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目 次 Ⅰ 教員補助員配置事業 の概要 P1~2 Ⅱ 特別支援教育 の視点での支援 P3~6 Ⅲ 特別支援教育 に関する活用事例 P7~10 Ⅳ 生徒指導 の視点での支援 P11~12 Ⅴ 生徒指導 に関する活用上の留意点 P12 Ⅵ 教育相談 の視点での支援 P13~14 Ⅶ 教育相談 に関する活

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さいたま市教育委員会

平成 23年 3 月改訂版

さいたま市

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目 次

Ⅰ 「教員補助員配置事業」の概要・・・・・・・・・・・・・・P1~2 Ⅱ 「特別支援教育」の視点での支援・・・・・・・・・・・・・P3~6 Ⅲ 「特別支援教育」に関する活用事例・・・・・・・・・・・・P7~10 Ⅳ 「生徒指導」の視点での支援・・・・・・・・・・・・・・・P11~12 Ⅴ 「生徒指導」に関する活用上の留意点・・・・・・・・・・・P12 Ⅵ 「教育相談」の視点での支援・・・・・・・・・・・・・・・P13~14 Ⅶ 「教育相談」に関する活用上の留意点・・・・・・・・・・・P15 さいたま市学級等支援員取扱要領・・・・・・・・・・・・・P16~17

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1 教員補助員配置事業の概要 2 学級等支援員の職務について (1) 学級等支援員の職務 学級等支援員の職務は、主に (1)授業における個別支援(必要に応じた体育授業等の個別支援を含む。) (2)特別支援教育や生徒指導及び教育相談に関する支援 (3)児童生徒の教育活動等に関連して校長の指示する内容による学級等への支援 の3つです。 学級等支援員は「教員補助員配置事業」の一つで、指導2課が担当し、尐人数指導等 支援員は、教職員課が担当します。 以下に、具体的に説明します。 (1)授業における個別支援 校長や教頭をはじめ、特別支援教育コーディネーター、担任等の指示により、授業 における個別支援を行います。授業を行うことはできませんが、配慮が必要な児童生 徒に計算ドリルや漢字の書き取り等の支援を行います。必要に応じて、体育授業等の 補助を行います。 (2)特別支援教育や生徒指導及び教育相談に関する支援 個別の支援だけでなく、学年や学級等に入り、担任等の補助を行ったり、児童生徒 の支援を行ったりします。 なお(2)については、指導2課の中で次の係が担当します。 ○特別支援教育の視点での配置…特別支援教育係 肢体不自由、発達障害など障害による特別な教育的支援を必要とする児童生徒が在 籍する学校及び学級への支援 ○生徒指導の視点での配置………生徒指導対策係 生徒指導上困難な状態が続いている学校及び学級への支援 さいたま市では、平成16年度から、身体・行動などの障害、不登校、生徒指導 など特別な支援を必要とする児童生徒の在籍する学校及び学級等に対して、教員を 補助する支援員を配置し、学校生活における学習や生活など様々な場面で児童生徒 を支援しています。

Ⅰ 「教員補助員配置事業」の概要

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○教育相談の視点での配置………教育相談係 不登校及び学校不適応等の状態にある児童生徒が在籍する学校及び学級への支援 なお、平成23年度から学級等支援員の職務内容の拡大により、学級等支援員は、特 別支援教育、生徒指導、教育相談いずれの職務内容でも学校のニーズに応じて支援を行 います。 (3)児童生徒の教育活動等に関連して校長の指示する内容による学級等への支援 校長の指示により、不登校児童生徒の別室での個別支援や学校行事等の準備や実施 に伴う教職員の補助、あいさつ運動や校内清掃活動、特別支援学級への補助など児童 生徒の教育活動等に関連した支援を行います。 (2) 学級等支援員の出張 学級等支援員の出張は、①校長が必要と認める場合、②勤務時間内、③旅費の支給を 要しないことを条件に、校長が命じることができます。 例えば、小学校低学年における生活科の学習で近くの公園等に行くとき、特別な支援 を要する児童の引率補助が必要になる場合等が考えられます。 3 学級等支援員の守秘義務について 学級等支援員も学校組織の一員ですので、職務上知りえた秘密を漏らしてはいけません。 そこで、学級等支援員の守秘義務を次のように捉えます。 (1) 学校組織の守秘義務と捉えること ・ 児童生徒や保護者から相談を受けた場合には、組織の守秘情報として、校長、教頭、 学級担任及び特別支援教育コーディネーター等に必ず報告すること。 (2) 報告・連絡を密に取り、相談しながら進めること ・ 児童生徒の行動に気にかかることが起こったら、速やかに報告又は連絡をとり、相 談しながら対応すること。 ・ ただし、危険な行為や生命に関わる行為と判断した場合は、その場ですぐに注意を して、その行為をやめさせること。

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1 特別支援教育の推進と支援員の役割 (1) 「特別支援教育」とは 特別支援教育とは、「障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組 を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握し、その 持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な 支援を行うもの」です。 学校教育法等の改正により平成19年4月から、すべての学校おいて、教育上特別の 支援を必要とする児童生徒に対する適切な教育及び必要な支援を行う特別支援教育の 充実を図ることが、明確に位置づけられました。 (2) 「特別支援教育」は、なぜ必要か ノーマライゼーション理念の進展の中、近年、肢体不自由など障害のある児童生徒が 通常の学級に在籍する傾向がみられます。また、LD、ADHD、高機能自閉症などの 発達障害のある児童生徒が約6%の割合で存在する可能性(文部科学省調査)があり、 学校としての適切な教育的対応が求められています。 また、これらの児童生徒に対して、障害に応じた適切できめ細かな支援がなされなけ れば、学習上・生活上の困難が増大し、場合によっては二次的な障害を引き起こす可能 性も指摘されています。特に、行動面で支援が必要な児童生徒は、他の児童生徒の学習 に与える影響も多く、場合によっては学級としての機能に及ぼす影響も大きいことも指 摘されています。 それらを予防・改善するためには、教室における学習や生活をはじめとして、児童生 徒の障害の状態を踏まえた特別な支援が必要であり、学級等支援員が果たす役割は大き いと言えます。 2 「特別支援教育」の基本姿勢について 障害のある児童生徒の自立を支援するという視点に立ち、学級等支援員は、児童生徒が 一人でできることは見守り、できないこともできるだけ自分の力で行うよう励ます支援を 行うことを基本姿勢とします。 また、学級等支援員による支援が友達からどのような印象をもたれるかなど、障害のあ る児童生徒の気持ち(プライド)を考慮しながら支援することも大切です。 (1) 日常生活上の介助・支援(基本的な生活習慣の確立) ・ 指先に麻痺があり、自分で食べることが難しい児童生徒の食事の介助

Ⅱ 「特別支援教育」の視点での支援

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・ 衣服の着脱の介助 ・ 場に応じた身支度・活動準備を手伝う等の支援 ・ 学用品など自分の持ち物の把握が困難な児童生徒に対して、片付けを促したり、整 理場所を教えたりするなどの支援 (2) 教室移動における介助・支援 ・ 車いすの児童生徒が学習場所を移動する際に、段差のある廊下・階段等における必 要に応じた介助 ・ トイレの便座を使用する際など、車いすの乗り降りの介助 ・ 移動する学習場所が分からない児童生徒に対し、学習場所の移動を促す支援 (3) 学習活動等における介助・支援 ・ 手に麻痺がある児童生徒に対して、教員の指導を補助して、制作、調理等の学習活 動を補う支援 ・ 聴覚に困難を示す児童生徒に対して、授業内容の要約筆記の支援 ・ 読み取りに困難を示す児童生徒に対して、学習プリントや黒板の読み上げを行う等 の支援 ・ 書くことに困難を示す児童生徒に対して、ノートの代筆などを行う支援 ・ 聞くことに困難を示す児童生徒に対して、繰り返して聞かせるなど教員の話を理解 させる支援 ・ 教室を飛び出して行く児童生徒に対して、教室に戻るよう促す支援 ・ 場面の切り替えに困難を示す児童生徒に対して、授業の始業時間を意識させたり、 次の学習の準備をさせたりする支援 (4) 児童生徒の健康・安全確保に関する介助・支援 ・ 教室を飛び出して行く児童生徒に対して、安全確保や居場所の確認 ・ 肢体不自由や視覚障害のある児童生徒に対し、体育、図工、家庭科等の実技におけ る授業場面での必要な介助及び支援 ・ 安全への配慮が必要な児童生徒に対して、カッターナイフや包丁、火などを使う場 面での介助及び支援 ・ てんかんの発作が頻繁に起こるような児童生徒に対し、教師と他の子どもが活動し ている間、発作を起こす可能性のある児童生徒の様子の把握 ・ 他者への攻撃や自傷行為などの危険な行動に対する防止 (5) 学校行事における介助・支援 ・ 集団行動に困難を示す児童生徒に対して、他の子どもと行事に参加するよう促す支 援

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・ 肢体不自由や視覚障害のある児童生徒に対し、運動会等での長距離走等の種目で、 同じペースで走って進行方向を示す支援 (6) 周囲の児童生徒の障害に対する理解促進 ・ 支援を必要とする児童生徒に対して、児童生徒の得意なことや苦手なこと、行動の 特性を、そして、友達としてできる支援や適切な接し方を、教員(学級担任)と協力 しながら周囲の児童生徒に伝える。 ・ 支援を必要とする児童生徒に適切な接し方をしている児童生徒の様子を見かけたら、 その場に応じて賞賛し児童生徒の活動意欲を高めたり、適切な接し方を周囲の児童生 徒に広めたりする。 2 特別支援教育コーディネーターと校内委員会について 特別な支援を必要とする児童生徒に対する支援は、特別支援教育コーディネーターが中 心となって児童生徒の把握(理解)に努めるとともに、校内委員会において児童生徒一人 ひとりの教育的ニーズについて話し合い、校内支援体制を確立することが大切です。 その際、児童生徒一人ひとりについて、教育委員会のどの支援事業を使えば有効かにつ いても話し合います。その結果として、学級等支援員の配置を申請します。 (1) 特別支援教育に関する支援員の配置計画 気づき・行動観察 教育的ニーズの把握 保護者との相談 学校における生活や学 習 上 の 困難 を 改善 又 は克服するための手立 て 「潤いファイル」(教育 支援計画)の活用 校 内 委 員 会 学 年 会 個別の指導計画 個別の教育支援計画 <複数による指導・支援> ・特別支援教育コーディネーター ・学年の教員 ・教科担当の教員 ・部活や養護教諭等 ・さわやか相談員、スクールカウンセラー ・学級等支援員 等 通級指導教室 ・ 難聴・言語障害 ・ 発達障害・情緒障害 特別支援ネットワーク連携協議会 医療、保健、福祉、労働等の各機 関との連携 校内支援体制の確立 担 任 等 教 員 に よ る 指 導 学 校

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特別な支援を必要とする児童生徒に対する支援は、学級等支援員を配置すれば済むも のではありません。児童生徒一人ひとりについて、学校生活や学習上の困難を克服及び 改善するためには、「学校生活のどの場面」で、「具体的にどんな支援」が必要かを校内 委員会等で話し合い、明確にして配置することが大切です。 また、児童生徒は日々成長します。学級等支援員の配置計画を決定しても、固定的に 考えないほうが望ましいでしょう。校内委員会等で学級等支援員の配置計画を見直すな ど、特別な支援を必要とする児童生徒に対し最も有効な配置の工夫が必要です。 (2) 個別の指導計画、個別の教育支援計画に基づく支援 特別な支援が必要な児童生徒への支援について責任を担うのは、あくまでも学級担任 の教員であり、その補助をすることが学級等支援員の基本的な役割です。また、支援の 内容が特定の児童生徒の単なる世話役であると、学校全体の対応とかけ離れがちになり、 効果的な支援が期待できなくなることもあります。 学級担任、特別支援教育コーディネーターを中心とした校内委員会で話し合われた個 別の指導計画、保護者と学級担任で作成した個別の教育支援計画に基づいて、学級等支 援員が学級担任等と連携して支援することが重要です。 3 特別支援教育に関する研修について 「特別支援教育の視点での支援」の役割を果たすためには、教室における学習や生活を はじめとして、個々の児童生徒に対する障害の状態を踏まえた支援に関する知識・理解、 教育的ニーズに対する具体的な支援の方策が必要です。 学級等支援員は、「特別支援教育の視点での支援」を児童生徒に適切に対応できるように するとともに、学校全体での対応の一翼が担えるようにするためにも、特別支援教育に関 する研修を実施することが大切です。 そこで、さいたま市教育委員会では、平成21年度より特別支援教育に関する研修を次 のように位置づけました。これらの研修をもとに、自己研鑽にも努めてください。 (1) 「学級等支援員任用事前説明会」での研修 ・ さいたま市の学級等支援員制度 ・ 特別支援教育の理念と基本的な考え方 ・ 特別支援教育の視点での支援の心構え ・ 発達障害の特性の理解と支援 (2) 配置校での研修 「特別支援教育コーディネーターによる研修」 ・ 学校の支援体制による組織的な取組(校内委員会や教育相談部会等) ・ 特別な支援を必要とする児童生徒に対する個々の特性の理解 ・ 特別な支援を必要とする児童生徒の教室における気になる行動とその対応

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障害に対する困難さは一人ひとり違うように、児童生徒に対する適切な支援も様々です。 ここに挙げる事例は一例であり、実際の支援は児童生徒一人ひとりの障害の特性や教育 的ニーズに合わせて行わなければなりません。 1 小学校における活用事例 障害により「できない」「わからない」「どうせぼくはダメだ」などの自己評価(自尊感 情)が低下する経験をなるべく減らすとともに、「できること」を増やし、自信をもたせる ことが大切です。 (1) 学校生活への適応を図る事例 ≪支援の視点≫ ・肢体不自由(歩行不安定) ・教室にこもりがち(二次的障害) ・休み時間の支援 ≪支援員の活用≫ * 学級等支援員が休み時間における教室移動の補助を行っている。ただし、学習場 面の支援は必要ないので、授業が始まると学級等支援員は他の児童の支援について いる。 * また、学級等支援員が休み時間を児童と一緒に過ごすようにした。この支援によ り、他の児童と外遊びをするようになった。 ≪支援の視点≫ ・ADHDの特性の理解 ・衝動性、多動性 ・基本的な生活習慣の指導 ・友達とのトラブル ・自尊感情の低下(二次的障害) ≪支援員の活用≫ * 基本的な生活習慣や学習習慣を身に付けることを重視する方針を校内委員会で話 し合い、学級担任と学級等支援員が連携して集合、整列、作業の始め等の学習に対 する意識付けを行っている。 * この個別指導により集団行動がとれるようになってきたが、自ら物事に取り組む ことは、まだ課題である。 【事例1】 児童Aは、右半身に麻痺があるため歩行が安定せず、ちょっとした衝撃でも転 倒してしまう。特に、階段歩行には注意が必要であり、そのため、休み時間は一 人で教室にこもりがちになってしまう状況であった。 【事例2】 ADHDが疑われる児童Bは、視覚に入ったものに飛びつく衝動性、多動性が あり、入学時より友だちとのトラブルが多かった。

Ⅲ 「特別支援教育」に関する活用事例

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(2) 学級における環境調整(友達関係)に視点をおいた事例 ≪支援の視点≫ ・広汎性発達障害の特性の理解 ・友達からの刺激 ・自尊感情の低下(二次的障害) ≪支援員の活用≫ * 児童Cの授業中の行動に対しては、信頼関係ができている学級担任が指導するこ とにして、学級等支援員は周りの児童の指導に当たる役割分担を行った。 * 児童Cは、学習のルールを身に付けるとともに、周りの児童から余計な刺激を受 けることが減り、落ち着いて学習に取り組めるようになった。 ≪支援の視点≫ ・コミュニケーションに課題 ・トラブルの解消と振り返り ・自尊感情の低下(二次的障害) ≪支援員の活用≫ * まず、学級等支援員が寄り添い、受容的な態度で接して信頼関係を築いた。そし て、トラブルに対しては学級担任が指導し、その後に学級等支援員が行動の振り返 りを行うようにした。 * 児童Dは、活動に落ち着いて取り組むようになり、友だちとのトラブルが尐なく なってきている。 【事例3】 児童Cは、広汎性発達障害が疑われ、感情をコントロールすることに困難さが ある。授業中でも思ったことを言ってしまうため、周りの児童から理解されず、 ちょっかいを出され、からかわれることもあった。 【事例4】 児童D(高学年)は、コミュニケーションに課題があり、日常的に友だちとト ラブルを起こしていたため、友達の信頼が薄くなっていた。

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2 中学校における活用事例 思春期を迎えた中学生は、自分の考えをもち始めるので、支援を素直に受け入れにくく なります。また、特別な支援を必要とする生徒の行動に対する、周りの生徒の評価も厳し くなります。 支援は、生徒の行動を見守りつつ、必要に応じて行うことが大切になります。 (1) クールダウンを行うさわやか相談員の後補充の事例 ≪支援の視点≫ ・アスペルガー症候群の特性の理解 ・表現の苦手さとコミュニケーションの課題 ・トラブル ・自尊感情の低下(二次的障害) ≪支援員の活用≫ * トラブルに対する対処方法のスキルアップをねらいとして、さわやか相談員が生 徒Eの行動の振り返りを行う中で自己理解を深め、自己の行動の在り方を考えさせ る相談を行うことが、校内委員会において決定した。 * まず、学級等支援員が生徒Eの行動を観察し、さわやか相談員に周りの生徒との 関係やなぜトラブルになってしまうのかなど把握したことを伝えた。その情報をも とにさわやか相談員が生徒Eの相談中、学級等支援員がさわやか相談室登校をして いる生徒の支援を行うようにした。 * 生徒Eは今もトラブルを起こすが、どんな行動を取ればよかったかに気付けるよ うになってきている。 3 学校全体での活用事例 学級等支援員は、児童生徒の個別の支援を行うという理解をしている場合が多く見られ ますが、学校全体で活用することにより、多くの効果が得られます。 さいたま市は学級等支援員を学校や学級に配置していることを捉え、支援員の有効な活 用について校内委員会等で十分に話し合い、工夫することが大切です。 (1) 毎週の校内委員会において、支援員の配置を検討する事例 ≪支援の視点≫ ・特別な教育的支援を必要とする児童生徒の把握と教育的ニーズ 【事例5】 生徒Eは、アスペルガー症候群の疑いがあり、自分の感情を上手に表現するこ とができず、また、教師や生徒と積極的にコミュニケーションを図らないので理 解されず、毎日のようにトラブルが多かった。 【事例6】 F校では、特別な教育的支援を必要とする児童生徒が複数在籍し、支援員の支 援が行き届かないときに、必ずトラブルが発生している状態であった。

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・学校全体での支援員の活用 ≪支援員の活用≫ * その解決のために、F校では、特別な教育的支援を必要とする児童生徒一人ひと りの状態を把握することに努めた。その結果、例えば、肢体不自由のある児童生徒 は、休み時間や教室移動においては支援が必要だが、逆に授業中は支援が必要ない ことが分かった。また、学習障害のある児童生徒は、算数・数学の授業での個別の 支援は必要だが、国語や社会科の授業では自分から授業に取り組めていることが分 かった。 * 特別支援教育コーディネーターと教務主任が中心となって学級等支援員の時間割 を毎週検討し、金曜日の放課後に15分間の校内委員会を開き、次週の支援員の配 置を確認している。 * この結果、学級等支援員は、多くの児童生徒に、必要な支援を行うことが可能に なった。 (2) 学習に対する個別支援の事例 ≪支援の視点≫ ・学習障害の特性の理解 ・数理的処理の困難(かけ算のマスター) ・自信と意欲の向上(二次的障害防止) ≪支援員の活用≫ * 数学の授業では、教員と学級等支援員が連携して支援体制を組んでいる。具体的 には、数学担当の教員が生徒Gに応じた学習課題を用意し、学級等支援員が授業開 始の15分間だけ別室で個別支援(学習補助)を行うようにした。 * 生徒Gの個別課題は、休み時間に必ず数学担当の教員が評価し、生徒Gに一声か けて返却している。 * 生徒Gは、次第に自信を取り戻し、数学などの苦手な教科についても意欲的に取 り組む姿勢が見られるようになった。 【事例7】 LDの疑いの生徒Gは、数理的処理の困難があり、かけ算が完全に身に付いて いない状態であるので、特に数学はほとんど何もできない状態であった。

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1 「生徒指導」とは 生徒指導の意義は、児童生徒の非行・問題行動等の対策といった、 いわば消極的な面にだけあるのではなく、積極的にすべての児童生徒 のそれぞれの人格のより良き発達を目指すとともに、学校生活が、児 童生徒一人ひとりにとっても、また学級や学年、更に学校全体といっ た様々な集団にとっても、有意義にかつ興味深く、充実したものにな るようにすることを目指すところにある。「文部省:生徒指導の手引き」 そして、このような教育活動を実践していけば、自然に児童生徒の 非行・問題行動等の防止にもつながるのです。 2 児童生徒の状況 社会が急激に変化し、児童生徒の遊びの変化、人と接する機会 や場の減尐、習い事の増加に伴う自由時間の減尐等、児童生徒の 成長を取り巻く環境が大きく変化することにより、児童生徒の規 範意識の低下、コミュニケーション能力の低下、自己肯定感の低 下等がみられます。 そのため、現在の児童生徒の中には、次のような現象面が見ら れる場面があります。 ・ 特定の児童生徒が繰り返し問題行動を起こす。 ・ 感情の抑えがきかず、気に入らなかったり言葉で解決できなかったりすると、人や物 にあたる。 ・ 我慢の容量が尐ない。 ・ ささいなことにいらだち怒る。 ・ 自分の行為による結果にまで考えが及ばない ・ ルールを守る意識やコミュニケーション能力が低い。 ・ これまでの行動や態度からは、問題行動を起こすことが予見し難い児童生徒が、突発 的・衝動的に問題行動を起こしてしまう。

Ⅳ 「生徒指導」の視点での支援

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3 一人ひとりの理解 児童生徒の人格を尊重し、個性の伸長を図ることは、教育の基本です。 児童生徒一人ひとりは、素質・能力・興味・生育歴・家庭環境などが 異なります。そして、それぞれの個性をもち、その環境条件も同じでは ありません。したがって、児童生徒一人ひとりの個性や適性をより深く 理解し、外に現れた行動や現象のみだけでなく、その行動等の背後にあ る内面の感情や情緒を十分理解し、指導・援助に当たることが大切です。 さいたま市では、生徒指導上困難な状況が続く学校及び学級に対して、学級等支援員を 配置しています。生徒指導上の課題をもつ児童生徒の状況は一人ひとり異なっているので、 生徒指導の視点での支援は個々に応じて多岐に渡ります。非行問題行動がみられる児童生 徒の直接の対応をお願いすることもあります。 具体的には、教員と一緒の児童生徒へのあいさつ運動、遅れて登校してくる児童生徒や、 授業の開始時になかなか教室に入らない児童生徒への声かけ、授業等を抜け出してしまっ たり、授業に参加できなくなってしまったりした児童生徒への対応、休み時間や昼休みな ど目が届きにくい時間帯の校内巡回、非行問題行動をもった児童生徒への声かけや相談対 応、学級指導・清掃活動・給食等での担当教諭への協力、等があげられます。 特に、以下の点に留意して、児童生徒への対応をお願いします。 ・ 学級等支援員として児童生徒に対応するにあたっては、必ず管理職の指示に従って ください。 ・ 教員との報告・連絡・相談・確認を密接に行ってください。 ・ 積極的に児童生徒理解に努めてください。 (児童生徒は、一人ひとり違います。個々に応じた対応が大切です。) ・ 積極的に声かけ等を行い、児童生徒との信頼関係を深めてください。 (頭ごなしの強い声かけは、マイナスの効果を及ぼす可能性があります。) ・ 興奮している児童生徒に、単独で対応することはなるべく避けてください。 (責任感からの、深追いは、避け、教員との連携をお願いします。)

Ⅴ 「生徒指導」に関する活用上の留意点

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1 「教育相談」とは 学校で行われる教育相談は、「児童生徒一人ひとりのよりよい人格の形成と自己実現のた めに、学校生活を通して出会うさまざまな問題の解決を援助する」ことを、ねらいとして います。児童生徒が自らの力で問題を解決することにより、児童生徒のよりよい成長を促 すことが重要なポイントとなります。また、学校で行われる教育相談は、教育活動のあら ゆる場面を通じて、問題の発見と適切な指導、援助に努める必要があります。 2 さいたま市の教育相談体制 さいたま市では、学校の教育相談体制の充実を図るために、市立の全中学校に、さわや か相談員、スクールカウンセラーを配置しています。 ※ なお、さわやか相談員、スクールカウンセラーは、担当する小学校においても 必要に応じて相談活動等を行います。 3 さわやか相談室及び市の教育相談室での相談状況 さわやか相談室や市の教育相談室における相談状況を見ると不登校や性格・行動、友 人関係についての相談が多数を占めています。その中で最も多いのが不登校の相談で、 全体の約4割を占めています。全国的にも、不登校児童生徒への支援は大きな課題とな っています。さいたま市では、現在、各学校で教育相談体制充実のため、組織的な取組 を図ることで、児童生徒の不安や悩みの解消を図り、課題の改善を目指しています。 さわやか相談室等にはさまざまな課題をもつ多くの児童生徒が来室し、その一人ひと りの状況は異なっています。したがって、学級担任をはじめとした学校の組織的な対応 が求められ、その一翼を担う学級等支援員の積極的な活用が期待されます。 さわやか相談員・・・・・・週5日勤務 (主にさわやか相談室) ① 児童生徒の相談・援助 ② 教職員との連携 ③ 学校、家庭、地域との連携 ④ さわやか相談室の運営 等 スクールカウンセラー・・・週1日勤務 (主に職員室) (臨床心理士等) ① 教職員や保護者に対する指導・助言 ② 児童生徒へのカウンセリング 等

Ⅵ 「教育相談」の視点での支援

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4 さわやか相談室等で過ごす児童生徒への支援 教室に入ることが難しく、さわやか相談室等の別室で過ごす児童生徒が増えています。 さわやか相談室等で過ごす児童生徒は一人ひとりがそれぞれ異なった課題や不安を抱えて います。そのために、学級担任等の教職員はもとより、さわやか相談員等と学級等支援員 が連携を密にとり、役割分担を明確にし、児童生徒一人ひとりが自らの力で、課題を解決 できるような支援が求められます。 まず、児童生徒との信頼関係を築き、児童生徒が安心して過ごすことができる雰囲気を 作ることが支援のスタートになります。また、課題の原因追求よりも、課題解決に向け、 今できていることに注目し、課題解決に向け、スモールステップで取り組み、成功体験を 重ね、自尊感情を高めるようなかかわりや支援が求められます。

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教育相談の視点での支援については、各学校の実態に応じて校内教育相談体制の充実の ために、学校長の指示のもと職務を進めることになります。具体的な支援方針について、 学級担任やさわやか相談員等と共通理解を図り、共通支援を行うことが大切です。さわや か相談室等には、児童生徒以外にも、保護者や地域の方の訪問や教育相談室等の施設から の連絡や相談も入ります。また、児童生徒が別室登校等をしている場合は、それらの対応 は教職員やさわやか相談員等が担当することになりますので、連携をとれるようにしてお くことが大切です。 主な職務は、「相談対応」「学習支援」「教室復帰支援」等があります。特に、個別に支援 が必要となる児童生徒についての支援をお願いすることがあります。その際の具体的な支 援として以下のようなことが考えられます。 1 学 習 支 援 さわやか相談室等で過ごす児童生徒の多くは、学習に不安をもっています。一人ひとり 異なった学習課題を抱えていますので、一人ひとりに適切な支援が大切です。学習の遅れ がない児童生徒に対しては、授業で活用しているプリント等に取り組み、スムーズに学級 復帰につなげられるような支援が必要です。学習の遅れが見られる児童生徒に対しては、 特に、一人ひとりの児童生徒に応じた支援が必要です。苦手な学習に取り組み、課題を克 服することも大切ですが、まずは、できる問題、得意な教科から取り組み、学習への自信 をもたせ、学習意欲を高めることが大切です。いずれにしても、学習支援においては、学 級担任や教科担当の先生との連携が大切です。 2 学 級 復 帰 学級復帰については、特にスモールステップでの支援が必要です。例えば、一緒に誰も いない教室へ行く、教室のある階まで行く、教室の前まで行く、廊下で授業を聞く、最後 の5分間だけ教室に入る、などが考えられます。この際も、学級担任等、さわやか相談員 との連携が必要となります。

Ⅶ 「教育相談」に関する活用上の留意点

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さいたま市学級等支援員取扱要領

1 趣 旨 この要領は、教員補助員配置事業により、さいたま市立小・中学校等に配置するさ いたま市学級等支援員(以下「学級等支援員」という。)の取扱いについて、「さいた ま市臨時職員取扱要綱」(以下「要綱」という。)に定めるもののほか、必要な事項を 定める。 2 配置校等及び配置人数 (1)学級等支援員の配置校等については、さいたま市教育委員会(以下「教育委員会」 という。)が決定する。 (2)学級等支援員の配置人数については、さいたま市教育委員会が予算の範囲内で学校 等の実情に応じ、所属長の要請に基づき決定する。 3 業務内容 学級等支援員は、所属長の監督の下に、以下の業務に従事するものとする。 (1)授業における個別支援(必要に応じた体育授業等の個別支援を含む。) (2)特別支援教育、生徒指導及び教育相談に関する支援 (3)児童生徒の教育活動等に関連して所属長の指示する内容による学級等への支援 4 任用基準 学級等支援員は教員免許不問の教員等の補助員で、学級等支援員として登録してい る者の中から任用するものとする。登録に当たっては、書類及び面接に基づき選考 を行うものとする。 5 任用手続 学級等支援員を任用する場合は、臨時職員任用通知書(第1号様式)を本人に交付 するものとする。 6 服 務 (1)学級等支援員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。また、その職を退い た後も同様とする。 (2)学級等支援員は、学校等での教育活動等であることを十分理解し、教職員と協力し て、その職務に専念する。 (3)学級等支援員は、職務に当たっている間は、配置された小・中学校等の所属長の指 示に従うものとする。 7 解 職 学級等支援員が次の各号のいずれかに該当する場合は、さいたま市教育委員会は任 用期間中にかかわらずこれを解職することができる。 (1)職務の遂行に支障があり、又はこれに耐えない場合 (2)職務を怠り、又は服務に違反した場合

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(3)学級等支援員にふさわしくない言動があった場合 8 出張命令 所属長は、学級等支援員に対し必要があると認めるときは、出張(勤務時間の範囲 内においてかつ旅費の支給を要しないものに限る。)を命じることができる。 9 勤務時間等 (1)勤務日及び勤務時間は、週5日以内とし、1日5時間とする。原則として、1週間 につき25時間を超えてはならない。 (2)勤務時間は、上記(1)で定める範囲内において、配置された小・中学校等の所属長 が定め、勤務時間の割振り表(第2号様式)により教育委員会に報告するものとす る。 (3)毎月の勤務日及び勤務時間数は就業票(第3号様式)により、また勤務日を変更す る場合は、勤務の振替えについて(第4号様式)により教育委員会に報告するもの とする。 10 賃金等 教育委員会は、学級等支援員に対し、賃金及び通勤手当を支給する。賃金の日額は、 勤務時間数に1時間当たり990円を乗じて算出した額とする。 賃金の計算上1時間に満たない端数があるときは、30分以上はこれを1時間とし、 30分未満は切り捨てる。通勤手当の額は、要綱に準じる。 11 年次有給休暇 (1)学級等支援員は、別表第1に定める年次有給休暇を受けることができる。 (2)年次有給休暇は、1日を単位として受けることができる。ただし、必要があると認 められるときは、1日を5時間として1時間を単位とすることができる。 (3)年次有給休暇を受けようとするときは、あらかじめ所属長に届け出るものとする。 12 その他 この要領に定めるもののほか、学級等支援員に関し必要な事項は教育委員会が定める。 13 適用 この要領は、平成23年4月1日から施行する。 別表第1(さいたま市臨時職員取扱要綱第10条第1項関係) 1月の勤務日数 任 用 期 間 1月 2月 3月 4月 5月 6月 19日以上 1 2 3 4 5 6 15~18日(週4日) 2 3 4 11~14日(週3日) 2 3 7~10日(週2日) 2 4~ 6日(週1日) ※年次有給休暇は、更新時に繰り越すことができる。

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