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の事前事後の価格設定を工夫するとか やりようはあろう 増税と家計の所得には直接の関係はないのだから 駆け込みと反動は均せばチャラだと見切りをつけるべきだ 自動車保有にかかる 自動車税 について 自動車販売の落ち込みを懸念する国内メーカーが 消費増税を機に恒久的な減税を求めている これに対して安倍首相

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五十嵐レポート

2018 年 11 月 29 日

消費増税対策は必要なのか

消費増税の影響は一時的 消費税増税への対策が明らかになってきた。前回 2014 年の税率引き上げ後の景気悪化に 懲りて、今回は万全の態勢で臨むという政権の強い意思を感じる。しかし、本来は対策は 不要である。消費税率の引き上げは消費者物価を上昇させ、他の条件が変わらなければ家 計の実質所得を減少させる。その結果、消費が実質ベースで減少する。これが消費増税が もたらす影響だ。ただ、その悪影響は一時的なものだ。増税分が一気に小売価格に反映さ れるとすると、前月比で見た物価上昇は 1 か月限り、前年比で見た物価上昇は 1 年限りで 消える筋合いだ。増税する以上、経済に下押しの力が働くのは自然なことだ。それが一時 的なものにすぎないのであるなら、ジタバタせず受け入れるべきであろう。 消費の継続的な増加(あるいは経済成長)を「上りエスカレーターに乗っている」こと にたとえると、増税の影響とは、1 階から 2 階まで上がったところで、エスカレーターごと 1 階分だけ真下に沈むようなものだ。しかし、2 階の高さから 1 階分下がってしまっても、 上りエスカレーターに乗っている限り、いずれ 2 階には着くし、3 階にも上がれる。エスカ レーターが沈まなかった場合に比べて、到着が遅れるだけのことだ。 これに対して、今の政権は、消費増税をすると「上りエスカレーター」が「下りエスカ レーター」に変わってしまうと信じているように見える。しかし消費増税は、成長のトレ ンドを下方にシフトさせる効果は持つが、トレンドの方向自体を変えるわけではない。 消費者から見ると、予算制約がある下で、消費税のせいで物価が上昇すると、それ以前 と比較して買える個数や重さが少なくなる。しかし消費増税は予算制約(=所得)に影響 を及ぼすわけではない。所得が増えていくのであれば、上昇した物価の下でも、実質的な 消費は見合って増えていく。所得が増えなかったり、減っていったりするのは望ましくな いが、所得の増減と消費増税に直接の因果関係はない。 過剰な増税対策 対策の中には、駆け込みとその反動を和らげようとするものもあるようだが、そうした 対策も不要だ。政策対応で消費の振れを小さくしようとすれば、本来なら駆け込み購入に ペナルティを課し、そこで得た収入を増税後の消費にインセンティブとして与えることに なるはずだ。しかし、現実には増税後の消費支出にインセンティブだけを与える政策がと られることになり、財政の純支出を増やしてしまうことになる。 値上がりすることも、そのタイミングも分かっているなら、買えるものはその前に買っ ておこうと消費者が考えるのは自然なことだ。とくに値の張る耐久財などはそうだろう。 そうであれば、売る方も事前に対策を打っておけばよい。在庫を増やしておくとか、増税

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の事前事後の価格設定を工夫するとか、やりようはあろう。増税と家計の所得には直接の 関係はないのだから、駆け込みと反動は均せばチャラだと見切りをつけるべきだ。 自動車保有にかかる「自動車税」について、自動車販売の落ち込みを懸念する国内メー カーが、消費増税を機に恒久的な減税を求めている。これに対して安倍首相は 11 月 26 日 に、「自動車の保有について税負担の軽減措置を検討する」と表明している。しかしこれ は消費増税とは別の話だ。自動車への課税をどうするかという問題であり、あまねく課税 される消費税とは関係ないはずだ。自動車税が軽減されたら車の売れ行きは増すのか。 プレミアム商品券を発行したり、中小小売店での買い物にポイントを還元するといった 対策は、やりすぎの印象が強い。2 万 5000 円分の商品券を 2 万円で購入できるとか、5%分 のポイントを還元するというのは、消費増税を口実にしたバラマキの色彩が強い。増税直 後のショックを和らげる効果があるのだとすれば、その分、薬が切れた時に改めてショッ クが来ることになるだろう。 整合性を欠いていないか 訳が分からないこともある。飲食料品に対する軽減税率はその一つだ。8%を 10%に引き 上げる段階で軽減税率が必要なのかということもあるが、何より、具体的に何に軽減税率 が適用されて、何に適用されないのかという区別が分かりにくい。新聞やテレビで具体例 を挙げて解説されているが、実際、販売の現場では相当混乱するだろう。例えばコンビニ で買ったコロッケを、その場で食べるか持ち帰るかで税率が違ってくるのだが、軽減税率 の本来の趣旨とかけ離れた議論ではないか。 また、消費税法によれば、店頭での価格表示は「総額方式」であるべしということのよ うだが、これも訳が分からない。消費税が、最終的には消費者に負担を求める税であるな ら、買い物をした際に、税額がいくらであるかを消費者が理解する必要があろう。例えば 980 円の品物をレジに持っていったら、税率が 8%の時は消費税が 78 円乗って 1,058 円だっ たが、10%になると 98 円乗って 1,078 円になるということだ。値札は 980 円で変わらない から、支払額が増えるのは売り手が値上げしたのではなく、消費税率が引き上げられたせ いだと分かるわけだ。 政府が総額方式でやろうとしているのは、消費税をいくら支払っているかを余り国民に 自覚させないようにしたいのか、売り手に消費税の一部を負担させようと思っているのか、 などと勘繰りたくなる。 また日銀と共々、デフレ脱却のために「物価を上げよう」としてきた政府が、消費税の せいで物価が上昇することの悪影響を非常に恐れている、ということも訳が分からない。 とくに政府、日銀に共通しているのは、「円安はデフレ脱却に望ましい」という考え方だ。 円安は輸入価格を上昇させ、それが国内に波及して消費者物価も押し上げるが、価格上昇 で生じた国内の負担分(所得)はそっくり海外に流出する。起こることは「所得が減って、 物価が上がる」事態だ。

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これに対して消費増税による物価上昇は、物価上昇で生じた国内の負担(所得)が海外 に流出することはなく、それどころか一部は国内に還元される。つまり消費増税で生じる 物価上昇の方が、円安に伴う物価上昇よりも、経済への下押し圧力は弱いのだ。 景気対策に終始すべきでない 日本経済に必要なのは、潜在成長率の押し上げだ。「エスカレーター」を確実に「上り」 にすること、そして可能な限り上向きの角度を大きくすることだ。しかし、消費税に関連 して政府がやろうとしていることは、国民が短期的な痛みですら感じなくて済むように、 強力な麻酔薬を打つことではないか。 短期 vs.中長期と言ってもいいし、循環 vs.構造と言ってもいいかもしれないが、消費増税 対策はまさに目先の景気にフォーカスした政策だ。財政を使って景気対策を打てば、国民 の懐にお金が入るのだから、景気にプラスであるのは確かだ。しかし問題は、それが一時 的な効果しかもたらさないという点だ。やめれば景気が落ち込むから、いったん始めると やめられなくなってしまう。結果として、財政が悪化する一方、経済の中長期的な成長力 の向上にはつながらないことになるのだ。 <補論> NY ダウと日経平均 次頁に日米の株価(NY ダウと日経平均)と株価収益倍率(PER)のグラフを並べてみた。 NY ダウは、2016 年、2017 年はバブルではないかと言われるほど急ピッチで上昇してきた が、今年 1 月に 26,600 ドル台を付けた後は乱高下を繰り返している印象だ。足元の水準は 今年のピークと比較すれば、2000 ドル程度低下している(11 月 26 日は 24,640 ドル)。 2016 年から今年初めにかけての急上昇の特徴は、PER の急騰を伴っているという点だ。 「PER=株価/1 株当たり予想収益」だから、株価と PER が一緒に上昇してきたということ は、この間の株価の上昇は「予想収益の改善を伴っていない」ことを示唆しているわけだ。 そして今年に入ると、PER が一転、下落するとともに、株価の上昇が止まり、乱高下を繰 り返すようになっているのだ。 他方、日経平均の推移をみると、NY ダウとは対照的に、PER が下降トレンドを辿る中で 株価が上昇してきたという特徴がみられる。2012 年には 9,000 円を下回っていた株価が、 現在は 22,000 円近辺にあるわけだが、その間、PER はむしろ低下しているのである。 NY ダウは 2009 年以来上昇し続けてきたが、2016 あたりからバブルの様相を帯び、今年 に入ってそのバブルが崩壊しつつあると言えるのではないか。それに対して日経平均は、 企業収益の回復を主たる原動力として上昇してきたわけで、地に足がついた推移だと言え るのではないか。 NY ダウがバブっていたのだとすれば、それを担ってきたのは IT 関連銘柄であろうし、 今後、これらに対する市場の思惑がどう展開するかが先行きの鍵をにぎることになる。日

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NY ダウと株価収益倍率(PER) 日経平均と株価収益倍率(PER) (MU投資顧問客員エコノミスト 兼 三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング 調査本部 研究理事 五十嵐敬喜) 10 12 14 16 18 20 10,000 12,500 15,000 17,500 20,000 22,500 25,000 27,500 (倍) (ドル) (年、日) ダウ株価 PER(右軸) (出所)BloombergよりMURC作成 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 0 2,500 5,000 7,500 10,000 12,500 15,000 17,500 20,000 22,500 25,000 27,500(円) (倍) (年、日) 日経平均株価 PER(右軸) (出所)BloombergよりMURC作成

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※この資料は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱とタイアップし、同社調査部の作成した 経済レポートを中心に掲載しております。本資料の記載内容の一部を引用あるいは転載さ れる場合には、必ず「MU投資顧問株式会社 資料より」と明記してください。 ※本資料に含まれている経済見通しや市場環境予測は、必ずしも当社の見解を示すもので はありません。内容はあくまでも作成時点におけるものであり、今後予告なしに変更されるこ とがあります。 ※本資料は情報提供を唯一の目的としており、何らかの行動ないし判断をするものではありませ ん。また、掲載されている予測は、本資料の分析結果のみをもとに行われたものであり、予測の 妥当性や確実性が保証されるものでもありません。予測は常に不確実性を伴います。本資料の 予測・分析の妥当性等は、独自にご判断ください。

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