Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
No.13:老人性骨粗鬆症モデルマウス(SAMP6)大腿骨
骨欠損の治癒に与えるフルバスタチンの影響
Author(s)
大平, 貴士; 田辺, 耕士; 高橋, 由香里; 佐々木, 穂高;
吉成, 正雄; 矢島, 安朝
Journal
歯科学報, 113(2): 203-203
URL
http://hdl.handle.net/10130/3037
Right
目的:近年わが国は超高齢社会を迎え,インプラン ト診療を受ける患者も高齢化が進み,それに伴う合 併症が問題となっている。加齢に伴う合併症の一つ である老人性骨粗鬆症は,骨髄間質細胞から骨芽細 胞への分化能が低下していることが報告されてお り,安全かつ確実なインプラント治療を確立してい くために重要な課題となっている。一方,高脂血症 治療薬の HMG-CoA 還元酵素阻害薬であるスタチ ン系薬剤は,骨形成タンパク(BMP‐2)を発現さ せ,骨芽細胞の分化促進や骨粗鬆症患者への骨量増 加に効果があることが示唆されている。しかしなが ら,スタチン系薬剤が老人性骨粗鬆症の骨治癒過程 に対してどのような影響を与えるかは知られていな い。本研究は,スタチン系薬剤であるフルバスタチ ンが老人性骨粗鬆症モデルマウス(SAMP6)の骨 欠損部での骨形成への影響を明らかにすることを目 的とした。 方 法:20週 齢 の 老 人 性 骨 粗 鬆 症 モ デ ル マ ウ ス (SAMP6)およびコントロールマウス(SAMR 1)を用い,両側大腿骨遠位骨端より3mm の部位 にφ1.0mm の骨欠損を形成した。実験群として250 μM フルバスタチン含有のゼラチンスポンジを挿入 (flu250),コントロール群としてフルバスタチン 未含有のゼラチンスポンジ(cont1)および,スポ ンジ未挿入群(cont0)を設定した。各群を術直 後,および7,14,21,28日後に動物実験用マイク ロ CT(R-mCT,リガク社製)を用いてエックス線 画像を撮影し,三次元骨梁構造計測ソフトウェア TRI/3D-BON により,新生骨量の定量解析を行っ た。 結果および考察:骨形成の定量解析の結果,実験 群・コントロール群ともに経時的に新生骨形成と骨 形成量の増加がみられた。また,術後7日,14日,28 日 で は SAMP6,SAMR1共 に 実 験 群・コ ン ト ロール群間で有意差を認めなかったが,SAMR1の 21日では実験群がコントロール群より有意に骨形成 量が増加し,SAMP6においても同様の傾向を認め た。以上の結果より,スタチン系薬剤フルバスタチ ンは骨粗鬆症モデルマウスにおいても骨欠損部の治 癒を促進する可能性が示唆された。 目的:紫外線照射および酸素プラズマといった物理 化学的修飾が,アナターゼ型酸化チタン粒子の表面 に及ぼす変化を調べることを目的とした。ゼータ電 位を測定することにより表面電荷の変化を調べ,未 処理の粒子と比較した。また,物理化学的修飾をし た粒子がタンパク質(BSA, lyzozyme)への吸着に 及ぼす影響も検討した。 方法:TiO2粉末は,粒子径<5μm のアナターゼ型 を使用した。紫外線(UV)照射は UV irradiator(Bio-Force Nanosciences)を用いて2時間行った。酸素 プラズマ処理は,VEP‐1000(ULVAC)を用いて 1.8Pa,200W,10分間行った。ゼータ(ζ)電位測 定は,ELS800ZS(大塚電子)を用いて行った。表 面改質処理をした5mg TiO2を10mM NaCl に懸濁 し,静置した上清のζ 電位を測定した。次いで, NaOH で徐々に溶液を塩基性にして各々の pH にお けるζ 電位を測定した。ζ 電位がゼロになる溶液の pH を等電点(pI)として求めた。タンパク質吸着 実験には,pI の異なる2つのタンパク BSA と ly-sozyme を用いた。1000ppm 溶液に5mg TiO2を加 え37℃2時間撹拌した後,遠心分離し上清のタンパ ク濃度を求め,TiO2に吸着したタンパク濃度の割 合を算出した。 成績と考察:表面未処理の TiO2の pI は6.5であっ た。UV 照射および酸素プラズマ処理により pI は 塩基側にシフトし,それぞれ9.2,8.9となった。物 理化学的表面修飾によって,アナターゼ型 TiO2の 表面電荷が変化した。BSA の吸着は,未処理の TiO2 では,PBS(pH7.4)溶液中で14.5%±3.8%であっ た。一方 UV 照射した粒子は,30.7%±4.7%と2 倍以上吸着した(p<0.05)。それに対し,lysozyme との吸着は,未処理で34.6%±5.5%,UV 照射で 30.6%±5.7%とほぼ変わらなかった。これは,物 理化学的修飾により TiO2の表面荷電が正に変化し たため,負電荷をもつ BSA の吸着量が増加したこ とによると考えられた。一方,等電点が BSA と異 なる lysozyme の吸着量は変わらなかった。以上よ り,これらの表面修飾は特定の分子の吸着と脱離を コントロールできると考えられた。