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看護学生のアダルトチルドレン特性とバーンアウト症候群との関連

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Academic year: 2021

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(1)          . 川崎医療福祉学会誌   原  著. 看護学生のアダルトチルドレン特性と バーンアウト症候群との関連 新山悦子½   塚原貴子½   笹野友寿¾. 要     約.  名を対象にアダルトチルドレン(

(2)   ;以下,

(3)  と略記)特性とバーンア ウト(   ;以下, と略記)との関連を明らかにするために ,自記式質問紙調査 を実施した .その結果, の平均値は (   )であり,燃え尽き度は先行研究よりも燃え 尽き傾向 うつ状態の者が多かった .また

(4)  特性の平均値は   ( ! ! )であり ,

(5)  特性 のカットオフポイントであると指摘されている点以上の者が ! "であった .

(6)  特性から  が出現するという仮説のもと ,

(7)  特性が  をどの程度予測し うるかを調べる ため ,

(8)  特性を独立変数, を従属変数として単回帰分析を行なった .その結果,

(9)  特性から  への影響については ,連続性を積極的に支持することができ,本研究の仮説をほぼ支持するもの 看護学生. と考えられた .特に「私は情け容赦なく自分を批判する」 「私は何でも楽し むことができない」 「私は 自分のことを真剣に考えすぎ る」 「私は他人と親密な関係を持てない」 「私は自分が変化を支配できな.  項目が  得点と関連が強かった .

(10)  特性は  を導き,さらに自尊感情の低下と関連がある可能性が示唆された .. いと過剰に反応する」の. 学生の. はじめに.  を十分検討できているとは言い難い.. ところで笹野・塚原  は ,わが国の看護学生にお. 近年 ,看護学生の約  割がバーンアウト 症候群  # ;以下, と略記)であると 報告されている  .とは,$%#%によると「心的. &"がアダルトチルドレン(

(11)    ,

(12)  と略記)特性を持っていることを明らかに した.

(13)  特性とは,アルコール依存症の家族の中で 子供時代を送った大人たちを指す(

(14)    '

(15) # ,以下

(16) 

(17) と略記).しかし現在は, いて約. (. 以下. エネルギーが絶えず過度に要求された結果,極度の 心身の疲労と感情の枯渇を主とする症候群であり, 卑下,仕事嫌悪,思いやりの喪失」 と定義づけられ. 「両親の仲が悪いけんかの絶えない家族」 「両親の離.  は,単に学生だけの問題ではなく,患者. ている.. 婚」 「親の死別」等の「機能不全家族」の中でトラウ. に対するケアの質を左右する重大な問題であり,適. マを経験し ,特徴的な性格,行動特性を身につけて.

(18)    ' #'% (% ,以下

(19)  と略記)もまとめて「

(20)  特. 切なメンタルヘルスサービ スは重要な課題である. 従来の看護学生における. 大人になった人(.  の要因として,膨大. な実習記録の多さ  や実習中のカンファレンスでの. 性」と総称している.細見  らは ,看護師における.

(21)  特性に特徴的な性格,行動特性である共依存傾 向と  との間に密接な関係があることを指摘して. 実習計画の発表  などが報告されている.さらに看.  を経験しやすい個人要因とし. 護師においては ,. て ,ソーシャルサポートの有無  ,ストレ ス認知・. いる.また塚原・新山  は ,看護学生の外傷的出来. コーピング  ,理想,希望,期待感が高く,完全主. 事として, 「両親の離婚」 「親の不仲」 「親との死別」. 義,徹底主義,妥協を拒む性格,責任感,使命感が強. 「 父親から母親への暴力」があることを明らかにし.

(22)  特性を持つ看護学生  を経験しやすいことが予測できる .しかし , 看護学生の

(23)  特性と  との関連についての報告. く献身的であることが指摘されている  .しかし ,. ている.これらのことから. これらの報告の対象はほとんどが看護師であり,看. が. 護学生の個人の脆弱性に関する報告は少なく,看護.  川崎医療福祉大学  医療福祉学部  保健看護学科   第一福祉大学 倉敷市松島   川崎医療福祉大学 (連絡先)新山悦子   〒  . .

(24) . 新山悦子・塚原貴子・笹野友寿. は見当たらない..  に陥りやすい看護師の傾向分. また稲岡  は ,. 析において,上司や患者から認めてもらいたいとい う欲求を強く持ち,他人からの無視には耐え難いよ.

(25)  特性得点とされた .  ) の評価には ,-#

(26) . /%'   によっ て作成された  尺度の日本語版を使用し た .こ. らともいえない, :いいえ )で評定され ,合計点 が. うな人で ,他人からの評価を生きがいにしている人. れは ,稲岡  によって邦訳されたもので身体的疲. であると指摘している .この性格傾向は ,. 弊( 例えば ,疲れやすい ,気が弱くなる),心理的. に特徴的な性格と類似している.上記のことも合わ. 疲弊( 例えば ,気がめいる,投げやりの気持ちにな. せると ,看護学生の. る),精神的疲弊(例えば ,自分が嫌になる,まわり.

(27)  特性.

(28)  特性と  は関連がある. ことが予測できるが ,先で述べたように看護学生の.

(29)  特性と  との関連についての報告は見当たら $%#%  は「事前に労働環境に対する知識. の人に対して幻滅感や憤りを感じる)の.  つの観点. 階で教授すべきである」と述べており,看護学生に. 項目であり,信頼性,妥当性の確認が十. 件 法(  :まったくない :いつもある)にて回答を 求めた .またこの尺度における得点は ,

(30) 0( −  )1の算定式を用いて計算された .この式の

(31) には

(32) 項目(  ,  , ! ,  ,  , )の回答数 字の合計点, には  項目(  , & , , )の回. 対する. 答数字の合計点を代入して算定される.このように. ない.. を得たうえで自己洞察を安全に深め,自分の気持ち をコントロールすることができ,他人との情緒的な 相互作用をバンド ルできるような能力を培うことが.  の予防に必要であり ,その技術を専門学校の段  の予防について学校現場で教育していく. からなる. 分に行われている.本研究においては ,これを. との関連と ,.  点:精神的に安定し  点:  の兆 候がある,! 点以上:  に陥っている,. つ学生が. 点以上:臨床的にうつ状態であること示す.. ことが必要であると考える. したがって本研究は ,看護学生の.

(33)  特性と .

(34)  特性の中でもど のような特徴を持.  になりやすいのかを明らかにすること. により,看護学生におけるストレス低減の基礎資料 とすることを目的とした .. 方. して計算された得点は ,. 心身ともに健全である,. -  + を用いて単回帰分. なお分析は , 析を行った .. 法. 結.  .対象者と調査実施時期.

(35). 対象者は, 県内の看護学生で同意が得られた. .  名( 有効回答 " )が分析対象とされた .調査実施時期は ,  !年 月であった . 名であった .そのうち有効回答者 率.  .調査方法 上記の対象者に対し ,自記式質問紙調査を実施し. 果.  の平均値は(   ),

(36)  特性の平均   ( ! ! )であり,

(37)  特性のカットオ フポイントとして指摘されている点以上の者は ! 名( ! " )であった(図  ).さらに燃え尽き度を 図  に示す . 「精神的に安定し 心身ともに健全であ る」は  名( " ) , 「  の兆候がある」は !名 (  " ) 「 , に陥っている」 は &名 ( ! " ) 「 ,臨 床的にうつ状態である」は 名( " )であった. 値は. た .調査方法は ,まず調査者が対象である看護学生 に対し ,調査への協力依頼をした .倫理的配慮とし て ,回答は無記名,かつ自由意志であり,回答しな くても回答者が不利益を被らないこと ,回答の途中 で止めてもよいこと ,結果は授業評価には反映しな いこと ,プライバシーは保護されること ,本調査結 果を研究的に分析すること ,質問紙は研究終了後に 調査者が責任をもって破棄すること等を口頭で説明 した.また回収は ,調査者が行った . 以下に質問紙の構成を示す..  )

(38)  特性の評価には ,

(39)  尺度を用いた .これ は )* +,   が著書に記載し ,緒方  が訳 . したものを先行研究  で作成,使用されている.回 答は ,各項目について  件法(.  :はい,  :ど ち. 図. 看護学生における燃え尽き度.

(40)  特性と  の関連を検討するために,

(41)  特性得点と  得点を散布図にて確認した(図  ). 次に. さらにピアソンの積率相関係数にて検討した結果 ,.

(42) . 看護学生のアダルトチルドレン特性とバーンアウト症候群との関連 表.  特性と  の相関(  ).  3 2  ),「私は他人と親密な 関係を持てない」 ( !32  ) , 「私は自分が変化 を支配できないと過剰に反応する」 ( !32  ) の  項目が  得点と関連が強かった . 最後に

(43)  特性から  が出現するという仮説の もと ,

(44)  特性が  をどの程度予測しうるかを調べ るため,

(45)  特性を独立変数, を従属変数として単 回帰分析を行なった .結果を表  に示す.回帰直線 は 4 ! 50  であり,(  ( 2  ) で 重相関係数も有意であり,決定係数は!であった.. に考えすぎる」 (. 表. 図.  と  における単回帰分析の結果. 考.  の度数分布表. 察. 本研究の目的は ,看護学生の.

(46)  特性と  との. 関連を明らかにすることであった ..

(47)  特性から  が出現するという仮説のもと ,

(48)  特性が  をどの程度予測し うるかを調べるた め ,

(49)  特性を独立変数, を従属変数として単 回帰分析を行なった.その結果,

(50)  特性が  を 導くという仮説を支持する結果が得られた .すなわ.

(51)  特性から  への影響については ,連続性. ち,. を積極的に支持することができ,本研究の仮説をほ ぼ支持するものと考えられる..  . の特徴について 本調査における 図.  特性と  の散布図. &&( 2  )であり,比較的強い相関 がみられた(表  ).特に「私は情け容赦なく自分を 批判する」 ( ! 32  ) 「私は何でも楽しむことが できない」 (  3 2  ) , 「私は自分のことを真剣 相関係数は.  の平均値は(  . ). であった .これは北條  の結果よりもやや低く,岡 ら  の結果よりもやや高いものであった .さらに 松田  ,斉藤・稲岡  の看護師における.  の得. 点よりも高いものであった .さらに燃え尽き度をみ ると ,精神的に安定し 心身ともに 健全である者が. " , の兆候がある者が  " , に陥っ ている者が ! " ,臨床的に うつ状態である者が.

(52) . 新山悦子・塚原貴子・笹野友寿. "であり,先行研究よりも燃え尽き傾向うつ.   + のいう,低い自尊感情に伴う自分や他. 状態の者が多いことを示していた .これらの結果よ. 人の批判,自分の喜びの否定,自己の重要性感覚の. り,今後,学生指導をしていく上で憂慮すべき実態. 誇張,人間関係の障害である   .中でも「私は自分. であると言える.. が変化を支配できないと過剰に反応する」は.

(53)  特. 性の特徴的である共依存の代表的な障害である.つ.  . 特性の特徴について. 本 調 査 に お け る

(54)  特 性 の 平 均 値 は   ! ! ),であった .さらに

(55)  特性のスクリー ニングのラインであると指摘されている点以上の 者が !名( ! " )であった.これらは先行研究 . (. よりも高い値であった ..

(56)  特性得点が 点以上の者は. 笹野・塚原  は ,. まりこれらのことから.

(57)  特性は ,うつ状態である.  になりやすいことが明らかになった .さらに狭 義の

(58)  特性である

(59) 

(60) のみならず,広義の

(61)  特性である

(62)  もうつ状態から自尊感情が低下 することが明らかになった . また本研究において ,看護学生の.

(63)  特性と . の関連が明らかとなった .新山・佐藤  によると.  との関連は弱かった. 精神科医や臨床心理士の専門的なカウンセリングを. 看護師のト ラウマ反応と. 受けることが望ましいことを指摘している.今後の. が ,今回は強い関連が認められた .原因として,思. 看護教育においては. 春期以前の外傷体験と成人してからの職場の外傷体.

(64)  特性を考慮し ,看護教員の. みならず他職種の専門家とチームでこのような学生. 験の違いが考えられる.今後,これらの学生に対し ,. に関わっていくことが必要である.. 何らかの教育プログラム作成が必要であると考える が ,まず.  . 特性と  について.  と実習による外傷体験との関連等を究. 明していくことが必要であると考える.. 本研究においてピアソンの積率相関係数にて検討 した結果,相関係数は. &&( 2  )であり,比較

(65)  特性を独立変. 的強い相関がみられた .さらに.  を従属変数として単回帰分析を行なった結

(66)  特性から  への影響については ,連続性. 数, 果,. を積極的に支持することができ,本研究の仮説をほ ぼ支持するものと考えられた . 本調査においては ,特に「私は情け容赦なく自分 を批判する」 「私は何でも楽しむことができない」 「私. 結. 語.  . 本 調 査 に お け る  の 平 均 値 は (   )であった .  . 本調 査に おけ る

(67)  特 性の 平均 値は  ( ! ! )であり,

(68)  特性得点が 点以上 の者は !名( ! " )であった .  .

(69)  特性尺度の中でも特に「私は情け容赦な. は自分のことを真剣に考えすぎる」 「私は他人と親密. く自分を批判する」 「私は何でも楽しむことが. な関係を持てない」 「私は自分が変化を支配できな. できない」 「私は自分のことを真剣に考えすぎ. いと過剰に反応する」の.  項目が  得点と関連が.  に陥ると気分の不安定さや抑. 強かった.南は ,. うつ感情を呈し ,自尊感情が低下すると指摘し ,さ らに「燃えつき」とはある種のうつ状態であると考 えられると述べている   .また. # 6   は ,. 6 といううつ病評価尺度を用いて ,狭

(70)  特性はうつ状態が強く,自己評価が低いと 報告している   .上記の  項目は ,% ,) .. る」 「私は他人と親密な関係を持てない」 「私 は自分が変化を支配できないと過剰に反応す.  項目が  得点と関連が強かった . ! .

(71)  特性を独立変数, を従属変数として単 回帰分析を行なった結果,

(72)  特性から  る」の. ベックの. への影響について連続性を積極的に支持する. 義の. ことができた .. 文       献.  )北條かおる:看護学生の意欲の実態とそれに関連する要因の検討  当校における  の実態調査より ,第  回日本看護学会論文集  看護教育,

(73)  ,  . ) : ,  , ( ),

(74) ,  . )北島謙吾,石井京子:看護学生のストレスマネジメント研究 !! ,藍野学院紀要,第  号,"

(75) #" , .. " )南裕子,山本あい子,太田喜久子,井部俊子,上泉和子,西尾鏡子:看護婦のもえつき現象とストレスおよびソーシャ ルサポートの関係について ,聖路加看護大学紀要, ,  .. # )近澤範子:看護婦の  に関する要因分析  ストレス認知,コーピングおよび  の関係 ,看護研究,.

(76) 看護学生のアダルトチルドレン特性とバーンアウト症候群との関連. . ( ),

(77) # ,  .  )稲岡文昭:燃えつき症候群に陥った看護婦の傾向分析から ,看護学雑誌, ( ),

(78) , " .. )笹野友寿,塚原貴子:大学生の精神保健に関する研究  機能不全家族とアダルト・チルドレン  ,川崎医療福祉学会 誌, (  ),"

(79) # ,  ..  )細見潤,藤本洋子,片平久美,古家隆:看護婦の「バーンアウト 」と「共依存」傾向に関する研究,看護研究, (  ), #

(80)  , . )塚原貴子・新山悦子:看護学生における入学前の外傷体験  自由記述による収集と分類(投稿中)..  )$  % &':(  )  .. 

(81) 

(82)  ,* ., . ..  )ジャネット・'・ウォイティッツ著,斉藤学監訳:アダルト・チルドレン  アルコール問題家族で育った子供たち . 金剛出版,東京, ..  )緒方明:アダルトチルドレンと共依存.誠信書房,東京.  ..  )+ (  ,)- .:/   )  01 ) 2) 0  2 0   .. (  ), 

(83) # ,  ..  ,. " )稲岡文昭,松野かおる,宮里和子:  3- と看護  社会心理的側面からの考察,看護, ( ) ,

(84)  ,   . # )岡千鶴,古賀美智子,黒岩千代子,古賀典子:看護学生の実習における  の実態とその関連要因についての一 考察,第 回日本看護学会論文集   看護教育,

(85)  ,  ..  )松田久美子:看護者の  とエゴグラムに示される個人特性との関連,看護研究, ( ),

(86)  ,  .  )斉藤千里,稲岡文昭:!4 の職場環境と看護婦の健康状態の関連についての検討,第回日本看護学会集録  看護管 理, 

(87) , # ..  )南裕子:燃えつき現象の精神看護学的推論,看護研究, ( ),

(88)  ,  .  ) 3! , 5  *0 $:(    -6 2 )  , ) :(  )    2  .  .         , ,.

(89) # , # ..  )3  '$  3 3& 著,樋口康子訳:新臨床看護大系,精神看護学 ! ,医学書院,東京, 

(90)  ,  .  )新山悦子,佐藤健二:看護師におけるトラウマ反応,バーンアウト症候群と身体症状との関連,第 "回日本看護科学学 会学術集会講演集," , " . ( 平成 年 # 月日受理).

(91) . 新山悦子・塚原貴子・笹野友寿.  .  

(92)  

(93)     

(94)   

(95) .    

(96)  5 1 7!!8((6 /11 /34,((9(  / 3(3(7 :(2  - 6 #;

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(99)  ;.

(100)

表   特性と  の相関( ) 図   の度数分布表 図   特性と  の散布図 相関係数は &amp;&amp; ( 2   )であり,比較的強い相関 がみられた(表  ).特に「私は情け容赦なく自分を 批判する」 ( ! 32   ) 「私は何でも楽しむことが できない」 (  3 2   ) , 「私は自分のことを真剣 に考えすぎる」 (  3 2   ) , 「私は他人と親密な関係を持てない」(!32  ),「私は自分が変化を支配できないと過剰に反応する」(!32   )の項目が得点と関連が強かった

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