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日本人若年女性が抱く 美しい/素敵な/魅力的な女性像の類型ー5因子構造におけるタイプ導出と連関要素の分析ー

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日本人若年女性が抱く

美しい/素敵な/魅力的な女性像の類型

  5因子構造におけるタイプ導出と連関要素の分析  

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Women

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──An Reporton ClusterAnalysisbased on Five-FactorStructure and

Relationsbetween Each Type and OtherFactors──

山田 雅子

YAMADA Masako

要旨:「美しい」「素敵な」「魅力的な」といった表現によって思い描かれる女性像の違いを捉え た山田(2019a, 2019b)では、〈活発さ〉〈美貌〉〈品格〉〈脱力感〉〈快活さ〉の5因子が抽出さ れた。これを踏まえ、本研究では各表現の使い分けの類型を求め、同反応特性と他の要因と連関 を明らかにすることを目的として更なる分析を行った。先の5因子構造におけるスコアを対象と してK-means法によるクラスター分析を行った結果、各表現の違いが小さく、全体的に低得点の Type 1、全体的に高得点で表現間の差異が小さいType 2、多面的に3表現を区別するType 3、 「素敵な」という表現の得点の高さが顕著なType 4が導出された。なお、これらのうちType 2 が半数以上を占める規模であった。当該反応特性と各種要素との間で連関を確認したところ、外 見・内面に対する意識の在り方との関わりが明らかとなり、全体的に因子得点の低い特徴を持つ Type 1は、全体的に高得点のType 4よりも内面を意識する度合いが強いことが分かった。一方、 自身の美しさに対する自信や美・健康に対する関心との連関は有意でなかった。 キーワード:美しさ、魅力、女性、表現、因子構造

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1.はじめに  言葉の用い方には個性が表れる。大まかな意味が共有されようとも、言葉のニュアンスの捉え 方は人それぞれであり、同一の対象を形容するに際しても、適する語として選ばれる表現は人に よって異なる。例えば、ある女性を「美しい」、「素敵」、「魅力的」と表現する場合、捉えられ る印象に違いは感じられるであろうか。87名の日本人女子学生を対象とした既報においては、言 葉づかい、マナー、身だしなみを除く部分について、「美しい女性」「素敵な女性」「魅力的な女 性」は区別して捉えられていることが明らかとなった(山田,2019a,2019b)。しかしながら、同 傾向は対象者全体を捉えてのものであり、使い分けの個性、表現の用い方のパターンについてま では把握されていない。  そこで本研究では、既報(山田, 2019a, 2019b)と同一のデータに更なる分析を加え、「美し い」「素敵な」「魅力的な」の3種の表現の使い分けの類型抽出とその背景要因の探索を試みるこ ととした。 2.方法1 2 1 対象者  関東在住の日本人女子学生87名(平均年齢19.04歳) 2 2 調査時期  2018年9月 2 3 調査内容  各対象者に調査用紙を配付し、回答者自身および回答者が抱く各女性像(美しい/素敵な/魅 力的)について、先行研究(山田, 2007, 2015, 2019c)に基づく32項目の要素がどの程度当ては まるか選択させた(「全く当てはまらない」「ほとんど当てはまらない」「あまり当てはまらな い」「やや当てはまる」「かなり当てはまる」「非常に当てはまる」の6段階より選択)。具体的な 項目については、Table 1を参照されたい。また、各表現を用いたくなる女性が身近にいるか否 かについても回答を求めた(「いる」「いない」より選択)。 . . .

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 更に、美と健康のどちらに関心があるか、自身の外見と内面のどちらを意識しているかを5段 階から選択させ、自身の美しさに対する自信の度合いを6段階(全く自信がない~非常に自信が ある)から選ぶよう回答を求めた。 3.結果および考察 3 1 因子構造  回答者自身および各女性像に対する32項目の適合度の回答に対し、「全く当てはまらない」を 1、「ほとんど当てはまらない」を2、「あまり当てはまらない」を3、「やや当てはまる」を 4、「かなり当てはまる」を5、「非常に当てはまる」を6として数値化した。当該評定を対象 に因子分析(主因子法斜交プロマックス回転)を行った結果、Table 1(既報より再掲)に示す 因子パターンが得られた(累積寄与率58.37%)。なお、本分析は3種の表現による女性像の因子 構造の抽出が目的であるため、回答者自身に対するデータは対象から除外した。 抽出された5つの因子は、それぞれ〈快活さ〉〈美貌〉〈品格〉〈脱力感〉〈活発さ〉と名付けた。 Table 2は、因子負荷量に基づき各因子の主な構成要素をまとめた表(既報より再掲)である。 詳細は山田(2019a, 2019b)を参照されたい。 3 2 各表現の使い分けの類型  前項に記した5因子構造における各表現(美しい・素敵な・魅力的な)の因子得点の平均値を グラフ化したレーダーチャートがFigure 1(再掲)、各表現の特徴をまとめた表がTable 3(再 掲)である。「美しい」という場合には〈美貌〉、「素敵な」という場合には、〈活発さ〉や 〈快活さ〉といったポジティブな要素に加え、〈脱力感〉が示す親しみやすさがあり、「魅力的 な」という表現は突出した要素がなく、バランスがとれていることが特徴として捉えられた(山 田, 2019b)。  これらのような各表現の全体的特性を踏まえ、3表現の用い方の類型抽出を図った。本分析で は非階層型K-means法を用い、15種の因子得点が類型間で最大限有意もしくは有意傾向の強度で 異なるよう分析を重ねた。この結果、4クラスターに分類する方法が最も弁別力が高く、かつク ラスター数を限定できるとの結論に至った。 . .

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共通性 因子5 快活さ 因子4 脱力感 因子3 品格 因子2 美貌 因子1 活発さ   0.761 -0.189 0.037 -0.164 0.063 0.923 19) ユーモアや遊び心がある 0.645 -0.136 -0.117 -0.090 0.014 0.830 30) 活発で行動力がある 0.572 0.082 0.063 -0.086 -0.016 0.750 16) 自然体 0.798 0.455 -0.114 -0.075 0.032 0.718 14) いきいきしている 0.689 0.344 0.024 -0.085 -0.020 0.717 10) 表情が豊か 0.679 0.212 -0.097 0.094 -0.047 0.713 12) 明るく前向き 0.609 -0.110 -0.086 0.182 -0.060 0.712 31) 寛大 0.621 0.195 -0.190 0.056 0.017 0.692 13) 何かに努力している 0.647 0.320 0.034 0.043 -0.034 0.662 25) いつも笑顔 0.587 -0.024 0.105 0.303 -0.145 0.603 21) 誰に対しても同じ態度 0.465 -0.073 -0.280 0.134 0.035 0.586 26) 自分の考えを持っている 0.360 0.052 0.192 0.045 0.147 0.549 20) 健康的 0.500 -0.149 0.024 0.369 0.031 0.530 18) 謙虚 0.227 -0.091 0.107 -0.118 0.155 0.505 4) ふっくらと丸みを帯びた体型をしている 0.526 0.088 0.091 0.366 -0.084 0.498 9) 周囲への思いやりがある 0.680 0.092 -0.060 -0.156 0.875 0.133 8) 肌にはりがある 0.673 0.026 0.169 -0.024 0.821 0.010 11) 髪に艶がある 0.717 -0.062 0.119 0.095 0.810 -0.007 23) 肌のきめが細かい 0.733 -0.026 -0.263 0.070 0.740 -0.131 7) 手足がすらりと長い 0.547 0.012 -0.238 -0.022 0.657 -0.123 3) 顔立ちが整っている 0.500 -0.138 -0.136 0.249 0.510 -0.195 28) 美意識が高い 0.389 0.034 -0.410 -0.087 0.484 0.183 2) おしゃれ 0.245 -0.054 0.004 0.032 0.479 0.211 17) メリハリのある体型をしている 0.485 0.133 -0.266 0.284 0.444 0.000 5) 姿勢が良い 0.429 0.107 -0.025 0.367 0.410 -0.081 22) 歩き方がきれい 0.469 0.256 0.047 0.375 0.368 0.036 15) 清潔感がある 0.756 0.135 0.006 0.820 -0.028 0.070 24) 言葉づかい・話し方がきちんとしている 0.652 0.046 0.077 0.742 0.023 0.142 27) マナーが身についている 0.542 -0.142 -0.078 0.683 0.152 -0.077 29) 所作・しぐさに品がある 0.403 -0.096 -0.067 0.615 -0.064 0.108 6) 知性・教養がある 0.347 0.028 -0.309 0.420 0.128 -0.152 1) 落ち着きがある 0.298 0.030 -0.029 0.384 0.228 0.132 32) 身だしなみがきちんとしている   0.021 0.021 0.051 0.193 0.262 寄与率   0.548 0.528 0.506 0.455 0.262 累積寄与率 Table 1 3対象のデータに基づく因子パターン ※再掲(山田,2019b参照) 構  成  要  素 因子名 ユーモアや遊び心がある、活発で行動力がある、自然体、いきいきしている、表情が豊か、 明るく前向き、寛大、何かに努力している、いつも笑顔、誰に対しても同じ態度、自分の 考えを持っている、健康的、謙虚、ふっくらと丸みを帯びた体型をしている 因子1 活発さ 肌にはりがある、髪に艶がある、肌のきめが細かい、手足がすらりと長い、顔立ちが整っ ている、美意識が高い、おしゃれ 因子2 美貌 言葉づかい・話し方がきちんとしている、マナーが身についている、所作・しぐさに品があ る、知性・教養がある 因子3 品格 おしゃれ(-)、落ち着きがある(-)、自分の考えを持っている(-)、姿勢が良い(-)、 手足がすらりと長い(-) 因子4 脱力感 表情が豊か、明るく前向き、いつも笑顔、清潔感がある 因子5 快活さ ※(-)を付した項目は、負の負荷量を持つ。 Table 2 各因子名と主な構成要素 ※再掲(山田,2019b参照)

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 各クラスターの因子得点は次のTable 4およびFigure 2-1からFigure 2-4の通りである。クラ スターを要因とした1要因4水準の分散分析の結果、「美しい女性」像における〈脱力感〉因子 の得点のみクラスター間の差が有意でなく、「美しい女性」像における〈快活さ〉因子の得点の 差異は10%水準で有意傾向、その他の13種の因子得点では5%水準以上の強度で有意な差異が 確認された(Table 4参照)。クラスター間の相違の特徴は因子や表現により異なるが、これらの 結果より、各々類似性が低く、独自性の高い4群が抽出されたことが確認できる。  各クラスターの因子得点に対する分散分析の結果を踏まえ、各群の特徴と規模をまとめた表が Table 4である。最も規模の大きいType 2が全体の半分以上を占め、他の3クラスターは非常に 小規模に留まった。Figure 2-2に表されるように、Type 2は他のクラスターに比して3表現全 ての因子得点が高く、表現間の差が明瞭でないことが特徴と言える。当該結果を踏まえれば、本 研究において対象とした若年女性の大多数は表現間の区別を殆どつけずに各女性像を捉えている ことになる。 Figure 4 各女性像の因子得点 ※再掲(山田,2019b参照) 身近な存在 要件の幅 非重視因子 他よりも重視される因子 39.0% 比較的狭い 活発さ 美貌 美しい女性 58.3% 比較的広い 美貌 活発さ、快活さ、脱力感 素敵な女性 31.3% 比較的広い 快活さ ─ 魅力的な女性 Table 6 各表現の特徴  ※再掲(山田,2019b参照)

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F値 Type4 Type3 Type2 Type1 * 4.034 -0.789 -1.482 -0.512 -0.632 因子1 活発さ 美しい ** 5.566 0.500 0.399 0.574 -0.550 因子2 美貌 *** 6.084 0.020 -0.977 0.281 0.186 因子3 品格 n.s. 0.661 -0.133 0.127 -0.205 -0.094 因子4 脱力感 ✝ 2.287 -0.388 -0.204 0.269 -0.268 因子5 快活さ *** 10.250 0.808 0.004 0.755 -0.029 因子1 活発さ 素敵な *** 6.997 -0.957 -0.672 -0.166 -1.411 因子2 美貌 *** 12.710 -0.637 -0.364 0.463 -0.811 因子3 品格 ** 5.517 0.514 0.640 -0.026 -0.334 因子4 脱力感 ** 4.507 0.327 0.684 0.282 -0.152 因子5 快活さ *** 28.792 -0.986 -0.196 0.599 0.311 因子1 活発さ 魅力的な *** 28.377 0.541 -0.723 0.368 -1.751 因子2 美貌 *** 25.073 -0.240 -1.322 0.422 -1.005 因子3 品格 *** 7.363 -0.543 0.984 -0.074 0.053 因子4 脱力感 *** 10.949 -0.849 -0.780 0.152 -0.862 因子5 快活さ Table 4 各クラスターの因子得点と分散分析結果 Figure 2-1 Type 1の各因子得点 -2 -1 0 1 2 Figure 2-2 Type 2の各因子得点 -2 -1 0 1 2 Figure 2-3 Type 3の各因子得点 -2 -1 0 1 2 Figure 2-4 Type 4の各因子得点 -2 -1 0 1 2

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 各クラスターにおける表現の使い分けの特徴を確認するため、因子得点を対象にクラスター (Type 1~4)と表現(美しい/素敵な/魅力的な)を要因とした4×3の分散分析を5つの因 子それぞれについて行った。この結果、2要因の交互作用が5因子全てについて1%水準で有意 であり、クラスターによって表現の捉え方が異なる、もしくは、表現によってクラスターの特徴 のあらわれ方が異なることが分かった。更に、各クラスターにおける表現の単純主効果を確認し たところ、Table 6に示すように、各クラスター、各因子において有意であることが判明した。 〈活発さ〉と〈美貌〉については、いずれのクラスターにおいても表現の主効果が有意であった 一方、〈脱力感〉と〈快活さ〉については差異が有意でない場合も多く、表現のニュアンスとし て機能する群と未分化のままの群があることが指摘できる。 3 3 各クラスターとその他の要素の連関  前項の分析により、表現の用い方の類型が抽出された。しかし、なぜそうした表現の個人差、 女性像の捉え方の違いが生じるのかは明らかでない。そこで、各クラスターが持つ表現の使い分 けに至る背景要因を探るため、本研究において調査した種々の要素との連関を分析した。 . その他 魅力的な女性像 素敵な女性像 美しい女性像 人数 クラスター 表現間差 小 全体的に低得点 高: 高: 高: 7 Type 1 低:美貌・品格・活発さ 低:美貌・品格 低:活発さ・美貌 表現間差 小 全体的に高得点 高:活発さ 高:活発さ 高:美貌 47 Type 2 低: 低: 低:活発さ 表現間差 大 「素敵な」に対して高 評価 高:脱力感 高:快活さ・脱力感 高: 10 Type 3 低:品格・快活さ・美貌 低:美貌 低:活発さ・品格 表現間差 大 「素敵な」に対して高 評価 高:美貌 高:活発さ・脱力感 高:美貌 13 Type 4 低:活発さ・快活さ・   脱力感 低:美貌・品格 低:活発さ Table 5 全体における各クラスターの特徴(群間比較) 表現の使い分けの特徴 快活さ 脱力感 品格 美貌 活発さ 「美しい」は「魅力的な」よりも活発で美貌と結びつきが強く、 品格がある。 n.s. n.s. ** ** * Type 1 「美しい」は他の2表現よりも活発、「素敵な」は他の2表現よ りも美貌との結びつきが弱い。 n.s. n.s. n.s. *** *** Type 2 「美しい」は他の2表現よりも活発でない一方で美貌があり、脱 力感とは関わりが低く、「素敵な」は他の2表現よりも品格や快 活さがある。 *** * * *** *** Type 3 「素敵な」は他の2表現よりも活発で快活、脱力感との結びつき が強い一方、美貌との結びつきが弱い。 *** *** ✝ *** *** Type 4 ※ ***p<.001,**p<.01,*p<.05,✝p<.10 Table 6 各クラスターにおける表現の使い分け(群内比較)

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3 3 1 自分自身に対する評価の総合点  3表現による各女性像に関する回答を求めた32項目に関し、回答者自身についても自己評価を 求めた(6件法)。3 1の記述の通り、1から6によって数値化した上で集計を行い、32項目の 合計点を4つのクラスタータイプで比較した(1要因分散分析)。この結果、クラスターの主効 果は有意でなく(F(3, 73)=0.878, n.s.)、クラスターによって32項目に対する自己評価に違いがある とは言えない結果となった。 3 3 2 美・健康に対する関心  美と健康のどちらに関心を寄せているかという質問に対する回答(5件法)を1~5により数 値化し、当該点を4クラスター間で比較した(1要因分散分析)。当該分析によるクラスターの 主効果は有意でなく(F(3, 73)=0.918, n.s.)、クラスターによる美・健康に対する関心の相違は指摘 できない結果であった。 3 3 3 外見・内面に対する意識  自身の外見と内面のどちらを意識しているかとの質問に対する回答(5件法)を1~5により 数値化し、当該値を4クラスター間で比較した(1要因分散分析)。クラスターの主効果は5% 水準において有意であり(F(3, 73)=3.875, p<.05)、自身の外見・内面に対する意識の在り方はクラ スターによって異なることが示された。Type 1が4群中最高値(3.286)を示し、Type 2 (2.596)、Type 3(2.500)、Type 4(2.000)の順に下がる傾向が見られ、当該値に対する多重比 較検定の結果、Type 1とType 4の間の差が有意であった(5%水準)。全体として因子得点が 低く「美しい」をその他2表現と区別するType 1は、「素敵な」を他の2表現と異なるニュア ンスで捉えるType 4に比して内面を重視する度合いが強いと言える。  Type 1はいずれの因子についても相対的に得点が低いが、特に美貌の得点が低い特徴があり、 一方のType 4は美貌に対する反応の強さが顕著であると言える(Table 4参照)。「美しい」「素 敵な」「魅力的な」女性像は他者について回答したものであるが、本結果は、自己に対する意識 の方向性とも連関があることを示唆する。すなわち、他者としての女性に対して外見に注目する 場合は、自己に対しても外見的要素に意識を向け、他者としての女性に対して外見以外の要素を 重視する場合は、自分自身についても内面的な部分を意識することが窺われる。 . . . . . . .

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3 3 4 自分自身の美しさに対する自信の度合い  回答者自身の美しさに対する自信について6段階(全く自信がない~非常に自信がある)によ り回答を求め、これに対し1~6の数値を充て集計した。当該点に対し、クラスターを要因とし た1要因分散分析を行った結果、主効果は有意でなく(F(3, 72)=0.849, n.s.)、クラスターによって 自身の美しさに対する自信の度合いに違いが存在するとは言えない結果となった。 3 3 5 各表現に適う存在の有無  各対象者が現実に接する女性の姿、在り様が、表現の使い分けに影響を与えることも考えられ る。既報においては、複数の因子についてスコアの高い「素敵な女性」について6割各表現の女 性が身近に存在するかどうかの回答を表現ごとにクロス集計したところ、Table 7のような集計 表が導出された。これらをもとにコレスポンデンス分析を行った結果、各1軸が抽出され、各ク ラスターと各表現に合った女性が身近にいるか否かの布置は次のFigure 3-1から3-3のように なった。数値を付したマーカーは各クラスター、○は「いる」、×は「いない」を示す。  Figure 2-1か ら2-4に 表される通 り、Type 1は「美しい」、Type 2は「魅力的」、Type 3と Type 4は「素敵な」において5因子スコアによる五角形が最も外側に大きく広がっており、複 数の因子における高スコアが特徴となっている。これらの特徴に対して、複数のポイントについ て要求水準が高いという解釈も成り立ち、身近な存在が「いる」という回答が難しくなると予想 することもできる。当該視点に立ちFigure 3-1から3-3において連関を点検したところ、明瞭な 対応関係を見出すことはできなかった。Figure 3-1では、Type 1を示す「1」と身近に「美し い」女性がいないことを示す「×」の近接が確認されたが、Figure 3-3では、Type 2を示す 「2」のマーカーが身近に「魅力的な」女性がいることを示す「○」の方にむしろ近接する結果 となった。更に、Figure 3-2では、Type 3を示す「3」とType 4を示す「4」はグラフの両端 に位置しており、各表現に関して複数要素に対する高水準の要求がある群は、当該表現を用いる べき身近な存在を認めにくい、という単純な説明はし難い分析結果となった。 . . . . 魅力的な女性 素敵な女性 美しい女性 Type 4 Type 3 Type 2 Type 1 Type 4 Type 3 Type 2 Type 1 Type 4 Type 3 Type 2 Type 1 11 7 29 5 7 4 23 3 8 5 32 5 いる 2 3 16 2 6 6 23 4 4 5 14 2 いない Table 7 クロス集計表(クラスター ×表現に適う存在の有無)

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4.今後の課題  本研究によって導き出された類型のうち、対象者の半数以上で構成されるType 2は、表現の 区別が比較的不明瞭であった。一方、最も表現の分化が進み、繊細なニュアンスを区別していた と言い得るのはType 3であるが、当該クラスターに含まれる対象者は僅か10名であった。筆者 が最も関心を抱くのは当該群である。本研究においては調査項目から背景要因を探索的に求めた ものの、明瞭な結果が得られなかったと言わざるを得ない。何が表現の区別に繋がるのか、どの ような要素が表現の使い分けへと繋がっていくのかは、新たな調査に基づき更なる研究を進めて いく必要がある。  20代から60代までの女性を対象とした調査において年齢による美しい女性像の変化が見出され ていることを踏まえれば(山田, 2018)、調査対象の年齢層の拡大により、表現の分化が進む様 がより明瞭に捉えられる可能性がある。要因として年齢を直接的に置くのではなく、各種の経験 や社会的役割、読書等の要素を設定し、全く新規の対象者に対し調査研究を行うことが今後の課 題である。 Figure 3-1 美しい女性の存在の有無とクラスター(コレスポンデンス分析) -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 1 2 3 4 Figure 3-2 素敵な女性の存在の有無とクラスター(コレスポンデンス分析) -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 1 2 3 4 Figure 3-3 魅力的な女性の存在の有無とクラスター(コレスポンデンス分析) -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 3 2 4

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5.まとめ  日本人女子学生87名を対象として女性に関する3種の表現(美しい/素敵な/魅力的な)につ いて調査を行い、表現の使い分けの類型について分析を行った結果、次のような傾向が認められ た。 1)対象者の半数以上は、「美しい」「素敵な」「魅力的な」の3表現を〈活発さ〉と〈美貌〉の 面だけで区別し、〈品格〉〈脱力感〉〈快活さ〉については大きな差異を捉えていない。 2)3表現を最も明瞭に区別する群においては、「美しい女性」と〈美貌〉、「素敵な女性」と 〈品格〉や〈快活さ〉、「魅力的な女性」と〈脱力感〉との結び付きの強さに特徴がある。 3)全体としてスコアが高く、特に「素敵な」という表現の得点の高さが顕著な群は、表現を問 わず全体としてスコアが低い群に比して自身の外見を意識する傾向が強い。

1.本研究は山田(2019a,2019b)と同一データに基づく。方法、対象者は全て山田(2019a,2019b) と共通である。

参考文献

山田雅子「女子短大生に見る現代女性の美人観」『埼玉女子短期大学研究紀要』 第18号,埼玉女子短 期大学,2007,pp.213-226. 山田雅子「日本人若年女性が抱く美的価値観の因子構造  構成要素の重視度に対するアプロー チ  」『埼玉女子短期大学研究紀要』第32号,埼玉女子短期大学,2015,pp.61-75. 山田雅子「日本人女性が抱く美しい女性像の年代間比較  年齢によって女性の美しさの基準は異な るのか  」『日本心理学会第82回大会発表論文集』日本心理学会,2018. 山田雅子「美しい/素敵な/魅力的な女性像の比較  日本人若年女性はどのように表現を使い分け ているのか  」『日本心理学会第83回大会発表論文集』日本心理学会,2019a.

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山田雅子「美しい/素敵な/魅力的な女性像の比較  日本人若年女性はどのように表現を使い分け ているのか  」『埼玉女子短期大学研究紀要』第40号,埼玉女子短期大学,2019b,pp.17-31. 山田雅子「日本人若年女性が抱く女性美の探索的調査(2)  女性美の構成要素  」『埼玉女子短

参照

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