' K C C C C C C A U A U A 斗 今 3 Z J ζ U O O 今 3 司 f A U ' i n u ' I A 斗 ζ J ' i 5 5 6 9 5 3 3 4 ・ ・ i h h l M 北 1 口叫 u h g ・1 聞 は ・ 広 明 l t . H A I E ﹁ E i I t M 一 如 川 ・ 別 ん リ

v

.

g

・ 刈 ・ 叫 ・ 叫 ・ 加

p

・ 間 切 伎 町 民 f f ・

-h

n

a

n

H E w n w H T K C K 試料スラックスは,同一パターン(2-3項参照)を 用いて,伸長率・摩擦抵抗の異なる4種類の布で作成 した.さらに,それぞれのスラックスについて表面の 摩擦抵抗が異なるストッキング2種類と組み合わせ, 合計8通りの実験を行った. Table 2.に試料布の名称,素材等と伸長率を示す. なお,この場合の伸長率とは,幅1cm当たり 50gの荷 重をかけた時の値である. Table 3.にスラックスと ストッキングとを組み合わせたときの摩擦抵抗を示 す.この場合の摩擦抵抗とは,マネキンの足にストッ キングをはかせて水平におき,その上に直径7cmの円 形の試料布をのせ, 2g/cJrlの荷重をかけて足のたて方向 に試料布を引っ張ったときに布が動き出す時の力である. Table 2. Detail of the used fabrics Knitted Fabric or Woven Fabric Slacks① Tricot Stretch Direction One way Material Nylon 1000/0 Strain* (明) Warp(Wale) Weft (Course) 43 10 Slacks② Woven fabric (Tufta) Slacks③ Slacks④ W oven fabric Woven fabric (Flannel)

Non Two way Non

rayon 100% nu 明批判明一 n u n u 一 7 2 1 一

x

9 同

c

e

R 4 H U n ﹂ U 一

yon-V E -E ・ E ・ 司 4 A

-c

y

刻 一 A N 向 一 Wool100明 2 4 2 3

*

Strain was measured with the load 50g per lcm width. Table 3. The coefficientof friction The Static Frictional Resistance* Slacks① Slacks② Slacks③ Slacks④ Stocking(A) 39.2 24.2 99.0 118.4 (B) 69.7 56.5 165.1 184.9

*

The static frictional resistance was measured using the fabric of 43.96cJrlarea under the load 2g per lcJrlarea.The unit is gram. 2-3 スラックスの作成 スラックスは, Fig.lに示す文化式の基本型製図法 によるパターンを用い,ダーツ部分はギャザーに,ベ ルト部をゴムに変えて作成した. ←22.5cm

93.0cm Back Front Fig. 1. Pattern of the slacks

(3)

スラックスの運動機能性に及ぼす布の特性の影響 スラックスの縫製に際しては,伸びない布地の場合 測定値にかなりのばらつきが認められた.これらのこ には伸縮性のない縫い糸で本縫いとし伸縮性のある とを考慮した結果,静止立位の状態で片足を台の上に 布地の場合には縫い目部分にも布地と同様の伸縮性を 乗せ,その台を手回しによって機械的に上げる装置を 保つようにと,下糸には伸縮性のあるウーリーナイロ 作製した. ン糸を使用しジグザグ本縫いとした.また,スラック スを着用し膝曲げ運動をすると,スラックスは膝部で ずり上がり,この時縫い代部分がストッキングとこす り合わされるが,この縫い代部分の摩擦による抵抗を 避けるために縫い代は外側に出すように作成した. スラックスの膝頭相当位置周辺には,伸び量・ずれ 量を測定するためにFig.2に示す2.5cm x 2. 5cmの正 方形のマス目 8個を印した.

2-4

動作方法 動作としては,膝を曲げながら片足を上げるという 動きを採用した.先に述べたように清水らによって, 衣服圧は足の持ち上げ方・運動のさせ方によっても差

L-J

L

.

.

.

.

.

J

~:

Knee Point があることが明らかにされている.勾また,我々の予 Fig. 2. Measuring part of the slacks for the

備実験の結果においても,何ら制約を加えずに足を上 amount of slip and the amount of strain.

げさせると足の動きにむらが出て,そのため衣服圧の The height of ↑ lifting leg (cm) 0 Time (sec) 0 5 10 2 キ 2.5cm~ ~:Knee Point ~ ~ 15 お

I

5

→ 知

1

6

1

4

3 Fig. 3. The method of the lifting leg Fig.3に動作方法を示す.なお,実際に足を上げる である. ときの状態を想定して,つま先が下がりかかと部分か 2-5測定方法 ら上がるように,台には角度をつけた.運動速度は (1)衣服圧 5cm/秒,足上げの高さは30cmまでとした.なお, 被験者にストッキングを着用させ,衣服圧測定セン この場合の足上げの高さとは,かかと部分の台の高さ サー(豊田工機製)を静止立位時の膝部にストッキング

(4)

-47-の上からテープで貼りつけ,その上にスラックスを着 用させた.センサー受感部はスラックス側に向け,足 上げ運動時の衣服圧を連続的に測定した. (2)スラックスの伸び量・ずれ量の測定 スラックスの伸び量・ずれ量の測定に用いた写真と 展開図をFig.4に示す.図中の最下行の数字は足上げ 高さを示している.

Fig. 4. Photograph and the extend elevation the amount of slip and the amount of strain on the knee area without stopping the movement of the leg. (a) Photograph of the slacks (the knee area) (b) Photograph of the knee with the measuring tape (c) Extend elevation of the knee area 今回の検討では,伊藤らの報告3)ののように一定量 貼り付けたもの)を中心としてlcmのマス目を膝頭位 の動作毎に足を止めて衣服圧・伸び量・ずれ量を測定す 置周辺にっくり,写真撮影を行っておく (Fig.4(b)参 るのではなく,清水らの報告1)2)を重視して動作を止 照).そして,足上げ運動中のスラックスの写真 (a) めずに連続的に測定することを試みた. を同じ高さの時の素足の写真(b)に重ね合わせる。 衣服圧に関しては連続的に測定できるが,伸び量・ この時、素足の写真(b)には2mm間隔の目盛りがつ ずれ量については足の動きを止めずにメジャー等で計 いているので,この目盛りからスラックスのマス目の 測することは不可能である.そこで,動作を止めずに 変化を読みとることができるわけである.なお,伸び 伸び量・ずれ量を測定するために次のような方法を採 量は膝頭部分のマス目の大きさの変化から算出しず 用した.動作中のスラックスの膝部を真正面から写真 れ量は静止立位時にスラックスに印しておいた膝頭位 撮影し,その写真 (Fig.4(a)参照)を用いてスラック 置と素足の膝頭位置との距離から測定する. ス膝部の伸び量・ずれ量を読み取る方法である.しか ところで,素足の写真撮影を行う際に膝頭位置周辺 し,撮影した写真から平面上の距離を読み取ったので、 にマス目をつくるが,曲面体である足に対してマス目 は,足が曲面体であるため,正確な伸び量・ずれ量は のすべてのテープを直角に交差するように貼りつける 測定できない.そこで,次のような方法で伸び量・ず ことは厳密に言えば不可能である.ただし,立体曲面 れ量を測定した. をいったん平面展開図化することによって伸び量・ず まず,あらかじめ,足を5cm上げるごとに,基線 れ量を測定することはできる.そこで素足にテープを (2mm間隔の目盛りをつけたテープを,静止立位時の 貼り付けたマス自の状態を展開図 (Fig.4(c)参照)と 素足の膝頭位置で水平・垂直線が直角に交わるように して写し取っておき,膝頭位置周辺のマス目の写真

(5)

スラックスの運動機能性に及ぼす布の特性の影響 (b)から読み取った目盛りの値を展開図 (c)上に取 なお,今回のような素足の写真を用いる方法でス り,伸び量・ずれ量を測定する方法を用いた. ラックスの伸び量・ずれ量を測定できるのは,膝を軽 このような写真による測定法を用いたため,動作途 く曲げ始めた時から膝部とスラックスが密着するため 中に足を止めることなくスラックスの伸び量・ずれ量 であり,しかも布の厚さは無視できる程度と言えるた を測定することができるようになった. めである. 言 40 () a ω 時四

+"

5

20 0

E

句 ω ~

slacks②

slacks④ n u q 4 { E﹄ υ)C 一旬﹄判 ω 恥 O H C コ

O

E

悶 ω £ ト O N号 、、、

40 ω ‘ ー ω ω ω ‘ -a

g

>

20 ~ +" 0 0 0 ~ ト

10 20 30 The height of lifting leg (cm)

Fig. 5. The amount of slip

the amount of strain

and the c10thing pressure at each leg height Slacks Sample ②,④ Stocking : Sample (A)

3

.

結果と考察

よって運動機能性を補っていると考えられる.つま り,スラックス②は膝を曲げる動作によってずり上が りが生じているため,衣服圧が低くなっているわけで ある. このことを裏づけるために, Fig.6に4種類すべて のスラックスについて,摩擦抵抗の異なる2種類のス トッキングと組み合わせた比較結果を示す.すべての スラックスについて,滑りにくいストッキング (B) の場合,衣服圧が高くなっていることがわかる. Fig.5に,いずれも伸びないが摩擦抵抗の異なるス ラックス2種類の比較結果を示す.滑りやすいスラッ クス②は,滑りにくいスラックス④に比べて,ずれ量 が多く,衣服圧が低くなっている.膝を曲げると膝部 の皮膚が伸び,スラックス自体にも伸びが必要になる が,スラックスは裾の部分が拘束されていないため, たとえスラックス自体が伸びなくても,ずり上がりに

(6)

-49-"'E () 、、‘ OD Qi

40

-コ ω ω ω ‘ ・c.

g

>

20 Z

.

.

.

.

υ ω ..c. トー O

s

l

a

c

k

s

① 10 20 30

The h

e

i

g

h

t

o

f

l

i

f

t

i

n

g

l

e

g

(

c

m

)

s

l

a

c

k

s

ω

m

o

( 唱 ﹄ υ ¥ ω } @ ﹄ コ ω ω ω ﹄a o c

Z H O

υ ω ε

10 20 30

The h

e

i

g

h

t

o

f

iI

f

t

i

n

g

l

e

g

(

c

m

)

刊号 、、、 凶

40

ω

-コ ω ω ω

-a cl 20 c ..

.

.

.

.

c. o o Q)

o

o

:

S

t

o

c

k

i

n

g

(

A

)

:

S

t

o

c

k

i

n

g

(B)

s

l

a

c

k

s

② 20 30 10 制

5

340

0 コ ω ω Q) c. 20 cl C ..

.

.

.

.

c. O O Q) ~

0

The h

e

i

g

h

t

o

f

l

i

f

t

i

n

g

l

e

g

(

c

m

)

s

l

a

c

k

s

④ 20 10 30

F

i

g

.

6

.

R

e

l

a

t

i

o

n

b

e

t

w

e

e

n

c

l

o

t

h

i

n

g

p

r

e

s

s

u

r

e

a

n

d

t

h

e

h

e

i

g

h

t

o

f

l

i

f

t

i

n

g

l

e

g

The h

e

i

g

h

t

o

f

iI

f

t

i

n

g

l

e

g

(

c

m

)

また,スラックス③とスラックス④のように滑りに くいもの同士の比較では,当然ながら伸びにくいス ラックス④の衣服圧が非常に高くなっている.これ は,ス.ラックスの摩擦抵抗が大きく,ずれが起こりに くい場合には,伸びようとする力が働くわけである が,スラックス④はほとんど伸びないので衣服圧が高 くなっているわけである. 次に滑りやすいもの同士の比較であるが,スラック ス②はスラックス①に比べて伸びにくいにもかかわら ず,衣服圧が低くなっている.これは,どちらも比較 的滑りやすいとはし、え,スラックス②の方がより滑り やすく(スラックス①に比べ摩擦抵抗が約

0

.

7

倍),滑 ることによって伸びないことを補っており,その結 果,衣服圧が低くなったと考えられる. 伸びやすいもの同士の比較では,スラックス③はス ラックス①に比べて摩擦抵抗が大きく,滑りにくいに もかかわらず,衣服圧は低くなっている.これを布地 特性の面から詳細に検討すると,スラックス①はたて 方向のワンウェイのストレッチファブリックであり, スラックス③はツーウェイのストレッチファブリ ッグ であることが関係していると考えられる.つまり,ス ラックス①はたて方向によく伸び,しかも滑りやすい が,よこ方向にはあまり伸びないため,衣服圧が高く なるということである.膝を曲げながら足を 30cm上 げた時の膝部の皮膚の伸び率を測定してみると,ょこ 方向に比べ,たて方向の方が約 2倍よく伸びるという 結果であった.そのため,スラックスの場合でも,皮 膚の伸びと同様に,布地のよこ方向の伸び率よりもた て方向の伸び率の方が衣服圧に影響があると考え易い が,今回の結果からよこ伸びも重要であることがわ かった.後で詳しく述べるが,回帰分析の結果でも, 動作中の衣服圧すなわち運動機能性には,たて方向の 伸び率や摩擦抵抗だけでなく,ょこ方向の伸び率も関 係していることが明らかになっている. 次に,衣服圧とたて方向の伸び率,よこ方向の伸び 率,摩擦抵抗との関係を明らかにするために,単回帰 分析・重回帰分析を行った.それぞれの相関係数を

T

a

-b

l

e

4

.

に示す.今回の実験結果からは,いずれも有 意ではないが,たて方向の伸長率よりもよこ方向の伸 長率の方が衣服圧との相関係数は大きくなっている. さらに,摩擦抵抗の方が,たて・よこ方向の伸長率よ りも衣服圧との相関係数が大きい.また,重相関係数 について調べてみても,たて方向の伸長率と摩擦抵抗 を組み合わせるよりも,よこ方向の伸長率と摩擦抵抗 を組み合わせたものの方が相関係数が大きく, 1 "10 有意であることが認められた. n F

(7)

スラックスの運動機能性に及ぼす布の特性の影響 Table 4. Correlation coefficient betweenc10thing 以上のことより,スラックスの運動機能性には,た て方向の伸長率だけでなく,よこ方向の伸長率さらに は摩擦抵抗が大きく関係することが明らかになった. pressure and characteristic of fabric Warp Weft Static friction Correlation stram strain resistance coefficient

O

-0.24

O

-0.44

O

0.69

O

O

0.45

O

O

0.70

O

O

0.92**

O

O

O

0.96**

*

Significant level

<

0.05 次に,摩擦抵抗がスラックス膝部の衣服圧に影響す ることを明らかにするために,スラックスの膝頭位置 での布のずれ方の様子を写真撮影し,観察した(Fig.7 参照).この図は,いずれも伸びない布地についての ものであり,滑りやすいスラックスと滑りにくいス ラックスについて,足を30cm上げた状態を比較した ものである.膝頭まわり方向(水平方向)のスラックス の地の目は,滑りにくいスラックスの場合はよこ方向 になり,滑りやすいスラックスの場合はパイアス方向 になっていることがわかる.たとえ伸びない布地で あってもバイアス方向にはある程度の伸びがあるの で,膝頭まわりの布地は伸ばされやすい.従って,伸 びにくいスラックスであっても滑りさえあれば,衣服 庄は低くなるわけである.

*

*

:

Significant level

<

0.01

ム:

The knee point on the body. .. : The knee point on the slacks before the person lift the leg.

戸:

The movement of the knee point on the slacks when the leg is lifted.

++:

Horizontal direction of the knee girth. (a) In case of the fabric with smal1static frictional resistance (b)In case of the fabric with large static frictiona1 resistance Fig. 7. Figure of the knee part of the slacks when the leg is lifted up

(8)

-51-また,ずれ上がった結果,膝頭まわり方向(水平方 て,動作時の膝部にかかる衣服圧を布地の特性から検 向)の地の目がバイアスになった場合(Fig.8(a)参照) 討する場合,縦方向の伸びやすさだけでなく,横方向 は,ずれ上がらない時(Fig.8(b)参照)に比べて膝ま の伸びすさや摩擦抵抗も大きく影響していることがわ わりのゆとり量が増加しているということができる. かった. このゆとり量の増加ということも衣服圧が低くなる要 スラックス全体の運動機能性については,しゃがみ 因になっていると考えられる. 込み姿勢のときのヒップ部分にかかる力も大きく関係 Fig. 8. The real girth direction on the knee point with the leg is lifted up (a) In case of the fabric with small frictional resistance (b) In case of the fabric with large frictional resistance

4

.

要 約

スラックスの膝部の運動機能性について,動作中の 衣服圧と布地の伸長率・摩擦抵抗との関係を考察した. スラックスの布地の摩擦抵抗が小さいほど衣服圧は 低くなり,運動機能性はよくなる.しかし摩擦抵抗 が大きくても,ツーウェイストレッチ布の場合は衣服 圧が低くなり運動機能性はよくなる.このことは,一 般に膝曲げ時には膝部の皮膚の伸びがよこ方向よりも たて方向に大きいため,スラックスにもたて伸び、が最 も重要だと思われがちであるが,ょこ伸びもより重要 であることを示しているわけである.また,重回帰分 析の結果を見ても,衣服圧と摩擦抵抗および、たて伸ひ、 の二要因による重相関係数は小さく,相関係数は有意 ではない.それどころか摩擦抵抗およびよこ伸びの二 要因による重相関係数の方が大きく, 1 %有意で相 関関係のあることが認められる. 以上の結果から,スラックスの運動機能性につい している.また,今回は検討していないが,パターン 形状,ゆとり等の問題も重要である.それらについて も,検討を進めて行く予定である.なお,体型差,バ イアス方向の伸長率による影響については,継続して 検討中である.

文 献

1) 清水裕子,戸塚歌子,清水義雄:繊学誌 44, 502-510, (1988) 2) 清水裕子,戸塚歌子,清水義雄:繊学誌 46, 237-243, (1990) 3) 伊藤紀子,中谷文子,丹羽雅子,古里孝吉:家政 誌, 28, 360-365, (1977) 4) 伊藤紀子:家政誌, 30, 446-451, (1979) 5) 山田洋子,丹羽雅子,古里孝吉,伊藤紀子:家政 誌, 22, 438-445, (1971) 6) 吉村博子,石川欣造:家政誌, 37, 107-112, (1986) 7) 吉村博子,石川欣造:繊学誌, 39, T525-T531, (1983) 8) 文化服装学院『文化ファッション講座婦人服 2~ 文化出版局, pp.86-87(1984)

参照

関連したドキュメント

糸速度が急激に変化するフィリング巻にお いて,制御張力がどのような影響を受けるかを

ロボットは「心」を持つことができるのか 、 という問いに対する柴 しば 田 た 先生の考え方を

私たちの行動には 5W1H

手動のレバーを押して津波がどのようにして起きるかを観察 することができます。シミュレーターの前には、 「地図で見る日本

9 時の館野の状態曲線によると、地上と 1000 mとの温度差は約 3 ℃で、下層大気の状態は安 定であった。上層風は、地上は西寄り、 700 m から 1000 m付近までは南東の風が

この P 1 P 2 を抵抗板の動きにより測定し、その動きをマグネットを通して指針の動きにし、流

特定非営利活動法人..

⼝部における線量率の実測値は11 mSv/h程度であることから、25 mSv/h 程度まで上昇する可能性