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折り紙の作図可能性について

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Academic year: 2021

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(1)折り紙の作図可能性について               教科・領域教育学専攻.               自然系コース               M0 6 2 3 4 C               和  田  宗  七 円周上の有限個点を作図することはできても,円そのも. 1 研究の背景と動機. のを折り紙によって作図することは不可能である.よっ. 折り紙は,日本に古くから伝わる遊び道具であり,誰. もが一度は鶴や手裏剣などを折って遊んだことがある. て,一見すれば,ユークリッド作図の方が,折り紙作図よ. りも,有効な作図方法であるかに見える、しかし実際に. だろう.近年では,その芸術性が評価され,海外でも. は,より多くの長さを作図できるという意味で,折り紙. 「Orig㎜山と呼ばれて親しまれている一. 作図の方が,ユークリッド作図よりも強力な作図方法で. 一方で,作図といえば,誰もが想像するのは,定規とコ. あることが分かっている.このことは,紙を折ったとき. ンパスによるユークリッドの作図であろう.1796年,ガ. に得られる折り目の幾何学的な性質が関係している.. ウスによって,定規とコンパスのみを用いて正17角形.  そこで,折り紙作図を幾何学的な視点から述べる.本. が作図可能であることが示されたことは有名な話であ. 研究では,「紙を折る」ことを「ある図形を別の図形に. る.このときガウスは,現代でいう,群論や体論に極め. 重ね合わせる」と考える.このように考えたとき,折り. て近い概念に到達していたらしいことが知られている.. 紙作図において,点を直線に重ねるように折る折り方に. つまり,正多角形の作図可能性を1つ1つ調べるのでは. は,ある特徴的な性質がある.それは,点Pと直線!が. なく,定規やコンパスによって得られる数(長さ)の集合. 与えられているとき,Pを1に重ねる折り目が,Pを焦. を考察の対象としていたのであろう.この手法は,折り. 点,ユを準線とする放物線の接線になっているというこ. 紙作図にも応用される.. とである(図1参照).このことから,点P,ρとある直.  ユークリッド作図においては,定規とコンパスで得ら. れる数(長さ)は,1次方程式や2次方程式を繰り返し解. \       ノ. くことで得られる数であることが知られており,定規と. .冬峯1一ぐ. コンパスによってr角の3等分の作図」やrある立方体 の倍の体積を持つ立方体の作図」が不可能であること は,ギリシャの作図不可能問題として知られている。.  このギリシャの作図不可能問題のうち,「角の3等分 は,折り紙で作図可能である」ということを知ったこと が本研究を始めるきっかけとなった.本論文は,この折 り紙の作図可能性について研究したものであり,折り紙. 図1:点を直線に重ねる折り目の集合. によって作図できる数や図形には,どのような特徴があ るのかをまとめたものである.. 線1が与えられたとき,Pが!へQがQへ重なる折り. 2 研究の内容. 目は,Pを焦点,1を準線とする放物線の点ρを通る接 線であることが示される.また,点P,ρとある直線’,.  ユークリッド作図では,コンパスによって円が作図で. mに対して,Pが’へ,ρがmへ重なるように折ったと. きる.ところが,紙を折ったときに生じる折り目は直線. きの折り目は,Pを焦点,!を準線とする放物線と,Qを. であり,折り目と折り目の交点から点が指定されるので,. 焦点,mを準線とする放物線の共通接線であることが示. 一380一.

(2) される.そして,図を描げば分かるように,点がある範. 図可能であるかを考察することから,ユークリッド作図. 囲にあるとき,その点を通る放物線の接線は2本引くこ. によって得られる数の集合が体を成すこと,さらに,あ. とができ,2つの放物線の共通接線は3本引くことがで. る実数がユークリッド作図可能であることと,その実数. きる、このことが示唆するのは,折り紙作図によって2. を付加して得られる体との関連について述べた.. 次方程式や3次方程式が解けることであるが,実際に,.  2章「折り紙作図」では,折り紙作図手順について考. 折り紙によって,2次方程式や3次方程式の解を作図す. 察し,各手順によって生じる折り目の幾何学的な性質を. る方法が明らかになっている.. 考察した.そして,折り紙作図によって得られる数の集.  次に,代数学的な視点から折り紙作図を述べる.折り. 合が体を成すことや,ユークリッド作図と折り紙作図と. 紙作図では,紙を折ることによって作図できる数の集合. の関係について述べた、また,折り紙で,1次,2二次,3次. が体を成すことが分かる.よって,折り紙作図では,2次. 方程式を解くことを考え,その結果を用いて,ある実数. や3次方程式の解が作図できるということから,折り紙. が折り紙作図可能であることと,その実数を付加して得. で作図できる数は,有理数体Qから,2次や3次拡大を. られる体との関係について考察した.. 繰り返して得られる体に含まれることが分かる.このこ.  3章rガロア理論と作図可能性」では,E.アルティン. とと,ガロア理論によって,ある数αが折り紙によって. の方法に倣ってガロア理論を構成した.アルティンの論. 作図できるとき,αを形とする既約な多項式の分解体の. 法では,「体亙が体K上の正規拡大体である」という. Q上の拡大次数が2店3’と表されることが分かる.. ことを,「Kが刃の有限個の自己同型写像の不変体で.  以上を踏まえて,素数ρに対して,正ρ角形を作図す. ある」と定義することが特徴的である、この定義のもと. ることを考える.まず,正ρ角形が作図できることと,    2π    2π. で,正規拡大体の中間体と,体の自己同型群の部分群と. の間に,1対1の対応があることを示した.次に,体の. ζ=CoS一十{Sin一が作図できることが同値であるこ.     ρ     ρ. とはすぐに分かる。実は,Q(ζ)は,ζを形とする既約な. 拡大の方法と,正規拡大と多項式の分解体との関連につ. 多項式の分解体であり,Q上の拡大次数がρ_1である一. いて述べた.また,3次方程式の解法を考察することに. 一方で,ζが折り紙で作図できるためには,Q(ζ)のQ上. よって,ある複素数がユークリッド作図や折り紙作図可. の拡大次数が2^3‘でなければならず,ρ一1:2k3’とな. 能であることの必要十分条件について考察した.. るとき,正ρ角形が折り紙で作図できることになる.し.  4章「正多角形の作図」では,正多角形の作図可能性. たがって,正7角形,正13角形,正17角形等が折り紙・. を考えるために,円分多項式の性質について述べた.そ. で作図できる.. して,2軍および3章で得られた結果を応用して,正多.  また,折り紙作図では,放物線,接線,3次方程式など. 角形がユークリッド作図や折り紙作図可能であるための. がキーワードとして挙げられるが,これらは全て,高校. 必要十分条件について考察した.さらに,正7角形と正. 2年から高校3年において学習する内容である.このよ. 13角形については,ガロア理論を応用して,それらを実. うに,折り紙作図には,高校で学習する内容が散りばめ. 際に折り紙作図する手順も考察した1正17角形につい. られており,高校での総合的,発展的な教材としての可. ては,実際に作図を行う代わりに,四則演算と根号のみ       2π. 能性も秘めている.そこで,折り紙作図をうまく教材化. を用いてCoS一を計算する方法について述べた.       17. し,発展的な数学の学習の場として提案することが今後.  なお,本論文を読むにあたり必要となる,群,体,線形. の課題である.. 代数等の基本的な事項を付録として最後にまとめた.. 3 論文の概要  1章r基礎概念とユークリッド作図」では,ユークリッ ドの作図を例に挙げて,作図に関する基本的な概念につ. いて述べた.また,定規とコンパスでどのような数が作. 一381一. 主任指導教員 小池 敏司. 指導教員濱申裕明.

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参照

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