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Title
筋・筋膜性歯痛に対する治療:理学療法
Author(s)
半田, 俊之; 一戸, 達也
Journal
歯科学報, 115(4): 319-321
URL
http://hdl.handle.net/10130/3718
―――― カラーアトラス ――――
筋・筋膜性歯痛に対する治療:理学療法
半
はん田
だ俊
とし之,
ゆき一
いち戸
のへ達
たつ也
や 東京歯科大学歯科麻酔学講座カ ラ ー ア ト ラ ス の 解 説
理学療法とは,身体に障害のある者に対し,主と してその基本的動作能力の回復を図るために治療体 操その他の運動を行わせ,電気刺激やマッサージ, 温熱その他の物理的手段を加えることを指します。 理学療法は運動療法と日常生活動作訓練,そして物 理療法に分類され,物理療法には温熱刺激や寒冷刺 激,マッサージ刺激や電気刺激などがあります(図 1)。理学療法はエビデンスが十分でないものも多 いのですが,可逆的な治療であり,治療による侵襲 が少ないので臨床上有利な点も多々あります。 筋・筋膜性歯痛は,頭頚部周囲の筋・筋膜痛症候 群からの関連痛が原因とされているため,筋・筋膜 痛症候群の治療が必要となります。急性期の筋・筋 膜痛症候群の治療は,筋肉の硬結を解くことにあり, 非ステロイド性抗炎症薬や中枢性筋弛緩薬,トリ ガーポイント注射等の神経ブロックを行います。そ して原因は筋肉の過緊張と循環障害であるため,運 動療法や姿勢に対する指導,ストレッチングなどの 理学療法が必要になってきます。 今回は代表的な物理療法について解説します。 ⑴ 光線療法 筋筋膜痛症候群に対する光線療法には,低出力 レーザーと直線偏光近赤外線が一般的に臨床応用さ れてます。低出力レーザーは Ga-Al-As 半導体を レーザー光源として,直線偏光近赤外線はハロゲン ランプを光源としています。両機器には,波長や光 出力量の違いがあるもの,臨床的な違いはそれほど ありません。両機器共に,生体深達度の高い波長で あり,効果としては血流改善効果が主の作用といわ れています。光線療法は,副作用がほとんど無く侵 襲的でないという長所があります。 ⒜ 局所照射 疼痛部位に直接照射することにより痛みを緩和さ せる方法です。近赤外線照射器には深部への効果を 目的としたもの(図2)や広範囲の照射を目的とした もの(図3)など,様々なプローブが用意されていま す。 ⒝ 星状神経節近傍照射 光線治療機器を胸鎖乳突筋内側の第七頸椎横突起 をねらい照射する(図4)ことにより,星状神経節ブ ロックと同様の効果を得られることがあります。こ の方法は,星状神経節ブロックを行うことが困難な 患者,例えば抗凝固薬を内服している患者などには 有効な方法だと思います。 ⑵ ストレッチ ストレッチの目的は,筋肉を伸展させ弛緩させる ことにあります。例えば咬筋の筋・筋膜痛に対する ストレッチには咬筋のストレッチがあります。頭部 を後屈させ大きく口を開き,指を下顎前歯部に置き ます。下顎の力を抜きながら,下顎前歯部においた 指で下顎を押し下げます。開口させて5秒保持させ その後5秒リラックスしてもらいます。これを1日 3~5セット行ってもらいます(図5)。 その他に,気化冷却剤をトリガーポイント領域へ 使用し筋肉を伸展させる気化冷却剤療法も推奨され ている1) 。 ⑶ マッサージ 感覚神経への穏やかな刺激は痛みの抑制に効果的 であると報告2) があります。それを根拠に軽擦法と 深部マッサージなどがおこなわれています。軽擦法 は,痛みを自覚している部位に行うことにより痛み の認知を軽減することができ,自分自身で出来る マッサージ法として教えることにより効果を発揮す るといわれております。深部マッサージは組織の可 動化や局所の血流増加,トリガーポイントの消去の 助けとなる1)といわれております。 ⑷ 経皮的通電刺激法(Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation:TENS) 疼痛部位もしくはそこに痛みを伝える末梢神経を 覆う皮膚の上に一対の電極を置いて電気刺激する除 痛法です。筋性歯痛に対し有効である報告はありま せんが,筋筋膜痛に対し経皮的通電刺激法が有効で あったとの報告3) はあります。歯科で良く用いられ るのはマイオモニターです(図6)。 今回からは,非歯原性疼痛に対する治療について 解説させて頂いております。非歯原性疼痛に対する 治療については,歯科麻酔学会からは「非歯原性(筋 性・神経障害性・神経血管性)歯痛の診断と治療の ガイドライン」http : //kokuhoken.net/jdsa/publica-tion/file/guideline/guideline_toothache.pdf,口腔 顔面痛学会から「非歯原性歯痛診療ガイドライン」 http : //minds4.jcqhc.or.jp/minds/NDTA/ndta.pdf が作成されております。ご参考にして頂けたらと思 います。 文 献1)Travell JG, Simons DG : Myofascial pain and dysfunc-tion : the trigger point manual. pp.87-88 , Williams & Wilkins, Baltimore, 1983.
2)Wall PD : The gate control theory of pain mechanisms. A re-examination and re-statement. Brain, 101⑴:1- 18,1978.
3)Farina S, Casarotto M, Benelle M, Tinazzi M, Fiaschi A, Goldoni M, Smania N. : A randomized controlled study on the effect of two different treatments(FREMS and TENS)in myofascial pain syndrome. Eur Med Phys, 40: 293-301,2004.