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シンガポールの後期中等地理における地理的探究の強調 : GCE O-Level地理シラバスの分析を手がかりにして

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(1)Title. シンガポールの後期中等地理における地理的探究の強調 : GCE O-Level 地理シラバスの分析を手がかりにして. Author(s). 金,. Citation. 北海道教育大学紀要. 人文科学・社会科学編, 67(1): 85-99. Issue Date. 2016-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/8040. 辰. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(人文科学・社会科学編)第67巻 第1号 Journal of Hokkaido University of Education(Humanities and Social Sciences)Vol. 67, No.1. 平 成 28 年 8 月 August, 2016. シンガポールの後期中等地理における地理的探究の強調 ― GCE O-Level地理シラバスの分析を手がかりにして ―. 金 玹 辰 北海道教育大学旭川校社会科教育研究室. Emphasis on Geographical Inquiry in Singapore’s Upper Secondary School Geography :Analysis of GCE O-Level Geography Syllabus. . KIM Hyunjin Department of Social-Studies Education, Asahikawa Campus, Hokkaido University of Education. 概 要 本研究は,2013年に改訂されたシンガポールの後期中等シラバスの変化を分析し,新シラバ スが地理的探究を強調していることを明らかにしたものである。地理は中等教育EXPRESS コースとN-Aコースの修了試験であるGCE O-LevelおよびGCE N(A)-Levelの対象になって いる。本研究では,2014年度のGCE O-Level試験にて同時に実施された旧シラバス(2006/ 2007年版)と新シラバス(2013/2014年版)を対象として比較分析を行った。この結果,新旧 シラバスの基本構成はほぼ同じであるものの,地理学の理論を重視する系統地理学習であった 旧シラバスに比べ,新シラバスは様々なスケールの地域社会における課題の解決を探る主題学 習に変化している。これにより,新シラバスの特色として,①地理的問いに基づく単元の構成, ②探究のプロセスを用いたフィールドワークの実施,③地理的キー概念の提示という,地理的 探究の強調を挙げることができた。以上,シンガポール後期中等地理では,地理的探究に基づ く地理学習を通して,自己主導的学習者でありながら知識のある市民になる機会を提供してい るのである。. 1 はじめに. は低く,2008年の日本地理学会の調査によれば, 高校における地理履修者と未履修者との世界に対. 現在,日本の高校地理では大きな動きが見られ. する認識の差は明瞭に表れている1)。これに対し. る。2009年版学習指導要領においては, 「地理A」. て,2011年に日本学術会議はグローバル化に対応. と「地理B」が地理歴史科の選択科目として設け. した空間認識を育成する必要性を指摘し,「地理. られている。しかし,これらの地理科目の選択率. 基礎」を新設・必修化することを提案した2)。こ. 85.

(3) 金 玹 辰. の提案を受けて,次の学習指導要領では,「地理 総合」が地理歴史科の必修科目として設けられる. 2 シンガポールの教育システムと地理教育. ことになっている3)。この科目では,持続可能な. シンガポールにおける後期中等地理シラバスを. 社会づくりに必須となる地球規模の諸課題や地域. 理解するには,全体的な教育システムを確認しな. 課題を解決する力を育むことが期待されている。. ければならない。これを踏まえ地理教育,特に高. アジアの国々は,OECDによる学習到達度調査. 校地理の位置付けをまず明らかにしておきたい。. (PISA)の結果上位を占めており,世界的競争. シンガポールも,今や世界的な潮流となってい. 4). 力を高めるために教育改革を行っている 。これ. るコンピテンシーに基づく教育改革を進めている. らの国々における教育改革は,日本の教育改革へ. 国の一つである。教育行政全般を管理しているシ. 大きな示唆を与えることができる。なぜならば,. ンガポールの教育省(Ministry of Education: 以. これらアジアの国々と日本は類似した歴史的・文. 下,MOE)は,21世紀のコンピテンシーの枠組. 化的背景を持っているからである。これまで日本. みを図1のように提示している。教育省(MOE). の地理教育では,アメリカやイギリスなど,欧米. が求めている21世紀コンピテンシーの枠組みは,. を対象とする研究が集中的に行われてきた。しか. まずその中心に人の性格を形成する尊重,責任,. し,これからは日本と類似した教育環境を持つア. 誠実,ケア,辛抱強さ,調和というコア価値を置. ジアの地理教育研究をより一層行う必要がある。. いた後,自己と他者との関係による社会的・感情. そこで本研究は,シンガポールの2013年に改訂. 的コンピテンシーを中間に設け,そこから21世紀. された後期中等地理シラバスの変化を分析し,新. コンピテンシーを導出した同心円的構造になって. シラバスの特色を明らかにすることを目的とす. 「教育の望ましい成 いる8)。これらは最終的には,. る。シンガポールの地理教育に関する先行研究で. 果(The Desired Outcomes of Education: DOE) 」9). は,井田(2004)5),吉田(2010)6)のように主に. として,4つの人間像を目指すことである。. 日本の中学校学習指導要領に相当する前期中等地 理シラバスを対象とするものが多い。シンガポー ルでは前期中等段階より地理が必修科目となるた め,この時期を研究対象とすることはその特色を 明らかにするための出発点となる。しかし,中等. 自信の ある人. 自己 主導的 学習者. 学校修了試験では前期中等シラバスの内容は反映 されておらず,後期中等シラバスのみが対象に 自己 認識. なっている。すなわち,シンガポールの中等教育 における最終的到達点として地理教育の特色を明 責任 ある 意思 決定. らかにするためには,後期中等シラバスを分析す る必要がある。日本の高校学習指導要領に当たる 後期中等地理シラバスは,2013年に改訂されてい る。この改訂に関しては,Tan(2013)7)が教育. が,シラバス内容に関する具体的な説明はない。 そこで本研究では,新旧シラバスの比較分析を行 うことで,日本の高校地理改革に示唆を得ること にする。. 86. コア 価値. 社会 認識. 関係 管理. 政策の変化と関連しながら探究とフィールドワー クの重視という改訂の方向性について触れている. 自己 、 管理. 関心の ある 市民. 能動的 貢献者. 図1 21世紀のコンピテンシーの枠組み (MOE, 21st Century Competencies10)により).

(4) シンガポールの後期中等地理における地理的探究の強調. ・自信のある人(confident person)は,善悪に対する強. り,各教科外活動や教科教育でも教育の望ましい. い感覚を持ち,適応性と弾力性があり,自分自身をよ. 成果(DOE)に基づいてシラバスを作成するよ. く知り,明確に判断し,自主的で批判的に考え,効果. うになっている。これは地理教育も例外ではない. 的にコミュニケーションを行う。. ため,教育の望ましい成果(DOE)と地理教育. ・自己主導的学習者(self-directed learner)は,自分の 学習に責任を持ち,問いかけ,反省的に思考し,辛抱. の関係については後に述べることにする。. 強く学習の追求を行う。. 現在のシンガポールの教育システムは,大学進. ・能動的貢献者(active contributor)は,チームで効率. 学モデルとして初等教育(Primary school)6年. 的に作業することができ,先駆けて行動し,リスクを 計算し,革新的であり,卓越性のために努力する。. と中等教育(Secondary school)4年の義務教育. ・関心のある市民(concerned citizen)は,シンガポー. に,大学入学前教育(Pre-University education). ルに根を張り,強い市民意識や知識を持ち,周囲にい. の2年を加えた6・4・2制が一般的ではある. る他人の生活をよくするために積極的な役割を果たす。. が,教育段階修了ごとの全国統一試験の成績に. さらに,生徒にはより具体的行動として学校修. よって進路は多様である(図2)。. 了段階ごとに表1のような教育の成果を求めてお 表1 各学校段階における教育の成果 初等学校 善悪を区別することができる 成長のために自分の強みと分野を知る 他者と助け合い,分かち合い, ケアすることができる 物事について活発な好奇心を持つ 自分自身の考えを持ち, 明確に表現することができる 自分の仕事に誇りを持つ 健康的な習慣と芸術の識見を持つ シンガポールを知り,愛する. 中等学校 道徳的な誠実さを持つ. 中等以降の教育 正しいことのために立ち上がる 道徳的勇気を持つ 逆境に直面しても引き返す力を持つ. 自分の能力を信じて, 変化に適応することができる チームで作業することができ, 文化を越えて協力することができ, 他者に共感することができる 社会的責任を持つ 創造性と探究心を持つ 革新的で進取的である 多様な意見を認め,効果的に 批判的考え,説得力を持って コミュニケーションを行うことができる コミュニケーションを行うことができる 自分自身の学習に責任を取る 卓越性の追求を目指す 身体的活動と芸術の鑑賞を楽しむ 健康的なライフスタイルを追求し, 美学的鑑賞の気持ちを持つ シンガポールを信じ,シンガポールに シンガポールを誇りに思い,世界との とって重要なことを理解する 関係でシンガポールを理解する (MOE,The Desired Outcomes of Education, 2009 により). UNIVERSITIES GCE A-LEVEL JUNIOR COLLEGES/ CENTRALISED INSTITUTE (2-3 年) GCE O-LEVEL EXPRESS (4-6 年). POLYTECHNICS (2-3 年). ARTS INSTITUTIONS (3-6 年). INSTITUTE OF TECHNICAL EDUCATION (2-3 年) GCE N(A)-LEVEL GCE N(T)-LEVEL NORMAL(ACADEMIC) (4-5 年). NORMAL(TECHNICAL) (4 年). PSLE PRIMARY SCHOOLS (6 年). 図2 シンガポールの教育システム (MOE, The Singapore Education Landscape11)を基に筆者再構成). 87.

(5) 金 玹 辰. 初等教育は, ①確かな価値の育成,②シンガポー. とを選んでいる15)。. ルを愛すること(愛国心),③言語・数理的リテ. この4年間の中等教育段階は,前期(Lower. ラシの開発を通して,基礎・基本を養う段階であ. Secondary)の2年と後期(Upper Secondary). 12). 。そのため,カリキュラムは,主に①・②. 2年の二つのシラバスが用意されている。この区. に関わる総合カリキュラム活動(Co-curricular. 分は明確ではないが,前期は日本の中学校,後期. Activities) ,人格・市民性教育(Character and. は高校に相当すると言えよう。前期中等教育段階. Citizenship Education)などの教科外活動と,③. から,技術教育だけを行うN-Tコースを除く,. のためのプロジェクト学習や教科教育で構成され. EXPRESSコースとN-Aコースにて地理科目が独. ている。さらに,教科教育は言語(英語・母語),. 立している。前期中等教育においては必修科目で. 数学・科学,人文・芸術(社会科・美術・音楽). あり,後期中等教育では選択科目になっている。. の3分野に分けられる。初等教育修了試験である. また,後期中等教育では独立している地理科目だ. 「PSLE(Primary School Leaving Examination) 」. けではなく,総合人文学(Combined Humanities). では,言語(英語・母語),数学・科学のみ試験. という社会科を基本とし,歴史・地理・文学から. が行われる。この段階では地理は独立している科. 一つを選ぶような科目も存在する。後期中等シラ. 目ではなく,人文・芸術分野である社会科にその. バスのみが中等教育修了試験の対象になり,GCE. 内容が含まれている。そして,前述したように社. O-LevelおよびGCE N(A)-Levelにおける総合人. 会科はPSLEの対象ではない。. 文学と独立科目の地理のシラバスは個別に提示さ. る. PSLE の成績によって,生徒は3つの中等教育 13). れている。しかし,ほぼ同じ内容で作成され,レ. 。. ベルや科目ごとに分量の違いがあるのみである。. まず,EXPRESSコースは一般的な大学進学モデ. GCE O-Level地理シラバスの内容が一番多く,. ルである。このコースの4年修了者は,中等教育. GCE N(A)-Levelの総合人文学は一番少ない16)。. 修 了 試 験 と な る「GCE O-Level(General. 以上,シンガポールの教育システムと地理教育. Certificate of Education Ordinary Level)」を受. の位置付けを検討してきた。次はシンガポールに. コースに振り分けられ,進学することになる. 14). 。. おける後期中等地理シラバスの特色を明らかにす. 近年,EXPRESSコースでは,初等教育修了試験. るため,全体の内容を把握することができるGCE. の上位約1割が大学進学を前提とした成績優秀者. O-Level地理シラバスを対象とし,分析を行う。. 験し,一般的には大学入学前教育段階に進む. として認められ,GCE O-Level試験を受けずに2 年間の「統合プログラム(Integrated Progaramme: IP) 」に進み,直接GCE A-Levelを受験できるこ ともある。次に,技術教育とともに学術教育も行. 3 GCE O-Level Geography Syllabusの 新 旧比較. うNormal Academic(N-A)コースと,技術教. 2014年度のGCE O-Level試験において,2006/. 育 だ け を 行 うNormal Technical(N-T) コ ー ス. 2007年版シラバス(以下,旧シラバス)17)と2013/. がある。N-Tコースの生徒は4年修了時, 「GCE. 2014年版シラバス(以下,新シラバス)18)に対応. N (T) -Level」を受験し,N-Aコースの4年に編. する2つの試験が同時に行われたが,以降は新シ. 入するか,次の技術教育段階に進むかを選択す. ラバスを基本とする試験のみになっている。. る。N-Aコ ー ス の 4 年 修 了 生 は,「GCE N(A). まず新旧シラバスの構成を比べてみよう。表2. -Level」を受験し,大学進学を目指しN-Aコース. はシラバス構成の新旧比較である。各章の英語表. の5年に進むか,次の技術教育段階に進むかを選. 現が異なるものの,「地理的キー概念」の章を除. 択 す る こ と に な る が, 修 了 者 の 約 7 割 がGCE. いて,基本的には同じ構成であることがわかる。. O-Level試験を受けるためにもう一年在籍するこ. しかし,各章の具体的内容においては記述の変化. 88.

(6) シンガポールの後期中等地理における地理的探究の強調. 表2 シラバス構成の新旧比較 旧シラバス. 新シラバス.  前置き(INTRODUCTION).  前置き(INTRODUCTION).  目的(AIMS).  地理的キー概念(KEY GEOGRAPHICAL CONCEPTS).  知識(KNOWLEDGE)技能(SKILLS)価値(VALUES).  目的と学習成果(AIMS AND LEARNING OUTCOMES).  評価目標(ASSESSMENT OBJECTIVES).  評価目標(ASSESSMENT OBJECTIVES).  試験形式(EXAMINATION FORMAT).  評価の体系(SCHEME OF ASSESSMENT).  1.自然地理 2.人文地理.  枠組みと概要(SYLLABUS FRAMEWORK AND.  詳細内容(DETAILS OF SYLLABUS). OUTLINE).  用語のリスト(List of Command Words).  内容(SYLLABUS CONTENT)  用語の説明(GLOSSARY OF TERMS). (旧:MOE & UCLES(2014a),新:MOE & UCLES(2014b)により筆者作成). もみられる。以下,各章の内容を比べながら,ど. とを促進する適切な態度や価値観の自覚を与える。 (下線・太字は筆者のもの). のように記述が変わったかを分析する。 ⑴ 前置き 旧シラバスの前置きは,以下のように単純な時 間数や内容説明の概要的性格である19)。. さらに,これらの地理の意義がどのように教育 の望ましい成果(DOE)に関わっているかを図 3のように提示している。前述したように,教育 の望ましい成果(DOE)は21世紀のコンピテン シーから成り立つ4つの人間像である。図3から. 約120時間相当で考案されたO-Level 中等後期地理シ ラバスは,2年間で自然地理,人文地理,そして地理 的スキルと技術を学ぶようになっている。自然地理の. みれば,地理は4つの人間像全てに関わっている。 しかし,地理の意義を説明する下線部分からみれ. 主題はプレートテクトニクスと関連地形,天気と気候,. ば,特に「自己主導的学習者」として地理を学ぶ. 植生,河川と海岸であり,人文地理の主題は食の地理,. ことで,知識のあることを前提とした「関心のあ. 産業的世界,ツーリズム,開発である。. る市民」を目指しているともいえる。このような. それに比べ,新シラバスでは時間数や内容説明. 傾向は後述する内容にも見られる。. はなくなり,代わって以下のような科目として地 理の意義を明確にしている20)。 科目として,地理は地球上で見られる自然・人文的 現状,さらにそれらの複雑な相互作用と空間的パター ンを調べるために生徒の経験と知識を形成する。 地理は生徒自身が住んでいる空間や世界の他の部分 を理解するために,自然と人文環境の総合的学習を強. 最近の イシューと その対処の学習を 通して未来への挑戦の ために地理的識見の習得 ICT の使用による効果的な コミュニケーション 批判的思考、地理的 イシューの分析と 評価を通じた意思決定. 自信 のある 人. 調する。地理を学ぶ生徒は,知識とスキルの広い範囲 を取得すること,自然的・人文的現象,そして他に異 なる場所や文化に発生する現代的な環境的・社会的イ シューを理解し説明することを期待することができる。 情報を収集し分析するスキル,私たちの住む世界と生 活に影響を与えるイシューへの回答を求める探究心を 持つことで,地理を学ぶ生徒は21世紀に知識のある市. 地理学習の 探究のアプローチを 通じた問い掛けと 反省的思考 生涯学習のための 地理的なスキルの転換. 自己 地球の多様性と複雑性にて 持たされた問題の答え 主導的 や解決のための 学習者 辛抱強い探究 地理 生徒. イシューに対する 多様な観点の提供. 能動的 貢献者. 環境に関わるイシューの評価と 持続可能な開発の促進 問題の解決策の提案. 関心 のある 市民. 信仰と文化の 多様性の尊重. ローカル・グローバルな 環境の相互依存関係や 脆弱性の評価 地球とそのエコシステム に対する責任の 高揚. 民(informed citizen)としての役割を準備する。また, 地理は学生に肯定的な地理的な将来,すなわち,私た ちの資源,人々,国,地球の持続可能性を確保するこ. 図3 地理を通した教育の望ましい成果(DOE) (MOE & UCLES(2014b),p.3より). 89.

(7) 金 玹 辰. ⑵ 目的. いる。. 新旧シラバスにおける地理教育の目的をまとめ. このような目的の変化も前述した前置きの変化. たものが, 表3である。両方の6つの目的のうち,. と同様で,新シラバスでは地理教育の固有の目的. 「1.自然および人文現象の特徴とその分布に関. だけではなく,教育の望ましい成果(DOE)で. する知識の習得」,「3.自然と人間との関係に関. ある「自信のある人」,「自己主導的学習者」との. する全体的な理解の提供」, 「4.地理的知識の(習. 関わりを意識しながら目的を叙述していることが. 得, )伝達,応用における技能の開発」という3. わかる。しかし,旧シラバスではあった「関心の. つの目的が同じく挙げられている。一方,他の3. ある市民」に関わる目的が新シラバスにはない。. つの目的は大きく異なる。旧シラバスでは「2. 自然および人文環境に影響を与えるプロセスの理. ⑶ 学習成果としての知識・技能・価値. 解の開発」 , 「6.ローカル,リージョナル,グロー. 前述した目的を達成するために,学習成果とし. バル環境における人々が直面する対立する機会と. てより具体的な知識・理解,技能,価値・態度,. 制約に対する認知の開発」という知識・理解の観. 3つの観点に分けてまとめたものが表4である。. 点,そして「5.環境の質や人類の住まいの未来. 表4を見ると,まず知識・理解の観点では,新. に関する知識ある関心の開発,それに従って,地. 旧シラバスとも5つの項目を設けており,中の4. 球と人々のケアのために生徒の責任の高揚」とい. つの項目では新シラバスの方で若干言葉の部分的. う価値・態度の観点が強調されている。それに比. 追加があるものの,基本的な内容は一致する。新. べ,新シラバスでは「最近のイシューやその対処. シラバスで追加された「多様な空間」や異なる「ス. の学習を通して,未来への挑戦のために地理的識. ケール」という言葉は,直接ではないが,教育の. 見およびグローバル認識の習得」という知識・理. 望ましい成果(DOE)の「能動的貢献者」とし. 解の観点とともに,「地理的問いかけを行い,地. て「イシューに対する多様な観点の提供」の関連. 理的情報の収集と分析を通した理解を追求する自. として見ることができる。大きく変わったことは,. 己主導的で探究する学習者の形成」,「地理的情報. 旧シラバスの「1.地理的概念,用語,事実,傾. の分析,総合,評価を通した知識のある判断と正. 向,理論」がなくなり,「直面している課題に対. しい決定」という探究技能的な観点が強調されて. 処するローカル,リージョナル,グローバル社会. 表3 目的の新旧比較 旧シラバス. 新シラバス. 1.自然および人文現象の特徴とその分布に関する知識の 習得 2.自然および人文環境に影響を与えるプロセスの理解の 開発 3.自然と人間との関係に関する全体的な理解の提供 4.地理的知識の習得,伝達,応用における技能の開発 5.環境の質や人類の住まいの未来に関する知識のある関 心の開発,それに従って,地球と人々のケアのために生 徒の責任の高揚 →関心のある市民 6.ローカル,リージョナル,グローバル環境における人々 が直面する対立する機会と制約に対する認知の開発. ・自然および人文現象の特徴とその分布,プロセスに関す る知識の習得 ・ローカル,リージョナル,グローバルのスケールでの自 然と人間との関係に関する全体的な理解の提供 ・最近のイシューやその対処の学習を通して,未来への挑 戦のために地理的識見およびグローバル認識の習得 →自信のある人 ・地理的問いかけを行い,地理的情報の収集と分析を通し た理解を追求する自己主導的で探究する学習者の形成 →自己主導的学習者 ・地理的知識の伝達,応用における技能の開発 ・地理的情報の分析,総合,評価を通した知識のある判断 と正しい意思決定 →自信のある人. (旧:MOE & UCLES(2014a) ,p.1,新:MOE & UCLES(2014b) ,p.5により筆者作成) *下線 各シラバスのみ掲載された部分,太字(DOEとの関わり)は筆者のもの。. 90.

(8) シンガポールの後期中等地理における地理的探究の強調. による異なるアプローチ」の項目が新設されたこ. 1次と2次,両方の資料から地理的情報を収集す. とである。これは,旧シラバスは地理学の理論を. るための効果的チーム活動」という項目が最初に. 強調した系統地理学習を重視したが,新シラバス. 書かれている。これは,地理の独自的技能を強調. では様々なスケールの地域社会における課題の解. している旧シラバスに比べ,新シラバスでは地理. 決を重視する主題学習に変化したことを意味する。. 的技能と一般的技能を融合しようとしていること. 次に,技能の観点では,旧シラバスが6つ,新. を意味する。すなわち,「1次と2次,両方の資. シラバスが5つの項目を設けており,基本的一致. 料から地理的情報を収集する」という地理的技能. する内容が3つである。新旧シラバスの差異を見. に加え,教育の望ましい成果(DOE)との関係. ると,最初の項目と最後の項目が大きく異なって. として,「関連する地理的問いかけ(自己主導的. いることがわかる。旧シラバスでは,最初に「1.. 学習者)」,「効果的チーム活動(能動的貢献者)」. 環境の自然および人文的特徴の確認と分類」の項. という文言が入っている。最後の項目でも同じこ. 目を設けた後,「2. 1次と2次,両方の資料から. とが確認できる。旧シラバスでは,「5.学んだ. 地理的情報の観察,記録,収集」を述べているが,. 地理的な概念,用語,事実の新たなコンテキスト. 新シラバスでは 「関連する地理的問いかけを行い,. および問題への利用・適用」が最後の項目である. 表4 学習成果の新旧比較 知識・理解 技能 価値・態度. 旧シラバス. 新シラバス. 1.地理的概念,用語,事実,傾向,理論 2.自然および人文環境の構成要素 3.自然および人文現象の空間的パターン 4.ローカル,リージョナル ,グローバルのスケールで の自然および人文現象の間における関係性と相互作用 5.自然および人文環境の空間的,そして時間的な変化. ・ローカル,リージョナル ,グローバルのスケールで の自然および人文環境の構成要素 ・自然および人文現象の多様な空間的パターン ・ローカル,リージョナル ,グローバルのスケールで の自然および人文現象の間における関係性と相互作用 ・自然および人文環境の様々な空間的,そして時間的な 変化 ・直面している課題に対処するローカル,リージョナル, グローバル社会による異なるアプローチ →能動的貢献者. 1.環境の自然および人文的特徴の確認と分類 2.1次と2次,両方の資料から地理的情報の観察,記 録,収集 3.地理的資料から関連する情報(数値,図式,絵画や グラフィカル形式)の抽出 4.地理的資料におけるパターンを認識・解釈,その関 係性の推論 5.学んだ地理的な概念,用語,事実の新たなコンテキ ストおよび問題への利用・適用 6.筋の通った方法で情報の整理,提示. ・関連する地理的問いかけを行い,1次と2次,両方の 資料から地理的情報を収集するための効果的チーム活 動 →自己主導的学習者・能動的貢献者 ・地理的資料から関連する情報の抽出 ・地理的資料におけるパターンを認識・解釈,その関係 性の推論 ・筋の通った方法で情報の整理・提示 ・知識のある正しい意思決定を行うために地理的資料の 分析,評価,総合 →自信のある人. 1.環境の質に対する責任と感謝,そして,ローカル, リージョナル,グローバルのスケールでの持続可能な 開発への望み →能動的貢献者 2.異なる人文環境における人々の態度,価値観や信仰 に対する共感 3.シンガポールの戦略的な脆弱性と制約,そしてそれ らを克服するために使用される戦略の認識 4.シンガポールの将来の生存と信頼のための本能 →関心のある市民 5.資源の管理と利用における価値観や態度に対する判 断能力. ・資源の管理と利用における価値観や態度に対する判断 ・環境の質に対する責任とケア(care),感謝 ・異なる人文環境における人々の態度,価値観や信仰に 対する共感と尊重(respect)。. (旧:MOE & UCLES(2014a) ,pp.1-2,新:MOE & UCLES(2014b) ,p.5により筆者作成) *下線 各シラバスのみ掲載された部分,太字(DOEとの関わり)は筆者のもの。. 91.

(9) 金 玹 辰. が,新シラバスの最後の項目は「知識のある正し. の掲載は,地理教育が旧シラバスの「持続可能な. い決定を行うために地理的資料の分析,評価,総. 開発」や「ナショナルアイデンティティー」を超. 合」である。問題の解決に地理的知識を適用する. え,より大きな価値を目指していることを意味す. ことにとどまった旧シラバスに比べ,新シラバス. る。. は地理的知識を応用して正しい意思決定を行うこ とまでを要求している。すなわち,地理を通した. ⑷ 評価目標. 教育の望ましい成果(DOE)として, 「自信のあ. 目標や内容だけが決められている日本の学習指. る人」でありながら「知識のある市民」を目指し. 導要領と異なり,GCE O-Levelシラバスは中等. ているのである。 . 学校修了試験のために表5のような評価目標が明. 最後に,価値・態度の観点であるが,5つの項. 記されている。評価観点は「知識(AO1)」 ,「批. 目で構成された旧シラバスに比べ,新シラバスで. 判的理解と構造的説明(AO2)」,「地理的資料の. は3つの項目にされている。旧シラバスでは項目. 解釈と評価」(AO3)という3つである。新旧シ. の一部として反映されていた「持続可能な開発」,. ラバスの両方で,AO1とAO2を組み合わせた問題. 2つの項目にかけ強調されていた「シンガポール. が50%,AO1とAO3を組み合わせた問題が50%の. 人としてのナショナルアイデンティティー」の強. 比重であり,知識を基本として批判的理解・構造. 調21)はなくなっている。これだけでは,新シラ. 的な説明を行ったり,地理的資料の解釈と評価を. バスの方が教育の望ましい成果(DOE)との関. 行ったりすることを試験問題としている23)。. わりが薄いと見られる。しかし,新シラバスにて. 旧シラバスに比べ,新シラバスでは,AO1の. 新たに書かれている2つの言葉, 「ケア(care)」. 「フィールドワーク技術に関連する知識の説明-. と「尊重(respect)」に注目して欲しい。これら. 地理的問いかけの明確化,フィールドワークの一. は,21世紀のコンピテンシーにおける中核になる. 連の探究,1次と2次資料の収集方法」,AO2の. 6つの価値の中に含まれている。まず,ケアは「優. 「資料の収集方法の評価,改善の提案」,AO3の. しさと思いやりを持って働き,そしてよりよい地. 「適切な形式,効果的な方法で地理的情報の提示」. 域社会と世界の向上に貢献すること」であり,尊. と「フィールドワークの証拠,到達した結論の妥. 重は「自分自身の価値と他の人々の生まれ付きの. 当性と限界の評価」という項目が新設されている。. 22). 価値を信じること」である. 。この2つの価値. これは次の試験形式や単元構成と関連があり,新. 表5 評価目標の変化 AO1 知識. ・関連する事実的知識の説明 - 地理的事実,概念,プロセス,相互作用,傾向 ・フィールドワーク技術に関連する知識の説明- 地理的問いかけの明確化,フィールドワークの一 連の探究,1次と2次資料の収集方法. AO2 批判的理解と 構造的説明. ・学んだ概念,用語,事実の選択,操作,適用 ・判断,推薦,意思決定 ・資料の収集方法の評価,改善の提案. AO3 地理的資料の 解釈と評価. ・地理的資料から関連する情報の理解,抽出(数値,図式,絵画やグラフィカル形式) ・地理的資料の解釈のために地理的知識・理解の利用,適用 - 地理的情報におけるパターンの認識,関係性の推論 - 異なる観点の比較,対照 - 適切な形式,効果的な方法で地理的情報の提示 - 証拠の推論的考慮に基づいた結論の導出 ・フィールドワークの証拠,到達した結論の妥当性と限界の評価 (旧:MOE & UCLES(2014a) ,p.2,新:MOE & UCLES(2014b) ,p.6により筆者作成) *下線は各シラバスのみ掲載された部分。. 92.

(10) シンガポールの後期中等地理における地理的探究の強調. シラバスではフィールドワークを通した事例研究. ある。試験1・2とも個別単元の問題の2問,単. である「地理的調査」が新たに設けられ,評価目. 元間結合の問題の2問,全4問が用意され,そこ. 標でもフィールドワークと関連する項目が追加さ. から受験者が2つを選択し,1問ごと45分で答え. れたことである。. ることになっている。. このようなフィールドワークと関連する項目の. 次に,新シラバスの試験形式がどのように変化. 追加は,今まで分析してきたように新シラバスで. したかを見てみよう。旧シラバスでは自然地理と. は教育の望ましい成果(DOE)の中でも, 「自己. 人文地理の単元が試験1・2に分かれていたが,. 主導的学習者」を強調していることを確認できる. そのような分野別単元区分は新シラバスではなく. 一つの証拠である。. なる。代わりに,必修単元と選択単元という区分 になっている。試験1は自然地理と人文地理の必. ⑸ 試験形式. 修単元を対象としており,旧シラバスに比べ10分. 基本的に試験1(50%)と試験2(50%)の二部,. 試験時間が増え1時間40分となっている。さらに,. 4問選択の構成は変わらない。問題の中では正解. 試験1は単元個別か単元間結合かの問題となる必. がないオープンエンドの問題もある。地形図・. 修問題A1問(55分),単元個別の問題1問と単. 様々な地図・写真・図・スケッチ・文章が問題の. 元間結合の問題1問の中から1つを選択する選択. 素材となり,写真解釈・作図・(1次・2次)情. 問題B(45分)で構成される。一方,試験2は選. 報解釈,統計データの単純な記述的分析という能. 択単元が対象となり,試験時間は変わりなく1時. 力を評価する。地図の読み能力は部分的な評価で. 間30分である。自然地理単元の問題Aと人文地理. あり,意思決定プロセスにおいて地理的知識を適. 単元の問題Bに分かれるが,問題A,B両方,試. 24). 用することが主な評価内容になる. 。. 験1の選択問題Bのような形式になっている。. このように変わらない部分もあるが,表6をみ. 新シラバスにおける試験形式の変化で注目した. ればわかるように大きく変化したことがある。以. いものは,試験1における次の2点である。. 下,試験形式の新旧比較を行うが,ここでは試験. 第1に,自然地理と人文地理の分野別試験では. 対象になる単元構成の変化については触れない。. なくなったことである。そのため,試験1では「1.. まず,旧シラバスの試験形式を確認しておく。. 海岸」の自然地理単元と「4.全地球的ツーリズ. 試験1は自然地理単元,試験2は人文地理単元を. ム」の人文地理単元の結合問題が出題できるよう. 対象としており,両方の試験時間は1時間30分で. になっている。. 表6 試験形式の新旧比較 旧シラバス. 新シラバス. 試験1 50%. 自然地理 1時間30分 2問 1. プレートテクトニクスと関連地形 2. 天気と気候 3. 植生 4. 河川と海岸 個別単元の問題2問,単元間結合の問題2問 から2つ選択(1問ごと45分). 1時間40分 2問 1. 海岸,4. 全地球的ツーリズム A(25点,55分) 個別単元か単元間結合かの問題1問 B(25点,45分) 個別単元か単元間結合かの問題1問 から1問選択. 試験2 50%. 人文地理 1時間30分 2問 1. 食の地理 2. 産業的世界 3. ツーリズム 4. 開発. 1時間30分 2問 2. 地殻災害との共生 3. 多様な天気と気候 A(25点,45分) 個別単元か単元間結合かの問題1問 から1問選択 5. 食糧資源,6. 健康と疾病 B(25点,45分) 個別単元か単元間結合かの問題1問 から1問選択. 個別単元の問題2問,単元間結合の問題2問 から2つ選択(1問ごと45分) . (旧:MOE & UCLES(2014a) ,p.3,新:MOE & UCLES(2014b) ,pp.7-8により筆者再構成). 93.

(11) 金 玹 辰. 第2に,必修問題Aが新設されたことである。. ローバル社会による異なるアプローチ」の項目が. この問題は25点で他の3つの問題と配点は変わら. 新設されている。これは新シラバスの目的の「最. ない。しかし,試験時間は10分長く,この問題だ. 近のイシューやその対処の学習を通して,未来へ. け新たにフィールドワークを通した事例研究であ. の挑戦のために地理的識見およびグローバル認識. る 地 理 的 調 査 が 適 用 さ れ る。 旧 シ ラ バ ス で も. の習得」や「地理的問いかけを行い,地理的情報. フィールドワークを通した事例研究である地理的. の収集と分析を通した理解を追求する自己主導的. 調査は提案されているものの,試験対象ではない. で探究する学習者の形成」という新設項目と関わ. 25). ことが注意されている. 。. ることである。すなわち,新シラバスは様々なス ケールの地域社会における課題の解決を探る主題. ⑹ 単元構成. 学習に変化し,その学習の出発点として地理的問. 表7は新旧シラバスの単元構成を比較したもの. いかけを大切にしていることが単元名やその内容. である。自然地理と人文地理の単元は,旧シラバ. 表記にも表れていることである。この地理的問い. スは各々4つで,新シラバスが各々3つである。. としての各単元名やその内容表記については次の. 新シラバスは2単元が減少しているが,両シラバ. 新シラバスの特色を述べる際に詳しく見てみる。. スとも,自然地理と人文地理の単元のバランスを. さらに,単元構成のもう一つ大きな変化として. 考えながら構成されていることがわかる。新シラ. は,旧シラバスでは内容単元だけを単元として. バスの自然地理は,旧シラバスから「3.植生」. 扱っていたが,新シラバスでは旧シラバスの「地. 単元と「4.河川と海岸」単元の河川の内容が削. 理的資料と技術」と「地形図の読み能力」に「地. 除されている。それに比べ,人文地理はもっと大. 理的調査」を加えた方法単元を一つの分野として. きく変わって, 旧シラバスから「2.産業の世界」. 自然地理や人文地理と同様に扱っていることを挙. と「4.開発」の単元が削除されたが,「6.健. げられる。「地理的調査」については次に詳しく. 康と病気-我々は以前よりも弱くなったか?」単. 見ることにして,「地理的資料と技術」と「地形. 元が新設されている。新シラバスでは,生徒に変. 図の読み能力」について説明しよう。順番が変わっ. 化する世界に対してより深く,そして広い知識・. たものの,内容には大きな変化はない。ただ,注. 理解を求めている。そのため,地形,気候,海岸. 目したいことは,旧シラバスは「地形図の読み能. など,ある程度の期間を通さなければ変化が確認. 力」に関して具体的な単元と地域を提示している. しにくい自然地理より,現在激しく変わっている. が,新シラバスでは具体的言及は見えない。これ. 世界を反映している人文地理の変化が多くなった. は,試験形式で触れたように,旧シラバスでは分. と判断できる。. 野別試験を適用しており,主に自然地理単元の問. また,各単元名やその内容表記の変化はもっと. 題で地形図の読み能力が適用されている。しかし,. 大きい。旧シラバスでは地理的概念,用語,事実,. 分野別区分がなくなった新シラバスの試験形式で. 傾向,理論などを表すものであったが,新シラバ. は自然地理と人文地理の単元間結合問題をはじ. スでは各主題と関連する地理的問いかけに変わっ. め,人文地理単元の試験にもより地形図の読み能. ている。これは前述した目的や学習成果における. 力を問うことが可能となっている。 「地理的調査」. 変化と関係深い。旧シラバスの知識・理解の観点. については次の新シラバスの特色を述べる際に詳. における最初の項目は「1.地理的概念,用語,. しく見てみる。. 事実,傾向,理論」であり,地理学に基づく系統. 以上,シラバスの構成に従い,各章の記述変化. 地理学習を重視していた。しかし,この項目は新. を確認してきた。次は,これまでの分析結果を踏. シラバスでは削除され,その代わりに「直面して. まえながら,今まで明らかにされていなかった新. いる課題に対処するローカル,リージョナル,グ. 設内容を中心に新シラバスの特色を明らかにする。. 94.

(12) シンガポールの後期中等地理における地理的探究の強調. 表7 単元構成の新旧比較 1 自然 地 理 . 旧シラバス. 新シラバス. 2 人文地理 . 主題1.海岸-海岸環境は重要視するべきでしょうか?◎ ・どのように,そしてなぜ海岸環境が異なり,ダイナミックで あるか? ・なぜ海岸地域は価値があるか?(熱帯の海岸に注目する) ・我々は,どのように持続可能な方法で海岸地域を管理するこ とができるか? 主題2.地殻災害との共生-危機であるか,機会であるか?○ ・なぜ一部の地域ではより地殻災害が起こりやすいか? ・プレート境界で発見される地形と地殻変動と関連する現象は どのようなものであるか? ・人々がどのように地震に備え,対応するか? 主題3.多様な天気と気候-続く課題?○ ・なぜ場所によって異なる天候や気候を体験するか? ・地球の気候に何が起こっているか? ・天候はより極端になってきているか?. 主題1.食の地理 1.1960年代以降の食糧の生産と配給の傾向 2.食糧生産産業に与える影響 3.食糧生産の発展 主題2.産業の世界 1.産業の類型 2.産業の立地 3.1960年代以降の変化する産業の傾向 4.新しい産業経済-事例学習 主題3.ツーリズム 1.全地球規模のツーリズム産業 2.ツーリズムの成長の影響 3.ツーリズムの影響の管理 主題4.開発 1.世界における開発の変化 2.開発の変化の理由 . 主題4.全地球的ツーリズム-ツーリズムが行く道は?◎ ・どのように場所によってツーリズムの性格が多様であるか? ・なぜツーリズムは全地球的現象となってきたか? ・ツーリズムの開発にはどのような負担があるか? 主題5.食糧資源-技術は食糧不足のための万能薬であるか?○ ・どのように,そしてなぜ食糧消費のパターンは1960年代以降 変更されたか? ・食糧作物の生産の動向と課題は何であるか? ・どのように食糧不足の問題に対処することができるか? 主題6.健康と病気-我々は以前よりも弱くなったか?○ ・健康と病気の世界的なパターンは何であるか? ・感染症の当たりと広がりに影響を与えるものは何であるか? (マラリアとHIV/AIDSに注目する) ・どのように我々は感染症の現在および将来の広がりを管理す るか?. ・地理的資料と技術 ・地図と記号,写真,グラフ,その他 ・パターンと変化を見せる統計的計算 ・地形図の読み能力:記述・解釈の能力,熱帯地 域の大縮尺地図(5万分の1あるいは2万5千 分の1)自然地理単元の問題における他の地域 ・座標と方位・距離と高度の計算・縮尺の解釈 ・記号の解釈・傾斜の計算 ・解釈するために断面図の記述と注釈 ・広い地域の地図の起伏区分 ・等高線を用いた起伏の記述 ・地形の性格を表す形容詞と適切な地理用語を 用いた簡単な記述 ・植生,土地利用,通信の立地とパターンの記 述 ・地図上の人間活動の証拠の推定. 3 地理的スキルと調査. 試験形式の一部 . 主題1.プレートテクトニクスと関連地形 1.プレートテクトニクス 2.地殻変動に関わる現象と地形 3.地震の影響と対応 主題2.天気と気候 1.天気の要素 2.気候の類型(分布と特徴) 3.厳しい天気の現象 主題3.植生 1.自然植生の類型(分布と特徴) 2.自然植生の環境への適用(特に気候) 3.森林の利用 4.熱帯雨林の減少-事例学習 主題4.河川と海岸 1.河川のプロセスと関連地形 2.海岸のプロセスと関連地形 3.河川と海岸の管理. 主題7.地形図の読み能力:事象の確認・記述の能力 ・読む(座標,方位) ・解釈する(縮尺,記号,地図上の人間活動の証拠) ・計算する(距離と高度,傾斜) ・確認する(広い地域の起伏,海岸に沿った自然事象) ・記述する(等高線を用いた起伏, 地理用語を用いた起伏の性格, 植生,土地利用,通信の立地とパターン, 解釈するために断面図) ・説明する(土地利用,通信,起伏との関係) 主題8.地理的資料と技術 ・地図,記号,写真,グラフ(ベストフィットを示す散布 図:計算はしない),その他(フィールドスケッチ,断 面図と横断図) ・パターンと変化を見せる統計的計算 主題9.地理的調査. (旧:MOE & UCLES(2014a),pp.4-5,p.12,新:MOE & UCLES(2014b) ,pp.9-11,pp.49-50により筆者作成) *下線は各シラバスのみ掲載された内容。◎必修単元,○選択単元. 95.

(13) 金 玹 辰. 4 新シラバスにおける地理的探究に基づく 学習. . んだ知識・理解および技能を応用しながら,海岸 環境の破壊を避けながら人間の活動を営むことが できるための持続可能な開発について意思決定を. これまで行ってきたシラバスの新旧比較を通し. 行うことになっている。. て,新シラバスは探究のアプローチを通じた地理 学習へ転換したことがわかった。ここでは,⑴地. ⑵ 探究のプロセス. 理的問い,⑵探究のプロセス,⑶地理的概念とい. 地理的問いを通した単元の内容構成は, 「習得」. う,これまで筆者が指摘してきた「地理的探究に. -「応用」という探究のプロセスでもある。しかし,. 基づく学習」を保つ地理カリキュラムの3つの条. これは内容が決まった組織された探究であり,生. 26). 件. が,新シラバスにどのように反映されてい. るかを考察する。. 徒自ら問いかけを行ってその答えを探す開けた探 究ではない。シラバスでは,まず自然地理と人文 地理の単元における組織された探究を通して探究. ⑴ 地理的問い. のプロセスを学んだ生徒が,最終的に「地理的調. 教育の望ましい成果(DOE)における「自己. 査」という単元において開けた探究を行うことに. 主導的学習者」は,学びの中で自ら問いかけがで. なっている。新シラバスから導入された「地理的. きる人である。したがって, 「自己主導的学習者」. 調査」は,フィールドワークにおける以下の探究. としての生徒は,問いかけをしながら地理を学ぶ。. のプロセスで行われる28)。. 新シラバスでは,一連の地理的問いを用いて単. . 元を構成することで,探究のアプローチを通じた. a. 目的・仮説・問いの設定. 27). 地理学習を目指している. 。まず,各単元名は. 主題を表す包括的な地理的問いになっており,さ らに3つの主な地理的問いで内容が構成されてい. ・地理的概念の調査から仮説を設定(ex.旅行者の行動 は農村地域より都市地域でより持続可能である) ・問い(ex: なぜ旅行者の行動は農村地域より都市地域 でより持続可能ですか?). る。最初の2つの問いは主題に対する知識・理解. b. 情報収集. および技能の習得に関わる問いである。生徒は最. ・観察:フィールドスケッチ,注釈がついた写真,記. 初の2つの問いの答えを学ぶ中で習得された知 識・理解および技能を用いて3つ目の問いを解く ことができるようにシラバスは構成されている。 例えば, 「主題1.海岸」の単元名は「海岸環境 は重要視するべきでしょうか?」という包括的な 地理的問いになっている。この単元の学習は,ま. 録用紙,地図 ・測定:記録用紙,測定器の位置,サンプリング方法 ・質問紙調査:質問紙の作成,サンプリング方法 ・聞き取り:特別な人や集団への深い情報,話し手の 立場,聞き手のマナー c. 情報分析 ・収集された情報のパターン,傾向,相互関係 ・地理的知識と理解の適用. ず, 「どのように,そしてなぜ海岸環境が異なり,. d. 情報表現技術. ダイナミックであるか?」という地理的問いに通. ・知識とスキルの適用. して,様々な海岸環境とそれを形成する要因とプ ロセスについて学ぶ。次に,熱帯の海岸を事例地. ・地図,グラフ,断面図,フィールドスケッチ e. 結論 ・情報からの証拠. 域とする「なぜ海岸地域は価値があるか?」とい. ・仮説の有効性判断,問いに対する結論. う地理的問いについて,その答えを学ぶ。そして. ・使った情報の信頼性,情報の収集方法の評価. 最終的に, 「我々は,どのように持続可能な方法 で海岸地域を管理することができるか?」という. この探究のプロセスはフィールドワークを基本. 地理的問いに進む。この3つ目の地理的問いの答. としている。そのため,フィールドワークを通し. えを探すためには,前の2つの問いの答えから学. た情報収集を詳しく述べており,その後の段階で. 96.

(14) シンガポールの後期中等地理における地理的探究の強調. 収集された情報を分析したり表現したりする流れ になっている。しかし,この探究のプロセスは. 的な関連を探る。 ・すべてのスケールにおける自然的事象や人間の活動 の変化を学ぶ際,相互関係と相互関連を理解する。. フィールドワークを行わなくでも利用できる。特 に注目したいのは, 「a. 目的・仮説・問いの設定」 の段階である。 ここでは地理的問いではなく,問いと表記され ているが,探究の出発点である仮説と問いを地理 的にすることは,地理的概念の調査であることを 指摘している。 ⑶ 地理的概念 概念は教科における知識・理解および技能をよ り深くて広くするものである。そのため,新シラ バスでは以下の6つの地理的キー概念を提示して 29). いる. 。. 探究は仮説を設定し,問いかけを行うことから 始まり,探究のプロセスを通して,問いの答えを 探し,仮説を証明することである。このような探 究を地理的探究にするためには,設定する仮説や 問いが地理的でなければならない。そのために必 要なものが概念である。前一度確認した新シラバ スの前書き30)に戻ってみよう。 科目として,地理は地球上で見られる自然・人文的 現状,さらにそれらの複雑な相互作用と空間的パター ンを調べるために生徒の経験と知識を形成する。 地理は生徒自身が住んでいる空間や世界の他の部分 を理解するために,自然と人文環境の総合的学習を強. 1.空間 ・人間活動や自然的事象の分布と立地を知る。 ・どのように,なぜ人間活動や自然的事象が変わるか, そしてその意味を認識する。 ・場所間の相互作用,そしてこれらの場所内の動きに よって生じたネットワークのパターンを理解する。. 調する。地理を学ぶ生徒は,知識とスキルの広い範囲 を取得すること,自然的・人文的現象,そして他に異 なる場所や文化に発生する現代的な環境的・社会的イ シューを理解し説明することを期待することができる。 (以下,省略). . 2.場所. 前述したように省略した部分は21世紀のコンピ. ・場所は,各々の特別な自然的・人文的特性を持って. テンシーや教育の望ましい成果(DOE)との関. いることを理解する。 ・場所の動的な性格,そしてそれに関連する機会と課 題を理解する。. 係から地理の意義を述べているが,上記の部分は 固有の地理の意義を説明していることである。こ. 3.スケール. のような固有の意義を持つ地理における知識・理. ・ローカルからナショナル,グローバルの多様なスケー. 解および技能をより深くて広くするものが地理的. ルを認識する。 ・異なる社会が直面しているイシューの地理的理解を. 概念である。. 開発するためにスケール間を関連つける。 4.自然的・人文的プロセス ・自然プロセスの複雑性を理解し,そしてそれに関連 する機会と課題を認識する。. 5 おわりに. ・どのように自然的・人文的世界における一連の出来. 本研究では,2013年に改訂されたシンガポール. 事や活動が私たちの動態的地球と変化する世界の一. の後期中等地理シラバスに注目し,旧シラバスと. 部であるかを理解する。 . の比較を通して新シラバスの特色を明らかにし. 5.環境と文化の多様性 ・人,場所,環境や文化の間の相違点と類似点を認識 する。 ・多様で変化する私たちの世界における人,場所,環 境や文化の多様性を理解する。 6.相互依存性 ・場所や地球の間の社会・文化的,経済的および環境. た。その結果,新旧シラバスの基本構成はほぼ同 じであるものの,その具体的内容では記述変化が みられた。また,旧シラバスに比べ,新シラバス では①地理的問いに基づく単元の構成,②探究の プロセスを用いたフィールドワークの実施,③地 理的キー概念の提示という新たな内容を入れ,探. 97.

(15) 金 玹 辰. 究のアプローチを通じた地理学習を目指している. 本教育学会第68回大会報告) , 『教育學研究』 ,77⑴, pp.78-83。. ことがわかった。 このような新シラバスの変化の背景には,教育 省(MOE)の21世紀コンピテンシーと教育の望. 5)井田仁康(2004) ,シンガポール, 『社会科系教科の カリキュラムの改善に関する研究-緒外国の動向⑵-』 , 国立教育政策研究所,pp.78-83。. ましい成果(DOE)があり,地理教育だけの目. 6)吉田剛(2010) ,シンガポール中学校低学年地理科シ. 的ではなく,全体教育における地理の役割を述べ. ラバスにおけるナショナルシティズンシップ育成, 『社. ることを求めているからである31)。シンガポー ルの地理教育では,社会的要求に答えて,地理的 探究に基づく学習を通して自己主導的学習者であ りながら,知識のある市民になる機会を提供して いる。 現在,日本でも次の学習指導要領において必修 科目となる「地理総合」について議論を行ってお り,科目の本質的意義や役割が求められている。 地理的探究を強調するようになったシンガポール の地理教育の方向転換は,日本の地理教育改革に 大きな示唆を与えよう。. 会系教科教育学研究』 ,22,pp.41-50。 7)Geok-Chin Ivy Tan(2013) ,Changing Perspectives of Geographical Education in Singapore: Staying Responsive and Relevant,Journal of Geographical Research, 59,pp.63-73. 8)MOE, Annexes A to C. https://www.moe.gov.sg/docs/default-source/ document/education/21cc/files/annex-21ccframework.pdf(2016年3月30日) 9)教育の望ましい成果(DOE)は,1997年に初版が設 定され,2009年に改訂版がオンラインにて公表されて い る。https://www.moe.gov.sg/education/educationsystem/desired-outcomes-of-education#footnote-1 (2016年3月30日) 10)MOE,21st Century Competencies. https://www.moe.gov.sg/education/education-. 付 記 本研究は平成26年度学長裁量経費-若手教員研 究支援経費「シンガポールにおける高校地理教育 に関する研究」の一部である。なお,本研究の骨 子は,2015年度日本地理学会第65回大会において 口頭発表した。. system/21st-century-competencies(2016年3月30日) 11)MOE,The Singapore Education Landscape 12)MOE(2015),PRIMARY SCHOOL EducationPreparing Your Child For Tomorrow, p.3. 13)岡本によれば,2013年度では約7割弱の小学校修了 生がEXPRESSコース,約2割がN-Aコ-ス,約1割が N-Tコースに進学している。岡本佐智子(2014) ,シン ガポールの教育システムとマンパワー政策,『北海道文 教大学論集』15,p. 111。 14)岡本によれば,2013年度のGCE O-Level試験結果で. 注. は,約8割弱が大学入学前教育段階に進学している。. 1)日本地理学会地理教育専門委員会(2008), 『大学生・. 大学受験勉強を避け,専門技術を学ぶPolytechnic(技. 高校生の世界認識の調査』。 2)日本学術会議・高校地理歴史科教育に関する分科会. しかし,近年,GCE A-Level試験の不合格やハードな 術専門学校)に進学する生徒も増えてきている。岡本 (2014) ,p. 114。. (2011) , 『新しい高校地理・歴史教育の創造-グローバ. 15)岡本(2014) ,p. 115。. ル化に対応した時空間認識の育成-』。. 16)各試験における対象単元は 以下のようである。. 3)次の学習要領の改訂に向けて,中央教育審議会の初 等中等教育分科会において,教育課程部会の下に高等 学校の地歴・公民科科目の在り方に関する特別チーム が 設 け ら れ て い る。http://www.mext.go.jp/b_menu/ shingi/chukyo/chukyo3/062/index.htm#pagelink3 (2016年3月30日) 4)クリスティンキム・エンリー・成烈冠・陳向明・新 保敦子・牧野篤(2010)東アジアの社会変動と教育改 革:中国・韓国・シンガポール(国際シンポジウム,日. 98. GCE O-Level. GCE N(A)-Level. 海岸 地殻災害との共生 多様な天気と気候 地理 全地球的ツーリズム 食糧資源 健康と疾病. 海岸 地殻災害との共生. 地殻災害との共生 総合 多様な天気と気候 人文 全地球的ツーリズム 学 食糧資源. 地殻災害との共生 多様な天気と気候 全地球的ツーリズム. 全地球的ツーリズム 食糧資源.

(16) シンガポールの後期中等地理における地理的探究の強調. 17)MOE & UCLES(2014a),GCE O-Level Geography Syllabus 2235. 18)MOE & UCLES(2014b),GCE O-Level Geography Syllabus 2236. 19)MOE & UCLES(2014a),p.1。旧シラバスの前置き は,「約120時間相当で考案されたO-Level 中等後期地 理シラバスは,2年間で自然地理,人文地理,そして 地理的スキルと技術を学ぶようになっている。自然地 理の主題はプレートテクトニクスと関連地形,天気と 気候,植生,河川と海岸であり,人文地理の主題は食 の地理,産業的世界,ツーリズム,開発である」となっ ている。 20)MOE & UCLES(2014b),p.2. 21)吉田(2010,p.44)によれば,中等前期地理シラバ スでは,1995年から国民教育が導入され,さらに後 2000年改訂版と2006年改訂版において強化されている。 しかし,2014年に公表された中等前期地理シラバスの 価値・態度の観点では中等後期地理シラバスのように 「シンガポール人としてのナショナルアイデンティ テ ィ ー」 の 項 目 は な く な っ て い る。MOE(2014) , 2014 Geography (Lower Secondary)Teaching Syllabus,p.7. 22)MOE, Annexes A to C.,p.1. https://www.moe.gov.sg/docs/default-source/ document/education/21cc/files/annex-21ccframework.pdf(2016年3月30日) 23)MOE & UCLES(2014a),p.3,MOE & UCLES (2014b),p.6. 24)MOE & UCLES(2014a),p.3,MOE & UCLES (2014b),p.8. 25)MOE & UCLES(2014a),p.6,9. 26)金玹辰(2012),地理的探究に基づく学習を促すカリ キュラムの条件,『地理カリキュラムの国際比較研究地理的探究に基づく学習の視点から-』,pp.43-46。 27)MOE & UCLES(2014b),p.9. 28)MOE & UCLES(2014b),p.50. 29)MOE & UCLES(2014b),p.4. 30)MOE & UCLES(2014b),p.2. 31)このような社会の要求に対する反応は,教科として の地理の存続につながる。Chew-Hung Chang(2014) , Is Singapore’s school geography becoming too responsive to the changing needs of society?, International Research in Geographical and Environmental Education, 23⑴, pp.25-39.. (旭川校准教授). 99.

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