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ルートヴィヒ・ベヒシュタイン編著 : 『ドイツ伝説集』(1853)試訳(その四)

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(1)

ルートヴィヒ・ベヒシュタイン編著

『ドイツ伝説集』試訳(その四)

鈴木

 

滿

 

訳・注

*凡例 1.ルートヴィヒ・ベヒシュタイン編著『ドイツ伝説集』 (一八五三) (略称をDSBとする)の訳・注である本稿 の底本には次の版を使用。 Deutsches Sagenbuch von Ludwig Bechstein. Mit sechzehn Holzschnitten nach Zeichnungen von A. Ehrhardt.

Leipzig, Verlag von Georg Wigand. 1853. ; Reprint. Nabu Press.

初版リプリント。ちなみに一〇〇〇篇の伝説を所収。 2.DSB所載伝説の番号・邦訳題名・原題は分載試訳それぞれの冒頭に記す。 3. ヤ ー コ プ と ヴ ィ ル ヘ ル ム の グ リ ム 兄 弟 編 著『 ド イ ツ 伝 説 集 』( 略 称 を D S と す る ) を 参 照 し た 場 合、 次 の 版 を 使用。

(2)

Deutsche Sagen herausgegeben von Brüdern Grimm. Zwei Bände in einem Band. München, Winkler Verlag. 1981.

Vollständige Ausgabe, nach dem Text der dritten Auflage von 1891

. ちなみに五八五篇の伝説を所収。   なお稀にではあるが、DSの英語訳である次の版(略称をGLとする)も参照した。 The German Legends of the Brothers Grimm. Vol.1/2. Edited and translated by Donald Ward. Institute for the

Study of Human Issues. Philadelphia, 1981.

4.DSB所載伝説とDS所載伝説の対応関係については、分載試訳冒頭に記すDSBの番号・邦訳題名・原題の 下に、ほぼ該当するDSの番号・原題を記す。ただし、DSB所載記事の僅かな部分がDS所載伝説に該当する場 合はここには記さず、本文に注番号を附し、 「DS***に詳しい」と注記するに留める。 5.地名、人名の注は文脈理解を目的として記した。史実の地名、人名との食い違いが散見されるが、これらにつ いては殊更言及しないことを基本とする。ただし、注でこれが明白になる分はいたしかたない。 6.語られている事項を、 日本に生きる現代人が理解する一助となるかも知れない、 と、 訳者が判断した場合には、 些細に亘り過ぎる弊があろうとも、あえて注に記した。こうした注記における訳者の誤謬へのご指摘、および、こ のことについても注記が必要、といったご高教を賜ることができれば、まことに幸いである。 7.伝説タイトルのドイツ語綴りは原文のまま。 8.本文および注における〔     〕内は訳者の補足である。

(3)

*分載試訳(その一)の伝説

   

ドイツの大河ラインの話

Vom deutschen Rheinstrom.

   

スイスの民の起源

Des Schweizervolkes Ursprung.

   

*DS514 Auswanderung der Schweizer.

    三 聖 ザンクト ガルス Sanct Gallus.     四 聖 ザンクト ガレンの修道士たちが祈りを捧げて 葡 ワ イ ン 萄酒 を授かる

Die St. Galler Mönche erbeten Wein.

    五 ダゴバートの 徴 しるし Dagoberts Zeichen.       *DS439 Dagoberts Seele im Schiff. /  *DS440 Dagobert

und seine Hunde.

    六 テ ル 伝 説 Die Tellensage.     *DS298 Die drei Telle. / *DS515 Die Ochsen auf dem Acker zu

Melchtal./ *DS516 Der Landvogt im Bad. / *DS517 Der Bund im Rüt

li./ *DS518 Wilhelm Tell.

    七 ル ツ ェ ル ン の ホ ル ン と 殺 害 の 夜 Luzerner Hörner und Mordnacht.     *DS519 Der Knabe erzählt ,s

dem Ofen. / *DS520 Der Luzerner Harschhörner.

   

ホーエンザクスの殿たち

Die Herren von Hohensax.

    九 イ ー ダ・ フ ォ ン・ デ ア・ ト ッ ゲ ン ブ ル ク Ida von der Toggenburg.     *DS513 Idda von Toggenburg.    一〇 ピラトゥスと 群 ヘ ー ル ド マ ン ド リ れなす小人

Der Pilatus und die Herdmanndli.

   

*DS150 Die Füße der Zwerge.

   一一 獣と魚を守る 山 ベ ル ク マ ン ド リ の小人

Die Bergmanndli schützen Heerden und Fische.

    *DS302 Der Gämsjäger.    一二 群 ヘ ー ル ド マ ン ド リ れなす小人 の 退 去 Die Herdmanndli ziehen weg.     *DS148   Die Zwerge auf dem Baum. /

(4)

   一三 デュルスト Der Dürst.     *DS 172 Der wilde Jäger Hackelberg. / *DS270 Der Türst, das Posterli

und die Sträggele. / *DS312 Die Tut-Osel.

   一四 有 ド ラ ッ ヘ 翼龍 たちと 無 リ ン ト ヴ ル ム 翼龍 たちの話

Von Drachen und Lindwürmen.

   

*DS217 Der Drache fährt aus.

   一五 ヴィンケルリートと 無 リ ン ト ヴ ル ム 翼龍 W in ke lr ie d un d de r L in dw ur m .      *D S2 18 W in ke lr ie d un d de r

Lindwurm. / *DS220 Das Drachenloch.

   一六 カステレン 高 ル プ 原牧場 Kastelen Alpe.    一七 お ブリューメリス 花の 高 ル プ 原牧場 Blümelis Alpe.     *DS93 Blümelisalp.    一八 マ ッ タ ー ホ ル ン に 現 れ た 永 遠 の ユ ダ ヤ 人 Der ewige Jude auf dem Matterhorn.     *DS344 Der

Ewige Jude auf dem Matterhorn. / *DS345 Der Kessel mit Butter.

   一九 巖 い わ か べ 壁 の聖母

Mutter Gottes am Felsen.

   

*DS348 Das Muttergottesbild am Felsen.

   二〇 動 物 た ち の 楽 園 Das Paradies der Thiere.     *DS300 Die Zirbelnüsse. / *DS301 Das Paradies der Tiere.    二一 悪 トイフェルスブリュッケ 魔の橋 Die Teufelsbrücke.     *DS337 Die Teufelsbrücke.    二二 牡 シ ュ テ ィ ー レ ン バ ッ ハ 牛の小川 Der Stierenbach.     *DS143 Der Stierenbach.    二三 よ ベ ッ サ ー シ ュ タ イ ン り良き石 Der Besserstein.    二四 十 ク ロ イ ツ リ ベ ル ク 字架山 Der Kreuzliberg.     *DS340 Der Kreuzliberg.    二五 骰 ヴュルフェルヴィーゼ 子が原 Die Würfelwiese.    二六 バーゼルの時の鐘

(5)

   二七 アウグスト近郊なる 異 ハ イ デ ン 教徒 穴 ロッホ の 蛇 乙 女 Die Schlangenjungfrau im Heidenloch bei August.     *DS13 Die Schlangenjungfrau.    二八 ベルンハルト公誓言を守る

Herzog Bernhard hält sein Wort.

  

二九

忠実なエッカルトの話

Vom treuen Eckart.

  

三〇

ツェーリンゲン家の起源

Der Zähringer Ursprung.

   

*DS527 Ursprung der Zähringer.

   三一 巨人の 玩 お も ち ゃ 具 D as R ie se ns pie lz eu g.       *D S1 7 D as R ie se ns pie lz eu g. / *D S3 25 D ie R ie se n zu Lichtenberg.    三二 蟇 クレーテン シ ュトゥール 蛙の椅子 Krötenstuhl.     *DS223 Der Krötenstuhl.    三三 粉 挽 ひ き小屋の 熊 く ま Der Mühlenbär.    三四 司 コ ー ル 教座聖堂 王 ケーニヒ Chorkönig.    三五 聖 ザンクト オッティーリア Sankt Ottilia.    三六 父と息子

Vater und Sohn.

   三七 大聖堂の時計 Die Münster-Uhr.    三八 シュトラースブルクの射撃祭とチューリヒの 粥 か ゆ

Straßburger Schießen und Zürcher Brei.

  

三九

ブレッテンの小犬

Das Hündchen von Bretten.

   

*DS96 Das Hündlein von Bretta.

   四〇 トリフェルス Trifels.    四一 カイザースラウテルンの 赤 デア・ロートバルト 髭 Der Rotbart zu Kaiserslautern.       *DS296 Kaiser Friedrich zu Kaiserslautern.

(6)

  

四二

舟に乗る修道士たち

Die schiffenden Mönche.

   

*DS276 Die überschiffenden Mönche.

   四三 シュヴァーベン 鉢 シ ュッセル Die Schwabenschüssel.    四四 シュパイアーの弔鐘

Die Todtenglocken zu Speier.

  

四五

ヴォルムスのユダヤ人たち

Die Juden in Worms.

  

四六

ダールベルク一族の話

Von den Dahlbergen.

   四七 ヴォルムスの象徴   Wormser Wahrzeichen.    四八 ラインの王女

Die Königstochter vom Rhein.

   四九 オッペンハイム近郊の ス シ ュ ヴ ェ ー デ ン ゾ イ レ ウェーデン 柱  

Schwedensäule bei Oppenheim.

   五〇 ジーゲンハイム Siegenheim.    五一 イ イ ェ ッ テ ン ・ ビ ュ ー エ ル ェッテの丘 と 王 ケーニヒス シ ュトゥール の椅子 Jetten-Bühel und Königsstuhl.       *DS139 Der Jettenbühel zu Heidelberg.    五二 聖 ザンクト カタリーナの手袋 St. Katharinen ,s Handschuh.    五三 ローデンシュタインの進発

Des Rodensteiners Auszug.

   

*DS170 Rodensteins Auszug.

  

五四

エーギンハルトとエマ

Eginhart und Emma.

   

*DS457 Eginhart und Emma.

   五五 ヴィンデック一族 Die Windecker.    五六 ロルシュのタッシロ Thassilo in Lorsch.    五七 鬼 ヘーアヴィッ シ ュ 火 Der Heerwisch.     *DS277 Der Irrwisch.    五八 草地の乙女とくしゃみ

Die Wiesenjungfrau und das Nießen.

   

(7)

Die Wiesenjungfrau. / *DS225 Das Niesen im Wasser.

  

五九

沈んだ修道院

Das versunkene Kloster.

   六〇 フランケンシュタインの 無 リ ン ト ヴ ル ム 翼龍 Der Lindwurm auf Frankenstein.       *DS219 Der Lindwurm am Brunnen. *分載試訳(その二)の伝説    六一 フランケンシュタインの 驢 ろ ば 馬 扶 ふ ち 持

Das Frankensteiner Eselslehen.

  

六二

黄金のマインツ

Das goldne Mainz.

   六三 ハットー、ヘーリガー、ヴィリギス Hatto, Heriger und Willigis.     *DS242 Der Binger Mäuseturm.

/ *DS474 Das Rad im Mainzer Wappen.

  

六四

マインツの聖なる十字架

Die heiligen Kreuze zu Mainz.

   六五 ハインリヒ・ 女 フ ラ ウ エ ン ロ ー プ 人讃美 の葬礼 Heinrich Frauenlob ,s Begängniß.    六六 聖女ビルヒルデ

Die heilige Bilihilde.

   六七 フランク族の 渉 フ ル ト り場

Der Franken Furt.

    *DS455 Erbauung Frankfurts.    六八 王の 降 ヴ ァ イ ナ ハ ト 誕祭

Des Königs Weihnacht.

  

六九

エッシェンハイム塔の話

Vom Eschenheimer Thurm.

  

七〇

ファルケンシュタインの

悪 トイフェルスヴェーク

魔の道

Der Teufelsweg auf Falkenstein.

   七一 エップシュタイン一族 Die Eppsteiner.    七二 血 ブ ル ー ト リ ン デ の科の木 Blutlinde.

(8)

   七三   神 ノ ー ト ・ ゴ ッ テ ス の難儀 Noth Gottes.    七四   レーダーベルク Räderberg.     *DS279 Räderberg.    七五   囁 ささや き声 Die Wisperstimme.    七六   燃える炭

Die glühenden Kohlen.

   七七   死を告げる 鳩 は と

Taube zeigt denTod an.

  

七八

 

トハウンの猿

Der Affe zu Dhaun.

   七九   坊さんの帽子 Das Pfaffenkäppchen.    八〇   長靴一杯の 葡 ワ イ ン 萄酒

Der Stiefel voll Wein.

  

八一

 

荒 デア・ヴィルデ・イェーガー

れ狂う猟師

Der wilde Jäger.

   八二   シュパンハイムの創設 Spanheims Gründung.    八三   モーゼル 葡 ワ イ ン 萄酒 の起源の話

Vom Ursprung des Moselweins.

  

八四

 

聖人たちの墓

Der Heiligen Gräber.

  

八五

 

メッツは踊るのお断り

Metz versagt den Tanz.

   八 六   ヴ ィ ル ド ゥ ン グ の 悪 魔 と の 盟 約 者 Der Teufelsbündner in Virdung.     *DS536 Der Virdunger Bürger.    八七   貞女フロレンティーナ

Die getreue Frau Florentina.

   

*DS537 Der Mann im Pflug.

   八八   トリーアの 齢 よわい Trier ,s Alter.    八九   聖 ザンクト アルヌルフの指環 Sankt Arnulf ,s Ring.

(9)

   九〇   天罰 覿 て き め ん 面

Frevel wird bestraft.

*分載試訳(その三)の伝説    九一 殉教者たちの墓 Die Martyrer-Gräber.    九二 聖女ゲノフェーファ

Die heilige Genofeva.

   

*DS538 Siegfried und Genofeva.

  

九三

ライン河畔の酒神たち

Die Weingötter am Rhein.

  

九四

七人姉妹

Die sieben Schwestern.

   九五 ルールライ Lurlei.    九六 聖 ザンクト ゴアールの奇蹟

Sankt Goars Wunder.

   九七 兄と弟 Die Brüder.    九八 さすらい歩く修道女

Die wandelnde Nonne.

  

九九

シュタインの奥方

Die Frau von Stein.

 

一〇〇

大胆不敵なクルツホルト

Der kühne Kurzhold.

   

*DS471 Der kühne Kurzhold.

  一〇一 空の橋 Die Luftbrücke.   一〇二 アルテンアールの 囚 と ら われ 人 び と たち

Die Gefangenen auf Altenahr.

  一〇三 ジーベンビュルクの話 Vom Siebenbürg.   一〇四 ロ ロ ー ラ ン ツ エ ッ ク ーラントの角 Rolandseck.   一〇五 リューデリヒの鉱夫たち

Die Knappschaft im Lüderich.

 

一〇六

最後の種

蒔 ま

(10)

  一〇七 古きベルク一門 Der Alte-Berg.   一〇八 修道院の 驢 ろ ば 馬 Der Klosteresel.   一〇九 花咲ける司教杖

Der blühende Bischofstab.

  一一〇 蜜 イ ン メ ン カ ペ レ 蜂の礼拝堂 Immenkapelle.   一一一 ニ ー ベ ル ン グ・ フ ォ ン・ ハ ル デ ン ベ ル ク と 小 人 の ゴ ル デ マ ー ル Nibelung von Hardenberg und der Zwerg Goldemar.   一一二 聖なるケルン Das heilige Köln.   一一三 市民マルシリウス

Der Bürger Marsilius.

 

一一四

ケルン大聖堂の伝説

Die Kölner Dom-Sage.

    *DS205 Der Dom zu Köln.   一一五 アルベルトゥス・マグヌス Albertus Magnus.    

*DS495 Albertus Magnus und Kaiser Wilhelm.

  一一六 グリューン殿と 獅 ラ イ オ ン 子

Herr Gryn und der Löwe.

  一一七 床の穴から 覗 の ぞ く馬たち

Die Pferde aus dem Bodenloch.

   

*DS341 Die Pferde aus dem Bodenloch.

  一一八 馬で回って手に入れた森 Umrittener Wald.   一一九 カール皇帝の 林 り ん ご 檎 の切れ端

Kaiser Karls Apfelschnitze.

 

一二〇

アーヘン大聖堂

Dom zu Aachen.

   

*DS187 Der Wolf und der Tannenzapf.

 

一二一

ポネレン

塔 トゥルム

の悪魔

Der Teufel im Ponellenthurm.

   

*DS188 Der Teufel von Ach.

 

一二二

アーヘンを見下ろすロース

山 ベルク

の話

Vom Loosberg über Aachen.

  一二三 蛇の 指 ゆ び わ 環 Schlangenring.    

(11)

 

一二四

カール皇帝の帰還

Kaiser Karl kehrt heim.

   

*DS444 Karls Heimkehr aus Ungerland.

  一二五 フ ァ ス ト ラ ー ダ の 愛 の 魔 法 Fastrada,s Liebeszauber.     *DS448 Der Ring im See bei Aachen. /

*DS459 Der Kaiser und die Schlange.

  一二六 カール大帝の死と 奥 お く つ き 津城

Karl des Großen Tod und Grab.

   

*DS481 Otto III. in Karls Grabe.

  一二七 アーヘンの 神 テ ン プ ラ ー キ ル ヒ ェ 殿騎士教会 Templerkirche zu Aachen.   一二八 アーヘンのヒンツ 小 ラ イ ン 人 たち

Die Hinzlein zu Aachen.

  一二九 ペルフィッシュで演奏した 屈 く ぐ せ 背 の楽士たち

Die buckligen Musikanten auf dem Pervisch.

 

一三〇

翔 と

び行くオランダ人

Der fliegende Holländer.

 

一三一

スパなる聖レマクルスの足跡

Sankt Remaclus Fuß zu Spaa.

 

一三二

眠れる子どもたち

Die schlafenden Kinder.

  一三三 駿 し ゅ ん め 馬 バイヤールとバイヤールの 城 や か た 館

Roß Bayard und Schloß Bayard.

 

一三四

ルーヴェンの死者たち

(12)

*本分載試訳(その四)の伝説   一三五 白鳥の騎士 Der Schwanritter.    

*DS544 Der Schwanritter./ *DS540 Der Ritter mit dem Schwan.

  一三六 「ゲルレ、ゲルレ!」 „Gerle, Gerle! ,,   一三七 巨人の手を投げる

Des Riesen Handwerfen.

  一三八 レ ヘ ー ル ・ レ ム ム殿 Herr Lem.   一三九 ガンゴルフの泉 Gangolfs Brunnen.   一四〇 イザベラ色 Die Isabellenfarbe.   一四一 ファウスト博士とその悪魔ヨースト

Doctor Faust und sein Teufel Jost.

 

一四二

魔術師アグリッパの話

Vom Zauberer Agrippa.

 

一四三

ヤン・ファン・ニヴェルの犬

Der Hund des Jan von Nivelle.

  一四四 聖 ザンクト 〔= 聖 シ ント 〕ヨハニスの 林 り ん ご 檎 St. Johannisäpfel.   一四五 一 年 の 日 数 だ け の 子 ど も Soviel Kinder als Tage im Jahre.     *DS584 Soviel Kinder als Tag , im Jahr.   一四六 永遠の猟師

Der ewige Jäger.

  一四七 悪 い た ず ら 戯 妖精クルッデ Tückebold Kludde.   一四八 悪 い た ず ら 戯 妖精ロッダーと 背 ン ゲ ・ 高のっぽの ワッパー

Die Tückebolde Lodder und lange Wapper.

 

一四九

妖精オッシャールト

Der Geist Osschaert.

  一五〇 夢 マ ー ル 魔 Die Mahr.

(13)

  一五一 クラバウター 小 メンヒェン 人 Die Klaubautermännchen.   一五二 ニクスのフレルス Nix Flerus.   一五三 女 メ ー ル ミ ン の人魚 たち Die Meerminnen.   一五四 フリースラントの妖精たち Geister in Friesland.   一五五 スターフォレンの起源 Stavorens Ursprung.   一五六 火 フォイアー・ピュッツ の 泉 Der Feuer-Pütz.   一五七 湧 わ き 溢 あ ふ れる 水 ヴァッサー・ピュッツ の 泉

Der überquellende Wasser-Pütz.

  一五八 スターフォレンの不思議な穀物と 奥 フ ラ ウ エ ン ザ ン ト 方の 砂山 Das Wunderkorn von Stavoren und der Frauensand.      *DS240 Der Frauensand.   一五九 スターフォレンの 凋 ちょうらく 落 Stavorens Untergang.    

*DS239 Der taube Korn.

  一六〇 七人の 女 メ ー ル ミ ン の人魚 たち

Die sieben Meerminnen.

  一六一 フリース人の改宗 Der Friesen Bekehrung.     *DS452 Des Teufels goldnes Haus. /     *DS451

Ratbot läßt sich nicht taufen.

  一六二 ヴィッテキントの洗礼 Wittekinds Taufe.     *DS453 Wittekinds Taufe.   一六三 オルデンブルクの 角 ホ ル ン 型杯

Das Oldenburger Horn.

   

*DS547 Das Oldenburger Horn.

 

一六四

獅 デア・レーヴェンジーガー

子退治の

フリードリヒ

Friedrich, der Löwensieger.

   

*DS548 Friedrich von Oldenburg.

 

一六五

オーゼン

山 ベルク

の小人族

Das Zwergvolk im Osenberge.

   

*DS43 Die Osenberger Zwerge.

  一六六 妖 エ ル ベ 精 たち Die Erben.

(14)

  一六七 聖 ハ イ リ ゲ ラ ン ト なる島

Das heilige Land.

  一六八 フォジーテの島 Fositesland.   一六九 処 ユ ン グ フ ァ ー シ ュ ト ゥ ー ル 女たちの御座 およびヘルゴラントの修道士

Der Jungfernstuhl und der Mönch auf Helgoland.

  一七〇 マニヒフアール Mannigfual.   一七一 金 ゲ ル ト ゾ ー ト の泉 Der Geldsot.   一七二 レーヴァーレーヴェ Röwerlöwe.     一七三 ダン王 König Dan.   一七四 千 タウゼントトイフェルスダム 匹悪魔堤防 の会戦

Die Schlacht auf dem Tausendteufelsdamme.

 

一七五

ディトマルシェンとホルシュタインの奇蹟の樹木

Wunderbäume in Ditmarschen und Holstein.

  一七六 ディトマルシェンの 荒 デア・ヴィルデ・イェーガー れ狂う猟 師

Der wilde Jäger in Ditmarschen.

 

一七七

アーベル王の狩り

König Abels Jagd.

  一七八 ヴォーデ Der Wode.   一七九 地 ウ ン タ ー イ ル デ ィ ッ シ ェ べたの下の衆 Die Unterirdischen.   一八〇 キールクロプフ Die Kielkröpfe.    

*DS83 Die Wechselbälge im Wasser.

 

一八一

ニッセとヴォルターケン

Die Nissen und die Wolterkens.

  一八二 アレリュンケン Allerünken.   一八三 ランツァウの幸運

Das Glück der Ranzau.

   

*DS41 Die Ahnfrau von Rantzau.

  一八四 剣 つるぎづか 遣 い Schwertmann.

(15)

一三五   白鳥の騎士   ブラバント 公ゴットフリートに死が迫った折、子息に恵まれなかった公は、夫人と息女に領邦と遺産を相続させ よ う と し た。 し か し な が ら、 ゴ ッ ト フ リ ー ト の 兄 弟 で あ る ザ ク セ ン 公 は こ れ を 肯 うべな お う と せ ず、 こ の 封 土 は 女 に ょ に ん 人 采 さ い ゆ う 邑 にあらず、女人が相続してしかるべき遺産にあらず、と断じ、ブラバントを占有した。そこで公妃がカール王 〔 = カ ー ル 大 帝 = シ ャ ル ル マ ー ニ ュ〕 に 哀 訴 す る と、 王 は 彼 女 と そ の 義 理 の 兄 弟 を ラ イ ン 河 左 分 岐 流 ─ ─ そ の 名 は ヴァール──河畔に位するノイマーゲン(ニムヴェーゲン、ナイメーヘン )へ召喚した。公妃は息女とともにかし こへ赴いた。その抗争相手もまた同じく。さて、カールがふと窓から外を眺め、河面を見下ろすと、一羽の白鳥が 泳いで来るのに目が留まった。白鳥は 頸 く び に 白 し ろ が ね 銀 の 頸 く び わ 環 を 嵌 は めており、それに繋いである白銀の鎖で 一 い っ そ う 艘 の小舟を 牽 ひ い て い た。 小 舟 に は 燦 さ ん ら ん 爛 た る 鎧 よろい を 纏 ま と っ た 騎 士 が 一 人 横 た わ り、 盾 を 枕 に 頭 こうべ を 休 め、 冑 かぶと と 頸 け い こ う 甲 は 外 し て 傍 ら に 置 いていた。やがて白鳥は岸辺へと近づいて来た。皇帝とともにこの光景を目の当たりにした宮廷人はいずれもいた く驚嘆、審理のことなどすっかり忘れ去り、わらわらと河畔に下った。小舟の若武者はといえば、目を覚ますと物 の 具 を 再 び 着 け、 白 い 柘 ざ く ろ い し 榴 石 を 八 つ の 小 さ な 王 お う し ゃ く 笏 が 囲 ん で い る 紋 章 盾 を 手 に 取 る と、 軽 舟 か ら 下 り 立 ち ざ ま、 白 鳥にこう語り掛けた。 「さあ、 翔 と び戻るがよかろう、 愛 い と しい白鳥。して、 そなたが入用となったら、 呼ぶからのう」 。 ──すると白鳥は向きを転じて河面を泳ぎ去り、扁舟もろとも、見送る人人の目から消えた。一同、なんとも不思 議で 堪 た ま らずこの賓客を注視、カールは自ら親しく客人に手を差し伸べ、城へと案内した。次いでカールは法廷に着 座、新参の騎士を諸侯諸卿と同席させた。さて公妃が告訴を行うと、その義理の兄弟が 反 は ん ば く 駁 、加えて、この身は自 らの権利のために闘う用意がある、公妃は、公妃と公女が持つ、と言い張る権利を擁護してこの身と一騎打ちをす (   ) 1 (   ) 2 (   ) 3

(16)

る 代 戦 士 を 立 て る が よ ろ し か ろ う、 と 宣 言 し た。 と こ ろ で ザ ク セ ン 公 は ま こ と に 剛 勇 の 武 も の の ふ 士 で、 い か な る 戦 い く さ こ う し ゃ 巧 者 を も 凌 し の ぐ 腕 前 だ っ た。 た め に 公 妃 は 恐 れ 戦 おのの い た。 な に し ろ、 こ う し た 男 に 立 ち 向 か っ て く れ る よ う、 あ え て 懇 請 で き る よ う な 代 戦 士 は 一 族 の 内 に 皆 目 思 い 当 た ら な か っ た の だ。 そ こ で 無 念 遣 や る 方 な く 啜 す す り 泣 き、 息 女 も と も に 流 り ゅ う て い 涕 し、 悲 嘆 に く れ た。 す る と、 な ん と、 白 鳥 に 運 ば れ て 来 た か の う ら 若 き 騎 士 が 椅 い す 子 か ら す っ く と 立 ち 上 が り、 皇帝に低頭すると、 「陛下、 お許しを戴けますなら、 わたしが 女 にょしょう 性 お二方の代戦士を務めましょう」と言い放った。 これが 嘉 か の う 納 されると、次いでザクセン公と 熾 し れ つ 烈 な闘いを交わし、遂に相手に勝利して、公妃と息女のために遺領を 解放した。婦人たちはいとも 鄭 ていちょう 重 に礼を述べ、 公妃は、 この身に能うことなればどんな報償でもまいらせましょう、 それが娘の手とかつての封土でありましょうとも、と申し出た。若武者のいわく「それに越したご褒美がございま しょうか。わたしの名はヘリアス。一身上のくさぐさについてはこれ以上申し上げられませぬ。また、どうしても 条件としてご承諾たまわらねばならぬことが。婚約者にして配偶となられるご息女は、 わたしがどこから来たのか、 いかなる一族の出か、 父母はそも 何 な ん ぴ と 人 か、 などといった条条を今後とも決してお 訊 き きになりませぬよう。なぜなら、 さような質問を、ただ 一 ひ と た び 度 たりともわたしになさった途端、ご息女は永遠にわたしを失うことになるゆえに」 。   ブラバントの姫君にとってこうした約束を守るのはなんでもないことと思われたので、これを誓い、白鳥の騎士 ヘリアスと 華 か し ょ く 燭 の典を挙げた。夫妻は、かつてユリウス・カエサルが要塞を築いたいと古き町クレーフェ に引き移 り、 城 館 を 修 復 し て 白 シ ュ ヴ ァ ー ン ブ ル ク 鳥 城 と 命 名、 昔 か ら そ の 美 し い 風 景 が 古 代 神 話 の 至 エ リ ュ シ ウ ム 福 の 野 に し ば し ば 譬 た と え ら れ た 土 地 と 人生を 愉 た の しんだ。花のような二人の子らも授かり、とても幸せだった。そしていついつまでも幸せでいられたこと だろう、女性の原罪であるあの厄介な好奇心が若い公妃を悩まし、それがますますひどくならなかったら。そもそ も愛児らの父親はいったいどこのだれなのか、知りたくて 堪 た ま らなくなり、胸が 潰 つ ぶ れそうになった彼女は、とうとう (   ) 4 (   ) 5 (   ) 6 (   ) 7

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あ れ ほ ど 厳 し く 禁 じ ら れ た 問 い を 口 に 上 の ぼ せ て し ま っ た。 す る と ヘ リ ア ス は こ う 応 じ た。 「 こ れ で そ な た の 幸 せ は 砕 け散った。そしてわたしの幸せもな。 永 と こ し え 久 の別れだ」と。──そして物の具を身に着けると、窓から顔を出して合 図を送った。するとかの白鳥が小舟を牽いてやって来た。それから公爵は子どもたちに 接 く ち づ け 吻 し、黙ったまま苦しげ に奥方の手を握り締めた。──奥方は声を限りに泣き叫び、悔やみに悔やんだあげく夫の 足 あ し も と 許 にくずおれ、なんと か引き留めようとした。諸人も、 なにとぞご翻意を、 と懇願。けれどもヘリアスは留まることができなかったのだ。 ─ ─ 彼 は 全 て の 者 を 祝 福、 扁 舟 に 乗 り 込 む と、 行 く 方 か た 知 れ ず と な っ た。 公 妃 は 懊 お う の う 悩 の ど ん 底 に 突 き 落 と さ れ た が、 子どもたちを育て上げて立派な騎士にした。後世のクレーフェ、ゲルデルン、ライネックの伯爵、公爵一統は彼ら の子孫であり、その多くは白鳥を家紋とした。しかしながらこの邦の軍旗の紋様は今日に至るまで赤地にかの白い 石 で あ り、 石 の 周 り を 八 つ の 黄 金 の 王 笏 が 囲 ん で い る。 ま た 白 シ ュ ヴ ァ ー ン ブ ル ク 鳥 城 の 白 シュ ヴ ァ ー ン ト ゥ ル ム 鳥 塔 の 上 に は 現 在 も な お 一 羽 の 白 鳥 が風見として回り、この物語の 証 あかし となっている。 一三六「ゲルレ、ゲルレ!」   ライン河とマース川の間に開ける 広 こ う か つ 𤄃 な地方に、カール 禿 デ ア ・ カ ー レ 頭帝 の時代、一頭の恐ろしい 有 ド ラ ッ ヘ 翼龍 が 棲 す んでいて、人 や 獣 を ぺ ろ り と 平 ら げ、 ひ も じ く な る た び 甲 高 い 大 声 で「 ゲ ル レ、 ゲ ル レ!」 と 叫 び 続 け た。 土 地 柄 は 麗 し く 豊 ほうじょう 饒 だったが、 人間はこの領域から立ち退いてしまった。 この怪物にはなんとしても打ち勝ち難かったからである。 さ て、 近 く に ポ ン ト の 殿 オ ッ ト ー な る 貴 族 が お り、 三 人 の 子 息 を 持 っ て い た。 長 男 は ロ イ ポ ル ト と い う 名 だ っ た。 ロ イ ポ ル ト は 大 胆 不 敵 な 若 武 者 で、 怪 物 と 対 決 し よ う と い う 勇 気 の 持 ち 主 だ っ た。 彼 は 万 全 の 武 装 に 身 を 固 め、 (   ) 8

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有 ド ラ ッ ヘ 翼龍 が巣くっている場所を聞き 質 た だ した。教えられたのは 寄 や ど り ぎ 生木 にびっしり覆われた 梨 な し の老樹で、そこに赴いたロ イポルト殿の耳にしばらくするともう「ゲルレ、ゲルレ!」という 有 ド ラ ッ ヘ 翼龍 の叫びが聞こえた。──「まあ、待って いろ」と若武者は考えた。 「きっときさまに 音 ね を上げさせてやるぞ」 。そして 有 ド ラ ッ ヘ 翼龍 に近づいた。龍は星のように輝 く 焰 ほのお の 眼 で ぎ ろ り と 睨 に ら み、 か っ と 腭 あぎと を 開 き、 毒 気 を 吐 き か け た が、 ロ イ ポ ル ト 殿 が そ の 喉 の ど 深 く に 槍 を 刺 し 込 ん だ ので、穂先が後頭部から突き出した。それから殿は剣を振るって龍の両脇腹を貫き、龍を殺した。一帯の住民は感 謝 に 満 ち 満 ち て 若 き 騎 士 の 勲 いさお を 讃 え、 彼 を 主 君 に 推 す い た い 戴 し た。 ロ イ ポ ル ト は 龍 を 退 治 し た 場 所 に 城 を 築 造 し、 龍 の 叫びに 因 ち な んで城をゲルレと名づけた。これぞ、この繁栄している地方が今日なお有しているゲルデルン なる名称の 由来である。 一三七   巨人の手を投げる   スヘルデ川 河畔のある高い塔に、ユリウス・カエサル の時代、一人の巨人が住んでいた。アンティゴヌス なる名 だった由。こやつはこの辺り一帯を監視、この地点を 過 よ ぎる船舶、あるいは渡河しようとする者全員から貨物の半 ばを通行料として取り上げた。支払いたくない者は巨人と闘わねばならなかった。そして巨人は敗者からそのつど 右手を切り取ってスヘルデ川に投げ込んだ。 ある時ブラボン という男が数人の道連れとともに渡し場にやって来て、 見 張 り に 立 っ て い た 巨 人 の 手 下 に 同 所 で 出 く わ し た。 手 下 は 一 行 の 渡 河 を 阻 は ば み、 ま ず お 頭 かしら の 巨 人 と 持 ち 物 を 半 分 分けにするこった、でなけりゃ右手とおさらばするかだて、と告げた。ブラボンにしてみればそんなことは思いも 寄らぬ。前者であろうと、後者であろうと、いずれにしてもである。すると手下は鉄の棒を打ち鳴らした。これが (   ) 9 (   ) 11 (   ) 11 (   ) 12 (   ) 13

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殷 い ん い ん 殷 と 鐘 の よ う に 響 き 渡 る と、 塔 か ら 巨 人 が 傲 ご う ぜ ん 然 と 降 り て 来 て、 「 こ の お れ 様 と 闘 お う と い う の は ど や つ だ 」 と 言 い放った。──「わたし一人だ」とブラボンが応酬、すぐさま闘いが始まった。苛烈な闘い、打ち合いが幾多も続 いた。巨人は剛強な戦士で、その 薙 な ぎ払うところ、草も生えぬ〔=恐ろしい打撃を 喰 く らわせる〕 、というあんばい。 さはさりながらそれでもとうとう雄雄しい勇者ブラボンが勝利を 贏 か ちえ、まず巨人の右手を斬り落とし、次いでそ の 首 も 刎 は ね、 手 を 広 い 流 れ の 上 へ 高 高 と 投 げ 上 げ、 こ う 叫 ん だ。 「 わ た し の 投 げ た あ の 手 の 届 く 限 り、 こ の 流 れ を 今 や わ た し が 勝 ち 取 っ た 領 土 の 一 部 と す る 」。 ─ ─ そ れ か ら 更 に 得 た 勝 利 を 軍 神 マ ー ル ス に 感 謝 し て、 そ の 神 殿 で 生 い け に え 贄 を捧げた。かの手は川の中央に落ちた。この邦は英傑の名に 因 ち な んでブラバントと呼ばれるようになり、以来ス ヘルデ川の半ばはブラバントに帰属した。   ユリウス・カエサルがブリタニアから帰還すると、ブラボンは彼の 許 も と に赴き、自分がスヘルデ河畔の 葦 よ し の中に打 ち倒した巨人アンティゴヌスとの冒険を物語った。かの偉大なる将帥はブラボンを賞讃し、もろともにその場所に 出掛け、その地に城を建ててやり、これを聖別すると、城と封土とに大きな特権とさまざまな自由を与え、ブラボ ン を ロ ー マ 帝 国 の 辺 マ ル ク グ ラ ー フ 境 伯 に 任 命 し た。 さ て こ の 地 は「 手 ハ ン ト ・ ウ ェ ル ペ ン を 投 げ る 」 に 基 づ い て ハ ン ト ウ ェ ル ペ ン と 名 付 け ら れ、 強大な都市に発展し、現在アントウェルペン市 となっている。   その頃ユリウス・カエサルはトゥルンハウト を建設、これに数数の大きな特権を 賦 ふ よ 与 し、次いでルーヴェンの近 くに皇居を造営した。同地でカエサルは英傑ブラボンと狩猟に行き、素晴らしく大きな 鷲 わ し を射留めた。彼は、これ ぞ幸運を告げる神神の託宣、と考えた。それゆえ、その地に新たな植民都市を営み、これを「 鷲 ア ー ル ス ホ ッ ト を射る 」と命名し た。今日のアールスホット である。 (   ) 14 (   ) 15 (   ) 16 (   ) 17 (   ) 18 (   ) 19

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一三八   ヘ ー ル ・ レ ム ム殿   そ も そ も そ の 昔、 海 に 面 す る 低 地 の 諸 地 方 に は ま こ と に 夥 おびただ し い、 か つ 強 大 な 巨 人 た ち が 蟠 ば ん き ょ 踞 し て い た。 彼 ら は ブリタニア、すなわち白い 白 チ ョ ー ク 堊 の大島アルビオン から到来したのである。アルビオンの後世の名称ブリタニアはト ロイア人ブリートゥス に由来する。こうした巨人でその名をレムという者が、今日のレイデン に住んでいた。息子 を一人授かったが、これもレムなる名で、後に町を建設した。彼はこの町に領主として君臨したので、 レ ヘ ー ル ・ レ ム ム殿 と呼 ばれ、町の名も彼に 因 ち な んだ。これなんハールレム である。ハールレムの森にはかつてバッコスの神殿があり、森全 体がこの神のため神聖とされていた。ハールレム近郊の水路バケネサー 運 フ ラ ハ ト 河 なる名もこの神に由来するし、古代の バッコスの神殿跡には現在バケネサー 教 ケ ル ク 会 が建っている。巨人レム殿の妻はウァルベレヒ という名で、すさまじく 大きく強かったそうな。ホラント〔=オランダ、ネーデルラント〕の地から英国へ渡ろうとする時は、ただの 一 ひ と ま た 跨 ぎだった。彼女は何頭もの巨大な馬と幾つもの牛群を持っており、これらは北海の岸辺で草を 食 は んでいた。すると 強盗どもの乗った船が一隻やって来た。彼らは上陸して牧場から畜群を奪い、自分らの船に積み込んだ。この船は 小さいものではなかった。ウァルベレヒが家畜の群れを検分しにやって来た時、群れはいなくなっており、これを 乗せた例の船は海上遙かに浮かんでいた。するとウァルベレヒは海中に踏み込むと、さっと手を伸ばし、畜群を取 り返した。 牡 お う し 牛 たちと 牝 め う し 牛 たちは小脇に抱え、駒たちをもう片脇に抱え込み、羊らはというと頭の上に載せた。羊 ら は 羊 虱 しらみ が 羊 の 頭 の 上 を 這 は い 回 る よ う に、 そ こ を 這 い 回 っ た。 そ れ か ら ウ ァ ル ベ レ ヒ は 船 を 摑 つ か み、 高 高 と 持 ち 上 げると、物 凄 す ご い勢いで 海 う な ぞ こ 底 深く投げ込んだ。強盗たちの方は 喰 く ってしまい、その暖かい血を 啜 す す った。そして家路に ついた。 (   ) 21 (   ) 21 (   ) 22 (   ) 23 (   ) 24 (   ) 25 (   ) 26 (   ) 27

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一三九   ガンゴルフの泉   ラングドック 地方にガンゴルフ という名の伯爵がいた。彼はサラセン人 やヴァンダル族 と戦うため出征、清らか な泉が 迸 ほとばし り出ている南国〔=イタリア〕のとある平原に 辿 た ど り着いた。ガンゴルフはそこに宿営し、 天幕を張らせ、 麾 き か 下 の 兵 士 ら と と も に 泉 の 水 を 飲 み、 随 伴 し て い る 牛 馬 に も 水 を 飼 っ た。 そ こ へ 土 地 の 主 あるじ が や っ て 来 て、 家 来 に 牧草を踏み 躙 に じ らせ、許可も得ずに宿営し、ひとさまの所有である泉の水を人畜に飲ませるのは、この土地の風儀に は な い こ と、 と 難 な ん き つ 詰 し た。 こ れ に 対 し て ガ ン ゴ ル フ は も の 柔 ら か に 愛 想 良 く こ う 応 じ た。 「 こ れ は 地 主 殿、 か よ う なことにあいなったのはまことに 遺 い か ん 憾 でござる。したが、あまりお怒りめさるな。お差し支えなくば、この泉を貴 公から買い取りましょうぞ」と。──「いやはや、こいつは聞き物だて」と先方は考え、腹の中で大笑いした。 狡 ず る い男のこととて、 湧 わ き出ている場所がこれからも自分のものであり続けさえすれば、この 余 よ そ 所 者が泉を買うのは一 向構わんわい、と思って。そこでさほど高額でない代価を要求した。ガンゴルフはそれだけ支払うと、部下を引き 連れ、立ち去ったが、出発する前に携えていた杖を 暫 しばら く泉の水に浸した。   さ て、 故 郷 の ブ ル グ ン ト 伯 領 に 帰 還 し た ガ ン ゴ ル フ は、 例 の 杖 を 自 城 の 中 庭 な る ─ ─ 正 真 正 銘 己 おのれ が 所 有 す る 大 地に突き刺した。するとたちまち清澄かつ水量豊富な泉が噴出した。一方ガンゴルフが南国で買い取ったあの泉の 方は永久に 涸 か れてしまった。   ブ ル グ ン ト の か か る 伝 説 は 本 来 な ら こ の ド イ ツ 伝 説 の 本 に 記 す べ き で は な い だ ろ う が、 注 目 を 引 く そ の 谺 こだま と 申 そ う か、 名 前 も 含 め て 同 じ 類 たぐい が、 東 フ ラ ン ケ ン 地 方 に も 見 出 さ れ る の だ。 レ ー ン 山 地 の 巖 い わ 山 ミ ル ゼ ブ ル ク に 諸 人 から貴ばれているガンゴルフの泉がある。その昔、ガンゴルフと呼ばれる聖者がいて、この峰が人里離れているの (   ) 28 (   ) 29 (   ) 31 (   ) 31 (   ) 32 (   ) 33 (   ) 34

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で大いに気に入っていた。そこでいと古き司教座の町フルダ へ下って行き、ある市民の家で清らかな泉を見つける と、これをその市民から買い取った。相手は、どうもなんだかこの 敬 け い け ん 虔 なお人を 騙 だ ま くらかすことになるわい、と考 えた。思うに、泉はいついつまでもわしの持ち物のままだ、なにせ湧いている場所は相変わらずこっちのだからな あ、 と い う わ け。 ─ ─ と こ ろ で 聖 ザンクト ガ ン ゴ ル フ は 木 製 の 小 さ な 水 槽 を 作 ら せ る と、 こ れ に 泉 の 水 を 満 た し、 手 ず か らミルゼブルクへと運び、そこに水槽を据え、携えている杖を地面に差し込んだ。するとなんと、水が絶えること なく地中から水槽に湧き上がり、 滔 と う と う 滔 と 溢 あ ふ れ出した。一方下界のフルダでは市民の泉が 乾 ひ 上がった。ガンゴルフの 泉は今日に至るまでいまだに涸れることなく湧き続けている。その水は、しっかり栓をしておけば、何年も汲み立 ての味だし、ご婦人がたには子授けの泉となるという特段の長所があるそうな。 一四〇   イザベラ色   昔、イスパニア軍がオーステンデ の町を攻囲し、ホラント〔=オランダ、ネーデルラント〕人がこれをこの上も な く 頑 強 に 防 ぼ う ぎ ょ 禦 し た こ と が あ る。 攻 撃 側 が 外 が い ほ う 堡 を 一 つ 奪 取 し て も、 籠 城 軍 は す ぐ さ ま 新 た な 稜 り ょ う ほ 堡 を 築 く の だ っ た。 オ ー ス ト リ ア 大 公 ア ル バ ー ト の 妃、 イ ス パ ニ ア の 内 イ ン フ ァ ン タ 親 王 イ ザ ベ ラ〔 = イ サ ベ ー ル 〕 は 夫 君 と と も に 陣 営 に い た が、 好 戦 的 な 気 質 の 持 ち 主 で、 こ ん な 誓 い を 立 て、 そ れ を 口 外 し た。 「 わ ら わ は オ ー ス テ ン デ が 陥 落 し、 我 が 軍 に 占 領 されない内は肌着を替えますまいぞ」と。精精のところ肌着を一週間も身に着けていればよかろう、と思ったので ある。ところが、そうは問屋が 卸 お ろ さなかった。攻囲戦はもう少し長期に 亘 わ た ったしだい。七万のイスパニア兵がオー ステンデ市外で命を落とし、ホラントの軍司令官たちにとってこの防衛戦は五万の犠牲を要した。その間にオース (   ) 35 (   ) 36 (   ) 37

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テ ン デ は 瓦 が れ き 礫 の 山 と 化 し、 イ ザ ベ ラ は 誓 い を 遵 じ ゅ ん し ゅ 守 、 同 じ 肌 着 を 着 続 け た。 攻 囲 が 始 ま っ た 時( 一 六 〇 一 年 六 月 二 十二日) 、次の言葉の中にその年数が含まれていた。 „osten D e nob Is pa C eM ,, ──これすなわち「我ラニ和平ヲ示 セ 」である。──そして、 三年二 箇 か げ つ 月 と十七日も経ってからやっとのことで 終 しゅうえん 焉 を迎えた時、 その年数を次の言葉 の中に読み取ることができた。 „osten D aM pa CI s In ItI a ,, ──「我 汝 ナンジ ラニ平和ノ始マリヲ示サン 」。   か く し て 大 公 妃 イ ザ ベ ラ は い と も 長 く 纏 ま と っ て い た 肌 着 を 漸 ようや く 脱 ぎ 捨 て た わ け だ が、 こ れ は 開 い た 孔 も な か っ た けれど、一種独特な、名状し難い色調を帯びていた。この色は大流行し、内親王の名に 因 ち な んで呼ばれるようになっ た。この世のいかなる色であれイザベラ色ほどその発明に重い負担を要したものはまたとあるまい。 一四一   ファウスト博士とその悪魔ヨースト   世にも名高いかのファウスト博士 についてはネーデルラントにも独自の伝説がある。同人はまことに学識ある男 で、ボメル近郊のワールデンベルフ城に 居を構えていた。彼はここで実験に従事し、錬金術にいそしみ、賢者の石 を探し求めたが、 見つけられなかった。そこで悪魔が、 博士を獲物にできるかも、 と考え、 近づいてこう言った。 「あ ん た、 あ た し が い な け り ゃ 何 だ っ て う ま く 行 き っ こ あ り ま せ ん ぜ。 あ ん た の ぐ つ ぐ つ 煮 た り の お 料 理 ご っ こ と か、 沸 か し た り、 蒸 じ ょ う り ゅ う 溜 し た り な ん ざ、 ど れ も こ れ も 糞 く そ の 役 に も 立 ち ゃ し ま せ ん て。 あ た し を 下 男 に お 雇 い な さ い な。 そうすりゃ、あんたが心底欲しがってるものが手に入るようにしてあげまさあね。あたしはあんたに七年奉公しま す、 そ れ が 済 ん だ ら あ ん た が あ た し に 仕 え る ん で す よ 」。 フ ァ ウ ス ト 博 士 は 悪 魔 が 自 分 に 奉 公 し よ う と 申 し 出 た の が気に入った。なにせ、この御仁、死後の永生とか彼岸での 劫 ご う ば つ 罰 とかを信じていなかったのだ。そこで悪魔に魂を (   ) 38 (   ) 39 (   ) 41 (   ) 41 (   ) 42

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譲り渡す証文に自らの血で署名した。 これをやってのけたファウスト博士は現世のありとあらゆる快楽を追求した。 衣服はパリから取り寄せた最上のものに限った。善美を尽くした珍味 佳 か こ う 肴 がアムステルダムから、極めて美しく極 めて高価なチューリップ がハールレムから到来した。ファウストは夏には氷を、冬には甘い 葡 ぶ ど う 萄 を賞味した。こう した品品を調達しなければならなかったのは彼の下男で、ヨーストという名の悪魔だった。なにしろファウストは こ の 地 獄 の 僕 しもべ を び し び し 追 い 使 う の を こ の 上 も な く 楽 し ん で い た の で。 フ ァ ウ ス ト が ワ ー ル デ ン ベ ル フ か ら ボ メ ルに行こうとする時は、しょっちゅう出掛けたコンスタンティノポリス へほどにも時間は掛からず、下男の悪魔に こう怒鳴ればよかった。 「ヨースト、スヘルデ川に橋を架けろ。わしが渡ったら壊すんだ。早くせい」 。──すると 瞬く間に橋ができ、瞬く間に無くなった。ボメルの町の通りの 舗 ほ そ う 装 ときたら、筆者が愛するテューリンゲンやその 他のドイツの結構な町の数数とご同様、ノアの大洪水以前といった、それはそれは時代遅れの代物だった。すると フ ァ ウ ス ト は 怒 鳴 っ た。 「 ヨ ー ス ト、 さ っ さ と 舗 装 し ろ。 馬 ど も の 前 は さ あ っ と 舗 装 し て、 わ し の 馬 車 の 後 ろ の 舗 装は片づけてしまえ。わしはボメルの連中は気に 喰 く わんでな──やつらは今後ともぬかるみに 浸 つ かっとればよかろ う 」。   ボメルのある地下の酒蔵にはティール 産の素晴らしい 麦 ビ ー ル 酒 が貯えられていた。これはファウストの好物で、博士 はこれをきこしめして酔っぱらうと、ライプツィヒなるアウアーバッハの酒蔵 でもやったように、 麦 ビ ー ル 酒 樽 だ る に坐り込 んだ。するとヨーストはその樽をファウストもろとも穴蔵から吊り出さなければならなかった。一方ご当人は乗馬 さながらこれに 跨 またが ったまま。この光景を多くの客人が目撃したものである。   ファウストは悪魔が親切で自分に尽くしているわけではなく、何もかも激しい憎しみからやっていることをよく 心得ていたから、 相手を怒らせてやまず、 一瞬たりとも休ませなかった。そこで、 悪魔が、 これで充分だろう、 ちょ (   ) 43 (   ) 44 (   ) 45 (   ) 46 (   ) 47

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い と 息 抜 き す る か、 と 考 え る た び、 ど う い た し ま し て と ん で も な い こ と、 性 し ょ う わ る 悪 な 主 人 は 一 シ ェ ッ フ ェ ル も の 穀 物 を 茨 いばら の 生 け 垣 の 下 に 撒 ま き 散 ら し、 ヨ ー ス ト は こ れ を 一 粒 残 ら ず 悉 ことごと く 拾 い 集 め な け れ ば な ら な か っ た。 あ る い は また、博士は一袋の穀粉を窓から外にぶちまけた。そしてヨーストは 微 み じ ん 塵 も余さず元通り回収させられた。そうこ うする内この哀れな悪魔、以前はでっぷり 肥 ふ と っていたのに、がりがりに 痩 や せ衰え、脚なんぞは 蜘 く も 蛛 さながらのてい た ら く と あ い な っ た。 そ こ で と う と う フ ァ ウ ス ト に こ う 泣 き つ い た も の。 「 ね え、 博 士 様。 あ ん た の と こ ろ じ ゃ 悪 魔 だ っ て 我 慢 が で き ま せ ん や。 こ ん な ご 奉 公 は 御 ご め ん こ う む 免 蒙 り ま し ょ。 あ た し は こ の 四 年 こ の か た、 〔 灼 し ゃ く ね つ 熱 の 〕 地 獄 で 過 ごした毎日よりずうっと汗びっしょり、身は 焙 あ ぶ られるって暮らしだ。あんたはベールゼブブ よりひどい人使いをす る。ほんとにかっかと来ちゃう御仁だよ、 やあれやれ。あんたにゃあこれまでの四年とあんたの証文をくれてやる。 あたしにお暇をおくんなさい。 あんたは全部只で楽しんだってことになるんでさあね」 。しかしファウストは言った。 「悪魔ヨ、 ソハマカリナラヌゾ 。契約は守らんけりゃのう。おまえがわしにうんざりでも、 わしはおまえに飽いては お ら ん の で な 」。 ─ ─ と ま あ、 こ う い う し だ い で 悪 魔 の ヨ ー ス ト は そ れ か ら ま だ た っ ぷ り 三 年 フ ァ ウ ス ト 博 士 に 仕 えなければならなかった。この三年が終わった時、この悪魔ほど喜んだ者がまたとあろうか。こやつ、文字通り悪 魔のごとくきっちりとワールデンベルフの館へやって来るなり、ファウストをむんずと 捉 と ら え、髪の毛を 摑 つ か んで城の 塔の狭い格子窓から外へ引きずり出したので、辺り一面鮮血が飛び散った。これは幾つもの染みとなったが、洗い 落とすことができず、いまだにありありと残っている。   悪魔と契約したファウスト博士についての伝説は広く流布しているが、 地名に似寄りの響きが好まれているのが、 どうも不思議である。ドイツの伝説では、ヴュルテンベルク地方のキントリンゲン生まれ、ヴィッテンベルク大学 の教授である、とし、その近くで最期を迎えた、と語られており、ドイツ系ネーデルラントの伝説は彼をワールデ (   ) 48 (   ) 49 (   ) 51

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ンベルフ〔=ヴァールデンベルク〕城に住まわせている。こうしたことが単なる偶然のなせるわざかどうか、伝説 研究者は今後関連を考察すべきではなかろうか。 一四二   魔術師アグリッパの話   世にあまねく名高き魔術師ヘンリクス・コルネリウス・アグリッパ はルーヴェンに住んでいた。彼はしょっちゅ う一匹の黒犬を連れていた。犬はその跡をぴったり 随 つ いて行くのだった。犬のプレスティギアール がファウスト博 士にくっついていたように。この犬ども、どうやらどちらも 出 で ど こ ろ 所 素性は同じだったか。アグリッパの飼い犬はパラ ドリウスという名だった。 この賢い魔術の大家アグリッパには常に弟子が一人いた。 彼はこの弟子に黒魔術を教え、 弟子は助手として師匠に仕えた。さて、このような弟子のある者の身に次のようなことが起こった。師匠は旅に出 なければならなくなったが、当時弟子にしていた男はまだあまりにも未熟だったので、神秘な 奥 お う ぎ 義 を 覗 の ぞ かせること はできなかった、というか、師匠にはそのつもりがなかった。そこでアグリッパは出立の際研究室の鍵を女中頭に 預 け、 何 な ん ぴ と 人 た り と も 断 じ て こ の 部 屋 に 入 れ て は な ら な い、 と 言 い 付 け た。 師 匠 が 家 を 出 た 途 端、 く だ ん の 弟 子 は、 自分を先生の部屋に入れて欲しい、と女中頭に頼んだ。なにしろこの男、好奇心の塊だったものだから、ありとあ らゆる口実を並べ立てたわけ。初めの内こそ、だめよ、だめよ、の一点張りだった女中頭もとうとう折れて、弟子 を部屋に入れてしまった。室内には先生の大魔法書がだれにも持ち去られないよう鎖に繋いで書見台に置かれてい た。若者はわくわくしながらこれに歩み寄り、本を開いて、中身を読み始めた。けれども、自分が読んでいるのは 精霊召喚の呪文であることにろくすっぽ気づかなかった。すると、部屋の扉がどんどんと叩かれた。弟子は叩く音 (   ) 51 (   ) 52

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を聞き逃し、更に読み続けた。またしてもどんどん音がした。けれども若者にはやはり聞こえず、依然として読み 続けた。突然扉がばたんと開き、 恐ろしい 恰 か っ こ う 好 をした 物 も の す ご 凄 い精霊が中に押し入って来て、 「なんでおれを呼びくさっ た。おれに、何をせい、とぬかすのだ」と 訊 き いたのである。この強大な存在に眼前に立ちはだかられた弟子は震え 上がり、口も利けなくなった。──恐怖に 捉 と ら えられて精霊を 祓 ふ つ ま 魔 することもできずじまい。精霊は激怒して手を振 り 上 げ、 弟 子 は 命 を 失 っ て 床 に く ず お れ た。 一 部 始 終 を 遠 く か ら 大 エ ー ル ト シ ュ ピ ー ゲ ル 地 鏡 で 見 た 魔 術 師 ア グ リ ッ パ は 急 い で 帰 宅 す る と、 一 ひ と は し ら 柱 の 使 い 霊 を 呼 び、 こ の 邸 で 弟 子 が 横 死 し た、 な ど と い う 噂 が 立 た ぬ よ う、 死 骸 の 体 内 に 入 り 込 み、 家を出て、それからまた死骸から去るように計らえ、と命じた。その精霊は言い付け通りにした。そこで弟子は生 きているかのように通りを幾つか歩き回り、 とある街角でばったり倒れた。 憑 ひ ょ う い 依 していた精霊が離れたからである。 かくなるしだいで、若者がこの場所に来て初めて急死したことを疑う者はいなかった。   ヘ ン リ ク ス・ コ ル ネ リ ウ ス・ ア グ リ ッ パ に 死 が 迫 る と、 彼 は 飼 い 犬 を 呪 じ ゅ そ 詛 し て、 こ う 叫 ん だ。 「 と っ と 失 せ ろ、 き さ ま、 わ し の 堕 地 獄 の 罪 に し て 張 ち ょ う ほ ん 本 め が 」 と。 ─ ─ そ し て 師 匠 の 死 後 犬 は い な く な っ た。 ど こ へ 消 え た か だ れ も知らない。水に跳び込んでしまった、だから以来姿が見えないのだ、との説、アグリッパは死ぬ前に犬を友人の だ れ か に 贈 与 し た の で あ り、 犬 は 元 の 主 人 に 仕 え た の と 同 様 そ の 男 に 一 定 期 間 奉 公 し な け れ ば な ら な い、 と の 説、 まちまちである。しかしながらこうした贈り物には 剣 け ん の ん 呑 ないわくが付き物。 一四三   ヤン・ファン・ニヴェルの犬   昔ニヴェル にこんなことがあった。 モンモランシーの殿ブシャール五世 が 聖 ザンクト ゲルトルート 修道院の客となった。 (   ) 53 (   ) 54 (   ) 55 (   ) 56

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女 子 修 道 院 の 院 長 は こ の 町 の 女 領 主 と 見 な さ れ て お り、 僧 院 の 修 道 尼 た ち は 朝 あした に は 修 道 服 を 纏 ま と い、 夕 べ に は 世 俗 の装いをし、その気があれば修道院を去って、結婚することもできるのだった。モンモランシーの殿はこうした修 道尼の一人が殊の外お気に召し、相思相愛の間柄となった。もっとも婚儀は執り行わなかった。この恋の結晶は男 の子が一人で、ヤン・ファン・ニヴェルという名を授かった。成人すると父親は彼に小さな城の付いたささやかな 領 地 を 譲 っ た、 あ る い は 買 っ て や っ た。 若 殿 は 冒 険 騎 士 と し て 世 間 を 経 巡 り、 〔 馬 上 槍 試 合 を し て は 〕 数 数 の 報 償 を 闘 い 取 り、 勇 敢 公 ゴ ッ ト フ リ ー ト の 宮 廷 で は さ る 麗 し の 貴 婦 人 の 愛 を も 嬴 か ち え た。 こ の 女 に ょ し ょ う 性 は、 若 者 が 結 婚 の 申 込 み を す る と、 喜 ん で ニ ヴ ェ ル 近 郊 の 小 城 に 随 つ い て 行 く、 と 言 っ て く れ た。 ヤ ン は 熱 愛 す る ひ と を 鞍 く ら じ り 尻 に 乗 せ、 忠犬はその脇を 馳 は せた。こうして二人はかなりの距離を相乗りして行き、大いに 睦 む つ ご と 言 を交わし合った。すると向こ うから風采の良い堂堂たる騎士がやって来て、すぐさま冒険騎士の慣わしに従い勝負を申し入れた。いわく、この ご婦人のために試合をされよ、そして打ち勝った方がご婦人を手に入れるのだ、と。   ヤン・ファン・ニヴェルは勇猛果敢だったから、これまでこうした冒険を避けたことはなかった。しかし、この 時 は こ う 応 じ た。 「 既 に わ た し の も の と な っ て い る ひ と を 賭 か け て な に ゆ え 闘 わ ね ば な ら ぬ の だ。 こ の 令 嬢 は 自 身 が だれの妻になりたいかよく心得ていよう。だれを夫にするかはこのひとだけに決めさせればよいこと。剣や槍では なくてな」 。──「ささ、高貴なお娘御、さればそなたが決めるがよい」 。見知らぬ騎士はヤン・ファン・ニヴェル を 嘲 あざけ り の 眼 まなこ で 見 据 え て そ う 言 っ た。 す る と、 な ん と、 乙 女 は 乗 っ て い た 駒 か ら 跳 び 下 り る と、 見 知 ら ぬ 騎 士 の 手 に 縋 す が っ て そ の 馬 に 上 っ た の で あ る。 こ ち ら の 方 が 好 き に な っ た の か、 あ ら か じ め こ の 男 と 示 し 合 わ せ て い た の か、 いずれにせよ。ヤン ・ ファン ・ ニヴェルはかかる背信に声を呑んだ。そして騎士道の命ずる通り相手に挨拶すると、 犬とともに騎行を続けた。女の本性と気まぐれとをとつおいつ思い巡らしながら。しかしろくろく進まぬ内に、敵 (   ) 57

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が ─ ─ か の 麗 人 は さ し あ た っ て 後 に 残 し ─ ─ 馬 を 疾 駆 さ せ て 追 い つ い て 来、 こ う 叫 ん だ。 「 我 が 貴 婦 人 は そ な た の 犬が大層お気に入りでな、騎士殿。平穏無事に犬をそれがしに引き渡してくださらんか。さもなくば我ら一勝負つ かまつらねばなるまい」 。   ヤン ・ ファン ・ ニヴェルはこの甚だもって慎ましやかならざる要求を受けても落ち着き払ってこう返辞した。 「わ たしはかの令嬢がご自身のお好きなようにふるまうのを止めはせなんだ。犬にもそうすることを止めはせぬ。我ら 両 人 の い ず れ な り と も、 こ の 犬 の 選 ぶ 者 が こ れ を 引 き 取 れ ば よ い 」。 こ れ を 聞 い て ひ と か た な ら ず 喜 ん だ 騎 士 は 犬 を 誘 い、 旨 う ま そ う な 食 べ 物 を 差 し 出 し た。 し か し 犬 は 男 に 向 か っ て 歯 を 剥 む き 出 し、 兇 き ょ う ぼ う 暴 な 唸 う な り 声 を 挙 げ た。 も し 彼 の主人が制止の声を掛けなかったら、たちまち男の顔に跳び掛かっていたかも知れない。そこでヤンは今回は挨拶 せずに馬首を転じて立ち去った。犬は嬉しそうに 吠 ほ えるとその傍らを走った。あちらの騎士は 慚 ざ ん き 愧 に堪えず、これ また犬の 信 ま こ と 実 ぶりに我が身を顧みて恥じ入っている娘の方へ引き返した。これぞビュルガーの詩「 信 ま こ と 実 の唄」 の素 材となった伝説である。   ヤン・ファン・ニヴェル二世なる人物もいた。この御仁は魔術師ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパと面識 があった。で、アグリッパがニヴェルを通り掛かった折、彼を賓客として城へ招き、この有名な人士を善美を尽く してもてなし、泊めた。その際前記の話を物語り、自分もそうした忠義な犬が欲しいものだ、と言った。するとア グリッパは歓待の返礼として城主に一匹の黒犬を贈った。──これを、悪霊だ、と考えた者は多い。この犬の名は 全くの秘密で、それを知っているのは主人のヤン ・ ファン ・ ニヴェルだけだった。だれがこの犬に声を掛けようと、 この犬を誘おうと、それは一向構わなかったが、犬は飼い主以外 何 な ん ぴ と 人 の言うことも聞かなかった。このヤン・ファ ン ・ ニヴェル=モンモランシーはエグモント とともにブリュッセルで同時に斬首されたホールン伯 の祖父である由。 (   ) 58 (   ) 59 (   ) 61

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その母はフドゥラ・フィライン・ファン・ヘント 。 一四四   ザンクト 〔= シ ント 〕ヨハニスの り ん ご   昔トンゲルン の聖なる司教で添え名して 仔 こ 羊といわれるひと──元は農夫だった──がいた。農夫の彼は誠心誠 意の生活に徹し、数数の善行に励んでいた。ある日のことヨハニスが畑で 畝 う ね 作りにいそしんでいると、巡礼の身な りをした神神しい風采の男がその前に立って、 「ごきげんよう、トンゲルンの司教」と声を掛けた。   「 あ な た は い っ た い だ れ に 挨 拶 な さ っ た の か 」。 ヨ ハ ニ ス は 周 囲 を 見 回 し て 訊 た ず ね た。 「 そ な た に じ ゃ」 と 巡 礼 は 答 えた。 「そなたの 敬 け い け ん 虔 さゆえに 主 し ゅ はそなたを聖職に選びたもうた」 。──「さようなことは信じられませぬ。そこを おどきくだされ、 お客人」 とヨハニスは大声を挙げた。 「あなたが携えている 乾 ひ か 涸 らびた木の杖に万一緑の葉が 萌 も え、 実が 生 な るものなら、 このわたしもトンゲルンの司教になりましょうが」 。── 「それではしかと見て、 信じるがよい」 。 巡礼はそう叫び、 杖を耕されたばかりの畑土に差し込んだ。するとたちまち杖は若若しい樹皮に覆われ、 芽が吹き、 枝が伸び、花が咲いたかと思うと、その花花はみごとな 林 り ん ご 檎 になった。   予言はなにもかもその通りになった。この林檎の樹は消え去ることなく、その素晴らしい果実は挿し木によって こ の 地 方 に 広 ま り、 今 日 に 至 る ま で 聖 ザンクト 〔 = 聖 シ ント 〕 ヨ ハ ニ ス の 林 檎 と 呼 ば れ て い る。 杖 が 滴 ら ん ば か り の 緑 に 変 じ た ─ ─ 大 抵 は 更 に 生 い 育 っ て 奇 き 蹟 せ き の 樹 と な る ─ ─ と い う 伝 説 は 他 に も あ ま ね く 伝 播 し て い る。 テ ュ ー リ ン ゲ ン は ファリラなる町のかのボニファティウスが植えた奇蹟の樹 、騎士タンホイザーの伝説に登場する教皇ウルバヌスの 杖 、その他もろもろ。 (   ) 61 (   ) 62 (   ) 63 (   ) 64

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一四五   一年の か ず だけの子ども   グラーフェン=ハーゲ から一時間の行程にロースドイネン という名の村がある。 ここには昔修道院が建っていた。 かしこにはこんな話が伝えられている。この修道院は修道士らの放逸 無 む ざ ん 慙 な行状のせいで一夜にして地中に沈んだ のであり、ある場所──もっともだれにでも見つかるというわけではない──に立つと地中深く 轟 ご う ご う 轟 とざわめく音 が 聞 こ え る、 と。 〔 修 道 院 附 属 〕 教 会 だ け は 無 事 に 残 り、 村 の 東 側 の 外 に あ る。 教 会 内 に は 二 つ の 銅 で で き た 洗 礼 盤が見られ、これは次のような伝承と結びついている。   ホラント伯フロリス四世 には夫人メヒティルトとの間にマルガレーテ という名の息女が一人おり、このひとはヘ ンネベルク伯ヘルマン一世 ──古人は朗らかで雄雄しい勇者と讃えている──と結婚した。マルガレーテは子息ポ ポ と 息 女 ユ ッ タ を 生 み、 後 者 は 母 の 存 命 中 ブ ラ ン デ ン ブ ル ク 辺 マ ル ク グ ラ ー フ 境 伯 オ ッ ト ー 長 大 伯 に 嫁 と つ い だ。 大 層 若 く し て 結 婚 した母〔=マルガレーテ〕は四十二歳で故郷のデン・ハーハ〔=デン・ハーク、デン・ハーグ〕に里帰りした。さ てこの地で伯爵夫人は右腕左腕のそれぞれに幼な児を抱えている貧しい女にふと目を留めた。女は、なにとぞお恵 みを、と乞い、この子たちは双子なのです、と言った。伯爵夫人は一人の女が一人の男との間に一度に一人以上の 子 ど も を 授 か れ る わ け は な い、 と 疑 っ て、 こ の 貧 し い 女 に 喜 捨 を 与 え る の を 拒 み、 そ れ ど こ ろ か、 〔 お ま え は 夫 以 外 の 男 と 不 義 を 働 い た の だ、 と 〕 嘲 あざけ り、 辱 め た。 こ う 言 わ れ た 哀 れ な 女 は 涙 を 流 し て 嘆 き、 天 を 振 り 仰 い で、 こ う 叫 ん だ。 「 あ あ、 天 と 地 の 全 て を し ろ し め す 主 し ゅ な る 神 よ、 是 非 と も お 願 い つ か ま つ り ま す る。 こ こ な 伯 爵 の 奥 方 が一度に一年の日数だけのお子を 孕 は ら みまするよう 御 み む ね 旨 をお示しくだされ」 。そして泣きながら立ち去った由。   伯爵夫人はその日のうちに妊娠したと感じ、その時から目方が増える一方、体がひどく膨れて重くなったありさ (   ) 65 (   ) 66 (   ) 67 (   ) 68 (   ) 69 (   ) 71

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まはまことにもって前代未聞だった。父伯がロースドイネンに邸を持っていたので、夫人はここに滞在した。なぜ なら、新たな故国たるヘンネベルクへ旅して戻ることができなかったからである。そして一二七六年の聖金曜日 に 三百と六十五人の赤児を出産。男の子と女の子ごたまぜで、どの子も五体満足だった。この子たちを次の日、夫人 の伯父の一人であるユトレヒト の司教オットーが、今日なおロースドイネンで目にすることのできるかの二つの洗 礼盤で(多くの者が主張、かつ文字に残しているように、一つの洗礼盤で、ではない)洗礼を施し、男の子は〔全 て 〕 ヨ ハ ネ ス、 女 の 子 は〔 全 て 〕 エ リ ー ザ ベ ト と 命 名 し た。 け れ ど も 子 ど も た ち は 一 人 残 ら ず そ の 直 後、 洗 礼 日、 すなわち聖なる復活祭の前夜に死んでしまい、母親も同様だった。そして皆もろともに修道院附属教会に埋葬され た。その後この物語はドイツ語、ラテン語、オランダ語の記憶用詩句でロースドイネン教会内部の一枚の木板に刻 まれた。以前これは説教壇左手に掛かっていた。もっとも、 この伝承を報告している多くの詩句が触れている墓石、 これはこの教会にない。かかる不可思議な出産を忘れぬため、マース川河畔に一年の日数だけの窓のある城が建設 された。それから、デン・ハーハから来るとロースドイネン村の入り口辺りに、ぽつんと離れた風情で建っている 大 き な 邸 宅 の 正 面 扉 の 上 部 に IN DEN HENNENBERG 〔 = ヘ ン ネ ン ベ ル ク へ 〕 な る 銘 が 掲 げ ら れ て い る。 ─ ─ 民 衆は今日でもかの二つの洗礼盤に不思議な力があると考えていて、甚だ崇敬している。不妊の女性たちは口を 噤 つ ぐ ん だまま一握りの砂を少しずつ洗礼盤に投げ掛けて、得たいと願う祝福を母なる自然から引き出すのである。   デルフト なる美しいヒッポリュトス教会にある一枚の銘板にこの物語が述べられている。またエグモント〔=エ フモント〕修道院には伯爵夫人マルガレータの墓石が実在するとか。 (   ) 71 (   ) 72 (   ) 73

参照

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