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学生に選ばれる作業療法教育を目指して

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Academic year: 2021

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学生に選ばれる作業療法教育を目指して

は じ め に 2007年全入学問題は表面上は現実化しなかったよう に見える. しかし, 筆者が見聞したいくつかの作業療法 (以下,OT)養成 ではかなりの定員割れを起こしている という. OT 教育においてはすでにサバイバルが起こっ ているといえる. 少子化が進む中で, 今後, 優れた学生を 獲得し,輩出していくには大学のもつ「教育力」が重要に なると える. 問題基盤型学習 (以下, PBL) や客観的臨床能力試験 (OSCE), ジグソー学習 を初めとしてさまざまな新し い教育技法が提唱され, パーソナルコンピュータを活用 したメディア教材も進化しており, 学生教育を取り巻く 環境は日々変化している.高等教育にあっても「教育力」 を高めるために, 教育法に関する教員の研鑽は避けて通 れないものと える. PBLの教育効果に関する文献研究 PBL はこれまでの教育法とは一線を画す教育法とし て注目され, いくつかの先駆的大学で取り組まれ, 実践 報告はなされているが, その教育効果を 括的に明らか にしたものはなかった. そこで, PBL の教育効果や PBL を導入する際の問題点を検討すべく,日本の PBL 教育に 関する文献研究を行った. 医学中央雑誌 (Web版) に登録されている文献を対象 に, PBL , 問題解決型学習 , 問題基盤型学習 , テュートリアル 等をキーワードとして, 06年 2月末 時点で 96年からの 10年間の文献を検索した.結果,116 文献がヒットした. その中で, 医師, 歯科医師及び看護師 の養成教育における PBL 実践文献, PBL の特徴を満た し, 学生評価とその結果が示されているを条件に文献の り込みを行った結果 31文献が残り, それらについて 析を行った. 1.研究対象文献の概要 発表年では 96年− 98年まで該当文献はなく, 以降 99 年 4文献, 00年と 01年各 5文献, 02年 1文献, 03 年 4文献, 04年 10文献, 05年 2文献であった. 専攻別 では医師 7文献, 歯科医師 5文献, 看護師 17文献, 合同 が 2文献であった.所属施設 (養成学部)別では医師 7施 設, 歯科医師 3施設, 看護師 9 施設, 合同 1施設の計 20 施設であった. 研究手法は, 非 RCT4文献, 観察研究 27 文献であった. 学生評価法は 12種に 類でき, 累計で主 観的評価 50, 客観的評価 9 その他 3であった. 2.PBLの教育効果 PBL の教育効果は教授目標の 3領域の内, 認知領域 3 文献, 精神運動領域 1文献で検討されていたが, その教 育効果は明らかでなかった. 主体的学習項目 (問題解決, 自己学習, 統合的学習, 対人技能) の教育効果は計 24文 献で検討され, 特に主体的学習と対人技能で教育効果が あるとされていた. 3.PBLの問題点 1)PBLの教育効果の問題点 PBL は主体的学習や対人技能に効果があるとされる ものの, ①従来の教育法との対比研究がなされているも のが少ない, ②いわゆる学力試験との比較による教育効 果の検討がなされていない, ③教育効果とされるものの 407 Kitakanto Med J 2008;58:407∼408 1 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科心身障害作業療法学講座 平成20年7月22日 受付 論文別刷請求先 〒371-8514 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科心身障害作業療法学講座 山口 昇

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ほとんどが主体的学習項目について学生もしくは教員の 主観的評価によって判断したものである, 等の理由から 全般的な教育効果を保証できるとはいえないと えられ た. 2)PBL導入に伴う問題点 PBL を実施するに当たっては, テュータの養成やシナ リオの開発, 学習環境の整備も大きな問題である. しか し, 何よりも学生が自主的に学ぶ時間を保障する必要が あり, このためには学習項目の り込みやカリキュラム の再編成等を行う必要があり, これらについて学科もし くは学部の全体的な合意と取り組みが行えるかがその成 否を左右すると えられた. FD の取り組み 教員の「教育力」を高めるための取り組みとしてファ カルティ・ディベロップメント (faculty development; FD)がある.FD の訳語としては「教員の教育能力開発」, 「教授団の能力開発」,「大学教員研修」等が当てられる ことがあるが, 真の意味での FD はもっと広い概念をも つ.図は FD に関する文献 をもとに筆者がその内容を まとめ, 体図として示したものである. これらによれば, FD の究極の目的は学生の学習の質 の向上であり, 上述した教員の教師及の能力開発・改善 は, その目的を実現するための手段であると えられる. また,教授法等の研究・開発も FD 活動の一部であり,全 てではないといえる. FD の流れは教育機関の理念の検討から始まり, 教育 評価・フィードバックを通して再び教育理念の検討に戻 るという閉ループを構成している. さらに, FD は教員個 人の気づき・個人的取り組みによるところも大きいが, FD 活動が有効性をもち, かつ成功するには, 啓蒙活動や FD 活動・研修体制の組織化 (新任教員研修会の開催や教 員相互の授業参観・授業評価, 学生による授業評価と いった), 研修支援等全学的な理解や取り組み, 支援が不 可欠であるといえる. これらは教員個人一人が取り組む には限界があるといえる. お わ り に 07年度の大学院に加えて 08年度からは大学・短大に おいても FD が努力目標から義務化され, 各大学が特色 ある教育を目指して努力していくものと思われる. 学生 から選ばれる OT 教育を目指して, 個人的に教育力を高 める努力をするとともに, さらに積極的かつ活発な全学 的 FD 活動が実施されることを期待したい. 文 献 1. 吉岡守正, 東間 紘 監修 : チュートリアル教育. 篠原出 版新社, 1996. 2. 吉田一郎, 大西弘高 編集 : 実践 PBL チュートリアルガ イド. 南山堂, 2004. 3. 日本医学教育学会編集 : 基本的臨床技能の学び方・教え 方. 南山堂, 2002. 4. 筒井昌博編著 : ジグソー学習入門. 明治図書出版, 1999. 5. 緒方 巧, 他 : ジグソー学習法による基礎看護技術の修 得を高める教育研究. 藍野学院研究紀要 16: 54-62, 2002. 6. 山口 昇 : 作業療法教育への問題基盤型学習導入上の 慮点と対応. 新潟医療福祉大学修士論文, 2006. 7. 関 正夫 : 21世紀の大学像−歴 的・国際的視点からの 検討−. 玉川大学出版部, 1995. 8. 京都大学高等教育研究開発推進センター編 : 大学教育 学. 培風館, 2003. 9. 有本 章, 他 : 高等教育概論. ミネルヴァ書房, 2005. 学生に選ばれる作業療法教育を目指して 図 FD の 体図 408

参照

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