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A
超高速輸送機実用化開発調査
目
次
頁
1.
事業の目的・政策的位置付け………1
2.
研究開発目標………6
3.
成果、目標の達成度………11
4.
事業化、波及効果………80
5.
研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等………84
1. 事業の目的・政策的位置付け
1-1. 事業の目的
交通機関の歴史はすべて高速化による利便性の追求であるが、航空機はその最先端を行くもので あろう。1903 年に飛行したライト兄弟機以来、設計製造技術の発達により大型化・高速化を発展させ てきたが、レシプロエンジンからジェットエンジンに変わったことにより一段の飛躍をとげた。中でも 1976 年の超音速輸送機コンコルド就航はそれまでの速度を一挙に 2 倍以上に引き上げる画期的なも のであった。初の超音速旅客機に多くの期待が寄せられたが、環境適合性と経済性の問題から市場 に受け入れられず、わずか 16 機の量産で生産中止となり、2003 年には運航も中止となった。コンコル ドに先駆けて飛行した旧ソ連の Tu-144 も早々と運航を中止し、米国を挙げて開発していたボーイン グ 2707 も環境問題や資金難から中止されてしまった。それ以降、民間機については超音速機の開発 は行われず、亜音速領域での大型化と燃費向上による経済効率向上に力が注がれ、高速化は停滞 することになった。 近年 IT 技術の発達と共にメールでの連絡、電話会議等が盛んになり、直接会う必要性が薄れると の指摘もある。しかしながら依然として直接対話は重要であり、重要な議論ほどバーチャルには行え ない。また、現物を見て判断ということも重要性を増している。従って、ビジネスの世界でも航空機によ る移動が不要になると言うことはなく、移動時間の短縮にこそ力を注ぐべきであろう。 超大型旅客機 A380が開発されたが、大型化はほぼ上限に達した感がある。また最近では中型機 による長距離直行便が増加する傾向にあり、15,000km 以上の航続距離で米国―アジアを直行するこ とも可能となっている。しかし、このような十数時間におよぶ長時間飛行では乗客、乗員の負担は相 当大きいものになり、高速化による旅行時間の短縮の必要性はいよいよ高まってきている。 (図1-1-1) 航空機発達の今後の方向 1.0 2.0 飛行速度(マッハ数) 600 500 400 300 200 100 0 プロペラ機 機体規 模 ( 座 席 数 ) 高マッハ数 大型超音速機 3.0 今後の方向 超高速化超高速機
大型化・長距離化 亜音速超大型ジェット機 大型化 高速化 ジェット機 1.0 2.0 飛行速度(マッハ数) 600 500 400 300 200 100 0 プロペラ機 機体規 模 ( 座 席 数 ) 高マッハ数 大型超音速機 3.0 今後の方向 超高速化超高速機
大型化・長距離化 亜音速超大型ジェット機 大型化 高速化 ジェット機3-A-1
これまでも、平成元年から 13 年度まで実施された超音速輸送機開発調査において、主にマッハ 2.2 の機体仕様(米国ではマッハ 2.4 の機体)が検討され、多くの技術的知見が得られたが、マッハ 2 以上の次世代超音速輸送機実現にはまだまだ課題が多く、欧米各国とも開発には結びつかなかった。 その理由は、速度の増大とともにエンジン騒音の増加、機体重量の増加、燃料消費の悪化といった (これらは相乗効果的に増大する)コンコルドがクリアできなかったハードルが依然大きく立ちはだかっ ているためである。 コンコルドがニューヨーク-パリ、ロンドン間でしばらく運航を続けたが、これは政治的な妥協の産 物であり、現在、同じ機体を作っても環境基準を満足することはできず、また低い経済性から購入する エアラインもないであろう。しかしながら、逆に言うと環境適合性と経済性さえ満足すれば高速機が販 売できる可能性がある。そこで、本開発調査では、もう少し技術的に現実的な解としてマッハ 0.95 程 度の遷音速からマッハ 2.0 未満の超音速までの速度域で飛行する機体の研究にシフトすることにより、 第1世代機の問題点を克服する次世代の超高速輸送機について、市場性・需要性等の調査、各種 技術開発を行って、実用化の可能性を探ることが本事業の目的である。
1-2. 政策的位置付け
航空機は部品数だけでも十万点を越え、ハイテクの固まりと言われているが、高性能性、安全性、 高信頼性といった要求も他の分野と較べて非常に大きい。特に民間航空機は商業機としての経済性 を強く要求され、それが時として他の要求と相反するため非常な達成困難性を有する。 空力、材料・構造、システム、エンジンの全ての分野について統合的に技術向上を図らない限り、 競合機を凌駕する機体は開発できないが、超高速機では亜音速機と較べて遙かに高度な技術が必 要となる。 そのため、「航空機分野への導入シナリオ」でも装備技術、エンジン要素技術、材料・構造技術と 共に全機開発の中で超高速輸送機実用化開発調査が位置づけられている。技術戦略マップでも超 音速関連技術は開発必要技術として多く挙げられている。空力技術と異なり構造や装備技術では超 音速機に特有の技術は少ないが、高性能、安全、高信頼でかつ経済性に優れた超高速機への技術 的要求は亜音速機よりも更に高く、同じ技術分野でもより高度な技術達成度が必要となる。言い換え れば、超高速機技術開発の過程で生まれた技術は、超高速機への適用の前に亜音速機にも適用で きるものが有るということである。超高速機の実現にはまだ長い年月が必要であろうが、亜音速機への 波及も含めてきわめて有益である。 民間航空機の開発は近年、リスク分散のためサイズを問わず共同開発が主流である。ましてや超 高速機のような先進技術と多大な開発費を必要とし、事業リスクの高い機体開発では、より多くの国、 企業を巻き込んだ国際共同開発が必然である。したがって、我が国だけで超高速機を開発すると言う ことは考えにくく、国際共同開発となると思われる。しかしながら、従来技術では開発できない機体の 開発に参画するには相当な技術レベルに無い限り難しい。また、それを可能とする要素技術だけで3-A-2
なく、独自の機体案をも確立しておかない限り、主体的な参画は難しいであろう。第一世代超音速機 の開発で先行されているとはいえ、この領域は各国とも未知の分野が多く、後発の我が国にとっても 技術的な強みを獲得することは不可能ではない。 (図1-2-1) 技術戦略マップ 航空機分野への導入シナリオ なお、本開発調査では国内の関連機関と密接な連携を持って研究を行っている。 空力関連研究では(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と多くの共同研究を行っており、エンジン 関連では超音速輸送機用推進システム技術研究組合(ESPR)との間で機体要求に適合したエンジン 仕様の検討等を行っている。 また、これまでもボーイング社を始めとする国外関連機関との情報交換を行ってきたが、平成 17 年 度からは日仏航空宇宙工業会間で「超音速機技術に関する共同研究」の MOU が締結されたのを機 に、一部作業を EADS 社、エアバス社との間で共同研究を行うこととなった。コンコルドの経験を有す るフランスとの情報交換は今後の調査に大きく貢献すると考えられる。(図1-2-2参照) 今後ともこれらの国内外の関連機関との協力をバランス良く実施しながら、研究開発を続けることが 重要と考える。 我が国航空機産業が、基盤技術力を維持・強化し、さらに、その安全性技術、環境適合性技術、 軽量化技術、インテグレーション技術、低コスト化技術等による波及効果によって、他産業分野も含め
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た発展に寄与するため、超高速機研究開発をその突破口とすることは我が国の産業政策に合致する ものである。 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 マッハ0.98機調査 超音速機 機体・エンジン調査 (ESPR、JAXA) 小型超音速実験機研究 (JAXA) 超音速エンジン研究 (ESPR) ソニッククルーザー/SST(ボーイング) 空力技術等 共同研究 エンジン低騒音化技術 意見交換 エンジン 仕様検討 マッハ1.6機調査 静粛超音速技術研究開発 (JAXA) 空力、低騒音化技術 超音速輸送機技術 日仏研究協力 (図1-2-2) 超高速輸送機実用化開発調査および関連するプログラム
1-3. 国の関与の必要性
航空機産業は、高速・大量輸送を支える基幹産業であるとともに、空力、構造、装備等の最先端 システム技術を大量かつ高度にインテグレートする裾野の広いハイテク産業であることから、高度な 総合的技術力を有する国においてのみ成立が可能である。 また、航空機は最も重要な防衛装備の一つで、各国とも積極的な開発を行うとともに、その高度 技術情報開示に関しては厳格な秘密保持を行っている。そのため、必要な他国の先進技術情報を 得ることは難しく、独自技術の研究・開発が必要不可欠であることからも、航空機技術は直接・間接 に国の安全保障に直結する技術であると言える。 さらに、民間航空機開発は近年、エアライン間の競争激化や環境制約の高まりなどを受け、革新 的技術による運航性、経済性、環境適合性等の向上を強く求められている。その技術的困難性に 加え、いかに市場評価を徹底してもなおかつ変動する需要のもとで巨額の開発・販売コスト、長期 の開発期間及び資金の回収期間を必要とし、開発・事業リスクが極めて高いという特徴がある。この ため各国は、航空機産業を戦略産業として位置付け、積極的な支援を行っている。 欧米では、冷戦崩壊後の軍事支出縮減傾向に伴い、防衛依存度が低下する一方、民需分野に3-A-4
おける技術の更なる高度化、機体開発費の高騰等を背景として、企業体力・技術開発力の強化を 目指した大規模な合併や買収による企業統合に進展している。その結果、中・大型機分野では米 国ボーイングと欧州エアバスの巨大メーカーが市場を2分している状況である。また、小型機分野で も淘汰が進み、カナダのボンバルディア及びブラジルのエンブラエルが急激に成長した。 このようにメーカーの寡占化は進みつつあるが、新たにロシア及び、中国でも大きな国内需要を テコに新型旅客機開発に乗り出し、一角に食い込むことを目指している。 我が国でも MRJ の開発により再び機体開発への参画を果たしつつあるが、一方では、市場の確 保と開発リスクの分散から民間航空機開発は小型機といえども1国、1社では行えず、国際共同開 発が常識となっている。高度な航空機設計・製造技術をもってしなければとても競合機との競争に 勝てないため、パートナーとしてのプログラムへの参画にも経験に裏打ちされた高度な開発・設計・ 製造能力が必要とされている。 我が国は 767、777、787 の国際共同開発や MRJ 開発、および防需航空機の開発を通じて着実に 実力を付けつつあるが、今後の国際競争力を確保していくためには一層の技術基盤を確立してい くことが急務である。 特に超音速機関連技術は各国とも自国技術の国際競争力保護のため援助を行うとともに他国に は技術開示しない傾向がいよいよ強くなってきている。将来、必ず開始されるであろう超高速輸送 機の開発のための我が国の技術力、発言力を確保するため官民一体となって取り組むことが必要 である。
3-A-5
2. 研究開発目標
2-1. 研究開発目標
前述したように、航空機の発展は必然的にこれまでの大型化から高速性に向かうであろう。しかし ながら、いかに高速機と雖も高額な運賃では利用者は限られた富裕者しかない。コンコルドはファー ストクラス正規運賃のさらに 30%増しであった。我々の目指す超高速輸送機はだれでも利用できるレ ベルの飛行機である。 また、現在の民間航空機に対する要求はコンコルド時代とは較べものにならないくらい厳しくなっ ている。エアライン間の競争激化により収益性は低下し、淘汰が進んでいる。その中で割り増し運賃 を必要とする超高速機の需要を確保するには厳しい経済性の追求が必要である。 また、騒音を始めとする環境規制値も年々高くなってきており、コンコルドのような例外規定は許さ れない状況である。 本開発調査は機体開発そのものが目的ではないが、従来亜音速機より高い巡航速度と、長い航 続距離を有し、環境に適合する超高速輸送機の実現可能性を探ることが、研究開発目標である。2-2. 全体の目標設定
超高速機は亜音速機の二倍の速度で飛行するため、大きなエンジンが必要であり、どうしても相 対的に重く、燃費が悪くなり、同じ運賃は実現できない。これまで我々が行った国内外の主要エアラ イン調査では、格安運賃を利用するツーリストではなく、ある程度の割り増し運賃を許容できるビジネ ス客が主体であろうとの前提であるが、現状平均運賃(正規運賃ではない)の 1.3 倍程度なら良いだ ろうという意見が多かった。もちろん、飛行する路線により亜音速機との運賃比は変わってくるが、平 均で 1.3 倍の運賃倍率を達成する機体とすることを経済性目標とする。これが達成されれば相当数 の需要が存在し、亜音速機と両立して民間機として成立しうると考える。 経済性は民間機としての商品価値であるが、もう一方の要求は法律上の要求である安全性や環 境性がある。これを満足しないと機体の販売や運航は許可されない。安全性は最も重要な要求であ るが航空機として当然である。超高速輸送機にとって最も厳しい要求となるのは環境適合性であり、 その中でも空港騒音基準である。コンコルドの轟音は有名であるが、超高速機は大きなエンジンに よる大推力を必要とするため、離陸時の騒音は亜音速機と比較してかなり大きくなる。騒音基準は国 際民間航空機構(ICAO)で決定されるものであり、超高速機用の騒音基準はまだ存在しないが、お そらく亜音速機並を求められることになるであろう。経済性を受け入れるのは利用者であるが、騒音 は空港周辺住民である。したがって、環境適合性目標として、亜音速機並の騒音基準を達成するこ ととする。3-A-6
この2つの要求の前に安全性は最も重要な課題であるが、これは航空機一般の要求であり、安全 性を満足した上でという前提付きであるが、更に亜音速機より困難性が高い経済性と環境性の2つ を同時に満足出来ないかぎり超高速機は実現しない。特に環境基準は法律であり、わずかでも達 成できなければ承認は降りない。経済性も多少の幅はあるであろうが、よほど経済情勢が好転しな い限り、これ以上の運賃倍率はやはり許容されないであろう。(図2-2-1参照) これらを考慮し、全体の目標を表2-2-1に示すように設定した。 表2-2-1 全体の目標 目標・指標 (事後評価時点) 目標・指標 (中間評価時点) 設定理由・根拠等 従来亜音速機より高い巡航速度 を有し、しかも環境性要求に適 合し、亜音速機と競合しうる経済 性を有する超高速機の実現可能 性を明確化する。 国内外の航空会社の意見等を 聴取し、市場に受け入れられる 機体仕様要求案を策定する。 また、将来技術レベルを考慮し た機体仕様案すなわち目標機体 案を策定する。 要素研究に対しての目標を示す ため、及び、将来の国際共同開 発に対し主導的な立場で参画す るための独自の機体案を確立す る必要がある。 将来、超高速機を実用化するた めに必要と考えられる空力設計 技術、軽量・低コスト構造設計製 造技術の向上と実現への問題点 を検討する。 目標機体を成立させうる要素技 術の研究開発を行い、本格研究 開発に向け実現可能性と実現へ の問題点、さらなる開発課題を検 討する必要がある。 (図2-2-1)超高速機の達成目標(経済性と環境性) 平均運賃倍率 1.0 2.0 3.0 4.0 Chapter 4 亜音速機並み コンコルド 次世代SST 20dB以上の 騒音低減必要 現状平均運賃の 1.3倍程度を目標 空港騒音基準 ICAO騒音基準
?
平均運賃倍率 1.0 2.0 3.0 4.0 Chapter 4 亜音速機並み コンコルド 次世代SST 20dB以上の 騒音低減必要 現状平均運賃の 1.3倍程度を目標 空港騒音基準 ICAO騒音基準?
3-A-7
2-3. 個別要素技術の目標設定
前項で掲げた経済性と環境性の目標は、一般的に言って、お互いに相反する要求である。 俗に音の壁と言うように音速付近での急激な空気抵抗の増大のため、超音速機では亜音速機よ り大きなエンジンを必要とする。そのため、燃費は悪化し、燃料搭載量が増加し、さらに抵抗減少の 為に後退角が大きく薄い主翼を用いるため構造重量が増加する。また、エンジン出力の増加は騒 音の増大を生じ、空港騒音規制値を守るためには大きくて重い消音装置を装備しなくてはならない。 このことから、さらに重量が増加し、経済性が低下するという悪循環を繰り返すことになる。 経済性のためには低燃費化による燃料費の削減と機体・エンジンの低価格化が必要である。これ らは軽量化、低抵抗化、低コスト化により達成される。また、環境適合性のためにもやはり軽量化、低 抵抗化が必要になってくる。エンジン自身の低燃費化、低騒音化も必要である。(図2-3-1参照) このように機体としての全体目標達成のためには個別の構造、空力等の要素技術が改善されるこ とが必要であるが、これらは相反することが多い。それらをトレードしながらバランス良く解決していく ことが重要である。そのためには、まず、市場要求、機体仕様設定を含めた機体全体を統合した研 究、評価が必要となってくる。 本開発調査では以下の項目について表2-3-1に示すように個別の目標を設定するが、対象が あくまでも一つの機体であるため、これらの個別技術が組み合わされて前項の全体目標が達成され ることが必要である。 (1)機体統合企画・設計技術の開発 (2)遷・超音速域空力設計技術の開発 (3)軽量低コスト大型構造設計製造技術の開発3-A-8
表2-3-1 個別要素技術の目標 要素技術 目標・指標 (事後評価時点) 目標・指標 (中間評価時点) 設定理由・根拠等 機体統合企 画 ・ 設 計 技 術の開発 従来亜音速機より高 い巡航速度を有し、 し か も 環 境性 要 求 に適合し、亜音速機 と競合しうる経済性 を 有 す る 超 高 速 機 の 目 標 機 体 仕 様 、 目標性能を明確化 する。 国内外の航空会社の 意見等に基づき機体 仕様要求案を策定す る。 将来技術レベルを考 慮した目標機体を策 定 し 、 市 場 性 等 に つ いて検討する。 空力・構造・エンジン を統合的に検討し、成 立性評価、問題点等 を検討する。 運用者の要求に基づく機体仕様案を 策定し、更に運用性、経済性を検討し た上で運用者の評価を受けることが必 要である。 策定した機体を各要素技術研究の目 標機体とし、得られた要素技術成果を 機体に統合することにより、成立性の 評価、問題点、要改善点を検討するこ とが不可欠である。 遷 ・ 超 音 速 域空力設計 技術の開発 将 来 、 超 高 速 機 を 実 用 化 す る た め に 必要と考えられる空 力設計技術の向上 と 実 現 可 能 性 を 見 極める。 離着陸から超高速巡 航までのすべての速 度領域での機体として の最適化を行うため、 解析、試験技術を含 めた空力設計技術の 向上を図る。 超高速機は低速から、超音速までの広 い速度領域で良好な特性を有する必 要があり、解析、試験技術を含めた空 力 設 計 技 術全 般 の 向 上が 必 要 で あ る。 また、空力特性の向上は構造重量の 増加を招くことがあり、構造設計とのト レードによる全機的な最適化を図る必 要もある。 軽 量 ・ 低 コ ス ト 構 造 設 計製造技術 の開発 将 来 、 超 高 速 機 を 実 用 化 す る た め に 必要と考えられる軽 量・低コスト構造設 計製造技術の向上 と 実 現 可 能 性 を 見 極める。 主要な構造部位の最 適 構 造 様 式 を 検 討 し 、 必 要 な 設 計 技 術 の開発、問題点の検 討を行う。 超高速機の構造を低 コストで製造するため の構造方式、製造技 術 を 開 発 、問 題 点 の 検討を行う。 超高速機に特有な細長い胴体、薄い 主翼は構造重量の増大、コストの増加 を招き、亜音速機以上の軽量化、低コ スト化努力が必要であり、設計手法、 製造手法等の開発が必要である。 また、構造のみの改善は空力特性低 下 を 招 く こ と が あ り 、 空 力 特 性 と の ト レードによる全機的な最適化をも図る 必要がある。
3-A-9
(図2-3-1)経済性、環境適合性向上への方策 (図2-3-2)個別技術の関連性
低騒音化
低騒音化
低排出ガス
化
低排出ガス
化
低ソニックブーム
化
低ソニックブーム
化
高効率エンジン技術開発
高効率エンジン技術開発
環境影響を最小化
環境影響を最小化
低コスト製造技術開発
低コスト製造技術開発
低抵抗空力技術開発
低抵抗空力技術開発
軽量機体技術開発
軽量機体技術開発
経済的競争力
経済的競争力
低燃費化
低燃費化
低価格化
低価格化
騒音低減技術開発
騒音低減技術開発
低抵抗
化
低抵抗
化
軽量化
軽量化
低コスト
化
低コスト
化
低騒音化
低騒音化
低排出ガス
化
低排出ガス
化
低ソニックブーム
化
低ソニックブーム
化
高効率エンジン技術開発
高効率エンジン技術開発
環境影響を最小化
環境影響を最小化
低コスト製造技術開発
低コスト製造技術開発
低抵抗空力技術開発
低抵抗空力技術開発
軽量機体技術開発
軽量機体技術開発
経済的競争力
経済的競争力
低燃費化
低燃費化
低価格化
低価格化
騒音低減技術開発
騒音低減技術開発
低抵抗
化
低抵抗
化
軽量化
軽量化
低コスト
化
低コスト
化
市場性、運用性検討 目標機体検討 遷・超音速域空力 設計技術の開発 軽量低コスト大型構造 設計製造技術の開発 設計技術、解析技術 試験技術 設計技術、解析技術 製造技術、試験技術 重量・コスト-抵抗 トレードオフ 設計要求-重量・コスト トレードオフ 設計要求-形状・抵抗 トレードオフ 市場要求 機体性能評価 機体仕様、全機性能、 要素技術要求 市場要求調査 機体運用検討 機体統合企画・ 設計技術の開発 市場性、運用性検討 目標機体検討 遷・超音速域空力 設計技術の開発 軽量低コスト大型構造 設計製造技術の開発 設計技術、解析技術 試験技術 設計技術、解析技術 製造技術、試験技術 重量・コスト-抵抗 トレードオフ 設計要求-重量・コスト トレードオフ 設計要求-形状・抵抗 トレードオフ 市場要求 機体性能評価 機体仕様、全機性能、 要素技術要求 市場要求調査 機体運用検討 機体統合企画・ 設計技術の開発3-A-10
3.
成果、目標の達成度
3-1.
成果
3-1-1.
全体成果
以前(社)日本航空宇宙工業会が行った「超音速輸送機開発調査」(マッハ 2.2)の結果を踏まえ、 対象速度域をマッハ 0.95 から 2.0 未満に絞って調査研究を行った。結果的には 250 席クラスのマッ ハ 0.98 とマッハ 1.6 の2機種を選定し機体仕様、性能推算、要素研究を続けてきた。 (1)マッハ 0.98 遷音速機 マッハ 0.98 機は 251 席、航続距離 7,000nm(12,964km)に設定し、各要素研究の成果を盛り込ん だ結果、最大離陸重量は 275 トン(605,500lbs)、全長 71m、全幅 59m の機体となった。(図3-1-1 -1参照) この機体はマッハ 0.8 の現状亜音速機と比較すると速度では約 22%の増大であり、その 結果運航生産性が 18%向上する。また、座席当たりの運航費は 767-300ER と比較して機体価格/席 が同等で有れば 6%低減が可能である。例え機体価格/席が 30%増加しても運航費は同等となる。こ れらの数値を基に需要予測を行うと 20 年間で約 400 機~1,000 機程度の需要が有ると思われる。 しかしながら、エアラインの反応は昨今の経営状況の悪化もあって思わしいものではなかった。 一部のエアラインからは1~2時間の飛行時間短縮でも大いに効果があるとの評価が得られたが、 大多数の意見は、この程度の速度向上では運賃増は難しく、また新機材を導入することによるデメ 59 m 全幅 71 m 全長 54 トン x 2 エンジン推力 275 トン 最大離陸重量 251 席 座席数 7,000 nm 航続距離 0.98 巡航速度 (図3-1-1―1)マッハ 0.98 遷音速機の機体仕様マッハ0.98超高速機
3-A-11
リットの方が大きいとのことであった。この機体は比較的近い将来に可能になると言う位置づけである ため、エアラインの現在の経済状態では、より高価な機材に投資することは出来ないのが実情であ る。今後も改善の余地はあると考えるが、リソースの分散を避けるためにも、マッハ 0.98 機の検討は ひとまず置くことを決断した。しかし、構造等の検討は超音速機との共通部分も多く、充分に成果を 反映することが可能である。 (2)マッハ 1.6 超音速機 当初、マッハ 1.6 機は座席数 226 席、航続距離 6,000nm(11,112km)に設定して検討した結果、 最大離陸重量は 350 トン(771,000lbs)、全長 79m、全幅 42m の機体となった。その後、エアラインの 意見を踏まえシートピッチを拡大し、ビジネスクラスとプレミアム・エコノミを主体とした座席配置により 座席数を 150 席とし、更にエンジンの高バイパス化を図り、飛行ミッションプロファイルの最適化など により、最大離陸重量は 225 トン(495,000lb)、全長 79m、全幅 36m の機体となった。 マッハ 1.6 は現在の亜音速機のほぼ2倍の速度であり、海上が大部分のルートでは 45%の飛行時 間短縮が可能である。例えば、東京-ロサンゼルスでは現在の約11時間が約6時間に短縮される。 また、最も需要の多い大西洋路線であるニューヨーク-パリ、ロンドンでは 7.5 時間が4時間 10 分程 度に短縮される(コンコルドは3時間 45 分)。 この速度でも1日2往復が可能となり、運航生産性は 大きく改善される(図3-1-1-4、図3-1-1-5 参照)。欧米のエアライン調査では多数のエアライ ンがこの点を評価していた。また、航続距離を 6,000nm に設定したことにより、以前のマッハ 2.2 機の (図3-1-1-2)マッハ 1.6 超音速機の機体仕様 35.6 m 全幅 78.6 m 全長 25.7 トン x 4 エンジン推力 225 トン 最大離陸重量 150 席 座席数 11,700 km 航続距離 1.6 巡航速度
マッハ1.6超高速機
3-A-12
航続距離 5,500nm では不可能であった東京-ニューヨーク直行が可能となった 陸上部分はソニックブームの問題から飛行できない(法律で禁止されている)ため、亜音速で飛行 せねばならない。そのため陸上部分を多く含む路線では亜音速部分が多くなったり、洋上を大きく 迂回したりするため、飛行時間削減効果が少なくなる。東京-ニューヨークでは12時間半が9時間、 東京-パリではこれまでの約 11 時間半に対し8時間と 40%減以下となる。しかし、それでも3時間半 の削減は充分魅力があると考える。もし、法律が改正され超音速陸上飛行が許されるようになれば、 ソニックブームの影響のないマッハ 1.15~1.2 程度で飛行できるようになり、さらに1時間程度の飛行 時間短縮が可能となる。 ソニックブーム・シミュレータを用いたソニックブーム影響調査では 0.3psf 程度のブーム音圧であれ ば、波形の改善を行うことにより気にならないレベルまで下げられると思われるが、この機体のように 大型機ではマッハ 1.6 で陸上超音速飛行が可能になるほど低下できない。しかし、ブームが地上に 届かないであろうマッハ 1.15~1.2 程度まで上げられるならば時間短縮に大きな効果がある。 現在 ICAO では超音速機の環境基準を決めようとしている。その過程で、低ブームであれば超音 速陸上飛行が許可されるようになれば、我々の大型機にもメリットが出て来るであろう。
Block Time vs Cruise Speed
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 Cruise Speed ( Mach )
Block Time ( hour ) LAX-TYO(4,761nm) PAR-TYO(5,865nm) NYC-TYO(6,207nm) Mach 1.6 NYC-PAR(3,247nm) (図3-1-1-3)飛行マッハ数による飛行時間短縮効果
3-A-13
このように、マッハ 1.6 でも充分な速度向上効果があり、さらに速度の低下は重量軽減と経済性の 向上をもたらす。以前のマッハ 2.2 の機体とは機体サイズや航続距離が異なるので単純な比較はで きないが、同じ 300 席、5,500nm の機体をマッハ 2.2 からマッハ 1.6 にして性能計算を行ってみると、 座席当たりの燃料量は 5%減少することが可能となる。これは約 13 トンに相当する。 またマッハ 2.2 では空力加熱による機体表面温度は最大 150℃になり、材料は耐熱性が要求され るため耐熱複合材かチタン合金を用いる必要がある。しかし、マッハ 1.6 であれば表面温度は 60℃ 程度であり、通常の複合材やアルミ合金が使用できる。もちろん長期の高温暴露による影響は未知 であるため、最終的には試験による確認が必要であるが、これは強度、重量、コスト面で大きな利点 である。 もう一つのメリットは飛行速度低減によりエンジンのバイパス比を大きくでき、排気速度を下げられ る、すなわちジェット騒音を小さくできることである。これはコンコルドが達成できなかった騒音問題を 解決できる可能性があるということである。 ある程度バイパス比を大きくしてもエンジンだけで騒音レベルをクリアすることは難しいと思われ、 エジェクタ等の騒音軽減デバイスをエンジンに組み込む必要があるだろうが、少なくとも重量・コスト ペナルティを軽減することは可能であろう。 (図3-1-1-5)マッハ 1.2 と 1.6 でのニューヨーク-パリ運航スケジュール比較 1 3.2 8.0 12 7 .5 1 0.7 5 .8 7.5 4.1 0 5 10 1 5 Hou r T YO- NY TY O- Par is T YO- LA NY - Par is M ac h 1 .6 Su bso n ic (図3-1-1-4)マッハ 1.6 機の飛行時間短縮効果
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3-1-2. 個別要素技術成果 I.機体統合企画・設計技術の開発 (1) マッハ 0.98 機の検討 (ア)市場要求 巡航マッハ 0.98 の超高速輸送機仕様への市場要求としては、基本的には既存亜音速機への 要求を参考に、競争力のある仕様となるように設定した。この目標仕様を元に機体仕様検討、性 能計算を行い、最終的な機体仕様を設定する。 要求値 条 件 設計レンジ 7,000 nm Typical mission rules
ペイロード(標準仕様) 250 席 3 class seating at 210 lbs/席 巡航速度 マッハ 0.98 at Long Range Cruise
離陸距離 10,500 ft. 以下 at 最大離陸重量, SL, 86°F アプローチ速度 145 kt 以下 at 最大着陸重量, SL 初期巡航高度 41,000 ft. 以上 at 最大離陸重量, ISA + 10℃ ( 41,000/45,000 ft. ) at ステップ巡航高度 ワンエンジンアウト高度 16,000 ft. 以上 at 最大離陸重量, ISA + 10℃ 騒音値 Stage-4 以下 エミッション CAEP-4 以下 燃料消費量 767-300ER並 at 座席当り燃料消費量 経済性 767-300ERの at DOC per ASM
DOCより10%減 床下カーゴコンテナー LD-3 x 26 個以上
(図 3-1-2-1) 座席数-航続距離の他機例
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(イ)目標機体仕様 まず、諸元策定プログラムを用いて機体規模と性能を推算した。 その結果得られた機体仕様は、全幅 58.906m、全長 71.336m、エンジン長 15.726m、エンジン 取付け位置(STA/スパン方向)39.624/9.144m、エンジン最大直径 4.048m、胴体幅 5.36m、胴 体高 5.714m、水平尾翼幅 14.722m である。また、全高(地面から垂直尾翼)17.178m、エンジンと 地面の間隔 1.305m となった。 主脚位置(STA 方向)は 42.250m、主脚幅は 12.462m、前脚位置(STA 方向)は 11.256m とした。 主脚位置は平均空力翼弦(MAC)の 50~55%に位置するように検討したが、エンジン入り口より 前方に位置してしまう。エンジンへの異物混入を避けるためエンジン入り口よりも後方に配置した。 主脚幅は他機例より、重心から両車輪の開き角 90°とした。主脚長は着陸時の尾部下げ姿勢に おける尾部接地角と地面との間隔余裕と翼端角の交点とした。尾部接地角を 12~14°、他機例 より翼端角を 13.5°とし、両者の交点を元に主脚長を設定した。ただし、エンジンの取付け位置 が低すぎるため、この設定では着陸時にエンジン後方部が接地する可能性がある。前脚位置は 機体重量の約 10%を受持つ位置に設定した。主脚は他機例と全機体重量の 90%を支えること から、タイヤサイズ 50x18(in)の全 12 輪とし、前脚はタイヤサイズ 40x14(in)の2輪とした。 (図3-1-2-2)マッハ 0.98 機 三面図
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(表 3-1-2-1) マッハ 0.98 目標機 諸元表 主要諸元性能 備考 全長 71.34 (m) 234.04 (ft) 全幅 58.91 (m) 193.26 (ft) 全高 17.18 (m) 56.36 (ft) 最大離陸重量 275 (ton) 605,500 (lbs) 最大着陸重量 199 (ton) 438,700 (lbs) 運用自重 137 (ton) 301,700 (lbs) 巡航速度 マッハ0.98 巡航高度 12,497 (m) 41,000 (ft) 標準ミッションでのステップ前巡航高度 13,716 (m) 45,000 (ft) 標準ミッションでのステップ後巡航高度 巡航時揚抗比 15.86 (ND) 巡航時SFC 0.556 (1/hr) 航続距離 12,964 (km) 7,000 (nm) 標準ミッション 主翼諸元 スパン長 58.91 (m) 193.26 (ft) アスペクト比 4.18 (ND) 前縁後退角 65.7/43.0/33.0 (deg) コード長 翼根部 35.29 (m) 115.76 (ft) 翼端部 2.72 (m) 8.91 (ft) テーパ比 0.077 (ND) 翼厚比 翼根部 0.038 (ND) 翼端部 0.030 (ND) 面積 831 (m2) 8,945 (ft2) 取り付け角 0.00 (deg) 未検討 ねじり下げ角 0.00 (deg) 未検討 断面形状 Garabedian-Korn-75-06-12をベースに変形 胴体 胴体長 71.34 (m) 234.04 (ft) 最大幅 5.36 (m) 17.58 (ft) LD-3コンテナが2列で搭載できるサイズ 最大高 5.71 (m) 18.75 (ft) 機首部 Fineness Ratio 6.00 (ND) 胴体一様部直径に対する機首絞り部長さの比率 尾部 Fineness Ratio 5.40 (ND) 胴体一様部直径に対する尾部絞り部長さの比率 水平尾翼 スパン長 14.72 (m) 48.30 (ft) アスペクト比 2.00 (ND) 前縁後退角 55.0 (deg) コード長 翼根部 12.62 (m) 41.40 (ft) 翼端部 2.10 (m) 6.90 (ft) テーパ比 0.167 (ND) 翼厚比 0.040 (ND) 面積 108 (m2) 1,166 (ft2) 取り付け角 0.00 (deg) 未検討 垂直尾翼 スパン長 7.95 (m) 26.08 (ft) アスペクト比 1.00 (ND) 前縁後退角 55.0 (deg) コード長 翼根部 13.63 (m) 44.70 (ft) 翼端部 2.27 (m) 7.45 (ft) テーパ比 0.167 (ND) 翼厚比 0.040 (ND) 面積 63 (m2) 680 (ft2) 取り付け角 0.00 (deg) 未検討 その他 尻擦り角 TBD (deg) 未検討 エンジン 型式 超高速輸送機用エンジン 推力 527 (kN/基) 118,400 (lbs/基)
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(ウ)室内配置
まず、市場要求値であるファースト、ビジネス、エコノミークラスの 3 クラス配置で合計 250 席が 配置可能な座席配置を検討した。機体仕様検討で設定された胴体内(胴体幅 5.360m)に配置で きる各クラスで可能な座席幅、通路幅を下記のように設定した。
2列座席幅(inch) 通路幅(inch) 座席ピッチ(inch) ファースト: 52.0 22.0 50.0 ビジネス : 48.0 22.0 38.0 エコノミー: 43.0 20.0 32.0
各クラスにおけるトイレ、ギャレーカート、アテンダント席の数は他機並みになるよう選定した。
座席数 席数/Toilet G.Cart/席数 席数/A.seat ファースト: 12 6.0 0.667 6.0 ビジネス : 54 18.0 0.278 27.0 エコノミー: 185 37.0 0.086 30.8 合 計 : 251 25.1 0.155 25.1 床下貨物室へのカーゴコンテナー搭載数は現用ワイド・ボディ-機並みの LD-3 コンテナが 26 個以上搭載できるように検討した結果、LD-3 は床下貨物室に並列に2個が搭載すると前方貨 物室に 18 個そして後方貨物室に 14 個の合計 32 個の搭載が可能であった。 ただし、これは特に床下コンパートメントには補助燃料タンクを考慮していない場合なので、床 下にも燃料タンクが必要になればコンテナ数は減ることになる。 (図 3-1-2-3)マッハ 0.98 超高速機の 3 クラス客席配置
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(エ)構造配置 胴体構造は約 610mm(24in)のピッチのフレームに対して、ストリンガを約 250mm(10in)ピッチに 配置した。外板は板厚 1.5mm 程度、フレーム高さ 120mm(外板から 150mm)、ストリンガ高さ 30mm とした。メインフレームは主翼、尾翼、脚の取付け部に配置した。与圧胴体は前脚室、中央翼、主 脚室を除き STA 1440~STA 56784 とし、前方、後方に与圧隔壁を設けた。 (図 3-1-2-4)胴体構造配置図 主翼構造は、前桁、後桁に囲まれた桁間、前縁、後縁、前縁と前桁の間はストレーキ構造でド ライエリアとした。また、後縁にはエルロン、インナー/アウターフラップ、スポイラを配置した。後 桁はエルロン、フラップ、スポイラに沿って、スパン方向 0.97 からルート部、中央翼に配置した。前 桁は必要燃料タンク容量を満足するよう配置した。 桁間構造は薄翼のため、構造効率の観点と桁間組立作業性/整備性の観点から次の5分割 とした。 ・中央翼と外翼内側部:中央翼を間に両外翼のエンジン取付け位置(スパン方向 0.31) 後桁、前桁の間に後桁と平行に 2 本の中間桁、コード方向には約 770~810mm(30~ 32in)ピッチでリブを配置した。各桁間には約 200mm(8in)ピッチでストリンガを配置した。 ・外翼中央部:スパン方向 0.31 から 0.62 後桁、前桁、中間桁の間に後桁と平行に約 820~1030mm(32~40in)ピッチで桁を配置 したマルチスパー構造とした。後縁の機構取付けを考慮して間にリブを 2 本配置した。主 翼桁間のスパン方向 0.32 までを燃料タンクとする。要求仕様の必要燃料容量 38,400 US.g(約 145m3)に対し、ウェットエリアは約 182m3 である。 ・外翼外側部:スパン方向 0.62 から 0.97 最も薄翼のであるこの部分は、スパン方向 0.62 で平均 186mm、スパン方向 0.97 では 88mm という板厚である。アクセス性が悪く、また高い剛性もが必要なため、ハニカムサン ドイッチパネルと 3 本の中間桁を配置する構造とした。また、この部分はドライエリアとし た。
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ストレーキはドライエリアとし、種々の機器等を搭載できるよう考慮した。 (図 3-1-2-5)主翼構造配置図 水平尾翼構造は昇降舵の配置を決定し、後桁、前桁の 2 本桁を通し、桁間をマルチリブ+ス キン/ストリンガ構造とした。主翼と同様に中央翼で外翼を支える構造とした。昇降舵は水平尾翼 面積の 25%、前縁を 35%とした。 垂直尾翼構造は方向舵の配置を決定し、後桁、前桁の 2 本桁を通し、桁間をマルチリブ+ス キン/ストリンガ構造とした。方向舵は垂直尾翼面積の 32%、前縁を 21%とした。 巡航速度 0.98 で飛行する輸送機では、一般部には耐熱性は要求されないので、構造重量の 軽減のためエポキシ系複合材とアルミニウム合金を中心に適用する。エンジンまわりの構造等の 高温部や主脚まわり取付け金具の高応力部のような限られた部分にチタン合金を適用した。高 剛性、高強度が要求される脚構造には、合金鋼を適用する。 (オ)運航生産性 超高速機では巡航速度の増加により従来機に較べて短時間で目的地に到達する、すなわち 運用時間が短くて済むため、エアラインでの運航生産性が向上する。これは飛行時間に比例す
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るコストが減少することになる。また、1機の機体だけではただ飛行時間が少なくなるだけであるが、 通常エアラインでは数機~数 10 機のオーダーで運用するため、亜音速機より少ない機体で全体 のルートをカバー出来ることになる。 各路線で2地点間を往復運航させた場合、例えば区間距離 3,370nm では巡航マッハ 0.80 の 従来型機に対する超高速機の運航生産性は、マッハ 0.90 まで巡航速度を速めた機体は約 11%、 更にマッハ 0.98 になると 18%程度まで向上する。 更に、2地点間の往復運航だけでなく時間をより有効に使える多路線の放射状運航を行うなら ば、必要機数がマッハ 0.80 従来型機で 6.3%減、マッハ 0.90 機体で 6.8%減、そしてマッハ 0.98 超高速機で 8.7%削減され、スピードアップと共に運航効率が向上する。従って、運航生産性は マッハ 0.90 機体では 0.6%程の改善しかないが、マッハ 0.98 超高速機ならば約 3%アップして約 21%の向上となる。 この生産性向上により従来亜音速機より必要機数が減ることになり、運航コストが減少する。 (図 3-1-2-6) マッハ 0.98 超高速機の運航生産性 (カ)市場性評価 超高速機の市場はボーイングの 767 やエアバスの A330-200 といった既存機が運航されてい る 250 席クラス(230~309 席)に属し、2003 年末で 1,197 機が運航されているが、20 年後には 3,370 機に増加し、需要は 2,900 機と予測されている(この予測には超高速機の出現は含まれて いない)。この基本的な予測をベースとして、超高速機が市場に投入されるいくつかのシナリオを 0.95 1.00 1.05 1.10 1.15 1.20 1.25 0.75 0.80 0.85 0.90 0.95 1.00 1.05 巡航マッハ 運航 生産性 280 300 320 340 360 380 400 必要 機数 運航生産性 往復運航のみ 放射状運航含む 必要機数 放射状運航含む 往復運航のみ -6.3 % -6.8 % -8.7 %
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想定し、M0.98 機の需要予測を行なった結果、2004 年から 2023 年の 20 年間で最低でも約 500 機から最大で約 1,600 機の需要があると思われた。 しかしながら、国内外のエアライン調査での結果は、経済状態の悪化もあり、この M0.98 程度 の運航生産性の向上では新型機の購入をためらうエアラインが多かった。特にボーイングのソ ニッククルーザー計画が中断したこともありエアラインは 787 等の経済性重視の機体に目を向け 始めていた。一方 M1.6 超音速機に対しては、将来の機体としながらも、2 倍の高速性から経済性 が向上するなら期待が持てるとの好意的な意見が多かった。そのため、M0.98 機の検討は打ち切 り、今後は M1.6 超音速機の検討に注力することとした。 しかし、構造やシステムは同様の技術が適用でき、市場の要求が変わってきたときには、いつ でも M0.98 機に対応できるよう意識すべきである。