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ラグビートップリーグにおけるファンイベントと観戦意図に関する研究:神戸製鋼コベルコスティーラーズに着目して

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【研究資料】

ラグビートップリーグにおける

ファンイベントと観戦意図に関する研究:

神戸製鋼コベルコスティーラーズに着目して

山口志郎

1)

 石黒哲朗

2)

 山口泰雄

3)

A study of Fan Events and Attendance Intention in Japan Rugby Top League:

Focusing on the Kobe Steel Kobelco Steelers

1)笹川スポーツ財団 2)神戸大学発達科学部 3)神戸大学大学院人間発達環境学研究科

連絡先: 山口志郎

笹川スポーツ財団

〒 105-0001 東京都港区虎ノ門 1-15-16

Address Correspondence to:

Shiro Yamaguchi, Sasakawa Sports Foundation

Kaiyo Senpaku Building, 1-15-16, Toranomon, Minato-ku, Tokyo 105-0001, Japan

E-mail: shiro.y621@nifty.com

Abstract

Despite the increasing study of spectator sports, little attention has been given to the study of fan services in Japan. The purpose of this study was to examine the hypothesized model, which explains the relationships between event satisfaction, team identification and attendance intentions. Data were collected from 211 participants at the Kobelco rugby festival 2010 in Kobe. The data were analyzed using correlation and multiple regression analyses. The results indicate that event satisfaction does not have a direct impact on attendance intentions, although it has an indirect effect on attendance intentions via team identification. The findings suggest that sport marketers should pay more attention to the satisfaction for fan events. Furthermore, it is necessary for sport marketers to take a more favorable approach in order to enhance team identification. Future research and managerial implications were also discussed.

Key words: fan event, event satisfaction, team identification, attendance intention, Kobe Steel Kobelco Steelers

キーワード:ファンイベント、イベントの満足度、チーム・アイデンティフィケーション、       観戦意図、神戸製鋼コベルコスティーラーズ

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緒 言

近年、日本では「するスポーツ」と共に「みる スポーツ」への関心が高まっている。サッカーに おいては、1993 年 4 月の日本プロサッカーリー グ開幕を契機に、2002 年 FIFA World Cup Korea / Japan の 開 催、2010 年 FIFA World Cup South Africa でのベスト 16 進出、AFC Asian Cup Qatar 2011 優勝などメディアに取り上げられる機会が 増加し、するスポーツに留まらず、みるスポー ツとしての人気も博してきた。また、野球にお いては、2004 年プレーオフ導入、2005 年セパ 交流戦開始、同年四国アイルランドリーグ開幕、 2007 年、2009 年 World Baseball Classic 優 勝 な ど様々な取り組みと功績を残し、ファン獲得・維 持に努めてきた。 そうした中、ラグビーにおいては、2003 年ジ ャパンラグビートップリーグ(以下「トップリー グ」と略す)の発足を皮切りに、2019 年 Rugby World Cup(以下「ワールドカップ」と略す)の 開催が決定した。これまでのワールドカップは、 欧州もしくは南半球におけるラグビーの盛んな 地域のみで開催が行われてきた。ラグビー「途 上国」である日本開催は、国際ラグビー評議会 (以下「IRB」と略す)にとっても初めてであり、 IRB が掲げるラグビー普及の重要な大会と位置付 けることができる。しかしながら、ワールドカッ プ開催には、大きな問題点が垣間見える。それは、 大会の収入源である。IRB は、ワールドカップの 開催において、入場料収入だけで賄わなければな らない規約を定めており、もし赤字が出た場合に は、開催国の政府などが補てんする「財務保証」 を IRB に提示しなければならない。日本政府の 代償として、スポーツ振興くじ(toto)の収益か ら、最大 36 億円の国際大会助成が計上されるな ど、大会開催へのプロセスと運営が注目される(独 立行政法人日本スポーツ振興センター,2011)。 日本ラグビーフットボール協会(以下「JRFU」 と略す)によると、2019 年大会の開催予算を 約 300 億円と見積もっており、これを入場料収 入だけで確保するためには、平均 85% 前後の観 客動員が必要だと指摘している(日本経済新聞, 2010)。大野(2007)によると、プロスポーツ経 営において、潜在的な観客の観戦誘因、観客の再 観戦意図を高めることは極めて重要な経営課題だ と述べている。したがって、今後みるスポーツと しての観客動員数の確保はもちろんのこと、ラグ ビー人口の拡大を推し進める必要もある。 しかしながら、日本においてラグビー人気は 衰退していると言われている。JRFU によると、 2009 年の日本体育協会登録者数は、127,343 人 となっており、ピーク時の 1990 年と比べると約 2 分の 1 となっている。また、笹川スポーツ財 団(2010)によると、2010 年の推計観戦人口は 125 万人となっており、2008 年の 134 万人と 比べると、約 9 万人減少している。そして、ト ップリーグによると、2010 年度トップリーグの 年間観客動員数は、347,612 人と推計しており、 2009 年度の 349,243 人と比べると、微量なが ら減少傾向にある。確かにトップリーグ発足時に 比べれば、観客動員数は増加しているものの、わ が国で人気の高いサッカーや野球に比べると、十 分な人気の獲得ができているとは言い難い。 こうした中、JRFU だけでなく、各チームも人 気の獲得及び観客動員数の確保の重要性は感じて おり、現在様々なファンサービスを行っている。 本研究の対象である神戸製鋼コベルコスティーラ ーズでは、トップリーグ発足初年度の 2003 年シ ーズンから 2010 年シーズンまで、7 年連続でベ ストファンサービス賞を受賞しており、積極的に ファンサービスを実施しているチームと言える。 例えば、ファンクラブを対象にアフターマッチフ ァンクション(試合終了後に行われるラグビーで は恒例のチーム交歓会)への招待や、試合への無 料招待及び選手との交流イベント・ファン感謝祭 などを行っている。 原田(2008)は、クラブとファンの強固な関係 を築くためには、ファンと継続的に接触する必要 があると述べており、特に公式な試合以外の双方 向コミュニケーションの確立が必要だと指摘して いる。また、松岡(2008)によると、スポーツフ

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ァンは、一般的な消費者と異なった行動を起こさ せる要因を持っており、それがファンのチームに 対する心理的なコミットメントであると述べてい る。Milne and McDonald(1999)によると、スポ ーツは、高いレベルの感情的な結合と一体感を喚 起させるものであり、そこが他の娯楽とは異なる と指摘し、またファンのチーム・アイデンティフ ィケーションを高めるためには、チームや選手と の接触の機会を提供することが必要だと述べてい る。特に、アイデンティフィケーションが低いフ ァンに対して、ファンサービス(e.g., パーティー、 観戦者との交流)を提供することは、スポーツ娯 楽体験として最も重要であり、そうした娯楽的価 値や社会機会は、チーム・アイデンティフィケー ションの増大を導くものとして注目すべきだと指 摘している。つまり、ファンサービスを行うこと は、チーム・アイデンティフィケーションを高め る有効な手段であることが推察される。 チーム・アイデンティフィケーションは、元々 ソーシャル・アイデンティフィケーションから派 出した理論である。ソーシャル・アイデンティ フィケーションとは、ある特定のグループに自己 を投射することにより、自らの自尊心を高め、グ ループを肯定的に評価すると理論づけられてい る(Hogg and Turner, 1985; Tajfel and Turner, 1986; Turner, 1975)。それらの理論を基に、1990 年代 から多くの研究者が、チーム・アイデンティフ ィケーションの研究を推し進め、現在は、「ファ ンがスポーツチームに対して持つ心理的な愛着」 と定義されており(Wann, 1997, p.331)、ファン の行動的、感情的、そして認知的な反応に関す る重要な調整変数だと言われている(Wann and Branscombe, 1995)。Matsuoka et al.(2003) は、J リーグ観戦者を対象に、チーム・アイデンティフ ィケーションと観戦に対する満足度が観戦意図に 影響を及ぼすことを報告している。以上のことか ら、ファンサービスを充実させるだけでなく、チ ーム・アイデンティフィケーションを高めること は、観戦者をスタジアムに来場させる上で、重要 となることが考えられる。 これまでスポーツ消費者、特にみるスポー ツに関する研究では、観戦動機に関する研究 (Funk et al., 2002, 2009; 松 岡 ほ か,2002; Milne

and McDonald, 1999; Trail and James, 2001; Wann, 1995)、スポーツチームのブランド連想に関する 研 究(Bauer et al., 2008; Gladden and Funk, 2001; Ross, 2007)、スポーツイベントやスタジアム観 戦の顧客満足に関する研究(秋吉ほか,2007; Larson and Steinman, 2009; Madrigal, 1995; Tsuji et al., 2007; Yoshida and James, 2010, 2011)は数多く 行われてきた。また、ラグビーのトップリーグ を対象とした研究は、いくつか報告されている (中植,2006;高田ほか,2008)。そして、ファン サービスを扱った研究は、Ferreira and Armstrong (2004)によって報告されているものの、本研究 が対象とするファンサービスのイベント参加者に 着目した研究は、これまで松井(2006)の研究報 告以外ほとんど行われていないのが現状である。 本研究では、ベストファンサービス賞を受賞して いる神戸製鋼コベルコスティーラーズのファンサ ービスの 1 つであるファン感謝祭(コベルコラ グビーフェスティバル 2010)に着目し、神戸製 鋼コベルコスティーラーズ協力の下、本研究に着 手することとした。なお本研究では、ファンサー ビスの 1 つであるファン感謝祭をファンイベン トと操作定義し、論を進めることとした。そこで、 本研究では、神戸製鋼コベルコスティーラーズの ファンイベントの満足度が、チーム・アイデンテ ィフィケーション及び観戦意図に影響を及ぼすか を明らかにすることを目的とする。 トップリーグと 神戸製鋼コベルコスティーラーズ トップリーグは、日本における社会人ラグビー の全国リーグである。トップリーグ発足以前は、 各地域リーグと全国社会人ラグビーフットボール 大会が行われていたが、2003 ― 2004 シーズン より各リーグが統合され、トップリーグ発足の流 れに至った。14 チームによる 1 回戦総当りのリ ーグ戦、リーグ戦上位 4 チームによるトーナメ ントのトップリーグプレーオフから構成されてい

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る。トップリーグの目標は、1)日本ラグビーの トッププレーヤーを強化する、2)日本ラグビー の水準向上に貢献する、3)ラグビーファン拡大 への牽引役となる、である。2010 ― 2011 シー ズンは、2019 年ワールドカップ成功に向け、ラ グビーの魅力をより多くのファンと分かち合うこ とを目的に、今シーズンの総入場者数を目標 40 万人に設定し、目標達成に向けた取り組みとして、 「40 万人トライ!プロジェクト」を実施した。「40 万人トライ!プロジェクト」は、ジャパンラグビ ーモバイルクラブ会員を対象に、開幕節の観戦ビ ギナー招待キャンペーンや、ラグビーワールドカ ップ 2011 の観戦ツアーが当たる「ステージ達成 感謝!プレゼント」などの取り組みを行い、入場 者数の拡大に努めた。残念ながら、今シーズンの 入場者数は、347,612 人と目標数値には届かな かったものの、トップリーグ全体としてファンサ ービスを実施し、ファン獲得に努めている。 そうした中で、本研究が対象とする神戸製鋼コ ベルコスティーラーズは、兵庫県神戸市を本拠地 とするトップリーグチームの 1 つである。1928 年に創部され、1988 年から 1995 年まで神戸製 鋼所ラグビー部として関西社会人リーグ、全国社 会人大会、日本選手権の 3 冠(7 連覇)を達成した。 2003 ― 2004 シーズンに始まったトップリーグ では最終節に逆転し、初代リーグチャンピオンと なった。活動の目的は、「我々は、常にラグビー 界の先駆者であり、常に勝利を追求する集団であ る。これらの 志 情熱こそが我々の原動力とな る」となっており、チーム強化と地域社会への貢 献を活動内容としている。神戸製鋼コベルコステ ィーラーズ ANNUAL REPORT(2011)によると、 2010 ― 2011 シーズンの観客動員数は、83,249 人となっており(14 チーム中 2 位)、オフィシ ャルサイトの月平均アクセス数は、約 84 万ペー ジビュー、ケータイサイトの登録会員数は 4,424 人に上る。また、2011 年 3 月 31 日現在のファ ンクラブ会員数は、9,068 人(一般会員 8,334 人、 ジュニア会員 734 人)である。 神戸製鋼コベルコスティーラーズがファンサー ビスに力を注ぐ背景には、1995 年に発生した阪 神・淡路大震災が関係している。阪神・淡路大震 災において、練習場の灘浜グラウンドが液状化現 象に見舞われ、それらをきっかけとして、単なる 企業内のチームとしてではなく、地域密着型のチ ーム運営を目指し活動を行う方向性を定めた。そ 表 1 ファンサービスの年間スケジュール 日程 ファンサービス概要 7 月 11 日(日) コベルコラグビーフェスティバル 2010 9 月 4 日(土) トップリーグ 2010-2011 開幕キャンペーン 9 月 12 日(日) 第 2 節・第 9 節にて応援バスツアーを催行 9 月 18 日(土) 第 3 節 vs トヨタ自動車ヴィルブリッジ戦にて「コーロクンとジャンケン大会」を実施 10 月 3 日(日) 第 4 節、第 5 節、第 6 節にて「関西応援キャンペーン!スタンプラリー」を実施 10 月 3 日(日) 第 4 節 vs 近鉄ライナーズ戦の試合前にキリンビバレッジ社プレゼンツ「KIRIN 午後の紅茶祭り」を実施 12 月 5 日(日) 第 9 節 vs リコーブラックラムズ戦よりブランケット貸出サービスを開始 12 月 19 日(日) ホームゲームスタジアム スタジアムキャンペーン(第 11 節、第 12 節、第 13 節) 主な催し物:  全日本空輸(ANA)とのコラボ企画『ANA「鋼の翼」応援企画!銅の戦士に勝利の翼を!』を実施  キリンビバレッジ社プレゼンツ「KIRIN 午後の紅茶祭り」を実施  ホームスタジアム神戸 1 階「ウイングギャラリー」において「コベルコスティラーズ特別展」を開催  その他、サプライズアトラクションや限定販売、お年玉プレゼントなどを実施 12 月 25 日(土) 1 月 9 日(日) 12 月 25 日(日) ファンクラブ(一般)会員様を対象に「ファンクラブイベント∼クリスマスパーティー」を実施 12 月 30 日(木) ファンクラブジュニア会員 10 組様を「餅つき大会」にご招待 2 月 19 日(土) 日本選手権大会準決勝にて、大畑大介選手がシェイクハンズを実施 3 月 19 日(土) ファンクラブ会員様を対象に「kobelco Steelers チャリティー交流会」を開催 備考;その他、地域社会との交流・社会貢献、ラグビー普及・イベント、スクール事業など様々な取り組みを行っている。

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の結果、年間を通して、様々なファンサービスを 実施し、ファン獲得と維持に努めたことで、「 ベ ストファンサービス賞 」 を 7 年連続受賞してい る。表 1 には、神戸製鋼コベルコスティーラー ズファンサービスの年間スケジュールを記載し た。 先行研究の検討 1.ファンサービスとファンイベント ファンサービスの範疇は広範囲に渡っており、 それらを定義することは大変難しい。例えば、時 間軸で言えば、試合前、試合中、試合後、また試 合のない日にもファンサービスは行われている。 また、ファンサービスのプロダクトで言えば、プ レゼントの配布、選手のサイン会、球場の改修、 様々なイベント(ファンイベント・チャリティ ーイベント)の催し物、小学校・中学校などへの 学校訪問など様々である(月刊体育施設,2008)。 そこで本研究では、神戸製鋼コベルコスティーラ ーズのファンサービスの 1 つであるファンイベ ントに着目し、研究結果を明らかにすることとし た。その理由として、ファンイベントの根本にあ るスポーツイベントとは、「ルールに基づいて身 体的能力・技術を競い合うための機会を組織化し、 それらの本質的要素が最も顕在化される場」(笹 川スポーツ財団,2011,p.164)と言われており、 神戸製鋼コベルコスティーラーズの選手とファン がイベントを通して接することで、ラグビー競技 という本質的な魅力を提供できるのはもちろんの こと、選手達の身体的能力・技術の理解にも繋が る。こうした取り組みは、ファンをスタジアムへ 足を運んでもらう上で、有効なツールになると考 えられる。 そこで本研究では、笹川スポーツ財団(2006, 2011)の定義を参考に、ファンイベントを「興行 を目的とせず、スポーツの普及及び選手とファン との交流を目的に開催されるファンのためのイベ ント」と操作定義する。 2.イベントの満足度 イベントの満足度の概念化を規定する前に、本 研究では顧客満足度について議論する必要があ る。顧客満足度とは、「グッズ、サービス、ベネ フィット、または報酬への反応を通して、満足 を得られる達成感」と定義されており(Oliver, 1997, p.13)、満足とは「買い手の期待に対して製 品の知覚パフォーマンスがどれほどであったか によって得られる、個人の喜びまたは失望の感 情」と言われている(コトラー・ケラー,2008, p.177)。しかしながら、顧客満足度は、直接的に は観測することができない概念と言われており (南・小川,2010)、顧客満足度をいかに概念化す るかが度々議論されている。これまでの多くの 研究者によって、Oliver(1980)の “Expectation-Disconfirmation(以下「期待不確認」と略す)” と呼ばれる概念枠組みを理論的支柱として、研究 が進められている。期待不確認とは、対象となる 製品・サービスに対する顧客の事前期待が、知覚 品質や、経験と近くとのギャップに影響を与える ことにより、顧客満足度が形成される過程を説明 する理論仮説である(南・小川,2010)。 小野(2010)によると、顧客満足度は、全体的 満足度と個別満足度に分類できると述べている。 全体的満足度とは、商品・サービスに対する顧客 の購買後評価を、1 つの総体的な評価とするのが 全体的満足度であるのに対し、商品・サービスの 個別属性ごと、もしくは抽象度を上げた価値のレ ベルで満足を捉えるのが個別満足度である。また、 それらは時間軸にそっても分類できる。すなわち、 累積的満足度と取引的満足度である。累積的満足 度は、過去の経験すべて、もしくは過去半年や 1 年など一定期間での経験をベースにするのに対し て、取引的満足度は直近もしくは特定の経験をベ ースにした満足・不満足である。また、消費者の 商品・サービスに対する評価は、それらの購買選 択行動と実際の購買選択で得られた交換価値にか かわる満足度(選択満足度)と、実際の消費によ って自らの問題解決にどれぐらい役立ったかとい う使用価値にかかわる満足度(生活満足度)に分 けることができる。

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これまでスポーツイベントにおける満足度の研 究は、ライフスタイルによる類型化、県内・県外 参加者の比較、認知と感情に着目した総合的な モデルの検証、サービスクオリティを用いた総合 的なモデルの検証(秋吉ほか,2007;北村ほか, 2000; Madrigal, 1995; Tsuji et al., 2007)などの研究 が行われてきた。しかしながら、本研究が対象と するファンイベントを対象とした研究は行われて いない。 そこで、上記の顧客満足度の概念整理から、本 研究におけるファンイベントの満足度は、「様々 なファンイベントのコンテンツを個別に体験し、 特定の経験をベースとしながら、選択行動で得ら れた満足度」と捉えることができる。また、本研 究におけるファンイベントの満足度は、「個別満 足度」「取引的満足度」「選択的満足度」である。 仮説モデルの設定 イベントの満足度、チーム・アイデンティフ ィケーション及び観戦意図に関する先行研究で は、満足度が高まることで、チーム・アイデンテ ィフィケーションが高まることが報告されてい る(Matsuoka et al., 2003)。また、満足度と観戦 意図(再観戦意図、将来ファン行動、口コミ意 図なども含む)については、多くの研究で関連性 があることが示されている(松井・原田,2011; Matsuoka et al., 2003; 周・ 菊 池,2009; Tsuji et al., 2007; Yoshida and James, 2010)。そして、チーム・ アイデンティフィケーションと観戦意図の因果

関係に関する研究では、多くの研究で強い影響が あることが確認されている(Fisher and Wakefield, 1998; Matsuoka et al., 2003; Wakefield, 1995)。

Matsuoka et al.(2003)は、J リーグ観戦者を対 象に、チーム・アイデンティフィケーションが観 戦意図に強い影響があることを確認し、また満足 度がチーム・アイデンティフィケーションを媒介 して、観戦意図に影響があることを明らかにして いる。また、藤本ほか(1996)は、プロ野球観戦 者を対象に、チーム・ロイヤルティが観戦回数に 直接影響を及ぼす重要な要因であり、チーム・ロ イヤルティを高めることによって観戦者の観戦回 数増加につながる可能性を示唆している。さら に、Sumino and Harada(2004)は、J リーグ観戦 者を対象に、スタジアムの感情経験がチーム・ロ イヤルティを媒介として観戦意図に強い影響を及 ぼすことを明らかにしている。そして、大西・原 田(2008)は、スポーツチームが地域貢献活動を 行うことにより、チーム・アイデンティフィケー ションが高まり、チーム・アイデンティフィケー ションが高まることにより観戦意図が高まること を報告している。Sumino and Harada(2004)と大西・ 原田(2008)の研究では、本研究との先行要因(満 足度)は異なるものの、チーム・アイデンティフ ィケーション及びチーム・ロイヤルティを媒介と することで、観戦意図が高まることが示されてい る。つまり、チーム・アイデンティフィケーショ ンが重要な媒介変数であることが明らかにされた 結果と言える。これまで 3 つの関連性については、 スポーツイベントやスタジアム観戦を対象に研究 図1 仮説モデル イベントの 満足度 チーム・ アイデンティ フィケーション 観戦意図

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の調査を行う流れに至った。 2.調査対象と方法 1)調査対象の抽出 本研究では、神戸製鋼コベルコスティーラーズ のファンイベント参加者のうち、18 歳以上の参 加者を調査対象とした。本研究のサンプルを 18 歳以上に限定した理由は、本イベントにおいて、 子ども向けのイベントを数多く実施しており、そ れに伴い父兄の参加者も数多く見られる。子ども がイベントに参加し満足してもらうことはもちろ んのこと、父兄及び 18 歳以上の参加者が満足し てもらえるイベントを実施することで、今後の観 戦者数増加に繋がると考えたため、ファンサービ ス担当者と協議した結果、18 歳以上の参加者を 調査対象にすることを決定した。 2)コベルコラグビーフェスティバル 2010 の概要 コベルコラグビーフェスティバル 2010 は、神 戸製鋼コベルコスティーラーズが開催しているフ ァンイベントのことである。今年度は、2010 年 7 月 11 日に開催された。お笑い芸人の MC のも と、タッチフット大会、ラグビースクール交流戦、 灘浜カップ(運動会)、ガレージセール、選手の ダンスなど老若男女を問わず、楽しめる内容が企 画されている。これらを通して、普段グランドで しか見られない選手を身近に感じ、交流ができる のがこのイベントの最大の魅力である。表 2 に は、ファンイベントのタイムスケジュールを記載 した。 3)コベルコラグビーフェスティバルの歴史 正確な資料は残っていないものの、神戸製鋼ラ グビー部関係者によると、始まりは 1988 年、社 内でのタッチフット大会である。この時は、ま だ一般のファン向けのイベントというわけではな く、部員を応援、サポートしてくれている社員向 けのイベントであった。その後チャリティーイベ ントが行われるようになり、一般のファン向けイ ベントになったのは、1994 年からである。きっ かけは、雲仙岳噴火被害者へのチャリティーであ る。しかしながら、1994 年から 1999 年までは、 ラグビー部の試合観戦が中心の観戦イベントだっ は行われているものの、本研究が対象とするファ ンイベントの参加者に着目した研究は行われてい ない。そこで、本研究では、ファンイベント参加 者において、これら 3 つの関連性について検証 を行うため、以下の 3 つの仮説を設定した(図 1)。 仮説 1:ファンイベントの満足度が高いと、チー ム・アイデンティフィケーションも高い。 仮説 2:ファンイベントの満足度が高いと、公式 戦の観戦意図も高い。 仮説 3:チーム・アイデンティフィケーションが 高いと、公式戦の観戦意図も高い。 研究方法 1.研究の前提 本研究では、まず初めに神戸製鋼ラグビー部支 援室のファンサービス担当者と打ち合わせを行 い、当日のイベント開催におけるコンテンツ内容 の確認及び調査の流れの説明を行った。その際、 ファンサービス担当者と質問項目の確認・検討を 行った。具体的には、イベント満足度項目の設定 及びワーディングの確認である。また、チーム・ アイデンティフィケーションの質問項目がすべ て英語表記であったため、日本語に翻訳する必要 があった。その際、意味やニュアンスが異なった 場合は、変更する必要があった。山口(1987)に よると、言語の対等性は、単に翻訳技術上の問題 ではなく、その鍵は翻訳されたものが概念的に対 等かどうかであり、研究における概念や理論的枠 組みと切り離して扱うことはできないと指摘して いる。そこで、本研究では、言語の対等性を考慮 する上で多く用いられる「パネルディスカッショ ン」の手法を用いた。その際、日本の大学でスポ ーツ社会学を専攻する教授 1 名とスポーツマネ ジメント及びスポーツ社会学を選考する博士課程 3 名でパネルディスカッションを行った。その結 果、チーム・アイデンティフィケーションの項目 において、日本語表現として判断しづらい表現が あったため、ワーディングの修正を行った。最後 に、最終的な質問紙を再度ファンサービス担当者 へ確認を行い、調査の同意が得られたため、当日

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た。現在のような参加型イベントとなったのは、 2000 年からである。また、2003 年から吉本興 業と業務提携を結び、今回のコベルコラグビーフ ェスティバル 2010 に至る。現在でもチャリティ ーイベントは行われており、収益は、脊髄を損傷 (ラグビーにおいて多く起きる怪我の 1 つ)した 人々への寄付にあてられている。 4)調査方法 調査方法は、メインゲート付近にテント、机、 椅子を設置し、イベントにご参加頂いた参加者に 対し、退出時に質問紙と筆記用具を手渡し、その 場で回答してもらい回収する、直接配票直接回収 法を実施した。調査員の数は、8 名で、1 人の回 答者に対し、1 人が担当した。全体で 213 票を 配布し、有効回答標本数は、211 票(99.0%)で あった。 3.質問項目と操作定義 表 3 は、本研究における変数、項目及び尺度 を示している。イベントの満足度について、本研 究では Oliver(1997)や Yoshida and James(2010) の定義を参考に、イベントの満足度を「コベルコ ラグビーフェスティバル 2010 における選手、ス タッフのサービス、ベネフィットを通して、満 足を得られる達成感」と操作定義する。また、質 問項目に関しては、秋吉ほか(2007)を参考に、 7 項目を設定した。各項目に対し、「とても満足 している」から「全く満足していない」までの 5 段階のリッカート尺度を用いた。クロンバッ ク α 係数は .72 であり、尺度の信頼性は確認され た。チーム・アイデンティフィケーションにつ いて、本研究では、Wann(1997)の定義を参考 に、「ファンが神戸製鋼コベルコスティーラーズ に対して持つ心理的な愛着」と操作定義する。ま た、質問項目に関しては、Wann and Branscombe (1993)のチーム・アイデンティフィケーション 尺度 7 項目を援用し、5 段階のリッカート尺度を 用いた。クロンバック α 係数は .91 であり、尺度 の信頼性は確認された。観戦意図について、本研 究では、Fishbein and Ajzen(1975)の定義を参考 に、「神戸製鋼コベルコスティーラーズの試合を 観戦しようとする個人の意図」と操作定義する。 また、質問項目に関しては、Wakefield and Sloan (1995)の尺度を参考に、「今シーズン、コベルコ スティーラーズの公式戦を観戦しに行こうと思い ますか」の 1 項目を設定した。本研究において、 観戦意図を 1 項目で測定した理由は、徳永ほか (1980)の Fishbein の計画的行動理論をベースに した研究において、行動意図を 1 項目で測定し、 行動意図が実際の行動に影響を及ぼすことが確認 されているため、尺度の信頼性があると判断し たためである。そして、項目に対しては、「非常 にそう思う」から「全くそう思わない」までの 5 段階のリッカート尺度を用いた。最後に、各項目 の尺度については、等間隔であることを前提とし、 項目の点数を合計した総和変数とした。 4.分析方法 本研究のサンプルをファンクラブ入会者と非入 会者に分類し、イベントの満足度、チーム・アイ 表2 ファンイベントのタイムスケジュール タイムスケジュール メイングランド 人工芝グランド その他会場 9:15 開会式 9:45 ラグビースクール交流戦 10:30 飲食店ブース 11:00 ガレージセール 12:00 キッズダンス タッチフット大会 13:00 灘浜カップ(運動会) 15:00 ステージイベント 16:00 タッチフット大会決勝 16:30 タッチフット大会表彰、抽選会

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デンティフィケーション及び観戦意図の各項目に ついて t 検定を行い、全体の傾向を把握した。そ の理由は、ファンクラブへの入会は、ファン獲得・ 維持において重要なマーケティング手段であり、 それらの効果がこれまであまり検証されていない ためである。その後、本研究では、仮説の検証を 行うため、相関分析と重回帰分析を行った。イベ ントの満足度からチーム・アイデンティフィケー ションについては、単回帰分析を行い、イベント の満足度とチーム・アイデンティフィケーション から観戦意図については、重回帰分析を行った。 また本研究では、チーム・アイデンティフィケー ションを媒介変数に設定していることから、従属 変数の観戦意図に対して、媒介効果があるのかを 検証する必要がある。そこで本研究では、Baron and Kenny(1986)が提唱する媒介分析(Mediation Analysis)を通して、媒介効果を検証することと した。媒介分析は、社会心理学の研究領域で多く 用いられており、スポーツマネジメントの分野 では Funk and James の研究(2006)などで用いら れている。分析には、統計パッケージ IBM SPSS PASW Statistics 18.0 を用いた。 結果と考察 1.個人的属性 表 4 には、本研究における対象者の個人的属 性を性別で示した。本研究のサンプルの年齢分 布は、19 歳以下参加者(n=11)、20 歳代参加者 (n=19)、30 歳代参加者(n=63)、40 歳代参加者 (n=82)、50 歳代参加者(n=19)、60 歳以上参加 者(n=10)であった。本研究におけるサンプル の特性は、男女とも 30 代・40 代が中心であっ た(男女平均年齢 40.8 歳)。サンプル全体にお いて、「婚姻」に関しては、参加者の約 8 割(75.4%) が既婚者であった。「職業」に関しては、男性は 表3 変数、項目及び尺度 要因 変数 尺度 引用・参考文献 イベントの 満足度 イベントに関する情報、広報 1. 全く満足していない 2. あまり満足していない 3. どちらでもない 4. まあ満足している 5. とても満足している 秋吉ほか(2007) 開催時期 会場へのアクセス スタッフの対応 選手との交流 飲食物(値段、種類等) トイレの数 チーム・アイ デンティフィ ケーション あなたにとって、コベルコスティーラーズが勝つことは、 どれくらい重要ですか 1・・・2・・・3・・・4・・・5 (5 段階リッカート尺度)

Wann and Brans-combe (1993) あなたは、自分がどれくらい、コベルコスティーラーズ の熱心なファンであると感じていますか。 あなたは、友人からどれくらい、コベルコスティーラー ズの熱心なファンだと思われていますか シーズン中、知人やメディア、インターネット等でどれ くらいコベルコスティーラーズの情報を得ていますか あなたの生活において、コベルコスティーラーズのファ ンであることは、どれくらい重要ですか。 あなたは、他のトップリーグ強豪チームをどれくらいラ イバル視していますか。 あなたは、日常生活の中で、どれくらい頻繁にコベルコ スティーラーズの名前やマークを身につけていますか 観戦意図 今シーズン、コベルコスティーラーズの公式戦を観戦し に行こうと思いますか。 1. 全くそう思わない2. あまりそう思わない 3. どちらでもない 4. そう思う 5. 非常にそう思う Wakefield and Sloan (1995)

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2.ファンクラブ入会の有無による比較 イベントの満足度、チーム・アイデンティフィ ケーション及び観戦意図について、ファンクラ ブ入会の有無による t 検定の比較を行った結果、 15 項目中 11 項目で有意差が認められた(表 5)。 イベントの満足度においては、「会場へのアクセ ス(p < .01)」、「選手との交流(p < .05)」、「ト イレの数(p < .01)」の 3 項目において有意差が 認められた。その他有意差がなかった項目につい ても、すべての項目で会員の方が非会員と比べ、 高い満足度を得られた。また、チーム・アイデン ティフィケーションにおいては、すべての項目で 有意差が認められた(p < .01)。つまり、ファン クラブ入会者ほどチーム・アイデンティフィケー ションが高いことが実証されたと言える。そして、 観戦意図の 1 項目においても、有意差が認めら れた(p < .01)。このことから、観戦意図を高め るためには、ファンクラブへの入会は有効なマー ケティング手法であり、そのためには、こうした ファンイベントを積極的に行っていくことが必要 と言える。 会社員(65.3%)が多く、女性は専業主婦(54.4 %)が多いことが明らかとなった。「居住地」に 関しては、男女とも神戸市内が最も多く(41.7%: 33.7%)、その他の回答を合わせると約 9 割の参 加者が兵庫、大阪からの参加であった。「ラグビ ー経験」に関しては、ラグビーが対人競技という ことから、男性スポーツというイメージがあり、 実際本研究対象者も 6 割(60.0%)が経験者で あった。それに対し、女性は約 9 割の参加者が 未経験であった。この結果は、内容において、子 どもを対象に実施された種目があったため、家族 連れで来られた参加者が多いことが推察される。 「観戦経験」に関しては、男女とも 1 − 5 回(61.2 %:44.2%)が最も多い結果となった。最後に「消 費動向」に関して、「昨シーズン、コベルコステ ィーラーズの試合観戦(チケット代、交通費)や グッズ、情報収集、会費等で使った金額の総額は いくらですか」と尋ねた所、男女とも 1 万円未 満(72.4%:73.9%)が最も多く、次いで 1 万 円以上 3 万円以上(15.8%:17.0%)という結 果に至った。 表4 個人的特性 男性 女性 男性 女性 % (n) % (n) % (n) % (n) 【年代】 【居住地】 19 歳以下 8.3% (10) 1.2% (1) 神戸市内 41.7% (50) 33.7% (30) 20 歳代 8.3% (10) 10.7% (9) 兵庫県内 25.0% (30) 28.1% (25) 30 歳代 25.8% (31) 38.1% (32) その他 33.3% (40) 38.2% (34) 40 歳代 43.3% (52) 35.7% (30) 50 歳代 9.2% (11) 9.5% (8) 【ラグビー経験】 60 歳以上 5.0% (6) 4.8% (4) あり 60.0% (72) 8.9% (8) なし 40.0% (48) 91.1% (82) 【婚姻】 既婚 75.8% (91) 74.7% (68) 【観戦経験】 未婚 24.2% (29) 25.3% (23) 0 回 27.6% (32) 37.2% (32) 1-5 回 61.2% (71) 44.2% (38) 【職業】 6-10 回 10.3% (12) 15.1% (13) 会社員 65.3% (79) 25.6% (23) 11 回以上 0.9% (1) 3.5% (3) 公務員 7.4% (9) 1.1% (1) 教員 1.7% (2) 1.1% (1) 【消費動向】 自営業 9.1% (11) 5.6% (5) 1 万円未満 74.2% (89) 73.9% (65) 学生 14.0% (17) 4.4% (4) 1 万円以上 3 万円未満 15.8% (19) 17.0% (15) 専業主婦 0.0% (0) 54.4% (49) 3 万円以上 5 万円未満 7.5% (9) 2.3% (2) その他 2.5% (3) 7.8% (7) 5 万円以上 10 万円未満 2.5% (3) 5.7% (5) 10 万円以上 0.0% (0) 1.1% (1) Note;表のパーセントは縦に見る

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4.仮説モデルの検証 本研究の仮説モデルの検証を行うため、イベン トの満足度からチーム・アイデンティフィケーシ ョンについては、単回帰分析を行い、イベントの 満足度とチーム・アイデンティフィケーションか ら観戦意図については、重回帰分析を行った。ま た、チーム・アイデンティフィケーションの媒介 効果を検証するため、媒介分析を行った(図 2)。 まず初めに独立変数をイベントの満足度、従属 変数を観戦意図として単回帰分析を行ったとこ ろ、イベントの満足度が観戦意図に影響があるこ とが確認された(β = .33, p < .01)。次に独立変 数にチーム・アイデンティフィケーションを加え た重回帰分析を行ったところ、イベントの満足度 の効果は消滅し(β = .10, n.s.)、チーム・アイデ ンティフィケーションの効果のみが残った(β = .71, p < .01)。その結果、チーム・アイデンティ フィケーションの投入によりイベントの満足度の 効果が有意に減少したことが示された。つまり、 観戦意図は、チーム・アイデンティフィケーショ ンによって完全に媒介されることが示された。し たがって、以下の 4 点が明らかとなった。 1 点目に、ファンイベントの満足度がチーム・ 3.変数間の相関 本研究では、仮説モデルの検証を前提として、 相関分析を行い、3 つの関連性について検証を行 った(表 6)。まず、初めに多重共線性の問題が ないか確認を行った。その結果、VIF(Variance Inflation Factor)が各変数で 5 を超えていなかっ たため、多重共線性の問題がないと判断した。次 に、従属変数である観戦意図に対しての全変数と の相関を見ると、チーム・アイデンティフィケー ションとの関係が最も高い相関を示した。このこ とは、チーム・アイデンティフィケーションが媒 介変数としての意味・機能を持つことを示唆して いる。最後に、イベントの満足度とチーム・アイ デンティフィケーション、イベントの満足度と観 戦意図において、統計的に有意な値を示した。 表5 ファンクラブ入会の有無による比較 変数 項目 ファンクラブ入会者 ファンクラブ非入会者 t 値 有意確率 Mean (n) Mean (n) イベントの満足度 イベントに関する情報、広報 3.83 (78) 3.71 (121) 1.017 .310 n.s. 開催時期 3.75 (79) 3.67 (127) .588 .557 n.s. 会場へのアクセス 4.21 (80) 3.90 (127) 2.641 .009 ** スタッフの対応 4.53 (79) 4.44 (128) 1.033 .303 n.s. 選手との交流 4.49 (79) 4.23 (124) 2.435 .016 * 飲食物 4.09 (79) 3.94 (125) 1.156 .249 n.s. トイレの数 3.89 (79) 3.50 (124) 2.924 .008 ** チ ー ム・ ア イ デ ン ティフィケーション 勝利願望 4.56 (80) 3.95 (131) 4.672 0.000 ** 自己認識 4.28 (80) 3.41 (131) 7.259 0.000 ** 他者認識 4.10 (80) 2.89 (131) 8.377 0.000 ** 情報取得頻度 4.02 (80) 3.05 (131) 7.138 0.000 ** ファン重要度 3.99 (80) 3.04 (131) 7.180 0.000 ** ライバル視度合い 3.96 (80) 3.20 (130) 4.912 0.000 ** チーム露出度 3.31 (80) 2.13 (131) 7.705 0.000 ** 観戦意図 観戦意図 4.75 (81) 3.76 (129) 8.339 0.000 ** * = p<.05 ** = p<.01 n.s. = 有意差なし 表6 変数間の相関マトリックス 1 2 3 1. イベントの満足度 2. チーム・アイデンティフィケーション .35** 3. 観戦意図 .33** .72** **p<..01

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アイデンティフィケーション(β = .35, p < . 01) に影響を及ぼすことが確認された(表 7)。この 結果は、満足度が高まることで、チーム・アイ デンティフィケーションが高まる、過去の先行研 究(Matsuoka et al., 2003)と同様の結果を示した。 つまり、参加者はコベルコラグビーフェスティ バル 2010 の会場内において、神戸製鋼コベルコ スティーラーズのファンイベントに参加すること で、イベントの満足度は高まり、それがチーム・ アイデンティフィケーションを高める要因になる ことが示唆される。 2 点目に、ファンイベントの満足度が観戦意図 (β = .10, n.s.)に有意な影響を及ぼさないことが 確認された(表 8)。これまでの先行研究におい ては、満足度が高まることで、観戦意図は高まる との報告がなされていたが(Matsuoka et al., 2003; 松 井・ 原 田,2011; 周・ 菊 池,2009; Tsuji et al., 2007; Yoshida and James, 2010)、本研究においては、 同様な結果は示されなかった。つまり、神戸製鋼 コベルコスティーラーズのファンイベントに参加 し、そこで満足したからといって、直接スタジア ムへの公式戦観戦意図には結びつかないことが推 察される。 3 点目に、チーム・アイデンティフィケーショ ンが観戦意図(β = .71, p < .01)に影響があるこ とが確認された(表 8)。この結果は、チーム・ アイデンティフィケーションが高まることで、観 戦者の観戦意図に影響を及ぼす、過去の先行研究 (Fisher and Wakefield, 1998; Matsuoka et al., 2003;

Wakefield , 1995)と同様な結果を示した。つまり、 チーム・アイデンティフィケーションと観戦意図 には、重要な関連性があることが示唆され、また 表7 チーム・アイデンティフィケーションに及ぼす単回帰分析の結果 標準偏回帰係数(β) 相関係数(γ) イベントの満足度 .35** .35** 単相関係数(R) .35 決定係数(R²) .12 **p<.01 表8 観戦意図に及ぼす重回帰分析の結果 標準偏回帰係数(β) 相関係数(γ) イベントの満足度 .10 .33** チーム・アイデンティフィケーション .71** .71** 重相関係数(R) .71 決定係数(R²) .51 **p<.01 β=.71** イベントの 満足度 チーム・ アイデンティフィ ケーション (R=.12) 観戦意図 (R²=.51) . β=.35** β=.10 注**p<.01 図2 仮説モデルの結果

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チーム・アイデンティフィケーションを媒介とす ることの必要性が示された。 そして、最後に、仮説モデルの決定係数(R2 において、媒介変数であるチーム・アイデンティ フィケーションは .12、従属変数である観戦意図 は .51 であった。すなわち、イベントの満足度と チーム・アイデンティフィケーションは、従属変 数である観戦意図の分散の 51% という高い説明 率を示した。このことから、本仮説モデルの妥当 性は確認された。 以上の考察により、4 点の結果が明らかとなっ た。これらの結果から、ファンイベントの満足度 は、直接、観戦意図には影響を及ぼさないが(仮 説 2:棄却)、ファンイベントの満足度が高いと、 チーム・アイデンティフィケーションが高まり (仮説 1:支持)、試合を観戦しようとする意図も 高くなることが明らかとなった(仮説 3:支持)。 つまり、観戦意図を高めるためには、ファンイベ ントの満足度を高めるのはもちろんのこと、チー ム・アイデンティフィケーションを高めることが 必要と言える。 論 議 近年、J リーグやプロ野球において、「地域密 着経営」が叫ばれており、それに伴いファンサー ビスの重要性は高まっている。ラグビーにおいて も、2019 年ワールドカップ開催が決定し、ラグ ビー人口や観戦者数を増加させる必要性が叫ばれ ており、そのためにはファンサービスを行うこと は必要である。本研究は、そのような現状を打破 するきっかけとなる視座を与えるため、以下のよ うな研究視点を投げかけている。 まず第 1 点目は、ファンイベントの満足度が チーム・アイデンティフィケーションに強い影響 を及ぼしている点である。イベントの満足度とチ ーム・アイデンティフィケーションに関しては、 先行研究(Matsuoka et al., 2003)と同様に、強い 因果関係があることが確認された。この結果より、 ファンサービスの 1 つであるファンイベントの 満足度を高めることは、チーム・アイデンティフ ィケーションの高まりを示唆する結果と言える。 また、ファンイベントは、チーム・アイデンティ フィケーションを向上させる1つのツールである ことが示された。 第 2 点目に、ファンイベントの満足度は直接 観戦意図には結びつかない点である。松井(2006) は、プロ野球千葉ロッテマリーンズを対象にした 研究で、「イベント評価やファンサービス評価と スタジアム観戦頻度に深い関連性はない」として おり、観戦頻度と観戦意図の違いはあるが、本研 究においても同様な結果が示された。つまり、観 戦意図を高めるためには、ファンイベントの満足 度を高めるのはもちろんのこと、本研究の媒介変 数であるチーム・アイデンティフィケーションを 高める必要があることが明らかとなった。この結 果は Sumino and Harada(2004)や大西・原田(2008) が指摘するように、チーム・アイデンティフィケ ーションが重要な媒介変数であることが示された 結果と言える。 第 3 点目に、チーム・アイデンティフィケーシ ョンが観戦意図に強い影響を及ぼした点である。 チーム・アイデンティフィケーションと観戦意図 に関しては、先行研究と同様に、強い因果関係が 示された(Fisher and Wakefield, 1998; Matsuoka et al., 2003; Wakefield, 1995)。この結果より、チーム・ アイデンティフィケーションを積極的に高めてい くことにより、公式戦の観戦意図は高まる可能性 が考えられる。したがって、本研究のようなファ ンイベントなどのファンサービスを積極的に行っ ていくことが必要であろう。また、イベントの満 足度、チーム・アイデンティフィケーション及び 観戦意図において、ファンクラブ入会者と非入会 者で有意な差が見られたことから、ファンクラブ の入会者を増やすことも必要と言える。 今回調査したコベルコラグビーフェスティバ ル 2010 は、全体として、非常に満足度の高いイ ベントであった。もちろん改善すべき点はあるだ ろうが、神戸製鋼コベルコスティーラーズとして は、こうしたイベントをより積極・継続的に開催 していくことが必要と言える。今後改善を積み重 ね、より良いファンサービスを行っていくことに

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より、神戸製鋼コベルコスティーラーズは、他チ ームの模範となることが期待でき、ひいては、ラ グビー人気の獲得に繋がっていく可能性が示唆さ れる。 インプリケーション 本研究結果を通して、コベルコラグビーフェス ティバル 2010 の実態、課題が明らかとなった。 それらの点を踏まえ、現場へのインプリケーショ ンを行うこととする。 まず第 1 点目は、積極的なイベント開催と広 報活動の充実が求められる。参加者はコベルコラ グビーフェスティバル 2010 に対して、満足度が 高いことが明らかになったことから、こうしたイ ベントをより積極的に開催し、広報活動を充実さ せることを提案したい。具体的には、規模の大小 はあるだろうが、毎年コベルコラグビーフェステ ィバルが行われているシーズン前だけでなく、シ ーズン中、オフシーズンにもイベントを開催する ことが必要といえる。イベントの内容に関しては、 満足の声が多く聞かれ、スタジアム観戦の魅力に も挙がっている「選手との交流」や新規のファン をとりこみやすいと考えられる「子ども向けのイ ベント」を中心に考えていくべきだろう。例えば、 神戸製鋼コベルコスティーラーズと同じ近畿圏に ある阪神タイガースでは、子どもに親しんでもら う活動を重視しており、特に能動的に楽しんでも らうための参加型ファンサービスを展開している (月刊体育施設,2008)。したがって、神戸製鋼コ ベルコスティーラーズも、子どもを対象とした参 加型のファンサービスを展開し、ファンの獲得・ 維持に努めることが必要といえる。広報に関して は、参加者の居住地の 90% 近くが、兵庫県、大 阪府だったことから、これらの地域を中心に広報 を行っていくべきである。 第 2 点目は、開催時期の検討である。コベル コラグビーフェスティバル 2010 において、「開 催時期」は大きな問題点となっている。7 月のこ の時期は梅雨シーズンとなっており、ファンイベ ント当日も雨が降った。そのため、雨のリスクの 少ない時期を選ぶことによって、よりイベントの 細部まで満喫してもらえ、満足度は高くなると考 えられる。練習の日程等さまざまな阻害要因はあ るだろうが、開催時期に関しては検討すべきだろ う。 最後に、ファンクラブ入会者へのサービスの充 実である。ファンクラブ入会者は、チーム・アイ デンティフィケーション及び観戦意図が高く、神 戸製鋼コベルコスティーラーズにとって、重要な ファンである。こうしたファンが増えることは、 神戸製鋼コベルコスティーラーズにとって、有意 義なことである。そのためにも、ファンクラブ入 会者には、より充実したファンサービスを行うべ きだと考えられる。 研究の限界と今後の研究課題 最後に本研究結果を基に、今後の研究課題につ いて述べることとする。まず第 1 点目は、本研 究の対象は 1 チームであったため、ケーススタ ディと言わざるを得ない点である。したがって、 各チーム様々な経営事情があるため、本研究の結 果は、トップリーグ全てのチームに一般化できる とは言い難い。今後より一般化された結果を得る ためには、トップリーグの全チームにおいて、統 一した調査票による検証が望まれる。 第 2 点目に、本研究は、1 日限定のファンイベ ントであったため、横断的な研究であったと言え る。そのため、厳密な意味では、観戦意図に影響 を及ぼす要因について特定できたとは言い難い。 そこで、今後本研究で提示された結果が、実証的 であるかどうかを明らかにするため、観戦行動を 従属変数にし、縦断的アプローチによる研究が求 められる。 第 3 点目は、本研究のイベントの満足度の問 題である。本研究は、Oliver(1980, 1997)の顧 客満足度概念を参考に、研究結果を明らかにした が、厳密な意味で顧客満足度を測定できていない。 特に、顧客満足度を単一の概念として捉えたが、 現在の満足度研究では、多くの研究でサービスク オリティ尺度などを通してそれらの因果関係を検

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証している(Larson and Steinman, 2009; Tsuji et al., 2007; Yoshida and James, 2010)。したがって、今 後はファンイベントにおいても、サービスクオリ ティ尺度の導入を通して、厳密にそれらの因果関 係を検証することが臨まれる。 第 4 点目に、チーム・アイデンティフィケー ションの先行要因の問題である。本研究では、チ ーム・アイデンティフィケーションの先行要因を イベント満足度に限定して議論を進めているが、 Milne and McDonald(1999)によると、チーム・ アイデンティフィケーションの先行要因には、チ ーム特性、組織特性、結合特性、行動特性などの 要因があると述べている。したがって、それらの 要因を含めずに、本研究ではイベント満足度のみ の影響を分析しているため、他の先行要因と併せ て分析をした時にイベント満足度の影響がどうな るのかについては明らかに出来ていない。今後は、 Milne and McDonald(1999)が示した先行要因な どを含め分析する必要がある。 第 5 点目に、サンプルの問題である。本研究 はファンクラブ担当者と協議した後、ターゲット 層を 18 歳以上の参加者に限定したため、研究に おける一般化の限界がある。今後は、ファンイ ベントの参加者推移から母集団を特定し、それら の母集団からサンプルを抽出することが必要であ る。 最後に、本研究はマーケットセグメンテーショ ンを行っていないため、厳密な消費者層の把握が 行えていない点である。今後は、対象(男性 vs. 女性、年配層 vs. 若年層、リピーター vs. 新規層)、 対象スポーツ(プロスポーツ vs. 企業スポーツ)、 競技レベル(J リーグ 1 部 vs. J リーグ 2 部)及 びスポーツ種目(野球 vs. サッカー)などにセグ メンテーションし、グループごとに緻密な分析を 行うことが必要と言える。 結果のまとめ 本研究は、神戸製鋼コベルコスティーラーズの ファンイベントの満足度が、チーム・アイデンテ ィフィケーション及び観戦意図に影響を及ぼすか を明らかにすることを目的として行った。そこで 神戸製鋼コベルコラグビーフェスティバル 2010 に来場した参加者(n=211)を対象に、質問紙調 査を実施した 。 分析によって得られた主な結果は 以下のようにまとめることができる。 1.ファンイベントの満足度が高まったからとい って、直接的には観戦意図には結びつかない。 2.ファンイベントの満足度は、チーム・アイデ ンティフィケーションを媒介とすることで、 観戦意図に影響を及ぼす。 これらの結果から、本研究の結論は以下のよう に導き出された。 1)ファンイベント参加者は、イベントの満足度 が高まれば、チーム・アイデンティフィケー ションは高まり、最終的に公式戦の観戦意図 が高まる可能性が高い。 【謝辞】 本論文を作成するにあたり、神戸製鋼ラグビー部支 援室神戸製鋼コベルコスティーラーズイベント兼 普及担当の林丈太郎様に多大なるご尽力を頂きま した。ここに深く感謝の意を表します。 【文献】 秋吉遼子・山口泰雄・朴永炅(2007)ウォーキング 大会の満足と再来志向に関する県内・県外参加者 の比較 : 沖縄開催イベントのケーススタディ . 生涯 スポーツ学研究,5(1):25-33.

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2011 年2月 16 日受付 2011 年 10 月 11 日受理

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