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2018年度に神戸女学院大学で開催した高等学校理科教員による理科教職講演会 (2) ー理科教育法の授業の一環としてー

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Academic year: 2021

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(1)神戸女学院大学 教職センター 研究紀要 Journal of Center for Teacher Education, Kobe College. 第2巻 第2号,2019年3月 Vol. 2, No. 2,Mar. 2019. 2018 年度に神戸女学院大学で開催した 高等学校理科教員による理科教職講演会 (2) —理科教育法の授業の一環として— Lecture by High School Science Teacher Held at Kobe College in Academic Year 2018, Part 2 —A Part of Teaching Methods of Science Class— 宮田 理恵 a),中川 徹夫 b) MIYATA Riea), NAKAGAWA Tetsuob) a)神戸女学院中学部・高等学部 Kobe College Junior and Senior High School, [email protected], b) 神戸女学院大学 人間科学部 環境・バイオサイエンス学科 教授 Department of Biosphere Sciences, School of Human Sciences, Kobe College [email protected]. 要旨 2018 年 11 月 27 日,「理科教育法 II」の授業の一環として,神戸女学院中学部・高等学部 の宮田による理科教職講演会を開催した.演題は, 「私の生物学研究・教育の取り組み」であ り,3 年生 6 名,1 年生 1 名,4 年生 1 名の計 8 名が出席した.理科の授業を通じて,(1) 身 の回りの科学現象が自然界のルールでどのように説明できるかを学ぶことで,新たな視点 を獲得し,現象の存在に気付く力を養い,(2) 私たちと密接に関わる病気や環境問題などへ の理解や考えを深化させ,判断力を養って欲しいと考えている.本講演では,このような 想いに基づいた授業実践の事例を紹介した.また,教員自身も科学現象に対する強い探究 心を持ち,楽しみながら実験や観察を続けることの意義についても述べた.いずれの受講 生も,真剣かつ熱心に聴講した.講演会の感想からも,多くの受講生が,生涯学び続け, 研究活動を継続させることの重要性を理解し,成果が認められた. キーワード:生態学教材, 理科教職課程,理科教職講演会,理科教育法 Key words: teaching materials in ecology, science teacher-training course, lecture by science teacher, teaching methods of science. 7.

(2) 神戸女学院大学 教職センター 研究紀要 Journal of Center for Teacher Education, Kobe College. 第2巻 第2号,2019年3月 Vol. 2, No. 2,Mar. 2019. 1 はじめに 著者の一人である神戸女学院大学の中川は,これまで環境・バイオサイエンス学科およ び人間科学専攻環境科学分野の教職課程を履修する学生・院生を対象に,理科教職講演会 を開催してきた.そしてその講師を,高等学校の理科教員に依頼した.これまで開催され たいずれの講演会も,参加者から高く評価する感想が寄せられ,有意義な内容であった. それらの概要と成果については,すでに本誌で紹介した 1).2018 年度も継続して理科教職 講演会を,理科教育法 II(後期開講)の授業時間内に 2 回,教職実践演習の授業時間内の 1 回開催した.いずれの講演会も,授業の一環として位置づけており,講演会の内容に関する 設問を期末試験問題やレポートの課題として課している. 本論考では,著者の一人である神戸女学院中学部・高等学部の宮田が,講師を担当した 理科教職講演会について紹介する.今回の講演会は,理科教育法 II の授業時間内に実施し た.理科教育法 II は 3 年次後期に開講され,この授業では,中学校,高等学校理科の現行 の学習指導要領の概要,学習指導案の作成方法,理科実験における安全指導,理科に関す る教材の紹介,中学校・高等学校理科に関する模擬授業など,中学校や高等学校で理科を 指導する際に不可欠な内容を取り扱う.理科教育法 II の授業を担当する中川は,京都府立 高等学校に 11 年間理科教員として奉職し,その傍ら管理職である勤務校の校長の許可を得 て,大学院博士後期課程で物理化学の研究に従事し,博士号を修得した.その際,高等学 校で理科を指導するには,指導者である教師自らが生物学や化学などの理科に関する専門 的な知識を有することに加えて,自らも研究者としてその分野の研究に従事した(あるい は,現在も従事している)経験が,極めて重要であると考える.教員に研究歴がなければ, 現在の理科の授業で重要視されている探究活動や課題研究のような,生徒が自発的に課題 に取り組むような指導を行うことは,まず不可能といっても過言ではない. 高等学校理科の探究活動や課題研究を,直接理科教員が指導せずに,大学などの外部講 師に委嘱しているところもあると聞く.中には,外部講師が教室に入り,講師の紹介が済 み,これから授業が始まろうとする時に,他教科の教員と同時に,理科教員までもが中座 したという常識では考えられない事例を耳にしたことがある.探究活動や課題研究は,本 来,理科教員が自らの研究経験を活かして生徒に指導すべきものであり,それを学校現場 で実行するのが,理科教員の使命であろう.そこで,今回の講演会の演題(テーマ)を, 「私の生物学教育・研究の取り組み」とした. なお,今回講師を担当した宮田は,すでに 2016 年度および 2017 年度にも,理科教育法 I・II や教職実践演習の授業で実施した理科教職講演会の講師を担当している 1). 2 理科教職講演会開催の準備 理科教職講演会を実施するにあたり,まず.講師の選出と依頼を行う必要がある.中川 は,これまで主として科研費により,マイクロスケール実験教材の開発と改良に取り組み, 現在もこのテーマで研究を継続させている.その際,高等学校や大学に勤務する教員にも. 8.

(3) 神戸女学院大学 教職センター 研究紀要 Journal of Center for Teacher Education, Kobe College. 第2巻 第2号,2019年3月 Vol. 2, No. 2,Mar. 2019. 研究協力者として協力を依頼している.神戸女学院中学部・高等学部教諭の宮田は,科研 費の研究協力者の一人として参画している.2014 年度には,酵素反応に関するマイクロス ケール実験の授業を勤務校の担当クラスで実践し,その成果を報告した 2).宮田は,理科 教諭として生物,化学の授業を担当する傍ら,専門の植物生態学の研究にも取り組んでい る現役の研究者でもある.そのようなことから,中川は宮田が本講演会の講師として適任 と判断し,講師を依頼した.承諾を得た後,直ちに講師派遣依頼状を用意して,宮田と勤 務先の長である神戸女学院中学部・高等学部長へ提出した.さらに中川の勤務先の学部事 務室である人間科学部事務室へも,講演会を開催する旨を伝えるとともに,理科教育法 II の履修者以外にも,授業でのアナウンスや掲示を通して,講演会への参加を促した. 3 理科教職講演会の内容 宮田が講師を勤める理科教職講演会は,2018 年 11 月 27 日 5 限(16:40-18:10)に,中川が担当 する「理科教育法 II」(3 年次配当科目)の授業 時に,授業の一環として実施した.講演会の演題 (テーマ)は, 「私の生物学研究・教育の取り組み」 である.参加者は授業の受講者である 3 年生 6 名 以外に,聴講を希望した 1 年生 1 名,4 年生 1 名 の計 8 名である. 当日のプログラムを図 1 に示す. 司会進行は,中川が担当した. 講演者の宮田は,自らの経験から理科の授業を 通じて,(1) 身の回りで起こっている科学現象が 自然界のルールでどのように説明できるかを学 ぶことで,新たな視点を獲得し,現象の存在に気 図 1 理科教職講演会のプログラム 付く力を養い,(2) 私たちと密接に関わる病気や環 境問題などへの理解や考えを深化させ,判断力を 養って欲しいと考えている.本講演では,このような想いに基づいてどのような授業を実 践しているかを紹介した.また,教員自身も科学現象に対する強い探究心を持ち,(多忙 ではあるが)楽しみながら実験や観察を続けることがどのような意味を持つかについても 述べた. 講演では多く触れられなかったが,なぜ理科を学ぶのかについて,生徒達と話をする際 に,(当たり前のことではあるが)著者が伝えるように心掛けていることを整理しておき たい.自然科学は再現可能な実験・観察や測定によって自然界のルール,つまり普遍的な 真理を追究する学問である.自然科学を学ばなければ,つまり,自然界のルールを知らな ければ,私たちの身の回りに起こっている現象や技術はただ存在するだけに留まってしま う.しかし,自然界のルールを知れば,科学現象や技術を深く理解できるだけでなく,物 の見方が変化し,新たな現象の存在(研究対象の存在)に気づくようになるかもしれない.. 9.

(4) 神戸女学院大学 教職センター 研究紀要 Journal of Center for Teacher Education, Kobe College. 第2巻 第2号,2019年3月 Vol. 2, No. 2,Mar. 2019. また,人間をヒトという生物として理解することで,人間と関わる病気や環境問題,原子 力発電などのエネルギー問題などに対する向き合い方や判断を変えるかもしれない.さら に,自然科学を学ぶことで,長い時間をかけて人類が自然界のルールを発見し,幾度とな くそれらを覆しながら叡智を積み上げてきたこと,そして,現在の社会が叡智の上に存在 することを学ぶことができる.それだけでなく,私たちの未来を予測する貴重な材料にも なる. まず,著者が生物学を志した背景と大学・大学院で修得した学問領域を紹介した.著者 は就学前から生物に関心を抱き,高校時代は生物部とワンダーフォーゲル部に所属したこ ともあり,特に植物への関心が強くなっていった.登山中に出会ったコバイケイソウ(山 地や亜高山の湿地や草地に生育する多年生草本)の一斉開花,風衝地と雪田地の植物群落 の違い,植生の垂直分布,普段の生活の中で気になっていた葉柄の傾きと受光効率の関係, 葉の展葉様式などに興味を抱き,図書室で関係する書籍を片端から読んでいた.振り返れ ば高校時代には既に植物生態学(現在の著者の専門分野)の世界へと一歩踏み出していた のかもしれない.そして,迷うことなく理学部生物科に進学した.大学では生態学を学ぼ うと意気込んでいたが,もちろん生態学だけを扱う生物科などなく,分子生物学,生化学, 生理学,生態学,進化学,分類学など,生物学に関するミクロからマクロまで幅広い学問 領域を学んだ.入学当初はミクロ分野への興味が薄かったが,講義が大変興味深かったこ ともあり,頻繁に担当教員の研究室に押しかけては質問をしていた.学年が上がるにつれ て,生態学を深く理解するためには生物学の多様なスケールの基礎知識が必要であること を強く実感した. 学部の卒業研究から博士後期課程まで植物生態学を専門領域とし,大学院以降は樹木の 成長と枝葉特性の関係について,樹種間での共通性と多様性に着目した研究を継続してい る 3), 4).大学院では,新しい研究課題の抽出・構築や深化・発展のために周辺領域の知識や 技術の修得に励んだ.もちろん現在も研究のために継続している.周辺領域として植物生 理学・形態学,統計科学,同位体科学,林学,土壌学,古気候学,プログラミングなどが 挙げられる.これらの領域を学ぶ上で,大学時代に分子生物学や生理学,生物学以外の科 学領域を(当然のことだが)十分に学んでおいて良かったとつくづく感じた.このように 多様な学問領域の知識や技術の修得は研究だけでなく,教員として授業を構築・実践する 上で非常に重要な基盤となっている.教員になってからは生物学だけでなく化学,物理学, 地学についても大学での学びを復習し,深められなかった分野の修得に励んでいる.教員 としての学びが新たな視点の獲得につながり,植物生態学の研究や教材研究に活かされて いる.教員になると決心した頃には思いもしなかった好循環が生じている. 未知なる世界を自身で解明する研究に非常に魅力を感じる一方で,大学院生の頃から生 態学教育への関心を持ち始めた. 著者が所属する日本生態学会の専門委員会の一つである, 5) 生態学教育専門委員会 主催の生態学教育に関するフォーラムが年次大会で開催されてお り,そこでは中等教育における生態学教育の充実化を図ろうという議論が盛んに行われて いた.その一方で,参加した中等教育現場の教員からは生態学を教えることの難しさが訴 えられていた.そのような教員を支援するべく一部の研究者達による教材開発・提供が進. 10.

(5) 神戸女学院大学 教職センター 研究紀要 Journal of Center for Teacher Education, Kobe College. 第2巻 第2号,2019年3月 Vol. 2, No. 2,Mar. 2019. み始めた頃,博士後期課程の大学院生だった著者は教育現場が抱える課題を体感し,自身 の経験を活かして生態学教材の開発・実践・提供に貢献したいと考えるようになった.研 究職を目指すか,教員になるか,数年悩んだ末に学位取得後に中等教育の生物教員として 現場に飛び込む決心をした. 教員になってからは,樹木に限らず,草本,土壌生物,水生昆虫などを対象に教材開発 を続けている. 予備調査や実験を始めてから短時間で授業実践に持ち込める教材もあれば, 数年がかりの教材もある.残念ながら,未だ日の目を見ずにいるネタもあるが,諦めず開 発を続けている.著者が所属する神戸女学院は敷地面積 14 ha のうち 3 割が森林で,生態 学を学ぶために最適な環境が教室のすぐそばに広がっている.森林の大半は照葉樹林で, アカマツ林も一部に存在する.この贅沢な自然環境を利用すれば,多様な生態学実習を実 践できる.ただ,このような環境は稀であるため,典型的な校庭を持つ多くの学校で「真 似できる」生態学教材の開発を心掛けている.本講演では所属校の環境を活用した実習も 紹介したが 6),ここでは他校でも実践可能な実習を紹介することにする. 一般に,動物は餌を求めて動き回れるのに対して,植物は定着後にその場所から移動で きない.そのため,植物は生育環境に合わせて光合成を行い,成長し,子孫を残す戦略を もっている.例えば,生育地の違い,成長段階の違い,季節などによって光環境は変化す るため,植物は茎の張り方,葉の厚み,葉肉細胞の並べ方などの形質を変化させる.つま り,多様なスケールの形質を環境に適応したものに変化させることにより,植物個体の生 存・成長・繁殖を可能にしている.水分や栄養塩,温度などの環境要因の違いに対しても 植物はうまく応答している. このように植物も動物と同様に動的で,興味深い生物であると言える.しかし,高等学 校の生物では植物の基本構造を顕微鏡観察によって学ぶことが多く,「動く」動物と比べ て,植物に関心を持つ生徒が少ない.また, 植物の構造・機能・環境応答を組織や器官ス ケールで学ぶことは多いが,個体・ 個体群スケールは実習実践が難しく,実感をともない にくい.さらに,細胞から個体群スケールを横断して「植物」という生物の統合的な理解 が進んでいない.これらの課題の理由として,個体や個体群を対象とする実習教材が稀少 であること,多くの教員が生態学実習の経験が浅いため実習教材の実践や開発に消極的で あることなどが挙げられる.これらの課題を解決するために,上記のような植物の環境応 答を多様なスケール(細胞,組織,器官,個体,個体群)を横断して学ぶ教材が適切であ ると考えられる.しかし,広い圃場がない学校では個体・個体群スケールの環境応答を調 べることは困難であるため,植木鉢や発泡スチロール箱などを用いた実習教材が必要であ る.また,環境要因の制御に費用や手間がかかる場合,学校現場での実践は敬遠されると 考えられるため,制御が容易な環境要因の抽出は必須である. これらの問題点に配慮し,高等学 校生物におけるスケール横断的な植物の環境応答の教 材化を目指して研究を行った.ここでは野外実験の概要を整理しておく.同じサイズの苗 ポットに 1 個体,5 個体のハツカダイコンを育てたものをそれぞれ用意し,前者では個体 スケールの環境応答,後者では個体群スケールの環境応答の抽出を狙った.両スケールに おいて,環境要因(土壌栄養塩の種類,土壌水分,光強度,気温)を制御した苗ポットを. 11.

(6) 神戸女学院大学 教職センター 研究紀要 Journal of Center for Teacher Education, Kobe College. 第2巻 第2号,2019年3月 Vol. 2, No. 2,Mar. 2019. 用意した.成長後,ハツカダイコンのさまざまな形質(地上部と地下部の乾燥重量,着葉 数,葉面積,気孔密度など)を測定し,スケール内,スケール間で環境応答を比較した. 詳細な解析結果はこれからまとめるところである. 著者は時間の許す限り,多くの科学現象を見て,感じて考え,わからないことを実験や 観察で明らかにしたいと思っている.生徒達から出された疑問に飛びつき,放課後などを 利用して一緒に実験や観察をしたことも何度となくある.このような著者の姿を見て生徒 達が何を思うか尋ねたことはないが,「いつも楽しそうですね」,「また調べたいことを 見つけたのですか」などと声をかけられることが頻繁にある.高校時代,著者は研究活動 を続け,楽しそうに研究内容を語る教員たちを見て,自身もあのように学問を楽しみたい と思っていた.好きなことを続ける筆者の姿を見て生徒達も高校生の筆者と同じように感 じてくれていたら,著者が専門研究と教材研究を続けることに意義があるだろうと考えて いる. 4 理科教職講演会の成果—受講生の感想より—. いずれの受講生も,とても真剣かつ熱心に聴講した.講演会の最後に,時間を確保して 講演会の感想を記述させた.その一部を,以下に紹介する. ・ 私は植物に興味があり,この講演会に参加しました.今日の話を聞いて,まずはもっ といろんな植物を見ないといけないと思いました(1 年). ・ 中高等部の先生だけでなく,研究も続けられていることに,すごく驚きました.自分 が学び続けることで,生徒に還元できることを忘れず,自分も教師になったときにし て行きたいです(3 年). ・ 研究内容はとても興味深い内容でした.研究しながら教員としても勤務するというの も,時間も大変なのに凄いと思いました(3 年). ・ これらの実習ができるのは,先生自身が,学ぶ意欲があるから.また,幅広い分野を 知っているからことなのだと感じました(3 年). ・ 私が中高生の時には,あまり野外での実習や自分で解析するということはなく,強く 印象に残る実験はなかったので,今回のお話はとても興味深かったです(3 年). ・ 宮田先生が教員になろうとした理由を聞けて良かったです.やはり,研究は楽しいで すし,やりがいがあるので,ずっと続けて行きたいです(4 年).. 12.

(7) 神戸女学院大学 教職センター 研究紀要 Journal of Center for Teacher Education, Kobe College. 第2巻 第2号,2019年3月 Vol. 2, No. 2,Mar. 2019. これらの感想より,多くの受講生が,理科教員にとって生涯学び続け,研究活動を継続 させることの重要性を理解したと判断でき,教職講演会の成果が認められた.今回の出席 者のうちの数名は, 卒業後に中学校や高等学校の教諭や講師として教壇に立つ予定である. 彼女たちが理科の授業を担当し,探究活動や課題研究を指導する際,本日の講演会で学ん だ内容を役立ててくれることを切望する. 5 おわりに 中川が担当する理科教育法 II の授業時に,環境・バイオサイエンス学科で教職課程を履 修する学生を対象にとした理科教職講演会を実施した.神戸女学院中学部・高等学部の宮 田が講師を勤め,「私の生物学研究・教育の取り組み」という演題で講演した.講演後の受講 生の感想からも,有意義な内容であったと推察される. 将来,今回の講演会の出席者から,自らが現役の研究者であり,研究者の証である博士 号を修得し,研究活動の醍醐味を生徒に教示し,研究活動で得られた成果を活かした教材 研究のできる理科教員を輩出できれば,著者らにとって望外の喜びである. 時折,巷では,研究者になれなかったから教員になったという声を耳にする.生徒にと っては,迷惑千番な話だ.校種にかからず,教育と研究は表裏一体である.研究活動を通 して,自らが研究の面白さを体得し,その経験を活かして授業を構築するのが,本来の教 育者の有るべき姿ではなかろうか. 物理学者で随筆家の寺田寅彦は, 指導した学生のうち, これから高等学校の教員として教壇に立つ者に,線香の火を消してはならないと諭したと いう 7).至言である. 文献 1) 中川徹夫, 「神戸女学院大学理科教職課程履修者への実践指導 (2) —教職オリエンテー ションと大学院説明会—」,神戸女学院大学教職センター研究紀要,1(2), pp. 59-68 (2018). 2) 宮田理恵,中川徹夫,「ウェルプレートを活用した酵素反応の教材開発と授業実践」, 神戸女学院大学論集,62(1),pp. 153-161 (2015). 3) Rie Miyata, Takuya Kubo, Eri Nabeshima and Takashi S. Kohyama, “Common allometric response of open-grown leader shoots to tree height in co-occurring deciduous broadleaved trees”, Annals of Botany, 108(7), pp. 1279-1286 (2012). 4) Rie Miyata and Takashi. S. Kohyama, “Light-exposed shoots of seven coexisting deciduous species show common photosynthetic responses to tree height”, Oecologia, 182(2), pp. 373-383(2016). 5) https://sites.google.com/site/ecolgidebooksite/home (2019 年 2 月 2 日確認) 6) 宮田理恵, 「中等教育における生態学実習の実践(生態学教育の今と未来(3))」,日 本生態学会誌,68(3),pp. 241-248 (2018). 7) 中谷宇吉郎, 「線香の火」,中谷宇吉郎随筆集,樋口敬二 編,岩波書店,pp. 273-275 (1988).. 13.

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